JP4378238B2 - 感光性組成物 - Google Patents

感光性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4378238B2
JP4378238B2 JP2004218420A JP2004218420A JP4378238B2 JP 4378238 B2 JP4378238 B2 JP 4378238B2 JP 2004218420 A JP2004218420 A JP 2004218420A JP 2004218420 A JP2004218420 A JP 2004218420A JP 4378238 B2 JP4378238 B2 JP 4378238B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
meth
acrylate
ring
printing plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004218420A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006039179A (ja
JP2006039179A5 (ja
Inventor
日出男 清山
彰 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP2004218420A priority Critical patent/JP4378238B2/ja
Publication of JP2006039179A publication Critical patent/JP2006039179A/ja
Publication of JP2006039179A5 publication Critical patent/JP2006039179A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4378238B2 publication Critical patent/JP4378238B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Description

本発明は感光性組成物及びこれを利用した感光性平版印刷版に関する。詳細には、高感度で保存性に優れ、更に加熱処理及びオーバー層を必要としない感光性平版印刷版に関する。
感光性組成物は、光反応によって分子構造が化学変化を起こし、その結果、物理現象(物性)に変化が生じる。この光の作用による化学変化としては、架橋・重合・分解・解重合・官能基変換などがあり、溶解度・接着性・屈折率・物質浸透性および相変化など多様である。このような感光性組成物は、印刷版、レジスト、塗料、コーティング剤、カラーフィルターなどの広い分野で実用化されている。さらに、写真製版技術(フォトリソグラフィ)を用いるフォトレジスト分野で活用され、発展してきた。フォトレジストは、光反応による溶解度の変化を利用したもので、高解像度の要求などからいっそうの精緻な材料設計が必要となっている。
広く用いられているタイプの平板印刷版は、アルミニウムベース支持体に塗布された感光性塗膜を有する。この塗膜は、露光された塗膜部分は硬化し、露光されなかった塗膜部分は現像処理で溶出される。このような版をネガ型印刷版という。平版印刷は印刷版表面に形成されたパターンと背景部のそれぞれの親油性、親水性の表面物性を利用し、平版印刷においてインクと湿し水を同時に印刷機上で版面に供給する際に、インクが親油性表面を有するパターン上に選択的に転移することを利用するものである。パターン上に転移したインクはその後ブランケットと呼ばれる中間体に転写され、これから更に印刷用紙に転写することで印刷が行われる。
上記した光反応による溶解度の変化を利用してレリーフ像を形成する感光性組成物は、従来から多くの研究が成されており、また実用化されている。例えば、特公昭49−34041号、同平6−105353号等には側鎖に重合性不飽和結合を有する重合体と架橋剤と光重合開始剤を主体とする感光性組成物が開示されている。これらは、400nm以下の紫外線領域を中心とした短波長の光に対して感光性を有するものである。
一方、近年、画像形成技術の進歩に伴い、可視光に対して高感度を示す感光性材料が求められるようになってきた。例えば、アルゴンレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、赤色LED等を用いた出力機に対応した感光性材料及び感光性平版印刷版の研究も活発に行われている。
更に、半導体レーザーの著しい進歩によって700〜1300nmの近赤外レーザー光源を容易に利用できるようになったことに伴い、該レーザー光に対応する感光性材料及び感光性平版印刷版が注目されている。
上記可視光〜近赤外光に感光性を有する光重合性組成物として、特開平9−134007号公報にはエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物と400〜500nmに吸収ピークを持つ光増感色素と重合開始剤とを含有する平版印刷版材料が開示され、特開昭62−143044号、同昭62−150242号、同平5−5988号、同平5−194619号、同平5−197069号、同2000−98603号公報等には、有機ホウ素アニオンと色素との組み合わせが開示され、特開平4−31863号、同平6−43633号公報には色素とs−トリアジン系化合物との組み合わせが開示され、特開平7−20629号、同平7−271029号公報にはレゾール樹脂、ノボラック樹脂、赤外線吸収剤及び光酸発生剤の組み合わせが開示され、特開平11−212252号、同平11−231535号公報には特定の重合体と光酸発生剤と近赤外増感色素の組み合わせが開示されている。
また、特公平6−105353号公報(特許文献1)、特開2001−290271号公報(特許文献2)、特開2002−278066号公報(特許文献3)には、側鎖にビニルフェニル基を有する重合体を用いた感光性組成物が開示されている。
また、ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン結合と重合性二重結合を有する化合物を用いた光重合性組成物が知られている。例えば、特開平9−95517号(特許文献4)、特開平10−195119号(特許文献5)、特開2001−290267号(特許文献6)、特開2004−131520号(特許文献7)等が挙げられる。
