JP6099672B2 - 温度ヒューズ用電極材料およびその製造方法 - Google Patents

温度ヒューズ用電極材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器や家電用電気製品において、それらの機器が異常高温となるのを防止するために取り付ける温度ヒューズ用の電極材料およびその製造方法に関する。
電子機器や電気機器が異常高温となるのを防止するために取り付ける温度ヒューズは、感温ペレットが動作温度で溶融して強圧縮ばねの発力を除荷し、強圧縮ばねが伸長することにより、その強圧縮ばねにより圧接されていた電極材料とリード線とが離隔して電流を遮断するものである。
この温度ヒューズに用いる電極材料としては、Ag−酸化物合金が主流となりつつある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
電極材料は、温度ヒューズの機構上、0.1mm以下の薄板が用いられるもので、リード線との接触面が長時間にわたって通電状態のまま保持されるために、リード線もしくは金属ケースとの溶着現象を引き起こしやすく、材料特性として耐溶着性が求められる。さらに近時では、Ag−酸化物合金の材料価格低減も求められている。
この耐溶着性および材料価格低減の要求に対しては、Ag−酸化物合金中の酸化物の含有量を増やし、Agの含有量を減少させることによって対応することが可能である。
しかしながら、Ag−酸化物合金は、酸化物の増加に伴い、圧延加工性が著しく低下し、内部酸化後の圧延工程において薄板に加工することが困難となる。
特開平10−162704号公報 特許第4383859号公報
近時、温度ヒューズ用電極材料に求められる耐溶着性、低い接触抵抗および加工性等の諸特性を維持しつつ、より一層の材料価格低減を目的として、高価な貴金属であるAgの含有量をさらに減少させることが求められている。
しかしながら、従来の製造方法では、Ag−Cu合金中のCuの含有量が50質量%に近づくにつれて酸化物含有量が増加するのに伴い、接触抵抗が上昇し、導電性が悪化することにより温度上昇を招き、温度ヒューズ用の電極材料には適さなくなる。このため、Ag−Cu合金中のAgの含有量を減少させることによるこれ以上の材料価格低減が困難であった。
また、内部酸化物層は酸化物を含んで硬いため、圧延加工性が乏しくなり、圧延加工性を向上させるには、酸化物含有量を減少させる必要があった。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
そこで本発明は、不可避不純物を含む純CuもしくはCu合金からなる基板の長手方向の表裏両面に対して、めっき法により、1種以上のAg合金、1種以上のCu合金、並びに、Ag、Cu、Sn、In、Ti、Fe、Ni、Coの中から少なくとも1種以上選ばれた合金による金属層を、少なくとも1層以上積層させることによって構成される多層構造材を形成し、これに内部酸化処理を施すことで、前記多層構造材の中央部に基板層を有し、かつ前記多層構造材の表裏両面の表層のみもしくは片面の表層のみに内部酸化層を形成した多層構造を有する温度ヒューズ用電極材料とするものである。熱処理時もしくは内部酸化処理時の熱により、前記金属層の少なくとも1層の構成成分の一部を、隣接する他の層へ拡散および合金化させて拡散合金化層を形成しても良い。なお、本発明でいう表層の定義とは、上記多層構造材の最表面から単層もしくは多層の金属層の層厚の総和以下の範囲のことを指すが、金属層の層厚の総和が基板層の表裏両面で相違する場合には、相違する総和の各々の範囲以下とする。
上記のような多層構造を有する温度ヒューズ用電極材料は、材料の大部分を占める安価な上記基板層がAgを含まないため、従来の製造方法に比べてより一層の材料価格低減を可能とし、さらに上記基板層が加工性に富んでいるため、内部酸化層中の酸化物含有量は維持しつつ、内部酸化後の材料を圧延加工する際の加工性を向上させることに成功した。
各層の組成として、上記基板層おいては、不可避不純物を含む純Cuが好ましい。もしくは、耐熱性、導電性もしくは機械的性質を向上させる目的で、Ti、Cr、Be、Si、Fe、Co、Zr、Zn、Sn、Ni、P、Pbの群から選ばれた少なくとも1種を含むCu合金を用いても良い。
上記金属層のAg合金は、Cuを0.01〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金が好ましい。
上記金属層のCu合金は、Agを0.01〜50質量%含み、かつ残部がCuおよび不可避不純物を含む合金が好ましい。
熱処理もしくは内部酸化処理により、少なくとも1層の金属層の構成成分の一部を隣接する他の金属層へ拡散および合金化させた後の拡散合金化層は、Cuを1〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金または上記範囲の濃度勾配を有すること、あるいはCuを1〜50質量%含み、さらにSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金もしくは上記範囲の濃度勾配を有することが好ましい。
