JP6530267B2 - 温度ヒューズ用電極材料 - Google Patents

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Description

本発明は、電気機器や電子機器の異常高温時の過熱損傷を保護する温度ヒューズ等のアーク遮断性能、機械的特性および電気導電性が求められる電気接点分野に用いることができる電極材料に関する。
電気機器や電子機器の異常高温時の過熱損傷を保護するために機器の回路中に組み込まれる温度ヒューズは、異常高温時に感温ペレットが動作温度で溶融して強圧縮ばねの発力を除荷し、強圧縮ばねが伸長することにより、その強圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリードピンとが離隔して電流を遮断する安全部品である。
可動電極とリードピンとが離隔して電流を遮断する際に、可動電極とリードピンとの間にアークが発生し、そのアーク熱によって溶融したリードピンと可動電極との間で溶着現象が発生して電流遮断が妨げられる場合があり、可動電極の材料特性として耐溶着性が求められる。
また、平常時の温度ヒューズは、回路中に微小な通電状態で保持されるため、可動電極地リードピンにおいては低抵抗かつ小型であることが求められる。
このため、可動電極材料は、IACS30%以上の高導電率を有し、0.1mm以下の薄板である必要がある。
この温度ヒューズに用いる可動電極材料としては、Ag−Cu系合金に内部酸化処理を施したAg−Cu酸化物系合金が主流となりつつある(例えば特許文献1)。
さらに近時では、このAg−Cu酸化物系合金の材料価格低減や更なる薄板化も求められている。
この耐溶着性および材料価格低減の要求に対しては、Ag−Cu系合金中のCuの含有量を増やすことで、内部酸化処理後におけるAg−Cu酸化物系合金中のCu酸化物含有量を増加させる代わりにAg含有量を減少させることによって対応が可能である。
しかしながら、温度ヒューズは可動電極とリードピンとの接触面が通電状態で保持される為、導電性に乏しいCu酸化物含有量が増加すると、接触面における接触抵抗値が増大してその発熱による温度上昇が大きくなり、電子機器や電気機器の異常高温でない時に温度ヒューズが電流遮断してしまうおそれがあった。
さらに、Ag−Cu酸化物系合金は、Cu酸化物含有量の増加に伴い、圧延加工性が著しく低下し、内部酸化処理後の圧延工程において薄板に加工することが困難となる。
そこで、材料の最表層のみにAg−Cu酸化物系合金層を形成し、かつ材料中央部にCu系合金からなる基板層を有する多層クラッド構造の可動電極材料が開発された(例えば、特許文献2)。
特許第4383859号公報 WO/2014/091634
この多層クラッド構造の可動電極材料は、従来のAg−Cu酸化物系合金に比べ、Ag含有量の減少に伴う材料価格低減を実現させつつ、十分な圧延加工性を有する。
しかし一方で、多層クラッド構造中の基板層を厚くするほど、Ag−Cu酸化物系合金層の厚みが減少する。
本発明者がこの多層クラッド構造の可動電極材料を調査した結果、多層クラッド構造は従来のAg−Cu酸化物系合金に比べて、耐溶着性が劣る結果となった。この傾向は、耐溶着性を担うAg−Cu酸化物系合金の厚みが薄くなるほどに顕著であった。
このため、異常高温時に大きな過電流が流れた温度ヒューズにおいて、多層クラッド構造の可動電極材料は、可動電極とリードピンとが離隔する際、電流を安定的に遮断できずに溶着する頻度が従来のAg−Cu酸化物系合金に比べて多く、温度ヒューズの安全部品としての信頼性が低下する。
このように従来の可動電極材料では、導電率、耐溶着性、接触抵抗値や圧延加工性等の諸特性を維持あるいは向上させつつ、これ以上の材料価格低減を実現することが非常に困難であった。
そこで本発明では、これらの従来技術と比較し、導電率、耐溶着性、接触抵抗値や圧延加工性等の諸特性を維持あるいは向上させつつ、材料価格低減を両立した温度ヒューズ用材料を提供することを目的とする。
そこで本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、従来の多層クラッド構造の可動電極材料の基板層にはCu系合金を適用しているが、Cu-酸化物系合金を使用することにより耐溶着性の大幅な向上が見込めることがわかった。
すなわち、本発明はAg−Cu酸化物系合金からなる接点層を表層に有し、かつ酸化物を含んだ基板層を材料内部に形成した多層構造を有する温度ヒューズ用可動電極材料とするものである。
Cu−酸化物系合金中の酸化物は、Cu、Al、In、Ti、Sn、Si、Cr、Fe、Co、Re、Zr、Nb、Zn、Niの群から選択された少なくとも1種の酸化物を0.1〜20質量%含むことが好ましい。
