JP2011180197A - 感光性平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム支持体上に光重合性感光層を有する平版印刷版の製版方法において、環境上または安全上の理由から低pHの現像液を用いて製版した際にも十分な現像性を有し、且つ優れた耐刷性と耐汚れ性が得られる平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有する単量体、及びカルボキシル基を少なくとも含有する光重合性感光層を有する平版印刷版を露光した後、実質的に水溶性高分子化合物を含まないpH5〜9の現像液で現像処理し、その後水洗処理を介さずに、水溶性高分子化合物及び燐酸化合物を少なくとも含有する版面保護剤で処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【選択図】なし

Description

本発明はアルミニウム支持体上に光重合性感光層を有する平版印刷版の製版方法に関する。詳しくは、低pHの現像液を用いた平版印刷版の製版方法に関する。
近年、画像形成技術の発展に伴い、非接触型の投影露光や可視光レーザーなどに適合した画像形成材料が要望されている。更に、半導体レーザーの著しい進歩によって700〜1300nmの近赤外レーザー光源を容易に利用できるようになったことに伴い、該レーザー光に対応する画像形成材料が注目されている。
印刷の分野においても、該レーザー光に対応する画像形成材料を利用し、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な光重合性感光層を有する平版印刷版の開発が盛んに行われている。一般的な光重合性感光層を有する平版印刷版は、親水性表面を有する支持体に塗布された感光性塗膜を有する。この塗膜は、露光された塗膜部分は硬化し、露光されなかった塗膜部分は現像処理で溶出される。このような版をネガ型印刷版という。平版印刷は印刷版表面に形成されたパターンと背景部のそれぞれの親油性、親水性の表面物性を利用し、平版印刷においてインクと湿し水を同時に印刷機上で版面に供給する際に、インクが親油性表面を有するパターン上に選択的に転移することを利用するものである。パターン上に転移したインクはその後ブランケットと呼ばれる中間体に転写され、これから更に印刷用紙に転写することで印刷が行われる。
このような重合性の平版印刷版は、従来から多くの研究がなされており、また実用化されている。例えば、例えば特開平9−134007号公報にはエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物と光増感色素と重合開始剤を含有する平版印刷版が開示されており、特開平5−5988号公報、特開平5−194619号公報、特開2000−98603号公報等には有機ホウ素アニオンと色素との組み合わせが開示されており、特開平4−31863号公報、特開平6−43633号公報等には色素とs−トリアジン系化合物との組み合わせが開示されており、特開平7−20629号公報、特開平7−271029号公報等にはレゾール樹脂、ノボラック樹脂、赤外線吸収剤及び光酸発生剤の組み合わせが開示されており、特開平11−212252号公報、特開平11−231535号公報等には特定の重合体と光酸発生剤と近赤外増感色素の組み合わせが開示されており、特公昭49−34041号公報、特公平6−105353号公報には側鎖にカルボキシル基及び重合性不飽和結合を有する重合体、架橋剤、及び光重合開始剤の組み合わせが開示され、特開2001−290271号公報等には側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体を用いた平版印刷版が開示されている。また特開2005−274695号公報や2007−25220号公報にはバイオレットレーザー光源に対応した光重合性の感光層を有する平版印刷版が開示されている。
上記した平版印刷版の現像には、pH10以上の現像液を用いることが一般的である。しかし、現像液は、環境上また安全上、pHが10未満であることが望ましい。特開平11−174674号公報(特許文献1)には、マレイミド基及びアルカリ水溶液で解離しうる酸基を側鎖に有する光架橋性ポリマーと特定のアルカリ性化合物とを含有する水溶性の感光性組成物が開示されている。また、特開2008−250199号公報(特許文献2)にはポリオキシアルキレン基を有する三級アミンタイプのノニオン界面活性剤を含有する低pHの現像液で現像する方法が開示されており、特開2006−65321号公報(特許文献3)には、ノニオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤及び高分子化合物を含有するpH2〜10の現像液で現像する方法が開示されており、特開2009−69761号公報(特許文献4)には、低pHのガム液(版面保護剤)を現像液として利用する方法が開示されている。
しかし、上記した特許文献1〜4に記載されているような現像液組成物を用いて、現像処理工程、水洗処理工程、版面保護処理工程の3工程からなる一般的な現像処理で製版した場合、十分な耐刷性を得ることが困難であった。特許文献4に記載されるように、現像液中に高分子化合物を含有した場合、非画像部の溶出性に悪影響を及ぼす等の問題があった。また、特許文献3には、更に高分子化合物を含まないノニオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤を含有するpH2〜10の現像液で現像した後、高分子化合物を含む版面処理剤でする方法が開示されているが、特許文献3に記載される平版印刷版はアルカリ可溶な酸基を有さない疎水性ポリマーを用いた平版印刷版であり、非画像部の溶出性が乏しく、十分満足できるものではなかった。
特開平11−174674号公報 特開2008−250199号公報 特開2006−65321号公報 特開2009−69761号公報
本発明の目的は、環境上または安全上の理由から低pHの現像液を用いて製版した際にも十分な現像性を有し、且つ優れた耐刷性と耐汚れ性が得られる平版印刷版の製版方法を提供することにある。
上記課題は下記の手段によって解決された。
アルミニウム支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有する単量体、及びカルボキシル基を少なくとも含有する光重合性感光層を有する平版印刷版を露光した後、実質的に水溶性高分子化合物を含まないpH5〜9の現像液で現像処理し、その後水洗処理を介さずに、水溶性高分子化合物及び燐酸化合物を少なくとも含有する版面保護剤で処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
