JPWO2014014087A1 - 感光性樹脂エレメントの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって、本発明の課題は、生産性に優れ、かつ外観が良好である、感光性樹脂エレメントの製造方法を提供することである。
(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ重量平均分子量が5000〜500,000であるバインダー用樹脂、
(b)光重合可能な不飽和化合物、
(c)光重合開始剤、
(d)アセトン、及び
(e)非アセトン溶媒
を調合して、調合液を得る工程、ここで、該(d)アセトンと該(e)非アセトン溶媒の合計質量に対する該(d)アセトンの質量の比率は、30質量%〜98質量%であり、そして該調合液中の全固形分の比率は、30質量%〜80質量%である;及び
該調合液を支持層上に適用し、乾燥して、該支持層上に感光性樹脂エレメントを形成する工程;
を含む感光性樹脂エレメントの製造方法。
[2] 前記(e)非アセトン溶媒は、アルコール、エステル及びエーテルから成る群から選択される、[1]に記載の方法。
[3] 前記アルコールは、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びノルマルブタノールから成る群から選択される、[2]に記載の方法。
[4] 前記アルコールはエタノールである、[3]に記載の方法。
[5] 前記エステルは酢酸エチルである、[2]に記載の方法。
[6] 前記エーテルはテトラヒドロフランである、[2]に記載の方法。
[7] 前記調合液の乾燥後膜厚が5μm〜50μmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
また、本発明は、上記調合液を、支持層上に塗工し、乾燥することでDFを製造する方法、さらには、支持層に積層した感光性樹脂層の表面に保護層を積層して、3層構造としたDFを製造する方法も提供する。
(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500,000であるバインダー用樹脂、
(b)光重合可能な不飽和化合物、
(c)光重合開始剤、
(d)アセトン、
(e)非アセトン溶媒、及び
所望により(f)その他の添加剤
を調合して、調合液を得る工程;及び
該調合液を支持層上に適用し、乾燥して、該支持層上に感光性樹脂エレメントを形成する工程;
を含む方法により製造されることができる。
なお、感光性樹脂層が薄いほど解像度は向上し、また、厚いほど膜強度が向上するので、膜厚については用途に応じて適宜選択することができる。
調合液は、(a)バインダー用樹脂、(b)光重合可能な不飽和化合物、(c)光重合開始剤、(d)アセトン、及び(e)非アセトン溶媒、及び所望により、(f)その他の添加剤を含むことが好ましい。
以下、成分(a)〜(f)について詳細に説明する。
(a)バインダー用樹脂は、カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500,000であり、そしてバインダーとして使用される。
(a)バインダー用樹脂中のカルボキシル基は、感光性樹脂エレメントにアルカリ水溶液に対する現像性又は剥離性を与えるために好ましい。酸当量は、現像耐性、解像性及び密着性の観点から100以上が好ましく、一方で、現像性及び剥離性の観点から600以下が好ましい。
また、(a)バインダー用樹脂の重量平均分子量は、DFの厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から好ましくは5,000以上、より好ましくは20,000以上である。一方で、現像性を維持するという観点から、好ましくは500,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
また好ましい分子量分布は1.5以上、より好ましくは2以上である。一方、上限としては好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下である。
(b)光重合可能な不飽和化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合を有することによって付加重合性を有するモノマーである。エチレン性不飽和結合は、末端エチレン性不飽和基であることが好ましい。
(c)光重合開始剤は、光によりモノマーを重合させる化合物である。(c)光重合開始剤としては、例えば、感光性樹脂の光重合開始剤として通常使用されるものを適宜使用できるが、特にヘキサアリールビスイミダゾール(以下、トリアリールイミダゾリル二量体ともいう。)が好ましく用いられる。
調合液は、(d)アセトン、(e)非アセトン溶媒を含む。調合液は、前記(a)バインダー用樹脂、前記(b)光重合可能な不飽和化合物及び/又は前記(c)光重合開始剤を、任意の順序で又は一括して、(d)アセトン及び/又は(e)非アセトン溶媒に溶解し、混合することにより得られる。
特に、極性溶媒であるエタノールに代表されるアルコールを(e)非アセトン溶媒として使用することは、(d)アセトンのみ又はメチルエチルケトンのみを用いて調製された調合液と比較して、(b)光重合可能な不飽和化合物及び/又は染料等の(f)その他の添加剤の溶解性を向上させる観点から好ましい。
また、調合液中の全固形分の比率としては、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。一方、上限として好ましくは80質量%以下,より好ましくは70質量%以下,更に好ましくは60質量%以下である。
これらの比率をこれらのような範囲に設定することは、乾燥後の膜表面の平滑性を向上させる観点、乾燥工程でピンホール等の未塗工部分を低減する観点、及び良好な塗布面を得る観点から好適である。
なお、このように発明特定事項がその他の発明特定事項と組み合わされることで、生産性に優れ、かつ外観が良好である感光性樹脂エレメントの製造方法が実現される。このメカニズムについて、その詳細は詳らかではないが、アセトン比率又は固形分比率が特定範囲に設定されることで、溶媒の乾燥が適切に制御され、乾燥時の膜表面の平滑性が適切に維持されているのではないかと考えられる。
また、前記調合液の粘度としては、25℃での粘度として好ましくは500Pa・sec〜4000mPa・secである。
