JPWO2014104184A1 - ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機 - Google Patents

ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機 Download PDF

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Abstract

このダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機(A)は、環状のロータ(10)と、前記ロータの外側に配置されたアウターステータ(20)と、前記ロータの内側に配置されたインナーステータ(30)と、を有しており、前記ロータには、軸方向に貫通するボルト締結用穴(14)が設けられており、前記ボルト締結用穴は、前記アウターステータと前記インナーステータとの磁気特性に応じた位置に設けられている、という構成を採用する。

Description

本発明は、ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機に関する。
本願は、2012年12月28日に日本に出願された特願2012−288108号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
スイッチトリラクタンス回転機は、ロータに永久磁石や巻線がなく、ロータとステータとの間に生じる磁気吸引力によって動作する構成となっている。スイッチトリラクタンス回転機は、原理的に振動、騒音等の課題があるが、構造が簡単で堅牢、高速回転にも耐えることができ、また、ネオジム磁石等の高価な永久磁石が不要であるため安価であるという特徴を有しており、近年、低コストで信頼性に優れた回転機として、実用化に向けての研究開発が進められている。
この実用化の一環として、スイッチトリラクタンス回転機の性能向上を図るべく、ダブルステータ構造にすることが提案されている。
下記特許文献1には、アウターステータとインナーステータとの間で回転するリング状のロータを備えたダブルステータ型モータが開示されている。
このロータは、リング状の電磁鋼板を複数枚積層したロータコアと、該ロータコアをシャフトに連結支持するロータベースとを含み、複数枚の電磁鋼板を挟み拘束してロータベースに連結する挟着部材を備えている。この構成によれば、複数枚積層した電磁鋼板にボルト締結用穴を設ける必要がなく、その分だけロータの厚みを薄くすることができる。
日本国特開2010−98853号公報
ところで、ダブルステータを採用する構造では、内側に配置されているインナーステータの割合を大きくできる大口径の大型回転機(大型モータ、大型発電機)に適用する方が、性能向上(トルクアップ等)の効果が高くなる傾向にある。
ここで、上記大型回転機に上記従来技術を適用した場合には、公差の影響で、挟着部材が電磁鋼板を挟み込む部分や、挟着部材がロータベースと連結する部分でガタが生じやすくなりトルクの伝達性能が悪化するため、挟着部材等の部品加工精度が要求され、高コストになるという問題がある。
一方、複数枚積層した電磁鋼板にボルト締結用穴を設け、直接締め付けて固定することも考えられるが、スイッチトリラクタンス回転機のロータは、トルク発生に寄与する部分であるため、単にロータにボルト締結用穴を設けて面積を減らしてしまうと、性能向上の観点からは余り好ましくない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低コストで性能向上を図ることができるダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機の提供を目的とする。
本願発明者らは、上記課題を解決するため鋭意実験を重ねた結果、ロータにおけるボルト締結用穴の位置を、アウターステータとインナーステータとの磁気特性に応じて適切な位置に設定することで、その性能の低下を抑制できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様では、環状のロータと、前記ロータの外側に配置されたアウターステータと、前記ロータの内側に配置されたインナーステータと、を有しており、前記ロータには、軸方向に貫通するボルト締結用穴が設けられており、前記ボルト締結用穴は、前記アウターステータと前記インナーステータとの磁気特性に応じた位置に設けられている、ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機を採用する。
この構成を採用することによって、第1の態様では、アウターステータとインナーステータとの磁気特性に応じた適切な位置にボルト締結用穴を設けることで、磁気的に影響を与えないようにすることができ、また、ボルト締結用穴に軸方向にボルトを通してロータを直接締め付けてガタをなくすことができるため、機械的なトルク伝達性能の向上を図ることができる。
また、本発明の第2の態様では、上記第1の態様において、前記ロータは、環状のヨーク部と、前記ヨーク部から外側に突出する第1突極と、前記ヨーク部から内側に突出すると共に前記第1突極と同位相で設けられた第2突極と、を有しており、前記ボルト締結用穴は、前記ヨーク部に設けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第2の態様では、アウターステータに対向する第1突極及びインナーステータに対向する第2突極は共に磁束が集中する部分であるため、比較的磁路の妨げになり難いヨーク部にボルト締結用穴を設けることで、性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本発明の第3の態様では、上記第2の態様において、前記ボルト締結用穴は、前記第1突極と前記第2突極とを径方向で結ぶ領域に設けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第3の態様では、ヨーク部において同位相の第1突極と第2突極とを径方向で結ぶ領域は、第1突極と第2突極との両側から対向して磁束が流れ込むため、その間に磁気的な中立点が生じ得る。したがって、この領域にボルト締結用穴を設けることで、より確実に性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本発明の第4の態様では、上記第2または第3の態様において、前記ボルト締結用穴は、前記第1突極の中心と前記第2突極の中心とを径方向で結ぶ中心線上に設けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第4の態様では、第1突極と第2突極との両側からヨーク部に流れ込んだ磁束は、ヨーク部に沿って周方向両側に対称的に流れるため、第1突極の中心と第2突極の中心とを径方向で結ぶ中心線上に磁気的な中立点が生じ得る。したがって、この中心線上にボルト締結用穴を設けることで、より確実に性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本発明の第5の態様では、上記第2〜第4のいずれか一つの態様において、前記アウターステータの起磁力よりも前記インナーステータの起磁力が小さく設定されており、前記ボルト締結用穴は、前記インナーステータ側寄りに設けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第5の態様では、アウターステータの起磁力よりもインナーステータの起磁力が小さく設定されている場合、磁気的な中立点はインナーステータ側寄りに生じ得る。したがって、このインナーステータ側寄りにボルト締結用穴を設けることで、より確実に性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本発明の第6の態様では、上記第5の態様において、前記ボルト締結用穴は、径方向において、前記アウターステータと前記インナーステータの起磁力の比に応じた位置に設けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第6の態様では、磁気的な中立点の径方向の位置はアウターステータとインナーステータの起磁力の比に依存するため、この起磁力の比に応じて適切な位置にボルト締結用穴を設けることで、より確実に性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本発明の第7の態様では、上記第4の態様において、前記ボルト締結用穴は、前記中心線上に複数設けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第7の態様では、中心線上が磁気的に中立になり、磁気的に影響を与えることが少ないため、中心線上においてボルト締結用穴の数を増やして、機械的なトルク伝達性能の向上を図ることができる。
