JP2011209515A - ネガ型感光性平版印刷版 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケミカルフリー現像液による現像が可能であり、かつ高温、高湿条件下での置き版後のインキ着肉性が改善されたネガ型感光性平版印刷版を提供する。
【解決手段】支持体上に光ラジカル発生剤、ビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体を含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版において、該感光層がシランカップリング剤を含有することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版。
【選択図】なし

Description

本発明は、ネガ型感光性平版印刷版に関する。詳しくは、支持体上に光重合性の感光層を有し、画像形成後に実質的にアルカリ剤を含有しない現像液による現像が可能な、もしくは画像を形成した後に印刷機に装着し、インキと湿し水を版面へ供給することにより非画像部を取り去る機上現像可能な、ネガ型感光性平版印刷版に関する。
製版システムのデジタル化に伴いコンピューター画面上で組版したデータを、直接平版印刷版に出力するコンピュータートゥープレートシステム(CTP)に適した平版印刷版の需要が高まっている。近年、画像形成技術の進歩に伴い、各レーザー種に対して高感度を示す感光性平版印刷版が求められるようになっており、例えば、青紫色半導体レーザー(バイオレットレーザー)、アルゴンレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、赤色LED、近赤外レーザー、赤外レーザー等を用いた出力機に対応した高画質の感光性平版印刷版の研究が活発に行われている。
従来から知られている光重合性の感光層を有するネガ型感光性平版印刷版としては、例えば特開平9−134007号公報にはエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物と増感剤とラジカル発生剤を含有する平版印刷版が開示されており、また特開2000−98603号公報等には、有機ホウ素アニオンと色素との組み合わせが開示されており、特開平4−31863号公報、特開平6−43633号公報等には色素とs−トリアジン系化合物との組み合わせが開示されており、特開2001−290271号公報(特許文献1)等には、側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体を用いたネガ型感光性平版印刷版が開示されている。
一方、上記光重合性のネガ型感光性平版印刷版の現像工程には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸カリウム等の強アルカリ性化合物を溶解したpH値が10.0以上のアルカリ性現像液が一般的に使用される。また現像処理工程を安定にするため、自動現像機の各液は、液補充等により安定化を図っており、かかる処理液費用や廃液費用のコスト面、更に環境負荷の観点からも大きな課題であった。
ケミカルフリーの処理液で現像する印刷版システムの中でレーザー光を利用した光重合系の印刷版システムとして、特開2003−215801号公報(特許文献2)、特開2008−230205号公報(特許文献3)、特開2008−238505号公報(特許文献4)、特開2008−250198号公報(特許文献5)等が挙げられる。これは実質的にアルカリ剤を含有しない現像液による現像、いわゆるケミカルフリー現像が可能な感光性組成物として、側鎖にフェニル基を介してビニル基が結合したカチオン性重合体や、側鎖にフェニル基を介してビニル基が結合した、スルホン酸基を有する水溶性重合体等の、いわゆるpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体において架橋性モノマーを用いた系や、カチオン性モノマーを用いた系について例示されている。しかしながらこのような水溶性重合体を光ラジカル発生剤との組み合わせで用いる場合では、得られる画像の親水性が比較的高いために、画像部分が高い疎水性を保つことが困難である。特に製版後に高温、高湿条件下で置き版をした際にその傾向が顕著となり、結果としてインキ着肉性が低下してしまうことがあり、より一層の改善が求められている。
製版後の高温、高湿条件下で置き版した場合のインキ着肉性の改善に関しては、感光性ジアゾ樹脂、ジオールを構造単位として有するポリウレタン樹脂バインダー及びフッ素系界面活性剤を含有する感光性組成物が、特開平05−281719号公報(特許文献6)において記載されているが、十分満足できるものではなかった。
また、感光性組成物の耐刷性向上のためにシランカップリング剤を用いることが、特開平09−096906号公報(特許文献7)、特開2009−192851号公報(特許文献8)、特開平09−197654号公報(特許文献9)等に記載されている。また、特開平09−160226号公報(特許文献10)ではシランカップリング剤添加による保存後の地汚れの改良について記載されている。特開2003−066593号公報(特許文献11)では、シランカップリング剤添加によるインキ乗り性の改良について記載されている。しかしこれらには製版後に高温、高湿条件下で置き版した際のインキ着肉性に関しての効果について記載されていない。
特開2001−290271号公報 特開2003−215801号公報 特開2008−230205号公報 特開2008−238505号公報 特開2008−250198号公報 特開平05−281719号公報 特開平09−096906号公報 特開2009−192851号公報 特開平09−197654号公報 特開09−160226号公報 特開2003−066593号公報
従って、本発明の目的は、ケミカルフリー現像液での現像処理に好適なネガ型感光性平版印刷版であって、製版後に高温、高湿条件下で置き版した際のインキ着肉性が改善されたネガ型感光性平版印刷版を提供することにある。
(1)支持体上に光ラジカル発生剤、ビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体を含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版において、該感光層がシランカップリング剤を含有することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版。
(2)前記感光層が含有するシランカップリング剤がビニル基を有するシランカップリング剤である(1)に記載のネガ型感光性平版印刷版。
(3)前記感光層が含有するシランカップリング剤がアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤である(1)または(2)に記載のネガ型感光性平版印刷版。
本発明により、ケミカルフリー現像液での現像処理に好適なネガ型感光性平版印刷版であって、高温、高湿条件下での置き版後のインキ着肉性が改善されたネガ型感光性平版印刷版を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のネガ型感光性平版印刷版の感光層は、シランカップリング剤(以下本発明の化合物とも称す)を含有する。
