JPWO2014091634A1 - 温度ヒューズ用電極材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、性質の異なる二種類以上の金属材料を接合して形成される多層構造を有する温度ヒューズ用電極材料およびその製造方法に関するものであるCuを1〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金、もしくはCuを1〜50質量%含み、さらにSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金に対して内部酸化処理を施し、内部酸化層を表裏両面に有するAg−酸化物合金板を作製し、このAg−酸化物合金板と必要に応じて接合板を基板に設けることで、材料中心部に基板層、材料の少なくとも片面の最表層にAg−酸化物合金層が形成され、必要に応じて基板層の少なくとも片面に隣接する接合層を持つ多層構造を有する温度ヒューズ用電極材料とした。

Description

本発明は、電子機器や家電用電気製品において、それらの機器が異常高温となるのを防止するために取り付ける温度ヒューズ用の電極材料およびその製造方法に関する。
電子機器や電気機器が異常高温となるのを防止するために取り付ける温度ヒューズは、感温ペレットが動作温度で溶融して強圧縮ばねの発力を除荷し、強圧縮ばねが伸長することにより、その強圧縮ばねにより圧接されていた電極材料とリード線とが離隔して電流を遮断するものである。
この温度ヒューズに用いる電極材料としては、Ag−酸化物合金が主流となりつつある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
電極材料は、温度ヒューズの機構上、0.1mm以下の薄板が用いられるもので、リード線との接触面が長時間にわたって通電状態のまま保持されるために、リード線もしくは金属ケースとの溶着現象を引き起こしやすく、材料特性として耐溶着性が求められる。さらに近時では、Ag−酸化物合金の材料価格低減も求められている。
この耐溶着性および材料価格低減の要求に対しては、Ag−酸化物合金中の酸化物の含有量を増やし、Agの含有量を減少させることによって対応することが可能である。
しかしながら、Ag−酸化物合金は、酸化物の増加に伴い、圧延加工性が著しく低下し、内部酸化後の圧延工程において薄板に加工することが困難となる。
特開平10−162704号公報 特許第4383859号公報
近時、温度ヒューズ用電極材料に求められる耐溶着性、低い接触抵抗および加工性等の諸特性を維持しつつ、より一層の材料価格低減を目的として、高価な貴金属であるAgの含有量をさらに減少させることが求められている。
しかしながら、従来の製造方法では、Ag−Cu合金中のCuの含有量が50質量%に近づくにつれて酸化物含有量が増加するのに伴い、接触抵抗が上昇し、導電性が悪化することにより温度上昇を招き、温度ヒューズ用の電極材料には適さなくなる。このため、Ag−Cu合金中のAgの含有量を減少させることによるこれ以上の材料価格低減が困難であった。
また、内部酸化物層は、酸化物を含んで硬いため、圧延加工性が乏しくなり、圧延加工性を向上させるには、酸化物含有量を減少させる必要があった。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
そこで本発明は、内部酸化処理を施すことで、Ag−Cu合金板の表裏両面の表層に内部酸化層を形成し、かつ材料中央部に酸化物希薄層もしくは未酸化層を有するAg−酸化物合金板を作製し、CuもしくはCu合金からなる基板の長手方向の少なくとも片面に前記Ag−酸化物合金板をクラッド加工することで、基板層の少なくとも片面にAg−酸化物合金層、Ag−酸化物合金層中の内部酸化層の中層部に酸化物希薄層もしくは未酸化層を形成した多層構造を有する温度ヒューズ用電極材料とするものである。
さらに、還元雰囲気下でAg−酸化物合金板の表層に還元処理を行うことにより還元層を形成させてからCuもしくはCu合金からなる基板とクラッド加工することで、クラッド加工時に隣接する基板層と拡散現象を誘発させて拡散層を形成させ、接合強度を向上させることができる。なお、還元処理とは、高温の水素等で満たされた雰囲気下で、内部酸化層中の酸化物に含まれる酸素を水素等で還元し、酸化物を含まない層、すなわち還元層を形成する処理のことをいう。接合強度をさらに向上させたい場合には、上記基板層およびAg−酸化物合金層の界面、もしくは上記基板層および上記還元層の界面において、接合強度を向上させることができる接合層を必要に応じて設けても良い。
なお、詳細は後述するが、酸化物希薄層もしくは未酸化層とは、内部酸化の時間に応じて、長時間の処理によって酸化物希薄層が形成され、長時間でない処理によって未酸化層が形成されたものである。