また、本発明の第8の態様では、上記第1の態様において、前記ロータは、周方向において、複数のコア片が組み合わされて形成されている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第8の態様では、ロータを分割構造とし、周方向において複数のコア片を組み合わせて形成することで、低速且つ大きなトルクで回転する大型の回転機に対応する径の大きなロータを容易に製造することができる。
また、本発明の第9の態様では、上記第8の態様において、前記ロータは、径方向の外側及び内側の少なくともいずれか一方において、前記複数のコア片が組み合わせられた継ぎ目部分を押え込むコア押え部材を有している、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第9の態様では、分割構造としたロータの継ぎ目部分をコア押え部材で押え込むことで、ロータ全体の強度を十分に確保することができる。
また、本発明の第10の態様では、上記第1の態様において、前記ボルト締結用穴は、前記アウターステータと前記インナーステータとの磁気特性に応じた形状を有している、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、第10の態様では、アウターステータとインナーステータとの磁気特性に応じた適切な形状にボルト締結用穴を形成することで、磁気的に影響を与えないようにすることができ、また、磁気的に影響を与えない範囲で、そのボルト締結用穴に挿通されるボルトの形状を異形にできるため、ロータのねじりや曲げ対する剛性を高めることができる。
本発明によれば、低コストで性能向上を図ることができるダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機が得られる。
本発明の第1実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータの断面図である。 図1の横断面図である。 本発明の第1実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータの回路図である。 本発明の第1実施形態におけるロータに設けられたボルト締結用穴の配置を説明するための拡大図である。 本発明の第1実施形態におけるロータの斜視図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の周方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の周方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の周方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の周方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例における周方向におけるボルト締結用穴の位置の違いによる磁束(Wb)と電流(A)との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の一実施例における径方向におけるボルト締結用穴の位置の違いによる磁束(Wb)と電流(A)との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の一変形例におけるロータの斜視図である。 本発明の第2実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータの横断面図である。 本発明の第2実施形態におけるコア片の組み合わせ方を説明する模式図である。 本発明の第2実施形態の一変形例におけるコア片の組み合わせ方を説明する模式図である。 本発明の第3実施形態におけるロータに設けられたボルト締結用穴の形状を説明するための拡大図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン1)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン2)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン3)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン4)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン5)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン6)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン7)を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴の形状(パターン8)を示す図である。 本発明の第3実施形態における一実施例におけるロータの解析モデルを示す図である。 本発明の第3実施形態における一実施例におけるボルト締結用穴の形状の違いによるロータの剛性、電磁気的特性、製造性及びそれらの総合評価を比較した図である。 本発明の第4実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータAの横断面である。 本発明の第4実施形態におけるロータの斜視図である。 本発明の第4実施形態の一実施例におけるコア押え部材の形状と損失分布との関係を示す解析結果を示す図である。 本発明の第4実施形態の一実施例におけるコア押え部材の形状と損失分布との関係を示す解析結果を示す図である。 本発明の第4実施形態の一実施例におけるコア押え部材の形状と損失分布との関係を示す解析結果を示す図である。 本発明の第4実施形態の一実施例におけるコア押え部材の厚みと渦電流損との関係を示すグラフである。 本発明の第4実施形態の一変形例におけるコア押え部材の斜視図である。 図33に示す矢視X−X断面図である。 本発明の第4実施形態の一変形例におけるコア押え部材の平面図である。
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータAの断面図である。図2は、図1の横断面図である。図3は、本発明の第1実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータAの回路図である。図4は、本発明の第1実施形態におけるロータ10に設けられたボルト締結用穴14の配置を説明するための拡大図である。図5は、本発明の第1実施形態におけるロータ10の斜視図である。
ダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータA(以下、単にスイッチトリラクタンスモータAと称する場合がある)は、図2に示すように、環状のロータ10と、ロータ10の外側に配置されたアウターステータ20と、ロータ10の内側に配置されたインナーステータ30と、を有する。本実施形態のスイッチトリラクタンスモータAは、U相、V相、W相の3相モータであり、ステータ側の極数が12個、ロータ側の極数が8個の3相12/8極構造となっている。