ここで、拡散合金化層のCuの含有量を1〜50質量%とした理由は、内部酸化処理後において、Cuの含有量が1質量%未満では、酸化物が不足し、温度ヒューズ用電極材料として使用するのに十分な耐溶着性が得られないためである。Cuの含有量が50質量%を超えると、酸化物含有量の増加よって内部酸化層の加工性が著しく低下し、内部酸化層に割れが生じやすくなる。さらに、内部酸化処理により酸素を拡散合金化層中に侵入させようとしても、酸素が主にCuと結合して表面付近で酸化皮膜を形成してしまい、酸化物粒子をAgマトリックス中に分散させて生じさせることが難しくなる。また、酸化物含有量の増加によって内部酸化層の加工性が著しく低下し、内部酸化層に割れが生じやすくなるためである。
これらの理由により、内部酸化処理もしくは熱処理により構成成分の一部を隣接する他の層へ拡散および合金化させて拡散合金化層を形成する場合には、拡散後もしくは合金化後の金属層のCuの含有率が1〜50質量%の範囲に収まるように積層する各金属層の層厚、内部酸化処理の条件および熱処理の条件を調整することが好ましい。
ただし、Cuの含有量が1〜50質量%の範囲であれば、拡散合金化層を形成せずに、Ag合金またはCu合金の金属層を単層で用いてもよい。
さらに、多層構造材の最表面にCuが1質量%未満のAg合金もしくはAgを積層させる場合には、上記と同じ理由により、これを隣接する他の金属層と内部酸化処理もしくは熱処理により拡散および合金化させて拡散合金化層を形成し、拡散合金化層のCuの含有率が1〜50質量%に調整することが好ましい。
本発明における金属層の積層方法としては、電解めっき法が好ましい。電解めっき法は、金属層を構成する金属塩を含むめっき液を用いて、基板に電解でめっきを行う方法である。なお、無電解めっき法でも積層可能である。また、他の積層方法としては、クラッド法、スパッタリング法、プラズマ溶射、ガス溶射、高速フレーム溶射、コールドスプレー法等の溶射での積層、空中や液中での断続的な放電、パルス等の放電による積層およびPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Cemical Vapor Deposition)等の蒸着法による積層等が挙げられる。
上記本発明に係る温度ヒューズ用電極材料の製造方法は、上記製造方法を組み合わせた方法でもよく、例えば、基板層を材料中央部として、片面はクラッド法、反対側の面はめっき法としてもよい。
さらに、基板層を材料中央部として、各種層を表裏非対称に配置してもよい。例えば、片面の表層は内部酸化層、反対側の面の表層は後述する保護層としてもよい。
本発明における電解めっき法では、表面処理を施した基板を、めっき浴に浸漬して金属層を形成する。本発明の金属層を形成する際の条件は、特に限定されないが、例えば、以下に示す条件とすることが好ましい。
めっき浴に浸漬する時間は、目的とする金属層厚により適宜に決定する。金属層の厚みは特に限定されないが、0.5μm〜200μmの範囲であることが好ましい。金属層の厚みが上記範囲未満であると、金属層に対して内部酸化処理を施した後の内部酸化層厚が薄くなり、温度ヒューズ用可動電極として機能させる場合に、耐溶着性が不足して溶着が発生しやすくなる。また、金属層厚みが上記範囲を超えても、金属層を設けることによる効果に差はないが、めっき時間が長時間になり生産性が低下して製造費用が高くなるため好ましくない。
積層する金属層の層数は、基板の片面の多層金属層において最大9層までが好ましい。金属層の層数が上記範囲を超えても、金属層の層数を増やすことによる効果に差はないが、めっき時間が長時間になり、生産性が低下して製造費用が高くなるため、好ましくない。
少なくとも1層の金属層の構成成分の一部を、隣接する金属層へ拡散および合金化させる場合の拡散合金化層の層厚は、前記と同様の理由により、0.5〜100μmの範囲が好ましい。また、後述する保護層としての金属層の層厚においては、0.5μm〜200μmの範囲が好ましい。0.5μmよりも薄い場合は、酸化処理時の基板への酸素の侵入を十分に妨げられないことがある。
めっき浴の温度は、めっき速度や形成される金属層の品質などを考慮して適宜決定できるが、20℃〜80℃の範囲とすることが好ましい。めっき浴の温度が20℃未満であると、めっき速度が遅くなり、生産性に支障を来たす場合がある。また、めっき浴の温度が20℃未満であると、金属層が硬くなり高電流密度で使えなくなる場合がある。めっき浴の温度が80℃を超えると、金属層が粗面化し、光沢と均一電着性が悪くなる場合がある。
めっき浴の電流密度は、めっき速度や形成される金属層の品質などを考慮して適宜決定できるが、0.1〜50A/dm2の範囲とすることが好ましい。めっき浴の電流密度が0.1A/dm2未満であると、めっき速度が遅くなり、生産性に支障を来たす場合がある。また、めっき浴の電流密度が50A/dm2を超えると、めっき被膜が粗面化し、好ましくない。
めっき浴のpHは、イオン供給源のめっき液浴組成の種類によって、適宜調整される。さらに、金属層の形成された多層構造材に対して、水や有機溶剤で洗浄する洗浄処理を必要に応じて行うことが好ましい。