Ag−酸化物合金板を基板の長手方向の片面のみにクラッド加工する場合は、もう片面の最表層には接合層をクラッド加工することが必要である。接合層の詳細については後述するが、本発明において、接合層としては不可避不純物を含む純Agが特に好ましい。これを温度ヒューズ用電極材料として加工し、さらに市販の典型的な感温ペレット型温度ヒューズに組み込んだ場合には、同じ層厚のAg−酸化物合金板を基板の長手方向の表裏両面にクラッド加工した場合に比べ、接合層のAg含有量が多いために、材料価格低減の点では劣るが、Ag−酸化物合金よりも接触抵抗が低い点で優れている。
上記のような多層構造を有する温度ヒューズ用電極材料は、材料の大部分を占める安価な基板層がAgを含まないため、従来の製造方法に比べて、より一層の材料価格低減を可能とし、さらに上記基板層は加工性に富んでいるため、内部酸化層中の酸化物含有量は維持しつつ、内部酸化後の材料を圧延加工する際の加工性を向上させることに成功した。
各層の組成について、上記基板層としては、不可避不純物を含む純Cuが好ましい。もしくは、耐熱性、導電性もしくは機械的性質を向上させる目的で、Ti、Cr、Be、Si、Fe、Co、Zr、Zn、Sn、Ni、P、Pbの群から選ばれた少なくとも1種を含むCu合金を用いても良い。
上記Ag−Cu合金板は、Cuを1〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金、もしくはCuを1〜50質量%含み、さらにSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金が好ましい。
ここで、Ag−Cu合金板中のCuの添加量を1〜50質量%とした理由は、内部酸化処理後において、Cuの含有量が1質量%未満では、酸化物が不足し、温度ヒューズ用電極材料として使用するのに十分な耐溶着性が得られないためである。Cuの含有量が50質量%を超えると、酸化物含有量の増加よって内部酸化層の加工性が著しく低下し、内部酸化層に割れが生じやすくなる。さらに、内部酸化処理により酸素をAg−Cu合金板中に侵入させようとしても、酸素が主にCuと結合して表面付近で酸化皮膜を形成してしまい、酸化物粒子をAgマトリックス中に分散させて生じさせることが難しくなる。
上記接合層としては、不可避不純物を含む純Ag、もしくはCuを0.01〜28質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金等が好ましいが、上記Ag−Cu合金板、Au等の貴金属、Mg、Cr、Sn、In、Ti、Fe、NiもしくはCo等、適度な接合性を有していればどのような金属材料でも良い。
この接合層は、基板層とAg−酸化物合金層との接合性を向上させるものであり、加工時の伸び率の違い、振動もしくは衝撃により剥離するのを防止するものである。接合性をさらに向上させる場合には、基板層、接合層、およびAg−酸化物合金層の少なくとも1層において、熱処理により構成成分の一部を隣接する他の層へ拡散もしくは合金化させても良い。
ここで、上記接合層の合金中に含まれるCuの添加量を0.01〜28質量%とした理由は、Cuの含有量が28質量%を超えると、隣接する板材との接合性が好ましくないためである。また、最表層に接合層を有する温度ヒューズ用電極材料は、接合層のCu含有量が28質量%を超えると、大気中の酸素と反応して酸化皮膜を生じやすくなり、接触抵抗が増加するので、温度ヒューズ用電極材料としては好ましくない。なお、クラッド加工時の熱によっても隣接する他の層へ多少の拡散が起きる。
本発明に係る温度ヒューズ用電極材料の製造方法としては、クラッド法が最も好ましい。クラッド法は、上記各種層となる板材を電流加熱した後に、CuもしくはCu合金からなる基板に対して、Ag−酸化物合金層もしくは接合層を構成する板材を被せ、熱間圧延加工により接合し、複数の前記各種層からなる多層構造材を形成する方法である。本発明では、CuもしくはCu合金からなる基板に対して各層を構成する板材をクラッド加工しているが、CuもしくはCu合金からなる基材に対して各層を構成する角線、丸線またはパイプ等をクラッド加工してもよい。
本発明に係る温度ヒューズ用電極材料の他の製造方法としては、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法は、上記Ag−Cu合金板、上記Ag−酸化物合金層もしくは上記接合層の組成を構成するターゲット材、必要に応じて酸素性雰囲気を用いて、基板に薄膜を形成するものである。ただし、スパッタリング法でAg−酸化物合金層を形成する場合には、酸化物希薄層もしくは未酸化層を必ずしも有していなくてもよい。
なお、さらに他の製造方法として挙げられるものは、めっき法、プラズマ溶射、ガス溶射、高速フレーム溶射、コールドスプレー法等の溶射での積層、空中や液中での断続的な放電、パルス等の放電による積層およびPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Cemical Vapor Deposition)等の蒸着法による積層等がある。なお、内部酸化層を含む多層構造材をこれら他の製造方法で作製する場合には、必要に応じて、上記積層方法にて積層後に内部酸化処理を施す必要がある。
