JPWO2014080610A1 - 回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラム - Google Patents

回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014080610A1
JPWO2014080610A1 JP2014548453A JP2014548453A JPWO2014080610A1 JP WO2014080610 A1 JPWO2014080610 A1 JP WO2014080610A1 JP 2014548453 A JP2014548453 A JP 2014548453A JP 2014548453 A JP2014548453 A JP 2014548453A JP WO2014080610 A1 JPWO2014080610 A1 JP WO2014080610A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cable
emi
characteristic
circuit board
board
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014548453A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6287853B2 (ja
Inventor
雅寿 小川
雅寿 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Publication of JPWO2014080610A1 publication Critical patent/JPWO2014080610A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6287853B2 publication Critical patent/JP6287853B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/30Circuit design
    • G06F30/39Circuit design at the physical level
    • G06F30/398Design verification or optimisation, e.g. using design rule check [DRC], layout versus schematics [LVS] or finite element methods [FEM]
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/30Circuit design
    • G06F30/36Circuit design at the analogue level
    • G06F30/367Design verification, e.g. using simulation, simulation program with integrated circuit emphasis [SPICE], direct methods or relaxation methods
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/30Circuit design
    • G06F30/39Circuit design at the physical level
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/0005Apparatus or processes for manufacturing printed circuits for designing circuits by computer
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/001Measuring interference from external sources to, or emission from, the device under test, e.g. EMC, EMI, EMP or ESD testing
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F2119/00Details relating to the type or aim of the analysis or the optimisation
    • G06F2119/10Noise analysis or noise optimisation
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/0213Electrical arrangements not otherwise provided for
    • H05K1/0216Reduction of cross-talk, noise or electromagnetic interference
    • H05K1/0228Compensation of cross-talk by a mutually correlated lay-out of printed circuit traces, e.g. for compensation of cross-talk in mounted connectors
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/0213Electrical arrangements not otherwise provided for
    • H05K1/0237High frequency adaptations
    • H05K1/0243Printed circuits associated with mounted high frequency components

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • Geometry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

回路基板の基板設計情報を入力する入力手段と、基板設計情報を基に回路基板から発生するEMI特性を導出するEMI特性導出手段と、EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性を格納する記憶手段と、EMI特性導出手段によって導出されたEMI特性を出力する出力手段と、を備え、EMI特性導出手段は、基板設計情報を基に回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する基板解析手段と、仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性を用いてケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、実ケーブル電流を用いてケーブルから放射されるEMI特性を算出するEMI計算手段と、を有し、半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システム。

Description

本発明は、半導体回路基板を設計する回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラムに関する。特に、半導体部品が実装された回路基板に接続されたケーブルから発生する電磁界放射を考慮に入れて回路基板を設計する回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラムに関する。
一般に、プリント回路基板(以下、PCBとも記述)上に実装された半導体集積回路(以下、LSIとも記述)が動作する際、PCB上を流れる電流をノイズ源として外部への不要な電磁界放射が発生してしまうという問題がある(PCB:Printed Circuit Board、LSI:Large Scale Integration)。
この電磁界放射(以下、不要電磁界放射又はEMIとも記述)は、そのPCBが内蔵された電子機器そのものや他の機器の誤動作を生じる原因となる(EMI:Electro Magnetic Interference)。そのため、定められた許容値以下にEMIを低減させるよう、電子機器には様々なEMI対策がなされてきている。その対策の一環として、予めそのPCBから発生するEMIを低レベルにするように、PCBの構造やLSIのレイアウトを設計しておくことが要求される。
PCBから発生するEMIの大きな要素の一つとして、コモンモード放射が挙げられる。基板上の配線に電流を流すことによって、配線と基板に接続されたケーブルとが電磁界的な結合を持ち、そのケーブルにもコモンモード電流と呼ばれる電流が流れる。そのコモンモード電流がノイズ源となり、ケーブルがアンテナとして働くことによって電磁波が発生することをコモンモード放射という。
コモンモード放射は、PCB上の信号配線を流れる電流の大電流化や高速化に従い、増大する傾向にある。コモンモード放射を抑制するために、PCBの層構成やレイアウト等の構造、信号配線を流れる電流特性、ケーブルの長さや接続位置、対策部品の追加等の処理を行うことが必要となる。しかしながら、PCBの製造後にEMI抑制のための設計変更や対策部品の追加が行われた場合、大幅な設計コストの増大が生じてしまう。それを避けるために、PCBの設計段階で電気特性を見積もり、その結果から必要に応じて、EMIを抑制するための対策をしておくことが、PCBの低コスト設計を行う上で重要である。
PCBの設計段階から発生するコモンモード放射を見積もる方法としては、基板構造や搭載する部品・ケーブルの構造等の情報を元に電気特性を解析する方法が挙げられる。電気特性、特に電磁界放射を解析する方法としては、FDTD法やモーメント法(MOM)、有限要素法(FEM)等の電磁界解析手法が挙げられる(FDTD:Finite Difference Time Domain、MOM:Method of Moments、FEM:Finite Element Method)。これらの手法はプリント回路基板の設計において広く使用されている。これらの解析手法を用いてPCBから発生するEMIを電磁界解析し、その計算値に従ってPCBの構造や仕様を参考に設計しなおす、といったPCBの設計手法がとられている。さらには、EMIの許容される条件が予め設定されていれば、その条件とEMIの電磁界解析の結果を比較することにより、基板から発生するEMIが低レベルになるよう設計されているか否かを判断することが可能である。
電気回路や電磁界、さらにはコモンモード放射の抑制方法等関連した分野に深い知識を有している者であれば、最適なケーブル接続位置の候補を予め見当をつけ、どのような対策手法を用いればコモンモード放射が抑制可能であるという知見を有していることもある。そのため、相対的に解析するパターンは少なくて済み、解析モデルの作成においてはどの程度まで精度を落としても問題ないかという知見も有しているかもしれない。その結果、解析規模が小さくても解析精度を確保したモデルを作成することもできるかもしれない。しかしながら、一般のユーザーが深い知識を有する者と同じことを行うことは困難である。そのため、設計手法として、準備されているPCBの設計情報から、短時間かつ精度良くケーブルから発生するコモンモード放射を導出し、その放射がEMIの許容条件を満たしているかどうかを自動的に判定する、あるいは最適な設計パターンを抽出する、といったものが望まれる。
PCBの設計段階においては、ケーブルが接続されたPCBからのコモンモード放射量の予測のために、ケーブルに流れるコモンモード電流を含めた特性を短時間で充分な解析精度を持つ計算方法が必要となる。また、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していないユーザーでも使用可能であり、計算結果を基に低EMIのPCBが設計可能であるような解析設計システムが求められている。
特許文献1には、電磁界解析手法を用いてPCBを設計する電磁界強度算出装置について開示されている(図40)。
特許文献1の電磁界強度算出装置101は、図40に示したように、ナビゲーションファイル102を読込むナビゲーションファイル読み込み部103と、モデル作成手段である「ナビゲーションによるデータ作成部104」と、メモリ部105と、を備えている。また、モデル作成手段は、電気回路機器の外形寸法を入力させる手順や電気回路をメッシュ化して解析するための解析周波数を入力させる手順を表示するディスプレイ部110と、利用者が会話的に入力データを入力するためのキーボード入力部111とを備えている。さらに、電磁界強度算出装置101は、モデル作成手段によって得られた解析データを書き込む解析入力データファイル書き込み部106と、入力されたその解析データを解析入力データ107とし、解析結果データ109を算出するための電磁界強度算出部108とを備えている。特許文献1の電磁界強度算出装置によれば、入力データの作成に熟練していない初心者でも容易にかつ短時間で、解析入力データを得るための入力データを作成でき、それにより電磁界強度の算出を効率的に行なうことができる。
電磁界解析のモデルを作成した場合、PCBと比較して非常に大きなケーブルについてもモデル化しなくては解析精度を向上することは難しい。
特許文献2には、電気回路装置のケーブルを含めて等価モデル化し、モーメント法によってケーブルを流れるコモンモード電流を算出し、そのコモンモード電流によって発生する電磁界強度を計算する電磁界強度算出装置が開示されている(図41)。
特許文献2の電磁界強度算出装置201は、電気回路装置の持つプリント板/ケーブル類/リード類/金属筐体類の構造体を正確に入力する入力手段202を備えている。さらに、電磁界強度算出装置201は、入力された構造体に従って電気回路装置の放射する電磁界強度を計算する電磁界強度算出手段211と、その計算結果を出力する出力手段204とを備えている。電磁界強度算出手段211は、入力された構造体をメッシュに分割する分割手段210を有している。さらに、電磁界強度算出手段211は、分割された構造体に従って電気回路装置の各金属部に流れる電流と、誘電体部に流れる等価電流及び等価磁流とを未知数とするモーメント法の連立方程式を導出する導出手段211と、を有している。また、電磁界強度算出手段211は、導出されたモーメント法の連立方程式を解くことで未知数を算出する算出手段212と、その算出値から電気回路装置の放射する電磁界強度を計算する計算手段213と、を有する。特許文献2の電磁界強度算出装置によれば、プリント板以外の金属物に流れるコモンモード電流の放射する電磁界強度についても考慮することで、電気回路装置の放射する電磁界強度を高精度でもって算出できる。
特開平11−161690号公報 特開平7−302278号公報
電磁界解析手法を用いてプリント回路基板からの放射を導出する方法としては、対象となる系全体をモデル化することにより、ケーブルを流れるコモンモード電流を基に電磁界放射を計算する方法がある。しかしながら、一般にケーブルの長さは基板のサイズに比べて非常に長く、系全体からの放射電磁界を算出すると解析空間が大きくなってしまい膨大な計算コストが要求される、という問題がある。
電磁界解析においては、解析空間をメッシュ分割してそれぞれのメッシュの結合点での電気特性を導出する。そのため、解析空間内の分割メッシュ数を下げる、すなわちメッシュサイズを大きくすることによって計算コストを下げることができる。しかしながら、一般的に計算コストと解析精度はトレードオフの関係にあるため、単純に計算コストを下げようとした場合には解析精度の低下が生じ、解析結果への充分な保証は得られなくなる。
特許文献1の技術に特許文献2の技術を組み入れれば、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも、PCBの構造から電磁界解析のモデルを作成してEMIの定量的な算出を行うことが可能になる。しかしながら、PCBに接続されたケーブルをそのままモデル化する場合、解析精度を向上させるためには解析規模を大きくする必要があり、やはり計算コストが膨大となるという課題があった。
また、PCBの初期設計段階では、基板のどこにケーブルを接続すればコモンモード放射は小さくなるか、という分析を行う場合もある。この場合、ケーブルが接続される位置の候補は複数あり、その接続位置毎に解析モデルを作成して電磁界解析を行うと、設計時間における解析時間の占める割合が大きくなってしまう。一パターン毎の解析時間は短いことが望まれるが、一つ一つのモデルでの解析時間を短くするには、それぞれの解析規模を小さくしなければならない。そのため、特許文献1の技術に特許文献2の技術を組み入れたとしても、解析空間の規模を小さくすると、それぞれの解析パターンでやはり解析精度が低下してしまうという課題があった。
本発明の目的は、上記した課題を解決する回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラムを提供することにある。
本発明の回路基板設計システムは、半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システムであって、回路基板の基板設計情報を入力する入力手段と、基板設計情報を基に回路基板から発生するEMI特性を導出するEMI特性導出手段と、EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性を格納する記憶手段と、EMI特性導出手段によって導出されたEMI特性を出力する出力手段と、を備え、EMI特性導出手段は、基板設計情報を基に回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する基板解析手段と、仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性とを用いてケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、実ケーブル電流を用いてケーブルから放射されるEMI特性を算出するEMI計算手段と、を有する。
本発明の回路基板設計方法は、半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計方法であって、回路基板の基板設計情報を入力とし、基板設計情報を基に回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成し、簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出し、EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性と仮想ケーブル電流とを用いてケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、実ケーブル電流を用いてケーブルから放射されるEMI特性を算出する。
本発明の回路基板設計プログラムは、半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システムにおいて、回路基板の基板設計情報を入力する処理と、基板設計情報を基に回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する処理と、簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する処理と、EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性と仮想ケーブル電流とを用いてケーブルを流れる実ケーブル電流を算出する処理と、実ケーブル電流を用いてケーブルから放射されるEMI特性を算出する処理と、をコンピュータに実行させる。