本発明におけるシランカップリング剤とは、分子内の珪素原子に少なくとも一つのハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換した構造を有する化合物を意味する。本発明におけるシランカップリング剤の珪素原子に置換したハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が挙げられ、また、珪素原子に置換したアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。また、本発明の化合物には、珪素原子に前述のハロゲン原子もしくはアルコキシ基の他に、水素原子、ビニル基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基が置換していても良い。これらの置換基は更にビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、イソシアネート基などで置換されてもよく、これらの基も更に置換基によって置換されてもよい。
本発明の化合物の例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−(クロロメチル)アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(3−メタクリキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジアリルアミノプロピルメトキシシラン、N−3−(アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランを挙げることができる。中でも本発明の化合物としては、ビニル基を有するシランカップリング剤が好ましく、アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。
感光層が含有する本発明の化合物の含有量は、後述するビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体に対して0.1〜100質量%の範囲で含有するのが好ましく、12〜50質量%の範囲が特に好ましい。
本発明のネガ型感光性平版印刷版の感光層は光ラジカル発生剤を含有する。光ラジカル発生剤としては、従来から知られる公知の化合物を用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの光ラジカル発生剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせることで、高感化を達成することができ、また、これらを組み合わせて使用することで発生したラジカル種が安定するため、更に感度を向上することができるために好ましい。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式1で表される。
Figure 2011209515
式中、R、R、R及びRは各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらのうちで、R、R、R及びRのうちの一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン及びオニウム化合物が挙げられるが、好ましくはオニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 2011209515
Figure 2011209515
光ラジカル発生剤であるトリハロアルキル置換化合物は、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2011209515
Figure 2011209515
上述したような光ラジカル発生剤の含有量は、後述するビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体に対して、1〜50質量%の範囲が好ましく、更には1〜25質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明のネガ型感光性平版印刷版の感光層は、ビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体を含有する。このビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体としてはカチオン性の置換基を有するカチオン性水溶性重合体(以降、重合体Aと称す)または、スルホン酸基を含有するアニオン性水溶性重合体(以下、重合体Bと称す)を好ましく利用することができる。なお、本発明におけるpH9.5以下の水溶液に溶解可能とは、pH9.5に水酸化ナトリウムで調整した25℃のイオン交換水100mlに対し0.5g以上溶解することを意味する。以下に重合体Aについて詳細に説明する。
重合体Aにおけるカチオン性基とは、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ヨードニウム基、オキソニウム基等の有機オニウム基から選ばれる基であり、これらのうち4級アンモニウム基が最も好ましい。
上述した有機オニウム基を導入した重合体は、特公昭55−13020号公報、特開昭55−22766号公報、特開平11−153859号公報、特開2000−103179号公報、米国特許第4,693,958号明細書、米国特許第5,512,418号明細書に記載されている従来公知の化学反応を用いて合成することができる。即ち、所望の有機オニウム基を含有するモノマーを重合反応させたり、重合体を構成する重合体鎖状に導入された三価のN原子、二価のS原子あるいは三価のP原子等を、通常のアルキル化反応によって有機オニウム基を導入する方法が挙げられる。更にアミン類、スルフィド類、ホスフィン類のような求核試薬と重合体鎖状の脱離基(例えば、スルホン酸エステル類やハロゲン化物)との求核置換反応により、重合体主鎖または側鎖に有機オニウム基を導入する方法も挙げられる。
重合体Aにおけるビニル基が置換したフェニル基とは、光ラジカル発生剤または光酸発生剤の作用により、光重合反応あるいは光架橋反応に寄与しうる基である。ビニル基が置換したフェニル基は、適当な連結基を介して重合体中に導入されている場合が好ましい。この場合の連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。更に該ビニル基及び該フェニル基は置換基を有していても良い。ビニル基が置換したフェニル基を導入した重合体としては、更に詳細には下記一般式2で表される基を側鎖に有するものである。
Figure 2011209515
式中、R、R及びRは、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、Rが水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表す。また、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
式中、mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表し、qは1〜4の整数を表す。
式中、Lは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群からなる多価の連結基を表す。具体的には下記に例示される構造単位より構成される基及び下記に示す複素環基が挙げられる。これらの基は単独でも任意の2つ以上が組み合わされていても良い。