スイッチトリラクタンスモータAは、図1に示すように、ロータベース1と、ステータベース2と、を有する。ロータベース1は、ロータ10と接続され、ロータ10と一体回転可能となっている。ロータベース1は、ロータ10の軸方向一方側(図1において左側)に接続されたベース部材3aと、ロータ10の軸方向他方側(図1において右側)に接続されたベース部材3bと、を有している。ベース部材3a,3bは、複数のボルト4によってロータ10に締結固定されている。
ボルト4は、ロータ10に設けられた軸方向(図1において左右方向)に貫通するボルト締結用穴14に挿通されており、ロータ10をベース部材3a,3bと共に軸方向両側から締め付ける。ベース部材3aは、ロータ10が接続されるフランジ部3a1と、ステータベース2から突出して不図示の出力軸に接続される円筒状のシャフト部3a2と、を有する。一方、ベース部材3bは、ロータ10が接続されるフランジ部3b1と、ステータベース2の内部で回転自在に支持される円筒状のシャフト部3b2と、を有する。
ステータベース2は、アウターステータ20を支持するアウターハウジング5と、インナーステータ30を支持するインナーハウジング6と、を有する。アウターハウジング5とインナーハウジング6との間には、ロータベース1が入れ子状に配置される。アウターハウジング5には、アウターステータ20が複数のボルト7によって締結固定されている。ボルト7は、アウターステータ20に設けられた軸方向に貫通するボルト締結用穴23に挿通されており、アウターステータ20をアウターハウジング5と共に軸方向両側から締め付ける。
インナーハウジング6には、インナーステータ30が複数のボルト8によって締結固定されている。ボルト8は、インナーステータ30に設けられた軸方向に貫通するボルト締結用穴33に挿通されており、インナーステータ30をインナーハウジング6と共に軸方向両側から締め付ける。また、ステータベース2は、ロータベース1を回転自在に支持する複数のベアリング9を収容している。ベアリング9は、インナーハウジング6の外周とシャフト部3b2の内周との間に1つ、アウターハウジング5の内周とシャフト部3a2の外周との間に2つ、ロータ10の両側に設けられている。
ロータ10は、電磁鋼板が軸方向に複数積層された状態で締結固定されて構成される。ロータ10は、図2に示すように、環状のヨーク部11と、ヨーク部11から外側に突出する第1突極12と、ヨーク部11から内側に突出すると共に第1突極12と同位相で設けられた第2突極13と、を有している。ヨーク部11は、円筒状とされ、磁気的に十分な厚みを有している。ヨーク部11の外周には、45°間隔で8個の第1突極12が設けられている。また、ヨーク部11の内周には、第1突極12と同位相の45°間隔で8個の第2突極13が設けられている。
アウターステータ20は、環状の磁性体からなり、その内周に30°間隔で12個設けられた突極21と、突極21のそれぞれに巻回されたコイル22と、を有する。コイル22は、周方向に沿ってU相→V相→W相→U相→…の順に相分けされて配置されている。
インナーステータ30は、環状の磁性体からなり、その外周に突極21と同位相の30°間隔で12個設けられた突極31と、突極31のそれぞれに巻回されたコイル32と、を有する。コイル32は、コイル22と同様に周方向に沿ってU相→V相→W相→U相→…の順に相分けされて配置されている。
上記構成のスイッチトリラクタンスモータAは、図3に示すようなインバータ回路を有する。なお、図3において、符号41は直流電源を示し、符号42は平滑コンデンサを示す。また、アウターステータ20には各相4つのコイル22が設けられているが視認性の向上のため各相1つのコイル22のみを代表して図示して残りの図示を省略している。また、インナーステータ30においても同様に、各相4つのコイル32が設けられているが視認性の向上のため各相1つのコイル32のみを代表して図示して残りの図示を省略している。
本実施形態では、図3に示すように、アウターステータ20のインバータ回路とインナーステータ30のインバータ回路とが、並列接続されている。インバータ回路は、それぞれ2つのスイッチング素子43a,43bと、2つのダイオード44a,44bと、からなる非対称ハーフブリッジ回路45を有する。非対称ハーフブリッジ回路45は、アウターステータ20のコイル22及びインナーステータ30のコイル32のそれぞれに接続され、各非対称ハーフブリッジ回路45により個別にコイル22,32が駆動(通電)可能となっている。
また、本実施形態では、アウターステータ20とインナーステータ30とが並列接続されると共に、アウターステータ20とインナーステータ30との起磁力が異なっており、アウターステータ20の起磁力よりもインナーステータ30の起磁力が小さく設定されている。起磁力は、コイル巻き回数と、そこに流れる電流の積によって求まる。ダブルステータ構造では、図2に示すように、その構造的にインナーステータ30側に十分な巻線スペースを確保することが難しい。
スイッチトリラクタンスモータAにおいて起磁力を同一にする場合は、巻線の断面積を小さくして巻線数を増やすか、インナーステータ30の突極31を長く(深く)して巻線スペースを確保する方法が考えられる。しかしながら、前者の方法では電流密度が高くなり、銅損の増大によるモータ効率低下と、巻線の温度上昇の問題が生じる。また、後者の方法では、モータ全体の重量を支えるシャフト径とトレードオフになるため、シャフト径が細くなると重量増加に対して機械的な強度を十分に確保することができなくなるという問題が生じる。
そこで、本実施形態では、アウターステータ20の起磁力よりもインナーステータ30の起磁力を小さく設定することで、モータ効率の低下及び巻線の温度上昇の抑制と共に、機械的な強度を十分に確保している。なお、アウターステータ20とインナーステータ30の起磁力が異なる場合においては、一方から出た磁束が他方に逆流してしまい、モータ性能が低下することが懸念されるが、本実施形態のように、ロータ10のヨーク部11の厚みを十分に確保しておくことで悪影響を及ぼさないことが電磁解析試験から確認されている。
また、本実施形態のように、アウターステータ20とインナーステータ30とを並列接続することで、アウターステータ20とインナーステータ30とを直列接続した場合よりもモータ性能の向上効果が高くなる。すなわち、直列接続では、インダクタンスが増加するので電流が減少してしまい、メインで駆動するアウターステータ20の起磁力が大きく低下してしまうためである。一方、並列接続では、アウターステータ20の起磁力を確保でき、加えてインナーステータ30の出力を取り出すことができるため、出力がアウターステータ20とインナーステータ30の単純な和となり、モータ性能が容易に向上する。
ボルト締結用穴14は、図4に示すように、上述したアウターステータ20とインナーステータ30との磁気特性に応じた位置に設けられている。本実施形態では、ロータ10におけるボルト締結用穴14の位置を、アウターステータ20とインナーステータ30との磁気特性に応じて適切な位置に設定することで、トルク発生に寄与するロータ10に対し磁気的な影響を与えないようにし、モータ性能の低下を抑制するようにしている。