本発明によれば低pHの現像液を用いて製版した際にも十分な現像性を有し、且つ優れた耐刷性と耐汚れ性が得られる平版印刷版の製版方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の製版方法に用いる平版印刷版は、アルミニウム支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有する単量体、及びカルボキシル基を有する重合体を少なくとも含有する光重合性感光層を有する。
エチレン性二重結合を有する単量体のエチレン性二重結合基は、重合開始剤の作用により、光重合反応あるいは光架橋反応に寄与しうる不飽和二重結合基を表す。エチレン性二重結合を有する単量体としては、特に分子内にエチレン性二重結合を2つ以上有する多官能重合性単量体を使用することが好ましい。このようなエチレン性二重結合を有する単量体の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート系単量体、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えた多官能メタクリレート系単量体、同様にイタコン酸エステル系単量体、クロトン酸エステル系単量体、マレイン酸エステル系単量体等が挙げられる。
また本発明においてエチレン性二重結合を有する単量体として、ビニル基が置換したフェニル基を2つ以上有する単量体を用いることが好ましい。これにより高感度でかつ優れた耐刷性が得られる。
側鎖にビニルが置換したフェニル基を2つ以上有する単量体は、下記一般式で表される基を側鎖に有する単量体である。
Figure 2011180197
式中、Zは連結基を表し、R、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。Rは置換可能な基または原子を表す。mは0〜4の整数を表し、kは2以上の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R)−、−C(O)−O−、−C(R)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していてもよい。
上記一般式で表される単量体の中でも好ましい単量体が存在する。即ち、R及びRは水素原子でRは水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、kは2〜10の化合物が好ましい。以下に具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2011180197
Figure 2011180197
Figure 2011180197
上記したようなエチレン性二重結合を有する単量体の含有量は、カルボキシル基を有する重合体に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更に5〜50質量%の範囲が好ましい。
次にカルボキシル基を有する重合体について説明する。カルボキシル基を有する重合体としては、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報等に記載されている各種カルボキシル基含有ポリマー、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、カルボキシル基を有する重合体は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、部分エステル化マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む共重合体であることが特に好ましい。こうした共重合体を形成するための共重合モノマーとして、例えば、スチレン、4−メチルスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの種々のアルキル(メタ)アクリレート、あるいは4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、あるいは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、あるいはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、更にはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン等、各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用することができる。
この場合、共重合体組成におけるカルボキシル基含有モノマーの割合として、全組成100質量%中においてカルボキシル基含有モノマーは20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。20質量%未満の割合では現像性が低下する場合があり、60質量%を超えて含まれる場合には、十分な耐刷力が得られない場合がある。
上記の種々の共重合体モノマーの中でも特に好ましい例が挙げられる。本発明に使用できるカルボキシル基を有する重合体がある程度疎水性である構造を有している場合において、該重合体を含んでなる感光性平版印刷版材料のインキ乗り性が向上することが好ましい効果として挙げられる。即ち、該重合体に疎水性構造を与えるための共重合体モノマーの例として、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、c−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの種々の(メタ)アクリル酸エステルが極めて好ましく使用することができる。更に好ましい重合体の例として、側鎖にエチレン性二重結合基を有するモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体を挙げることができる。この場合、画像部(露光部)において効率的に光重合による架橋構造の形成が生じるため、耐刷性に極めて優れた印刷版を与えることから極めて好ましく使用することができる。これらの側鎖に導入したエチレン性二重結合基を有するモノマーのポリマー中に占める割合としては、カルボキシル基含有モノマーの全体に対する質量比が20質量%以上である範囲であれば任意の割合で導入することができる。
本発明において極めて好ましく使用することのできる、側鎖にエチレン性二重結合基を有するモノマーとカルボキシル基を有するモノマーの共重合体の例を下記に示す。図中の数値は共重合組成比(質量比)を表す。
Figure 2011180197
側鎖にエチレン性二重結合基とカルボキシル基を有する重合体の最も好ましい例として、例えば特開2001−290271号公報に記載される、カルボキシル基と、ビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体が挙げられる。該重合体が側鎖に有するビニル基が置換したフェニル基とは、具体的には下記一般式で表される基である。
Figure 2011180197
