JP2009204874A - 感光性組成物及びネガ型感光性平版印刷版 - Google Patents

感光性組成物及びネガ型感光性平版印刷版 Download PDF

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Takahiro Hagiwara
隆裕 萩原
Takashi Miyazaki
隆 宮崎
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Abstract

【課題】感光性組成物の状態であっても長期間の経時保存安定性に優れ、耐刷性を劣化させることなく、かつ網点再現性に優れた画像を形成する感光性組成物、及びこれを利用したネガ型平版印刷版を提供する。
【解決手段】光ラジカル発生剤、可視光から近赤外光の波長領域に吸収を有し、前記光ラジカル発生剤を増感させる増感剤、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する感光性組成物において、該感光性組成物が更に下記一般式1で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化1】
Figure 2009204874

【選択図】なし

Description

本発明は、光重合性の感光性組成物に関し、更にこれを利用したネガ型感光性平版印刷版に関する。詳しくは、コンピューター等のデジタル信号から直接製版できる、所謂ダイレクト製版用の感光性組成物及びこれを利用したネガ型感光性平版印刷版に関する。
近年、コンピューター上で作製したデジタルデータをもとに直接印刷版上に出力するコンピュータートゥープレート(CTP)技術が開発され、出力機として種々のレーザーを搭載した各種プレートセッターとこれらに適合する感光性平版印刷版の開発が盛んに行われている。特に、近年半導体レーザーの著しい進歩によって、近赤外レーザー光源を容易に利用することが可能になったことに伴い、該レーザー光に対応する感光性組成物及び感光性平版印刷版が特に注目されている。例えば可視光から近赤外光に感光性を有する光重合性組成物として、特開平9−134007号公報にはエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物と400〜500nmに吸収ピークを持つ光増感剤と光ラジカル発生剤とを含有する感光性組成物が開示され、特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開平5−5988号公報、特開平5−194619号公報、特開平5−197069号公報、特開2000−98603号公報等には、光ラジカル発生剤と増感剤との組み合わせが開示されている。また、特開2001−290271号公報(特許文献1)では、特定の重合体と、光ラジカル発生剤、増感剤が存在している感光系において、特定のモノマーを添加することにより、高感度の感光性組成物を作製する手法が開示されている。しかし、増感剤と光ラジカル発生剤とを組み合わせた光重合性の感光性組成物においては、高感度であるが故に、感光部の周辺の領域にまで反応が拡散しやすいため、印刷版に利用した際に高い網点再現性を達成することは困難であった。
網点再現性を向上する技術として、特開2001−324798号公報(特許文献2)では、アルカリ可溶層上に感光層が存在する二層構造で、架橋型のネガ型平版印刷版の高精細な画像を描画する技術が記載されている。しかし上述の方法では、二層塗布を行う必要があるため、製造プロセスが煩雑になる問題があった。また、特開2007−163840(特許文献3)号公報では、特定の複素環構造を有するメルカプト化合物を含有する感光性組成物で高い網点再現性を実現する技術が記載されている。しかし、これらの感光性組成物の経時保存安定性は低く、感光性組成物(塗布液)の状態で数日経過し塗布を行った印刷版は、感度特性が劣化し耐刷不良を引き起こすという問題があった。
感光性組成物の経時保存安定性を改善する方法として、光ラジカル発生剤と感光性組成物の経時安定性を低下させる特定成分が共存しない様に分割し、保管した後混合し感光性組成物とする技術が、特開平11−218905号公報(特許文献4)に記載されている。また、各種レーザー光に対応するために増感剤が利用される感光性組成物においては、感光性組成物を作製し保存経時した場合、感光性成分、特に増感剤が感光性組成物中で安定に存在することが困難になり、一定の耐刷性能を有する製品を作製することができなくなるという問題があった。この系での感光性組成物の経時性改善の技術は特開2006−267339号公報(特許文献5)に記載されており、トリハロアルキル置換化合物と増感剤が共存しないように分割することによって、混合前の液の経時保存安定性は飛躍的に向上し、経時してからこれらを混合して感光性組成物を作製することによって一定の感度が得られることが可能となった。しかし、これらの感光性組成物を分割し保存する手法は、塗布直前で液の混合作業が必要であり、塗布現場での作業効率性が悪くなってしまうという欠点があるため完成した感光性組成物の状態での保存性の優れたものが求められていた。
特開2001−290271号公報 特開2001−324798号公報 特開2007−163840号公報 特開平11−218905号公報 特開2006−267339号公報
従って、本発明の目的は、感光性組成物の状態であっても長期間の経時保存安定性に優れ、耐刷性を劣化させることなく、かつ網点再現性に優れた画像を形成する感光性組成物、及びこれを利用したネガ型平版印刷版を提供することである。
本発明の前記課題は、以下の手法によって解決される。
(1)光ラジカル発生剤、可視光から近赤外光の波長領域に吸収を有し、前記光ラジカル発生剤を増感させる増感剤、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する感光性組成物において、該感光性組成物が更に下記一般式1で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
Figure 2009204874
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、更にこれらの基は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アミノ基、シアノ基、アミド基で置換されていても良く、更にこれらの置換基はアルキル基で置換されても良い。また、結合可能なそれぞれの置換基が結合することで環構造を形成しても良い。R1とR2で環状構造を形成しても良い。また、R3とR4で、もしくはR4とR5で、もしくはR5とR6で環状構造を形成しても良くこれらの環状構造は同時に形成されても良い。