特に好ましくは、Cu、Al、In、Niの群から選択された少なくとも1種の酸化物を0.1〜10質量%含むことである。
ここで、Cu−酸化物系合金中の酸化物含有量を0.1〜20質量%とした理由は、酸化物含有量が0.1質量%未満になると耐溶着性向上への顕著な効果が発現せず、酸化物含有量が20質量%を超えると塑性加工性が低下して薄板状に加工するのが困難となり、導電率が30%IACSを下回るからである。
なお、30%IACS以上を満たし、かつ0.1mm以下の薄板状へ塑性加工が可能であれば、どのような種類の酸化物をどのような酸化物形態で何種類、何質量%含んでもよい。
また同様の理由で、Cu−酸化物系合金中の母相にはCuを使用しているが、AlやMg等のどのような他の母相に代替しても良い。
Cu−酸化物系合金中で分散する酸化物粒径に関しては、粒径が微細なほど機械的強度は向上するが、導電率は低下する。
一方、粒径が粗大なほど導電率は向上するが、薄板状にするほど塑性加工性の無い粗大な酸化物が可動電極材料の圧延加工性を低下させて0.1mm以下の薄板状へ塑性加工困難となり、さらに機械的強度も低下する。可動電極材料は複雑形状にプレス加工等により成形される為、機械的強度が低すぎるとバリやダレを発生しやすく、所望寸法に成形することが困難となる。
さらに、異常高温時の温度ヒューズ動作時、リードピンと可動電極間のアーク熱によって溶融した可動電極において、Cuの流体密度と各種酸化物との密度差が大きく、かつ酸化物粒径が大きいほうが、酸化物が流体表面に素早く凝集する為、アーク放電を素早く消弧して溶着を防ぎ、遮断する効果が高まる。
これらの理由により、分散する酸化物粒子の粒径は15μm以下が好ましく、より好ましくは1〜8μmである。
そこで、この多層クラッド構造特有の特性を活かし、Cu−酸化物系合金中の酸化物の分散状態に傾斜変化を付与してもよい。例えば、特に耐溶着性が要求されるCu−酸化物系合金の表層付近は粒径が大きな酸化物を配置しつつ、Cu−酸化物系合金の中心部にはCu酸化物量が希薄な層もしくは純Cuの層などの高導電率の層を配置すれば、均一な酸化物分散状態のものに比べて、圧延加工性に優れ、温度ヒューズ通電時は導電率が高く、遮断時にはアーク消弧性能を高める特性を発現させることを図れる。
本発明は、従来技術であるAg−Cu酸化物系合金を可動電極材料の最表層に接点層として有する。これは、Ag−Cu酸化物系合金は、適度な酸化物量であれば安定的で優れた接触抵抗値を有することに着目したものである。
すなわち、Ag−Cu酸化物系合金は、Cuを0.1〜25質量%含み、さらに必要に応じてSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含むAg−Cu系合金に内部酸化処理をすることにより得られる。
ここで、前記Ag−Cu合金中のCuの添加量を0.1〜25質量%とした理由は、内部酸化処理後において、Cuの含有量が0.1質量%未満では酸化物が不足し、温度ヒューズ用電極材料として使用するのに十分な信頼性が得られないためである。
これは、温度ヒューズは通電状態のまま高温で長時間保持される為、材料表面の酸化物量が少ないとリードピンと可動電極との間で固相拡散を起こして粘着状態になりやすく、異常温度時にリードピンと可動電極を確実に離隔できない場合がある為である。なお、高い信頼性が必要とされないような規格の温度ヒューズであれば、純Agであっても良い。
また、Cuの含有量が25質量%を超えると、以降で詳細に説明するが、内部酸化処理時に酸素をAg−Cu合金中に侵入させようとしても、酸素が主にCuと結合して表面付近で酸化皮膜を形成してしまい、酸化物粒子をAgマトリックス中に分散させて生じさせることが難しくなる。
可動電極材料の各層の層厚は、接点層の層厚は可動電極材料の板厚方向への断面積比率において可動電極材料最表層から1〜40%であり、残りの断面積比率が基板層であることが好ましい。1%未満だと接点層厚を均一に形成することが困難となる。40%を超えると圧延加工性が低下して薄板状へ加工困難となり、高価な貴金属であるAgを含有する層の断面積比率が大きくなるため、材料価格の面で好ましくない。
本発明に係る温度ヒューズ用電極材料の製造方法としては、クラッド加工が最も好ましい。
クラッド加工は、基板層となるCu−酸化物系合金の板材や、接点層となるAg−Cu酸化物系合金の板材を熱間圧延加工により拡散接合し、各種層からなる多層構造材を形成する方法である。本発明ではこのようにクラッド加工しているが、Cu−酸化物系合金の基材に対して各層を構成する角線、丸線またはパイプ等をクラッド加工しても良いし、めっき法、プラズマ溶射、ガス溶射、高速フレーム溶射、コールドスプレー法等の溶射での積層、空中や液中での断続的な放電、パルス等の放電による積層およびPVD等の蒸着法による積層等でも良い。