本発明に係る温度ヒューズ用電極材料の製造方法は、上記製造方法を組み合わせた方法としてもよく、例えば、CuもしくはCu合金からなる基板層を電極材料中央部として、片方の面はクラッド法、他方の面はめっき法としてもよい。
また、CuもしくはCu合金からなる基板層を電極材料中央部として、上記各種層を表裏非対称に配置してもよい。例えば、片方の表層はAg−酸化物合金層、他方の表層は接合層という具合でもよい。
本発明に係る温度ヒューズ用電極材料の製造方法の内部酸化処理において、上記Ag−Cu合金板に内部酸化処理を施すことにより、Ag−酸化物合金板を作製することができる。
内部酸化処理は、Ag−Cu合金からなるAg−Cu合金板において、Agマトリックス中にあらかじめ含有されたCuが、材料表層からAgマトリックス中に吸蔵される酸素と結び付くことにより、Agマトリックス中に酸化物として析出するという過程をとる。このとき、溶質元素であるCuは、Ag−Cu合金板の材料内部から材料表層に向かって拡散する現象が生じる。
この溶質元素が材料表層に向かって拡散する現象は、上記Ag−Cu合金板の材料表面から材料内部に向かって析出した酸化物で形成される内部酸化層と、時間の経過により酸化物の析出が起きていない未酸化層との間でCuの濃度に差が生じ、その濃度勾配を埋めるために未酸化層から表層に向かいCuが拡散する現象である。このため、常にAgマトリックス中の他元素の酸化に必要な酸素量を上回る酸素を供給して行う。
酸化物希薄層とは、内部酸化処理を長時間施して内部酸化層を形成することで、時間の経過により酸化物の析出が起きていない未酸化層が無くなり、Agマトリックス中にあらかじめ含有された溶質元素であるCuがほぼ失われ、材料中心部に酸化物が希薄に形成された層のことをいう。なお、本発明における酸化物希薄層の定義とは、酸化物の含有量が1質量%より低い層のことであり、Ag−酸化物合金板の断面比率で10%以下の範囲のことをいう。また、本発明における未酸化層の定義とは、内部酸化層とは別に、酸化物が含まれない層のことであり、Ag−酸化物合金板の断面比率で90%以下の範囲のことをいう。つまり内部酸化層とは、Ag−酸化物合金板の断面比率で10%よりも大きい範囲のことであり、酸化物の含有量が1質量%よりも高い層のことをいう。
上記拡散の過程において、上記Ag−Cu合金板中にSn、In、Ti、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種を加えることにより、濃度勾配による拡散現象を抑制し、その結果、析出する酸化物の移動による凝集を抑制することで酸化組織を微細にし、均質な分散が得られる。さらに、Cuとの複合酸化物、例えば(Cu−Sn)Oxとなり、耐溶着性を向上させる効果がある。
ここで、上記Ag−Cu合金板中において、Sn、In、Ti、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%とした理由は、0.01質量%より少ないと内部酸化処理時の溶質元素の移動を十分に抑制できず、酸化物の均質な分散が得られないためであり、5質量%を超えると結晶粒界などに粗い酸化物を形成し、接触抵抗の上昇を招くためである。
本発明は、この内部酸化処理において、Ag−酸化物合金板断面の中層部に未酸化層もしくは酸化物希薄層が形成され、Ag−酸化物合金板の表裏両面の表層だけが内部酸化組織となるようにすることを特徴とし、そのための内部酸化条件を、所望の板厚にて内部酸化炉中で500℃〜750℃、0.25時間以上、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で調整している。これによってAg−酸化物合金板の表裏両面の表層に内部酸化層、Ag−酸化物合金板断面の中層部に未酸化層もしくは酸化物希薄層を形成することができる。内部酸化層に分散する酸化物粒子の平均粒径は0.5〜5μmであり、好ましくは1〜4μmであり、より好ましくは2〜3μmである。酸化物粒子の平均粒径が0.5μm未満ではリード線と可動電極との接触部において酸化物粒子の粒径が微細なため、溶着しやすくなり、一方、酸化物粒子の平均粒径が5μmより大きいと、接触抵抗が高くなるため、溶着しやすくなる。
内部酸化処理時の酸素分圧は、酸化物粒子の平均粒径を0.5〜5μmに調整する上で重要である。内部酸化条件の内部酸化処理時の酸素分圧は上記の如く、0.1〜2MPaが好ましい。すなわち、酸素分圧が0.1MPa未満であると内部酸化層を均一に形成することが難しく、酸化物粒子の平均粒径が5μmより大きくなり、酸素分圧が2MPaより大きいと酸化物粒子の平均粒径が0.5μm未満となって前述のように溶着しやすくなる。
内部酸化処理時の温度は上記の如く、500℃〜750℃が好ましい。500℃より低いと十分に酸化反応が進まず、一方、750℃より高温であると、酸化物希薄層の厚さや酸化物粒子の大きさを制御しにくくなる。
内部酸化処理の時間は、目的とする内部酸化層の層厚、未酸化層の層厚、酸化物希薄層の有無、Ag−Cu合金板の組成、Ag−酸化物合金板の板厚、前述した内部酸化時の温度および酸素分圧により適宜調整する必要がある。