(2)前記増感剤が、750nm以上の近赤外光に吸収を有する増感色素であることを特徴とする(1)に記載の感光性組成物。
(3)支持体上に、(1)もしくは(2)に記載の感光性組成物を塗布、乾燥してなる感光層を有することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版。
上記手段により、感光性組成物の状態であっても長期間の経時保存安定性に優れ、耐刷性を劣化させることなく、かつ網点再現性に優れた画像を形成する感光性組成物を提供することができ、また優れた網点再現性と耐刷性を有するネガ型平版印刷版を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感光性組成物は、下記一般式1に示される化合物(以下本発明の化合物とも称す)を含有する。
Figure 2009204874
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、更にこれらの基は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アミノ基、シアノ基、アミド基で置換されていても良く、更にこれらの置換基はアルキル基で置換されても良い。また、結合可能なそれぞれの置換基が結合することで環構造を形成しても良い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が挙げられ、アリールオキシ基としてはフェノキシ基、ナフトキシ基が挙げられ、アシル基としては、ホルミル基、カルボキシル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、メチルチオカルボニル基、アミノチオカルボニル基が挙げられる。R1とR2で環状構造を形成しても良い。また、R3とR4で、もしくはR4とR5で、もしくはR5とR6で環状構造を形成しても良くこれらの環状構造は同時に形成されても良い。このような環状構造として、炭素環構造、もしくは複素環構造が挙げられ、これらの環状構造は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、チオカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、シアノ基等の置換基によって置換されても良く、また、更に縮合して環状構造を形成しても良い。炭素環構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられ、複素環構造としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロリジン環、ピロリン環、ピラジン環、2H−ピラン環、4H−ピラン環などが挙げられる。好ましい例としては、R1、R2のうち少なくとも一方がハロゲン原子であることが好ましく、共にハロゲン原子であることが特に好ましい。
本発明の化合物の具体例を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
本発明における、上記一般式1の化合物の含有量は、後述するエチレン性二重結合を有する化合物に対して0.003〜7質量%の範囲で含有するのが好ましく、0.005〜5質量%の範囲で含有するのが更に好ましく、0.01〜2質量%の範囲が特に好ましい。
一般式1で表される本発明の化合物のうち、NQ3、NQ27、NQ30、NQ32等は、特開平5−216230号公報及び特開平8−190197号公報において光重合開始剤として記載されており、光ラジカル発生剤として作用することが知られている。しかし、これらの光ラジカル発生剤としての作用機構は、紫外光による直接光励起することでラジカルの生成が起こるものであり、増感剤によって可視光から近赤外光の波長領域の光に反応する本発明とはその作用機構を異にする。
本発明の感光性組成物は光ラジカル発生剤を含有する。光ラジカル発生剤としては、後述する可視光から近赤外光の波長領域に吸収を有する増感剤によって増感されうる公知の化合物を用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの光ラジカル発生剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物は後述する増感剤からのエネルギー移動効率に優れるため、高感度化を達成することができる。また、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて使用することで発生したラジカル種が安定するため、更に感度を向上することができるために好ましい。しかしながらその反面、高感度であるが故に、網点再現性が低下するという問題が顕著に表れ、特にトリハロアルキル置換化合物は感光性組成物中において増感剤と共存した場合に感光性組成物の経時保存安定性が低下するという問題がより顕著に表れる。しかし、本発明の化合物と組み合わせることにより、高感度を維持したまま網点再現性が改善される。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式2で表される。
Figure 2009204874
式中、R7、R8、R9及びR10は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらのうちで、R7、R8、R9及びR10のうちの一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン及びオニウム化合物が挙げられるが、好ましくはオニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
光ラジカル発生剤であるトリハロアルキル置換化合物は、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
上述したような光ラジカル発生剤の含有量は、後述するエチレン性二重結合を有する化合物に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更には1〜40質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の感光性組成物は、可視光から近赤外光の各種光源に対応できるように、可視光から近赤外光の波長領域に吸収を有し、前述の光ラジカル発生剤を増感する増感剤をあわせて含有する。かかる増感剤としては、各種増感色素が好ましく用いられる。このような増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、米国特許第5,227,227号明細書に記載の化合物も用いることができる。
本発明の感光性組成物は、近赤外レーザーに対応するように、750nm以上の近赤外光に吸収を有する増感色素を含有することが好ましい。感光性組成物を近赤外〜赤外光(750〜1100nmの波長領域)のレーザー光を用いた走査露光に対応させることによって、明室下(紫外線をカットした蛍光灯の下)での取り扱いが可能となる。しかしその反面、750nm以上の近赤外光に吸収を有する増感色素は、前述の光ラジカル発生剤と組み合わせて用いることで、感光性組成物の状態での経時保存安定性が低下し、更に長波長のレーザー光により露光されることで、網点再現性がより低下しやすくなる。しかし、本発明の化合物と組み合わせることにより感光性組成物の状態での経時保存安定性が向上し、更に優れた網点再現性が得られる。
感光性組成物をこのような近赤外光に増感するために用いられる増感色素の具体例を以下に示す。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
可視光レーザーとしてはArレーザーの488nm、514.5nmのレーザー光、半導体レーザーの第2高調波光(SHG−LD、350〜600nm)、SHG−YAGレーザーの532nmのレーザー光などが代表的な光源として挙げられる。これらのレーザー光源に対応した色素として、キサンテン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、ベンゾピラン系色素といったものが挙げられる。
上記可視域に吸収を有する色素の代表例であるキサンテン系色素としては、ローダミンB、ローダミン6G、エチルエオシン、アルコール可溶性エオシン、ピロニンY、ピロニンB等を挙げることができる。
メロシアニン系色素の具体例を下に示す。
Figure 2009204874
ケトクマリン系色素の具体例を下に示す。
Figure 2009204874
ベンゾピラン系色素の具体例を下に示す。
Figure 2009204874
また、近年、400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザーを搭載した出力機が普及している。この出力機は、最大露光エネルギー量が数十μJ/cm2程度で、用いられる感光材料も高感度が要求される。青色半導体レーザーに対応するための増感剤としてはピリリウム系化合物またはチオピリリウム系化合物が好ましい。
本発明において、増感剤の含有量は、後述するエチレン性二重結合を有する化合物に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更には1〜40質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の感光性組成物は、エチレン性二重結合を有する化合物を少なくとも含有する。エチレン性二重結合としては、ビニル基、アリル基、ビニル基が置換したフェニル基が挙げられる。エチレン性二重結合を有する化合物としては、エチレン性二重結合を有する重合体、単量体があるが、側鎖にエチレン性二重結合を有する重合体が好ましく、側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体が特に好ましい。ビニル基が置換したフェニル基を有する重合体を用いることによって、より高感度で、より高耐刷力のレリーフ画像が、加熱処理なしに得られるが、高感度であるため、網点再現性は低下するという問題もあわせて有する。しかし、本発明の化合物と組み合わせることにより、高感度を維持したまま、網点再現性が改善される。
ビニル基及びアリル基を有するモノマーとして、ビニル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらを用いた単独重合体もしくは共重合体が前記重合体としてあげられる。
側鎖にビニルが置換したフェニル基を有する重合体は、下記一般式3で表される基を側鎖に有する重合体である。
Figure 2009204874
式中、Z1は連結基を表し、R11、R12、及びR13は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R14は水素原子と置換可能な基または原子を表す。nは0または1を表し、m1は0〜4の整数を表し、k1は1〜4の整数を表す。
上記一般式3で表される基について、更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R15)−、−C(O)−O−、−C(R16)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記に表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR15及びR16は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。
Figure 2009204874
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。上記一般式3で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
上記一般式3で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R11及びR12が水素原子でR13が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、連結基Z1としては複素環を含むものが好ましく、k1は1または2であるものが好ましい。
エチレン性二重結合を有する重合体としては、アルカリ性水溶液に可溶性を有することが好ましく、そのためにカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む重合体であることが特に好ましい。この場合、共重合体組成に於けるエチレン性二重結合を有するモノマーの割合として、トータル組成100質量%中に於いてエチレン性二重結合を有するモノマーの割合は1〜95質量%であることが好ましく、5〜95質量%の範囲がより好ましく、更に10〜90質量%の範囲が好ましい。また、共重合体中に於けるカルボキシル基含有モノマーの割合は同じく5〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%の範囲がより好ましい。これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
本発明に好ましく用いられる重合体は、上記した側鎖にエチレン性二重結合を有するモノマー及びカルボキシル基を有するモノマー以外にも共重合体中に他のモノマー成分を導入して多元共重合体として合成、使用することも好ましく行うことができる。こうした場合に共重合体中に組み込むことができるモノマーとして、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、メタリルスルホン酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、更にはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用することができる。これらのモノマーの共重合体中に占める割合としては、先に述べた共重合体組成中に於けるエチレン性二重結合を有するモノマー及びカルボキシル基含有モノマーの好ましい割合が保たれている限りに於いて任意の割合で導入することができる。
本発明に用いられる重合体の分子量としては、重量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、更に1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。
本発明に係わる側鎖にビニルが置換したフェニル基を有する重合体の例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
エチレン性二重結合を有する単量体としては、エチレン性二重結合を1以上有する単量体であり、エチレン性二重結合を2以上有する単量体であることが好ましい。かかる単量体の分子量は1000未満であることが好ましく、より好ましくは500以下である。該単量体としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が置換したフェニル基等のエチレン性二重結合を1以上有する化合物が挙げられる。
エチレン性二重結合としてアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
エチレン性二重結合としてビニル基が置換したフェニル基を有する単量体は、代表的には下記一般式4で表される。
Figure 2009204874
式中、Z2は連結基を表し、R17、R18及びR19は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R20は置換可能な基または原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は1以上の整数を表す。
上記一般式4について更に詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R21)−、−C(O)−O−、−C(R22)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR21及びR22は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していても良い。
上記一般式4で表される単量体の中でも好ましい単量体が存在する。即ち、R17及びR18は水素原子でR19は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k2は2〜10の化合物が好ましい。以下に具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2009204874
Figure 2009204874
Figure 2009204874
本発明の感光性組成物は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加することも好ましく行われる。例えば、保存性を向上させる目的で種々の重合禁止剤を添加することが好ましく行われる。この場合の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物が好ましく使用され、特にハイドロキノンが好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、該重合体100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用することが好ましい。他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光性組成物のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子或いは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
本発明の感光性組成物は、支持体上に塗布、乾燥することで、支持体上に感光層を有するネガ型感光性平版印刷版として好適に使用することができる。
かかる支持体として、ポリエチレンテレフタレートに代表されるプラスチックフィルム、アルミニウム支持体等が挙げられるが、アルミニウム支持体が特に好ましく用いられる。本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、0.1〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
アルミニウム支持体は、通常、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。
ブラシグレイン法の場合、研磨剤として使用される粒子の平均粒径、最大粒径、使用するブラシの毛径、密度、押し込み圧力等の条件を適宜選択することによって、アルミニウム支持体表面の長い波長成分の凹部の平均深さを制御することができる。ブラシグレイン法により得られる凹部は、平均波長が3〜15μmであるのが好ましく、平均深さが0.3〜1μmであるのが好ましい。
電気化学的粗面化方法としては、塩酸電解液中または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法が好ましい。好ましい電流密度は、陽極時電気量50〜400C/dm2である。更に具体的には、例えば、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解液中で、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100〜400A/dm2の条件で直流または交流を用いて行われる。電解粗面化処理によれば、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、感光層とアルミニウム支持体との密着性を向上させるうえでも好適である。
機械的粗面化処理の後の電気化学的粗面化処理により、平均直径約0.3〜1.5μm、平均深さ0.05〜0.4μmのクレーター状またはハニカム状のピットをアルミニウム支持体の表面に80〜100%の面積率で生成させることができる。なお、機械的粗面化方法を行わずに、電気化学的粗面化方法のみを行う場合には、ピットの平均深さを0.3μm未満とするのが好ましい。設けられたピットは、印刷版の非画像部の汚れにくさ及び耐刷性を向上する作用を有する。電解粗面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間との積が、重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピットを形成できることは、省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の表面粗さは、JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算術平均粗さ(Ra)が、0.2〜0.8μmであるのが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、化学エッチング処理をされるのが好ましい。化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理が挙げられる。
好適に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。アルカリエッチング処理の条件は、Alの溶解量が0.05〜1.0g/m2となるような条件で行うのが好ましい。また、他の条件も、特に限定されないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましく、また、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリエッチング処理は、1種の方法に限らず、複数の工程を組み合わせることができる。なお、本発明においては、機械的粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は、0.05〜30g/m2とするのが好ましい。
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。特に、電解粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法が挙げられる。
また、化学エッチング処理を酸性溶液で行う場合において、酸性溶液に用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。酸性溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。また、酸性溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。
以上のように処理されたアルミニウム支持体には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム支持体に直流または交流を流すとアルミニウム支持体の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温−5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法が特に好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2であるのが好ましく、1.5〜7g/m2であるのがより好ましく、2〜5g/m2であるのが特に好ましい。粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は、0.05〜30g/m2とするのが好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム支持体としては、上記のような表面処理をされ、陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、感光層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性等の一層の改良のため、必要に応じて、陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理等を適宜選択して行うことができる。
上記親水化処理のための好適な親水性化合物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を有する化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属ケイ酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物等を挙げることができる。
本発明のネガ型感光性平版印刷版が有する感光層の厚みは、支持体上に0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、更に1μmから5μmの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。
前記のアルミニウム支持体上に感光層を塗設されて得られたネガ型感光性平版印刷版は、各種レーザーで走査露光が行われ、露光された部分が架橋することでアルカリ性現像液に対する溶解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液により未露光部を溶出することで露光画像のパターン形成が行われる。
現像液のpHを調整するためのアルカリ性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムのような水酸化テトラアルキルアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンのようなアルカノールアミンが挙げられるが、これらのうち、特にアルカノールアミン類が好ましい。アルカノールアミンの含有量は、現像液1リットル当たり5〜100gの範囲が好ましく、特に10〜60gの範囲が好ましい。
現像液には更にアニオン性の界面活性剤を含有するのが好ましく、これによって一段と溶出性が改良される。かかるアニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられるが、これらの中でもアルキルナフタレンスルホン酸塩が好ましい。アニオン性界面活性剤の含有量は、現像液1リットル当たり1〜50gの範囲が好ましく、特に3〜30gの範囲が好ましい。
現像液には、更にリン酸、リン酸塩等の緩衝剤、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレンテトラミン五酢酸等のキレート剤、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類を添加することができる。こうしたアルカリ性現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアガム、デキストリン類等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
<アルミニウム支持体>
砂目立て及び陽極酸化処理が施された厚み0.24mmのアルミニウム支持体に、90℃の熱水で30秒間の封孔処理を施し、アルミニウム支持体を得た。
<感光性組成物及びネガ型感光性平版印刷版>
下記の処方に従い感光性組成物を作製した。比較例4に関しては下記処方のうちBS−1及びBC−6の添加を行わなかった。
<感光性組成物処方>
重合体(P−1;重量平均分子量約9万) 10質量部
有機ホウ素塩(BC−6) 2質量部
トリハロアルキル置換化合物(BS−1) 1質量部
増感剤(S−39) 0.4質量部
本発明及び比較の添加化合物 下記表1に記載
10質量%フタロシアニン分散液 0.5質量部
ジオキサン 70質量部
メタノール 20質量部
Figure 2009204874
上記表中、添加化合物D−1は特開2007−163840号公報記載の下記化合物である。
Figure 2009204874
上記感光性組成物作製直後に、前記アルミニウム支持体上に感光性組成物をそれぞれ乾燥厚みが2.3μmになるよう塗布を行い、75℃の乾燥器内にて10分間乾燥を行いネガ型感光性平版印刷版を得た。また、感光性組成物の状態で30℃で一週間保存した後にもそれぞれ同様に塗布を行いネガ型感光性平版印刷版を得た。
得られた上記ネガ型感光性平版印刷版についてそれぞれ、830nm半導体レーザーを搭載したプレートセッター、CREO社製Trendsetter800IIQuantumを使用して、ドラム回転速度360rpm、解像度2400dpi、レーザー照射エネルギー100mJ/cm2の条件でベタ画像、50%網点画像の露光を行った。その後プロセッサPD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、下記の現像液で28℃15秒間の処理を行った。
<現像液>
N−エチルエタノールアミン 37g
リン酸(85質量%溶液) 10g
水酸化テトラメチルアンモニウム(25質量%溶液) 60g
アルキルナフタレンスルホン酸Na(35質量%溶液) 30g
ジエチレントリアミン5酢酸 1g
水で1Lとした。
pHは11.3(25℃)に調整
<網点再現性>
上記のうち、感光性組成物作製直後に塗布し作製したネガ型感光性平版印刷版の50%網点部の網点面積率をX−RiteDot(X−Rite社製)にての測定した。この結果を表2に示す。
上記のようにして作製したネガ型感光性平版印刷版それぞれについて、下記処方のガム液を塗布し、下記印刷条件で印刷試験を行い耐刷性を評価した。その結果を表2に示す。
<ガム液>
リン酸1カリ 20g
アラビアガム 30g
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g
EDTA2Na 1g
水で1Lとした。
<耐刷性>
印刷前にベタ部分の画像の反射濃度をDM−620(大日本スクリーン製造(株)製)で測定した。次に印刷機ハイデルベルグKORD(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、BestOne墨Nインキ(T&KTOKA(株)製)及び市販のPS版用給湿液(アストロマークIII、日研化学(株)製)を用いて10万枚印刷を行い、印刷終了版をプレートプリザーバー(光陽化学工業(株)製)にてインキを洗浄した後、再び画像の反射濃度を評価した。
○:印刷後のベタ部の反射濃度が印刷前の反射濃度の80%以上
×:印刷後のベタ部の反射濃度が印刷前の反射濃度の80%未満
Figure 2009204874
上記結果から、本発明の化合物を含有しない比較例1に対して、本発明の感光性組成物は画質と経時保存安定性に優れ、また本発明のネガ型感光性平版印刷版は網点再現性及び耐刷性に優れる結果を得た。一般式1におけるR1、R2が共にハロゲン原子でない本発明5では比較例に対して網点再現性が優れており、R1、R2のうち片方がハロゲン原子である本発明3、本発明4では更に網点再現性に優れる結果となった。R1、R2が共にハロゲン原子である本発明1、本発明2では網点再現性が特に優れる結果となった。ベンゾキノンを含有する比較例2では、網点再現性の向上が見られなかった。特開2007−163840号公報記載の複素環構造を有するメルカプト化合物を含有する比較例3では、網点再現性の改善は見られたが十分ではなく、感光性組成物を保存した後塗布を行ったサンプルで、極めて低い耐刷性しか得ることができなかった。また、比較例4ではNQ3が添加されているが、光ラジカル発生剤としては機能せず、画像を形成しなかった。

Claims (3)

  1. 光ラジカル発生剤、可視光から近赤外光の波長領域に吸収を有し、前記光ラジカル発生剤を増感させる増感剤、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する感光性組成物において、該感光性組成物が更に下記一般式1で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2009204874
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、更にこれらの基は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アミノ基、シアノ基、アミド基で置換されていても良く、更にこれらの置換基はアルキル基で置換されても良い。また、結合可能なそれぞれの置換基が結合することで環構造を形成しても良い。R1とR2で環状構造を形成しても良い。また、R3とR4で、もしくはR4とR5で、もしくはR5とR6で環状構造を形成しても良くこれらの環状構造は同時に形成されても良い。)
  2. 前記増感剤が、750nm以上の近赤外光に吸収を有する増感色素であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 支持体上に、請求項1もしくは請求項2に記載の感光性組成物を塗布、乾燥してなる感光層を有することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版。
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