なお、接点層は温度ヒューズ動作時のアーク発生部の最表面に配置されていれば、どのような配置であっても良い。また、クラッド加工の接合強度が不足する場合には、各層間にAg、NiやCu等の接合層を設けても良い。
上記クラッド加工に用いるAg−Cu酸化物系合金の板材は、Ag−Cu合金の板材に内部酸化処理を施すことで作製する。
内部酸化処理は、Ag−Cu合金において、Agマトリックス中にあらかじめ含有されたCuが、材料表層からAgマトリックス中に吸蔵される酸素と結び付くことにより、Agマトリックス中に酸化物として析出するという過程をとる。このとき、溶質元素であるCuは、Ag−Cu合金の材料内部から材料表層に向かって拡散する現象が生じる。
この溶質元素が材料表層に向かって拡散する現象は、Ag−Cu合金の材料表面から材料内部に向かって析出した酸化物で形成される内部酸化層と、時間の経過により酸化物の析出が起きていない未酸化層との間でCuの濃度に差が生じ、その濃度勾配を埋めるために未酸化層から表層に向かいCuが拡散する現象である。このため、常にAgマトリックス中の他元素の酸化に必要な酸素量を上回る酸素を供給して行う。
上記Ag−Cu合金中において、さらに必要に応じてSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%を添加すると、内部酸化処理時の濃度勾配による拡散現象を抑制し、その結果、析出する酸化物の移動による凝集を抑制することで酸化組織を微細にし、均質な分散が得られる。さらに、Cuとの複合酸化物、例えば(Cu−Sn)Oxとなり、耐溶着性を向上させる効果がある。
0.01質量%より少ないと内部酸化処理時の溶質元素の移動を十分に抑制できず、酸化物の均質な分散が得られないためであり、5質量%を超えると結晶粒界などに粗い酸化物を形成し、接触抵抗の上昇を招くためである。なお、内部酸化の温度、圧力、時間にはそれぞれ相関関係があり、例えば内部酸化時間を短時間で行うには、温度と圧力を高くして調整するなど、内部酸化処理を施す材料によってそれぞれ最適な条件を選択する必要がある。
上記クラッド加工に用いるCu−酸化物系合金の板材は、所望組成かつ所望粒径となるように各種酸化物の微粉末とCu粉末とを秤量して均一に混合し、これら混合粉末を無酸素銅容器へ充填して予備焼結する。次に、これを熱間押出し加工後、切削加工、圧延加工を施してCu−酸化物系合金の板材とした。
温度ヒューズ用可動電極材料には、温度ヒューズの使用用途により種々の成分組成や各種最終板厚があるが、温度ヒューズの機構上、0.1mm以下の薄板材が用いられる。しかしながら、薄板へ均一にクラッド加工することが困難であるため、クラッド加工後の厚い材料を圧延加工により薄板化する必要がある。なお、クラッド加工後の材料において、加工性が悪く、圧延加工時の割れおよび破断と内部酸化層の割れ等が生じる場合には、せん断加工もしくは熱処理を必要に応じて施しても良い。
以上、温度ヒューズの可動電極材料について詳細に説明したが、可動電極材料に求められる諸特性は、可動電極と接するリードピンやその他電極についても同様であることから、リードピンやその他の電極の材料についても本発明は適用可能である。
本発明は、接点層(最表層)にAg−Cu酸化物系合金を有するクラッド構造による電極材料において、Cu−酸化物系合金の基板層を材料中央部に形成したことにより、従来のクラッド構造に比べて耐溶着性が向上すると共に導電率、接触抵抗値や圧延加工性を維持あるいは向上させつつ、材料価格低減を実現することができる。
また、Cu−酸化物系合金中の酸化物分散状態に傾斜変化を持たせることで、導電率、耐溶着性や圧延加工性を向上させることが可能であり、線形状等とすることで、温度ヒューズのリードピン材料やその他電極材料としても適用可能である。
Ag−Cu酸化物系合金の板材長手方向断面説明図 3層構造を有する電極材料の長手方向断面説明図 多層構造を有する電極材料の長手方向断面説明図 従来技術の3層構造を有する電極材料の長手方向断面説明図
以下に本発明の実施例を説明し、その詳細を表1および表2に示す。
電極材料No.1〜42のAg−Cu合金を溶解法で作製し、圧延加工を施し、板厚0.5mmのAg−Cu合金板材とした。
このAg−Cu合金板を、内部酸化炉中で500℃〜750℃、2〜72時間、酸素分圧0.1〜2MPaの範囲内で電極材料No.1〜42の各組成により条件を選択し、内部酸化処理を行ってAg−Cu酸化物系合金の板材(図1)とした。