しかしながら、上述したような重合性組成物は、特に近赤外光に対して十分に感度を高くすると長期保存に対する安定性に欠けるという問題があった。即ち、長期間保存すると、徐々に重合反応が進行し、使用時に未露光部の溶出性が悪化して溶出不良を生じ、これは平版印刷版においては、非画像部に地汚れを生じさせる原因となる。
また、酸素の存在は露光による重合反応を著しく阻害し、十分な画像形成ができなくなるので、これを防ぐために感光層上部に酸素バリア性を高めるためにポリビニルアルコール等からなる酸素遮断層(オーバー層)を設けることが通常行われている。このようなオーバー層の存在によりレーザー露光の際に光の散乱等による画質の低下の問題や、現像の際に、アルカリ現像に先立ってオーバー層除去のためのプレ水洗工程が必要となること、および製造にあたって感光層塗布後に更にオーバー層を塗布する工程が必要である等の問題があった。
また、光重合開始剤による重合は、露光のみでは不十分な場合が多く、露光後あるいは現像処理後に加熱処理して、重合を促進完結させる必要があった。特に、可視光〜赤外光の波長域に感光性を付与した感光性平版印刷版材料の場合は、加熱処理は重要な製版工程であった。しかしながら、加熱処理は製版効率を低下させるのみではなく、品質を不安定にする要因を含んでいる。例えば、露光部/未露光部の溶解性の差を一定に保つのは難しく、十分な加熱が行われなければ現像液により露光部まで溶解する場合や、逆に加熱温度が高すぎる場合には未露光部が部分的に不溶化し、現像が十分に行われない等の問題点がある。
特公平6−105353号公報 特開2001−290271号公報 特開2002−278066号公報 特開平9−95517号公報 特開平10−195119号公報 特開2001−290267号公報 特開2004−131520号公報
従って、本発明の目的は、高感度で耐刷性と保存性に優れた感光性組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、可視光から赤外光に充分高い感光性を有し、かつ保存性に優れた感光性平版印刷版を提供することにある。更に本発明の他の目的は、酸素遮断のためのオーバー層及び加熱処理を必要としない、走査露光可能な感光性平版印刷版を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)側鎖にビニルフェニル基を有する重合体、ウレタン結合と重合性二重結合とを有する化合物、分子内にウレタン結合を有さずかつ2以上の重合性二重結合としてビニルフェニル基を有するモノマーもしくはオリゴマー、及び光重合開始剤を含有することを特徴とする感光性組成物。前記ビニルフェニル基におけるフェニル基はビニル基以外の置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、ビニル基は置換されていても良い。
(2)記ウレタン結合と重合性二重結合とを有する化合物が、2〜6のウレタン結合と4〜10の重合性二重結合を有する化合物である上記1の感光性組成物。
(3)更に、単官能重合性モノマーを含有する上記1の感光性組成物。
(4)更に、可視光から赤外光の波長領域に吸収を有する増感色素を含有する上記1の感光性組成物。
(5)前記増感色素が750nm以上に吸収を有する増感色素である上記4の感光性組成物。
(6)上記のいずれか1つに記載の感光性組成物を利用したことを特徴とする感光性平版印刷版。
(7)上記感光性平版印刷版の支持体が、陽極酸化処理後にアルカリ金属ケイ酸塩を含む溶液で処理されたアルミニウム板である上記6の感光性平版印刷版。
本発明によれば、特に赤外線レーザーに対して高感度で耐刷性に優れ、かつ保存性に優れた感光性組成物及び感光性平版印刷版が得られる。また、本発明の感光性組成物及び感光性平版印刷版は、酸素を遮断するオーバー層及び加熱処理を必要とせずに、安定した高感度が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる側鎖にビニル基フェニル基を有する重合体とは、該フェニル基が直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基はビニル基以外の置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。上記した側鎖にビニルフェニル基を有する重合体とは、更に詳細には、下記一般式で表される基を側鎖に有するものである。
Figure 0004378238
式中、Z1は連結基を表し、R1、R2、及びR3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R4は置換可能な基または原子を表す。nは0または1を表し、m1は0〜4の整数を表し、k1は1〜4の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記構造式で表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 0004378238
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。
上記一般式で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
上記一般式で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R1及びR2が水素原子でR3が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、連結基Z1としては複素環を含むものが好ましく、k1は1または2であるものが好ましい。
上記の例で示されるような側鎖にビニルフェニル基を有する重合体としては、アルカリ性水溶液に可溶性を有することが好ましく、そのためにカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む重合体であることが特に好ましい。この場合、共重合体組成に於ける側鎖にビニルフェニル基を有するモノマーの割合として、共重合体トータル組成100質量%中に対して5質量%以上95質量%以下であることが好ましく、10〜95質量%の範囲がより好ましく、更に20〜90質量%の範囲が好ましい。また、共重合体中に於けるカルボキシル基含有モノマーの割合は同じく5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、更に10〜90質量%の範囲が好ましい。これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマー以外にも共重合体中に他のモノマー成分を導入して多元共重合体として合成、使用することも好ましく行うことが出来る。こうした場合に共重合体中に組み込むことが出来るモノマーとして、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用することが出来る。これらのモノマーの共重合体中に占める割合としては、先に述べた共重合体組成中に於ける化1で示す基およびカルボキシル基含有モノマーの好ましい割合が保たれている限りに於いて任意の割合で導入することが出来る。