上記積層方法にて作製した多層構造材は、必要に応じて圧延加工および熱処理を施しても良い。なお、熱処理を施すことにより、隣接する金属層と拡散および合金化して拡散合金化層を形成させる効果のほかに、積層させた金属層を基板に定着させる効果がある。
本発明は、上記積層方法にて作製した多層構造材の表層に内部酸化法を用いて内部酸化組織を形成することを特徴とするものである。
上記金属層の積層の順として、1種以上のAg合金、1種以上のCu合金、AgおよびCuの群から選ばれた少なくとも2種以上の金属層を上記基板に多層にして積層させる場合には、積層させる金属層と隣接する他の金属層とが異種金属になるように積層させることが好ましい。
なお、多層構造材の最表面には、CuもしくはCu合金は積層しないほうが好ましい。これは、内部酸化処理を施す多層構造材の表面付近において、Cuの含有量が50質量%を超えると、内部酸化処理により酸素を金属層中に侵入させようとしても、酸素が主にCuと結合して表面付近で酸化皮膜を形成してしまい、酸化物粒子をAgマトリックス中に分散させて生じさせることが難しくなるためである。
Sn、In、Ti、Fe、およびNiの群から選ばれた少なくとも1種の金属層についても、多層構造材の最表面に当該金属層を積層すると、内部酸化処理により酸素を金属層中に侵入させようとしても、多層構造材の最表面付近で酸化皮膜を形成してしまい、内部酸化層が形成されない。多層構造材の表面付近で酸化皮膜が形成されると、接触抵抗が上昇することにより温度上昇を招くので、温度ヒューズ用電極材料として好ましくない。また、Sn、In、Ti、FeおよびNiの群から選ばれた少なくとも1種の金属層においては、保護層を形成すること目的として積層することを除いて、単層で金属層中に積層されたまま内部酸化処理を施しても、前記単層より材料内部の内部酸化組織の形成が妨げられるので、内部酸化処理前に熱処理により隣接する他の金属層と拡散および合金化をする必要がある。この為、Sn、In、Ti、Fe、およびNiの群から選ばれた少なくとも1種の金属層においては、隣接する金属層がAg、Cu、Ag合金、もしくはCu合金になるように積層させ、かつ隣接する金属層と拡散および合金化させることが好ましい。
Sn、In、Ti、Fe、およびNiの群から選ばれた少なくとも1種の金属層を、上記基板の表裏両面もしくは片面に、保護層を形成することを目的として積層させた場合には、内部酸化処理時の基板への酸素の侵入を妨げ、内部酸化層の剥離を防止する効果がある。この為、多層構造材の片面の表層のみに内部酸化組織を形成する場合においても、保護層として特に有効である。
内部酸化法は、隣接する他の層と拡散および合金化が生じた拡散合金化層中、または単層金属層中において、Agマトリックス中に含有されたCuが、多層構造材の表層からAgマトリックス中に吸蔵される酸素と結び付くことにより、Agマトリックス中に酸化物として析出するという過程をとる。このとき、溶質元素であるCuは、材料内部から表層に向かって拡散する現象が生じる。
この溶質元素が材料内部から表層に向かって拡散する現象は、上記多層構造材の材料表面から内部に向かって析出した酸化物で形成される内部酸化層と、時間の経過により酸化物の析出が起きていない未酸化層との間でCuの濃度に差が生じ、その濃度勾配を埋めるために、未酸化層から表層に向かいCuが拡散する現象である。このため、常にAgマトリックス中の他元素の酸化に必要な酸素量を上回る酸素を供給して行う。
従来例として比較例に挙げたAg−酸化物合金において、酸化物希薄層とは、所望組成のAg−Cu合金に内部酸化処理を長時間施して内部酸化層を形成することで、時間の経過により酸化物の析出が起きていない未酸化層が無くなり、Ag−Cu合金としてAg中にあらかじめ含有された溶質元素であるCuがほぼ失われ、材料中心部に酸化物が希薄に形成された層のことをいう。なお、比較例における酸化物希薄層の定義とは、酸化物の濃度が約1質量%より低い層のことであり、Ag−酸化物合金板の断面比率で10%以下の範囲のことをいう。また、本発明における未酸化層の定義とは、内部酸化層とは別に、酸化物が含まれない層のことであり、Ag−酸化物合金板の断面比率で90%以下の範囲のことをいう。
溶質元素が未酸化層から表層に向かって拡散する過程においては、上記拡散合金化層中にSn、In、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種を加えることにより、濃度勾配による拡散現象を抑制し、その結果、析出する酸化物の移動による凝集を阻害することで酸化組織を微細にし、均質な分散が得られる。さらに、Cuとの複合酸化物、例えば(Cu−Sn)Oxとなり、耐溶着性を向上させる効果がある。
ここで、上記拡散合金化層において、Sn、In、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%とした理由は、0.01質量%より少ないと内部酸化処理時の溶質元素の移動を十分に抑制できず、酸化物の均質な分散が得られないためであり、5質量%を超えると結晶粒界などに粗い酸化物を形成し、接触抵抗の上昇を招くためである。また、金属層としてSn、In、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた1種以上の金属層を少なくとも1層積層させ、かつ、構成成分の一部を隣接する金属層へ拡散および合金化させて拡散合金化層を形成する場合には、前記理由により、拡散合金化層の溶質元素の含有率が0.01〜5質量%の範囲に収まるように、積層する各金属層の層厚、内部酸化処理の条件および熱処理の条件を調整することが好ましい。