具体的に、ボルト締結用穴14は、図4に示すように、ロータ10のヨーク部11に設けられている。アウターステータ20に対向する第1突極12及びインナーステータ30に対向する第2突極13は、共に磁束が集中する部分である。したがって、第1突極12、第2突極13に対して比較的磁路の妨げになり難いヨーク部11にボルト締結用穴14を設けることで、モータ性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本実施形態のボルト締結用穴14は、ヨーク部11において、第1突極12と第2突極13とを径方向で結ぶ領域Kに設けられている。ヨーク部11において同位相の第1突極12と第2突極13とを径方向で結ぶ領域Kは、第1突極12と第2突極13との両側から対向して磁束が流れ込むため、その間に磁気的な中立点(後述する実施例の図6A,図6B及び図7A,図7B等において符号Pで示す)が生じ得る。したがって、この領域Kにボルト締結用穴14を設けることで、より確実にモータ性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本実施形態のボルト締結用穴14は、ヨーク部11において、第1突極12の中心と第2突極13の中心とを径方向で結ぶ中心線L上に設けられている。この中心線Lは、第1突極12と第2突極13との対称軸(垂直二等分線)と一致する。第1突極12と第2突極13との両側からヨーク部11に流れ込んだ磁束は、ヨーク部11に沿って周方向両側に対称的に流れるため、第1突極12の中心と第2突極13の中心とを径方向で結ぶ中心線L上に、磁気的な中立点が生じ得る。したがって、この中心線L上にボルト締結用穴14を設けることで、より確実にモータ性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本実施形態のボルト締結用穴14は、ヨーク部11において、インナーステータ30側寄りに設けられている。図4に示す符号Mは、ヨーク部11の径方向の中心線(厚み中心)を示している。本実施形態のように、アウターステータ20の起磁力よりもインナーステータ30の起磁力が小さく設定されている場合、磁気的な中立点は、当該起磁力の大きさの差に影響してインナーステータ30側寄りに生じ得る。したがって、このインナーステータ30側寄りにボルト締結用穴14を設けることで、より確実にモータ性能に影響を与えないようにすることができる。
また、本実施形態においては、ボルト締結用穴14は、径方向において、アウターステータ20(起磁力大)とインナーステータ30(起磁力小)の起磁力の比に応じた位置に設けられている。上述してきた磁気的な中立点の径方向の位置は、アウターステータ20とインナーステータ30の起磁力の比に依存するため、この起磁力の比に応じて適切な位置にボルト締結用穴14を設けることで、より確実にモータ性能に影響を与えないようにすることができる。
なお、電磁解析試験の結果、磁気的な中立点の径方向の位置は、アウターステータ20とインナーステータ30の起磁力の比に厳密に一致するものでなく、別のパラメータの影響もあることが考察されている。しかしながら、径方向においては、別のパラメータと比較して起磁力の比のパラメータの影響がより大きいため、アウターステータ20とインナーステータ30の起磁力の比を基準に設定することにより、ボルト締結用穴14と磁気的な中立点とをほぼ合わせ込むことができる。
上述したように、ボルト締結用穴14を適切な位置に設定すればモータ性能の低下を招くことなく、図5(シャフト部3a2,3b2は不図示)に示すように、ロータ10とロータベース1とを直接締め付けてガタをなくすことができる。このため、スイッチトリラクタンスモータAを大型になり、交差が大きくなっても、ボルト4の締め付けにより調整することができ、機械的なトルク伝達性能の向上を図ることができるようになる。
したがって、上述の本実施形態によれば、環状のロータ10と、ロータ10の外側に配置されたアウターステータ20と、ロータ10の内側に配置されたインナーステータ30と、を有するダブルステータ型のスイッチトリラクタンスモータAであって、ロータ10には、軸方向に貫通するボルト締結用穴14が設けられており、ボルト締結用穴14は、アウターステータ20とインナーステータ30との磁気特性に応じた位置に設けられている、という構成を採用することによって、磁気的に影響を与えないようにして、機械的なトルク伝達性能の向上を図ることができる。
このため、本実施形態によれば、低コストで信頼性に優れたスイッチトリラクタンスモータAにおいてモータ性能の向上を図ることが可能となる。
(実施例)
以下、上記第1実施形態の実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
先ず、ロータ10の周方向におけるボルト締結用穴14の位置の違いによる磁気特性の影響を電磁解析試験により調べた。電磁解析条件は以下の通りである。
[アウターステータ]
アウターステータ外径 :1000mm
[インナーステータ]
インナーステータ外径 :450mm
[起磁力]
起磁力 :14000AT(アウター)/7000AT(インナー)
[ボルト締結用穴]
穴サイズ :直径30mm
径方向の穴位置 :300mm
周方向の穴位置 :0deg(=45deg)、15deg(=30deg)
図6A、図6B、図7A、図7Bは、本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴14の周方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。
図6A及び図6Bでは、磁場(B)の強弱をドットパターンの濃淡で示している。図7A及び図7Bでは、磁束線で示している。また、図6A及び図7Aは、ボルト締結用穴14が0deg(中心線L上にあるとき)の結果を示し、図6B及び図7Bは、ボルト締結用穴が15degの結果を示す。なお、ロータ10が8極構造の場合、0degと45degの結果と、15degと30degの結果はそれぞれ同じであるため、それぞれの一方については図示を省略している。
図6A及び図6Bに示すように、アウターステータ20に対向する第1突極12及びインナーステータ30に対向する第2突極13は、共に磁束が集中する部分であるのに対し、ヨーク部11は、比較的磁束の集中が緩やかな部分であることが分かる。
また、ヨーク部11には、第1突極12と第2突極13との両側から対向して磁束が流れ込むため、同位相の第1突極12と第2突極13とを結ぶ間に磁気的な中立点Pが生じることが分かる。磁気的な中立点Pは、図6A及び図6Bに示すように、周囲に対し磁束密度が低くなっていることが分かる。
また、図7A及び図7Bに示すように、第1突極12と第2突極13との両側からヨーク部11に流れ込んだ磁束は、ヨーク部11に沿って周方向両側に対称的に流れるため、第1突極12の中心と第2突極13の中心とを径方向で結ぶ中心線L上に磁気的な中立点Pが生じることが分かる。
このため、ボルト締結用穴14は、図7Aに示す0degにある方が、図7Bに示す15degにあるよりも、磁束の流れを阻害し難くなることが分かる。また、図6Aに示す0degにある方が、図6Bに示す15degにあるよりも、第1突極12及び第2突極13以外の部分において極端に磁束密度が高くならないことが分かる。
図8は、本発明の一実施例における周方向におけるボルト締結用穴14の位置の違いによる磁束(Wb)と電流(A)との関係を示すグラフである。なお、「対向時」とはステータに対してロータが0degのポジションに位置するときをいい、「非対向時」とはステータに対してロータが90degのポジションに位置するときをいい、「中間時」とは「対向時」と「非対向時」との中間ポジションに位置するときをいう。
図8に示すように、「非対向時」及び「中間時」においては磁束の大きさに差異は殆どないが、「対向時」においては、ボルト締結用穴14が15degにある方が0degよりも磁束が小さくなってしまうことが分かる。
次に、ロータ10の径方向におけるボルト締結用穴14の位置の違いによる磁気特性の影響を電磁解析試験により調べた。電磁解析条件は以下の通りである。なお、アウターステータ、インターステータ、電流、起磁力の各条件については上記電磁解析条件と同一である。
[ボルト締結用穴]
穴サイズ :直径30mm
径方向の穴位置 :300mm、310mm、320mm
周方向の穴位置 :0deg
図9A、図9B、図9C、図10A、図10B、図10Cは、本発明の第1実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴14の径方向位置によるロータとステータの対向時の静磁場解析結果を示す図である。
図9A、図9B、図9Cに示すように、アウターステータ20の起磁力よりもインナーステータ30の起磁力が小さく設定されている場合、磁気的な中立点Pはインナーステータ30側寄りに生じることが分かる。
また、図9A、図9B、図9C及び図10A、図10B、図10Cに示すように、ボルト締結用穴14を径方向に移動させてもヨーク部11の中にある限り、磁束の流れを著しく阻害したり、また、第1突極12及び第2突極13以外の部分において極端に磁束密度が高くなる、といったことがないことが分かる。