式中、Zは連結基を表し、R、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。R10は水素原子と置換可能な基または原子を表す。nは0または1を表し、mは0〜4の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。
上記一般式で表される基について、更に詳細に説明する。Zの連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R11)−、−C(O)−O−、−C(R12)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記に表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR11及びR12は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 2011180197
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していてもよい。上記一般式で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2011180197
Figure 2011180197
Figure 2011180197
Figure 2011180197
上記一般式で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R及びRが水素原子でRが水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、連結基Zとしては複素環を含むものが好ましく、kは1または2であるものが好ましい。
カルボキシル基と、ビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体の具体例を下記に示す。図中の数値は共重合組成比(質量比)を表す。
Figure 2011180197
Figure 2011180197
Figure 2011180197
Figure 2011180197
Figure 2011180197
本発明に用いられるカルボキシル基を有する重合体の分子量としては、質量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、更に1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。
本発明に用いる平版印刷版が有する光重合性感光層は、前記した側鎖にエチレン性二重結合を有する単量体、及びカルボキシル基を有する重合体の他に、光ラジカル発生剤、前記光ラジカル発生剤を増感させる増感剤を含有することが好ましい。光ラジカル発生剤としては公知の化合物を用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールビイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの光ラジカル発生剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式で表される。
Figure 2011180197
式中、R13、R14、R15及びR16は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R13、R14、R15及びR16の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン及びオニウム化合物が挙げられるが、好ましくは、オニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 2011180197
Figure 2011180197
他の好ましい光ラジカル発生剤として、トリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2011180197
Figure 2011180197
上述したような光ラジカル発生剤の含有量は、前述したカルボキシル基を有する重合体に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更には1〜40質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の光重合性感光層は、可視光から近赤外光の各種光源に対応できるように、可視光から近赤外光の波長領域に吸収を有し、前述の光ラジカル発生剤を増感する増感剤を併せて含有することが好ましい。増感剤としては、各種増感色素が好ましく用いられる。このような増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第0,568,993号、米国特許第4,508,811号、同5,227,227号公報に記載の化合物も用いることができる。
本発明の平版印刷版は、近赤外レーザーに対応するように、750nm以上の近赤外光に吸収を有する増感色素を含有するのが好ましい。光重合性感光層を近赤外〜赤外光(750〜1100nmの波長領域)の波長領域に対応させることによって、明室下(紫外線をカットした蛍光灯の下)での取り扱いが可能となる。光重合性感光層をこのような近赤外光に増感するために用いられる増感色素の具体例を以下に示す。
Figure 2011180197
Figure 2011180197
また、近年、400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザーを搭載した出力機が普及している。この出力機は、最大露光エネルギー量が数十μJ/cm程度で、用いられる感光材料も高感度が要求される。青色半導体レーザーに対応するための増感剤としてはピリリウム系化合物またはチオピリリウム系化合物が好ましい。
本発明において、増感剤の含有量は、平版印刷版の光重合性感光層1m当たり3〜300mg程度が適当である。好ましくは10〜200mg/mである。
本発明の光重合性感光層は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加することも好ましく行われる。例えば、保存性を向上させる目的で種々の重合禁止剤を添加することが好ましく行われる。この場合の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物やキノン類化合物等が好ましく使用され、特にハイドロキノンが好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、カルボキシル基を有する重合体100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用することが好ましい。他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光性組成物のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