すなわち、上記の如く、少なくとも0.25時間以上が好ましい。内部酸化時間が0.25時間未満であると、内部酸化層を均一かつ十分に形成することが難しく、温度ヒューズ用電極材料として用いた際にリード線もしくは金属ケースとの溶着現象を起こす恐れがある。
酸化物希薄層を形成する際の内部酸化処理の時間は、未酸化層が無くなるまで内部酸化処理を行う必要があるため、未酸化層形成時よりも長時間の内部酸化処理を行う。酸化物希薄層が形成後には内部酸化処理の時間をそれ以上施しても、形成される内部酸化層に影響がないため、内部酸化時間が増加し、経済的ではない。
なお、内部酸化の温度、圧力、時間にはそれぞれ相関関係があり、例えば内部酸化時間を短時間で行うには、温度と圧力を高くして調整するなど、内部酸化処理を施す材料によってそれぞれ最適な条件を選択する必要がある。
温度ヒューズ用電極材料には、温度ヒューズの使用用途により種々の成分組成や各種最終板厚があるが、温度ヒューズの機構上、0.1mm以下の薄板材が用いられる。しかしながら、薄板材に内部酸化処理を均一に行うことが難しく、薄板材を均一にクラッド加工することが困難であるため、クラッド加工後の材料を圧延加工により薄板化する必要がある。なお、内部酸化後の材料において、加工性が悪く、圧延加工時の割れおよび破断と内部酸化層の割れ等が生じる場合には、せん断加工もしくは熱処理を必要に応じて施しても良い。
本発明の内部酸化後の圧延工程および焼鈍工程における従来の製造方法との相違点として、温度ヒューズ用電極材料中心部に加工性に富んだCuもしくはCu合金からなる基板層を設けたことにより、内部酸化層の酸化物含有量を減らすことなく圧延加工性を大幅に向上させることが可能であり、断面減少率で80%以上の圧延加工をすることに成功した。さらに、加工性に富んだ基板層を設けたことにより、単層では比較的加工性に劣るその他の各種層の加工性を向上させることが可能となるため、各々の層を形成するクラッド加工時の板材の比率および多層構造を保ったまま、0.1mm以下の薄板材に圧延加工することに成功した。
本発明の電極材料によると、Ag−Cu合金のCuの含有量を50質量%まで増加させて、内部酸化処理後の酸化物含有量を増やすことによりAgの含有量を減少させても、内部酸化後の加工において、断面減少率で80%以上の圧延加工が可能となる。
つまり、従来の温度ヒューズ用電極材料に比べ、電極材料中心部にCuを主成分とする基板層を設けたことにより、内部酸化層の酸化物含有量を減らすことなく加工性を大きく向上させることが可能である。これにより、安定した品質かつ信頼性が高い温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能になる。加えて、材料中心部の基板の材質を任意に変更することで、耐溶着性を維持しつつ、耐熱性、導電性もしくは機械的性質等を所望の諸特性に調整した温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能になる。
また、片面のみにAg−酸化物合金層を形成し、もう片面の表層には任意の接合層を有する電極材料を作製することが可能になるため、低い接触抵抗および高い導電性を有する温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能になる。
さらに温度ヒューズ用電極材料に求められる耐溶着性、低い接触抵抗等の諸特性を維持しつつ、Ag等の使用量を大幅に削減することができ、安価な温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能となる。
酸化物希薄層を有するAg−酸化物合金板の長手方向断面を示す説明図 製造方法1および製造方法6における3層クラッド板の長手方向断面を示す説明図 未酸化層を有するAg−酸化物合金板の長手方向断面を示す説明図 製造方法2および製造方法7における3層クラッド板の長手方向断面を示す説明図 製造方法3および製造方法8における還元処理を行ったAg−酸化物合金板の長手方向断面を示す説明図 製造方法3および製造方法8における3層クラッド板の長手方向断面を示す説明図 製造方法4および製造方法9における3層クラッド板の長手方向断面を示す説明図 製造方法4および製造方法9における多層クラッド板の長手方向断面を示す説明図 製造方法5および製造方法10における多層クラッド板の長手方向断面を示す説明図
本発明の実施例を表1〜4に示し、これらの温度ヒューズ用電極材料の製造方法を説明する。なお、実施例および比較例は電極材料種類No.で区別し、表1に対応する形式で表2を、表3に対応する形式で表4を示す。
具体的には、本発明の製造方法1〜5のAg−Cu合金板および接合板に含まれる成分組成を表1に、本発明の製造方法6〜10のAg−Cu合金板および接合板に含まれる成分組成を表3に記載する。また、比較例のAg−Cu合金板に含まれる成分組成を表1および表3に併記する。表1もしくは表3に対応する形で、内部酸化温度、内部酸化時間、酸素分圧、酸化物の平均粒径、内部酸化処理後およびクラッド加工後の圧延加工の加工性、温度ヒューズ用電極材料の最終板厚および最終加工率を表2もしくは表4に記載する。表1〜4に記載の各項目の評価方法として、Ag−Cu合金板および接合板に含まれる成分組成は、波長分散型電子顕微鏡およびICP発光分析装置を用いて定量分析を行い、成分組成の残部であるAgおよび不可避不純物は残と記載した。なお、本発明の実施例に記載の不可避不純物とは、0.01質量%未満のことをいう。