上記のような重合体の分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、さらに1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。
本発明に係わる側鎖にビニルフェニル基を有する重合体の例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
本発明において、ウレタン結合と重合性二重結合を有する化合物(以降、ウレタン化合物と称す)は、分子内に下記構造式で示されるウレタン結合を少なくとも1個有する。また、重合性二重結合としては、アクリロイル基やメタクリロイル基等が挙げられ、これらの重合性二重結合を2個以上有するのが好ましい。更に、ウレタン結合が2〜6個でかつ重合性二重結合が4〜10個有するウレタン化合物が好ましい。
Figure 0004378238
上記したウレタン化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
本発明において、上記ウレタン化合物の含有量は、前述したビニルフェニル基を側鎖に有する重合体に対して5〜60質量%の範囲で含有するのが好ましく、特に10〜50質量%の範囲が好ましい。
本発明の感光性組成物は、更に単官能重合性モノマーを含有するのが好ましい。かかる化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等のビニルモノマー;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー;N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
単官能重合性モノマーは、ウレタン化合物に対して5〜50質量%の範囲で含有するのが好ましい。
本発明の感光性組成物は、分子内にウレタン結合を有さずかつ2以上の重合性二重結合を有するモノマーもしくはオリゴマーを含有する。かかるモノマーもしくはオリゴマーの分子量は1万以下で、好ましくは5000以下である。該化合物としては、例えば、ウレタン結合を有さず、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルフェニル基等の重合性二重結合を2個以上有する化合物が挙げられる。
重合性二重結合としてアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールグリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールエポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
重合性二重結合としてビニルフェニル基を有する化合物は、代表的には下記一般式で表される。
Figure 0004378238
式中、Z2は連結基を表し、R21、R22及びR23は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R24は置換可能な基または原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していても良い。
上記一般式で表される化合物の中でも好ましい化合物が存在する。即ち、R21及びR22は水素原子でR23は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k2は2〜10の化合物が好ましい。以下に具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
Figure 0004378238
上記したようなモノマーもしくはオリゴマーの含有量は、側鎖にビニル基フェニル基を有する重合体に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更に5〜50質量%の範囲が好ましい。
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては公知の化合物用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物、オニウム塩(特開2003−114532号公報に記載のヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩)等が挙げられる。これらの光重合開始剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式で表される。
Figure 0004378238
式中、R11、R12、R13およびR14は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R11、R12、R13およびR14の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が挙げられるが、好ましくは、オニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
他の好ましい光重合開始剤として、トリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
上述したような光重合開始剤の含有量は、側鎖にビニル基フェニル基を有する重合体に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更には1〜40質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の感光性組成物は、可視光から赤外光の各種光源に対応できるように、可視光から赤外光の波長領域に吸収を有し、前述の光重合開始剤を分光増感する増感色素を併せて含有することが好ましい。このような増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第0,568,993号、米国特許第4,508,811号、同5,227,227号に記載の化合物も用いることができる。