本発明に好適に用いられる平版印刷版は上述した光重合性感光層をアルミニウム支持体上に塗設されて製造される。光重合性感光層の厚みは、0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、更に1μmから5μmの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。光重合性感光層は、塗布方式としては、例えばロールコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、ホッパーコーティング、ブレードコーティング、ワイヤドクターコーティング等の公知の種々の塗布方式を用いてアルミニウム支持体上に塗布され、その後乾燥される。
本発明の平版印刷版に用いられるアルミニウム支持体は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、珪素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。アルミニウム板の厚みは、0.1〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
アルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられ、各種圧延方法により製造されたアルミニウム板が使用できる。また、近年普及しつつあるスクラップ材及びリサイクル材などの再生アルミニウム地金を圧延した再生アルミニウム板も使用できる。
アルミニウム支持体の製造において、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノールアミン等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの珪砂粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの珪砂粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/mが好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号、英国特許第896,563号、特開昭53−67507号に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることができるが、50〜150A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、100〜2000C/dmの範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることができるが、20〜100A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、100〜2000C/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸等を加えることができる。
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることができるが、30〜150A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、好ましくは100〜2000C/dm、更には200〜1000c/dmの範囲から選ぶのがより好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸等を加えることができる。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑(スマット)等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬し、デスマット処理することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/mが好ましい。また、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、また、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/または燐酸等を10〜50質量%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dmで電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種または二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dmが適当であり、好ましくは10〜40mg/dmである。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85質量%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
さらに、本発明においては、上記陽極酸化処理後、アルミニウム支持体に親水化処理を施してよい。親水化処理液としては、アルカリ金属珪酸塩を含有する水溶液や金属フッ化物と燐酸塩を含む水溶液、ポリビニルホスホン酸を含有する水溶液等がある。また、親水化処理の方法としては、処理液中にアルミニウム板を浸漬させる方法、該処理液をシャワーでアルミニウム板に供給する方法、あるいは該処理液をグラビアロール、エクストリュージョンバー等でアルミニウム板に塗布する方法等がある。処理液でアルミニウム板を処理した後、水洗するのが好ましい。親水化処理を施してから水洗するまでの時間は、3〜60秒程度が好ましく、処理温度としては20〜90℃がより好ましい。
また、表面処理を施されたアルミニウム支持体上に、前記の光重合性組成物からなる感光層を形成することで、本発明の感光性平版印刷版を作製するが、光重合性感光層を塗設する前に必要に応じて有機または無機の下塗り層が設けられてもかまわない。
本発明の平版印刷版の製版方法は、アルミニウム支持体上に上記光重合性感光層を設けた平版印刷版を、各種レーザーを搭載した出力機に代表される露光装置にて露光を行った後、実質的に水溶性高分子化合物を含まないpH5〜9の現像液で処理した後、水洗処理を介さずに、水溶性高分子化合物及び燐酸化合物を含有する版面保護剤で処理することを特徴とする。画像部を形成するレーザーが照射された部分は架橋することで、現像液に対する溶解性が低下する。また、非画像部を形成する部分はレーザーが照射されていないので架橋されず、現像液に対する溶解性は変化しない。この画像部と非画像部の溶解性の差を利用して画像を形成する。