一方、電極材料No.1〜42に当該する所望の各組成のCu−酸化物系合金は、所望組成かつ所望粒径となるように各種酸化物の微粉末と無酸素Cu粉末とを秤量して均一に混合し、これら混合粉末を無酸素Cu容器へ充填して予備焼結した。次に、これを熱間押出し加工後、面削加工、圧延加工を施してCu−酸化物系合金板(板厚2.0mm)とした。
その後、これらAg−Cu酸化物系合金板およびCu−酸化物系合金板をクラッド加工して多層クラッド板(図2)を得た。
クラッド加工の条件としては、Ag−Cu酸化物系合金の板材およびCu-酸化物系合金の板材のそれぞれに2つの通電ロールを設け、不活性雰囲気下でそれぞれの通電ロール間を電流加熱しつつ、Cu-酸化物系合金板材の長手方向の表裏両面にAg−Cu酸化物系合金の板材が重なるように圧着ロール間へ連続的に送り込み、200〜750℃で圧下率50%の熱間圧延を施して、接点層と基板層を有する多層構造材を作製した(図2)。
つぎに、図2に示される多層構造を有したまま焼鈍と冷間圧延加工を繰り返し、最終板厚を0.1mm以下に加工し、電極材料No.1〜42に当該する温度ヒューズ用可動電極材料を作製した。さらに、クラッド加工前にCu−酸化物系合金板へ各種メッキ処理(Ag、Cu、Ni)を接合層として施した以外は同様にして、多層構造を有する電極材料(図3)を得た。なお、メッキ処理を施したことによる温度ヒューズ用電極材料の諸特性への影響は、クラッド加工性が向上した以外にはメッキの無い電極材料No.1〜42と差異はなかった。
従来技術のAg−Cu酸化物系合金による比較例を表3に示す。電極材料No.43〜75に当該する所望の各組成のAg−Cu合金を溶解法で作製した。Ag−Cu合金は、圧延加工を施し、Ag−Cu合金板(板厚0.5mm)とした。
このAg−Cu合金板を、内部酸化炉中で500℃〜750℃、2〜72時間、酸素分圧0.1〜2MPaの範囲内で電極材料No.43〜75の各組成により条件を選択し、内部酸化処理を行ってAg−Cu酸化物系合金の板材(図1)とした。その後、このAg−Cu酸化物系合金の板材に焼鈍と冷間圧延加工を繰り返し、最終板厚を0.1mm以下に加工し、従来技術による比較例として、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
また、従来技術の多層クラッド構造による比較例として、Cu−酸化物系合金の板材を無酸素Cuの板材に置き換えた以外は本発明の実施例と同様にして、図4に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、電極材料No.76〜108の温度ヒューズ用可動電極材料を作製した。詳細を表4に示す。
つぎに、以上説明した本実施例と従来技術による比較例とを比較評価し、その結果を表1〜4に示す。
Ag−Cu合金板に含まれる成分組成は、波長分散型電子顕微鏡およびICP発光分析装置を用いて定量分析を行い、成分組成の残部であるAgおよび不可避不純物は残と記載した。Cu-酸化物系合金板に含まれる成分組成も同様に定量分析を行い、成分組成の残部であるCuおよび不可避不純物は残と記載した。
圧延加工性は、0.1mm以下の温度ヒューズ用可動電極材料へ冷間圧延加工できたものを+、できなかったものを−と評価した。評価−とした理由としては、圧延加工時の割れおよび破断と内部酸化層の割れ等が挙げられる。
導電率のIACSは、温度ヒューズ用電極材料の4端子法での電気抵抗測定結果と、温度ヒューズ用電極材料の板寸法より体積抵抗率を求め、%IACSへ換算した。温度ヒューズ用電極材料のIACSが30%IACS以上のものを+、30%IACS未満であるものを−と評価した。
可動電極材料の板厚方向への接点層の断面積比率は、可動電極材料を樹脂埋め込み研磨にて断面組織観察を行って可動電極材料板厚と接点層の層厚を測定し、接点層厚を可動電極材料板厚で除した100分率で算出した。なお、本実施例では比較評価のために、板材の表裏両面に同じ断面積比率の接点層を形成したが、温度ヒューズに求められる諸特性により、表と裏で材質や断面積比率に違いを付与したりしてもよい。
Cu−酸化物系合金に含まれる酸化物の粒径は、温度ヒューズ用電極材料を樹脂埋め込み研磨にて断面組織観察を行い、金属顕微鏡にて酸化物粒子の平均粒径を測定した。
実施例および比較例の温度ヒューズ用電極材料は、必要に応じて熱処理によって所望の硬さに調整した後、プレス加工等によって所定形状の可動電極に加工することで、感温材が作動温度で溶融して圧縮ばね除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する市販の典型的な感温ペレット型温度ヒューズに好適に利用できる。