特に、感光性組成物を近赤外(即ち700nm以上、更には750〜1100nmの波長領域)のレーザー光を用いた走査露光に対応させることによって、明室下(紫外線をカットした蛍光灯の下)での取り扱いが可能となる。感光性組成物をこのような近赤外に増感するために用いられる増感色素の具体例を以下に示す。
Figure 0004378238
Figure 0004378238
上記で例示した増感色素の含有量は、前述した光重合開始剤に対して1〜60質量%の範囲が適当であり、好ましくは2〜50質量%の範囲である。
また、近年、400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザーを搭載した出力機が普及している。この出力機は、最大露光エネルギー量が数十μJ/cm2程度で、用いられる感光材料も高感度が要求される。本発明の感光性組成物は、このような波長領域に対して高感度が得られるように、ピリリウム系化合物またはチオピリリウム系化合物を含有することができる。
本発明の感光層は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加することも好ましく行われる。例えば、保存性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物を添加することが好ましく行われる。これらの化合物の添加量は、重合体100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用することが好ましい。
感光性組成物を構成する要素として、他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光性組成物のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
本発明の感光性組成物は、感光性平版印刷版の感光層として好ましく適用することができる。本発明の感光性組成物は、露光時の酸素の影響を受けないので酸素遮断のためのオーバー層を設ける必要がなく、また感度が高く露光部は充分に硬化できるので製版時の加熱処理の必要がない。従って、本発明の感光性組成物を感光層として利用した平版印刷版は、製版工程が従来のものに比べて大幅に効率化できる。
平版印刷版として使用する場合の感光層自体の厚みに関しては、支持体上に0.5ミクロンから10ミクロンの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに1ミクロンから5ミクロンの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。支持体については、例えばポリエステルフィルムやポリエチレン被覆紙を使用しても良いが、より好ましい支持体は、研磨され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板である。
本発明の感光性平版印刷版に好ましく用いられるアルミニウム支持体について説明する。本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0. 1〜0. 6mm程度である。 この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。以下にアルミニウム支持体の処理方法について説明する。
アルミニウム板は、通常、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。
ブラシグレイン法の場合、研磨剤として使用される粒子の平均粒径、最大粒径、使用するブラシの毛径、密度、押し込み圧力等の条件を適宜選択することによって、アルミニウム支持体表面の長い波長成分の凹部の平均深さを制御することができる。ブラシグレイン法により得られる凹部は、平均波長が3〜15μmであるのが好ましく、平均深さが0.3〜1μmであるのが好ましい。
電気化学的粗面化方法としては、塩酸電解液中または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法が好ましい。好ましい電流密度は、陽極時電気量50〜400C/dm2である。更に具体的には、例えば、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解液中で、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100〜400C/dm2の条件で直流または交流を用いて行われる。電解粗面化処理によれば、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、感光層とアルミニウム支持体との密着性を向上させるうえでも好適である。
機械的粗面化処理の後の電気化学的粗面化処理により、平均直径約0.3〜1.5μm、平均深さ0.05〜0.4μmのクレーター状またはハニカム状のピットをアルミニウム板の表面に80〜100%の面積率で生成させることができる。なお、機械的粗面化方法を行わずに、電気化学的粗面化方法のみを行う場合には、ピットの平均深さを0.3μm未満とするのが好ましい。設けられたピットは、印刷版の非画像部の汚れにくさおよび耐刷性を向上する作用を有する。電解粗面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間との積が、重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピットを形成できることは、省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の表面粗さは、JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算術平均粗さ(Ra)が、0.2〜0.8μmであるのが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム板は、化学エッチング処理をされるのが好ましい。化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理が挙げられる。