図11は、本発明の一実施例における径方向におけるボルト締結用穴14の位置の違いによる磁束(Wb)と電流(A)との関係を示すグラフである。
図11に示すように、「非対向時」及び「中間時」においても、また「対向時」においても、磁束の大きさに差異は殆どないことが分かる。このように、ボルト締結用穴14の配置は、径方向の位置よりも周方向の位置の方がモータ性能に関し敏感であることが分かる。
以上のことから、ボルト締結用穴14は、ヨーク部11における第1突極12と第2突極13とを径方向で結ぶ領域においてインナーステータ30側寄りに設けられると共に、第1突極12の中心と第2突極13の中心とを径方向で結ぶ中心線L上に配置されることが好ましい。したがって、このようにアウターステータとインナーステータとの磁気特性に応じてボルト締結用穴14を適切な位置に設定することで、低コストで信頼性に優れ、モータ性能の向上を図ることができるスイッチトリラクタンスモータAが得られる。
なお、上記第1実施形態では、ボルト締結用穴14が中心線L上に一つだけ設けられる構成について例示したが、本発明はこの構成に限定されることなく、中心線L上に複数設けても良い。
すなわち、上述の実施例により、ボルト締結用穴14が中心線L上にあれば磁気特性への影響は少ないため、例えば、図12の一変形例に示すようにボルト4の数を増やすことができる。ボルト4を径方向に複数配置することで、符号Nで示すように、ある一定の幅をもって強固にロータ10とロータベース1とを固定できるため、上記実施形態よりも機械的なトルク伝達性能の向上を図ることができる。また、この構成は、回転機が大型になる場合に特に効果がある。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、本発明の第2実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータAの横断面図である。
図13に示すように、第2実施形態では、ロータ10が、周方向において、複数のコア片50が組み合わされて形成されている点で、上記実施形態と異なる。
ロータ10は、電磁鋼板が軸方向に複数積層された状態で締結固定されて構成されるが、電磁鋼板が一枚ものである場合、ロータ10の径に対応した大きな電磁鋼板を用意する必要がある。第2実施形態では、例えば低速且つ大きなトルクで回転する大型のスイッチトリラクタンスモータAを製造する場合に、径の大きなロータ10を容易に形成するべく、複数のコア片50を周方向で組み合わせている。このようにロータ10を分割構造とし、コア片50一つあたりの大きさを小さくすることで、ロータ10の径に対応した大きな電磁鋼板を用意することなく、径の大きなロータ10を製造することができる。
コア片50は、ボルト締結用穴14を複数有している。図13に示すコア片50は、周方向において離間して設けられたボルト締結用穴14a,14bを有している。また、コア片50は、第1突極12及び第2突極13を複数有している。コア片50は、周方向において第1突極12及び第2突極13を避けたヨーク部11を分割した形状となっている。なお、コア片50によるロータ10の分割数やコア片50の大きさは、製造するロータ10の大きさや用意できる電磁鋼板の大きさや枚数によって適宜変更可能である。
図14は、本発明の第2実施形態におけるコア片50の組み合わせ方を説明する模式図である。
ロータ10は、周方向において複数のコア片50が組み合わされてなる第1層51と第2層52とを、軸方向に交互に積層して構成される。ここで、第1層51と第2層52は、周方向において、互いに位相がずれるように積層される。詳しくは、第1層51のコア片50に設けられたボルト締結用穴14の一方(例えばボルト締結用穴14a)が、第2層52のコア片50に設けられたボルト締結用穴14の他方(例えばボルト締結用穴14b)に対向するように、第1層51と第2層52が、周方向において、互いに位相がずれるように積層される。
この構成によれば、軸方向において、ボルト締結用穴14のそれぞれにボルト4を挿通すると、第1層51のコア片50と、第2層52のコア片50とが、周方向及び軸方向においてそれぞれ連結されて一体化される。また、これにより、周方向においてコア片50が組み合わされて形成される継ぎ目53が、軸方向で連なることがなくなる。したがって、図14に示すように、コア片50がボルト締結用穴14を複数有する場合に、第1層51と第2層52とを、位相が異なるボルト締結用穴14同士を軸方向において対向するように周方向においてずらして積層することで、ロータ10の物理的強度を高めることができる。
このように、上述の第2実施形態では、ロータ10は、周方向において、複数のコア片50が組み合わされて形成されている、という構成を採用することによって、ロータ10を分割構造とし、周方向において複数のコア片50を組み合わせて形成することで、低速且つ大きなトルクで回転する大型の回転機に対応する径の大きなロータ10を容易に製造することができる。また、第1層51と第2層52を、周方向にずらして、軸方向において積層することで、分割構造としたロータ10の物理的強度を十分に確保することができる。
また、第2実施形態では、図15に示す構成も採用し得る。
なお、以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図15は、本発明の第2実施形態の一変形例におけるコア片50の組み合わせ方を説明する模式図である。
この変形例では、図15に示すように、コア片50が、周方向に離間して設けられたボルト締結用穴14a,14b,14cを有している。周方向において複数のコア片50が組み合わされてなる第1層51と第2層52は、周方向において、互いに位相がずれるように積層される。詳しくは、第1層51のコア片50に設けられた特定のボルト締結用穴14(例えばボルト締結用穴14a)が、第2層52のコア片50に設けられた位相の異なるボルト締結用穴14(例えばボルト締結用穴14c)に対向するように、第1層51と第2層52は、周方向において、互いに位相がずれるように積層される。
この構成によれば、上記と同様に、軸方向において、ボルト締結用穴14のそれぞれにボルト4を挿通すると、第1層51のコア片50と、第2層52のコア片50とが、周方向及び軸方向においてそれぞれ連結されて一体化される。したがって、この変形例では、分割構造としたロータ10の物理的強度を十分に確保することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図16は、本発明の第3実施形態におけるロータ10に設けられたボルト締結用穴14の形状を説明するための拡大図である。なお、図16では、ロータ10における磁束の流れを模式的に示している。
図16に示すように、第3実施形態では、ボルト締結用穴14が、アウターステータ20とインナーステータ30との磁気特性に応じた形状を有している点で、上記実施形態と異なる。
図16に示すように、ロータ10には、比較的磁束が流れない領域60が存在する。この領域60は、第1突極12及び第2突極に比べて磁束の集中が緩やかなヨーク部11に存在する。領域60は、第1突極12と第2突極13とを結ぶ間に存在する領域60aと、厚みが十分に確保できる場合にヨーク部11に存在する領域60bと、がある。領域60aは、第1突極12と第2突極13から流れ込んだ磁束がヨーク部11に沿って周方向両側に対称的に流れるため、図16に示すように十字棒状に形成される。また、領域60bは、第1突極12と第2突極13から流れ込んだ磁束がヨーク部11に沿って平行に流れるため、図16に示すように棒状に形成される。
これらの領域60では比較的磁束が流れないため、この磁気特性に応じた形状の範囲で、ボルト締結用穴14の形状を変更することができる。第3実施形態では、この形状変更したボルト締結用穴14に、その形状に対応したロッド部を有するボルト4を挿入することで、モータ性能を低下させることなくロータ10のねじりや曲げに対する剛性を高める。
図17は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン1)を示す図である。
図17に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、丸穴部61を有している。丸穴部61は、軸方向に貫通する円形の穴である。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、丸穴部61の形状に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される(例えば図1参照)。
図18は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン2)を示す図である。
図18に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aと、図16に示す領域60bのそれぞれに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、丸穴部61を有している。丸穴部61は、軸方向に貫通する円形の穴である。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、丸穴部61の形状に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
また、領域60bに設けられたボルト締結用穴14は、長穴部62を有している。長穴部62は、軸方向に貫通する矩形の穴であり、その長辺がロータ10の周方向に延在している。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、丸穴部61の形状に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
図19は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン3)を示す図である。
図19に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、丸穴部61と、第1溝部63と、を有している。丸穴部61は、軸方向に貫通する円形の穴である。第1溝部63は、丸穴部61の内面に形成された軸方向に延在する凹条溝であり、丸穴部61の中心軸を挟んだロータ10の径方向において対向して一対で設けられている。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、丸穴部61及び第1溝部63の形状に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
図20は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン4)を示す図である。
図20に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、丸穴部61と、第2溝部64と、を有している。丸穴部61は、軸方向に貫通する円形の穴である。第2溝部64は、丸穴部61の内面に形成された軸方向に延在する凹条溝であり、丸穴部61の中心軸を挟んだロータ10の周方向において対向して一対で設けられている。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、丸穴部61及び第2溝部64の形状に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
図21は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン5)を示す図である。
図21に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、丸穴部61と、第1溝部63と、第2溝部64と、を有している。丸穴部61は、軸方向に貫通する円形の穴である。第1溝部63は、丸穴部61の内面に形成された軸方向に延在する凹条溝であり、丸穴部61の中心軸を挟んだロータ10の径方向において対向して一対で設けられている。第2溝部64は、丸穴部61の内面に形成された軸方向に延在する凹条溝であり、丸穴部61の中心軸を挟んだロータ10の周方向において対向して一対で設けられている。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、丸穴部61、第1溝部63及び第2溝部64の形状に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
図22は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン6)を示す図である。
図22に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、第1長穴部65を有している。第1長穴部65は、軸方向に貫通する矩形の穴であり、その長辺がロータ10の径方向に延在している。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、第1長穴部65に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
図23は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン7)を示す図である。
図23に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、第2長穴部66を有している。第2長穴部66は、軸方向に貫通する矩形の穴であり、その長辺がロータ10の周方向に延在している。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、第2長穴部66に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
図24は、本発明の第3実施形態におけるボルト締結用穴14の形状(パターン8)を示す図である。
図24に示すボルト締結用穴14は、図16に示す領域60aに設けられている。領域60aに設けられたボルト締結用穴14は、第1長穴部65と、第2長穴部66と、を有している。第1長穴部65は、軸方向に貫通する矩形の穴であり、その長辺がロータ10の径方向に延在している。第2長穴部66は、軸方向に貫通する矩形の穴であり、その長辺がロータ10の周方向に延在しており、第1長穴部65と直交する。このボルト締結用穴14に挿通されるボルト4は、第2長穴部66に対応する形状のロッド部を有し、このロッド部の両端にナットが締結するネジ部が形成される。
なお、図16に示すような磁束の流れを考慮すれば、ボルト締結用穴14は、上記図17〜図24に示す形状以外の形状も採用し得る。
(実施例)
以下、上記第3実施形態の実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
この実施例では、上述した図17〜図24に示すロータ10のボルト締結用穴14の形状の違いによる剛性を、図25に示すような解析モデル70を用いて調べた。また、ロータ10の相対的な剛性、電磁気的特性、製造性及びそれらの総合評価について、図26に示す表にまとめた。なお、剛性評価とは、以下に説明するねじり、曲げに対する評価である。また、電磁気的特性とは、図7A及び図7Bに示すような磁束の流れに対する評価である。また、製造性とは、加工性、組立性に対する評価である。
図25は、本発明の第3実施形態の一実施例におけるロータ10の解析モデル70を示す図である。
図25に示すように、解析モデル70は、複数のボルト4と、一対のフランジ部3a1,3b1と、を有している。一対のフランジ部3a1,3b1は、ロータ10のエンドプレートであり、円環形状を有している。ボルト4は、一対のフランジ部3a1,3b1の間を接続するものであり、図17〜図24に示すボルト締結用穴14の形状に対応する形状のロッド部4a(図25では、図17に示すパターン1の形状に対応する形状のロッド部4aを示す)を有している。