調合液には、成分(a)〜(e)の他に、(f)その他の添加剤を含有させることができる。具体的には、(f)その他の添加剤には、例えば、染料、顔料等の着色物質が含まれる。このような着色物質としては、ベース染料が使用されることができる。ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4]、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8]、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5]、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]等が挙げられる。中でもベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、及びベーシックブルー7が好ましく、色相安定性および露光コントラストを向上させるという観点から、ベーシックグリーン1、及びベーシックブルー7が特に好ましい。
前記支持層は、その上に形成された感光性樹脂層を支持するための層である。また、感光性樹脂エレメントの製造方法は、所望により、感光性樹脂エレメントの支持層側と反対側に保護層を形成する工程を含んでよい。
保護層は、感光性樹脂層との密着力について、支持層よりも保護層の方が充分小さく容易に剥離できるという性質を有することが好ましい。例えば、ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルム等が保護層として好ましく使用できる。保護層としては、例えば、特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の厚さは、10μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜50μmであることがより好ましい。
感光性樹脂エレメントの製造方法において、調合液を支持層上に適用し、乾燥して、支持層上に感光性樹脂エレメントを形成する工程は、塗布手段及び所望により乾燥手段により、行われることができる。塗布手段としては、例えば、スピンコーター、ダイコーター、スプレーコーター、浸漬、印刷、ブレードコーター、ロールコーティング等が利用されることができる。乾燥手段としては、例えば、風乾、熱風乾燥、光照射、ホットプレート、イナートオーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンなどが利用されることができる。また、調合液に含まれる複数の成分の調合と調合液の適用及び乾燥とは、空気、又は窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気において行なわれることができる。
本実施形態の製造方法によれば、プリント回路の形成に有用な感光性樹脂エレメントの生産性を向上させ、感光性樹脂エレメントから形成されたDFの外観を良好に向上させることができる。
表1又は2に記載の感光性樹脂組成物の成分を調合し、溶解槽において撹拌溶解し、フィルターを通して調合液を濾過した。次いで調合液をポンプでダイコーターに送液して支持層であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、乾燥ゾーンに送り溶媒を乾燥させた。その後、保護層であるポリエチレンフィルムでラミネートし、表1又は2に記載されている感光層の厚さを有するDFを得た。上記工程において、下記に示す方法で溶解性評価、塗工速度評価、塗工性評価及び外観評価を行った。また、下記に示す方法で樹脂の重量平均分子量を測定した。結果を表1又は2に示す。
調合液をフィルターを介して濾過する際にフィルターの詰まり具合を下記ランクで評価した。詰まりが少ない場合は溶解性が良好で有ることを示す。
なお、フィルターの目開きは3μmである。
A:全く詰まりがなく良好である。
B:やや詰まりが発生するが濾過可能である。
C:フィルター詰まりが発生し、1時間以内に濾過が不可能となる。
溶媒としてメチルエチルケトンのみを用いた比較例1記載の調合液を基準とし、未塗工部分がなく均一かつ平滑に塗布される最大塗工速度を観察した。
次いで、各調合液について、未塗工部分がなく均一かつ平滑に塗布される最大塗工速度を観察し、比較例1の調合液において観察された最大塗工速度を1として、それに対する比率で評価した。評価が1より大きいときは、その調合液の最大塗工速度が、溶媒としてメチルエチルケトンのみを用いたときの調合液の場合より速いことを示す。
比較例1において観察された最大塗工速度において、各種調合液の塗工を行なった。ダイコーターを用いて、支持層であるポリエステル上に調合液を塗布することにより得られた感光性樹脂層の状態を下記ランクで評価した。
S:未塗工部分がなく、平滑度が高い。
A:未塗工部分がなく平滑に塗布されている。
B:一部未塗工部分がある。
C:未塗工部分がほとんどである。
ダイコーターを用いて支持層であるポリエステル上に調合液を塗布し、溶剤を乾燥させた後、保護層であるポリエチレンフィルムで積層し、支持層/感光層/保護層の3層構造で得られるロール状の積層体において外観評価を行い下記ランクで評価した(図1参照)。
S:3層構造のロール品の外観は、表面に全くムラなく均一である。
A:3層構造のロール品の外観は、表面にほぼムラがなく均一である。
B:3層構造のロール品の外観は、表面のほぼ全面にムラがあり均一ではない。
樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは、昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105を選び、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI−930を使用した。
P−1:メタクリル酸メチル65質量%、メタクリル酸25質量%、アクリル酸ブチル10質量%の3元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分質量比率30%、重量平均分子量10万、酸当量344)
P−2:メタクリル酸メチル65質量%、メタクリル酸25質量%、アクリル酸ブチル10質量%の3元共重合体のアセトンとエタノール混合溶液(溶媒質量比率:アセトン/エタノール=80/20、固形分質量比率40%、重量平均分子量10万、酸当量344)