好適に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。アルカリエッチング処理の条件は、Alの溶解量が0.05〜1.0g/m2となるような条件で行うのが好ましい。また、他の条件も、特に限定されないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましく、また、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリエッチング処理は、1種の方法に限らず、複数の工程を組み合わせることができる。なお、本発明においては、機械的粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は、0.05〜30g/m2とするのが好ましい。
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。特に、電解粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法が挙げられる。
また、化学エッチング処理を酸性溶液で行う場合において、酸性溶液に用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。酸性溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。また、酸性溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流すとアルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温−5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法が特に好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2であるのが好ましく、1.5〜7g/m2であるのがより好ましく、2〜5g/m2であるのが特に好ましい。粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は、0.05〜30g/m2とするのが好ましい。
陽極酸化処理後、アルカリ金属ケイ酸塩を含む溶液で処理するのが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムおよびケイ酸リチウムなどが用いられるが、好ましくはケイ酸カリウムである。溶液中のアルカリ金属ケイ酸塩の濃度は、SiO2換算で0.5〜10質量%の範囲が好ましく、1〜6質量%の範囲がより好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩を含む溶液には、更に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を含有するのが好ましく、アルカリ金属水酸化物の中でも水酸化カリウムが好ましい。該溶液中におけるアルカリ金属水酸化物の濃度は、0.5〜5質量%の範囲が好ましく、処理液の25℃におけるpHは12以上が好ましく、12〜13.5の範囲がより好ましく、特に12.3〜13.3の範囲が好ましい。
また、該溶液におけるSiO2/M2O(Mはアルカリ金属を表す)のモル比は、0.5〜3.0の範囲が好ましく、0.8〜2.5の範囲がより好ましい。
する事ができる。
上記のSiO2/M2OのMはアルカリ金属を表すが、本発明に好ましく用いられる溶液は、ケイ酸カリウムを含有するのが好ましく、従ってアルカリ金属(M)の50モル%以上はカリウムであるのが好ましく、70モル%以上がカリウムであるのがより好ましく、更には100モル%がカリウムであるのが好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩を含む溶液で処理するときの溶液の温度は、5〜80℃程度で処理が可能であるが、好ましくは70℃未満であり、より好ましくは65℃以下である。処理時間は、例えば、アルミニウム板を溶液中に浸漬する時間は、1〜60秒が好ましく、特に3〜50秒の範囲が好ましい。
上述したアルカリ金属ケイ酸塩を含む溶液で処理した後、水洗処理が施される。水洗処理の方法は、特に限定されず、例えば、スプレー法、浸せき法が挙げられる。これらは単独で1回または複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。水洗処理の時間は、特に限定されない。
上記のようにして製造されたアルミニウム支持体上に感光層を塗設されて得られた感光性平版印刷版は、感光層に付与された感光域に応じてレーザー走査露光が行われ、露光された部分が架橋することでアルカリ性現像液に対する溶解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液により未露光部を溶出することで露光画像のパターン形成が行われる。
本発明に用いられるアルカリ性現像液は、25℃におけるpHが10〜12であるのが好ましい。現像液のpHを上記範囲に調整するためのアルカリ性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、トリエチルアンモニウムハイドロキサイド等が挙げられるが、これらの内、特にアルカノールアミン類が好ましい。さらには、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類をアルカリ性現像液中に添加することも好ましく行われる。また、各種界面活性剤の添加も好ましく行うことが出来る。こうしたアルカリ性現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアガム、デキストリン類等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
<アルミニウム支持体>
砂目立て及び陽極酸化処理が施された厚み0.24mmのアルミニウム板を、ケイ酸カリウムと水酸化カリウムを含む溶液で45℃で10秒間処理した。この溶液のSiO2濃度は1.2質量%、KOH濃度は2.0質量%、SiO2/K2Oのモル比は1.1である。該溶液で処理後直ちに水洗し乾燥してアルミニウム支持体を得た。
<感光性平版印刷版1の作製>
上記のアルミニウム支持体上に下記の感光層塗工液を乾燥厚みが2.3ミクロンになるよう塗布を行い、75℃の乾燥器内にて7分間乾燥を行った。
<感光層塗工液1>
重合体(P−1;重量平均分子量約9万) 10質量部
ウレタン化合物(U−1) 3質量部
重合性二重結合モノマー(C−5) 2質量部
光重合開始剤1(BC−6) 2質量部
光重合開始剤2(BS−1) 1質量部
増感色素(S−39) 0.4質量部
10%フタロシアニン分散液 0.5質量部
ジオキサン 70質量部
シクロヘキサン 20質量部
<感光性平版印刷版2の作製>