Figure 2011209515
を構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
連結基Lを構成する任意の原子団において、この中にカチオン性基を形成する4級アンモニウム基等の有機オニウム基が含まれている場合が特に好ましく利用される。連結基中に、こうした有機オニウム基が含まれない場合においては主鎖を構成する繰り返し単位中に、別途有機オニウム基を有する繰り返し単位を含むことが必要である。
重合体中にビニル基が置換したフェニル基を導入する方法については特に制限はなく、例えば特公昭49−34041号公報、特公平6−105353号公報、特開2000−181062号公報、特開2000−187322号公報等に示されるようないずれの方法を用いても良い。これらの場合には予め前駆体である重合体を合成する際に、有機オニウム基を有する繰り返し単位を共重合体の形で導入しておくか、前駆体重合体に重合性不飽和結合基を導入した形で、上述した方法等により、有機オニウム基を形成することが必要である。
重合体Aの前駆体を構成することができるモノマーの具体例としては、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、(4−ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩モノマー、ジメチル−2−メタクリロイルオキシエチルスルホニウムメトスルフェート等の3級スルホニウム塩モノマー、2−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−ブロモメチルスチレン、2−クロロエチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート等のハロゲン化アルキル基含有モノマー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、重合体Aは、任意の他のモノマーとの共重合体を構成していても良く、これら共重合体を構成するモノマーは水溶性であっても非水溶性であっても良い。水溶性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ベニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、メタクリル酸のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
また、ケミカルフリーの処理液による現像性を最適化し、画像部の強度を向上させるために、非水溶性の任意のモノマーとの共重合体を形成することも好ましく行われ、これらの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−へキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類またはアリールアルキル(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを挙げることができる。これらの任意の組み合わせで構成される共重合体を重合体Aとして使用することができる。
本発明の重合体Aは、ビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合が特に好ましい。ビニル基が置換したフェニル基を主鎖に結合するための連結基を構成する任意の原子団において、この中にカチオン性基を形成する4級アンモニウム基等の有機オニウム基が含まれている場合が最も好ましい。この場合においては、重合体中に含まれるビニル基が置換したフェニル基の数と有機オニウム基の数が正比例するため、感度を向上させるために重合体中に含まれるビニル基が置換したフェニル基の両方を同時に満足することができる。上述したようなビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合の重合体の単位構造は、具体的には下記一般式3で表すことができる。
Figure 2011209515
式中、A はアンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ヨードニウム基、オキソニウム基等の有機オニウム基から選ばれる有機オニウム基を表し、n及びnはそれぞれ0または1を表す。A がヨードニウム基の場合はn=n=0であり、A がスルホニウム基の場合はn=1かつn=0であり、A がアンモニウム基またはホスホニウム基の場合はn=n=1である。
式中、R及びR10は、同じであっても異なっていても良く、それぞれアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロへキシル基、ベンジル基等)、またはアリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基等)を表しこれらの基は置換されていても良く、この場合の置換基の例としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。更にR及びR10は、上記一般式2で表されるビニル基が置換したフェニル基を含有する基であっても良い。
式中、R11、R12及びR13は同じであっても異なっていても良く、それぞれ前記一般式2におけるR、R及びRと同義である。これらの基の中でもR11が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R12及びR13が水素原子であるものが特に好ましい。R14は、前記一般式2におけるRと同義である。L及びLは、それぞれ独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式2におけるLと同義である。mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表しqは1〜4の整数を表す。
また、A で表される有機オニウム基を形成するN原子、S原子及びP原子等と、R、R10あるいはL、Lから任意に選ばれる基とが組み合わさって環構造(例えば、ピリジニウム環、2−キノリウム環、モルホニウム環、ピペリジニウム環、ピロリジニウム環、テトラヒドロチオフェニウム環等)を形成していても良い。これら環構造は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
また、本発明の重合体Aの中には、上記したようなビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合した繰り返し単位を有する重合体の他に、ビニル基が置換したフェニル基が直接もしくはカチオン性基を含まない連結基を介して主鎖に結合した繰り返し単位とカチオン性基を有する繰り返し単位とを有する重合体も用いることができる。
本発明における重合体Aの例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2011209515
Figure 2011209515
Figure 2011209515
Figure 2011209515
本発明の重合体Aを構成する各繰り返し単位が、全重合体中に占める割合については好ましい範囲が存在する。上述したようにビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合には、その繰り返し単位が重合体トータル組成10質量%から80質量%の範囲にあることが特に好ましい。
また、ビニル基が置換したフェニル基が直接もしくはカチオン性基を含まない連結基を介して主鎖に結合した繰り返し単位とカチオン性基を有する繰り返し単位とからなる重合体の場合には、ビニル基が置換したフェニル基を有する繰り返し単位の場合は、5質量%から50質量%の範囲にあることが特に好ましい。そして、カチオン性基を有する繰り返し単位が占める割合は、30質量%から95質量%の範囲にあることが好ましく、50質量%から90質量%の範囲にあることが特に好ましい。カチオン性基を有する繰り返し単位が30質量%以上でなければ十分な水溶性が得られない場合があり、95質量%以下でなければ十分な画像形成ができない場合がある。
本発明の重合体Aの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、更に1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。本発明における重合体Aは1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
次に、側鎖にビニル基が置換したフェニル基及びスルホン酸基を有するアニオン性水溶性重合体(重合体B)について詳細に説明する。
本発明の重合体Bは、ビニル基が置換したフェニル基及びスルホン酸基がそれぞれ直接もしくは任意の連結基を介して主鎖と結合した重合体である。該スルホン酸基は塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)を形成しても良い。これらの連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。ビニル基が置換したフェニル基及びスルホン酸基は、それぞれ独立して主鎖に結合していても良いし、あるいはビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基が連結基の一部または全部を共有する形で結合していても良い。
上記ビニル基が置換したフェニル基において、該フェニル基は置換されていても良く、また、該ビニル基はハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。
本発明の重合体Bは、更に詳細には、下記一般式4及び5で表される基を側鎖に有するものである。
Figure 2011209515
式中、R15、R16及びR17は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ前記一般式2におけるR、R及びRと同義であり、R18は前記一般式2のRと同義である。Lは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式2におけるLと同義である。mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表し、qは1〜4の整数を表す。
上記一般式で表される基の中でも、R15が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であり、かつR16及びR17が水素原子であるものが好ましい。また、連結基Lとしては複素環を含むものが好ましく、qは1または2であるものが好ましい。
Figure 2011209515
式中、Lは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式2におけるLと同義である。更にLは前記一般式4のLの一部または全部を共有しても良い。
式中、Xはスルホアニオンを中和するのに必要な電荷をもつカチオンを表す。このようなカチオンの具体例としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン等の無機イオン(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等)、有機アンモニウムイオン(例えばアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等)、ヨードニウムイオン(例えばフェニルヨードニウム等)、スルホニウムイオン(例えばトリフェニルスルホニウム等)ジアゾニウムイオン等が挙げられ、これらの中でもアルカリ金属イオンまたは有機アンモニウムイオンが特に好ましい。
重合体中にビニル基が置換したフェニル基を導入する方法については特に制限はないが、該ビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーを重合させた場合には、該ビニル基も反応し、ゲル化を起こしてしまうことが予想され好ましくない。このため、ビニル基が置換したフェニル基を有さない前駆体重合体を合成しておき、しかる後、従来公知の高分子反応により該ビニル基が置換したフェニル基を導入する方法が特に好ましい。
重合体中にスルホン酸基を導入する方法については特に制限はなく、該スルホン酸基を有するモノマーを共重合させても良いし、スルホン酸基を有さない前駆体重合体を合成しておき、しかる後、従来公知の高分子反応により該スルホン酸基を導入しても良い。
本発明の重合体Bは、上述した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する繰り返し単位、及びスルホン酸基を有する繰り返し単位からのみなる重合体であっても良いし、あるいは本発明の効果を妨げない限り、更に他の繰り返し単位を導入した重合体であっても良い。また更に、他のモノマーとの共重合体であっても良く、このようなモノマーの具体例としては、重合体Aで例示した全ての水溶性モノマー及び非水溶性モノマーが挙げられ、これらモノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
本発明の重合体Bの例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2011209515
Figure 2011209515
Figure 2011209515
Figure 2011209515
Figure 2011209515
本発明の重合体Bの質量平均分子量は、1000から100万の範囲であることが好ましく、更に1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。本発明における重合体Bは1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
前述した本発明の重合体A及びBの水に対する溶解性については好ましい範囲が存在する。即ち、25℃のイオン交換水100mlに対して前記重合体は0.5g以上溶解することが好ましく、更に2.0g以上溶解することが特に好ましい。
本発明のネガ型感光性平版印刷版の感光層は、上述した重合体AもしくはBの他に、任意の公知の各種バインダー樹脂を混合して用いることもできる。この場合のバインダー樹脂は特に制限されず、具体的には、上記で例示したモノマーから任意に構成される重合体や、ポリビニルフェノール、フェノール樹脂、ポリヒドロキシベンザール、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。これらバインダー樹脂としては水溶性であることが好ましく、上記で例示したような水溶性モノマーを少なくとも1種以上用いた水溶性バインダー樹脂やゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性バインダー樹脂であることが好ましい。
ビニル基が置換したフェニル基を有し、pH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体を用いた感光層は、露光部において重合体中のビニル基が光ラジカル発生剤または光酸発生剤の作用により架橋することで水に不溶性となり、一方、未露光部においてはカチオン性基あるいはスルホン酸基の導入により水溶性が極めて高くなる。従って、ケミカルフリー現像液による現像によって未露光部は除去され、一方露光部は画像強度及び疎水性が向上するために安定したケミカルフリー現像適性を有し、かつ高い解像度が得られる。
本発明の感光層は、紫外光から近赤外光の各種光源に対応できるように、近赤外光までの波長領域に吸収を有し、前述の光ラジカル発生剤を増感する増感剤を併せて含有することができる。かかる増感剤としては、各種増感色素が好ましく用いられる。このような増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第0,568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、米国特許第5,227,227号明細書に記載の化合物も用いることができる。
感光層をこのような近赤外光に増感するために用いられる増感色素の具体例を以下に示す。
Figure 2011209515
可視光レーザーとしてはArレーザーの488nm、514.5nmのレーザー光、半導体レーザーの第2高調波光(SHG−LD、350〜600nm)、SHG−YAGレーザーの532nmのレーザー光等が代表的な光源として挙げられる。また、近年、400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザーを搭載した出力機が普及している。この出力機は、最大露光エネルギー量が数十μJ/cm程度で、用いられる感光材料も高感度が要求される。これらのレーザー光源に対応した色素として、キサンテン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、ベンゾピラン系、ピリリウム系、チオピリリウム系色素といったものが挙げられる。中でも青色半導体レーザーに対応するための増感剤としてはクマリン、ケトクマリン化合物を好適に用いることができる。
上記可視域に吸収を有する色素の代表例であるキサンテン系色素としては、ローダミンB、ローダミン6G、エチルエオシン、アルコール可溶性エオシン、ピロニンY、ピロニンB等を挙げることができる。
メロシアニン系色素の具体例を下に示す。
Figure 2011209515
ケトクマリン系色素の具体例を下に示す。
Figure 2011209515
ベンゾピラン系色素の具体例を下に示す。
Figure 2011209515
本発明において、増感剤の含有量は、ビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましく、更には0.5〜7質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の感光層は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加することも好ましく行われる。例えば、保存性を向上させる目的で種々の重合禁止剤を添加することが好ましく行われる。この場合の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物が好ましく使用され、特にハイドロキノンが好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、該重合体100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用することが好ましい。他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光層のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
本発明のネガ型感光性平版印刷版が有する支持体としてはアルミニウム支持体、各種プラスチックフィルム、各種プラスチックによりラミネートされた紙が挙げられる。機器の専有面積のコンパクト化を図るために、かかる支持体としては、柔軟性があり、張力による変形の少ない素材である各種プラスチックフィルムが好ましく用いられる。好ましいプラスチックフィルム支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース等が代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。これらのフィルム支持体はコロイダルシリカを含有する親水性層を有することが好ましい。また、親水性層を設ける前に、表面に親水化加工が施されていることが好ましく、こうした親水化加工としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。更なる親水化加工として基材上に設ける親水性層との接着性を高めるため基材上に下引き層を設けても良い。下引き層としては、親水性樹脂を主成分とする層が有効である。親水性樹脂としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、フタル化ゼラチン)、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、キサンタン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の水溶性樹脂が好ましい。特に好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコールが挙げられる。こうした下引き層を介して親水性層を形成することで、多部数にわたるロングラン印刷条件での耐刷性が向上するため好ましく利用される。
本発明で用いられる親水性層を有する支持体について更に詳細に説明する。この親水性層にはコロイダルシリカを含むことで高い親水性を付与することができ好適に用いることができる。ここで言うコロイダルシリカとは、光散乱方式粒度分布計で計測される平均粒子径が5〜200nmである球状、針状、不定形あるいは、球状粒子が連なってできるネックレス状等の種々の形状、粒子径のシリカ粒子であることが好ましく、水中に安定的に分散したシリカゾルが好ましく用いられる。こうした素材は、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスの商品名で各種のコロイダルシリカが提供されており、球状のシリカゾルとしてスノーテックスXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスS(粒子径8〜11nm)、スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックスXL(粒子径40〜60nm)、スノーテックスYL(粒子径50〜80nm)、スノーテックスZL(粒子径70〜100nm)、スノーテックスMP−2040(粒子径200nm)及び表面のナトリウム塩を除去した酸性タイプのシリカゾルとしてスノーテックスOXS、OS等が好ましく使用できる。針状あるいは不定形のシリカゾルとして、例えばスノーテックスUP、OUPや触媒化成工業(株)から出されているファインカタロイドF−120等が挙げられる。ネックレス状のシリカゾルとして、スノーテックスPS−S(粒子径80〜120nm)、PS−M(粒子径80〜150nm)及びこれらの酸性タイプであるPS−SO及びPS−MO等が挙げられる。
親水性層に含まれるこうしたコロイダルシリカは、各々の種類のコロイダルシリカを単独で使用しても良いが、あるいは異なる種類のコロイダルシリカを種々の割合で混合して用いても良い。
親水性層の乾燥塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、支持体上に乾燥質量で1平方メートルあたり0.5gから20gの範囲で形成することが好ましく、この範囲より少ない場合には印刷時に地汚れが発生しやすくなる場合がある。また1平方メートル20gを超えて塗設した場合には、塗膜にひび割れが発生しやすくなる場合がある。最も好ましい範囲は1平方メートルあたり1gから10gの範囲である。
親水性層には上記のコロイダルシリカ以外に他の無機微粒子を添加することも好ましく行われる。μmサイズの多孔質シリカ微粒子として例えば、富士シリシア化学(株)から得られる各種グレードのサイリシアの添加により親水性の向上や親水性層のブロッキング防止等の好ましい効果が得られる。あるいは、ゼオライトとして知られる結晶性アルミノケイ酸塩、層状粘土鉱物微粒子としてスメクタイト(モンモリロナイト等)、酸化チタンやタルク等を添加することによっても同様な好ましい効果が得られる。これらの多孔質シリカ微粒子やゼオライトあるいは層状粘土鉱物微粒子を添加して用いる場合には、コロイダルシリカとの好ましい比率が存在し、コロイダルシリカ100質量部に対し1から10質量部である。これ以下の添加量では効果が認めがたく、また10質量部を超えて添加した場合には、塗膜の平滑性が損なわれて画質が低下する場合がある。
本発明においては、親水性層には、水溶性重合体と架橋剤を含むことが好ましい。水溶性重合体としては、上記の種々のコロイダルシリカと混合した際に、コロイダルシリカの凝集を引き起こさず、均一な分散状態を保つ系が好ましく、更には、塗膜を形成した際にも、コロイダルシリカと該水溶性重合体が相分離を起こさず、均一な皮膜を形成し、多孔質構造を生起しない系が最も好ましい。
本発明において使用できる水溶性重合体の例としては、後述する本発明で好ましく使用できる公知の種々の架橋剤で架橋可能な公知の水溶性重合体を用いることができる。こうした例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水酸基を有する水溶性重合体や、ポリアクリル酸、ポリスチレン−マレイン酸共重合体、ポリ酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有する水溶性重合体、及びポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のアミノ基を有する水溶性重合体等を挙げることができる。
更には、本発明で用いることのできる最も好ましい水溶性重合体としては、下記一般式6で示される重合体が挙げられる。
Figure 2011209515
上式において、Xは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位である。繰り返し単位Bは共重合体を水溶性にするために必要な親水性基を有する繰り返し単位である。
上記一般式で示される水溶性重合体は後述する架橋剤との間で効率的に架橋反応が進行するための反応性基を分子内に含むことが重要である。こうした反応性基として、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基が挙げられる。これらの反応性基を分子内に有する水溶性重合体を得るには、反応性基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込むことが好ましく行われる。上記一般式6で示す繰り返し単位Aに対応するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類及びアセトアセトキシメタクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
上記一般式6において、繰り返し単位Aの共重合体中における割合であるXは1から40までの範囲にあることが好ましく、この範囲未満では架橋反応が進行しても耐水性が発揮できず、この範囲を超えれば、下記の水溶性を付与するための繰り返し単位Bの導入による効果が薄れ、親水性層の水に対する親和性が低下する場合がある。
更に、上記一般式における繰り返し単位Bを与えるためのモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アクリル酸−2−(トリメチルアンモニウム)エチルエステル、メタクリル酸−2−(トリメチルアンモニウム)エチルエステル、アクリル酸−2−(トリエチルアンモニウム)エチルエステル、メタクリル酸−2−(トリエチルアンモニウム)エチルエステル、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−N−(4−ビニルベンジル)アンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは繰り返し単位Bを構成するために1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。本発明における好ましい水溶性重合体の例を下記に示す。
Figure 2011209515
Figure 2011209515
こうした水溶性重合体を用いる場合には、コロイダルシリカとの好ましい比率が存在し、水溶性重合体とコロイダルシリカの質量比は1:1〜1:3の範囲が好ましい。水溶性重合体がコロイダルシリカより1:1の比率を超えて親水性層に含まれる場合、前述した光硬化性感光層との接着性が低下し、印刷時において耐刷性が低下する場合がある。また、水溶性重合体のコロイダルシリカに対する比が1:3未満である場合には、光硬化性感光層との接着性は良好で耐刷性も十分であるが、コロイダルシリカ粒子間隙に感光層成分が吸着することで残膜が発生しやすくなり、地汚れが発生しやすくなる場合がある。
本発明に関わる親水性層に添加し、上記水溶性重合体を架橋するための架橋剤としては、公知の種々の化合物が挙げられる。具体的にはエポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物及びその誘導体、ホルマリン等のアルデヒド化合物及びメチロール化合物、ヒドラジド化合物等が好ましい例として挙げられる。以下、こうした架橋剤の具体的な例を化学式を添えて説明する。これらのうちで特にエポキシ化合物が、最も耐水性の高い親水性層を形成するため、好ましい例として挙げられる。
エポキシ化合物としては分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で、水溶性であるものが好ましく使用される。こうしたエポキシ化合物は中性から弱酸性条件では水中でも比較的安定であり、親水性層を形成するための塗工液を作製した場合に、塗液寿命が長く連続した生産において極めて有利であり好ましい。好ましいエポキシ化合物の例を下記に示す。
Figure 2011209515
上記のようなエポキシ化合物と該水溶性重合体との間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性重合体中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基やアミノ基が特に好ましい。
アジリジン化合物として好ましい化合物の例を下記に示す。こうしたアジリジン化合物と該水溶性重合体との間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性重合体中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基が特に好ましい。
Figure 2011209515
オキサゾリン化合物としては、置換基として下記一般式で示す基を分子内に2個以上含む化合物が好ましく、市販される各種化合物として例えば、(株)日本触媒から「エポクロス」の商品名で提供される各種グレードの化合物が好ましく使用される。こうしたオキサゾリン化合物と該水溶性重合体との間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性重合体中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基が特に好ましい。
Figure 2011209515
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号明細書)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号明細書)、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平10−60073号公報の明細書等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。具体的には、例えば、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基のうち一部のみに付加させて得られる構造のポリイソシアネート化合物が極めて好ましい例として挙げられる。こうした構造のイソシアネート化合物の合成法については上記の明細書中に記載されている。こうしたイソシアネート化合物の具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等を出発原料とした環状三量化によるポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとしたものが市販されており、例えば、旭化成工業(株)からデュラネートWB40あるいはWX1741等の名称で入手可能である。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば特開平4−184335号公報、特開平6−175252号公報の明細書等に見られるように、重亜硫酸塩、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、活性メチレン類等でブロックされたブロックイソシアネートが好ましく用いられる。こうしたイソシアネート化合物と該水溶性重合体との間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性重合体中に含まれる反応性基としては、水酸基やアミノ基が特に好ましい。
ホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物及びメチロール化合物の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、及び下記に示すような種々のN−メチロール化合物を例示することができる。こうした化合物と該水溶性重合体との間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性重合体中に含まれる反応性基としては、水酸基やアミノ基が特に好ましい。
Figure 2011209515
ヒドラジド化合物として好ましく使用できる化合物の例を下記に示す。こうしたヒドラジド化合物と該水溶性重合体との間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性重合体中に含まれる反応性基としては、アセトアセトキシ基のような活性メチレン基が特に好ましい。
Figure 2011209515
上記のような種々の架橋剤と該水溶性重合体との比率に関しては好ましい範囲が存在する。該水溶性重合体100質量部に対して架橋剤は1〜40質量部の範囲で用いることが好ましく、1質量部未満では印刷中に親水性層の剥離が生じる場合がある。逆に40質量部を超えて用いた場合には地汚れが発生する場合がある。
アルミニウム支持体の場合は、各種処理により表面を親水化したアルミニウム板が好ましく用いられる。該アルミニウム支持体は通常、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。
このように砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、化学エッチング処理をされるのが好ましい。化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理が挙げられる。
好適に用いられるアルカリ剤は特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。アルカリエッチング処理の条件は、Alの溶解量が0.05〜1.0g/mとなるような条件で行うのが好ましい。また、他の条件も特に限定されないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましく、また、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリエッチング処理は、1種の方法に限らず、複数の工程を組み合わせることができる。なお、本発明においては、機械的粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は0.05〜30g/mとするのが好ましい。
以上のように処理されたアルミニウム支持体には、更に、陽極酸化処理が施されることが好ましい。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム支持体に直流または交流を流すとアルミニウム支持体の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温−5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法が特に好ましい。
上述した親水性の支持体上に前述の本発明の感光層を塗布、乾燥することで、ネガ型感光性平版印刷版として好適に使用することができる。また、感光層の更に上層に保護層を設け酸素を遮断することで好適に用いることができる。保護層としては公知の水溶性重合体を用いることができる。こうした例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水酸基を有する水溶性重合体を好ましく用いることができ、これらの重合体を水または溶媒に溶解させ感光層の上に塗布し乾燥させることで高感度かつ経時安定性に優れたネガ型感光性平版印刷版として用いることができる。