本発明は、上記内部酸化処理において、多層構造材の表裏両面の拡散合金化層の表層もしくは片面の表層のみが内部酸化組織となるようにすることを特徴とし、そのための内部酸化条件を、所望の板厚にて内部酸化炉中で500℃〜750℃、0.25時間以上、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で調整している。これによって拡散合金化層の表層に内部酸化層、材料中層部に未酸化層、材料中心部に基板層を形成することができる。内部酸化層に分散する酸化物粒子の平均粒径は0.5〜5μmであり、好ましくは1〜4μmであり、より好ましくは2〜3μmである。酸化物粒子の平均粒径が0.5μm未満ではリード線と可動電極との接触部において酸化物粒子の粒径が微細なため、溶着しやすくなり、一方、酸化物粒子の平均粒径が5μmより大きいと、接触抵抗が高くなるため、溶着しやすくなる。
内部酸化処理時の酸素分圧は、酸化物粒子の平均粒径を0.5〜5μmに調整する上で重要である。内部酸化条件の内部酸化処理時の酸素分圧は0.1〜2MPaが好ましい。すなわち、酸素分圧が0.1MPa未満であると内部酸化層を均一に形成することが難しく、酸化物粒子の平均粒径が5μm より大きくなり、酸素分圧が2MPaより大きいと酸化物粒子の平均粒径が0.5μm未満となって前述のように溶着しやすくなる。
内部酸化処理時の温度は500℃〜750℃が好ましい。500℃より低いと十分に酸化反応が進まず、一方、750℃より高温であると、酸化物希薄層の厚さや酸化物粒子の大きさを制御しにくくなる。
内部酸化処理の時間は、目的とする内部酸化層の層厚、未酸化層の層厚、保護層の有無、金属層の組成、拡散合金化層の組成、多層構造材の板厚、前述した内部酸化時の温度および酸素分圧により適宜調整する必要がある。
内部酸化処理の時間は、目的とする内部酸化層の層厚にもよるが、0.25時間以上が好ましい。すなわち、内部酸化時間が0.25時間未満であると内部酸化層を均一に形成することが難しい。内部酸化時間が0.25時間未満であると、内部酸化層を均一かつ十分に形成することが難しく、温度ヒューズ用電極材料として用いた際にリード線もしくは金属ケースとの溶着現象を起こす恐れがある。内部酸化時間には特に上限は無く、内部酸化時間の増大に比例して内部酸化層の層厚が厚くなる。しかしながら、基板層が内部酸化されると各層の剥離の原因となる為、基板層に内部酸化処理が施されないように、基板層に対する金属層の層厚の比率を高めるか、多層構造材の板厚が厚い状態で内部酸化処理を入れる必要がある。また、保護層を基板の表裏両面に形成させた場合には、内部酸化処理時の基板への酸素の侵入を妨げ、内部酸化層が基板から剥離するのを防止する効果がある。
なお、内部酸化の温度、圧力、時間にはそれぞれ相関関係があり、例えば内部酸化時間を短時間で行うには、温度と圧力を高くして調整するなど、内部酸化処理を施す材料によってそれぞれ最適な条件を選択する必要がある。
温度ヒューズ用電極材料は、温度ヒューズ使用用途により種々の成分組成や各種最終板厚があるが、温度ヒューズの機構上0.1mm以下の薄板材が用いられる。しかし、薄板材に内部酸化処理を均一に行うことが難しいため、内部酸化後の材料を圧延加工により薄板化する必要がある。なお、内部酸化後の材料において、加工性が悪く、圧延加工時の割れおよび破断と内部酸化層の割れ等が生じる場合には、せん断加工もしくは熱処理を必要に応じて施しても良い。
本発明の内部酸化後の圧延工程および焼鈍工程における従来の製造方法との相違点として、電極材料中心部に加工性に富んだCuもしくはCu合金からなる基板を設けたことにより、内部酸化層の酸化物含有量を減らすことなく圧延加工性を大幅に向上させることが可能であり、断面減少率で80%以上の圧延加工をすることに成功した。さらに、加工性に富んだ基板層を設けたことにより、単層では比較的加工性に劣るその他の各種層の加工性を向上させることが可能となるため、各種層の層厚の比率および多層構造を保ったまま、0.1mm以下の薄板材に圧延加工することに成功した。
本発明の電極材料によると、金属層もしくは拡散合金化層のCuの含有量を50質量%まで増加させて、内部酸化処理後の酸化物含有量を増やすことによりAgの含有量を減少させても、内部酸化後の加工において、断面減少率で80%以上の圧延加工が可能となる。
つまり、従来の温度ヒューズ用電極材料に比べ、電極材料中心部にCuを主成分とする基板を設けたことにより、内部酸化層の酸化物含有量を減らすことなく加工性を大きく向上させることが可能である。これにより、安定した品質かつ信頼性が高い温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能になる。加えて、材料中心部の基板の材質を任意に変更することで、耐溶着性を維持しつつ、耐熱性、導電性もしくは機械的性質等を所望の諸特性に調整した温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能になる。
さらに、保護層を設けることで、従来の製造方法では不可能であった薄板への内部酸化処理が可能になり、かつめっき法および拡散合金化処理を用いることにより、平滑で均一な内部酸化層を形成した温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能になる。
また、温度ヒューズ用電極材料に求められる耐溶着性、低い接触抵抗等の諸特性を維持しつつ、Ag等の使用量を大幅に削減することができ、安価な温度ヒューズ用電極材料を提供することが可能となる。
単層金属層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 多層金属層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 拡散合金化層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 多層構造材の表裏両面に内部酸化層を有する可動電極材料の長手方向断面を示す説明図 保護層および単層金属層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 保護層および多層金属層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 保護層および拡散合金化層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 多層構造材の表裏両面に保護層および内部酸化層を有する可動電極材料の長手方向断面を示す説明図 多層構造材の片面に保護層および内部酸化層を有する可動電極材料の長手方向断面を示す説明図 比較例におけるAg−酸化物合金板の長手方向断面を示す説明図 保護層、単層金属層および多層金属層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図 保護層、単層金属層および拡散合金化層を有する多層構造材の長手方向断面を示す説明図
本発明の実施例を表1〜5に示し、これらの温度ヒューズ用電極材料の製造方法を説明する。なお、実施例および比較例は電極材料種類No.で区別し、表2に対応する形式で表3を、表4に対応する形式で表5を示す。
具体的には、本発明の製造方法1〜6の各々の金属層を積層するにあたってのめっき条件を表1に、本発明の製造方法1〜6の拡散合金化層もしくは保護層の成分組成を表2もしくは表4に記載する。また、比較例のAg−Cu合金板に含まれる成分組成を表2および表4に併記する。表2もしくは表4に対応する形で、内部酸化温度、内部酸化時間、酸素分圧、酸化物の平均粒径、内部酸化処理後の圧延加工の加工性、温度ヒューズ用電極材料の最終板厚および最終加工率を表3もしくは表5に記載する。表2〜5に記載の各項目の評価方法として、Ag−Cu合金板、拡散合金化層および保護層に含まれる成分組成は、波長分散型電子顕微鏡およびICP発光分析装置を用いて定量分析を行った。Ag−Cu合金板および拡散合金化層において、成分組成の残部であるAgおよび不可避不純物は残と記載した。また、保護層の主成分組成が1種のみである場合にはその主成分元素および不可避不純物を○と記載し、保護層の主成分組成が2種以上である場合にはその内の1種および不可避不純物を残と記載した。なお、本発明の実施例に記載の不可避不純物とは、含有量0.01質量%未満の不純物を示す。
なお、製造方法1〜6で得られた多層構造材2の拡散合金化層もしくは保護層9は、波長分散型電子顕微鏡を用いて各多層構造材の断面を分析し、本発明の電極材料種類No.1〜40のいずれにおいても各々の金属層が相互に拡散した濃度勾配の無い所望組成の拡散合金化層5および保護層9の存在が確認できた。
加工性は、熱処理による硬さ調整前の最終板厚における最終加工率が断面減少率で80%以上に冷間圧延加工できたものを○、できなかったものを×と評価した。評価×とした理由としては、圧延加工時の割れおよび破断と内部酸化層の割れ等が挙げられる。なお、本発明のいずれの製造方法においても、比較例と比べて、良好な加工性が得られた。さらに、製造方法1〜3では基板層に無酸素Cuを用い、製造方法4〜6では基板層にCu合金を用いたが、加工性に差異は認められなかった。
酸化物の平均粒径は、温度ヒューズ用可動電極材料の断面を金属顕微鏡にて、1000倍で酸化物粒子の平均粒径を計測した。平均粒径が0.5〜5μmの範囲のものを○、平均粒径が0.5〜5μmの範囲外のものを×と評価した。なお、本発明のいずれの内部酸化条件においても、良好な酸化物の平均粒径が得られた。
比較例
比較例として、板厚0.5mmのAg−Cu合金板に対し、内部酸化炉中で500℃〜750℃、48時間、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で内部酸化処理を行い、表層両面に酸化物を含有する内部酸化層7および中層部に酸化物希薄層10を形成したAg−酸化物合金板(図10)とし、完全焼鈍を施した後、最終板厚(0.1mm以下)における最終加工率が断面減少率で80%以上になるように冷間圧延加工を施した電極材料種類No.41〜47の詳細を表2〜5に併記する。比較例の内部酸化時間を48時間に統一した理由としては、比較例のAg−Cu合金板の板厚において酸化物希薄層が確実に形成され得る時間であるためである。
比較例における酸化物希薄層の定義とは、内部酸化処理を施したAg−Cu合金板の長手方向断面の中央部に位置し、酸化物の含有量が1質量%より低く、かつ断面比率で10%以下の範囲の層のことをいう。
以下に本発明の製造方法を説明する。
製造方法1
本製造方法による実施例を表2および表に示す。無酸素Cuを溶解法で作製し、さらにこれに押出加工および圧延加工を施し、幅:60mm、板厚:0.3mm、長さ50mの寸法を有する条材形状の基板とした。これに表面研磨加工および化学研磨により表面処理を行い、脱脂洗浄処理を施した。
次に、めっき浴中を連続的に通過させる電解めっき法により、1種以上のAg合金、1種以上のCu合金、Ag、Cu、Sn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属層を基板の長手方向の表裏両面もしくは片面に対して少なくとも1層以上積層させて、基板層1の長手方向の表裏両面に単層金属層3もしくは多層金属層4を有する多層構造材2を作製した。
基板に積層する金属層の層数および積層順は、単層金属層3においてはAg合金を1層積層させた。多層金属層4においては最大の積層数は9層までとし、積層順は、1種以上のAg合金、1種以上のCu合金、Ag、Cu、Sn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも2種以上の金属層を多層にして積層させ、積層させる金属層と隣接する他の金属層が異種金属になるようにする。なお、多層構造材2の最表面には、Sn、In、Ti、Fe、Ni、Co、Cu、もしくはCu合金は積層しない(図1および図2)。
なお、本製造方法では、多層構造材の板厚を0.5mmとした。
各々の金属層を積層するにあたってのめっき条件を表1に示す。めっき条件は本実施形態に限定されることはなく、適宜設定することができる。めっき条件は、めっきの密着性に及ぼす影響が大きいので、下地となる金属層や基板の材質によって使い分けた。また、めっき浴組成、めっき時間、めっき浴温度および電流密度は、目的とする金属層の層厚によって適宜変化させた。なお、基板層1の長手方向の表裏両面において、金属層の層厚や組成が表裏非対称であっても良い。
つぎに、多層構造材2に熱処理を施すことにより、単層金属層3および多層金属層4を基板層1に定着させ、かつ試験条件を揃える為に完全焼鈍を施した。さらに、この熱処理時に金属層を隣接する他の層へ拡散および合金化させて、電極材料種類No.1〜40に当該する所望の各組成の拡散合金化層5を形成した(図3)。
その後、多層構造材2の表裏両面に表面研磨加工および脱脂洗浄処理を施し、内部酸化炉中で500℃〜750℃、0.25時間以上、酸素分圧0.1〜2MPaの条件で内部酸化処理を行った。この際、金属層の組成および層厚により上記各範囲内で条件を選択し、多層構造材2の表裏両面の表層に酸化物6を含有する内部酸化層7を形成し、中層部に未酸化層8、材料中心部に基板層1を持つ多層構造を有するようにした(図4)。
つぎに、上記多層構造を有したまま、図4に示される多層構造を有したまま冷間圧延加工を施して、最終板厚を0.1mm以下に加工し、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法2
本製造方法による実施例を表2および表に示す。無酸素Cuを溶解法で作製し、さらにこれに押出加工および圧延加工を施し、幅:60mm、板厚:0.3mm、長さ50mの寸法を有する条材形状の基板とした。これに表面研磨加工および化学研磨により表面処理を行い、脱脂洗浄処理を施した。
つぎに、めっき浴中を連続的に通過させる電解めっき法により、Sn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属層を保護層9として基板の長手方向の表裏両面に対して少なくとも1層以上積層させた後、単層金属層3もしくは多層金属層4を長手方向の表裏両面に対して積層させて、板厚0.5mmの多層構造材2(図5および図6)を作製した。基板に積層する金属層の層数および積層順は、単層金属層3もしくは多層金属層4において、製造方法1と同様とした。
次に、多層構造材2に熱処理を施すことにより、保護層9、単層金属層3および多層金属層4を基板に定着させ、かつ試験条件を揃える為に完全焼鈍を施した。さらに、この熱処理時に金属層を隣接する他の金属層へ拡散および合金化させて、電極材料種類No.1〜40に当該する所望の各組成の拡散合金化層5を形成した(図7)。
前記以外の工程を上記の製造方法1と同様にして、多層構造材2の両面の表層に酸化物6を含有する内部酸化層7を形成し、中層部に未酸化層8および保護層9、材料中心部に基板層1を持つ多層構造を有する、温度ヒューズ用電極材料(図8)を作製した。
製造方法3
本製造方法による実施例を表2および表に示す。無酸素Cuを溶解法で作製し、さらにこれに押出加工および圧延加工を施し、幅:60mm、板厚:0.3mm、長さ50mの寸法を有する条材形状の基板とした。これに表面研磨加工および化学研磨により表面処理を行い、脱脂洗浄処理を施した。
つぎに、めっき浴中を連続的に通過させる電解めっき法により、Sn、In、Ti、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属層を保護層9として基板の長手方向の表裏両面に対して少なくとも1層以上積層させた後、さらに長手方向の片方の面には単層金属層3としてAgを、長手方向の反対側の面には多層金属層4を積層させて、板厚0.5mmの多層構造材2を作製した(図11)。基板に積層する金属層の層数および積層順は、多層金属層4おいて、製造方法1と同様とした。
つぎに、多層構造材2に熱処理を施すことにより、保護層9、単層金属層3および多層金属層4を基板に定着させ、かつ試験条件を揃える為に完全焼鈍を施した。さらに、多層金属層4において、この熱処理時に金属層を隣接する他の金属層へ拡散および合金化させて、電極材料種類No.1〜40に当該する所望の各組成の拡散合金化層5を形成した(図12)。
前記以外の工程を上記の製造方法1と同様にして、多層構造材2の片方の面の表層に酸化物6を含有する内部酸化層7を形成し、中層部に未酸化層8および保護層9、材料中心部に基板層1を持つ多層構造を有し、さらに反対側の面には単層金属層3および保護層9を有する温度ヒューズ用電極材料(図9)を作製した。
製造方法4
本製造方法による実施例を表4および表5に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、幅:60mm、板厚:0.3mm、長さ50mの寸法を有する条材形状の基板とした。これに表面研磨加工および化学研磨により表面処理を行い、脱脂洗浄処理を施した。
つぎに、無酸素Cuを上記Cu合金からなる基板に置き換えた以外は製造方法1と同様にして、図4に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法5
本製造方法による実施例を表4および表5に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、幅:60mm、板厚:0.3mm、長さ50mの寸法を有する条材形状の基板とした。これに表面研磨加工および化学研磨により表面処理を行い、脱脂洗浄処理を施した。
つぎに、無酸素Cuを上記Cu合金からなる基板に置き換えた以外は製造方法2と同様にして、図8に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
製造方法6
本製造方法による実施例を表4および表5に示す。Snを0.2質量%含むCu合金を溶解法で作製した。Cu合金は、押出加工および圧延加工を施し、幅:60mm、板厚:0.3mm、長さ50mの寸法を有する条材形状の基板とした。これに表面研磨加工および化学研磨により表面処理を行い、脱脂洗浄処理を施した。
つぎに、無酸素Cuを上記Cu合金からなる基板に置き換えた以外は製造方法3と同様にして、図9に示される多層構造を有し、かつ最終板厚が0.1mm以下である、温度ヒューズ用電極材料を作製した。
実施例および比較例の温度ヒューズ用電極材料は、必要に応じて熱処理によって所望の硬さに調整した後、プレス加工等によって所定形状の可動電極に加工することで、感温材が作動温度で溶融して圧縮ばね除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する市販の典型的な感温ペレット型温度ヒューズに好適に利用できる。
そこで、実施例および比較例の温度ヒューズ用電極材料を必要に応じて熱処理によって所望の硬さに調整した後、プレス加工によって所定形状の可動電極に加工し、上記可動電極を感温ペレット型温度ヒューズに実装し、DC30V、20A、昇温速度1℃毎分に設定して通電試験および電流遮断試験を行った結果を表3および表5に示す。
通電試験は、温度ヒューズに10分間通電して、試験前後の温度ヒューズ金属ケースの表面での温度差が10℃未満のものを○とし、10℃以上のものを×と評価した。
電流遮断試験は、温度ヒューズに10分間通電した後、通電を続けながら試験環境の温度を、昇温速度1℃毎分、動作温度よりも10℃高い温度に昇温し、温度ヒューズを実際に動作させ、電流の遮断を試みた。試験後、可動電極とリード線とが溶着しなかったもの、つまり電流を遮断できたものを○と評価した。
1 基板層
2 多層構造材
3 単層金属層
4 多層金属層
5 拡散合金化層
6 酸化物
7 内部酸化層
8 未酸化層
9 保護層
10 酸化物希薄層

Claims (9)

  1. 感温材が作動温度で溶融して圧縮ばねの発力を除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する温度ヒューズの電極材料において、
    可動電極の材料として、基板層となる基板の表裏両面に対して、Cuを20〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含むAg合金の金属層を少なくとも1種以上かつ1層以上積層した多層構造材とし、この多層構造材に内部酸化処理を施して多層構造材の表裏両面の少なくとも片面の表層に内部酸化層を形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  2. 感温材が作動温度で溶融して圧縮ばねの発力を除荷し、圧縮ばねが伸張することによって、圧縮ばねにより圧接されていた可動電極とリード線とが離隔して電流を遮断する温度ヒューズの電極材料において、
    可動電極の材料として、基板層となる基板に対して、基板の少なくとも片面の最表層には1種以上のAg合金の金属層を積層させ、かつ基板の少なくとも片面には1種以上のAg合金、1種以上のCu合金、Ag、Cu、Sn、In、Ti、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属層を少なくとも2層以上積層した多層構造材とし、この多層構造材を熱処理により前記金属層の少なくとも1層の構成成分の一部もしくはその全てが隣接する他の金属層へ拡散および合金化させて拡散合金化層が形成され、この多層構造材に内部酸化処理を施して多層構造材の表裏両面の少なくとも片面の表層に内部酸化層を形成した多層構造であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  3. 請求項2において、金属層のAg合金の組成が、Cuを0.01〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  4. 請求項2において、金属層のCu合金の組成が、Agを0.01〜50質量%含み、かつ残部がCuおよび不可避不純物を含む合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  5. 請求項2において、金属層の少なくとも1層以上の構成成分の一部またはその全てを熱処理により隣接する他の金属層へ拡散および合金化させて拡散合金化層を形成し、前記拡散合金化層の組成が、Cuを1〜50質量%含み、さらにSn、In、Ti、Fe、NiおよびCoの群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜5質量%を含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  6. 請求項2において、金属層の少なくとも1層以上の構成成分の一部またはその全てを熱処理により隣接する他の金属層へ拡散および合金化させて拡散合金化層を形成し、前記拡散合金化層の組成が、Cuを1〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含む合金であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  7. 請求項1または請求項2において、内部酸化処理を施した金属層または拡散合金化層が表層に内部酸化層を有し、残部が未酸化層であることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料。
  8. 請求項1に記載の温度ヒューズ用電極材料の製造方法において、基板層となる基板の表裏両面に対して、Cuを20〜50質量%含み、かつ残部がAgおよび不可避不純物を含むAg合金の金属層を少なくとも1種以上かつ1層以上積層した多層構造材を形成する工程と、この多層構造材の表裏両面の少なくとも片面の表層に内部酸化処理を行う工程と、この内部酸化処理後の多層構造材に塑性加工および/もしくは熱処理を施す工程とを備え、薄板化後も多層構造材の表裏両面の少なくとも片面の表層に内部酸化層が形成された多層構造にすることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料の製造方法。
  9. 請求項2に記載の温度ヒューズ用電極材料の製造方法において、基板層となる基板に対して、基板の少なくとも片面の最表層には1種以上のAg合金の金属層を積層させ、かつ基板の少なくとも片面には1種以上のAg合金、1種以上のCu合金、Ag、Cu、Sn、In、Ti、Fe、Ni、およびCoの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属層を少なくとも2層以上積層した多層構造材を形成する工程と、熱処理により前記金属層の少なくとも1層以上の構成成分の一部が隣接する他の金属層へ拡散および合金化されて拡散合金化層を形成する工程と、この多層構造材の表裏両面の少なくとも片面の表層に内部酸化処理を行う工程と、この内部酸化処理後の多層構造材に塑性加工および/もしくは熱処理を施す工程とを備え、薄板化後も多層構造材の表裏両面の少なくとも片面の表層に内部酸化層が形成された多層構造にすることを特徴とする温度ヒューズ用電極材料の製造方法。

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