JP2013170223A - 蒸着用硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、及び、有機光デバイス - Google Patents

蒸着用硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、及び、有機光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる蒸着用硬化性樹脂組成物を提供する。また、該蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させてなる樹脂保護膜、及び、該蒸着用硬化性樹脂組成物を蒸着し光硬化させてなる樹脂保護膜で保護された有機光デバイスを提供する。
【解決手段】大気圧下又は減圧雰囲気下において、加熱によって揮発させて基板上に蒸着膜を形成する蒸着用硬化性樹脂組成物であって、カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含有し、上記光カチオン重合開始剤は、分子量が300以上のカチオン部と分子量が140以上のアニオン部とからなるオニウム塩である蒸着用硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる蒸着用硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させてなる樹脂保護膜、及び、該蒸着用硬化性樹脂組成物を蒸着し光硬化させてなる樹脂保護膜で保護された有機光デバイスに関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子等の有機薄膜素子を用いた有機光デバイスの研究が進められている。有機薄膜素子は真空蒸着や溶液塗布等により簡便に作製できるため、生産性にも優れる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された薄膜構造体を有する。この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して自己発光を行う。バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、より薄型化が可能であり、かつ、直流低電圧駆動が可能であるという利点を有することから、次世代ディスプレイとして着目されている。
有機薄膜太陽電池素子は、無機半導体を使用した太陽電池に比べ、コスト、大面積化、製造工程の容易さ等の点で優れており、種々の構成の有機太陽電池が提案されている。具体的には例えば、非特許文献1には、フタロシアニン銅とペリレン系色素の積層膜を使用した有機太陽電池素子が開示されている。
これらの有機薄膜素子は、有機層や電極が外気に曝されると、その性能が急激に劣化してしまうという問題がある。従って、安定性及び耐久性を高めるために、有機薄膜素子を封止して大気中の水分や酸素から遮断することが不可欠となる。
有機薄膜素子を封止する方法としては、内部に吸水剤を設けたメタル缶によって封止する方法が一般的であった。しかしながら、メタル缶により封止する方法では、有機光デバイスを薄型化することが困難となる。そこで、メタル缶を使用しない有機薄膜素子の封止方法の開発が進められている。
特許文献1には、有機薄膜素子の有機層と電極とを、CVD法により形成した樹脂膜と、窒化珪素(SiN)膜との積層膜により封止する方法が開示されている。ここで樹脂膜は、窒化珪素膜の内部応力による有機層や電極への圧迫を防止する役割を有する。
特許文献1に開示された窒化珪素膜で封止を行う方法では、有機薄膜素子の表面の凹凸や異物の付着、内部応力によるクラックの発生等により、窒化珪素膜を形成する際に有機薄膜素子を完全に膜で被覆できないことがある。窒化珪素膜による被覆が不完全であると、水分が窒化珪素膜を通して有機層内に浸入してしまう。
有機層内への水分の浸入を防止するための方法として、特許文献2には、無機材料膜と樹脂膜とを交互に蒸着する方法が開示されており、特許文献3には、無機材料膜の上に液状のアクリル樹脂を塗布して樹脂膜を形成方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された方法では、有機薄膜素子の表面に大きな凹凸や異物の付着等がある場合でも完全に被覆するために無機材料膜の膜厚を厚くしないと充分な効果が得られず、このため窒化珪素膜による内部応力が大きくなったり、生産性が悪化したりするという問題があった。また、特許文献3に開示された方法では、無機材料膜と樹脂膜との接着性が不足したり、樹脂膜の硬化収縮による内部応力が発生したりする等の問題があった。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子等の有機薄膜素子は、フレキシブル化が検討されており、曲面への対応が可能の他、ロールトゥロール(Roll to Roll)方式に適用可能であることから、コストの点でも有利である。しかし、有機薄膜素子をフレキシブル化させるために用いられるプラスチックフィルム基板は、ガラス基板と比較して水蒸気バリア性に劣るという問題がある。そこで、基材としてプラスチックフィルムを使用する場合は、表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物層を形成してバリア性を付与し、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする。
プラスチックフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物層を形成する場合も、表面の凹凸や異物の付着、内部応力によるクラックの発生等によって被覆が不完全になることがあり、特許文献4に開示されているように有機膜を介して金属酸化膜を積層する必要がある。
特開2000−223264号公報 特表2004−522891号公報 特開2001−307873号公報 特開2008−149710号公報
Applied Physics Letters(1986、Vol.48、P.183)