なお、製造方法3もしくは製造方法8で得られた各クラッド板の拡散層の有無は、波長分散型電子顕微鏡を用いて各クラッド板の断面を分析し、本発明の電極材料種類No.1〜40のいずれにおいても拡散層の存在が確認できた。
接合性は、製造方法1〜10で得られた完全焼鈍後の各クラッド板に対し、JIS Z 2248に規定する押曲げ法に従い、180°曲げ後、密着曲げ試験を行い、湾曲部の割れや剥離の有無により接合性を評価した。湾曲部に割れや剥離が認められるものを×、湾曲部に割れや剥離が認められずに接合性に優れているものを○と評価した。なお、接合性の評価が×であっても、下記の加工性の評価がA〜C、かつその他の評価項目の評価が○であれば、温度ヒューズ用可動電極として好適に使用できる。
曲げ加工性(接合性)は、各製造方法で最終板厚まで加工した各種電極材料の試験片の一端を固定した上で、90°繰り返し曲げ試験を行い、試験片に亀裂が発生するまでの曲げ回数を計測し、その曲げ回数で接合性を評価した。この曲げ回数が10回以上のものを評価A、4回以上10回未満のものを評価B、2回以上4回未満のものを評価Cとした。なお、所定形状の可動電極に加工する際、プレス加工によって曲げ加工を1回施すが、評価がA〜Cであれば十分な信頼性を有する可動電極へ加工できる。なお、本発明のいずれの製造方法においても、得られた可動電極材料は各層の界面剥離は発生せず、基板層で破断し、極めて良好な接合性を有する可動電極材料を得ることができた。
加工性は、熱処理による硬さ調整前の最終板厚における最終加工率が断面減少率で80%以上に冷間圧延加工できたものを○、できなかったものを×と評価した。評価×とした理由としては、圧延加工時の割れおよび破断と内部酸化層の割れ等が挙げられる。なお、本発明のいずれの製造方法においても、比較例と比べて、良好な加工性が得られた。さらに、製造方法1〜5では基板層に無酸素Cuを用い、製造方法6〜10では基板層にCu合金を用いたが、加工性に差異は認められなかった。
酸化物の平均粒径は、温度ヒューズ用可動電極材料の断面を金属顕微鏡にて、1000倍で酸化物粒子の平均粒径を計測した。平均粒径が0.5 〜5μmの範囲のものを○、平均粒径が0.5 〜5μmの範囲外のものを×と評価した。なお、本発明のいずれの内部酸化条件においても、良好な酸化物の平均粒径が得られた。
比較例
比較例として、板厚0.5mmのAg−Cu合金板に対し、内部酸化炉中で500℃〜750℃、48時間、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で内部酸化処理を行い、表層両面に酸化物2を含有する内部酸化層3および中層部に酸化物希薄層4を形成したAg−酸化物合金板(図1)とし、完全焼鈍を施した後、最終板厚(0.1mm以下)における最終加工率が断面減少率で80%以上になるように冷間圧延加工を施した電極材料種類No.41〜47の詳細を表1〜4に併記する。
次に上記した製造方法を説明する。
製造方法1
本製造方法による実施例を表1および表2に示す。電極材料種類No.1〜40に当該する所望の各組成のAg−Cu合金および不可避不純物を含む無酸素Cuを溶解法で作製した。前記Ag−Cu合金は、圧延加工を施し、Ag−Cu合金板(板厚0.5mm)とした。無酸素Cuは、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu板(板厚2.0mm)とした。
上記Ag−Cu合金板を、内部酸化炉中で500℃〜750℃、48時間、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で内部酸化処理を行ってAg−酸化物合金板とした。いずれの電極材料種類においても本製造方法の内部酸化時間を48時間に統一した理由としては、本製造方法のAg−Cu合金板の板厚において酸化物希薄層4が確実に形成され得る時間であるためである。
この際、各層における組成および層厚により上記各範囲内で条件を選択し、上記Ag−Cu合金板の長手方向の表層両面に酸化物2を含有する内部酸化層3を形成し、かつ材料中心部に酸化物希薄層4を有するAg−酸化物合金板(図1)を得た。
その後、Ag−酸化物合金板および上記Cu板に表面処理を施し、これらをクラッド加工および冷間加工することで、板厚が0.5mmであり、基板層1の長手方向の表裏両面にAg−酸化物合金層8として内部酸化層3、内部酸化層3の中層部に酸化物希薄層4を持つ多層構造を有する3層クラッド板(図2)を得た。
クラッド加工の条件としては、Ag−酸化物合金板およびCu板のそれぞれに2つの通電ロールを設け、不活性雰囲気下でそれぞれの通電ロール間を電流加熱しつつ、Cu板の長手方向の表裏両面にAg−酸化物合金板が重なるように圧着ロール間へ連続的に送り込み、圧下率50%の熱間圧延を施した。電流加熱の条件は、材料が圧着ロール間を通過する際、Cu板およびAg−酸化物合金板の温度を400℃になるように電流値を調整した。上記温度を400℃に固定した理由は試験条件を揃える為であり、200〜750℃の範囲が好ましい。