P−3:メタクリル酸メチル65質量%、メタクリル酸25質量%、アクリル酸ブチル10質量%の3元共重合体のアセトンとエタノール混合溶液(溶媒質量比率:アセトン/エタノール=80/20、固形分質量比率75%、重量平均分子量10万、酸当量344)
P−4::メタクリル酸メチル65質量%、メタクリル酸25質量%、アクリル酸ブチル10質量%の3元共重合体のアセトン溶液(固形分質量比率32%、重量平均分子量10万、酸当量344)
P−5:メタクリル酸メチル67質量%、メタクリル酸23質量%、アクリル酸ブチル10質量%の3元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分質量比率25%、重量平均分子量20万、酸当量374)
P−6:メタクリル酸メチル67質量%、メタクリル酸23質量%、アクリル酸ブチル10質量%の3元共重合体のアセトンとエタノール混合溶液(溶媒質量比率:アセトン/エタノール=80/20、固形分質量比率34%、重量平均分子量20万、酸当量374)
P−7:メタクリル酸メチル50質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン25質量%の3元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分質量比率35%、重量平均分子量5万、酸当量344)
P−8:メタクリル酸メチル50質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン25質量%の3元共重合体のアセトンとエタノール混合溶液(溶媒質量比率:アセトン/エタノール=75/25、固形分質量比率47%、重量平均分子量5万、酸当量344)
P−9:メタクリル酸メチル50質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン25質量%の3元共重合体のメチルエチルケトンとエタノール混合溶液(溶媒質量比率:メチルエチルケトン/エタノール=75/25、固形分質量比率45%、重量平均分子量5万、酸当量344)
M−1:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルずつのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学(株)製BPE−200)
M−2:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルずつのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学(株)製BPE−500)
M−3:ビスフェノ−ルAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコ−ルのジメタクリレ−ト
M−4:平均12モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モルずつ付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート
M−5:ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレ−ト(日本油脂(株)製ブレンマ−PP1000)とのウレタン化物
M−6:トリメチロールプロパンに平均3モルのエチレンオキサイドを付加したアクリレ−ト(新中村化学(株)製A−TMPT−3EO)
M−7:4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレ−ト
I−1:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
I−2:2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
D−1:ダイアモンドグリーン
D−2:ロイコクリスタルバイオレット
A−1:p−トルエンスルホンアミド
A−2:ベンゾトリアゾール
A−3:ニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩
A−4:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均1モルのプロピレンオキサイドを付加し、さらにそれぞれ平均1モルのグリシジル基を付加したもの
A−5:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコール
A−6:チバスペシャリティーケミカルズ(株)製IRGANOX245
A−7:ニューコール3−85(日本乳化剤(株)製)
S−1:アセトン
S−2:エタノール
S−3:メチルエチルケトン
Claims (7)
- 以下の工程:
(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ重量平均分子量が5000〜500,000であるバインダー用樹脂、
(b)光重合可能な不飽和化合物、
(c)光重合開始剤、
(d)アセトン、及び
(e)非アセトン溶媒
を調合して、調合液を得る工程、ここで、該(d)アセトンと該(e)非アセトン溶媒の合計質量に対する該(d)アセトンの質量の比率は、30質量%〜98質量%であり、そして該調合液中の全固形分の比率は、30質量%〜80質量%である;及び
該調合液を支持層上に適用し、乾燥して、該支持層上に感光性樹脂エレメントを形成する工程;
を含む感光性樹脂エレメントの製造方法。 - 前記(e)非アセトン溶媒は、アルコール、エステル及びエーテルから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記アルコールは、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びノルマルブタノールから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
- 前記アルコールはエタノールである、請求項3に記載の方法。
- 前記エステルは酢酸エチルである、請求項2に記載の方法。
- 前記エーテルはテトラヒドロフランである、請求項2に記載の方法。
- 前記調合液の乾燥後膜厚が5μm〜50μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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