上記の感光層塗工液1のウレタン化合物をU−4に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版3の作製>
上記の感光層塗工液1のウレタン化合物をU−6に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版4の作製>
上記の感光層塗工液1のウレタン化合物をU−8に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版5の作製>
上記の感光層塗工液1のウレタン化合物をU−11に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版6の作製>
上記の感光層塗工液1の重合体をP−13(重量平均分子量約5万)に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版7の作製>
上記の感光層塗工液1の光重合開始剤2のBS−1をT−4に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版8の作製>
上記の感光層塗工液1の重合性二重結合モノマー(C−5)をペンタエリスリトールトリアクリレートに変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版9の作製>
上記の感光層塗工液1に、更に単官能重合性不飽和化合物としてメチル(メタ)アクリレートを1部加える以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版10の作製>
上記の感光層塗工液1からウレタン化合物を除く以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版11の作製>
上記の感光層塗工液1の重合体を、メタクリル酸ビニル/メタクリル酸共重合体(質量比40/60、重量平均分子量約5万)に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版12の作製>
上記の感光層塗工液1の重合体を、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(質量比80/20、重量平均分子量約6万)に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版13の作製>
上記の感光層塗工液1の重合体を、メタクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸メチル共重合体(質量比80/7/13、重量平均分子量約5万)に変更する以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
<感光性平版印刷版14の作製>
上記の感光層塗工液1から重合性二重結合モノマー(C−5)を除く以外は、感光性平版印刷版1と同様にして作製した。
上記のようにして作成した感光性平版印刷版の原版を35℃80%(RH)の条件下に10日間及び20日間放置してそれぞれのサンプルを作成した。同時に25℃の常温に放置したサンプルをフレッシュサンプルとして比較評価した。
<試験方法>
それぞれのサンプルについて、サーマル用出力機(大日本スクリーン製造社製イメージセッターPT−R4000(発振波長830nm、出力100mW))を使用して露光を行った後、プロセッサPD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、下記処方の現像液で30℃30秒処理を行い、続いて下記処方のガム液を塗布した。
<現像液>
N−エチルエタノールアミン 35g
リン酸(85%溶液) 10g
水酸化カリウム (pHを11.7に調整するための量)
アルキルナフタレンスルホン酸Na(35%溶液) 30g
ジエチレントリアミン5酢酸 1g
水で 1L
pHは11.7(25℃)
<ガム液>
リン酸1カリ 20g
アラビアガム 30g
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g
EDTA2Na 1g
水で 1L
上記のようにして作成した平版印刷版について印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
<耐刷力>
印刷機ハイデルベルグKORD(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ化学工業(株)製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液(アストロマークIII 日研化学(株)製)を用いて印刷を行い、インキ乗りの不良、或いは線飛びが生じるときのいずれかにより印刷が不可能になったときの印刷枚数で、以下の基準で評価した。
○:10万枚以上
△:5万〜9万枚
×:5万枚未満
<地汚れ>
印刷機ハイデルベルグKORD(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(東洋インキ(株)製のHYECOO紅(M))及び市販のPS版用給湿液(アストロマークIII 日研化学(株)製)を用いて2万枚まで印刷を行い、非画像部の地汚れを以下の基準で評価した。
○:全く汚れは発生していない。
△:1万枚で汚れが発生する。
×:2千枚で汚れが発生する。
<表1>
────────────────────────────────────────
フレッシュ 35℃80%10日 35℃80%20日 備考
印刷版 耐刷力 地汚れ 耐刷力 地汚れ 耐刷力 地汚れ
────────────────────────────────────────
1 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
2 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
3 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
4 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
5 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
6 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
7 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