次に、試験条件を揃えるために上記3層クラッド板を完全焼鈍後、図2に示される多層構造を有したまま冷間圧延加工を施し、最終板厚を0.1mm以下に加工し、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法2
本製造方法による実施例を表1および表2に示す。電極材料種類No.1〜40に当該する所望の各組成のAg−Cu合金、不可避不純物を含む無酸素Cuを溶解法で作製した。さらに、製造方法1と同様の製造方法にて、同組成、かつ同寸法のCu板およびAg−Cu合金板を得た。
次に、上記Ag−Cu合金板は、内部酸化時間を0.25〜36時間とした以外は製造方法1と同条件で内部酸化を行った。この際、各層における組成および層厚により上記各範囲内で条件を選択し、上記Ag−Cu合金板の長手方向の表層両面に酸化物2を含有する内部酸化層3を形成し、かつ、材料中心部に未酸化層7を有するAg−酸化物合金板(図3)を得た。なお、材料中心部は必ずしも未酸化層7でなくてもよく、酸化物希薄層4としてもよい。その後、上記Ag−酸化物合金板および上記Cu板に表面処理を施し、これらをクラッド加工および冷間加工することで、板厚が0.5mmであり、基板層1の長手方向の表裏両面にAg−酸化物合金層8として内部酸化層3、内部酸化層3の中層部に未酸化層7を持つ多層構造を有する3層クラッド板(図4)を得た。クラッド加工の条件としては、製造方法1と同条件とした。
次に、試験条件を揃えるために上記3層クラッド板を完全焼鈍後、図4に示される多層構造を有したまま冷間圧延加工を施して、最終板厚を0.1mm以下に加工し、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法3
本製造方法による実施例を表1および表2に示す。製造方法2と同条件で作製したAg−酸化物合金板を雰囲気炉中で還元処理を行い、Ag−酸化物合金板の表層約5μmに還元層5を形成した(図5)。雰囲気炉中の雰囲気は窒素と水素の混合比率が5:2になるように調整し、温度は400℃とした。上記材料をクラッド加工し、さらに切削加工により材料表面の還元層を除去し、その後に冷間圧延加工することで、板厚が0.5mmであり、基板層1の長手方向の表裏両面にAg−酸化物合金層8として内部酸化層3、内部酸化層3の中央部に未酸化層7、内部酸化層3と基板層1との界面に拡散層6を有する3層クラッド板(図6)を得た。なお、内部酸化層3の中央部には必ずしも未酸化層7を形成しなくてもよく、酸化物希薄層4としてもよい。
クラッド加工の条件としては、Ag−酸化物合金板を還元層が形成されたAg−酸化物合金板に置き換えた以外は製造方法1と同条件とした。
次に、試験条件を揃えるために上記3層クラッド板を完全焼鈍後、図6に示される多層構造を有したまま冷間圧延加工を施して、最終板厚を0.1mm以下に加工し、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法4
本製造方法による実施例を表1および表2に示す。電極材料種類No.1〜40に当該する接合板となる所望の各組成の合金および不可避不純物を含む無酸素Cuを溶解法で作製した。接合板となる所望の組成の合金は、圧延加工を施し、接合板(板厚0.5mm)とした。無酸素Cuは、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu板(板厚3.0mm)とした。さらに、製造方法1と同様の製造方法にて電極材料種類No.1〜40に当該する各組成、かつ同寸法のAg−Cu合金板を得た。
その後、上記接合板および上記Cu板に表面処理を施し、Cu板の表裏両面に接合板をクラッド加工および冷間圧延加工することで、板厚が2.0mmであり、基板層1の長手方向の表裏両面に接合層9を有する多層構造の3層クラッド板(図7)を得た。クラッド加工の条件としては、Ag−酸化物合金板を接合板に置き換えた以外は製造方法1と同条件とした。
次に、製造方法3と同条件の内部酸化処理および還元処理を施してAg−酸化物合金板を作製した。なお、この場合も、必ずしも未酸化層7を形成しなくてもよく、酸化物希薄層4であってもよい。
次に、上記Ag−酸化物合金板および上記3層クラッド板に表面処理を施し、3層クラッド板の表裏両面にAg−酸化物合金板をクラッド加工し、さらに切削加工により材料表面の還元層を除去し、その後に冷間圧延加工することで、板厚が0.5mmであり、基板層1の長手方向の表裏両面に接合層9、Ag−酸化物合金層8として内部酸化層3、内部酸化層3の中央部に未酸化層7、内部酸化層3と接合層9との界面に拡散層6を有する多層クラッド板(図8)を得た。クラッド加工の条件としては、Ag−酸化物合金板を還元層が形成されたAg−酸化物合金板に置き換え、かつCu板を3層クラッド板に置き換えた以外は製造方法1と同条件とした。