本発明の回路基板設計システムによれば、ケーブルが接続されるPCBの設計段階において、ケーブルから発生するEMI特性が低レベルとなるようなPCBの設計を短時間で精度良く行なうことが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムのシステム構成を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムの動作に関するフローチャートを示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の構造の一例を示した上面図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の構造の一例を示した断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の電磁界解析モデルの一例を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムで扱う詳細基板モデルの一例を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムで扱う簡易基板モデルの一例を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムによるケーブル長補正特性計算処理のイメージを示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムにおいて、仮想ケーブル電流及びケーブル長補正特性から実ケーブル電流を導出する例を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る回路基板設計システムのシステム構成を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る回路基板設計システムの動作に関するフローチャートを示した図である。 本発明の第3の実施形態に係る回路基板設計システムのシステム構成を示した図である。 本発明の第3及び第4の実施形態に係る回路基板設計システムの動作に関するフローチャートを示した図である。 本発明の第3の実施形態に係る回路基板設計システムによるケーブル長補正特性導出処理のフローチャートを示した図である。 本発明の第4及び第5の実施形態に係る回路基板設計システムのシステム構成を示した図である。 本発明の第5の実施形態に係る回路基板設計システムの動作に関するフローチャートを示した図である。 本発明の第5の実施形態に係る回路基板設計システムで扱うEMI特性とEMI許容条件との比較結果の一例を示した図である。 本発明の第5の実施形態に係る回路基板設計システムで扱う複数のケーブル接続位置候補が存在するプリント回路基板の一例を示した上面図である。 本発明の第6の実施形態に係る回路基板設計システムのシステム構成を示した図である。 本発明の第6及び第7の実施形態に係る回路基板設計システムの動作に関するフローチャートを示した図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムのシステム構成を示した図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムによる基板構成変更処理としてPCB設計情報を変更した際のプリント回路基板構造の違いを示した断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムによる基板構成変更処理としてPCB設計情報を変更した際のプリント回路基板構造の違いを示した上面図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムによる基板構成変更処理において、LSI設計情報を変更した際の信号電圧Vの違いを示した図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムによる基板構成変更処理において、LSI設計情報を変更した際の信号電圧Vの違いを示した図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムによる基板構成変更処理において、ケーブル構造設計情報を変更した際のケーブルの違いを示した図である。 本発明の第7の実施形態に係る回路基板設計システムによる基板構成変更処理において、ケーブル構造設計情報を変更した際のコモンモード放射の違いを示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の構造を示した上面図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の構造を示した断面図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の詳細基板モデルの一例を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで扱うプリント回路基板の簡易基板モデルの一例を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出した仮想ケーブル電流および実ケーブル電流を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル長補正特性を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル接続位置候補AにおけるEMI特性を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル接続位置候補BにおけるEMI特性を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル接続位置候補CにおけるEMI特性を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル接続位置候補AにおけるEMI特性とEMI許容条件との比較結果を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル接続位置候補BにおけるEMI特性とEMI許容条件との比較結果を示した図である。 本発明の実施例の回路基板設計システムで導出したケーブル接続位置候補CにおけるEMI特性とEMI許容条件との比較結果を示した図である。 特許文献1の電磁界強度算出装置の構成図である。 特許文献2の電磁界強度算出装置の構成図である。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態及び実施例には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明を実施するための第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムの構成を示す。
図1の回路基板設計システムは、入力手段1と、EMI特性導出手段2と、データベース3と、出力手段7と、を備えている。
入力手段1は、ケーブルが接続されたPCBの構造情報やLSIを含む実装された部品の設計情報などのデータを含む入力情報を、EMI特性導出手段2に入力するための手段である。
EMI特性導出手段2は、入力手段1から入力された入力情報を用いて、ケーブルの接続されたPCBから発生するEMI特性を導出する。EMI特性導出手段2は、解析モデル作成手段4と、基板解析手段5と、EMI計算手段6と、を備えている。
解析モデル作成手段4は、入力情報からPCBの解析モデルを作成する手段である。解析モデル作成手段4は、実際のケーブル(以下、「実ケーブル」とも記述)の長さより十分短い仮想的な長さのケーブル(以下「仮想ケーブル」とも記述)の接続されたPCBの電磁界解析モデル(以下、「簡易基板モデル」とも記述)を作成する。
基板解析手段5は、解析モデル作成手段4で作成された簡易基板モデルを用いて電磁界解析を行う手段であり、仮想ケーブルを流れる電流(以下、「仮想ケーブル電流」とも記述)を電磁界解析によって導出する。
EMI計算手段6は、基板解析手段5で導出した仮想ケーブル電流と、仮想ケーブル電流と実際のケーブルを流れる電流(以下、「実ケーブル電流」とも記述)との特性の相関特性である特性(以下、「ケーブル長補正特性」とも記述)とを用いて、実ケーブル電流の特性を導出し、かつ電流と放射の関係式に従ってコモンモード放射を計算する手段である。また、EMI計算手段6は、入力情報にあるPCBの構造において、ケーブルから発生するコモンモード放射特性であるEMI特性を導出することが可能である。
データベース3は、ケーブル長補正特性を格納している記憶手段である。データベース3に格納されたケーブル長補正特性は、EMI計算手段6において実ケーブル電流を導出する際に読み出される構成になっている。
出力手段7は、EMI特性導出手段2によって導出されたEMI特性を出力するための手段である。また、そのEMI特性が得られる設計情報を出力するとしてもよい。さらに、EMI導出手段によって導出されたEMI特性に関するデータをグラフなどの形態で出力するとしてもよい。
以上が、本発明の第1の実施形態に係る回路基板設計システムの構成である。
(動作)
ここで、本発明の実施形態に係る回路基板設計システムの動作の特徴を簡潔にまとめる。
まず、PCBの基板情報やLSI情報、ケーブルの情報を用いて、ケーブルから発生するコモンモード放射であるEMI特性を導出するために電磁界解析モデルを作成する。このとき、基板に接続するケーブルは、実ケーブルの長さより十分短い仮想的な長さをもつ仮想ケーブルとする。
そして、その仮想ケーブルを接続した簡易基板モデルを用いて電磁界解析を行い、仮想ケーブル電流を導出する。
さらに、仮想ケーブル電流を実ケーブル電流に補正するための特性であるケーブル長補正特性を予め設定しておき、実際のケーブルが接続されていた場合の実ケーブル電流を、仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性より導出する。
そして、コモンモード電流からコモンモード放射を計算する数式を用い、実ケーブル電流によってケーブルから発生するコモンモード放射を計算する。
上記の一連の操作によって、PCBのEMI特性を導出する。
以上が本発明の実施形態に係る回路基板設計システムの最も基本的な動作手順である。
ここで、本発明の第1の実施形態に係る一連の操作を、図2のフローチャートに沿って詳細に説明する。
図2のフローチャートは、基板設計情報入力処理から始まる(ステップ11)。
ステップ11の基板設計情報入力処理で入力される情報は、例えば、LSI及びその他部品が実装され、かつケーブルが接続された構成のPCBにおいて、そのレイアウトや層構造を含めた基板やケーブルの物理構造や、実装されるLSIその他の部品の情報等、PCBから発生するEMI特性を導出するのに必要な情報である。これらの情報を基板設計情報と称する。これらの基板設計情報は、図1の入力手段1によって入力される。
次に、図1のEMI特性導出手段2内の解析モデル作成手段4は、入力された基板設計情報を用いた簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ12)。
ステップ12の簡易基板モデル作成処理において、解析モデル作成手段4は、ケーブル以外のPCBの構造を反映させ、ケーブルとして仮想ケーブルを接続した簡易基板モデルを作成する。
次に、図1のEMI特性導出手段2内の基板解析手段5は、簡易基板モデルを用いた仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ13)。
ステップ13の仮想ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を導出する。
次に、図1のEMI特性導出手段2内のEMI計算手段6は、仮想ケーブル電流を用いたケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する(ステップ14)。
ステップ14のケーブル長補正EMI特性計算処理において、EMI計算手段6は、図1のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性とから、実ケーブル電流を導出する。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、EMI特性導出手段2は、ステップ14で導出されたコモンモード放射特性を図1の出力手段7に出力する結果出力処理を実行する(ステップ15)
以上の一連の処理が第1の実施形態に係る処理である。
また、簡易基板モデルに接続される仮想ケーブルの長さについては、解析する最大周波数をFcとした場合、仮想ケーブルの長さの最大値Lclとして以下の式1によって自動的に求めることもできる。
cl=300×106/(4×Fc)・・・(1)
通常、式1は、左辺が右辺以下であるという不等式で表され、その場合は、仮想ケーブルの長さの最大値Lclが、解析する最大周波数Fcの波長λcの1/4以下であることを示す。ケーブル長が波長の1/4になると、ケーブル電流に共振成分が生じてしまう。そのため、仮想ケーブルの長さを、解析範囲の中で最も波長の短い最大周波数の1/4以下の長さにすることで、仮想ケーブル電流にケーブル長による共振成分を含まないようにすることが可能になる。
また、仮想ケーブルの長さがあまり短すぎると、仮想ケーブルと基板モデルの厚み方向のサイズがあまり変わらなくなってしまい、仮想ケーブル電流から実ケーブル電流を精度良く再現するのが困難になってしまう。その点については、仮想ケーブルの長さが波長の1/4程度の長さであれば、基板モデルの厚み方向のサイズよりは十分長いため、仮想ケーブル電流から実ケーブル電流を精度良く再現することが可能である。
(具体例)
ここで、具体的な例として、図3の水平面レイアウト、図4の断面構造で示されるように、LSI及びその他部品が実装され、ケーブルが接続された構成のPCBの基板情報を入力情報とした場合における第1の実施形態の一例を示す。
図3はPCB20の水平面レイアウトの一例である。
図3において、PCB20上には、送信側LSI21及び受信側LSI22が実装されており、そのLSI間には信号配線23が接続され、信号配線23に配線電流24が流れる。また、PCB20上には、LSIの他に、コンデンサや抵抗等の実装部品25が実装されている。また、PCB20上には、コネクタ26を介してケーブル27が接続されている。
信号配線23とケーブル27には電磁界的に結合が生じるため、信号配線23に配線電流24が流れると、ケーブル27にはケーブル電流28が流れる。
そして、ケーブル電流28を発生源とし、ケーブル27をアンテナとしてコモンモード放射であるEMI29が発生する。
なお、EMI29は、信号配線23やLSI21、22内の配線、PCB20の図示しない電源−GND間からも発生するが、ケーブル電流28はリターンパスのないコモンモード電流である。そのため、ケーブル27から発生するコモンモード放射が、系全体の放射の中で支配的となる。そこで、この例においては、EMI特性としてはケーブル27から発生するコモンモード放射のみを考慮している。
図4はPCB20の断面の例である。なお、PCB20の表面導体層31(厚さt−tm)には信号配線23や実装部品25が実装されるパッドが形成され、内部導体層33(厚さt−inm)には図示しないグランド層や電源層、内部配線が形成されている。また、導体層がない部分は誘電体層32(厚さt−ins)となっており、その誘電体層32の内部には、表面導体層31と内部導体層33とを電気的に接続するヴィア34がある構成となっている。
この具体例の動作を図2のフローに沿って説明する。
図2において、まず、基板設計情報入力処理において、入力手段1は、上記PCB20の構成における基板設計情報を、図1のEMI特性導出手段2に入力する(ステップ11)。
次に、図2の解析モデル作成処理において、図1の解析モデル作成手段4は、入力された基板設計情報を用いて簡易基板モデルを作成する(ステップ12)。
ここでは、簡易基板モデルの解析手段として、FDTD法を用いて電磁界解析を行うシステムが用いられていたとする。その場合、上記PCB20の基板設計情報から、図5に示したような3次元(以下、「3D」とも記述)構造の電磁界解析モデルが生成される。
図5の電磁界解析モデルでは、送信側LSI21からの配線電流24を流すための3D解析に適応した送信信号源(図示しない)からの信号を入力とする。
送信側パラメータ41は、送信側LSI21の構造及び電気特性から解析に必要な部分だけを抽出したパラメータである。受信側パラメータ42は、受信側LSI22の構造及び電気特性から解析に必要な部分だけを抽出したパラメータである。配線パラメータ43は、基板信号配線23の3D構造情報及び電気特性を抽出したパラメータである。基板部分パラメータ44は、各層の厚みや電気特性である層構成35から必要な情報を抽出したパラメータである。部品パラメータ45は、実装部品25の構造及び特性から解析に必要な部分だけを抽出したパラメータである。コネクタパラメータ46は、コネクタ26の構造及び特性から解析に必要な部分だけを抽出したパラメータである。ケーブルパラメータ47は、接続された部品の構造と特性・ケーブルの構造と電気特性を含めたパラメータである。ヴィアパラメータ48は、ヴィア34の3D構造情報及び電気特性を抽出したパラメータである。
ここで、ケーブルパラメータ47において、実ケーブル長でモデルを作成すると、図6のようになる。
図6においては、便宜上、ケーブルの部分のモデルをケーブルモデル52、その他の部分を基板モデル51とするが、ケーブルの長さはPCBに比べて非常に大きく、解析空間53の大きさはほぼケーブルのサイズに依存してしまう。
今回作成されるモデルは、図7に示すように、仮想ケーブルモデル56を接続した簡易基板モデルであるため、解析空間57は、図6に示すモデルに比べ、十分に小さくなっている。そのため、図7に示したような簡易基板モデルで、ケーブルから発生するコモンモード放射特性であるEMI特性55を直接解析によって短時間で導出することが可能である。
ここで、図1の基板解析手段5は、図2の仮想ケーブル電流導出処理により図7に示す簡易基板モデルの仮想ケーブル電流58を求める(ステップ13)。基板解析手段5は、予め設定されている適切なサイズになるようにメッシュの数を調整する等の指針に基づく調整機能により、生成された簡易基板モデルを適切なメッシュサイズに分割する。ここで、基板解析手段5は、FDTD法のメカニズムによってメッシュ分割されたモデルを電磁界解析することによって、仮想ケーブル電流Ic1を導出する。
次に、図1のEMI計算手段6は、図2のステップ14のケーブル長補正EMI特性計算処理を実行し、入力された基板設計情報に基づくEMI特性を導出する。
ここで、ステップ14のケーブル長補正EMI特性計算処理の詳細について説明する。
まず、EMI計算手段6は、図1のデータベース3に格納されたケーブル長補正特性rcを読み出し、図8に示す仮想ケーブル電流Ic158とケーブル長補正特性rcから、実ケーブルを流れる実ケーブル電流Ic(実ケーブル電流59)を導出する。
実ケーブル電流Icの特性は、例えば、図9に示すように、仮想ケーブル電流Ic1の特性とケーブル長補正特性rcとを掛け合わせて導出する。
次に、EMI計算手段6は、求められた実ケーブル電流Icにより、ケーブルモデル52から発生するコモンモード放射の特性であるEMI特性60を導出する。計算式としては、非特許文献1(「わかりやすいアナログ・デジタル混在回路のノイズ対策実務入門」、鈴木茂夫著、日刊工業新聞社、2007年)に記載された式を使うことができる。非特許文献1によると、仮想ケーブル電流Ic1の周波数をF、ケーブル長をLとし、ケーブルからの距離をDとしたときのコモンモード放射電界の強さEcmは、以下の式2により計算できるとされている。
cm=1.257×10-6×Ic1×F×L/D・・・(2)
次に、図2の結果出力処理7により、ケーブル27からのコモンモード放射であるEMI特性が出力されて、一連の処理が終了する(ステップ15)。
この一連の処理により、図3及び図4に示したようなPCB構成におけるEMI特性を、短時間で精度良く導出することが可能になる。
以上が、具体例を用いた第1の実施形態の詳細説明である。なお、上記の具体例は一例であって、その構成や動作に種々の変更を加えたものも本発明の範囲に含まれるものとする。
実際のケーブルをそのままモデル化したPCBの電磁界解析モデル(以下、「詳細基板モデル」とも記述)では、ケーブルの長さが解析空間を大きくする支配的な要因になるため、解析規模は非常に増大してしまう。それに対し、本発明の第1の実施形態で示した簡易基板モデルによれば、実際のケーブル長と比較して仮想ケーブルの長さが十分に短いために解析空間を圧縮でき、その分解析規模が小さくなる。
また、本発明の第1の実施形態で示した簡易基板モデルによれば、解析空間が小さくなっているために解析メッシュの数を減らす必要がなく、解析精度を落とさずに仮想ケーブル電流をより短時間で導出することが可能である。
すなわち、本発明の第1の実施形態に係る前述の一連の操作によれば、詳細基板モデルによって解析を行うよりも短時間でコモンモード放射を導出することが可能である。加えて、精度の良いケーブル補正特性が設定されていれば、解析精度を落とすことなくコモンモード放射を導出することができる。
また、本発明の回路基板設計システムによれば、ケーブルが接続されるPCBの設計段階において、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも、ケーブルから発生するEMI特性(コモンモード放射)が低レベルとなるようなPCBの設計を短時間で精度良く行なうことが可能となる。
PCBの設計情報を用いてPCBから発生するEMI、特にケーブルから発生するコモンモード放射を導出するEMI特性導出手段としては、例えば、一般的な電磁界解析ツールやシステムを用いることが可能である。
それらのEMI特性導出手段への入力情報としては、PCBの外形構造及び部品やコネクタとの接続情報を含んだCADデータ、実装されたLSIの動作や構造を示すデータシート、実装された部品のデータシート等を設定すれば良い(CAD:Computer Aided Design)。これらのデータは、PCBの初期設計段階において設計者が一般に入手可能なデータである。また、これらの情報を解析ツールへ入力して解析モデルを作成することが可能な入力ツールやシステムも存在しており、それらを入力する手段として用いることも可能である。
さらに、上記一連の処理を反映したプログラムを提供することにより、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも、短時間で精度良く、EMI特性が低レベルであるPCBの構成を設計することが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
図10に、本発明の第2の実施形態に係るシステム構成を示す。第2の実施形態は、図1に示した第1の実施形態のシステム構成に、EMI特性判定手段8を追加した構成となっている。なお、図10において、EMI特性判定手段8以外の構成要素には図1と同じ符号を付けた。
EMI特性判定手段8は、EMI特性導出手段2によって導出されたEMI特性と、データベース3内に格納されたEMI特性の許容される条件であるEMI許容条件とを比較検討し、導出されたEMI特性がEMI許容条件を満たしているかどうかを判定する手段である。
そして、出力手段7には、導出されたEMI特性だけではなく、入力されたPCBの構成がEMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果も出力される構成になっている。
(動作)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る処理を示したフローチャートである。このフローは、図2に示した第1の実施形態の処理を示したフローチャートに、EMI特性判定処理を追加したものとなっている。
以下において、図11のフローチャートに沿って第2の実施形態に係る処理を説明する。
まず、入力手段1は、PCBの基板設計情報を図10のEMI特性導出手段2に入力する基板設計情報入力処理を実行する(ステップ21)。
次に、図10のEMI特性導出手段2内の解析モデル作成手段4は、入力された基板設計情報を基に簡易基板モデルを作成する簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ22)。
次に、図10のEMI特性導出手段内2の基板解析手段5は、簡易基板モデルを用いて、仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を導出する仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ23)。
次に、図10のEMI特性導出手段2内のEMI計算手段6は、仮想ケーブル電流を用いたケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する(ステップ24)。
ステップ24のケーブル長補正EMI特性計算処理において、まず、EMI計算手段6は、図10のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性から、実際のケーブルを流れる実ケーブル電流を導出する。さらに、EMI計算手段6は、設定されたケーブルを流れる電流と放射の関係式より、先ほど導出した実ケーブル電流を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
以上の図11に示した第2の実施形態に係るステップ21〜24は、図2に示した第1の実施形態に係るステップ11〜14と同様である。
そして、図10のEMI特性判定手段8は、EMI特性判定処理を実行する(ステップ25)。
ステップ25のEMI特性判定処理において、EMI特性判定手段8は、図10のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、そのEMI許容条件と導出されたコモンモード放射特性との比較検討を行い、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうか判定する。
そして、EMI特性判定手段8は、導出されたコモンモード放射特性であるEMI特性と、EMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果を図10の出力手段7に出力する結果出力処理を実行する(ステップ26)。
以上の一連の処理が第2の実施形態に係る処理である。
ここで、EMI判定手段における比較検討波形の例を図17に示す。
図17は、導出されたEMI特性とEMI許容条件との比較結果である。ここでは、2通りのEMI特性とEMI許容条件との比較結果を示している。EMI許容条件は、周波数(F:Frequency)によらない一定の値を示す電界の強さE(E:Electric Field)であり、右図のようにEMI特性がEMI許容条件の値以下であれば、EMI許容条件を満たすとする。
図17左図のEMI許容条件の例においては、EMI特性(実線)がEMI許容条件の値(点線)以上になる周波数範囲があるため、EMI許容条件を満たさないと判定される。
一方、図17右図のEMI許容条件の例では、EMI特性(実線)が全ての周波数範囲でEMI許容条件(点線)の値を下まわっているため、EMI許容条件を満たすと判定される。
図10の出力手段7には、基板設計情報によって、EMI許容条件(点線)及びEMI波形のグラフ(実線)とEMI許容条件を満たさないという判定結果(例えば図17の左図)、または、EMI許容条件B(点線)及びEMI波形のグラフ(実線)とEMI許容条件を満たすという判定結果(例えば図17の右図)が出力されることになる。
また、図17に示したような比較結果を出力することによって、PCB20の構成に従い、どの周波数帯でEMI特性がEMI許容条件を満たさないのか、またどれだけ改善が必要なのか、またはEMI許容条件に対してどれだけのマージンがあるかといった条件が判り、定量的な評価を行うことが可能となる。
このように、第2の実施形態のようにEMI許容条件を設定しておき、導出されたEMI特性がEMI許容条件を満たすかどうかを判定する処理を追加することも可能である。この処理を先ほどの第1の実施形態に係る一連の処理に追加することによって、PCBがEMI許容条件を満たすように設計されているかどうかを自動的に判定することが可能になる。
また、本発明の第2の実施形態によれば、ケーブルの接続されたPCBから発生するコモンモード放射の特性を短時間で導出し、ケーブルから発生するEMIの許容できる条件であるEMI許容条件の判定を短時間で行うことができる。それによって、PCBから発生するEMI特性が低レベルとなるような構造及び仕様で設計されているか否かの判断が可能となり、EMIの許容値を満たすようなPCBの構造の設計を容易に行なうことができる。
さらに、本発明の第2の実施形態によって導出されるEMI特性は定量的な値であるため、設計されたPCBの構造がEMI許容条件に対しどれだけのマージンを持っているかの判断も可能となる。そのため、必要に応じてEMI許容条件の特性を変更することにより、よりマージンを持ったPCBの構造または仕様を設計することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
図12に、本発明の第3の実施形態に係るシステム構成を示す。第3の実施形態は、図10に示した第2の実施形態のシステム構成において、ケーブル長補正特性導出手段9が追加されている。ケーブル長補正特性導出手段9で導出されたケーブル長補正特性は、データベース3にフィードバックされる。
第3の実施形態では、データベース3にケーブル長補正特性が格納されていない場合、解析モデル生成手段4及び基板解析手段5における解析結果から、ケーブル長補正特性導出手段9においてケーブル長補正特性を導出し、データベース3にフィードバック可能になっている。ケーブル長補正特性導出手段9において作成されたケーブル長補正特性は、データベース3に格納され、他の基板設計情報が入力されたときに、改めて読み出せるようになっている。また、第3の実施形態に係るシステムにおいて、ケーブル長補正特性を作成する際に途中で導出されるEMI特性とEMI特性判定手段8での判定結果は、出力手段7に出力可能な構成となっている。
(動作)
図13は、本発明の第3の実施形態に係る処理を示したフローチャートである。このフローは、図11に示した第2の実施形態の処理を示したフローチャートに、ケーブル長補正特性導出処理を追加したものとなっている。
まず、入力手段1は、図12のEMI特性導出手段2BにPCBの基板設計情報を入力する基板設計情報入力処理を実行する(ステップ31)。
次に、図12の解析モデル作成手段4、基板解析手段5及びケーブル長補正特性導出手段9は、入力された基板設計情報を用いてケーブル長補正特性導出処理を実行する(ステップ32)。
ここでは、解析モデル作成手段4及び基板解析手段5から構成される基板生成手段によって図6に示すような詳細基板モデル及び図7に示すような簡易基板モデルを作成する。また、基板解析手段5は、図6に示す実ケーブル電流54及び図7に示す仮想ケーブル電流58を導出する。さらに、ケーブル長補正特性導出手段9は、実ケーブル電流54及び仮想ケーブル電流58を用いてケーブル長補正特性を導出する。ケーブル長補正特性導出手段9は、ここで得られたケーブル長補正特性を図12のデータベース3に格納する。
次に、図12の解析モデル作成手段4は、簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ33)。ただし、ステップ32のケーブル長補正特性導出処理において簡易基板モデルは既に作成されているため、ステップ33の処理は既に作成されている簡易基板モデルを呼び出すだけでも構わないし、飛ばしても構わない。
次に、図12の基板解析手段5は、仮想ケーブル電流導出処理行う(ステップ34)。ただし、ステップ32のケーブル長補正特性導出処理において仮想ケーブル電流58は既に導出されているため、ステップ34の処理は導出されている仮想ケーブル電流58を呼び出すだけでも構わないし、飛ばしても構わない。
次に、図12のEMI計算手段6は、ケーブル長補正EMI特性計算を実行する(ステップ35)。ただし、ケーブル長補正特性導出処理において実ケーブル電流54は既に導出されている。そのため、EMI計算手段6は、図12のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流及びケーブル長補正特性から、実際のケーブルを流れる実ケーブル電流59(図8)を導出する処理を行ってもよい。また、EMI計算手段6は、ケーブル長補正特性導出処理において導出した実ケーブル電流54を呼び出すだけでも構わない。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流(54または59)を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、図12のEMI特性判定手段8は、EMI特性判定処理を実行する(ステップ36)。
ステップ36のEMI特性判定処理において、EMI特性判定手段8は、図12のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、そのEMI許容条件と導出されたコモンモード放射特性との比較検討を行い、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうか判定する。
そして、EMI特性判定手段8は、導出されたコモンモード放射特性であるEMI特性と、EMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果を図12の出力手段7に出力する結果出力処理を実行する(ステップ37)。
以上の一連の処理が第3の実施形態に係る処理フローである。なお、第3の実施形態では、図13のステップ38は実行されないものとする。
この処理によれば、最初はデータベース3にケーブル長補正特性が格納されていなくても、実際の基板設計情報からケーブル長補正特性を導出することができる。また、導出したケーブル長補正特性は、他の基板設計情報からEMI特性を導出する際にも使用することができる。
図14は、ステップ32のケーブル長補正特性導出処理の詳細なフローチャートを示している。
まず、図12の解析モデル作成手段4は、詳細基板モデル作成処理を実行する(ステップ301)。
ステップ301の詳細基板モデル作成処理は、図3及び図4に示したようなPCB20の基板設計情報から、図6に示すような詳細基板モデルを作成する処理である。PCB20に接続されるケーブルモデル52は、実際のケーブル長を再現したものとなっている。
次に、図12の基板解析手段5は、実ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ302)。
ステップ302の実ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、図6に示すような詳細基板モデルの電磁界解析を行い、実ケーブル電流54を導出する。
次に、図12の解析モデル作成手段4は、図7に示すような簡易基板モデルを作成する簡易基板モデル作成処理S14を実行する(ステップ303)。
次に、図12の基板解析手段5は、仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ304)。
ステップ304の仮想ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、図7に示すような簡易基板モデルの電磁界解析を行い、仮想ケーブル電流58を導出する。
次に、図12のケーブル長補正特性導出手段9は、ケーブル長補正特性計算処理を実行する(ステップ305)。
ステップ305のケーブル長補正特性計算処理において、ケーブル長補正特性導出手段9は、実ケーブル電流54と仮想ケーブル電流58よりケーブル長補正特性を導出する。このケーブル長補正特性導出処理の一例としては、図9に示したグラフを参照すると、実ケーブル電流特性を仮想ケーブル電流特性で除して、ケーブル長補正特性を導出する、という方法を用いることができる。
次に、図12のケーブル長補正特性導出手段9は、データベース出力処理を実行する(ステップ306)。
ステップ306のデータベース出力処理において、ケーブル長補正特性導出手段9は、図12のデータベース3に導出したケーブル長補正特性を出力し、このケーブル長補正特性導出処理の一連の処理は終了する。
本発明の第3の実施形態によると、他の基板設計情報を用いてPCBのEMI特性を導出するときに、実際の基板設計情報から導出したケーブル長補正特性を使用できる。そのため、複数の基板設計情報を設定した場合に、全ての基板設計情報において詳細なモデルを作成してEMI特性を電磁界解析によって直接導出し、EMI特性及びEMI許容条件を満たすかどうかの判定を行うよりも、短時間で結果を得ることができる。また、EMI特性を導出してEMI許容条件を満たすかどうかの判定をしたいPCBの基板設計情報のパターン数が増えるほど、本実施形態の優位性は上昇することになる。
本発明の第3の実施形態によれば、例えば、仮想ケーブル電流にケーブル長補正特性を乗算し、その近似特性をとるといった方法を用いることによって、仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性との演算も自動的に行うことも可能である。その結果、計算式をそのまま用いて、実ケーブル電流からコモンモード放射を導出することができ、仮想ケーブル電流からコモンモード放射を自動かつ短時間で導出することができる。
また、本発明の第3の実施形態によれば、ケーブル長補正特性が設定されていない場合に、詳細基板モデルと簡易基板モデルを用いてそれぞれの解析結果からケーブル長補正特性を導出することも可能である。具体的には、例えば、それぞれの解析モデルを用いて導出した実ケーブル電流特性と仮想ケーブル電流特性とから電流比を計算するという方法を用いることができる。ここで得られたケーブル長補正特性は、例えば、ケーブルが接続される位置が変更されるなどして設計条件が変更された場合に、第3の実施形態に係る一連の処理を行うときにそのまま使用することが可能である。こうした状況であっても、それぞれのケーブルの接続位置でそれぞれ詳細基板モデルを作成して解析を行い、それぞれの接続位置におけるコモンモード放射を導出するよりも、より短時間でコモンモード放射を導出することが可能となる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
図15に、本発明の第4の実施形態に係るシステム構成を示す。第4の実施形態は、図12に示した第3の実施形態のシステム構成において、記憶装置10が追加された構成になっている。
記憶装置10は、データベース3及びPCBの構造や部品の情報であるPCB設計情報11、LSIの構造や特性の情報であるLSI設計情報12、ケーブルの物理構造であるケーブル構造設計情報13といった基板設計情報が格納されている記憶手段である。
EMI特性導出手段2Bには、入力手段1によって、記憶装置10より基板設計情報が自動的に入力される。入力された基板設計情報及びデータベース3からのケーブル長補正特性やEMI許容条件から、自動的にEMI特性の導出及び導出されたEMI特性がEMI許容条件を満たすかどうかの判定結果が出力される構成になっている。また、EMI特性判定手段8は、出力手段7にEMI特性がEMI許容条件を満たすかどうかの判定結果を出力するだけではなく、出力結果を基板設計情報(PCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13)に反映する構成になっている。
PCB設計情報11の例としては、2次元CADデータに代表されるような、基板のプレーンや配線のサイズや部品の接続位置、その特性情報、ケーブルの接続情報が含まれている。また、PCB設計情報11には、図4に示した基板の層構造の情報、具体的には、表面導体層31、誘電体層32、内部導体層33、ヴィア34、層構成35及び各層毎の電気導電率や比誘電率等の電気特性の情報が含まれている。さらに、PCB設計情報11には、実装されている部品の3次元構造や電気特性が含まれている。
LSI設計情報12の例としては、図3の送信側LSI21の情報として、信号配線23に配線電流24を流す出力バッファでの信号電圧波形と出力バッファの構造情報、受信側LSI22の情報として、入力バッファの構造情報が挙げられる。
ケーブル構造設計情報13の例としては、ケーブルの長さ又は径等の構造情報や電気特性、反対側の端子の接続情報等が挙げられる。
(動作)
本発明の第4の実施形態に係る処理は、第3の実施形態と同様に図13のフローチャートに従う。
まず、入力手段1は、図15の記憶装置10に格納されたPCBの基板設計情報(PCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13)を図15のEMI特性導出手段2Bに入力する基板設計情報入力処理を実行する(ステップ31)。
ステップ31の基板設計情報入力処理において、例えば、基板のCADデータなどのPCB設計情報11(回路基板設計情報)が入力されると、その基板に実装されている部品の情報も連動して入力されるとしてもよい。さらに、実装されるLSIの情報であるLSI設計情報12(半導体集積回路設計情報)及び接続されるケーブルの情報であるケーブル構造設計情報13が連動して入力される、としてもよい。
次に、図15の解析モデル作成手段4、基板解析手段5及びケーブル長補正特性導出手段9は、入力された基板設計情報を用いたケーブル長補正特性導出処理を実行する(ステップ32)。
ステップ32のケーブル長補正特性導出処理においては、解析モデル作成手段4及び基板解析手段5から構成される基板生成手段は、詳細基板モデル(図6)及び簡易基板モデル(図7)を作成する。そして、基板解析手段5は、実ケーブル電流54(図6)及び仮想ケーブル電流58(図7)を導出する。その後、ケーブル長補正特性導出手段9は、実ケーブル電流54及び仮想ケーブル電流58を用いてケーブル長補正特性を導出する。得られたケーブル長補正特性は、図15の記憶装置10のデータベース3に格納する。
次に、図15の基板解析手段5は、簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ33)。ただし、既にステップ32のケーブル長補正特性導出処理において簡易基板モデルは作成されているため、この処理においては既に作成されている簡易基板モデルを呼び出すだけでも構わないし、飛ばしても構わない。
次に、図15の基板解析手段5は、仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ34)。ただし、既にステップ32のケーブル長補正特性導出処理において仮想ケーブル電流58は導出されているため、この処理においては導出されている仮想ケーブル電流58を呼び出すだけでも構わないし、飛ばしても構わない。
次に、図15のEMI計算手段6は、ケーブル長補正EMI特性計算を実行する(ステップ35)。ただし、既にステップ32のケーブル長補正特性導出処理において実ケーブル電流54が導出されている。そのため、EMI計算手段6は、図15のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流58とケーブル長補正特性とを用いて、実際のケーブルを流れる実ケーブル電流59(図8)を導出する処理を行ってもよい。また、EMI計算手段6は、ステップ32のケーブル長補正特性導出処理において導出した実ケーブル電流54を呼び出すだけでも構わない。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流(54または59)を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、図15のEMI特性判定手段8は、EMI特性判定処理を実行する(ステップ36)。
ステップ36のEMI特性判定処理において、EMI特性判定手段8は、図15の記憶装置10のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、導出されたコモンモード放射特性との比較検討を行う。そして、EMI特性判定手段8は、比較検討結果を基に、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうか判定する。
そして、EMI特性判定手段8は、導出されたコモンモード放射特性であるEMI特性と、EMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果と、を図15の出力手段7に出力する結果出力処理を実行する(ステップ37)。
ここで第4の実施形態に係る一連の動作は終了する。ただし、ステップ37と並行して基板設計情報書き換え処理が同時に実行されるとしてもよい(ステップ38)。
ステップ38の基板設計情報書き換え処理においては、記憶装置10の基板設計情報(PCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13)が、EMI特性及びEMI許容条件を反映して書き換えられる。例えば、記憶装置10の基板設計情報に対して、設定されたEMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果を反映させてもよい。また、EMI許容条件を満たしていない場合には、例えば、CADデータ上にエラーが記録され、同時に図17左図に示したようなEMI許容条件との比較結果が出力されるといった処理を実行されてもよい。
このように、第4の実施形態を用いれば、設定されたPCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13といった基板設計情報が連動して入力される。また、それらの基板設計情報に基づいてEMI特性の導出及びEMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果が出力される。そのため、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも、基板設計情報を記憶装置10に設定することができさえすれば、システムにより一連の処理を実行させることができる。よって、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるようなPCBの構造及び仕様を容易に設計することが可能になる。
本発明の第4の実施形態が反映されたシステムにおいては、PCBの構造情報やLSIを含む実装された部品の設計情報、ケーブルの構造情報を入力情報として設定する。そして、その入力情報を用いて一連の処理をコンピュータに実行させることによって、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるようなPCBの構造及び仕様を設計することが可能になる。この作業は、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも容易に行うことができる。
さらに、第4の実施形態によれば、ケーブル長補正特性は電磁界解析を用いて逆に算出することが可能である。そのため、一つのパターンでの処理からケーブル長補正特性を導出し、求められたケーブル長補正特性を他の複数のパターンに適用することも可能である。その結果、複数のパターンにおけるEMI特性の導出を精度良く、より短時間で実行することが可能になる。
以上のように、本発明の第4の実施形態では、PCBの構造及び仕様等の設計情報やEMI許容条件、ケーブル長補正特性を予め設定しておく。そして、第4の実施形態に係るシステムによって、PCBから発生するEMI特性が低レベルになっているかどうかの自動的な判定及び最適な構造の設計を、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも自動的に行うことが可能となる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
本発明の第5の実施形態においても、第4の実施形態と同様に図15に示したシステム構成をとる。第5の実施形態においては、例えば、図18に示すようなPCB20上にケーブルを接続するためのケーブル位置候補30が複数存在し、その中で最適なケーブル接続位置(コネクタ位置)を見出す用途に図15に示したシステムを適用する。なお、原則として、データベース3には初期状態としてケーブル長補正特性は含まれていないものとする。
(動作)
図16は、本発明の第5の実施形態に係る処理を示すフローチャートである。
まず、入力手段1は、図15の記憶装置10に格納されたPCBの基板設計情報(PCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13)を図15のEMI特性導出手段2Bに入力する基板設計情報入力処理を実行する(ステップ41)。
ステップ41の基板設計情報入力処理においては、図18のようなPCB20の構造において基板のCADデータなどのPCB設計情報11が入力されたら、そのPCB20に実装されている部品の情報も連動して入力されるとしてもよい。さらに、実装されるLSIの情報を含むLSI設計情報12及び接続されるケーブルの情報を含むケーブル構造設計情報13が連動して入力される、としても構わない。なお、第5の実施形態においては、ケーブル接続位置候補30は複数あるため、ケーブルと基板とがどこで接続されているかという情報は含まれておらず、接続される可能性のある位置としてケーブル接続位置候補30の位置情報が基板設計情報に含まれているものとする。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、入力された基板設計情報を用いた初期ケーブル接続位置決定処理を実行する(ステップ42)。
ステップ42の初期ケーブル接続位置決定処理において、EMI特性導出手段2Bは、図18のケーブル接続位置候補30の中で、最初にケーブルを接続する位置を決定する。この決定方法は、基板設計情報に既に設定されているとしてもよく、特にPCB設計情報11内に設定されていることが好ましい。例えば、最初に図18のケーブル接続位置候補30のうちの左下の接続位置にケーブルを接続する、などとして設定することができる。
次に、図15の解析モデル作成手段4、基板解析手段5及びケーブル長補正特性導出手段9は、図16のケーブル長補正特性導出処理を実行する(ステップ43)。
ステップ43のケーブル長補正特性導出処理において、解析モデル作成手段4及び基板解析手段5から構成される基板生成手段は、初期ケーブル位置の情報を反映させた詳細基板モデル(図6)及び簡易基板モデル(図7)を作成する。そして、基板解析手段5は、実ケーブル電流54及び仮想ケーブル電流58を導出する。さらに、ケーブル長補正特性導出手段9は、実ケーブル電流54及び仮想ケーブル電流58を用いてケーブル長補正特性を導出する。ケーブル長補正特性導出手段9は、得られたケーブル長補正特性を図15の記憶装置10のデータベース3に格納する。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、ケーブル接続位置選択処理を実行する(ステップ44)。
ステップ44のケーブル接続位置選択処理は、コモンモード放射特性を計算するケーブル接続位置を選択する処理であるが、この時点では初期ケーブル接続位置がそのまま選択される。
次に、図15の基板解析手段5は、簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ45)。ただし、ステップ43のケーブル長補正特性導出処理において、初期ケーブル接続位置での簡易基板モデルは既に作成されている。そのため、ステップ45の処理は、既に作成されている初期ケーブル接続位置での簡易基板モデルを呼び出すだけでも構わないし、飛ばしても構わない。
次に、図15の基板解析手段5は、仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ46)。ただし、ステップ43のケーブル長補正特性導出処理において初期ケーブル接続位置での仮想ケーブル電流58は既に導出されている。そのため、ステップ46の処理は、導出されている初期ケーブル接続位置での仮想ケーブル電流58を呼び出すだけでも構わないし、飛ばしても構わない。
次に、図15のEMI計算手段6は、ケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する(ステップ47)。ただし、ステップ43のケーブル長補正特性導出処理において初期ケーブル接続位置での実ケーブル電流54は既に導出されている。そのため、EMI計算手段6は、図15のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流58及びケーブル長補正特性を用いて実際のケーブルを流れる初期ケーブル接続位置での実ケーブル電流59(図8)を導出する処理を行ってもよい。また、EMI計算手段6は、ステップ43のケーブル長補正特性導出処理において導出された初期ケーブル接続位置での実ケーブル電流54を呼び出すだけでも構わない。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流(54または59)を用いて初期ケーブル接続位置でのケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、図15のEMI特性導出手段2Bは、基板設計情報追加処理を実行する(ステップ48)。ステップ48の基板設計情報追加処理において、EMI特性導出手段2Bは、入力された基板設計情報の中に、既にコモンモード放射特性を計算したケーブル接続位置を登録する。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、ケーブル接続位置完了判定処理を実行する(ステップ49)。ステップ49のケーブル接続位置完了判定処理において、EMI特性導出手段2Bは、図18に示したようなケーブル接続位置候補30の全てでコモンモード放射特性を導出したか否かの判定を行う。
ここで、全てのケーブル接続位置でコモンモード放射が導出されていない場合(ステップ49でNo)について説明する。すなわち、ステップ49でNoの場合、ステップ44のケーブル接続位置選択処理に戻り、EMI特性導出手段2Bは、次にコモンモード放射を導出するケーブル接続位置を選択する処理を行う。ケーブル接続位置の決定方法は、基板設計情報に既に設定されているとしてもよく、特にPCB設計情報11に含まれていることが好ましい。例えば、図18のケーブル接続位置候補30の左下の接続位置から反時計回りで隣の接続位置を選択する、などとして設定することができる。
次に、図15の基板解析手段5は、簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ45)。ここで、基板解析手段5は、選択されたケーブル接続位置における簡易基板モデルを作成するが、図7に示す簡易基板モデルにおける基板モデル51の方には変更がないので、初期ケーブル接続位置で作成した簡易基板モデルの基板モデル51に、仮想ケーブルモデル56だけを変更して接続する、という処理にしても構わない。
次に、図15の基板解析手段5は、仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ46)。ここで、基板解析手段5は、ステップ45で作成された簡易基板モデルの電磁界解析を行って、仮想ケーブル電流58を導出する。
次に、図15のEMI計算手段6は、ケーブル長補正EMI特性計算を実行する(ステップ47)。ここで、EMI計算手段6は、図15のデータベース3に格納されている初期ケーブル接続位置で導出されたケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流58とケーブル長補正特性から、実ケーブル電流59を導出する処理を行う。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流59を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、図15のEMI特性導出手段2Bは、基板設計情報追加処理を実行する(ステップ48)。ここで、EMI特性導出手段2Bは、入力された基板設計情報の中に、既にコモンモード放射特性を計算したケーブル接続位置を追加して登録する。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、ケーブル接続位置完了判定処理を実行する(ステップ49)。ステップ49のケーブル接続位置完了判定処理において、EMI特性導出手段2Bは、図18に示したケーブル接続位置候補30の全てでコモンモード放射特性を導出したかの判定が行われる。
この時点でも、全てのケーブル接続位置候補30でのコモンモード放射特性が導出されていなければ、ステップ44のケーブル接続位置選択処理に戻り、次にコモンモード放射を導出するケーブル接続位置を選択する処理を行って、その位置にケーブルが接続されたときのコモンモード放射を導出する処理を繰り返す。
以上が、全てのケーブル接続位置でコモンモード放射が導出されていない場合(ステップ49でNo)の動作フローである。
一方、ステップ49のケーブル接続位置完了判定処理において、図18に示したようなケーブル接続位置候補30の全てでコモンモード放射特性が導出されていると判定された場合(ステップ49でYes)、図15のEMI特性判定手段8は、EMI特性判定処理を実行する(ステップ50)。
ステップ50のEMI特性判定処理において、EMI特性判定手段8は、図15の記憶装置10のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、導出された全てのケーブル接続位置でのコモンモード放射特性との比較検討を行い、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうか判定する。
そして、EMI特性判定手段8は、全てのケーブル接続位置において導出されたコモンモード放射特性であるEMI特性と、EMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果を図15の出力手段7に出力する結果出力処理を実行する(ステップ51)。
ここで第5の実施形態に係る一連の動作は終了する。ただし、ステップ51と並行して基板設計情報書き換え処理が同時に実行されるとしてもよい(ステップ52)。
ステップ52の基板設計情報書き換え処理においては、記憶装置10の基板設計情報(PCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13)が、EMI特性及びEMI許容条件を反映して書き換えられる。例えば、記憶装置10に設定された基板設計情報に対して、全てのケーブル接続位置候補30において、設定されたEMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果を反映させればよい。その例として、EMI許容条件を満たしていないケーブル接続位置候補30には、CADデータ上にエラーが記録される、などとしてもよい。さらには、全てのケーブル接続位置候補30に、図17に示したようなEMI許容条件との比較結果が出力される、といった処理を実行してもよい。例えば、CAD上のケーブル接続位置候補30の内、エラーが出ている箇所だけ色を変える、といった処理などが行われてもよい。
このように、第5の実施形態を用いれば、設定されたPCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13といった基板設計情報が連動して入力されて、それらの情報に基づき全てのケーブル接続位置においてEMI特性の導出及びEMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果が出力される。そのため、基板設計情報を記憶装置10に設定することができれば、システムで一連の処理を行わせるだけなので、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるようなケーブル接続位置を容易に発見することが可能になり、それを元にPCBの構造及び仕様を設計することが可能になる。また、一つの入力情報に対するEMI特性の導出を短時間で行うことが可能なため、複数のパターンを解析することになっても現実的な時間で全パターンのEMI特性の導出が可能になる。このような操作は、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人であっても簡単に対応することができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
図19に、本発明の第6の実施形態に係るシステム構成を示す。本実施形態は、図10に示した第2の実施形態に係るシステム構成に、基板構成変更手段14が追加された構成になっている。第6の実施形態においては、EMI特性導出手段2によって導出されたEMI特性が、EMI特性判定手段8によってEMI許容条件を満たさないと判定されたとき、基板構成変更手段14によってPCBの基板設計情報の変更を行う。なお、変更された基板設計情報は再度EMI特性導出手段2に入力される。PCBの構成の変更指針は、予めデータベース3に設定されているとしてもよい。例えば、EMI特性判定手段8によってデータベース3からEMI許容条件を呼び出すときに、同時に変更指針も呼び出せるようにしてもよい。
(動作)
図20は、本発明の第6の実施形態に係る処理を示すフローチャートである。このフローは、図11に示した第2の実施形態の処理を示したフローチャートに、変更判定処理及び基板構成変更処理を追加したものとなっている。
まず、入力手段1は、PCBの基板設計情報を図19のEMI特性導出手段2に入力する基板設計情報入力処理を実行する(ステップ61)。
次に、図19のEMI特性導出手段2の解析モデル作成手段4は、入力された基板設計情報を用いて簡易基板モデルを作成する簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ62)。
次に、図19のEMI特性導出手段2の基板解析手段5は、簡易基板モデル(図7)に基づいて仮想ケーブルモデル56を流れる仮想ケーブル電流58を導出する仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ63)。
次に、図19のEMI特性導出手段2のEMI計算手段6は、仮想ケーブル電流58を用いたケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する(ステップ64)。
ステップ64のケーブル長補正EMI特性計算処理において、EMI計算手段6は、図19のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流58とケーブル長補正特性から、実ケーブル電流59を導出する。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流59を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、図19のEMI特性判定手段8は、EMI特性判定処理を実行する(ステップ65)。
ステップ65のEMI特性判定処理において、EMI特性判定手段8は、図19のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、導出されたコモンモード放射特性との比較検討を行い、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうかを判定する。
次に、図19のEMI特性判定手段8は、変更判定処理を実行する(ステップ66)。
ステップ66の変更判定処理において、EMI特性判定手段8は、導出された判定結果によって、PCBの基板構成変更処理を行うかどうかを選択する。
ここで、導出されたコモンモード放射特性がEMI許容条件を満たさなかった場合(ステップ66でNo)、図19の基板構成変更手段14は、基板構成変更処理を実行する(ステップ68)。
ステップ68の基板構成変更処理について説明する。
まず、ステップ65のEMI特性判定処理において、基板構成変更手段14は、データベース3よりEMI許容条件を呼び出すとき、同時にEMI許容条件を満たさないときのPCB構成の変更指針を呼び出しておく。そして、基板構成変更手段14は、その変更指針に従って、PCBの基板設計情報として用意されているPCB設計情報11やLSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13といった情報を変更する処理を行う。さらに、基板構成変更手段14は、構成が変更されたPCBの基板設計情報に対し、改めて図20のステップ61の基板設計情報から始まる一連の処理を実行する。
また、ステップ66の変更判定処理において、導出されたコモンモード放射特性がEMI許容条件を満たした場合(ステップ66でYes)、EMI特性判定手段8は、出力手段7に判定結果を出力する結果出力処理を実行する(ステップ67)。なお、判定結果とは、導出されたコモンモード放射特性であるEMI特性と、EMI許容条件を満たしているかどうかのことである。
ここで第6の実施形態に係る一連の処理は終了する。なお、第6の実施形態では、図20のステップ69、70、71は実行されないものとする。
このとき、ステップ67と並行して、基板設計情報が変更されていた場合には、同時に変更された基板設計情報が出力されるとしてもよい。同時に基板設計情報変更前と基板設計情報変更後のEMI特性とEMI許容条件との比較波形も出力するとしてもよい。例えば、図17左図のように基板設計情報変更前のEMI許容条件を満たしていない場合、図17右図のように基板設計情報変更後のEMI許容条件を満たした場合の比較波形を出力するとしてもよい。このように、基板設計情報変更前と変更後の波形を示せば、基板設計情報に変更を行うことによってどのように放射特性が変更されたかという知見を得ることができる。
また、基板構成の変更指針は複数設定しておいてもよい。一度基板設計情報を変更してもEMI許容条件を満たさなかった場合に次の変更指針を設定しておけば、基板構成の変更を繰り返すことによって、EMI許容条件を満たすPCBの構成を得ることが可能になる。例えば、PCB設計情報11に変更を加えてもEMI許容条件を満たさなかった場合にはLSI設計情報12にも変更を加え、LSI設計情報12に変更を加えてもEMI許容条件を満たさなかった場合にはケーブル構造設計情報13にも変更を加える、といった変更指針を設定しておけばよい。また、用意された基板設計情報の変更順番を任意に組み合わせてもよい。
このように、本実施形態を用いれば、基板設計情報及びEMI許容条件と基板構成の変更指針を設定しておけば、システムで一連の処理を行わせるだけなので、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるPCBの構造及び仕様を容易に設計することが可能になる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
図21に、本発明の第7の実施形態に係るシステム構成を示す。第7の実施形態は、図19に示した第6の実施形態に係るシステム構成において、記憶装置10が追加された構成になっている。
記憶装置10は、第4の実施形態と同様、データベース3及びPCBの構造や部品の情報であるPCB設計情報11、LSIの構造や特性の情報であるLSI設計情報12、ケーブルの物理構造であるケーブル構造設計情報13といった基板設計情報が格納されている。
第7の実施形態において、入力手段1は、記憶装置10より基板設計情報をEMI特性導出手段2に自動的に入力する。EMI特性判定手段8は、入力された基板設計情報及びデータベース3からのケーブル長補正特性やEMI許容条件から、自動的にEMI特性の導出及び導出されたEMI特性がEMI許容条件を満たすかどうかの判定を行う。ここで、EMI特性判定手段8によって入力されたPCBの構成がEMI許容条件を満たさないと判定されたとき、予め設定されたPCBの構成の変更指針に従って、基板構成変更手段14が基板構成を変更する構成になっている。さらに、この構成変更に合わせて、基板構成変更手段14は、PCBの基板設計情報を変更し、変更した基板設計情報をEMI特性導出手段2に再度入力する。PCBの構成の変更指針は、予めデータベース3に設定されているとしてもよく、EMI特性判定手段8によってデータベース3からEMI許容条件を呼び出すときに、同時に変更指針も呼び出せるようにしてもよい。また、EMI特性及びEMI許容条件を満たした場合のPCBの構成情報を出力手段7に出力するだけではなく、出力結果が基板設計情報(PCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13)に反映される構成になっている。
(動作)
第7の実施形態では、第6の実施形態と同様に図20のフローチャートに従って処理を実行する。
まず、入力手段1は、図21の記憶装置10のPCB設計情報11を図21のEMI特性導出手段2に入力する基板設計情報入力処理を実行する(ステップ61)。
ステップ61の基板設計情報入力処理においては、基板のCADデータなどのPCB設計情報11が入力されると、その基板に実装されている部品の情報も連動して入力されるとしてもよい。さらに、実装されるLSIの情報であるLSI設計情報12及び接続されるケーブルの情報であるケーブル構造設計情報13が連動して入力される、としてもよい。
次に、図21の基板解析手段5は、ステップ61で入力された基板設計情報を用いて簡易基板モデル(図7)が作成される簡易基板モデル作成処理を実行する(ステップ62)。
次に、図21のEMI特性導出手段2の基板解析手段5は、ステップ62で作成された簡易基板モデル(図7)を用いて仮想ケーブルモデル56を流れる仮想ケーブル電流58を導出する仮想ケーブル電流導出処理を実行する(ステップ63)。
次に、図21のEMI特性導出手段2のEMI計算手段6は、仮想ケーブル電流58を用いてケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する(ステップ64)。
ステップ64のケーブル長補正EMI特性計算処理において、EMI計算手段6は、まず、図21のデータベース3に格納されているケーブル長補正特性を読み出す。そして、EMI計算手段6は、仮想ケーブル電流58とケーブル長補正特性から、実際のケーブルを流れる実ケーブル電流59(図8)を導出する。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式より、実ケーブル電流59を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
そして、図21のEMI特性判定手段8は、EMI特性判定処理を実行する(ステップ65)。
ステップ65のEMI特性判定処理において、EMI特性判定手段8は、図21のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、導出されたコモンモード放射特性との比較検討を行い、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうかを判定する。
次に、図19のEMI特性判定手段8は、変更判定処理を実行する(ステップ66)。
ステップ66の変更判定処理において、EMI特性判定手段8は、導出された判定結果により、PCBの基板構成変更処理を行うかどうかを選択する。
ここで、導出されたコモンモード放射特性がEMI許容条件を満たさなかった場合(ステップ66でNo)、図21の基板構成変更手段14は、基板構成変更処理を実行する(ステップ68)。
ステップ68の基板構成変更処理について説明する。
まず、ステップ65のEMI特性判定処理において、基板構成変更手段14は、データベース3よりEMI許容条件を呼び出すとき、同時にEMI許容条件を満たさないときのPCB構成の変更指針を呼び出しておく。
そして、基板構成変更手段14は、その変更指針に従い、図22〜図27に示したようなPCBの基板設計情報としてPCB設計情報11(図22及び図23)、LSI設計情報12(図24及び図25)、ケーブル構造設計情報13(図26及び図27)を変更する処理を行う。さらに、基板構成変更手段14は、構成が変更されたPCBの基板設計情報に対し、改めて図20のステップ61の基板設計情報から始まる一連の処理を実行する。
一方、ステップ66の変更判定処理において、導出されたコモンモード放射特性がEMI許容条件を満たした場合(ステップ66でYes)、結果出力処理を実行する。結果出力処理において、EMI特性判定手段8は、導出されたコモンモード放射特性であるEMI特性と、EMI許容条件を満たしているかどうかの判定結果と、を図21の出力手段7に出力する結果出力処理を実行する(ステップ67)。
ここで第7の実施形態に係る一連の処理は終了する。
このとき、ステップ67と並行して、基板設計情報が変更されていた場合には、同時に変更された基板設計情報や、基板設計情報変更前と基板設計情報変更後のEMI特性とEMI許容条件との比較波形も出力されるとしてもよい。また、同時に記憶装置10の基板設計情報が、基板構成の変更に対応して書き換えられるとしてもよい。
具体的には、PCB設計情報11が変更された場合には、図21の記憶装置10のPCB設計情報11が変更結果を反映して書き換えられるPCB設計情報書き換え処理が実行される(ステップ69)。また、LSI設計情報12が変更された場合には、図21の記憶装置10のLSI設計情報12が変更結果を反映して書き換えられるLSI設計情報書き換え処理が実行される(ステップ70)。また、ケーブル構造設計情報13が変更された場合には、図21の記憶装置10のケーブル構造設計情報13が変更結果を反映して書き換えられるケーブル構造設計情報書き換え処理が実行される(ステップ71)。
以上が、第7の実施形態に係る一連の処理についての説明である。
(変更例)
ここで、図22〜図27を用いた第7の実施形態に係るステップ69〜71において、基板設計情報を変更する例について説明する。
図22及び図23には、これまで説明に用いてきた図3、4に示すPCBの例をもとに、PCB設計情報11の変更前の例(左図)と、PCB設計情報11の変更例として信号配線を一部内層化した例(右図)を示す。
図22は基板の断面図である。図22の左図は信号配線81が表面層にある例であり、図22の右図は内層配線85がある変更例である。基板の内層には誘電体82の中に電源層83やグランド層84が設けられている。図22の右図の変更例において、内層配線85は、2つのグランド層84の間に設けている。
図23は基板の上面図である。図23の左図の例においては、信号配線81とケーブル27との間の電磁界的な結合86が発生しており、そのため信号配線23に配線電流24が流れると、ケーブル27にケーブル電流28が流れ、ケーブル27からコモンモード放射29が発生する。
それに対し、図23の右図に示した例のような内層配線85を有する信号配線87においては、内層配線85の部分はグランド層84に挟まれ、信号配線85とケーブル27との結合88は、内層配線85の割合に応じて小さくなる。そのため、ケーブル電流28が小さくなってコモンモード放射29を抑制することが可能になる。
この場合、PCB設計情報11の変更情報としては、信号配線の層の変更(一部内層化の場合はその部分のみ)及び層を変更したことによる3次元構造の変更、配線内層化に相当するヴィアの追加や位置変更があげられる。それらの変更情報は、図20のステップ69のPCB設計情報書き換え処理により書き換えられる。
図24及び図25は、LSI設計情報12の変更例として、信号電圧Vの立ち上がり時間を変更した例を示す。
構成変更前の例(図24の左図)において、信号電圧Vは、周期T、立ち上がり時間tr1、立下り時間tf1、ON時間Ton1で定義されるようなパルス信号になっている。ここで、変更例(図24の右図)のように、立ち上がり時間tr1をより大きなtr2に変更する例を示す。
図25に示す信号電圧の周波数特性においては、左図が構成変更前、右図が構成変更後を示したものだが、右図に示すように立ち上がり時間に起因する周波数(図25におけるftr2)における電圧成分が小さくなり、電圧の高周波成分が小さくなっている。その結果、コモンモード放射における高周波成分が小さくなっている。実際には、tr1に相当する周波数ftr1における電圧成分は元々小さかったが、立ち上がり時間をより大きなtr2に変更したことによって、電圧を小さくする周波数(ここではftr2)をより低い周波数にずらして、コモンモード放射の抑制効果を大きくしている。この場合、LSI設計情報12の変更情報としては、立ち上がり時間tr1をtr2に、立ち下がり時間tf1をtf2に、ON時間Ton1をTon2にそれぞれ変更した点があげられる。それらの変更情報は、ステップ70の図20のLSI設計情報書き換え処理により書き換えられる。
図26及び図27は、ケーブル構造設計情報13の変更例として、ケーブルの材質を変更した例を示す。
この変更例では、図26の左図に示した変更前のケーブル27を、図26の右図のようにフェライトコーティングされたケーブル90にするように変更している。この変更によって、図27に示すように、図27の左図に示した変更前のコモンモード放射は高周波fc1で最大値EMax1を出力している。それに対し、図27の右図の変更例では、フェライトコーティングの効果により高周波でのコモンモード放射が抑制されて最大値がEMax2に低下するようになる。
この場合、ケーブル構造設計情報13の変更としては、フェライトコーティングによるケーブル90の材質と径の変更点があげられる。それらの変更情報は、図20のステップ71のケーブル構造設計情報書き換え処理により書き換えられる。
以上が変更例を用いた図20のステップ69〜71の説明である。
このように、第7の実施形態を用いれば、設定されたPCB設計情報11、LSI設計情報12、ケーブル構造設計情報13といった基板設計情報が連動して入力される。そして、それらの基板設計情報が変更指針に基づきEMI特性がEMI許容条件を満たすように基板設計情報が変更されて出力される。そのため、基板設計情報やEMI許容条件を満たさない場合の変更指針を記憶装置10に設定することさえできれば、システムにより一連の処理を実行され、EMI許容条件を満たすようなPCBの構成が出力される。よって、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人であっても、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるようなPCBの構造及び仕様を容易に設計することが可能になる。
第7の実施形態に係る回路基板設計システムによれば、複数パターンのPCBの設計情報を設定しておき、それぞれのパターンにおける入力情報を基にシステムが一連の処理を行うだけである。そのため、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるようなPCBの構造及び仕様を設計することが可能になる。このような操作は、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人であっても簡単に対応することができる。
また、第7の実施形態によれば、異なる複数のパターンを有するPCBの設計情報が設定されていた場合、パターン毎に繰り返し前記一連の処理を行うことによって、どの設計パターンがEMI許容条件を満たしているかどうかを自動的に判定し、最適な設計パターンを抽出することが可能になる。この場合にも、パターン毎に判定を短時間で行うことが可能になっているため、現実的な設計時間で最適なパターンを抽出することが可能となる。
(実施例)
ここでは、本発明の実施形態(第5の実施形態)に係る実施例として、PCBの構成の設計を行った例を説明する。
(構成)
図28及び図29に、実施例に係るPCBの構造を示す。なお、回路基板設計システムとしては、図15に示した第5の実施形態に係るシステムを使用する。
図28は、実施例に係るPCB上面図である。なお、図28においては、解析モデル作成に不要な部分の情報は省略している。図28においては、100mm×50mmのサイズを有する基板65の表面上に、長さ60mm、幅0.18mmの銅配線からなる信号配線63が設置されている。信号配線63は、基板65の対角線の交点となる中心部と信号配線63の中心部が重なるように設置されている。信号配線63の両端部には、それぞれ送信端61及び受信端62が設置され、送信端61及び受信端62にはそれぞれ図示しないLSIが接続されている。また、基板65の辺に沿うように、3つのケーブル接続位置候補64(ケーブル接続位置候補A、ケーブル接続位置候補B、ケーブル接続位置候補C)が設けられている。
図29は、実施例に係るPCBの断面構造である。
基板65は、6層構造からなる導体層66を有している。基板65が有する導体層66は、表面層(1層目)から順に、S−G−S−V−G−Sという層の並びになっている。なお、Sは信号層(Signal Layer)、Gはグランド層(Ground Layer、GNDとも記載)、Vは電源層(Voltage Layer、VCCとも記載)を示している。導体層66の各層は、表面層から順に、それぞれ第1信号層66−1、第1GND層66−2、第2信号層66−3、VCC層66−4、第2GND層66−5、第3信号層66−6とよぶことにする。また、それぞれの層の間には比誘電率εr=4.2の誘電体が存在している。なお、図29の各層の右側や上部に示した数字は、各層の厚さの一例を示している(単位はmm)。
図示しない送信側LSI、受信側LSI、信号配線は全て1層目である第1S層66−1に設置されている。また、送信側LSI及び受信側LSIは、図示しないヴィアを介してGND層及びVCC層に接続されている。
また、ケーブルコネクタ(サイズは5mm×5mm)も1層目にあり、図示しないヴィアを介してGND層に接続されている。選択可能なケーブルコネクタとして、ケーブル接続位置候補A、B、Cが設定されている。ケーブル接続位置候補Aは、基板の左端に接し、下端からの距離が20mmの位置にある(図28の64A)。ケーブル接続位置候補Bは、基板の右端に接し、下端からの距離が38mmの位置にある(図28の64B)。ケーブル接続位置候補Cは、基板の右端に接し、下端からの距離が20mmの位置にある(図28の64C)。
GND層(2層とも)及びVCC層は、ベタプレーン構造となっており、水平面サイズは基板サイズと同じである。3層目、6層目には信号層が設定されているが、6層基板を作成するために存在する層なので、このパターンでは使用されていない状態になっている。これらの情報は、2次元CADデータや層構造、部品の構造や特性として、図15のPCB接続情報11に含まれている。
またLSIの特性として、送信端61の電圧特性は振幅1Vの交流電圧であり、受信端62の容量は10pFであるという情報が、図15のLSI設計情報12に含まれている。
また、ケーブル接続位置は決定していないものの、ケーブルの材質は銅であり、径は1mm、長さは1mという構造情報が、図15のケーブル構造接続情報13に含まれている。
ここで、「500MHzまでの周波数範囲において、発生するEMI特性が65dBμV/m以下である」というEMI許容条件が設定されたとき、このPCBにおいて、ケーブル接続位置候補であるケーブル接続位置候補A、B、Cの中で、どの接続位置にすればEMI許容条件を満たすようにPCBの構造を設計できるか、という判定を第5の実施形態に係るシステムを用いて行う。ただし、ケーブル長補正特性は初期段階では設定されていないものとする。
(動作)
ここで、実施例の処理について説明する。なお、実施例の処理は、図16のフローチャートに沿って実行される。
初めに、図15の記憶装置10に、図28及び図29に示したPCBの基板設計情報であるPCB設計情報11、LSI設計情報12及びケーブル構造設計情報13を設定する。また、記憶装置10のデータベース3には、前述のEMI許容条件が設定されているものとする。
まず、図16の基板設計情報入力処理が行われ、図28及び図29に示したPCBの基板設計情報であるPCB設計情報11、LSI設計情報12及びケーブル構造設計情報13が、図15のEMI特性導出手段2Bに入力される(ステップ41)。
次に、図16の初期ケーブル接続位置決定処理が行われ、最初にケーブルが接続される位置が決定する(ステップ42)。ここでは、PCB設計情報11に、初期ケーブル接続位置はケーブル接続位置候補Aであるという情報が含まれていたものとし、初期ケーブル接続位置はケーブル接続位置候補Aであるというように決定される。
次に、図16のケーブル長補正特性導出処理が行われる(ステップ43)。
ステップ43のケーブル長補正特性導出処理については、図14を用いて説明する。
まず、図15の解析モデル作成手段4は、図14のステップ301の詳細基板モデル作成処理を行い、図28に示したPCBの基板設計情報に従い、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aとなる基板詳細モデルを作成する。
ここで、図30に、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aのときの電磁界解析モデルとなる詳細基板モデルを示す。
図30の詳細基板モデルにおいて、解析モデル作成手段4は、図28及び図29に示したPCBの構成を再現するように、設定された基板設計情報から基板モデル67を作成する。基板モデル67は、配線やグランド層などの各層構造と電気特性、ヴィアによる接続情報、さらには送信端61での給電モデル(振幅1Vの交流電源)及び受信端62での終端モデル(10pFを持つ容量モデル)によって構成される。また、図30の詳細基板モデルにおいて、ケーブルモデル68は、基板モデルのケーブル接続位置候補Aを表わす位置に接続され、ケーブル長(1m)、ケーブル径及びケーブルの材質を反映したモデルとなっている。そして、詳細基板モデルに対応した解析空間69が形成される。
次に、図15の基板解析手段5は、図14のステップ302の実ケーブル電流導出処理を行う。実ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、図30に示す詳細基板モデルを解析して、実ケーブル電流70を導出する。なお、図30を用いた説明においては、詳細基板モデルから算出した実ケーブル電流と、簡易基板モデルから求めた仮想ケーブル電流とケーブル長補正特性から求めた実ケーブル電流とを区別せずに説明する。また、解析する周波数のステップは50MHzとしている。
ここで、実ケーブル電流70は、図32に示した破線の特性を示し、ケーブル長に起因する様々な共振成分が含まれていることが判る。
次に、図15の解析モデル作成手段4は、図14のステップ303の簡易基板モデル作成処理を行い、図31に示すようなケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aの時の電磁界解析モデルである簡易基板モデルを作成する。
ここで、基板モデルは変化しないため、図14のステップ301の詳細基板モデル作成処理で使用した基板モデルがそのまま使用されるとしてよい。また仮想ケーブルモデル71においては、接続位置、径及び材質は変更されず、長さだけが変更される。仮想ケーブルモデル71の長さの最大値Lclは、EMI許容条件より、最大周波数は500MHzであるとされているので、以下の式3より求められる。式3は、第1の実施形態で示した式1のFcに500×106を代入した式である。
cl=300×106/(4×500×106)=150×10-3・・・(3)
なお、ここでは精度を考慮し、仮想ケーブル長Lclを最大の150mmとした。この条件は、予めケーブル構造接続情報13の中に設定されているとしてもよいし、ケーブル構造接続情報を読み込めば自動的に仮想ケーブル長Lclが決定され、その仮想ケーブル長Lclで仮想ケーブルモデル71が作成されるシステムになっていてもよい。
ここで、図31に示したように仮想ケーブルモデル71に対応して解析空間72が形成されるが、図30に示した詳細基板モデルの解析空間69と比較して非常に小さいサイズになっている。
次に、図15の基板解析手段5は、図14のステップ304の仮想ケーブル電流導出処理を実行する。仮想ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、図31に示す簡易基板モデルを解析して、仮想ケーブル電流73を導出する。また、解析する周波数のステップは詳細基板モデルのときと同様50MHzとしている。この解析は、解析空間72が小さくなっているため、図30の詳細基板モデルを解析して実ケーブル電流70を導出するのと比べて短時間で実行される。
ここで、仮想ケーブル電流73の特性は、図32に示した実線の特性になり、ケーブル長に起因する共振成分が含まれていない特性になっていることが判る。
次に、図15のケーブル長補正特性導出手段9は、図14のステップ305のケーブル長補正特性計算処理を実行する。ケーブル長補正特性計算処理において、ケーブル長補正特性導出手段9は、図32に示した実ケーブル電流70及び仮想ケーブル電流73の特性から、ケーブル長補正特性を導出する。ここで、ケーブル長補正特性導出手段9は、実ケーブル電流特性を仮想ケーブル電流特性で除算して電流比、さらにその電流比の特性の近似曲線を求めるという手法により、ケーブル長補正特性を導出する。ただし、低周波ではケーブル長1mの1/4共振が75MHzに存在しているため、その前後の周波数50MHz、100MHzの特性は電流比をそのまま使用している。
このケーブル長補正特性の導出方法は、予めケーブル長補正特性導出手段9の中に組み込まれているとしてよいが、ケーブル長の変更など有る場合は、カスタマイズできるようにしてもよい。また、ケーブル長補正特性に関する情報はケーブル構造接続情報13に含まれており、ケーブル構造接続情報13が入力されれば自動的に選択されるとしてもよい。
図33に、電流比(破線)とその電流比から導出したケーブル長補正特性(実線)を示す。電流比(破線)では複数の共振成分が存在しているが、ケーブル長補正特性(実線)では、ケーブル長の1/4の共振成分以外を反映しないような特性となっている。
次に、図14のステップ306のデータベース出力処理が行われると、図15のデータベース3に導出されたケーブル長補正特性が格納され、ケーブル長補正特性導出処理が終了する。
以上の図14のステップ301〜306の処理は、図16のステップ43のケーブル長補正特性導出処理において実行される。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ44のケーブル接続位置選択処理を実行する。この時点では、ケーブルは初期接続位置であるケーブル接続位置候補Aにあるので、そのままケーブル接続位置候補Aが選択される。
次に、通常の第5の実施形態に係るフローであれば、図15の基板解析手段5は、図16のステップ45の簡易基板モデル作成処理を実行する。しかし、この段階では、図16のステップ43のケーブル長補正特性導出処理においてケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aである場合の簡易基板モデルが既に作成されているため、この処理はこの段階では飛ばされる。
次に、通常の第5の実施形態に係るフローであれば、図15の基板解析手段5は、図16のステップ46の仮想ケーブル電流導出処理を実行する。しかし、この段階では、図16のステップ43のケーブル長補正特性導出処理においてケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aの仮想ケーブル電流73は既に導出されているため、この処理は飛ばされる。
次に、図15のEMI計算手段6は、図16のステップ47のケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する。
ここで、EMI計算手段6は、図16のステップ43のケーブル長補正特性導出処理においてケーブル接続位置が候補における実ケーブル電流70を既に導出している。しかしながら、図16のステップ47のケーブル長補正EMI特性計算処理において、EMI計算手段6は、他のケーブル接続位置候補64との比較を考慮し、図15のデータベース3に格納されている図33に示すケーブル長補正特性を読み出し、仮想ケーブル電流73及びケーブル長補正特性から、実際のケーブルを流れるケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aとなる実ケーブル電流70を導出する処理を行うものとする。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式2によって、実ケーブル電流70を用いてケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aとなるケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
図34に、計算されたケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aである場合のコモンモード放射特性(実線)を示す。比較として、図30の詳細基板モデルを用いてコモンモード放射を解析した解析結果(破線)を並べて示す。
図34によれば、図30の詳細基板モデル(破線)と図31の簡易基板モデル(実線)によって算出されたコモンモード放射特性とのずれは最大6dB程度であり、放射特性としては非常に良い一致を示していると言える。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ48の基板設計情報追加処理を実行する。基板設計情報追加処理において、EMI特性導出手段2Bは、入力された基板設計情報の中に、既にコモンモード放射特性を計算したケーブル接続位置としてケーブル接続位置候補Aを登録する。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ49のケーブル接続位置完了判定処理を実行する。ケーブル接続位置完了判定処理においては、図28に示したケーブル接続位置候補64の全てでコモンモード放射特性が導出されたか否かの判定が行われる。
ここでは、まだ初期設計位置であるケーブル接続位置候補Aでしか行われていないので、図16のステップ44のケーブル接続位置選択処理に戻り、EMI特性導出手段2Bは、次にコモンモード放射を導出するケーブル接続位置を選択する処理を行う。ケーブル接続位置の決定方法は、基板設計情報、特にPCB設計情報11として既に設定されているとしてもよく、この実施例においては「候補A→候補B→候補Cの順に選択する」という基板設計情報が設定されていたものとする。
ここで、前述のケーブル接続位置の決定方法に従い、ケーブル接続位置候補AにおけるEMI特性の導出が終ったので、次にケーブル接続位置候補Bが選択される。
次に、図15の基板解析手段5は、図16のステップ45の簡易基板モデル作成処理を実行する。簡易基板モデル作成処理において、基板解析手段5は、選択されたケーブル接続位置候補Bにおける簡易基板モデルを作成するが、図31に示す簡易基板モデルにおける基板モデル67の方には変更はない。そのため、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aである場合に作成した簡易基板モデルの基板モデル67に、ケーブル接続位置をケーブル接続位置候補Bの位置に変更して仮想ケーブルモデル71を接続する、という処理を行う。そのようにして、基板解析手段5は、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Bのときの簡易基板モデルを作成する。
次に、図15の基板解析手段5は、図16のステップ46の仮想ケーブル電流導出処理を実行する。仮想ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、作成された簡易基板モデルの電磁界解析を行って、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Bのときの仮想ケーブル電流73を導出する。
次に、図15のEMI計算手段6は、図16のステップ47のケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する。ケーブル長補正EMI特性計算処理において、EMI計算手段6は、図15のデータベース3に格納されている図33に示すケーブル長補正特性(実線)を読み出し、仮想ケーブル電流73とケーブル長補正特性から、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Bのときの実ケーブル電流70を導出する処理を行う。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式2より、実ケーブル電流70を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
ここで得られた特性は図35の実線に示したようになる。この場合においても比較として、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Bのときの詳細基板モデルを用いて解析したEMI特性の解析結果(破線)と並べて示してみると、差は最大3dB程度であるため、よい一致を示している。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ48の基板設計情報追加処理を実行する。基板設計情報追加処理において、EMI特性導出手段2Bは、入力された基板設計情報の中に、既にコモンモード放射特性を計算したケーブル接続位置としてケーブル接続位置候補Bを追加して登録する。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ49のケーブル接続位置完了判定処理を実行する。ケーブル接続位置完了判定処理において、EMI特性導出手段2Bは、図28に示したケーブル接続位置候補64の全てでコモンモード放射特性を導出したか否かの判定を行う。しかしながら、この時点でも全てのケーブル接続位置候補64でのコモンモード放射特性が導出されていない。そのため、図16のステップ44のケーブル接続位置選択処理に戻り、EMI特性導出手段2Bは、次にコモンモード放射を導出するケーブル接続位置を選択する処理を行う。設定されたケーブル接続位置の決定方法に従えば、ケーブル接続位置候補BにおけるEMI特性の導出が終ったので、次にケーブル接続位置候補Cが選択される。
次に、図15の基板解析手段5は、簡易基板モデル作成処理を実行する。簡易基板モデル作成処理において、基板解析手段5は、選択されたケーブル接続位置候補Cにおける簡易基板モデルを作成するが、図31に示す簡易基板モデルにおける基板モデル67の方は変更がない。そのため、基板解析手段5は、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Aで作成した簡易基板モデルの基板モデル67に、ケーブル接続位置をケーブル接続位置候補Cの位置に変更して仮想ケーブルモデル71を接続する、という処理を行う。そのようにして、基板解析手段5は、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Cのときの簡易基板モデルを作成する。
次に、図15の基板解析手段5は、図16のステップ46の仮想ケーブル電流導出処理を実行する。仮想ケーブル電流導出処理において、基板解析手段5は、作成された簡易基板モデルの電磁界解析を行って、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Cのときの仮想ケーブル電流73を導出する。
次に、図15のEMI計算手段6は、図16のステップ47のケーブル長補正EMI特性計算処理を実行する。ケーブル長補正EMI特性計算処理において、EMI計算手段6は、図15のデータベース3に格納されている図33に示すケーブル長補正特性(実線)を読み出し、仮想ケーブル電流73とケーブル長補正特性から、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Cのときの実ケーブル電流70を導出する処理を行う。さらに、EMI計算手段6は、ケーブルを流れる電流と放射の関係式2より、実ケーブル電流70を用いてケーブルから発生するコモンモード放射特性を計算する。
ここで得られた特性は図36の実線に示したようになる。この場合においても比較として、ケーブル接続位置がケーブル接続位置候補Cのときの詳細基板モデルを用いて解析したEMI特性の解析結果(破線)と並べて示してみると、やはり差は最大6dB程度であり、よい一致を示している。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ48の基板設計情報追加処理を実行する。基板設計情報追加処理において、EMI特性導出手段2Bは、入力された基板設計情報の中に、既にコモンモード放射特性を計算したケーブル接続位置として、ケーブル接続位置候補Cを追加して登録する。
次に、図15のEMI特性導出手段2Bは、図16のステップ49のケーブル接続位置完了判定処理を実行する。ケーブル接続位置完了判定処理において、EMI特性導出手段2Bは、図28に示したケーブル接続位置候補64の全てでコモンモード放射特性を導出したか否かの判定を行う。この時点では、ケーブル接続位置候補A、B、Cのケーブル接続位置候補64におけるコモンモード放射特性が導出されている。そのため、ケーブル接続位置候補64の全てでコモンモード放射特性が導出されていると判定され、図15のEMI特性判定手段8は図16のステップ50のEMI特性判定処理を行う。ここで、EMI特性判定手段8は、図15の記憶装置10のデータベース3に格納されているEMI許容条件を読み出し、導出された全てのケーブル接続位置におけるコモンモード放射特性との比較検討を行い、コモンモード放射特性がEMI許容条件を満たしているかどうか判定する。
比較した波形結果を図37〜図39に示す。図37、図38、図39がそれぞれケーブル接続位置候補A、B、Cにおけるコモンモード放射特性とEMI許容条件との比較結果である。EMI許容条件である「500MHzまでの周波数範囲において、発生するEMI特性が65dBμV/m以下である」という条件を満たしているのは、図38に示したケーブル接続位置候補Bにおいてのみであり、ケーブル接続位置候補A及びCにおいてはEMI許容条件を満たしていない。従って、「ケーブル接続位置候補BではEMI許容条件が満たされ、ケーブル接続位置候補A及びCではEMI許容条件が満たされない」という判定結果が得られる。
そして、図16のステップ51の結果出力処理において、上述の判定結果が図15の出力手段7に出力される。
このとき、図16のステップ51と同時に、ステップ52の基板設計情報書き換え処理が行われ、図15の記憶装置10の基板設計情報(主にPCB設計情報11)が、EMI特性及びEMI許容条件を反映して書き換えられる。
以上が、図16に示した第5の実施形態の実施例に係る一連の処理の説明である。
ステップ51の結果出力処理においては、例えば、図28に示した2次元CADデータを表示し、ケーブル接続位置候補A及びCの位置の色を変えて表示するなどしてエラーを示すとしてもよい。また、ケーブル接続位置候補A、B及びCを参照し、図37〜図39に示した各位置におけるEMI特性とEMI許容条件との比較波形が出力されるとしてもよい。
このように、本実施例のように基板設計情報を設定し、EMI許容条件をデータベースとして設定すれば、電気回路や電磁波に関する深い知識を有していない人でも、自動的にEMI許容条件を満たすケーブル接続位置であるケーブル接続位置候補Bをケーブルコネクタとして設計することが可能である。そのため、ケーブルから発生するコモンモード放射が低レベルとなるようなPCBの構造及び仕様を設計することが可能になる。さらに、ケーブル接続位置64の候補は3点あるものの、詳細基板モデルを用いて解析を行うのは1パターンでよく、簡易基板モデルでの解析は、詳細基板モデルと比較して解析空間が非常に小さくなるので、より短い時間で最適なケーブル接続位置を見つけることが可能である。また、この発明で用いている導出方法を用いて導出したEMI特性も、図34〜36で示した例のように、詳細基板モデルを用いた解析結果と良い一致を示しており、精度良く定量的にEMI特性を見積もることが可能であり、EMI許容条件との定量的比較も精度良く行なうことも可能である。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明してきたが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
本発明によれば、ケーブルが接続されており、LSIが実装されたPCBにおいて、設計段階毎に、大幅な計算コストをかけずにEMI特性を導出する用途に適用可能である。
また、発生するEMI特性が予め設定された許容条件を満たすように、最適なケーブル接続位置を自動的に発見する用途や、PCBの構造の変更を行う等のPCBの設計変更を行う用途に適用可能である。
本発明のシステムの主な使用法としては、プリント基板メーカーが、実装するLSIの必要動作に対し、EMI特性が低レベルになるように設計されたPCBの基板構造を提案することにも利用可能である。実装されるLSIを含んだPCB構造に対して、一般的なEMIの規格をEMI許容条件として設定しておき、本提案するシステムを使用してEMI許容条件を満たすよう基板構造やケーブル接続位置等を設計しておけば、実装するLSIを必要な動作をさせても発生するEMI特性が低レベルになる基板構造を提供することが可能になる。
また、低EMI特性のLSI構成を提供するために、LSIベンダーが、本発明のシステムを利用することも可能である。ベンダー側としては、ユーザーが使用すると考えられるようなPCB、もしくは標準的なPCBの構成を入力情報として用いる。一般的なEMIの規格をEMI許容条件として設定しておき、本発明のシステムを使用してEMI許容条件を満たすような動作や終端条件等を設計しておくことにより、ユーザーにPCBに実装した際に低EMI特性を実現可能なLSIとして提供することが可能となる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システムであって、
前記回路基板の基板構成に関する基板設計情報を入力する入力手段と、
前記基板設計情報を基に前記回路基板のケーブルから発生するEMI特性を導出するEMI特性導出手段と、
前記EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性を格納する記憶手段と、を備え、
前記EMI特性導出手段は、
前記基板設計情報を基に前記回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、
前記簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって前記仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する基板解析手段と、
前記仮想ケーブル電流と前記ケーブル長補正特性とを用いて前記ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、前記実ケーブル電流を用いて前記ケーブルから発生する前記EMI特性を算出するEMI計算手段と、を有することを特徴とする回路基板設計システム。
(付記2)
前記記憶手段は、前記EMI特性の許容条件となるEMI許容条件を格納し、
前記EMI特性導出手段によって導出された前記EMI特性と前記EMI許容条件とを比較するEMI特性判定手段を備えることを特徴とする付記1に記載の回路基板設計システム。
(付記3)
前記EMI特性導出手段は、
前記仮想ケーブル電流を基に前記ケーブル長補正特性を導出するケーブル長補正特性導出手段を有し、
前記解析モデル作成手段は、
前記回路基板の解析モデルとして実ケーブルを再現した詳細基板モデルを作成し、
前記基板解析手段は、
前記詳細基板モデルの電磁界解析を行うことによって前記詳細基板モデルの実ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、
前記ケーブル長補正特性導出手段は、
前記詳細基板モデルによって算出された実ケーブル電流と前記仮想ケーブル電流とを用いてケーブル長補正特性を算出し、前記詳細基板モデルを基に算出されたケーブル長補正特性を前記記憶手段に格納することを特徴とする付記2に記載の回路基板設計システム。
(付記4)
前記基板設計情報は、前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含み、
前記入力手段は、
前記基板設計情報から抽出した各情報を前記EMI導出手段に入力し、
前記EMI特性導出手段は、
前記ケーブル長補正特性導出手段によって前記基板設計情報に含まれる情報を基に導出された前記ケーブル長補正特性を前記記憶手段に格納するとともに、前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換えることを特徴とする付記3に記載の回路基板設計システム。
(付記5)
前記EMI導出手段は、
前記回路基板上に設定された前記ケーブルを接続するための複数のケーブル接続位置候補に対応する前記EMI特性をそれぞれ導出し、
前記EMI特性判定手段は、
前記複数のケーブル接続位置候補における前記EMI特性が前記EMI許容条件を満たすか否かを判定することを特徴とする付記4に記載の回路基板設計システム。
(付記6)
前記複数のケーブル接続位置候補における前記EMI特性及び前記EMI許容条件を比較する波形グラフが出力されることを特徴とする付記5に記載の回路基板設計システム。
(付記7)
前記EMI特性判定手段によって前記EMI許容条件が満たされないと判定された場合に前記基板構成を変更する基板構成変更手段を備え、
前記記憶手段は、
前記基板構成の変更指針を格納し、
前記基板構成変更手段は、
前記変更指針に基づいて前記基板設計情報を変更し、
前記EMI特性導出手段は、
前記変更された基板設計情報を用いて前記EMI特性を導出することを特徴とする付記2に記載の回路基板設計システム。
(付記8)
変更前の前記基板設計情報と前記変更後の基板設計情報との前記EMI特性及び前記EMI許容条件を比較する波形グラフが出力されることを特徴とする付記7に記載の回路基板設計システム。
(付記9)
前記基板設計情報は、前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含み、
前記EMI特性導出手段は、
前記ケーブル長補正特性導出手段によって前記基板設計情報から抽出された情報を用いて導出された前記ケーブル長補正特性を前記記憶手段に格納するとともに、前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換えることを特徴とする付記7に記載の回路基板設計システム。
(付記10)
前記EMI特性が前記許容条件を満たさなかった場合、
前記基板構成変更手段は、
前記EMI特性が前記許容条件を満たすまで前記基板設計情報に含まれる前記回路基板設計情報・前記半導体集積回路設計情報・前記ケーブル構造設計情報のいずれかを順々に変更する、という前記変更指針に基づいて前記基板構成を変更し、
前記EMI導出手段は、
変更された前記基板構成に基づいて前記EMI特性を導出し、
前記EMI特性が前記許容条件を満たした場合、
前記許容条件を満たす前記EMI特性が得られる前記基板設計情報が出力されることを特徴とする付記9に記載の回路基板設計システム。
(付記11)
前記仮想ケーブルの長さは、導出する前記EMI特性の周波数範囲における最大周波数に対応する波長の1/4以下の値に設定することを特徴とする付記1乃至10のいずれか一項に記載の回路基板設計システム。
(付記12)
半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計方法であって、
前記回路基板の基板設計情報を入力とし、
前記基板設計情報を基に前記回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成し、
前記簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって前記仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出し、
EMI特性を導出得るためのケーブル長補正特性と前記仮想ケーブル電流とを用いて前記ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、
前記実ケーブル電流を用いて前記ケーブルから放射される前記EMI特性を算出する、
ことを特徴とする回路基板設計方法。
(付記13)
前記EMI特性の許容条件となるEMI許容条件を設定し、
さらに、前記EMI特性と前記EMI許容条件とを比較することを特徴とする付記12に記載の回路基板設計方法。
(付記14)
前記回路基板の解析モデルとして実ケーブルを再現した詳細基板モデルを作成し、前記詳細基板モデルを電磁界解析することによって前記詳細基板モデルの実ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、
前記詳細基板モデルによって算出された実ケーブル電流と前記仮想ケーブル電流とを用いてケーブル長補正特性を算出し、
前記詳細基板モデルを基に算出されたケーブル長補正特性を前記EMI特性の算出に用いることを特徴とする付記13に記載の回路基板設計方法。
(付記15)
前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含む前記基板設計情報を用いて導出された前記ケーブル長補正特性を記録し、
前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換えることを特徴とする付記14に記載の回路基板設計方法。
(付記16)
前記ケーブルを接続するための複数のケーブル接続位置候補を前記回路基板上に設定し、
前記複数のケーブル接続位置候補に対応した前記EMI特性をそれぞれ導出し、
前記複数のケーブル接続位置候補における前記EMI特性が前記EMI許容条件を満たすか否かを判定することを特徴とする付記15に記載の回路基板設計方法。
(付記17)
前記EMI許容条件が満たされないと判定された際に、
前記基板構成の変更指針に基づいて前記基板設計情報を変更し、
前記変更された基板設計情報を用いて前記EMI特性を導出することを特徴とする付記16に記載の回路基板設計方法。
(付記18)
前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含む前記基板設計情報を用いて導出された前記ケーブル長補正特性を記録し、
前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換えることを特徴とする付記17に記載の回路基板設計方法。
(付記19)
半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システムにおいて、
前記回路基板の基板設計情報を入力する処理と、
前記基板設計情報を基に前記回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する処理と、
前記簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって前記仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する処理と、
EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性と前記仮想ケーブル電流とを用いて前記ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出する処理と、
前記実ケーブル電流を用いて前記ケーブルから放射される前記EMI特性を算出する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする回路基板設計プログラム。
(付記20)
前記EMI特性の許容条件となるEMI許容条件を設定する処理と、
さらに、前記EMI特性と前記EMI許容条件とを比較する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする付記19に記載の回路基板設計プログラム。
(付記21)
前記回路基板の解析モデルとして実ケーブルを再現した詳細基板モデルを作成し、前記詳細基板モデルの実ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出する処理と、
前記詳細基板モデルによって算出された実ケーブル電流と前記仮想ケーブル電流とを用いてケーブル長補正特性を算出する処理と、
前記詳細基板モデルを基に算出されたケーブル長補正特性を用いて前記EMI特性を算出する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする付記20に記載の回路基板設計プログラム。
(付記22)
前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含む前記基板設計情報を用いて導出された前記ケーブル長補正特性を記録する処理と、
前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換える処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする付記21に記載の回路基板設計プログラム。
(付記23)
前記ケーブルを接続するための複数のケーブル接続位置候補を前記回路基板上に設定する処理と、
前記複数のケーブル接続位置候補に対応した前記EMI特性をそれぞれ導出する処理と、
前記複数のケーブル接続位置候補における前記EMI特性が前記EMI許容条件を満たすか否かを判定する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする付記22に記載の回路基板設計プログラム。
(付記24)
前記EMI許容条件が満たされないと判定された際に、
前記基板構成の変更指針に基づいて前記基板設計情報を変更する処理と、
前記変更された基板設計情報を用いて前記EMI特性を導出する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする付記23に記載の回路基板設計プログラム。
(付記25)
前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含む前記基板設計情報を用いて導出された前記ケーブル長補正特性を記録する処理と、
前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換える処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする付記24に記載の回路基板設計プログラム。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明してきたが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2012年11月21日に出願された日本出願特願2012−255557を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 入力手段
2 EMI特性導出手段
3 データベース
4 解析モデル作成手段
5 基板解析手段
6 EMI計算手段
7 出力手段
8 EMI特性判定手段
9 ケーブル長補正特性導出手段
10 記憶装置
11 PCB設計情報
12 LSI設計情報
13 ケーブル構造設計情報
14 基板構成変更手段
20 PCB
21 送信側LSI
22 受信側LSI
23 信号配線
24 配線電流
25 実装部品
26 コネクタ
27 ケーブル
28 ケーブル電流
29 EMI
30 ケーブル接続位置候補
31 表面導体層
32 誘電体層
33 内部導体層
34 ヴィア
35 層構成
41 送信側パラメータ
42 受信側パラメータ
43 配線パラメータ
44 基板部分パラメータ
45 部品パラメータ
46 コネクタパラメータ
47 ケーブルパラメータ
48 ヴィアパラメータ
51 基板モデル
52 ケーブルモデル
53 解析空間
54 実ケーブル電流
55 EMI特性
56 仮想ケーブルモデル
57 解析空間
58 仮想ケーブル電流
59 実ケーブル電流
60 EMI特性
61 送信端
62 受信端
63 信号配線
64 ケーブル接続位置候補
65 基板
66 導体層
67 基板モデル
68 ケーブルモデル
69 解析空間
70 実ケーブル電流
71 仮想ケーブルモデル
72 解析空間
73 仮想ケーブル電流
81 信号配線
82 誘電体
83 電源層
84 グランド層
85 内層配線
86 結合
87 信号配線
88 結合
90 ケーブル
101 電磁界強度算出装置
102 ナビゲーションファイル
103 ナビゲーションファイル読み込み部
104 ナビゲーションによるデータ作成部
105 メモリ部
106 解析入力データファイル書き込み部
107 解析入力データ
108 電磁界強度算出部
109 解析結果データ
110 ディスプレイ部
111 キーボード入力部
201 電磁界強度算出装置
202 入力手段
204 出力手段
210 分割手段
211 電磁界強度算出手段
212 算出手段
213 計算手段

Claims (10)

  1. 半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システムであって、
    前記回路基板の基板構成に関する基板設計情報を入力する入力手段と、
    前記基板設計情報を基に前記回路基板のケーブルから発生するEMI特性を導出するEMI特性導出手段と、
    前記EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性を格納する記憶手段と、を備え、
    前記EMI特性導出手段は、
    前記基板設計情報を基に前記回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、
    前記簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって前記仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する基板解析手段と、
    前記仮想ケーブル電流と前記ケーブル長補正特性とを用いて前記ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、前記実ケーブル電流を用いて前記ケーブルから放射される前記EMI特性を算出するEMI計算手段と、を有することを特徴とする回路基板設計システム。
  2. 前記記憶手段は、前記EMI特性の許容条件となるEMI許容条件を格納し、
    さらに、前記EMI特性導出手段によって導出された前記EMI特性と前記EMI許容条件とを比較するEMI特性判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回路基板設計システム。
  3. 前記EMI特性導出手段は、
    前記仮想ケーブル電流を基に前記ケーブル長補正特性を導出するケーブル長補正特性導出手段を有し、
    前記解析モデル作成手段は、
    前記回路基板の解析モデルとして実ケーブルを再現した詳細基板モデルを作成し、
    前記基板解析手段は、
    前記詳細基板モデルの電磁界解析を行うことによって前記詳細基板モデルの実ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、
    前記ケーブル長補正特性導出手段は、
    前記詳細基板モデルによって算出された実ケーブル電流と前記仮想ケーブル電流とを用いてケーブル長補正特性を算出し、
    前記詳細基板モデルを基に算出されたケーブル長補正特性を前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項2に記載の回路基板設計システム。
  4. 前記基板設計情報は、前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含み、
    前記入力手段は、
    前記基板設計情報から抽出した各情報を前記EMI導出手段に入力し、
    前記EMI特性導出手段は、
    前記ケーブル長補正特性導出手段によって前記基板設計情報に含まれる情報を基に導出された前記ケーブル長補正特性を前記記憶手段に格納するとともに、前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換えることを特徴とする請求項3に記載の回路基板設計システム。
  5. 前記EMI導出手段は、
    前記回路基板上に設定された前記ケーブルを接続するための複数のケーブル接続位置候補に対応する前記EMI特性をそれぞれ導出し、
    前記EMI特性判定手段は、
    前記複数のケーブル接続位置候補における前記EMI特性が前記EMI許容条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の回路基板設計システム。
  6. 前記EMI特性判定手段によって前記EMI許容条件が満たされないと判定された場合に前記基板構成を変更する基板構成変更手段を備え、
    前記記憶手段は、
    前記基板構成の変更指針を格納し、
    前記基板構成変更手段は、
    前記変更指針に基づいて前記基板設計情報を変更し、
    前記EMI特性導出手段は、
    前記変更された基板設計情報を用いて前記EMI特性を導出することを特徴とする請求項2に記載の回路基板設計システム。
  7. 前記基板設計情報は、前記回路基板の構成情報である回路基板設計情報と、前記回路基板に設けられた半導体集積回路の内部設計情報である半導体集積回路設計情報と、前記ケーブルの情報であるケーブル構造設計情報と、を含み、
    前記EMI特性導出手段は、
    前記ケーブル長補正特性導出手段によって前記基板設計情報から抽出された情報を用いて導出された前記ケーブル長補正特性を前記記憶手段に格納するとともに、前記EMI特性及び前記EMI許容条件に応じて前記基板設計情報を書き換えることを特徴とする請求項6に記載の回路基板設計システム。
  8. 前記仮想ケーブルの長さは、導出する前記EMI特性の周波数範囲における最大周波数に対応する波長の1/4以下の値に設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回路基板設計システム。
  9. 半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計方法であって、
    前記回路基板の基板設計情報を入力とし、
    前記基板設計情報を基に前記回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成し、
    前記簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって前記仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出し、
    EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性と前記仮想ケーブル電流とを用いて前記ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出し、
    前記実ケーブル電流を用いて前記ケーブルから放射される前記EMI特性を算出する、ことを特徴とする回路基板設計方法。
  10. 半導体部品が実装され、かつケーブルが接続された回路基板を設計する回路基板設計システムにおいて、
    前記回路基板の基板設計情報を入力する処理と、
    前記基板設計情報を基に前記回路基板の解析モデルとして簡略化された仮想ケーブルが設けられた簡易解析モデルを作成する処理と、
    前記簡易解析モデルの電磁界解析を行うことによって前記仮想ケーブルを流れる仮想ケーブル電流を算出する処理と、
    EMI特性を導出するためのケーブル長補正特性と前記仮想ケーブル電流とを用いて前記ケーブルを流れる実ケーブル電流を算出する処理と、
    前記実ケーブル電流を用いて前記ケーブルから放射される前記EMI特性を算出する処理と、をコンピュータに実行させる回路基板設計プログラムを含むプログラム記録媒体。
JP2014548453A 2012-11-21 2013-11-18 回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラム Active JP6287853B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012255557 2012-11-21
JP2012255557 2012-11-21
PCT/JP2013/006761 WO2014080610A1 (ja) 2012-11-21 2013-11-18 回路基板設計システム、回路基板設計方法及びプログラム記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014080610A1 true JPWO2014080610A1 (ja) 2017-01-05
JP6287853B2 JP6287853B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=50775805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014548453A Active JP6287853B2 (ja) 2012-11-21 2013-11-18 回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラム

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20160253448A1 (ja)
JP (1) JP6287853B2 (ja)
WO (1) WO2014080610A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110232207B (zh) * 2019-04-30 2020-08-25 浙江大学 一种基于人工神经网络的电磁干扰滤波器设计方法
CN112861462B (zh) * 2021-02-08 2024-05-28 环旭电子股份有限公司 电性模拟的激发源规划方法及其系统
CN114137318A (zh) * 2021-11-16 2022-03-04 中国石油大学(华东) 海洋感应电磁场算法、系统、计算机设备和存储介质

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007140839A (ja) * 2005-11-17 2007-06-07 Nec Corp プリント回路基板設計支援装置、プリント回路基板設計支援方法およびプリント回路基板設計支援用プログラム
JP2008158565A (ja) * 2006-12-20 2008-07-10 Sharp Corp シミュレーション装置、シミュレーションプログラム、シミュレーションプログラムが格納された記録媒体およびシミュレーション方法
JP2009116410A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Fujitsu Microelectronics Ltd 電気特性見積プログラム、電気特性見積装置および電気特性見積方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1577803A3 (en) * 2004-03-08 2009-01-28 Panasonic Corporation Interference analysis method, interference analysis device, interference analysis program and recording medium with interference analysis program recorded thereon
JP2006012049A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Sharp Corp 配線板設計・検証装置
JP4980684B2 (ja) * 2006-09-29 2012-07-18 富士通株式会社 基板情報取得変換方法とそのプログラムおよび装置
JP2010282516A (ja) * 2009-06-05 2010-12-16 Fujitsu Ltd 電磁界シミュレーション装置、電磁界シミュレーションプログラムおよび近傍界測定装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007140839A (ja) * 2005-11-17 2007-06-07 Nec Corp プリント回路基板設計支援装置、プリント回路基板設計支援方法およびプリント回路基板設計支援用プログラム
JP2008158565A (ja) * 2006-12-20 2008-07-10 Sharp Corp シミュレーション装置、シミュレーションプログラム、シミュレーションプログラムが格納された記録媒体およびシミュレーション方法
JP2009116410A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Fujitsu Microelectronics Ltd 電気特性見積プログラム、電気特性見積装置および電気特性見積方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20160253448A1 (en) 2016-09-01
WO2014080610A1 (ja) 2014-05-30
JP6287853B2 (ja) 2018-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080155483A1 (en) Database-aided circuit design system and method therefor
JP2009238130A (ja) プリント基板設計装置およびプリント基板設計方法
JP6323333B2 (ja) 基板設計方法及び設計装置
US20160157355A1 (en) Design Support System, Design Support Method and Design Support Program
JP6287853B2 (ja) 回路基板設計システム、回路基板設計方法及び回路基板設計プログラム
JP6044538B2 (ja) プリント基板設計システム、及びプリント基板設計方法
JP4671173B2 (ja) プリント回路基板設計支援装置、プリント回路基板設計支援方法およびプリント回路基板設計支援用プログラム
US20100280778A1 (en) Electromagnetic distribution processing device and method
JP2006293726A (ja) 電子部品の設計方法
KR100999016B1 (ko) 반도체 장치에 대한 동시 동작 신호 노이즈에 기초하여 지터를 견적하는 방법, 그 견적에 사용하는 동시 동작 신호노이즈량 대 지터량 상관 관계를 산출하는 방법, 이들을 실현하는 프로그램을 기록한 기록매체, 및 반도체 장치 및 그것이 탑재된 프린트 회로 기판의 설계 방법
JP2008293066A (ja) 電子回路シミュレーション用ライブラリ、ライブラリ生成システム、これらが格納された記録媒体、及びこれらを用いた電子機器の製造方法
JP5071081B2 (ja) 半導体装置に対する同時動作信号ノイズ見積り方法における同時動作信号ノイズ基礎特性取得方法、及びプログラム
US20100042962A1 (en) Structure for Couple Noise Characterization Using a Single Oscillator
JP4575326B2 (ja) 基板レイアウトチェックシステムおよび方法
JP6252494B2 (ja) 設計支援装置、設計支援方法及びプログラム
JP2018132877A (ja) プリント基板の測定点設定システム、測定点設定方法及び測定点設定プログラム
JP6528761B2 (ja) 情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが記憶された記憶媒体
JP2005100171A (ja) 対策済回路図作成装置、電子回路基板設計装置、対策済回路図作成方法、対策済回路図作成プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体
JP2007304952A (ja) 解析モデル作成プログラム、解析プログラム、解析結果抽出プログラム、解析モデル作成装置、解析装置、解析結果抽出装置
JP4862695B2 (ja) 回路基板の設計システム、回路基板の設計方法および回路基板設計用のコンピュータプログラム
CN118228651A (zh) 电子器件的制造方法
US8204722B2 (en) Simulation apparatus, simulation method, and simulation program
Guo et al. Combined FDTD/FETD algorithm for ground bounce characterization of differential traces through the planes
Pytel Solutions for PCB Electromagnetic Interference
JP2008158566A (ja) シミュレーション装置、シミュレーションプログラム、シミュレーションプログラムが格納された記録媒体およびシミュレーション方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171003

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6287853

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150