8 ○ ○ ○ ○ ○ △ 本発明
9 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 本発明
10 ○ △ ○ × ○ × 比較例
11 × ○ × ○ × △ 比較例
12 × ○ × ○ × △ 比較例
13 × ○ × ○ × △ 比較例
14 × ○ × ○ × △ 比較例
────────────────────────────────────────
上記結果から分かる通り、本発明の感光性平版印刷版は、保存後(強制加温)であっても耐刷力と地汚れは劣化しないが、ウレタン化合物を含有しない比較例(印刷版10)は、保存後に地汚れが発生する。また、側鎖にビニルフェニル基を有しない重合体を用いた比較例(印刷版11〜13)及び重合性二重結合モノマーを含有しない比較例(印刷版14)は、架橋が十分ではなく高い耐刷力が得られない。
更に、本発明の感光性平版印刷版は、酸素遮断のためのオーバー層を設けなくとも、及び製版時に加熱処理を施さなくても、近赤外線レーザー光に対して露光部は十分に硬化し耐刷力が高いものとなる。

Claims (1)

  1. 側鎖にビニルフェニル基を有する重合体、ウレタン結合と重合性二重結合とを有する化合物、分子内にウレタン結合を有さずかつ2以上の重合性二重結合としてビニルフェニル基を有するモノマーもしくはオリゴマー、及び光重合開始剤を含有することを特徴とする感光性組成物。前記ビニルフェニル基におけるフェニル基はビニル基以外の置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、ビニル基は置換されていても良い。
JP2004218420A 2004-07-27 2004-07-27 感光性組成物 Expired - Fee Related JP4378238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004218420A JP4378238B2 (ja) 2004-07-27 2004-07-27 感光性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004218420A JP4378238B2 (ja) 2004-07-27 2004-07-27 感光性組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006039179A JP2006039179A (ja) 2006-02-09
JP2006039179A5 JP2006039179A5 (ja) 2006-12-07
JP4378238B2 true JP4378238B2 (ja) 2009-12-02

Family

ID=35904242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004218420A Expired - Fee Related JP4378238B2 (ja) 2004-07-27 2004-07-27 感光性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4378238B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102510805B1 (ko) * 2020-12-29 2023-03-17 애경케미칼주식회사 바이오매스 유래 1,5-펜타메틸렌디이소시아네이트-이소시아누레이트-아크릴레이트화합물을 포함하는 3d 광경화수지 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006039179A (ja) 2006-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004294935A (ja) 感光性組成物および感光性平版印刷版材料
JP4472463B2 (ja) 感光性平版印刷版
JP4526346B2 (ja) 感光性平版印刷版材料
JP4667219B2 (ja) ネガ型感光性平版印刷材料
JP4339201B2 (ja) 感光性組成物
JP4378238B2 (ja) 感光性組成物
JP2007264497A (ja) 感光性平版印刷版及びこれを用いた現像処理方法
JP4315871B2 (ja) 感光性平版印刷版の現像処理方法
JP4472543B2 (ja) ネガ型感光性平版印刷版
JP5010326B2 (ja) 感光性平版印刷版
JP5036586B2 (ja) 感光性平版印刷版
JP2008249874A (ja) 平版印刷版の現像処理液および現像処理方法
JP2007264494A (ja) ネガ型感光性平版印刷版
JP2008216749A (ja) ネガ型感光性平版印刷版
JP2008203349A (ja) 感光性平版印刷版
US20040191694A1 (en) Process for prepaing light-sensitive lithographic printing plate and method for processing the same
JP2006276520A (ja) 感光性組成物および感光性平版印刷版材料
JP4299199B2 (ja) ネガ型感光性平版印刷版
JP2007121589A (ja) ネガ型感光性平版印刷版
JP2009204874A (ja) 感光性組成物及びネガ型感光性平版印刷版
JP4496097B2 (ja) レーザー露光用ネガ型感光性平版印刷版
JP4679109B2 (ja) ネガ型感光性平版印刷版の製造方法
JP2006267188A (ja) ネガ型平版印刷版
JP2011180197A (ja) 感光性平版印刷版の製版方法
JP2003107685A (ja) 感光性平版印刷版材料

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061024

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090616

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090901

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090914

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees