JPWO2014112521A1 - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

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Abstract

転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、その分析値に基づいて脱珪処理の終了時点を決定することによって、次工程の脱燐処理を、溶銑の温度低下を抑制しつつ、低コストで行うことを可能とする。【選択図】図1

Description

本発明は、1つの転炉型精錬炉を用いて、途中の排滓工程を挟んで溶銑の脱珪処理と脱燐処理を連続して行う溶銑の予備処理方法に関するものである。
温室効果ガスの排出量削減が強く求められる近年、鉄鋼業においては、転炉や溶銑鍋などの処理容器で脱燐処理や脱炭精錬等を行う際に、炉内の溶銑に鉄スクラップなどの冷鉄源を配合して、鉄鋼製造に要するエネルギーを削減することが行われている。これは、冷鉄源は、高炉に装入する鉄鉱石のような酸化鉄と異なり、還元する必要がないため、高炉から出銑される銑鉄を精錬して溶鋼を製造するよりも、少ないエネルギー消費量、少ない温室効果ガス排出量で溶鋼を製造できるからである。
また近年、コスト面および品質面で有利であることから、転炉での脱炭精錬の前に溶銑に対して予備処理を施し、予め溶銑中の燐を除去する精錬方法(「予備脱燐処理」ともいう)が実施されている。一般に、脱燐処理は、酸化剤(酸素ガスなどの酸素源)および脱燐精錬剤(CaO系媒溶剤)を溶銑に添加し、溶銑中の燐を酸化剤で酸化して燐酸化物とし、これを滓化した脱燐精錬剤に吸収させることによって行うが、この脱燐反応は、熱力学的には、精錬温度が低いほど有利である。つまり、溶鋼段階よりも温度が低い溶銑段階の方が、脱燐反応は進行しやすく、少ない酸化剤および脱燐精錬剤で脱燐処理を行うことができる。したがって、上記予備脱燐処理を行うことで、処理工程は増加するものの、製鋼精錬工程全体におけるスラグ発生量を削減することができる。
ところで、高炉から出銑される溶銑には、0.3〜0.6mass%程度の珪素が含まれており、珪素を含有する溶銑を脱燐処理すると、最初に珪素が酸化除去され、溶銑中の珪素濃度がある程度まで低下した後、溶銑中の燐が酸化除去される。上記珪素の酸化によって、SiOを主成分とするスラグが生成するが、このスラグは脱燐反応を阻害する。これは、脱燐反応のためには、塩基度([CaO(mass%)]/[SiO(mass%)])が1.2以上のスラグが必要であるのに対して、珪素の酸化によって生成するSiOは、スラグの塩基度を下げる作用があるからである。
高炉−転炉の組み合わせからなる鉄鋼精錬工程では、鉄スクラップなどの冷鉄源の溶解用熱源は、溶銑の有する顕熱と、溶銑中の炭素および珪素の燃焼熱が主体であり、基本的には、多量の冷鉄源を溶解することはできない。しかも、上記のように、溶銑に対する予備処理として脱珪処理および脱燐処理を施す場合には、処理工程の追加に伴う溶銑温度の低下に加えて、燃焼熱源となる溶銑中の炭素および珪素が、上記脱珪処理および脱燐処理で酸化されて減少するため、転炉での冷鉄源の溶解にはより不利になっている。
そこで、溶銑予備処理を行う場合でも、より多くの冷鉄源を溶解することを目的として、例えば、特許文献1には、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑の脱珪、脱燐処理を行う際に、先ず、脱珪処理終了時のスラグの塩基度が0.3〜1.3の範囲に入るようにCaO系媒溶剤の供給量を調節して脱珪処理を行った後、精錬炉を傾動させて炉内に生成したスラグを炉口から排出し、次いで、新たにCaO系媒溶剤を添加して脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法が提案されている。また、特許文献2には、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑の脱珪、脱燐処理を行う際に、脱燐処理終了し、溶銑を出湯した後、スラグを排滓せず炉内に残留させたままで次チャージの溶銑を精錬炉に装入し、酸素を供給して脱珪処理を行い、脱珪処理後、一旦吹錬を中断してスラグを排出する中間排滓工程を設け、その後、引続き脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法が提案されている。
上記特許文献1の技術では、脱珪処理および脱燐処理を1つの転炉型精錬炉で行うことで、溶銑の移し変えによる温度降下を防止することができ、また、特許文献2の技術では、この効果に加えて、脱燐処理で発生したスラグ(以降、「脱燐スラグ」ともいう)を脱珪処理で再使用するので、脱珪処理工程での造滓剤の添加による温度降下を低減することが可能となる。
すなわち、特許文献1や特許文献2の技術の採用により、溶銑の予備処理工程における熱ロスを低減できるので、冷鉄源の配合比率を、従来に比べて増大するとともに、温室効果ガスの排出量の削減や製造コストの低減を図ることができる。
特開平10−152714号公報 特開平11−323420号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
特許文献1や特許文献2に開示の技術のように、脱珪処理、中間排滓、脱燐処理を1つの転炉型精錬炉で連続して行う場合に、スラグの塩基度を脱燐に必要な所定の値以上とし、かつ、脱燐処理で使用するCaO系媒溶剤を低減するためには、脱珪処理で生成した、SiOを大量に含有するスラグ(以降、「脱珪スラグ」ともいう)を転炉型精錬炉から所定量以上排出することが必須となる。
この観点から、上記従来技術を見ると、特許文献1の技術は、脱珪処理終了時のスラグの塩基度を0.3〜1.3に制御すれば、スラグは十分に流動性を示し、脱珪スラグの排滓が十分に行われるとしている。しかし、脱珪スラグの塩基度を0.3〜1.3に制御するだけでは、スラグのフォーミングが不十分で、流動性も悪く、溶銑を流出させることなく短時間でスラグを排出することが困難となったり、逆に、フォーミングが過剰となって、脱珪処理中に炉口からスラグが溢れ出て、操業を阻害したりすることがあるため、十分な排滓の制御は難しい。
また、特許文献2の技術は、脱珪スラグの塩基度を1.0〜3.0とし、溶銑中の珪素濃度が0.20mass%以下になった以降に、中間排滓を行うことが最適であることを提案している。しかし、その理由は、脱珪処理終了時の溶銑中の珪素濃度が0.20mass%よりも高い場合には、次工程の脱燐処理時のスラグの塩基度を2.0に調整するために必要なCaO含有物質が多くなり過ぎ、コスト的に不利になるからとしており、脱珪スラグの排滓性については何ら考慮していない。
つまり、上記の特許文献1および特許文献2の開示の技術では、脱珪スラグを十分に排滓することができず、次工程の脱燐処理でのCaO系媒溶剤の使用量を増加せざるを得なかったり、あるいは、脱燐処理後の溶銑中の燐濃度が高くなるおそれがあったりするという問題点を抱えている。
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、1の転炉型精錬炉を用いて、途中の排滓工程を挟んで溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを連続して行う溶銑の予備処理方法において、脱珪処理で生成した脱珪スラグの排滓性を改善することによって、次工程の脱燐処理を、溶銑の温度低下を抑制しつつ、低コストで行うことを可能とする溶銑の予備処理方法を提案することにある。
上記課題を解決するために開発した本発明の第1の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、その分析値に基づいて脱珪処理の終了時点を決定することを特徴とする溶銑の予備処理方法である。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中の炭素の排出速度を前記吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度の分析値および前記吸引ガスの流量に基づいて算出し、前記算出した排ガス中の炭素の排出速度が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて前記脱珪処理の終了時点を決定することを特徴とする。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて決定することを特徴とする。
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値と前記吸引ガスの流量との積から算出した、前記吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量およびCOガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて決定することを特徴とする。
本発明の第5の態様は、本発明の第2〜4のいずれか1つの態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンにおいて、再び増大した値が、極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、本発明の第2〜5のいずれか1つの態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンにおける極大値と極小値の差が、極大値の10%以上であることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、本発明の第1の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値が所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする。