本発明は、基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる蒸着用硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させてなる樹脂保護膜、及び、該蒸着用硬化性樹脂組成物を蒸着し光硬化させてなる樹脂保護膜で保護された有機光デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、大気圧下又は減圧雰囲気下において、加熱によって揮発させて基板上に蒸着膜を形成する蒸着用硬化性樹脂組成物であって、カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含有し、上記光カチオン重合開始剤は、分子量が300以上のカチオン部と分子量が140以上のアニオン部とからなるオニウム塩である蒸着用硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
従来、有機薄膜素子上に形成した無機材料膜や樹脂基板等の基材上に蒸着させる樹脂膜には、アクリル樹脂及び光ラジカル重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物が用いられているが、このような硬化性樹脂組成物は、アクリル樹脂及び光ラジカル重合開始剤を気化させるために高温で加熱する必要があった。また、得られる樹脂膜は、特に無機材料膜との接着性が充分でないという問題があった。
本発明者らは、低温で効率良く硬化性樹脂組成物を蒸着し、無機材料膜と樹脂膜との接着性を向上させ、樹脂膜の硬化収縮による内部応力によるクラックの発生を抑制するために、アクリル樹脂に代えて、エポキシ化合物やオキセタニル化合物等のカチオン硬化性単量体を用いることを検討した。しかしながら、このようなカチオン硬化性単量体と光カチオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物において、基材へ蒸着しやすいように分子量の低い材料を用いた場合でも、光カチオン重合開始剤を気化させるのに高温での加熱を必要とし、基材へ効率良く蒸着させることが困難であった。
そこで本発明者らは、特定の分子量以上のカチオン部及びアニオン部とからなるオニウム塩は、カチオン部及びアニオン部との結合が弱く、このようなオニウム塩を光カチオン重合開始剤として用いることにより、低分子量の光カチオン重合開始剤よりも容易に気化させることができ、その結果、基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる蒸着用硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、光カチオン重合開始剤を含有する。
上記光カチオン重合開始剤は、分子量が300以上のカチオン部と分子量が140以上のアニオン部とからなるオニウム塩(以下、単に「オニウム塩」とも言う)である。このような光カチオン重合開始剤を用いることにより、本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる。
上記オニウム塩のカチオン部の分子量の下限は300である。上記オニウム塩のカチオン部の分子量が300未満であると、アニオン部とのイオン間力が強くなりすぎて蒸気圧が高くなり蒸着用硬化性樹脂組成物を基材へ蒸着させる際に光カチオン重合開始剤を気化させることが困難となる。上記オニウム塩のカチオン部の分子量の好ましい下限は305である。
また、上記オニウム塩のカチオン部の分子量の好ましい上限は1000である。上記オニウム塩のカチオン部の分子量が1000を超えると、分子間力が強くなりすぎて蒸着用硬化性樹脂組成物を基材へ蒸着させる際に光カチオン重合開始剤を気化させることが困難となることがある。上記オニウム塩のカチオン部の分子量のより好ましい上限は700である。
上記オニウム塩のカチオン部は、開裂しやすく、反応性が高いことから、スルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであることが好ましい。
上記オニウム塩のアニオン部の分子量の下限は140である。上記オニウム塩のアニオン部の分子量が140未満であると、アニオン部とのイオン間力が強くなりすぎて蒸気圧が高くなり蒸着用硬化性樹脂組成物を基材へ蒸着させる際に光カチオン重合開始剤を気化させることが困難となる。上記オニウム塩のアニオン部の分子量の好ましい下限は145である。
また、上記オニウム塩のアニオン部の分子量の好ましい上限は1000である。上記オニウム塩のアニオン部の分子量が1000を超えると、分子間力が強くなりすぎて蒸着用硬化性樹脂組成物を基材へ蒸着させる際に光カチオン重合開始剤を気化させることが困難となることがある。上記オニウム塩のアニオン部の分子量のより好ましい上限は700である。
上記オニウム塩のアニオン部は、酸が強いことから、リン系イオン、アンチモン系イオン、又は、ホウ素系イオンであることが好ましい。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物における上記オニウム塩の含有量は、カチオン重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が10重量部である。上記オニウム塩の含有量が0.5重量部未満であると、カチオン重合性化合物のカチオン重合が充分に進行しなかったり、硬化が遅くなったりすることがある。上記オニウム塩の含有量が10重量部を超えると、得られる蒸着用硬化性樹脂組成物を無機材料膜上に蒸着させた際にオニウム塩が無機材料膜を侵したり、得られる蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させてなる樹脂膜が着色したりすることがある。上記オニウム塩の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は6重量部である。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物を含有する。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、上記カチオン重合性化合物を含有するカチオン重合性の樹脂組成物であるため、硬化時の硬化収縮が少なく、硬化させて得られる樹脂膜が無機材料膜との接着性に優れる。
上記カチオン重合性化合物は、分子内に少なくとも1個のカチオン重合性官能基を有しているものであれば特に限定されず、例えば、分子内に少なくとも1個のエポキシ基、オキセタニル基等を有する化合物等が挙げられる。なかでも、カチオン重合性が高く、効率的に硬化が進行することから、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)、分子内に少なくとも1個のオキセタニル基を有する化合物(以下、オキセタニル化合物ともいう)及び、ビニルエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
これらのカチオン重合性化合物の性状(分子量)は特に限定されず、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよいが、低温で効率良く気化させて基材へ蒸着させるため、モノマー又はオリゴマーであることが好ましい。また、これらのカチオン重合性化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物や、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物や、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等のアルコール型エポキシ化合物や、臭素化エポキシ化合物等のハロゲン化エポキシ化合物や、ナフタレン型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、異節環状型エポキシ化合物、多官能性エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ゴム変成エポキシ化合物、ウレタン変成エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル化合物、エポキシ基含有ポリウレタン化合物、エポキシ基含有アクリル化合物等が挙げられる。なかでも、カチオン重合性がより高く、効率的に光硬化が進行することから、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が好適に用いられる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名「エピコート806」、「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」等の「エピコート」シリーズや、ダイセル化学工業社製の商品名「セロキサイド2021」等の「セロキサイド」シリーズ等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、シクロアルカン骨格を有することが好ましい。
上記シクロアルカン骨格を有するエポキシ化合物としては特に限定されず、構造中又は繰り返し単位内に1つ以上のシクロアルカン骨格を有していればよいが、繰り返し単位内にシクロアルカン骨格を有する化合物であることが好ましい。繰り返し単位内にシクロアルカン骨格を有する化合物である場合、繰り返し単位内にシクロアルカン骨格を1つだけ有する化合物であってもよく、2以上有する化合物であってもよい。
上記シクロアルカン骨格を有するエポキシ化合物は、上記構造を有するものであれば特に限定されないが、得られる樹脂膜の平滑性に優れるものとなることから、下記式(1)、(2)、及び、(3)からなる群より選択される少なくとも1の構造を有するエポキシ化合物が好ましい。
Figure 2013170223
式(1)中、nは0〜10の整数を表す。R及びRは水素、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜12のアルキル基を表し、これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 2013170223
式(2)中、nは0〜10の整数を表す。R〜R10は水素、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜12のアルキル基を表し、これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 2013170223
式(3)中、nは0〜10の整数を表す。
また、上記式(1)で表される化合物において、上記R及び上記Rは、水素、メチル基、又は、エチル基であることがより好ましい。上記R及び上記Rが、水素、メチル基、又は、エチル基であることにより、得られる樹脂膜が優れた耐光性と耐湿性とを兼ね備えたものとなる。なかでも、上記R及び上記Rは、メチル基であることが特に好ましい。
上記シクロアルカン骨格を有するエポキシ化合物のうち、市販されているものとしては、例えば、YX−8040、YX−8034、YX−8000(いずれも、三菱化学社製)、EP−4088(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記オキセタニル化合物は特に限定されず、例えば、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等が挙げられる。これらのオキセタニル化合物は単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記オキセタニル化合物のうち、市販されているものとしては、例えば、OXT−101、OXT−121、OXT−211、OXT−221(いずれも、東亞合成社製)等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物のうち、市販されているものとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV)、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)(いずれも、丸善石油化学社製)、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル(BDVE)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDVE)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGDVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE)(いずれも、日本カーバイド工業社製)等が挙げられる。
上記カチオン重合性化合物は、本発明の目的を阻害しない範囲内において、上記エポキシ化合物、オキセタニル化合物、ビニルエーテル化合物以外の他のカチオン重合性化合物を含有してもよい。
上記他のカチオン重合性化合物としては、分子内に少なくとも1個のカチオン重合性官能基を有する重合性化合物であれば特に限定されず、例えば、分子内に少なくとも1個の水酸基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等のカチオン重合性官能基を有する化合物等が挙げられる。
上記カチオン重合性化合物として上記エポキシ化合物や上記オキセタニル化合物とそれ以外のカチオン重合性化合物とを併用する場合、全カチオン重合性化合物の合計100重量部に対する上記エポキシ化合物及び上記オキセタニル化合物の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記エポキシ化合物及び上記オキセタニル化合物の含有量が20重量部未満であると、硬化物の高温における貯蔵弾性率が充分に高くならないことがある。上記エポキシ化合物及び上記オキセタニル化合物の含有量が80重量部を超えると、得られる樹脂膜が無機材料膜に対する接着性に劣るものとなることがある。上記エポキシ化合物及び上記オキセタニル化合物の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は60重量部であり、更に好ましい上限は40重量部である。
上記カチオン重合性化合物は、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度が1000mPa・s以下であることが好ましい。上記カチオン重合性化合物の粘度が1000mPa・sを超えると、基材へ蒸着させる際にカチオン重合性化合物を気化させるために高温での加熱が必要となることがある。上記カチオン重合性化合物の粘度は200mPa・s以下であることがより好ましい。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、光増感剤を含有することが好ましい。上記光増感剤は、上記光カチオン重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物の硬化反応をより促進させる役割を有する。
上記光増感剤は特に限定されず、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’メチルジフェニルサルファイド、チオキサントン系化合物等が挙げられる。
上記光増感剤の含有量は特に限定されないが、上記カチオン重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限は0.03重量部、好ましい上限は2重量部である。上記光増感剤の含有量が0.03重量部未満であると、増感効果が充分に得られないことがある。上記光増感剤の含有量が2重量部を超えると、吸収が大きくなりすぎて蒸着用硬化性樹脂組成物の深部まで光が伝わらないことがある。上記光増感剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は1重量部である。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、硬化遅延剤を含有してもよい。
硬化性樹脂組成物をフラッシュ蒸着装置等の蒸着装置を用いて基材に蒸着させる際、気化した硬化性樹脂組成物が基材に付着する前に蒸着装置内で硬化反応が開始してしまうことがあるという問題があった。本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物に上記硬化遅延剤を含有することにより、このような基材に付着する前の硬化を抑制することができる。
上記硬化遅延剤は特に限定されず、例えば、ポリエーテル化合物等が挙げられる。
上記ポリエーテル化合物は特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、クラウンエーテル化合物等が挙げられる。なかでも、クラウンエーテル化合物が好適である。
上記クラウンエーテル化合物は特に限定されず、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、24−クラウン−8、及び、下記式(4)で表される構造を有する化合物等が挙げられる。
Figure 2013170223
式(4)中、R11〜R22は、少なくとも1つが炭素数1〜20のアルキル基を表す。
また、上記アルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、及び、炭素数1〜20のカルボン酸アルキルエステル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、更に、隣接するR及びRn+1(但し、nは、11〜21の奇数を表す)は、共同して環状アルキル骨格を形成していてもよい。
上記式(4)で表される構造を有する硬化遅延剤のなかでも、少なくとも1つのシクロヘキシル基を有するものが好適である。上記シクロヘキシル基を有することにより、クラウンエーテルの骨格が安定し、遅延効果が高まる。
上記シクロヘキシル基を有する上記式(4)で表される構造を有する硬化遅延剤としては、具体的には例えば、下記式(5)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2013170223
上記式(5)で表される構造を有する化合物は、18−クラウン−6−エーテル分子の中央を通る線に対して線対称となる位置に2個のシクロヘキシル基を有するため、18−クラウン−6−エーテル分子の骨格に歪み等を生じさせることなく遅延効果が高くなると考えられる。
上記硬化遅延剤の含有量は特に限定されないが、上記カチオン重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限は0.05重量部、好ましい上限は5.0重量部である。上記硬化遅延剤の含有量が0.05重量部未満であると、得られる蒸着用硬化性樹脂組成物に遅延効果を充分に付与できないことがある。上記硬化遅延剤の含有量が5.0重量部を超えると、得られる蒸着用硬化性樹脂組成物を硬化させる際にアウトガスが多量に発生することがある。上記硬化遅延剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は3.0重量部である。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、更に、必要に応じて、接着性をより向上させるための接着性付与剤、粘度を調整するための粘度調整剤、チキソトロープ性(揺変性)を付与するためのチキソトロープ剤(揺変性付与剤)、引張り特性等を改善するための物性調整剤、増量剤、補強剤、軟化剤(可塑剤)、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収材、有機溶剤等の各種添加剤を含有してもよい。
上記接着性付与剤は特に限定されず、例えば、グリシドキシトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらの接着性付与剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度の好ましい上限が200mPa・sである。本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物の粘度が200mPa・sを超えると、本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を基材へ蒸着させるために高温での加熱が必要となることがある。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記カチオン重合性化合物、光カチオン重合開始剤、及び、必要に応じて添加する光増感剤等の各種添加剤を、遊星式攪拌装置、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独又は併用して、常温下又は加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下又は不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法等が挙げられる。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる樹脂保護膜もまた、本発明の1つである。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させる方法としては、例えば、300nm〜400nmの波長及び300〜3000mJ/cmの積算光量の光を照射する方法等が挙げられる。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物に光を照射するための光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらの光源は、上記光カチオン重合開始剤の吸収波長に合わせて適宜選択される。
本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物への光の照射手段としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手段を用いてもよい。
有機薄膜素子上に蒸着された本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる本発明の樹脂保護膜により上記有機薄膜素子を保護してなる有機光デバイスもまた、本発明の1つである。
本発明の有機光デバイスにおける上記有機薄膜素子は特に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機薄膜太陽電池素子(以下、「太陽電池素子」ともいう)等が挙げられる。
上記有機薄膜素子が有機EL素子である場合、有機光デバイスの薄型化が可能であり、かつ、有機EL素子内への水分の浸入を充分に防止することができ、発光の耐久性を向上させることができる。
上記有機EL素子は、例えば、基板の上に、ホール注入電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び電子注入電極をそれぞれ順に真空蒸着することにより形成することができる。
上記有機薄膜素子が有機EL素子である場合、有機光デバイスは、下面側(基板において素子が形成されない側)から光を取り出すボトムエミッション構造であってもよいし、上面側(基板において素子が形成される側)から光を取り出すトップエミッション構造であってもよい。
上記有機薄膜素子が太陽電池素子である場合、有機光デバイスの薄型化が可能であり、かつ、太陽電池素子内への水分の浸入を充分に防止することができ、変換効率を高く維持することができる。
上記有機薄膜素子は、基板上に配置され、本発明の樹脂保護膜で保護される前に、上記有機薄膜素子を含む領域を覆うように予め無機材料膜で被覆されていることが好ましい。
上記無機材料膜を構成する無機材料としては、例えば、窒化珪素(SiN)や酸化珪素(SiO)等が挙げられる。
上記無機材料膜は、1層からなるものであってもよく、複数種の層を積層したものであってもよい。
上記無機材料膜によって上記有機薄膜素子を被覆する方法は特に限定されず、上記無機材料膜が窒化珪素や酸化珪素からなる場合には、スパッタリング法や電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマCVD法等が挙げられる。
上記スパッタリング法は、例えば、キャリアガスとしてアルゴンガスや窒素ガス等の単独又は混合ガスを用い、室温、電力50〜1000W、圧力0.001〜0.1Torrの条件で行うことが好ましい。
上記ECRプラズマCVDは、例えば、SiHとOとの混合ガス(酸化珪素の場合)又はSiHとNとの混合ガス(窒化珪素の場合)を用い、温度30℃〜100℃、圧力10mTorr〜1Torr、周波数2.45GHZ、電力10〜1000Wの条件で行うことが好ましい。
上記有機薄膜素子を被覆する無機材料膜が複数種の層を積層したものである場合には、応力緩和のために、真空蒸着法等の方法により層間に有機物層を挿入してもよい。
上記有機物層を形成する材料としては、例えば、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等の高分子や、これら高分子のオリゴマー、モノマー等が挙げられる。
上記有機薄膜素子を被覆する無機材料膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は100μmである。上記有機薄膜素子を被覆する無機材料膜の厚さが0.05μm未満であると、欠陥が生じて水分の浸入を充分に防止できないことがある。上記有機薄膜素子を被覆する無機材料膜の厚さが100μmを超えると、内部応力が強くなってクラックが発生しやすくなり、製膜に要する時間も長くなる。上記有機薄膜素子を被覆する無機材料膜の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は10μmである。
上記基板は特に限定されず、例えば、単純マトリックス型(パッシブ型)の光デバイスでは透明ガラス基板を用いることができ、アクティブ・マトリックス型の光デバイスでは、透明ガラス基板上に複数のTFT(薄膜トランジスタ)及び平坦化層を備えたTFT基板を用いることができる。
本発明の有機光デバイスは、上記有機薄膜素子上に蒸着された本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる本発明の樹脂保護膜により上記有機薄膜素子を保護してなる。
上記有機薄膜素子上に本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物を蒸着する方法としては、フラッシュ蒸着法を用いることが好ましい。
本発明の有機光デバイスに形成される樹脂保護膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は10μmである。上記樹脂保護膜の厚さが0.1μm未満であると、無機材料膜の内部応力による有機薄膜素子や電極への圧迫を防止する効果が充分に発揮されないことがある。上記樹脂保護膜の厚さが10μmを超えると、蒸着膜の内部応力が発生して、有機光デバイスを破壊したり、本発明の有機光デバイスを薄型化することが困難となったりする。上記樹脂保護膜の厚さのより好ましい下限は0.3μm、より好ましい上限は2μmである。
本発明の有機光デバイスは、有機薄膜素子を大気中の水分や酸素から保護する効果を高くするため、上記樹脂保護膜上に更に無機材料膜を積層することが好ましい。上記樹脂保護膜上に積層される無機材料膜を構成する無機材料や形成方法としては、上述した有機薄膜素子を被覆する無機材料膜と同様である。
上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は100μmである。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さが0.05μm未満であると、欠陥が生じて水分の浸入を充分に防止できなくなることがある。記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さが100μmを超えると、内部応力が強くなってクラックが発生しやすくなり、製膜に要する時間も長くなる。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は10μmである。
本発明によれば、基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる蒸着用硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させてなる樹脂保護膜、及び、該蒸着用硬化性樹脂組成物を蒸着し光硬化させてなる樹脂保護膜で保護された有機光デバイスを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)有機EL素子が配置された基板の作製
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を1000Åの厚さで成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(日本レーザー電子社製、「NL−UV253」)にて直前処理を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−ヒドロキシキノリラ)アルミニウム(Alq3)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPDの入った坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alq3の入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの発光層を形成した。その後、透明支持基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mg、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し基板を取り出して、10mm×10mmの有機EL素子が配置された基板を得た。
(2)無機材料膜Aによる被覆
得られた有機EL素子が配置された基板の、該有機EL素子の全体を覆うように、13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Aを形成した。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガスと及び窒素ガスとを用い、各々の流量を10sccm及び200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Aの厚さは、約1μmであった。
(3)樹脂保護膜の形成
表1に示した組成に従って、各材料を、セパラブルフラスコを用い、60℃に加熱して均一に撹拌混合して蒸着用硬化性樹脂組成物を調製した。
真空装置内に無機材料膜Aで被覆された有機EL素子を設置し、真空装置の中に設置された加熱ボートに蒸着用硬化性樹脂組成物1gを入れ、10Paに減圧して、有機EL素子を含む11mm×11mmの四角形の部分に、得られた蒸着用硬化性樹脂組成物を200℃にて加熱し、膜厚が1μmになるように真空蒸着を行った。
得られた蒸着膜に、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cmとなるように照射して蒸着用硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂保護膜を形成した。
実施例1で用いた式(6)で表される化合物を以下に示す。
なお、表1において、水素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてはエピコートYL6753(三菱化学社製、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度190mPa・s)を、ジ{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテルとしてはアロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度10mPa・s)を、式(6)で表される化合物としてはDTS−103(みどり化学社製)を、チオキサントン系光増感剤としてはDETX−S(日本化薬社製)を用いた。
Figure 2013170223
(4)無機材料膜Bによる被覆
樹脂保護膜が形成された有機EL素子基板の11mm×11mmの樹脂層の全体を覆うように、12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Bを形成して有機光デバイス(有機EL素子デバイス)を得た。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガスと及び窒素ガスとを用い、各々の流量をSiHガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
(実施例2〜9)
「(3)樹脂保護膜の形成」において、表1に示した組成に従って調製した蒸着用硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により有機光デバイスを製造した。
表1における式(7)〜(12)で表される化合物を以下に示す。
なお、表1において、式(7)で表される化合物はDTS−200(みどり化学社製)を、式(8)で表される化合物はT−2041(東京化成社製)を、式(9)で表される化合物はWPI−113(和光純薬工業社製)を、式(10)で表される化合物はWPI−116(和光純薬工業社製)を、式(11)で表される化合物はWPI−170(和光純薬工業社製)を、式(12)で表される化合物はPI2074(ローディア社製)を用いた。
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
式(9)中、nは、平均して12である。
Figure 2013170223
式(10)中、nは、平均して12である。
Figure 2013170223
Figure 2013170223
(比較例1〜8)
「(3)樹脂保護膜の形成」において、表1に示した組成に従って調製した蒸着用硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により有機光デバイスを製造した。
表2における式(13)〜(20)で表される化合物を以下に示す。
なお、表2において、式(15)で表される化合物はイルガキュアPAG290(BASF社製)を、式(16)で表される化合物はTPS−102(みどり化学社製)を、式(17)で表される化合物はTPS−103(みどり化学社製)を用いた。
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
Figure 2013170223
(評価)
実施例及び比較例で得られた蒸着用硬化性樹脂組成物及び有機光デバイスについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1、2に示した。
(1)樹脂保護膜の硬化性
蒸着膜表面の触診試験を行い、表面が乾燥して硬化していた場合を「○」、粘着性があったり、液状であった場合を「×」として評価した。
(2)樹脂保護膜の全光線透過率
実施例及び比較例で得られた蒸着用硬化性樹脂組成物をそれぞれ75mm×25mm×1mmのガラス板2枚の間に10μmの厚みに形成し、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cmとなるように照射することにより硬化させて樹脂保護膜を得た。得られた樹脂保護膜について、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U−2900)を用いて全光線透過率を測定した。
(3)有機光デバイスの外観
実施例及び比較例で得られた有機光デバイスをそれぞれ目視にて観察し、剥離やクラックが全く認められなかった場合を「○」、一部でも剥離やクラックが認められた場合を「×」として評価した。
(4)有機光デバイスの発光状態
実施例及び比較例で得られた有機光デバイスをそれぞれ25℃、50%RHの条件下に24時間暴露した後、6Vの電圧を印加し、有機光デバイスの発光状態(発光及びダークスポット、画素周辺消光の有無)を目視で観察し、ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、僅かでもダークスポットや周辺消光が認められた場合を「×」として評価した。
Figure 2013170223
Figure 2013170223
本発明によれば、基材上に低温で効率良く蒸着させることができ、無機材料膜との接着性に優れる蒸着膜を形成することができる蒸着用硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させてなる樹脂保護膜、及び、該蒸着用硬化性樹脂組成物を蒸着し光硬化させてなる樹脂保護膜で保護された有機光デバイスを提供することができる。

Claims (7)

  1. 大気圧下又は減圧雰囲気下において、加熱によって揮発させて基板上に蒸着膜を形成する蒸着用硬化性樹脂組成物であって、
    カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含有し、
    前記光カチオン重合開始剤は、分子量が300以上のカチオン部と分子量が140以上のアニオン部とからなるオニウム塩である
    ことを特徴とする蒸着用硬化性樹脂組成物。
  2. カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、オキセタニル化合物、及び、ビニルエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の蒸着用硬化性樹脂組成物。
  3. 蒸着用硬化性樹脂組成物は、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度が200mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の蒸着用硬化性樹脂組成物。
  4. 硬化遅延剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の蒸着用硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られることを特徴とする樹脂保護膜。
  6. 有機薄膜素子上に蒸着された請求項1、2、3又は4記載の蒸着用硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる請求項5記載の樹脂保護膜により前記有機薄膜素子を保護してなることを特徴とする有機光デバイス。
  7. 樹脂保護膜上に更に無機材料膜を積層してなることを特徴とする請求項6記載の有機光デバイス。
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