ねじり剛性を相対的且つ簡易的に比較するための解析条件は、一対のフランジ部3a1,3b1の一方を固定し、他方にねじりX1を加えたものである。詳しくは、フランジ部3a1の軸方向外側を向く面S1の全面に一定のトルクを加えて、フランジ部3b1の軸方向外側を向く面(不図示)の全面を固定したものである。また、曲げ剛性を相対的且つ簡易的に比較するための解析条件は、一対のフランジ部3a1,3b1の一方を固定し、一定荷重を鉛直下向きに加えたものである。詳しくは、フランジ部3b1の軸方向外側を向く面(不図示)の全面を固定し、片持ち梁にした状態で、一定荷重を鉛直下向きに加えたものである。
図26は、本発明の第3実施形態の一実施例におけるボルト締結用穴14の形状の違いによるロータ10の剛性、電磁気的特性、製造性及びそれらの総合評価を比較した図である。なお、剛性についてはある条件における相対比較であるため、実際のロータ10の形状によっては、比較結果が変わる可能性もある。
評価は、二重丸、丸、三角、バツの4段階の相対評価(二重丸が最も良い評価)とした。なお、総合評価では、剛性と電磁気的特性が成立することを前提条件としているため、パターン6のボルト締結用穴14(図22参照)は評価外としている。
図26に示すように、ロータ10としての剛性が最も高いのは、パターン5のボルト締結用穴14(図21参照)である。また、ロータ10としての電磁気的特性が最も高いのは、パターン1のボルト締結用穴14(図17参照)である。また、ロータ10としての製造性(加工性、組立性)が最も高いのは、パターン1のボルト締結用穴14(図17参照)である。総合評価が最も高いのは、パターン4のボルト締結用穴14(図20参照)である。
なお、パターン1のボルト締結用穴14(図17参照)は、製造性が最も高いが、その際はロータ10の剛性と電磁気的特性(磁束の流れ)を考慮して、ボルト締結用穴14の穴のサイズを決定する必要があるため、総合評価では三角とした。
以上のように、ロータ10の剛性を向上させたい場合には、パターン5のボルト締結用穴14(図21参照)を採用する方が好ましい。また、ロータ10の製造性を向上させたい場合には、パターン1のボルト締結用穴14(図17参照)を採用する方が好ましい。また、ロータ10の剛性及び製造性を両立させたい場合には、パターン4のボルト締結用穴14(図20参照)を採用する方が好ましい。
なお、パターン6のボルト締結用穴14(図22参照)は、今回の評価では剛性が成立していないが、ボルト締結用穴14の短辺方向の幅を増すことで剛性が成立する可能性がある。また、パターン1〜8のボルト締結用穴14は、図26に示すように、長所と短所があり、ロータ10の仕様によっていずれの形状も採用し得る。
以上のことから、ボルト締結用穴14は、アウターステータ20とインナーステータ30との磁気特性に応じた形状を有している、という構成を採用し、アウターステータ20とインナーステータ30との磁気特性に応じた適切な形状にボルト締結用穴14を形成することで、磁気的に影響を与えないようにすることができ、また、磁気的に影響を与えない範囲で、そのボルト締結用穴14に挿通されるボルト4の形状を異形にできるため、ロータ10のねじりや曲げ対する剛性を高めることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図27は、本発明の第4実施形態におけるダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータAの横断面図である。図28は、本発明の第4実施形態におけるロータ10の斜視図である。
図27及び図28に示すように、第4実施形態では、ロータ10が、径方向の外側及び内側の少なくともいずれか一方(この実施形態では両方)において、複数のコア片50が組み合わせられた継ぎ目53部分を押え込むコア押え部材80を有している点で、上記実施形態と異なる。
上述した第2実施形態のロータ10の分割構造を採用する場合にはコア片50の継ぎ目53が形成されるため、上述した第1実施形態のロータ10の一体構造と比べると強度が小さくなる。第4実施形態では、ロータ10に分割構造を採用する場合に、ロータ10の十分な強度を確保するべくコア押え部材80を設けている。
なお、図27に示すコア片50は、第1突極12、第2突極13及びボルト締結用穴14をそれぞれ一つずつ有するようにロータ10を分割した形状となっているが、例えば上述した図13に示すように第1突極12、第2突極13及びボルト締結用穴14をそれぞれ二つずつ有するようにロータ10を分割した形状であってもよい。
コア押え部材80は、図27に示すように、コア片50が組み合わせられた継ぎ目53部分を径方向で押え込むように配置されている。コア押え部材80は、セグメント型(若しくは弓型)の形状を有しており、周方向で隣り合う第1突極12の間、周方向で隣り合う第2突極13の間のそれぞれに配置されている。周方向で隣り合う第1突極12の間に配置されたコア押え部材80は、第1突極12の高さと同じ厚みを有し、第1突極12と協働して同一半径のロータ10の外周面を形成する外径面80aを有する。一方、周方向で隣り合う第2突極13の間に配置されたコア押え部材80は、第2突極13の高さと同じ厚みを有し、第2突極13と協働して同一半径のロータ10の内周面を形成する内径面80bを有する。このように、コア押え部材80を配置し、ロータ10の形状を円環状にすることで、図2に示すロータ10の形状に比べて、ロータ10の回転の際の風損の発生を抑制することができる。
コア押え部材80は、図28に示すように、一対のフランジ部3a1,3b1に固定されている。一対のフランジ部3a1,3b1には、コア押え部材80の両端部を支持する溝部81が設けられている。溝部81は、コア押え部材80の形状に対応した形状を有している。この溝部81には、コア押え部材80をネジ止めする不図示のネジ穴が径方向に形成されている。コア押え部材80は、溝部81に支持される部分に厚み方向に貫通する貫通穴82を有する。貫通穴82には、ボルト83の頭を埋め込む座ぐり穴が形成され、コア押え部材80は、貫通穴82を挿通するボルト83によって、一対のフランジ部3a1,3b1に締結固定されている。このコア押え部材80は、例えば、SUS等の金属材や、繊維強化プラスチック等の樹脂材から形成されている。
上記構成の第4実施形態によれば、ロータ10が、径方向の外側及び内側の少なくともいずれか一方において、複数のコア片50が組み合わせられた継ぎ目53部分を押え込むコア押え部材80を有する、という構成を採用し、分割構造としたロータ10の継ぎ目53部分をコア押え部材80で押え込むことで、ロータ10の全体の強度を十分に確保することができる。また、上記構成の第4実施形態によれば、コア押え部材80を配置し、周方向で隣り合う第1突極12の間及び周方向で隣り合う第2突極13の間の溝を埋め、ロータ10の形状を円環状にすることで、ロータ10の回転の際の風損の発生を抑制することができる。
(実施例)
以下、上記第3実施形態の実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
この実施例では、コア押え部材80をJIS規格のSUS304からなる金属材から形成した場合のコア押え部材80の形状と渦電流損との関係を解析試験により調べた。
図29、図30、図31は、本発明の第4実施形態の一実施例におけるコア押え部材80の形状と損失分布との関係を示す解析結果を示す図である。
図29、図30、図31では、損失分布(銅損+鉄損+渦電流損)の強弱をドットパターンの濃淡で示している。また、図29、図30、図31は、ロータ10が7.5degにあるときの結果を示す。
図29に示す形状のコア押え部材80では、第1突極12、第2突極13に隣接する隣接部84において、渦電流損が発生し、損失が大きくなることが分かる。この渦電流損は、その他の損失(銅損や鉄損)に比べて、3桁ほど大きい結果となり、損失に占める割合が非常に大きい。
図30に示す形状のコア押え部材80では、図29に示す形状のコア押え部材80よりも渦電流損による損失が小さくなることが分かる。図30に示すコア押え部材80は、図29に示すコア押え部材80の厚みを半分にした形状を有している。このため、コア押え部材80の磁束変化が大きい隣接部84の一部が除かれ、渦電流損を小さくすることができる。
図32は、本発明の第4実施形態の一実施例におけるコア押え部材80の厚みと渦電流損との関係を示すグラフである。なお、図32において、横軸は、コア押え部材80の厚みが第1突極12及び第2突極13の高さと同じときを「1」とし、縦軸は、コア押え部材80の厚みが「1」のときの渦電流損を「1」として示している。
図32に示すように、コア押え部材80が厚い程、渦電流損が大きくなることが分かる。反対に、コア押え部材80が薄い程、渦電流損が小さくなることが分かる。このように、磁束変化が大きい第1突極12及び第2突極13に隣接するコア押え部材80から厚みを取り除き、例えば「0.6」以下にすると、コア押え部材80の厚みを「1」とし完全な円筒状となった場合と比べて、ダブルステータ駆動であっても損失を半分以下とすることが可能である。また、効率低下は1%未満にすることが可能である。
図31に示す形状のコア押え部材80では、図30に示す形状のコア押え部材80よりも渦電流損による損失が小さくなることが分かる。図31に示すコア押え部材80は、図30に示すコア押え部材80の幅を半分にした形状を有している。このため、コア押え部材80の磁束変化が大きい隣接部84の全てが除かれ、渦電流損を小さくすることができる。
以上のことから、コア押え部材80をJIS規格のSUS304等の金属材から形成した場合であっても、コア押え部材80の形状によって渦電流損を小さくすることができる。したがって、分割構造としたロータ10の継ぎ目53部分を押え込むコア押え部材80を金属材で形成しても、渦電流損を小さくし、効率低下を抑制しつつ、ロータ10の全体の強度を確保することができる。
また、第4実施形態では、図33、図34、図35に示す構成も採用し得る。
なお、以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図33は、本発明の第4実施形態の一変形例におけるコア押え部材80の斜視図である。図34は、図33に示す矢視X−X断面図である。図35は、本発明の第4実施形態の一変形例におけるコア押え部材80の平面図である。なお、図33、図34、図35では、周方向で隣り合う第1突極12の間に配置されるコア押え部材80を示している。
この変形例では、図33に示すように、コア押え部材80が、渦電流損を低減するためのスリット85を複数有している。スリット85は、コア押え部材80の外径面80aに形成されている。スリット85は、コア押え部材80の短手方向(ロータ10の周方向)に延在する凹条溝である。スリット85は、図34に示すように外径面80aから所定深さで形成されている。このスリット85は、コア押え部材80の長手方向(ロータ10の軸方向)において間隔をあけて複数形成されている。
この構成によれば、コア押え部材80の厚みを確保しつつ、渦電流損を低減することができる。すなわち、図35に示すように、コア押え部材80の外径面80aにスリット85を形成することで、外径面80aにおいて電流ループCを形成する面積が小さくなるため、渦電流損が低減する。したがって、この変形例では、コア押え部材80の厚みを確保し、ロータ10の強度を高めると共にロータ10の回転の際の風損の発生を抑制することができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、例えば、上記実施形態では、3相モータを例示して説明したが、本発明はこの構成に限定されることなく、2相モータ、4相モータ、5相モータ等にも適用することができる。また、3相モータにおいて12/8極構造を例示して説明したが、本発明はこの極数に限定されず、例えば6/4極構造等であっても良い。
また、例えば、上記実施形態では、本発明のダブルステータ方スイッチトリラクタンス回転機を、モータに適用した構成について例示したが、本発明はこの構成に限定されることなく、発電機にも適用することができる。また、発電機においては、例えばタービン発電機や風力発電機に好適に適用することができる。
また、本発明は、例えば、第1実施形態〜第4実施形態の構成の組み合わせや置き換えも適宜可能である。
本発明は、ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機に利用することができる。
A ダブルステータ型スイッチトリラクタンスモータ(ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機)
K 領域
L 中心線
10 ロータ
11 ヨーク部
12 第1突極
13 第2突極
14 ボルト締結用穴
20 アウターステータ
30 インナーステータ
50 コア片
53 継ぎ目
80 コア押え部材

Claims (10)

  1. 環状のロータと、
    前記ロータの外側に配置されたアウターステータと、
    前記ロータの内側に配置されたインナーステータと、を有しており、
    前記ロータには、軸方向に貫通するボルト締結用穴が設けられており、
    前記ボルト締結用穴は、前記アウターステータと前記インナーステータとの磁気特性に応じた位置に設けられている、ダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  2. 前記ロータは、環状のヨーク部と、前記ヨーク部から外側に突出する第1突極と、前記ヨーク部から内側に突出すると共に前記第1突極と同位相で設けられた第2突極と、を有しており、
    前記ボルト締結用穴は、前記ヨーク部に設けられている、請求項1に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  3. 前記ボルト締結用穴は、前記第1突極と前記第2突極とを径方向で結ぶ領域に設けられている、請求項2に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  4. 前記ボルト締結用穴は、前記第1突極の中心と前記第2突極の中心とを径方向で結ぶ中心線上に設けられている、請求項2または3に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  5. 前記アウターステータの起磁力よりも前記インナーステータの起磁力が小さく設定されており、
    前記ボルト締結用穴は、前記インナーステータ側寄りに設けられている、請求項2〜4のいずれか一項に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  6. 前記ボルト締結用穴は、径方向において、前記アウターステータと前記インナーステータの起磁力の比に応じた位置に設けられている、請求項5に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  7. 前記ボルト締結用穴は、前記中心線上に複数設けられている、請求項4に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  8. 前記ロータは、周方向において、複数のコア片が組み合わされて形成されている、請求項1に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  9. 前記ロータは、径方向の外側及び内側の少なくともいずれか一方において、前記複数のコア片が組み合わせられた継ぎ目部分を押え込むコア押え部材を有している、請求項8に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
  10. 前記ボルト締結用穴は、前記アウターステータと前記インナーステータとの磁気特性に応じた形状を有している、請求項1に記載のダブルステータ型スイッチトリラクタンス回転機。
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