本発明の第8の態様は、本発明の第7の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記排ガス処理設備は、吸引した前記転炉型精錬炉の排ガスを燃料ガスとして回収する機能を有するものであり、前記排ガス処理設備で転炉型精錬炉の排ガスとともに大気を吸引して前記排ガス中のCOガスの少なくとも一部を燃焼させさせるとともに、前記脱珪処理の終了時点を、前記燃焼後の吸引ガス中のCOガス濃度が2.0vol%以上、18.0vol%以下の所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする。
本発明の第9の態様は、本発明の第1の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値と前記吸引ガスの流量との積から算出した、前記吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量およびCOガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量が、所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする。
本発明の第10の態様は、本発明の第1の態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度の分析値および前記吸引ガスの流量に基づいて、前記脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中の炭素の排出速度を算出し、該排出速度が所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする。
本発明の第11の態様は、本発明の第1〜10のいずれか1つの態様に係る溶銑の予備処理方法において、前チャージの脱燐処理で生成したスラグを30mass%以上炉内に残留させた状態で、次チャージの溶銑を転炉型精錬炉に装入し、脱珪処理することを特徴とする。
本発明の第12の態様は、本発明の第1〜11のいずれか1つの態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理終了時に、前記転炉型精錬炉に存在するスラグの塩基度([CaO(mass%)]/[SiO(mass%)])を0.80〜1.50の範囲に制御することを特徴とする。
本発明によれば、1つの転炉型精錬炉を用いて、中間排滓を挟んで溶銑の脱珪処理および脱燐処理を連続して行う際に、脱珪処理の終了時点を、転炉型精錬炉の排ガス処理設備に吸引される吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の分析値に基いて決定するので、脱珪処理終了判定のばらつきが大幅に低減され、中間排滓を常に脱珪スラグが十分にフォーミングして流動性が高い状態で行うことができ、脱珪スラグを、溶銑を流出させることなく短時間でかつ十分に排滓することが可能となり、ひいては、脱珪処理後の脱燐処理におけるコスト低減および処理後の溶銑中の燐濃度のばらつきを低減することが可能となる。
脱珪処理における排ガス中の炭素の排出速度の変化の例を示すグラフである。 排ガス中の炭素の排出速度の変化を説明する図である。 本発明の溶銑の予備処理方法に用いる転炉型精錬炉の略断面図である。 脱珪処理終了時の吸引ガス中のCOガス濃度と脱珪スラグの排滓性との関係を示す図である。 本発明の予備処理方法を工程順に説明する模式図である。 本発明の方法における中間排滓時間と溶銑中Si濃度の関係を、従来法と比較して示すグラフである。
先ず、本発明の基本的な技術思想について説明する。
発明者らは、1つの転炉型精錬炉を用いて、脱珪処理後の脱珪スラグの排出(以降、「中間排滓」ともいう)を挟んで、溶銑に脱珪処理および脱燐処理を連続して行う場合において、上記脱珪スラグの排滓性を改善することを目的とし、脱珪スラグの排滓性に及ぼす各種要因について鋭意検討を重ねた。
その結果、中間排滓における脱珪スラグの排滓性は、脱珪スラグ自体の流動性の他に、脱珪スラグのフォーミング状況も大きく影響しており、脱珪スラグの排滓性を良好とするためには、排滓時に、脱珪スラグが十分に滓化されて良好な流動性を示す状態であるとともに、スラグが十分にフォーミングして嵩比重が小さくなっていることが重要であることが明らかとなった。
脱珪処理で生成する脱珪スラグは、溶銑中の珪素の燃焼によって生成されるSiOと、炉内に添加あるいは残留させた造滓材が滓化することによって形成される。溶銑温度が低く、溶銑中の珪素濃度が高い脱珪処理の初期には、脱珪反応が優先的に進行し、炉内のSiO量が次第に増大するが、排滓時の流動性を確保するためには、生石灰や製鋼スラグなどのCaOを含有する造滓材を添加あるいは前装入して、スラグの組成を適正範囲に調整しておくことが重要である。
一方、COガスの生成速度は、脱珪処理の初期には低位であるが、脱珪反応が進行して溶銑中の珪素濃度が0.20mass%未満に低下し、溶銑温度が上昇するのに伴い、脱炭反応が活発となり、次第に増大する。また、スラグ中の酸化鉄の濃度も、溶銑中の珪素濃度が高い脱珪処理の初期には10mass%未満と比較的低いが、脱珪反応が進行して、溶銑中の珪素濃度が低下し、スラグ量が増大するのに伴って次第に増大する。
そして、スラグ中の酸化鉄の濃度が増大して10mass%を超えると、スラグの低融点化あるいは液相比率の増大が顕著となり、これに炉内温度の上昇が相俟って、スラグの流動性が向上する。さらに、スラグ中の酸化鉄と溶銑浴あるいはスラグ中に巻き込まれた溶銑滴との反応によるCOガスの発生も活発となり、スラグ中に多量のCOガス気泡を内包するようになって、いわゆる「スラグフォーミング」の状態となる。一旦、スラグがフォーミングし始めると、上吹きランスからの送酸によるスラグ層への酸素供給量も増加し、鉄などの酸化を促進するため、ランス高さなどの送酸条件によっては、加速度的にフォーミング高さが増大して、いわゆる「スロッピング」に至ることもある。
脱珪スラグの排滓時に、このスラグフォーミング状態に制御・維持できれば、スラグの嵩比重を非常に小さなものとし、同じスラグ質量でも、約10倍程度の大きな体積とすることができるので、炉口からスラグを流出させる際に、溶銑を流出させることなく、迅速にスラグを排出することが可能となる。しかし、脱珪処理中のスラグフォーミングが過剰になると、炉口からスラグが溢れ出し、操業を阻害するおそれがあるので注意を要する。
しかしながら、従来技術においては、上記したスラグフォーミングを制御・維持する方法や、フォーミング状態を適正に評価して、脱珪処理から中間排滓へと移行するタイミングを適切に判断する技術が確立されていなかった。そのため、中間排滓における脱珪スラグの排滓率を安定して高めることが困難であった。
発明者らは、脱珪処理中におけるスラグのフォーミング状態を適正に評価し、脱珪処理を終了して中間排滓を開始するタイミングを決定する方法について、鋭意検討を重ねた。その結果、転炉型精錬炉を用いた脱珪処理中においては、排ガス中の炭素の排出速度が特定の変動パターンを示すとともに、その変動パターンの特定の範囲において、フォーミング状態が排滓に最適となっていること、そして、脱珪処理を終了して中間排滓を開始するタイミングは、転炉型精錬炉の付帯した排ガス処理設備に吸引される吸引ガス(以下、単に「吸引ガス」とも称する)中に含まれる炭素原子を含むガス種の濃度分析値に基づいて決定することができることを見出し、本発明を開発するに至った。
図1は、溶銑中の珪素濃度が0.35mass%の溶銑を、脱珪スラグがフォーミングし易い条件で、0.10mass%以下まで低減する脱珪処理を行ったときの、転炉型精錬炉に付帯した排ガス処理設備に吸引される吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度および吸引ガス流量(標準状態)に基づいて算出した、排ガス中に含まれる炭素の排出速度(単位時間当たりに排出される排ガス中に含まれる炭素量)の推移(経時変化)を、吸引ガス流量、送酸速度および吸引ガス中のCOガス濃度とCOガス濃度との和の推移とともに示したものである。
この図から、脱珪スラグがフォーミングする場合、排ガス中に含まれる炭素の排出速度は、脱珪処理開始後、脱珪反応の進行に伴い次第に上昇し(ステージI)、一旦、極大値を示した後、減少して極小値を示し(ステージII)、その後、再び増大する(ステージIII)という特異な変動パターンを示すことがわかる。なお、上記排ガス中の炭素の排出速度には、厳密には、排ガス処理設備に吸引された空気に含まれるCOも含まれるが、空気中のCOは微量であるので、これによる影響は無視することができる。
排ガス中の炭素の排出速度が、上記のような特異な変動パターンを示す理由について、発明者らは以下のように考えている。
まず、ステージIは、脱珪処理の進行よる溶銑温度の上昇および溶銑中の珪素濃度の低下に従ってCOガスの発生量は次第に上昇する段階であり、脱炭反応開始初期の脱珪スラグは、まだ生成量が少ない上に、温度が低く、フォーミングしていないため、図2(a)に示したように、COガスは容易に脱珪スラグ層を通過して炉外に排出することができる。しかし、脱珪反応が進行して、ステージIIになると、COガスの発生量が多くなるとともに、脱珪スラグの温度が上昇して粘性が小さくなるため、図2(b)に示したように、発生したCOガスは脱珪スラグ中に取り込まれ、スラグがフォーミングを起こすようになり、排ガス中の炭素の排出速度は、見掛け上、一次的に減少する。さらに脱珪反応が進行して、ステージIIIになると、脱珪スラグ中にCOガスをそれ以上取り込むことができなくなり、フォーミングが飽和状態に達するため、図2(c)に示したように、COガスが炉外に排出されるようになり、再び、排ガス中の炭素の排出速度が上昇し始める。
また、排ガス中の炭素の排出速度の変動パターンには、以下のような現象も関係していると考えられる。
脱珪処理のステージIにおいては、上吹きランスから供給する酸素は、主に脱珪反応および脱炭反応に費やされるが、ステージIIになると、生成スラグ量が増大してスラグ層の厚さが増大するとともに、スラグ中の酸化鉄濃度が上昇し、供給する酸素が鉄の酸化反応にも消費されるようになるため、脱炭に使われる酸素がその分だけ減少することになり、排ガス中の炭素の排出速度が低下する。特に、スラグがフォーミングし始めてスラグ層の厚さが大きくなると、上吹きランスからの送酸によるスラグ層への酸素供給量が加速度的に増加して、酸化鉄濃度が上昇する。次に、ステージIIIになると、スラグ中の酸化鉄と溶銑との反応によって、COガスが発生するとともに、スラグ中の酸化鉄がその分だけ減少し、スラグ中の酸化鉄は収支が平衡した状態になるため、COガスの発生速度は再び増大して、排ガス中の炭素の排出速度が上昇し始める。
以上の考察から、排ガス中の炭素の排出速度が極大値から極小値になり、極小値から再び増大して、脱珪スラグがフォーミング状態にある上記ステージIIIの段階で、脱珪処理を終了して中間排滓を開始すれば、脱珪スラグの排滓率を確実に高めることができることがわかった。また、この段階での溶銑中の珪素濃度は、引き続き行う脱燐処理において脱燐精錬剤の使用量を低減して効率的に脱燐することができる0.10mass%以下まで安定して低減していることを確認した。
さらに、発明者らは、上記ステージIIIの特定領域、具体的には、排ガス中の炭素の排出速度の極大値に対して90%以上150%以下の範囲内において脱珪処理を終了した場合には、脱珪スラグの排滓率をより向上することができることを見出した。
この理由は、上記に説明したように、脱炭反応の進行によって脱珪スラグの温度が上昇して粘性が低下し、流動性が向上することに加えて、フォーミングによって、脱珪スラグの比重が見掛け上小さくなるため、溶銑浴上のスラグ層の高さ(厚さ)が増大して炉口から流出し易くなることによるものと考えられる。排ガス中の炭素の排出速度が、上記極大値に対して90%未満で脱珪処理を終了した場合には、スラグのフォーミングが不十分で、脱珪スラグの排滓率も不十分となることがある。一方、上記極大値に対して150%超で脱珪処理を終了した場合には、脱珪処理を終了する前に炉口からスラグが溢れ出し、操業を阻害するおそれがあるからである。
本発明は、上記のような新規な知見に基いて開発したものであり、その特徴は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に存在するスラグの少なくとも一部を転炉型精錬炉から排出(中間排滓)し、その後、転炉型精錬炉内の溶銑にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理し、出湯する溶銑の予備処理方法において、上記脱珪処理中の転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、その分析値に基づいて脱珪処理の終了時点を決定することにある。
上記した本発明の溶銑の予備処理方法には、図3に示したような上底吹き可能な転炉型精錬炉1を用いる。上吹きは、転炉型精錬炉1の内部を昇降可能な上吹きランス2を介して、該上吹きランス2の先端から酸素源として酸素含有ガス9を溶銑5に向けて供給して行う。上記酸素含有ガス9としては、酸素ガス(工業用純酸素)、酸素富化空気、空気、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス等を使用することができる。
一方、底吹きは、転炉型精錬炉1の底部に設けられた底吹き羽口3を介して、溶銑中に底吹きガス10を吹き込むことにより行われる。上記底吹きガス10としては、酸素ガスを含むガスでも、Arガスや窒素ガスなどの不活性ガスのみでもよい。底吹きガス10は、溶銑中に吹き込むことによって溶銑5の攪拌を促進して冷鉄源の溶解を促進する機能を有するが、底吹き羽口3から造滓剤を溶銑中に吹き込む搬送用ガスとしての機能を持たせてもよい。
また、転炉型精錬炉1の上方には、昇降して転炉型精錬炉1の炉口を覆うスカート11およびこれに接続する煙道12が設置されている。転炉型精錬炉1から排出される排ガスは、煙道12を介して、図示のない排ガス処理設備で吸引され、散水して除塵した後、吸引速度を測定する。排ガス処理設備が吸引した吸引ガスを燃料ガスとして回収する機能を有する場合には、吸引ガスは、組成や流量に応じて、燃料ガスとして回収されるかまたは放散されるが、脱珪処理中はCOガスの発生速度が低いため燃料ガスとして回収されないのが一般的である。ここで、図示のない排ガス処理設備で吸引した吸引ガスには、転炉型精錬炉1から排出される排ガスの他に、スカート11内の大気圧との差圧と、転炉型精錬炉1とスカート11との間隔の大きさ(以降、「スカート高さ」とも称する)とに応じて吸引される空気(大気)も含まれる。
高温の排ガスとともにスカート内に吸引される空気中の酸素は、排ガス中のCOと、酸素とCOのいずれかが実質的に消費され尽くすまで反応してCOを生成する。煙道12には、分析用の排ガスを採取するガス採取プローブ13が設けられており、このガス採取プローブ13に接続して、ガス採取プローブ13で採取した吸引ガス中のCO,CO,O等のガス組成を分析するガス分析装置14が設けられている。つまり、ガス採取プローブ13で採取した吸引ガスのガス組成が、ガス分析装置14で連続的に、または、間欠的に測定されるように構成されている。なお、煙道12などの高温ガスが通過する部分には、蒸気ボイラーが設置される場合もある。
高温の排ガスを、排ガス処理設備で燃料ガスとして回収する場合には、排ガス処理設備の運転は、スカート高さをできるだけ小さくし、吸引される空気が極力少なくなるようにするのが普通である。しかし、脱珪処理時のCOガスの発生速度は小さい(発生量が少ない)ため、通常、燃料ガスとしての回収は行わないことから、スカート高さは任意に設定することができる。したがって、例えば、煙道12が蒸気ボイラーの機能を有する場合には、スカート11を上昇させて積極的に空気を吸引することによって、排ガス中のCOガスを燃焼させ、その燃焼熱(熱エネルギー)を高圧の蒸気として回収することが望ましい。一方、煙道12が蒸気ボイラーの機能を有さない場合には、空気の吸引を抑制するため、スカート11の位置を下げて排ガス処理設備を運転してもよく、これにより、煙道12などの熱負荷を軽減することができる。
排ガス処理設備で吸引した吸引ガスの成分組成は、排ガス処理設備の特徴やその運転条件によって全く異なったものとなる。即ち、スカート11の位置を下げて空気の吸引量を抑制した場合には、COおよびCOの濃度は比較的高いものとなるが、スカート11を上昇させて積極的に空気を吸引する場合には、転炉型精錬炉1からのCOガスの発生速度が、排ガス処理設備のガス吸引速度に対してある程度の比率以上(具体的には約30vol%以上)でないと、吸引ガスの分析ではCOのみが検出され、COは検出されない。これは、排ガス中のCOが吸引された空気中のOで燃焼されるためである。また吸引ガス中のCOおよびCOの濃度はNで希釈されるため比較的低いものとなる。因みに、図1は、ガス回収機能は有するが、煙道に蒸気ボイラーを有していない排ガス処理設備を用いて、脱珪処理開始後に排ガスの着火を確認してからスカート11を下げて空気の吸引を抑制した操業を行っている例を示したものである。
また、前述した図1に示した排ガス中の炭素の排出速度は、図3に示した転炉排ガス処理設備に至る煙道に配設されたガス採取プローブ13で測定した吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度および排ガス処理設備のガス吸引速度(標準状態での吸引ガス流量)に基いて算出したものである。CO,COのガス組成の測定には、赤外線吸収式の分析計を用いるのが一般的であるが、この測定法は、ガス流量の測定と比較して応答速度が遅く、十〜数十秒程度の遅れ時間が生じるため、各測定時間には補正を加えている。また、排ガス処理設備におけるガス吸引量は、排ガスの漏洩を防止するため、脱珪処理や脱炭処理で転炉型精錬炉から発生するガス量よりも多くしているため、炉口とスカートとの間から空気を吸い込み、発生したCOの少なくとも一部は酸化されてCOに変化する。
したがって、脱珪処理の終了時点を決定するためには、排ガス中の炭素の排出速度を、吸引ガス中のCO濃度およびCO濃度と排ガス処理設備の吸引速度(標準状態の流量)を測定することによって求める方法が有効である。しかし、発明者らの実験結果によれば、転炉排ガス処理設備の操業条件(スカート高さ、炉口圧等)が一定であれば、排ガス中の炭素の排出速度に代えて、吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度、および、COガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1つの濃度の、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンからも脱珪処理終了の時点を決定することが可能である。この際、吸引される空気量が比較的少なく、吸引ガス中にCOが残留するような操業条件では、COガスとCOガスの合計濃度の変動パターンに基づいて決定することができるが、吸引される空気量があまり変動せずCOガス濃度が安定している場合には、COガス濃度のみの変動パターンに基づいて決定することもできる。また、吸引される空気量が十分大きく、排ガス中のCOが完全に燃焼されるような操業条件では、COガス濃度のみの変動パターンに基づいて決定することもできる。
さらに、排ガス中の炭素の排出速度に代えて、吸引ガス中のCOガス濃度および/またはCOガス濃度の分析値と吸引ガスの流量との積から算出した、吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量、および、COガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量の、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンから、脱珪処理終了の時点を決定することも可能である。この際、吸引される空気量が比較的少なく、吸引ガス中にCOが残留するような操業条件では、COガスとCOガスの合計流量の変動パターンに基づいて決定することができるが、吸引される空気量があまり変動せずCOガス流量が安定している場合には、COガス流量のみの変動パターンに基づいて決定することもできる。また、吸引される空気量が十分大きく、排ガス中のCOが完全に燃焼されるような操業条件では、COガス流量のみの変動パターンに基づいて決定してもよい。
また、吸引ガス流量は、脱珪処理の前後に行われるスカート高さの調節により大幅に変化する(図1参照)が、前述したように、吸引ガス流量の測定とガス組成の分析では応答速度が異なるため、吸引ガス流量に大きな変動があると、排ガス中の炭素の排出速度の変化を測定する際、誤差を生ずる原因となる。従って、上記の極大値および極小値を判定するに当たっては、極大値および極小値が発生する前後の吸引ガス流量に大幅な変動を来たさないように操業を行うことが望ましい。スカート高さは、ガスの吸引圧を一定に保つように制御したり、スカート高さを一定に保つように制御したりするのが一般的であるが、これらの場合には、吸引ガス流量の変動は、極大値および極小値を判定に問題のないレベルとなる。
上記の様に、排ガス中の炭素の排出速度、あるいは、吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度、COガスとCOガスとの合計濃度、COガス流量、COガス流量、および、COガスとCOガスとの合計流量のうちのいずれか1つの測定値が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基づいて、脱珪処理の終了時点を決定することができるが、極大値と極小値との差が極大値の10%以上である場合に、上記の変動パターンにおける極大値及び極小値と判定することが望ましい。その理由は、上記の差が10%未満では、吸引ガス流量の変動などに起因する微小な変動を、上記のスラグのフォーミング現象に関連する変動パターンと誤認するおそれがあるので、微小な変動は無視して確実に誤検知を防止するためである。なお、上記測定値の極大値と極小値との差が極大値の10%未満の場合には、上記の変動パターンにおける極大値及び極小値とは認識しないで無視し、極大値と極小値との差が極大値の10%となる変動パターンが現れるまで測定値の変動を継続して監視することが望ましい。
また、脱珪処理の終了時点は、上記の極小値となった後に再び増大した変動値が、上記の極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることが望ましい。極大値に対して上記の範囲の所定の比率の値を閾値とする理由は、上記の変動パターンにおいて極小値となった後に再び増大する領域は、脱珪スラグのフォーミングが進行して、炉内のスラグ高さが急激に増大する領域であるが、極大値に対して90%未満の領域は、スラグフォーミングが不十分なため脱珪スラグの排滓率が不十分となるおそれがあり、一方、150%を超える領域は、脱珪処理を終了する前に炉口からスラグが溢れ出して操業を阻害するおそれがあるからである。また、脱珪処理の終了時点は、上記の変動値が閾値以上となった時点そのものとすることが可能であればそれでもよいが、この時点から、必要な操作等の作業や装置の作動に要する数十秒程度を経過した後としても実際的には支障はない。上記の経過時間は、0〜50秒の範囲内とすることが望ましく、0〜30秒の範囲内とすることがより望ましい。上記時間の範囲内であれば、過剰にフォーミングが進行して操業が阻害されることなく、脱珪処理を終了して中間排滓を十分に行うことが可能である。
なお、上記のようにして決定される脱珪処理の終了時点は、上記のいずれかの測定値が極大値に対して所定の比率の値以上となった時点としてもよいし、この時点から所定の処理時間を経過した時点としてもよい。しかし、後者の場合には、上記のいずれかの測定値が極大値に対して150%を超えない時点で脱珪処理を終了するように設定することが望ましい。
さらに、脱珪処理の終了時点を決定する方法は、上記のような変動パターンに基づいて決定する方法の他に、排ガス中の炭素の排出速度、あるいは、吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度、COガスとCOガスとの合計濃度、COガス流量、COガス流量、および、COガスとCOガスとの合計流量のうちのいずれか1の測定値が、所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とする方法も有効である。ここで、上記の測定値が閾値以上となった時点から脱珪処理の終了時点までの経過時間は、上記と同様に、0〜50秒の範囲内とするのが望ましく、0〜30秒の範囲内とするのがより望ましい。
ただし、これらの方法の場合、脱珪処理の中盤において、例えば、図1に示した炭素排出速度の変動パターンに見られるような極大値の部分で、上記の測定値が閾値以上となったと認識しないようにすることが必要である。そのためには、脱珪処理前の溶銑中のSi濃度と目標とする脱珪処理後の溶銑中のSi濃度から計算される化学量論的に必要な酸素量の1.2倍、望ましくは1.5倍の酸素を供給し終えた時点以降において、上記の測定値が所定の閾値以上となった時点とすることが望ましい。また、上記の閾値は、経験的に求めた数値でもよいし、例えば、溶銑温度や溶銑中のSi濃度などの変数を用いて計算した値でもよいが、中間排滓時の排滓状況や、その後の脱燐処理の実績を考慮して定めることが好ましい。
ここで、排ガス処理設備が、転炉型精錬炉の排ガスを燃料ガスとして回収する機能と、蒸気ボイラーを備えた煙道とを有し、かつ、排ガス処理設備を、脱珪処理中に積極的に大気を吸引して排ガス中のCOガスの少なくとも一部を燃焼させるように運転する場合において、上記に説明した閾値に基いて脱珪処理の終了時点を決定したときの、具体的には、脱珪処理の終了時点を、吸引ガス中のCOガス濃度に基いて決定したときの、脱珪スラグの排滓性を調査した例について以下に説明する。
この例では、脱珪スラグの排滓性は、脱珪処理前の溶銑中の珪素濃度および生成される脱珪スラグの質量をおおよそ一定とし、排滓時の転炉型精錬炉の傾動角度を一定とする条件で、転炉型精錬炉から排出した脱珪スラグの量に基いて評価した。具体的には、転炉型精錬炉の直下で受滓する受滓容器に排出された脱珪スラグの質量が、炉内に存在した脱珪スラグの質量の50%以上である場合を「排滓優良」、上記値が30%以上50%未満である場合を「排滓良」、上記値が30%未満の場合を「排滓不良」と評価した。
図4に、上記の調査結果を示した。この図から、脱珪処理終了時の吸引ガス中のCOガス濃度が高くなるほど、脱珪スラグの排滓性が向上すること、また、脱珪処理終了時の吸引ガス中のCOガス濃度が6.0vol%以上のときには、「排滓不良」が発生しないことがわかる。すなわち、脱珪処理中の吸引ガス中のCOガス濃度に基づいて脱珪処理の終了を決定することができること、および、その場合には、吸引ガス中のCOガス濃度が6.0vol%以上の値を脱珪処理の終了時点を決定する閾値とすることが好ましいことがわかる。
なお、転炉型精錬炉などの精錬炉では、炉内の溶銑や溶鋼に対してバッチ式で精錬を施しており、この1つの単位の精錬を「チャージ」と称しており、図4中のチャージ数は、その回数を示している。また、脱珪処理では、排ガスの発生量が少ないことから、転炉型精錬炉の炉口とスカートとの間から吸い込まれる空気によって、吸引ガス中のCOガス濃度は変化するが、上記した吸引ガス中の「COガス濃度が6.0vol%以上」の閾値は、操業条件(送酸量、スカート高さ、炉口圧など)をある一定とした操業条件下で得られたものである。したがって、その条件下であれば、閾値として十分に使用可能である。
さらに、上記の閾値として適正な値は、排ガス処理設備の吸引能力などの設備条件や、酸素供給速度などの操業条件によっても異なる。排ガス処理設備が、転炉型精錬炉の排ガスを燃料ガスとして回収する機能を有し、かつ、脱珪処理中に積極的に空気を吸引して排ガス中のCOを燃焼させる場合には、脱珪処理の終了時点を決定する閾値として、吸引ガス中のCOガス濃度が2.0vol%以上18.0vol%以下の範囲内で、中間排滓時の排滓率や排滓時間の実績から経験的に適正な値を選定して用いることが好ましい。COガス濃度の閾値が2.0vol%以上であれば、上記の排ガス中の炭素の排出速度の変動パターンに代えて、COガス濃度の測定値のみを用いても、スラグのフォーミングが十分に促進されていることを判定する際の誤認識を低減することができ、一方、COガス濃度の閾値が18.0vol%以下であれば、スラグの過剰なフォーミングによる操業阻害を防止しつつ、効率的に排滓を行うためのフォーミング状態を精度よく判定することができる。
以上のように、脱珪処理中のスラグのフォーミング状況および脱珪処理を終了して中間排滓を開始するのに適したタイミングは、吸引ガスから得られる情報のみから判定することができるが、事前に得られる操業条件から計算される脱珪吹錬での必要酸素量、排ガス温度、炉口からのスラグ噴出状況、出鋼口からのスラグ流出状況、ランスあるいはサブランスの振動の変化、酸素吹錬中の音響の変化などの情報、あるいは、既知の方法によるスラグレベルの推定技術等を組み合わせることで、上記判定条件をより精度の高いものとしてもよい。
次に、本発明の溶銑の予備処理方法について、図3に示した転炉型精錬炉を用いる場合を例にとって具体的に説明する。
まず、本発明の溶銑の予備処理方法では、図5(a)に示すように、鉄スクラップなどの冷鉄源8が装入された転炉型精錬炉1に、脱珪処理および脱燐処理の施されていない、すなわち、予備処理前の溶銑5を、装入鍋15を介して装入する(溶銑装入工程)。
次いで、この転炉型精錬炉1内の溶銑5に、図5(b)に示すように、酸素源として酸素含有ガスあるいは酸素含有ガスおよび酸化鉄を供給して脱珪処理を施す(脱珪処理工程)。この際、溶銑5に含まれる珪素と、供給する酸素とが反応して脱珪反応(Si+O→SiO)が進行する。この脱珪反応による珪素の燃焼熱で溶銑温度が上昇し、溶銑中の冷鉄源8の溶解が促進される。
その後、上記脱珪処理の進行に伴って、溶銑中の珪素濃度は徐々に低下し、COガスが発生するようになるが、さらに脱珪処理が進行して、脱珪スラグの生成量が増加し、溶銑温度が上昇すると、スラグの組成および物性も変化し、発生したCOガスによって、スラグがフォーミングを起こすようになる。
ここで、上記脱珪処理によって生成する脱珪スラグ6は、脱珪処理中に、後述する脱燐スラグ7に由来して含まれる燐酸化物(P)が分解して生成した燐が溶銑5に移行(この現象を「復燐」という)するのを防止するため、脱珪処理終了後の塩基度([CaO(mass%)]/[SiO(mass%)])を0.80以上とするのが好ましい。なお、脱珪スラグ6の塩基度の上限値については、脱珪反応上からは、規定する必要はない。しかし、塩基度が高いことは、生成したSiOに対するCaOの割合が高いことを意味し、脱珪スラグ6の量が増大するので、上限は1.50程度とするのが好ましい。より好ましくは1.30未満、さらに好ましくは1.20未満である。
なお、脱珪スラグ6の塩基度の上記範囲内への調整は、脱珪処理前および脱珪処理中に、炉内にCaO系媒溶剤などの媒溶剤を添加することで行うことができる。ただし、脱珪処理の初期にCaO系媒溶剤を添加する場合には、脱珪スラグ6の塩基度が最も低くなるのは、生成したSiO量が最も多くなる脱珪処理終了時点であるので、脱珪処理終了時の塩基度を0.80以上とすれば、それ以前の脱珪処理中の塩基度は必然的に0.80以上となる。また、炉内に残留させた前チャージの脱燐スラグ7に含有されるCaOのみで脱珪処理終了時の塩基度が0.80以上となる場合には、CaO系媒溶剤などの媒溶剤の添加は基本的に必要としない。
なお、上記CaO系媒溶剤の添加方法は、粒状および塊状のものを炉上のホッパーから投入したり、粉状のものを吹きランス2を介して投入したりする方法でもよく、特に制限はない。
因みに、脱珪スラグ6の塩基度は、下記(1)式;
塩基度=[(炉内残留CaO量(kg/溶銑−t))+(脱珪処理での添加CaO量(kg/溶銑−t))]/[(炉内残留SiO量(kg/溶銑−t))+(脱珪処理で生成したSiO量(kg/溶銑−t))] ・・・(1)
に基づいて計算することができる。なお、上記式中の脱珪処理で生成したSiO量は、脱珪処理前後の溶銑中の珪素濃度の変化から算出する。
また、脱珪処理のための酸素源としては、上吹きランス2から供給する酸素ガス9のみでもよいし、また、上記酸素ガス9に加えて酸化鉄(図示せず)を併用してもよい。ただし、本発明の目的の1つである冷鉄源8を多く溶解させる観点からは、昇温および分解時に吸熱する酸化鉄を用いることは好ましくない。従って、酸素源として酸化鉄を用いることはできる限り避けることが好ましい。
また、本発明の1つの実施態様では、脱珪処理の終了時点を、脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中に含まれる炭素の排出速度を測定したときに得られる、極大値となり、極小値となった後に再び増大するという変動パターンに基いて決定するので、上記の炭素の排出速度が極大値および極小値となる期間では、酸素源の供給速度をできるだけ一定に保つ操業を行うことが望ましい。なお、通常の操業においては、脱珪処理を短時間で完了するため、送酸速度を増大したり、酸化鉄を投入したりする操作は、脱珪処理の初期に行うので、その後、酸素供給速度を一定とすることで、炭素の排出速度の極大値および極小値を安定して測定することができる。
上記のようにして溶銑に脱珪処理を施して、その終了を決定した後は、直ちに上吹きランス2を上昇して脱珪処理を終了するが、実際の脱珪処理の終了時点は、上記の決定時点から、必要な操作等の作業や装置の作動に要する数十秒程度を経過した後となるのが一般的である。その後、直ちに、図5(c)に示すように、転炉型精錬炉1を出湯口4が設けられた側とは反対側に傾動させて、脱珪処理で発生したSiOを大量に含む低塩基度の脱珪スラグ6を転炉型精錬炉1の炉口から排出する(中間排滓工程)。なお、図5(c)においては、脱珪処理後の溶銑は、脱珪処理前の溶銑5と区別するため5aと表示している。
上記中間排滓工程における脱珪スラグ6の排滓率は、後述する脱燐処理工程において、少ないCaO系媒溶剤の使用量で効率的に脱燐反応を進めるため、30mass%以上とするのが好ましい。さらに、溶銑予備処理から次工程の脱炭精錬工程間で使用するCaO系媒溶剤の総量を、中間排滓工程を実施しない従来方法よりも少なくするためには、50mass%上の排滓率を安定して確保することがより好ましい。
しかし、脱珪スラグ6を80mass%超え排滓してしまうと、次工程の脱燐処理工程において新たに添加するCaO系媒溶剤の滓化が損なわれ、脱燐反応が阻害されるおそれがある。従って、本発明においては、脱珪スラグ6の排滓率を50〜80mass%の範囲に制御することが好ましい。
なお、上記排滓率は、下記(2)式で定義される。
排滓率(mass%)=(排出スラグ質量)×100/[(脱珪処理工程で生成したスラグ質量)+(前チャージの残留スラグ質量)] ・・・(2)
上記中間排滓した後は、図5(d)に示すように、転炉型精錬炉内に残留させた脱珪処理後の溶銑5aに、CaO系媒溶剤や酸素源を供給して脱燐処理する(脱燐処理工程)。ここで、上記脱燐処理工程において、炉内に生成させる脱燐スラグ7の塩基度は1.2〜3.0の範囲に調整するのが好ましい。塩基度が1.2以上であれば、スラグの脱燐能は適切な範囲となり、少ないスラグ量で溶銑中の燐濃度を低減することが可能となる。一方、3.0以下であれば、CaO系媒溶剤の滓化が損なわれることなくスラグの流動性が適切な範囲となって脱燐反応が進行するからである。
ここで、上記の脱燐処理工程で使用する酸素源は、脱珪処理と同様に、上吹きランス2からの酸素ガス9を主体とするが、一部に酸化鉄を使用しても構わない。ただし、本発明は、冷鉄源8の使用拡大を目的の1つとするものであるので、昇温や分解時に吸熱する酸化鉄の使用はできるだけ少量とするのが好ましい。そのためには、送酸条件やランス高さなどを適正に制御して脱燐スラグ7のT.Fe濃度を調整し、酸化鉄の使用に拠らずにCaO系媒溶剤の滓化を促進するのが好ましい。
また、脱燐処理で使用するCaO系媒溶剤としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))などを使用することができる。ただし、これらに限定されるものではなく、例えば、CaOを40mass%以上含有し、必要に応じてフッ素やアルミナなどの他の成分を含有するものも、CaO系媒溶剤として使用することができる。なお、上記CaO系媒溶剤の添加方法は、脱珪処理でCaO系媒溶剤を添加するときと同様、粒状および塊状のものを炉上のホッパーから投入したり、粉状のものを吹きランス2を介するなどして投入したりする方法でよく、特に制限はない。
この脱燐処理工程においては、溶銑中の燐が供給される酸素源中の酸素によって酸化されて燐酸化物(P)となり、CaO系媒溶剤の滓化によって形成された脱燐精錬剤として機能する脱燐スラグ7に取り込まれて、安定形態の化合物(3CaO・P)となることにより、溶銑5aの脱燐が進行する。なお、脱燐処理の終了は、脱燐処理時間が所定の時間経過したとき、あるいは、脱燐反応が進行して溶銑5aの燐濃度が所定値以下に低下したときとすればよい。
脱燐処理終了後は、図5(e)に示すように、転炉型精錬炉1を中間排滓とは反対方向に傾動させて、転炉型精錬炉1内の溶銑5bを出湯口4を介して、図示のない溶銑保持容器に出湯する(出湯工程)。なお、図5(e)において、脱燐処理後の溶銑は、脱珪処理後の溶銑5aと区別するため、5bと表示している。溶銑5bの出銑が終了したら、図5(f)に示したように、炉口が上方を向くように転炉型精錬炉1を反転させて出湯を終了する。
なお、上記出湯工程では、出湯口4から流出する溶銑5bに混じって脱燐スラグ7が流出することがあるが、この脱燐スラグ7の流出は不可避なものであるが、少量であり、意図的に排出する後述の脱燐スラグの排出とは明確に区別される。したがって、出湯終了後の転炉型精錬炉1内には、出湯されなかった少量の溶銑5b(図示せず)と、ほぼ全量の脱燐スラグ7が残留する。
なお、この脱燐スラグ7は、燐酸濃度が高いので、そのまま、次のチャージの脱珪スラグとして用いると、復燐を起こして、溶銑中の燐濃度が上昇してしまうおそれがある。そのため、従来は、上記出湯工程完了後、脱燐スラグを全量排滓していた。しかし、脱燐スラグの全量を排滓してしまうと、次のチャージの脱珪処理に必要な脱珪スラグを生成させるための造滓材の使用量が増大し、副原料コストの上昇を招く。そこで、本発明においては、脱珪処理における精錬条件を調整して脱燐スラグからの復燐を防止した上で、中間排滓後に脱燐処理した後、溶銑を出湯し、その後、転炉型精錬炉内に残留した脱燐スラグのうちの30mass%以上を炉内に残留させ、次チャージの脱珪スラグの原料の一部として用いるのが好ましい。残留させる脱燐スラグは、より好ましくは50mass%以上である。
なお、上記のように脱燐スラグを残留させる排滓方法としては、通常行われているスラグの排滓方法と同様、出湯後の炉体を出湯口と反対側に傾動させて炉口から排出する際、傾動角度を調節してスラグが部分的に炉内に留まるように排出する方法で構わない。なお、脱燐スラグの流動性を排滓に適したものとするには、脱燐処理後のスラグの塩基度が1.2〜1.8の範囲で、かつ、酸化鉄の濃度が10mass%以上となるように調整するのが好ましい。
次いで、脱燐スラグ7を転炉型精錬炉1の炉内に全量残留させた場合には、上記出湯工程後、一部の脱燐スラグ7を転炉型精錬炉1から排滓した場合には、図5(f)に示すように、転炉型精錬炉1を直立させた状態とした後、炉上のホッパーから転炉型精錬炉1内に小サイズの冷鉄源8を装入する、あるいは、転炉型精錬炉1を前後に数回傾動させ、炉内に残留する脱燐スラグ7を固化させる(脱燐スラグ固化工程)ことによって、炉内に残留する溶銑5bを凝固させてもよい。この脱燐スラグ固化工程は、炉内に残留した脱燐スラグ7および溶銑5bが、底吹き羽口3の内部に流入することによって底吹き羽口3が閉塞するのを防止するための工程であり、少なくとも脱燐スラグ7および溶銑5bが固化・凝固するまで、底吹き羽口3から底吹きガス10を噴出させることが好ましい。ただし、底吹きガスを供給し続ける場合には、この工程は省略してもよい。
この脱燐スラグ固化工程後、再び、図3(a)に示す溶銑装入工程に戻り、次チャージの脱珪処理および脱燐処理を上記工程に沿って実施する。
上記に説明した本発明によれば、1つの転炉型精錬炉を用いて、中間排滓を挟んで脱珪処理と脱燐処理を連続的に行うことができるので、精錬容器の移し替えによる損失熱を冷鉄源の溶解のための熱源として活用することが可能となる。また、本発明によれば、脱珪処理の終了時点を、転炉型精錬炉の排ガス処理設備に吸引される吸引ガス(排ガス)中の炭素原子を含むガス種の濃度に基づいて決定するので、中間排滓を、脱珪スラグの嵩比重が小さく、流動性が高い状態において常に行うことができるので、脱珪スラグの排滓率を安定して向上することが可能となる。
なお、本発明の上記説明では、1つの転炉型精錬炉を用いて、脱珪処理後の脱珪スラグの排出(以降、「中間排滓」ともいう)を挟んで、溶銑に脱珪処理および脱燐処理を連続して行う場合について説明しているが、その場合には、溶銑5の精錬に、2基以上の転炉型精錬炉を使用し、そのうちの少なくとも1基の転炉型精錬炉1を本発明に係る溶銑予備処理に使用し、残りの少なくとも1基の転炉型精錬炉1´で、本発明に係る上記の溶銑予備処理を施した溶銑の脱炭精錬に使用するのが好ましい。
図3に示した容量300トン規模の転炉型精錬炉を用いて、上記炉内に収容した300トンの溶銑に対して上吹きランスから精錬用の酸素ガスを吹き付けるとともに、炉底に設けた底吹き羽口から撹拌用の窒素ガスを溶銑中に吹き込み、溶銑に脱珪処理と脱燐処理を施す溶銑予備処理を実施した。上記溶銑予備処理は、具体的には、図3に示した転炉型精錬炉に、鉄スクラップを装入した後、溶銑を装入し、さらに必要に応じてCaO系媒溶剤として生石灰を添加し、上吹きランスから酸素ガスを供給して脱珪処理し、脱珪スラグの一部を排滓した後、上吹きランスから酸素ガスを供給し、CaO系媒溶剤として生石灰を添加して脱燐処理した後、溶銑を出湯し、その後、脱燐スラグを全量排滓する一連の工程からなるものである。
なお、上記の溶銑予備処理を施す溶銑には、温度が1250〜1320℃で、珪素濃度が0.20〜0.55mass%、燐濃度が約0.12mass%のものを用いた。また、上記の脱珪処理後の溶銑中の目標珪素濃度は0.03mass%とし、脱珪処理終了後の脱珪スラグの目標塩基度は0.6〜0.9の範囲に設定した。また、上記脱珪処理終了時の目標溶銑温度の目標溶銑温度は1300〜1340℃とし、その制御は、スクラップ装入量を80kg/tで一定とし、装入する溶銑温度に応じて、冷却材となる冷鉄源および/または鉄鉱石あるいは熱源となる炭材および/またはフェロシリコンを脱珪処理の初期に添加し、これらの添加量と送酸量を調整することにより行った。
また、引続き行う脱燐処理では、炉内に残留する脱珪スラグ量とその組成の推定値に基いて、脱燐スラグの塩基度が1.6〜2.0の範囲となるように生石灰の使用量を調整した。
上記溶銑予備処理においては、脱珪処理の終了時点を以下の2つの方法で決定した。
・方法1:予備処理前の溶銑中の珪素濃度とその濃度に応じた脱珪酸素効率(経験値)とから計算される、溶銑中の珪素濃度が0.03mass%となるのに必要な酸素量を供給し終えた時点とする従来の方法(比較例)
・方法2:図1に示したように、排ガス中の炭素の排出速度の変動パターンにおいて、極大値、極小値を示した後、再び上昇した炭素の排出速度が、上記極大値以上となった時点を基準として脱珪処理の終了を決定し、上記時点から約20秒経過後に炭素の排出速度が上記極大値に対して100%以上150%以下の範囲において脱珪処理を終了する方法(発明例)
なお、いずれの方法も、上吹きランスからの送酸速度は30000Nm/hrで一定とし、窒素ガスを吹き込み速度1200Nm/hrで底吹きした。
また、上記方法1および方法2の2つの方法で脱珪処理の終了時点を決定する溶銑予備処理を、それぞれの方法で各数十チャージずつ実施し、各方法の中間排滓における脱珪スラグの排滓率を比較した。
この際、上記脱珪処理終了後の脱珪スラグの排滓(中間排滓)は、脱珪処理終了後、直ちに上吹きランスを上昇してから炉体を傾動して開始し、炉下の移動台車上に設置したスラグ用鍋に受滓するのに支障がなく、かつ、溶銑が流出しない範囲内で、転炉型精錬炉の傾動角度を可能な限り大きくして行い、中間排滓の終了は、秤量値で十分な排滓量が確認できたとき、溶銑を流出させることなくスラグのみを流出させることが困難となったとき、および、排滓時間が操業上許容できる最長時間となったときのうちのいずれかの時点とした。また、上記中間排滓における脱珪スラグの排滓率は、上記スラグ用鍋に受滓した脱珪スラグの質量を、炉下の移動台車に設置した秤量装置で測定し、下記(2)式から求めた。
排滓率(mass%)=(排出スラグ質量)×100/[(脱珪処理工程で生成したスラグ質量)+(前チャージの残留スラグ質量)] ・・・(2)
上記の結果を表1に示した。これから、溶銑中のSi濃度で脱珪処理の終了を決定する従来の方法(比較例)では、脱珪処理後の脱珪スラグの排滓率は20〜70mass%の範囲でばらつき、平均排滓率は37mass%であるのに対して、排ガス中の炭素の排出速度から脱珪処理の終了を決定する本発明例では、脱珪処理後の脱珪スラグの排滓率は50〜80mass%の範囲、平均排滓率は67mass%であり、排滓率50mass%以上を安定して達成できていることがわかる。また、このように中間排滓の排滓率が向上したことによって、脱燐処理で添加する造滓材の使用量も大幅に削減できていることがわかる。
また、図6は、中間排滓に要した時間と予備処理前の溶銑中のSi濃度との関係を示したものであるが、本発明例では、中間排滓に要する作業時間を10分以下と、大幅に短縮できていることがわかる。この排滓時間の短縮によって、溶銑予備処理の処理ピッチを、次工程の脱炭処理の処理ピッチとほぼ同等レベルまで短縮することができるので、溶銑予備処理をほほ溶銑全量に対して実施できるようになった。
Figure 2014112521
脱燐処理後の脱燐スラグを、排滓することなく全量を炉内に残留させたまま、次チャージの溶銑を装入すること、および、脱珪処理におけるスラグの塩基度を、脱燐スラグからの復燐を防止するため0.9〜1.2の範囲に制御すること以外は、実施例1の方法2によって脱珪処理の終了時点を決定する発明例と同様の条件で溶銑予備処理を施す実験を10チャージ連続して実施した。
その結果、脱珪処理におけるCaO系媒溶剤(生石灰)の使用量を、実施例1の本発明例の場合の6.0kg/溶銑t(表1参照)から、2.0kg/溶銑tに、大幅に低減することができた。また、前チャージの脱燐スラグを炉内に残留させたことによる、脱燐処理での生石灰使用量や処理後の溶銑中の燐濃度への悪影響はほとんど無かったので、上記の脱珪処理における生石灰使用量削減メリットをそのまま享受することができた。
脱珪処理の終了時点を、実施例1の方法1と同じ方法で決定することと、脱燐処理における生石灰使用量を7.0kg/tとすること以外は、実施例2と同じの条件で溶銑予備処理を施した比較例と、この比較例における脱珪処理の終了時点の決定方法を後述する方法3に変更した発明例とで、比較実験を行った。
具体的には、図5に示したように、前チャージの溶銑予備処理で生成した脱燐スラグ7を排滓せずに全量を残留させた転炉型精錬炉1に鉄スクラップ8を装入し、次いで、上記転炉型精錬炉1に溶銑5を装入し、さらに必要に応じて生石灰を添加し、上吹きランス2から酸素ガス9を供給して脱珪処理を行った後、脱珪スラグ6の一部を排滓し、その後、生石灰を添加し、引き続き上吹きランス2から酸素ガス9を供給して脱燐処理を行う溶銑予備処理を繰り返した。なお、この転炉型精錬炉1の排ガス処理設備は、吸引ガスを燃料ガスとして回収する機能を有するものであり、吹錬時にスカート11を上昇させた状態で90000〜100000Nm/hr程度の吸引能力を有している。また煙道12には蒸気ボイラー(排熱ボイラー)を備えており、脱珪処理中は、吸引ガスの回収は行わないため、スカート11を上昇して大気を吸引し、排ガス中のCOガスを積極的に燃焼させて高圧の蒸気としてエネルギーの回収を行った。
この際、上記脱珪処理の終了時点の決定方法として、実施例1の方法1と同じ方法(比較例)と、下記の方法3(発明例)の2つの方法を用いて、比較した。
・方法3;脱珪処理前の溶銑中のSi濃度と目標とする脱珪処理後の溶銑中のSi濃度とから計算される化学量論的に必要な酸素量の1.2倍の酸素を供給し終えた時点以降において、排ガス中のCOガス濃度が6.0vol%以上となった時点を基準として脱珪処理の終了を決定し、上記時点から約20秒経過後にCOガス濃度が6.0vol%以上18.0vol%以下の範囲内で脱珪処理を終了する方法(発明例)
上記方法1および方法3の2つの方法でそれぞれ100チャージずつ溶銑予備処理を実施し、脱珪処理終了後の中間排滓における脱珪スラグの平均排滓率および溶銑予備処理後の溶銑中の燐濃度を調査し、その結果を表2に示した。
この結果から、脱珪処理終了時点を従来と同様の方法で決定する方法1における脱珪スラグの平均排滓率は47mass%であったのに対し、本発明に適合する方法で脱珪処理終了時点を決定する方法3における脱珪スラグの平均排滓率は62mass%と大幅に向上していること、また、それに伴い、溶銑予備処理後の溶銑中の燐濃度が大幅に低減されているとともに、そのばらつき(標準偏差)も大幅に小さくできていることがわかる。
Figure 2014112521
1:転炉型精錬炉
2:上吹きランス
3:底吹き羽口
4:出湯口
5:溶銑
5a:脱珪処理後の溶銑
5b:脱燐処理後の溶銑
6:脱珪スラグ
7:脱燐スラグ
8:冷鉄源
9:酸素ガス
10:底吹きガス
11:スカート
12:煙道
13:ガス採取プローブ
14:ガス分析装置
15:装入鍋

上記課題を解決するために開発した本発明の第1の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、前記脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中の炭素の排出速度を前記吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度の分析値および前記吸引ガスの流量に基づいて算出し、前記算出した排ガス中の炭素の排出速度が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて前記脱珪処理の終了時点を決定することを特徴とする溶銑の予備処理方法である。
本発明の第の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて決定することを特徴とする溶銑の予備処理方法である
本発明の第の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値と前記吸引ガスの流量との積から算出した、前記吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量およびCOガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて決定することを特徴とする溶銑の予備処理方法である
本発明の第の態様は、本発明の第1〜3のいずれか1つの態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理の終了時点を、前記極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンにおいて、再び増大した値が、極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする。
本発明の第の態様は、本発明の第1〜4のいずれか1つの態様に係る溶銑の予備処理方法において、前記極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンにおける極大値と極小値の差が、極大値の10%以上であることを特徴とする。
高温の排ガスとともにスカート内に吸引される空気中の酸素は、排ガス中のCOと、酸素とCOのいずれかが実質的に消費され尽くすまで反応してCOを生成する。煙道12には、分析用の吸引ガスを採取するガス採取プローブ13が設けられており、このガス採取プローブ13に接続して、ガス採取プローブ13で採取した吸引ガス中のCO,CO,O等のガス組成を分析するガス分析装置14が設けられている。つまり、ガス採取プローブ13で採取した吸引ガスのガス組成が、ガス分析装置14で連続的に、または、間欠的に測定されるように構成されている。なお、煙道12などの高温ガスが通過する部分には、蒸気ボイラーが設置される場合もある。
なお、脱珪スラグ6の塩基度の上記範囲内への調整は、脱珪処理前および脱珪処理中に、炉内にCaO系媒溶剤などの媒溶剤を添加することで行うことができる。ただし、脱珪処理の初期にCaO系媒溶剤を添加する場合には、脱珪スラグ6の塩基度が最も低くなるのは、生成したSiO量が最も多くなる脱珪処理終了時点であるので、脱珪処理終了時の塩基度を0.80以上とすれば、それ以前の脱珪処理中の塩基度は必然的に0.80以上となる。また、炉内に残留させた前チャージの脱燐スラグ7に含有されるCaOのみで脱珪処理終了時の塩基度が0.80以上となる場合には、CaO系媒溶剤などの媒溶剤の添加は基本的に必要としない。
なお、上記CaO系媒溶剤の添加方法は、粒状および塊状のものを炉上のホッパーから投入したり、粉状のものを吹きランス2を介して投入したりする方法でもよく、特に制限はない。
上記中間排滓工程における脱珪スラグ6の排滓率は、後述する脱燐処理工程において、少ないCaO系媒溶剤の使用量で効率的に脱燐反応を進めるため、30mass%以上とするのが好ましい。さらに、溶銑予備処理から次工程の脱炭精錬工程間で使用するCaO系媒溶剤の総量を、中間排滓工程を実施しない従来方法よりも少なくするためには、50mass%上の排滓率を安定して確保することがより好ましい。
しかし、脱珪スラグ6を80mass%超え排滓してしまうと、次工程の脱燐処理工程において新たに添加するCaO系媒溶剤の滓化が損なわれ、脱燐反応が阻害されるおそれがある。従って、本発明においては、脱珪スラグ6の排滓率を50〜80mass%の範囲に制御することが好ましい。
なお、上記排滓率は、下記(2)式で定義される。
排滓率(mass%)=(排出スラグ質量)×100/[(脱珪処理工程で生成したスラグ質量)+(前チャージの残留スラグ質量)] ・・・(2)
また、脱燐処理で使用するCaO系媒溶剤としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))などを使用することができる。ただし、これらに限定されるものではなく、例えば、CaOを40mass%以上含有し、必要に応じてフッ素やアルミナなどの他の成分を含有するものも、CaO系媒溶剤として使用することができる。なお、上記CaO系媒溶剤の添加方法は、脱珪処理でCaO系媒溶剤を添加するときと同様、粒状および塊状のものを炉上のホッパーから投入したり、粉状のものを吹きランス2を介するなどして投入したりする方法でよく、特に制限はない。
この脱燐スラグ固化工程後、再び、図(a)に示す溶銑装入工程に戻り、次チャージの脱珪処理および脱燐処理を上記工程に沿って実施する。
なお、本発明の上記説明では、1つの転炉型精錬炉を用いて、脱珪処理後の脱珪スラグの排出(以降、「中間排滓」ともいう)を挟んで、溶銑に脱珪処理および脱燐処理を連続して行う場合について説明しているが、その場合には、溶銑5の精錬に、2基以上の転炉型精錬炉を使用し、そのうちの少なくとも1基の転炉型精錬炉1を本発明に係る溶銑予備処理に使用し、残りの少なくとも1基の転炉型精錬炉で、本発明に係る上記の溶銑予備処理を施した溶銑の脱炭精錬に使用するのが好ましい。
図3に示した容量300トン規模の転炉型精錬炉を用いて、上記炉内に収容した300トンの溶銑に対して上吹きランスから精錬用の酸素ガスを吹き付けるとともに、炉底に設けた底吹き羽口から撹拌用の窒素ガスを溶銑中に吹き込み、溶銑に脱珪処理と脱燐処理を施す溶銑予備処理を実施した。上記溶銑予備処理は、具体的には、図3に示した転炉型精錬炉に、鉄スクラップを装入した後、溶銑を装入し、さらに必要に応じてCaO系媒溶剤として生石灰を添加し、上吹きランスから酸素ガスを供給して脱珪処理し、脱珪スラグの一部を排滓した後、上吹きランスから酸素ガスを供給し、CaO系媒溶剤として生石灰を添加して脱燐処理した後、溶銑を出湯し、その後、脱燐スラグを全量排滓する一連の工程からなるものである。
なお、上記の溶銑予備処理を施す溶銑には、温度が1250〜1320℃で、珪素濃度が0.20〜0.55mass%、燐濃度が約0.12mass%のものを用いた。また、上記の脱珪処理後の溶銑中の目標珪素濃度は0.03mass%とし、脱珪処理終了後の脱珪スラグの目標塩基度は0.6〜0.9の範囲に設定した。また、上記脱珪処理終了時の目標溶銑温度は1300〜1340℃とし、その制御は、スクラップ装入量を80kg/tで一定とし、装入する溶銑温度に応じて、冷却材となる冷鉄源および/または鉄鉱石あるいは熱源となる炭材および/またはフェロシリコンを脱珪処理の初期に添加し、これらの添加量と送酸量を調整することにより行った。
また、引続き行う脱燐処理では、炉内に残留する脱珪スラグ量とその組成の推定値に基いて、脱燐スラグの塩基度が1.6〜2.0の範囲となるように生石灰の使用量を調整した。
この際、上記脱珪処理の終了時点の決定方法として、実施例1の方法1と同じ方法(比較例)と、下記の方法3(発明例)の2つの方法を用いて、比較した。
・方法3;脱珪処理前の溶銑中のSi濃度と目標とする脱珪処理後の溶銑中のSi濃度とから計算される化学量論的に必要な酸素量の1.2倍の酸素を供給し終えた時点以降において、吸引ガス中のCOガス濃度が6.0vol%以上となった時点を基準として脱珪処理の終了を決定し、上記時点から約20秒経過後にCOガス濃度が6.0vol%以上18.0vol%以下の範囲内で脱珪処理を終了する方法(発明例)
上記課題を解決するために開発した本発明の第1の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、前記脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中の炭素の排出速度を前記吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度の分析値および前記吸引ガスの流量に基づいて算出し、前記算出した排ガス中の炭素の排出速度が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基づいて前記脱珪処理の終了時点を決定する際、前記脱珪処理の終了時点を、前記変動パターンにおいて、再び増大した値が、極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする溶銑の予備処理方法である。
本発明の第2の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基づいて決定する際、前記脱珪処理の終了時点を、前記変動パターンにおいて、再び増大した値が、極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする溶銑の予備処理方法である。
本発明の第3の態様は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値と前記吸引ガスの流量との積から算出した、前記吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量およびCOガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基づいて決定する際、前記脱珪処理の終了時点を、前記変動パターンにおいて、再び増大した値が、極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする溶銑の予備処理方法である。
本発明によれば、1つの転炉型精錬炉を用いて、中間排滓を挟んで溶銑の脱珪処理および脱燐処理を連続して行う際に、脱珪処理の終了時点を、転炉型精錬炉の排ガス処理設備に吸引される吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の分析値に基づいて決定するので、脱珪処理終了判定のばらつきが大幅に低減され、中間排滓を常に脱珪スラグが十分にフォーミングして流動性が高い状態で行うことができ、脱珪スラグを、溶銑を流出させることなく短時間でかつ十分に排滓することが可能となり、ひいては、脱珪処理後の脱燐処理におけるコスト低減および処理後の溶銑中の燐濃度のばらつきを低減することが可能となる。
本発明は、上記のような新規な知見に基づいて開発したものであり、その特徴は、転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に存在するスラグの少なくとも一部を転炉型精錬炉から排出(中間排滓)し、その後、転炉型精錬炉内の溶銑にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理し、出湯する溶銑の予備処理方法において、上記脱珪処理中の転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、その分析値に基づいて脱珪処理の終了時点を決定することにある。
また、前述した図1に示した排ガス中の炭素の排出速度は、図3に示した転炉排ガス処理設備に至る煙道に配設されたガス採取プローブ13で測定した吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度および排ガス処理設備のガス吸引速度(標準状態での吸引ガス流量)に基づいて算出したものである。CO,COのガス組成の測定には、赤外線吸収式の分析計を用いるのが一般的であるが、この測定法は、ガス流量の測定と比較して応答速度が遅く、十〜数十秒程度の遅れ時間が生じるため、各測定時間には補正を加えている。また、排ガス処理設備におけるガス吸引量は、排ガスの漏洩を防止するため、脱珪処理や脱炭処理で転炉型精錬炉から発生するガス量よりも多くしているため、炉口とスカートとの間から空気を吸い込み、発生したCOの少なくとも一部は酸化されてCOに変化する。
ここで、排ガス処理設備が、転炉型精錬炉の排ガスを燃料ガスとして回収する機能と、蒸気ボイラーを備えた煙道とを有し、かつ、排ガス処理設備を、脱珪処理中に積極的に大気を吸引して排ガス中のCOガスの少なくとも一部を燃焼させるように運転する場合において、上記に説明した閾値に基づいて脱珪処理の終了時点を決定したときの、具体的には、脱珪処理の終了時点を、吸引ガス中のCOガス濃度に基づいて決定したときの、脱珪スラグの排滓性を調査した例について以下に説明する。
この例では、脱珪スラグの排滓性は、脱珪処理前の溶銑中の珪素濃度および生成される脱珪スラグの質量をおおよそ一定とし、排滓時の転炉型精錬炉の傾動角度を一定とする条件で、転炉型精錬炉から排出した脱珪スラグの量に基づいて評価した。具体的には、転炉型精錬炉の直下で受滓する受滓容器に排出された脱珪スラグの質量が、炉内に存在した脱珪スラグの質量の50%以上である場合を「排滓優良」、上記値が30%以上50%未満である場合を「排滓良」、上記値が30%未満の場合を「排滓不良」と評価した。
また、本発明の1つの実施態様では、脱珪処理の終了時点を、脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中に含まれる炭素の排出速度を測定したときに得られる、極大値となり、極小値となった後に再び増大するという変動パターンに基づいて決定するので、上記の炭素の排出速度が極大値および極小値となる期間では、酸素源の供給速度をできるだけ一定に保つ操業を行うことが望ましい。なお、通常の操業においては、脱珪処理を短時間で完了するため、送酸速度を増大したり、酸化鉄を投入したりする操作は、脱珪処理の初期に行うので、その後、酸素供給速度を一定とすることで、炭素の排出速度の極大値および極小値を安定して測定することができる。
図3に示した容量300トン規模の転炉型精錬炉を用いて、上記炉内に収容した300トンの溶銑に対して上吹きランスから精錬用の酸素ガスを吹き付けるとともに、炉底に設けた底吹き羽口から撹拌用の窒素ガスを溶銑中に吹き込み、溶銑に脱珪処理と脱燐処理を施す溶銑予備処理を実施した。上記溶銑予備処理は、具体的には、図3に示した転炉型精錬炉に、鉄スクラップを装入した後、溶銑を装入し、さらに必要に応じてCaO系媒溶剤として生石灰を添加し、上吹きランスから酸素ガスを供給して脱珪処理し、脱珪スラグの一部を排滓した後、上吹きランスから酸素ガスを供給し、CaO系媒溶剤として生石灰を添加して脱燐処理した後、溶銑を出湯し、その後、脱燐スラグを全量排滓する一連の工程からなるものである。
なお、上記の溶銑予備処理を施す溶銑には、温度が1250〜1320℃で、珪素濃度が0.20〜0.55mass%、燐濃度が約0.12mass%のものを用いた。また、上記の脱珪処理後の溶銑中の目標珪素濃度は0.03mass%とし、脱珪処理終了後の脱珪スラグの目標塩基度は0.6〜0.9の範囲に設定した。また、上記脱珪処理終了時の目標溶銑温度は1300〜1340℃とし、その制御は、スクラップ装入量を80kg/tで一定とし、装入する溶銑温度に応じて、冷却材となる冷鉄源および/または鉄鉱石あるいは熱源となる炭材および/またはフェロシリコンを脱珪処理の初期に添加し、これらの添加量と送酸量を調整することにより行った。
また、引続き行う脱燐処理では、炉内に残留する脱珪スラグ量とその組成の推定値に基づいて、脱燐スラグの塩基度が1.6〜2.0の範囲となるように生石灰の使用量を調整した。

Claims (12)

  1. 転炉型精錬炉内の溶銑に酸素源を供給して脱珪処理した後、炉内に溶銑を残留させたまま炉内に存在するスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、その後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤および酸素源を供給して脱燐処理した溶銑を転炉型精錬炉から出湯することで、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑に対して脱珪処理および脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法において、
    前記脱珪処理中、転炉型精錬炉の排ガス処理設備で吸引した吸引ガス中の少なくとも1種以上の炭素原子を含むガス種の濃度を分析し、その分析値に基づいて脱珪処理の終了時点を決定することを特徴とする溶銑の予備処理方法。
  2. 前記脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中の炭素の排出速度を前記吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度の分析値および前記吸引ガスの流量に基づいて算出し、前記算出した排ガス中の炭素の排出速度が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて前記脱珪処理の終了時点を決定することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  3. 前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて決定することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  4. 前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値と前記吸引ガスの流量との積から算出した、前記吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量およびCOガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量が、極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンに基いて決定することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  5. 前記脱珪処理の終了時点を、前記極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンにおいて、再び増大した値が、極大値に対して90%以上150%以下の所定の比率の値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。
  6. 前記極大値となり、極小値となった後に再び増大する変動パターンにおける極大値と極小値の差が、極大値の10%以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。
  7. 前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値が所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  8. 前記排ガス処理設備は、吸引した前記転炉型精錬炉の排ガスを燃料ガスとして回収する機能を有するものであり、前記排ガス処理設備で転炉型精錬炉の排ガスとともに大気を吸引して前記排ガス中のCOガスの少なくとも一部を燃焼させさせるとともに、
    前記脱珪処理の終了時点を、前記燃焼後の吸引ガス中のCOガス濃度が2.0vol%以上、18.0vol%以下の所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする請求項7に記載の溶銑の予備処理方法。
  9. 前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中のCOガス濃度、COガス濃度およびCOガスとCOガスの合計濃度のうちのいずれか1の濃度の分析値と前記吸引ガスの流量との積から算出した、前記吸引ガス中のCOガス流量、COガス流量およびCOガスとCOガスの合計流量のうちのいずれか1つの流量が、所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  10. 前記脱珪処理の終了時点を、前記吸引ガス中の炭素原子を含むガス種の濃度の分析値および前記吸引ガスの流量に基づいて、前記脱珪処理中の転炉型精錬炉から排出される排ガス中の炭素の排出速度を算出し、該排出速度が所定の閾値以上となった時点を基準として所定の経過時間範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  11. 前チャージの脱燐処理で生成したスラグを30mass%以上炉内に残留させた状態で、次チャージの溶銑を転炉型精錬炉に装入し、脱珪処理することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。
  12. 前記脱珪処理終了時に、前記転炉型精錬炉に存在するスラグの塩基度([CaO(mass%)]/[SiO(mass%)])を0.80〜1.50の範囲に制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。

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