上記のようにして親水性層上に形成された感光層は、密着露光あるいはレーザー走査露光を行った後、ケミカルフリー現像液により未露光部を除去することでパターン形成が行われる。露光された部分は架橋することでケミカルフリー現像液に対する溶解性が低下し、画像部が形成される。
本発明のネガ型感光性平版印刷版における感光層は、ケミカルフリー現像液によって現像できる。用いられる現像液は、従来から一般に用いられているアルカリ剤を多量に含有する強アルカリの現像液(通常pH9.5を超える)とは異なり、実質的にアルカリ剤は含まない。従って、本発明のケミカルフリー現像に用いられる現像液のpHは9.5以下であり、好ましくはpH8以下である。pHの下限は3程度である。本発明のケミカルフリー現像に用いられる現像液は、水が現像液全体の70質量%以上、更には80質量%以上を占めるものであり、他に添加剤として、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルセルソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種有機溶剤、あるいは、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤等を添加することもできる。これらの添加剤は現像液100質量部に対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
(実施例1)
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
<支持体>
厚みが100μmのポリエステルフィルム上に、下記の親水性層処方にてワイヤーバーで乾燥重量が2.0g(1平方メートル当たり)になるように親水性層の塗布を行い、60℃の乾燥機にて3分間乾燥を行い、更に乾燥物を40℃の乾燥機にて2日間加熱を行い、親水性層を有する支持体を得た。
<親水性層処方>
水溶性重合体 S−1 (分子量20万) 1質量部
コロイダルシリカ分散液 スノーテックスS(日産化学工業(株))1.5質量部
硬膜剤 E−1 0.3質量部
pH調整剤(水酸化ナトリウム水溶液もしくは硫酸水溶液にてpH5.0に調整)
イオン交換水 20質量部
<感光層>
下記感光層処方に従い、塗布液を作成し、前記親水性層を塗布した支持体の親水性層上に乾燥厚みが1.5μmになるよう塗布を行い、75℃の乾燥器内にて10分間乾燥を行った。
<感光層処方>
スルホン酸型重合体 SP−1 1質量部
光ラジカル開始剤 BC−4 0.1質量部
光ラジカル開始剤 T−14 0.1質量部
増感剤 VS−5 0.05質量部
着色剤 ピグメントブルー15 0.2質量部
本発明及び比較の化合物(表1に示す) 表1中記載の質量部
アセトン 5質量部
エタノール 5質量部
テトラヒドロフラン 10質量部
なお、SP−1の溶解性は、pH9.5に水酸化ナトリウムで調整した25℃のイオン交換水100mlに対しては10g、イオン交換水に対しては2gであった。
Figure 2011209515
上記表中、添加化合物D−1、D−2、D−3、D−4、D−5は下記化合物であり、添加部数は質量部である。
D−1:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
D−2:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
D−3:p−スチリルトリメトキシシラン
D−4:3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン
D−5:フェニルトリクロロシラン
D−6:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
下記保護層をそれぞれ乾燥厚みが1.5μmになるよう感光層上に塗布を行い、75℃の乾燥器内にて10分間乾燥を行いネガ型感光性平版印刷版を得た。
<保護層処方>
ポリビニルアルコール PVA−102((株)クラレ製) 1質量部
イオン交換水 9質量部
得られた上記ネガ型感光性平版印刷版について塗布当日にそれぞれ、露光装置として、405nmに発光する青紫半導体レーザー(出力50mW)を用いて、版面露光エネルギー120μJ/cmに設定してテストパターンを描画した。描画したネガ型感光性平版印刷版について、25℃のイオン交換水に15秒に漬けてセルローススポンジで感光層を有する側の面を擦り、現像し乾燥したものを下記インキ着肉性の評価を行った。また、上記ネガ型感光性平版印刷版を製版後35℃、湿度80%で2週間置き版した後、下記インキ着肉性の評価を行った。
<インキ着肉性の評価>
印刷機RYOBI3200CCD、FINE INKニューチャンピオン墨(H)(DIC(株)製)及び市販のPS版用給湿液(SLM−OD50 三菱製紙(株)製)を用いて500枚印刷を行った。印刷開始から100枚までのサンプルを、20枚ごとにサンプリングし、印刷物のベタ部分の反射濃度をDM−620(大日本スクリーン製造(株)製)で測定した。また、500枚目の反射濃度も同様に反射濃度を測定し、印刷初期及び500枚印刷時におけるベタ部分の反射濃度を比較することで、インキ着肉性を下記基準において評価した。
5:500枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が20枚未満
4:500枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が20枚以上40枚未満
3:500枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が40枚以上60枚未満
2:500枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が60枚以上80枚未満
1:500枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が100枚以上
Figure 2011209515
(実施例2)
実施例1で用いたSP−1をCP−1(分子量20万)に変え、本発明の化合物D−1を0.2質量部を添加した以外は表1の本発明1のネガ型感光性平版印刷版と同様にして作成し、前記した方法と同様の評価を実施した。この結果においても、本発明1のネガ型感光性平版印刷版と同様の結果が得られた。
以上の結果から、本発明によりケミカルフリー現像液での現像が可能であり、かつ高温、高湿条件下で置き版した後のインキ着肉性が改善されたネガ型感光性平版印刷版が得られることが判る。

Claims (3)

  1. 支持体上に光ラジカル発生剤、ビニル基が置換したフェニル基を有しpH9.5以下の水溶液に溶解可能な水溶性重合体を含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版において、該感光層がシランカップリング剤を含有することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版。
  2. 前記感光層が含有するシランカップリング剤がビニル基を有するシランカップリング剤である請求項1に記載のネガ型感光性平版印刷版。
  3. 前記感光層が含有するシランカップリング剤がアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤である請求項1または請求項2に記載のネガ型感光性平版印刷版。
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