次に、試験条件を揃えるために多層クラッド板を完全焼鈍後、図8に示される多層構造を有したまま冷間圧延加工を施して、最終板厚を0.1mm以下に加工し、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法5
本製造方法による実施例を表1および表2に示す。電極材料種類No.1〜40に当該する接合板となる所望の各組成の合金および不可避不純物を含む無酸素Cuを溶解法で作製した。接合板となる所望の組成の合金は、圧延加工を施し、接合板(板厚0.5mm)とした。無酸素Cuは、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu板(板厚2.0mm)とした。次に、製造方法3と同条件の内部酸化処理および還元処理を施してAg−酸化物合金板を作製した。なお、この場合も、必ずしも未酸化層7を形成しなくてもよく、酸化物希薄層4であってもよい。
その後、上記Ag−酸化物合金板、上記接合板および上記Cu板に表面処理を施し、Cu板の片面に接合板をクラッド加工、Cu板のもう片面にAg−酸化物合金板をクラッド加工し、さらに切削加工により材料表面の還元層5を除去し、その後に冷間圧延加工を施すことで、板厚が0.5mmであり、基板層1の長手方向の片面にAg−酸化物合金層8として内部酸化層3、内部酸化層3の中央部に未酸化層7、内部酸化層3と基板層1との界面に拡散層6を有し、かつ基板層1の長手方向のもう片面に接合層9を有する多層クラッド板(図9)を得た。クラッド加工の条件としては、片面のAg−酸化物合金板を接合板に置き換えた以外は製造方法1と同条件とした。
次に、試験条件を揃えるために多層クラッド板を完全焼鈍後、図9に示される多層構造を有したまま冷間圧延加工を施して、最終板厚を0.1mm以下に加工し、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法6
本製造方法による実施例を表3および表4に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu合金板(板厚2.0mm)とした。
次に、Cu板を上記Cu合金板に置き換えた以外は製造方法1と同様にして、図2に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法7
本製造方法による実施例を表3および表4に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu合金板(板厚2.0mm)とした。
次に、Cu板を上記Cu合金板に置き換えた以外は製造方法2と同様にして、図4に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法8
本製造方法による実施例を表3および表4に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu合金板(板厚2.0mm)とした。
次に、Cu板を上記Cu合金板に置き換えた以外は製造方法3と同様にして、図6に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法9
本製造方法による実施例を表3および表4に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu合金板(板厚3.0mm)とした。
次に、Cu板を上記Cu合金板に置き換えた以外は製造方法4と同様にして、図8に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法10
本製造方法による実施例を表3および表4に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、基板層1となるCu合金板(板厚2.0mm)とした。
次に、Cu板を上記Cu合金板に置き換えた以外は製造方法5と同様にして、図9に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
実施例および比較例の温度ヒューズ用電極材料は、必要に応じて熱処理によって所望の硬さに調整した後、プレス加工等によって所定形状の可動電極に加工することで、感温材が作動温度で溶融して圧縮ばね除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する市販の典型的な感温ペレット型温度ヒューズに好適に利用できる。
そこで、実施例および比較例の温度ヒューズ用電極材料を必要に応じて熱処理によって所望の硬さに調整した後、プレス加工によって所定形状の可動電極に加工し、上記可動電極を感温ペレット型温度ヒューズに実装し、DC30V、20A、昇温速度1℃毎分に設定して通電試験および電流遮断試験を行った結果を表2および表4に示す。
通電試験は、温度ヒューズに10分間通電して、試験前後の温度ヒューズ金属ケースの表面での温度差が10℃未満のものを○とし、10℃以上のものを×と評価した。