そこで、実施例および比較例の温度ヒューズ用電極材料を必要に応じて熱処理によって所望の硬さに調整した後、プレス加工によって所定形状の可動電極に加工し、上記可動電極を市販の感温ペレット型温度ヒューズに実装し、AC275V、25Aに設定して通電試験および電流遮断試験を行った結果を表2、表3および表4に示す。
通電試験は、温度ヒューズに10分間通電して、試験前後の温度ヒューズ金属ケースの表面での温度差が10℃未満のものを+とし、10℃以上のものを−と評価した。
電流遮断試験は、温度ヒューズに10分間通電した後、通電を続けながら試験環境の温度を、昇温速度1℃毎分、動作温度220℃よりも10℃高い温度に昇温し、温度ヒューズを実際に動作させ、電流の遮断を試みた。試験後、可動電極とリード線とが溶着しなかったもの、つまり電流を遮断できたものを+、溶着して電流を遮断できなかったものを−と評価した。
Figure 0006530267
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1 接点層(最表層)
2 Cu−酸化物系合金の基板層
3 酸化物
4 無酸素の基板層
5 接合層
6 従来技術によるAg−Cu酸化物系合金

Claims (9)

  1. Cuが酸化物としてAgに含まれるAg−Cu酸化物系合金の接点層を材料最表層に形成し、
    かつ酸化物がCuに含まれるCu−酸化物系合金の基板層を材料中央部に形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  2. Cuを0.1〜25質量%含み、残部がAgと不可避不純物からなり、Cuが酸化物としてAgに含まれるAg−Cu酸化物系合金の接点層を材料最表層に形成し、
    かつ酸化物がCuに含まれるCu−酸化物系合金の基板層を材料中央部に形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  3. Cuが複合酸化物としてAgに含まれるAg−Cu酸化物系合金の接点層を材料最表層に形成し、
    かつ酸化物がCuに含まれるCu−酸化物系合金の基板層を材料中央部に形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  4. Cuを0.1〜25質量%含み、さらにSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.01〜5質量%含み、残部がAgと不可避不純物からなり、Sn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種がCuとの複合酸化物としてAgに含まれるAg−Cu酸化物系合金の接点層を材料最表層に形成し、
    かつ酸化物がCuに含まれるCu−酸化物系合金の基板層を材料中央部に形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、接点層の層厚は、電極材料総厚の断面積比率において電極材料最表層から1〜40%であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれかの基板層において、Cu、Al、Niの群から選択された少なくとも1種の酸化物を合計で0.1〜20質量%含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−酸化物系合金を用いたことを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  7. 請求項において、Cu−酸化物系合金中の酸化物平均粒径が15μm以下であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  8. 請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、導電率が30%IACS以上であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  9. 請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、基板層に隣接するように接合層を形成し、接合層がAg、Cu、Niの群から選択された少なくとも1種からなることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
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