電流遮断試験は、温度ヒューズに10分間通電した後、通電を続けながら試験環境の温度を、昇温速度1℃毎分、動作温度よりも10℃高い温度に昇温し、温度ヒューズを実際に動作させ、電流の遮断を試みた。試験後、可動電極とリード線とが溶着しなかったもの、つまり電流を遮断できたものを○と評価した。
1 基板層
2 酸化物
3 内部酸化層
4 酸化物希薄層
5 還元層
6 拡散層
7 未酸化層
8 Ag−酸化物合金層
9 接合層

Claims (10)

  1. 感温材が作動温度で溶融して圧縮ばねの発力を除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する温度ヒューズの電極材料において、
    可動電極の材料として、Ag−Cu合金からなるAg−Cu合金板に内部酸化処理を施すことにより、表裏両面に内部酸化層を有し、かつ中層部に酸化物希薄層もしくは未酸化層が形成されたAg−酸化物合金板とし、このAg−酸化物合金板を基板の少なくとも片面に設けることによって、基板層の少なくとも片面にAg−酸化物合金層を形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  2. 感温材が作動温度で溶融して圧縮ばねの発力を除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する温度ヒューズの電極材料において、
    可動電極の材料として、基板の少なくとも片面に対して、接合板を設けることによって、基板層に隣接する接合層とが形成された多層構造材とし、さらに、この多層構造材の少なくとも片面に対し、Ag−Cu合金からなるAg−Cu合金板に内部酸化処理を施すことで表裏両面に内部酸化層を有し、かつ中層部に酸化物希薄層もしくは未酸化層が形成されたAg−酸化物合金板を設けることによって、前記多層構造材の少なくとも片面にAg−酸化物合金層を形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  3. 請求項1または請求項2において、基板および基板層の材質がCuまたはCu合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  4. 請求項1または請求項2において、Ag−Cu合金板の組成が、Cuを1〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  5. 請求項1または請求項2において、Ag−Cu合金板の組成が、Cuを1〜50質量%含み、さらにSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  6. 請求項2において、接合板の組成が、Cuを0.01〜28質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金、もしくは不可避不純物を含む純Agであることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  7. 請求項1に記載の温度ヒューズ用電極材料の製造方法において、内部酸化処理を施すことにより、表裏両面に内部酸化層を有し、かつ中層部に酸化物希薄層もしくは未酸化層が形成されたAg−酸化物合金板を作製する工程と、基板の少なくとも片面に前記Ag−酸化物合金板をクラッド加工することによって基板層の少なくとも片面にAg−酸化物合金層が形成された多層構造を有するクラッド板を作製する工程と、このクラッド板に塑性加工による薄板化および/もしくは熱処理を施す工程とを具え、薄板化後も基板層の表裏両面にAg−酸化物合金層を形成した多層構造を有することを特徴とする温度ヒューズ用電極材料の製造方法。
  8. 請求項2に記載の温度ヒューズ用電極材料の製造方法において、内部酸化処理を施すことにより、表裏両面に内部酸化層を有し、かつ中層部に酸化物希薄層もしくは未酸化層が形成されたAg−酸化物合金板を作製する工程と、基板の少なくとも片面に接合板をクラッド加工することによって基板層に隣接する接合層とが形成された多層構造材を作製する工程と、この多層構造材の少なくとも片面に前記Ag−酸化物合金板をクラッド加工することによって前記多層構造材の少なくとも片面にAg−酸化物合金層を形成した多層構造を有するクラッド板を作製する工程と、このクラッド板に塑性加工による薄板化および/もしくは熱処理を施す工程とを具え、薄板化後も基板層に隣接する接合層、さらにAg−酸化物合金層を有することを特徴とする温度ヒューズ用電極材料の製造方法。
  9. 請求項7または請求項8において、Ag−酸化物合金板の表層に還元処理を行って還元層を形成する工程を含むことを特徴とする温度ヒューズ用電極材料の製造方法。
  10. 請求項7または請求項8において、内部酸化処理の条件が、内部酸化炉中で500℃〜750℃、0.25時間以上、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で行うことを特徴とする温度ヒューズ用電極材料の製造方法。
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