一般的な平版印刷版の製版は、現像処理工程、水洗処理工程、版面保護処理工程の3工程からなる。本発明においては、実質的に水溶性高分子化合物を含まないpH5〜9の現像液を用いた現像の後、水洗処理を介さずに、水溶性高分子化合物及び燐酸化合物を含有する版面保護剤で処理することにより、画像部の硬化と非画像部の親水性化が起こり、印刷性能が向上する。現像処理後に水洗処理を施してしまうと、画像部内部への版面保護成分の浸透が不十分となり、印刷した場合に十分な耐刷性が得られない。また、本発明の現像液は実質的に水溶性高分子化合物を含まないことを特徴とするが、現像液中に水溶性高分子化合物を含有させた場合、非画像部の溶出性が低下してしまう。
本発明の現像液のpHは5〜9の範囲であり、より好ましくはpH6〜8の範囲である。この範囲よりpHが低いと十分な現像性が得られない。また、この範囲よりpHが高いと画像部が損傷し、十分な耐刷性が得られない。pHをこの範囲に調整するために種々アルカリ剤、無機酸、有機酸とそれらの塩のいずれか、もしくはこれらを組み合わせて用いることができる。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム等のアルカリ剤が挙げられる。無機酸としては、例えば、硝酸、硫酸、燐酸、メタ燐酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、クエン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。塩としては、これら無機酸、あるいは有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リチウム塩等が挙げられる。また、これらの酸やその塩を1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記アルカリ剤、無機酸、有機酸やそれらの塩に加えて、現像液のpHの微妙な調整、光重合性感光層の溶解性補助の目的で、前述の無機アルカリ剤と更に有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらの有機アルカリ剤は、単独もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の現像液には、版面保護剤で用いられるような水溶性高分子化合物を含有させると、非画像部の溶出性が低下し、また良好な耐刷性も得られない。しかし、これらの水溶性高分子化合物は、現像処理中に溶出性や耐刷性を低下させない程度であれば使用してもよい。このような水溶性高分子化合物の添加量としては、水溶性高分子化合物の種類、現像液の組成、処理温度、処理時間等の処理条件にもよるが現像液の1質量%未満であり、このような極少量であれば現像液中に含有させることができる。かかる水溶性高分子化合物としては、後述の版面保護剤が含有する水溶性高分子化合物が挙げられる。
また、本発明の現像液には必要に応じて、界面活性剤、防腐剤、キレート剤、消泡剤、湿潤剤を含有させることができる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤としては脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類及びα−オレフィンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等が用いられる。両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン類、アルキルイミダゾリン類、アルキルアミノカルボン酸類等が用いられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ヒマシ油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリプロピレングリコールの分子量200〜5000のもの、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはソルビトールのポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンの付加物、アセチレングリコール系等が挙げられる。また、フッ素系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。これら界面活性剤は二種以上併用することができる。その中でもノニオン界面活性剤が好ましく、特に特開2008−250199号公報に記載されているようなポリオキシアルキレン基を有する三級アミンタイプのノニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤の含有量は、現像液1L当たり1〜300gの範囲が好ましく、特に30〜200gの範囲が好ましい。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−2−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく用いられる。また、これら防腐剤は種々のカビ、細菌等に応じて、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロトリ酢酸のようなアミノポリカルボン酸及びそのカリウム塩、ナトリウム塩や、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のような有機ホスホン酸及びそのアルカリ金属塩が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコン系及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。それぞれ、乳化分散型、可溶化型のものを用いることができる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単独で用いてもよいが、二種以上を併用してもよい。
また、現像液には、現像性の微調整を目的として種々有機溶剤を含有することもできる。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、ガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等)等が挙げられる。
現像液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当であり、本発明の現像液の組成にもよるが、通常、濃縮液:水=1:0〜1:10程度に濃縮することができる。
本発明の版面保護剤が含有する水溶性高分子化合物としては、かんしょ澱粉、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の澱粉類、カラギーナン、ラミナラン、海ソウマンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、アラビアガム、トロロアオイ、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、キャロブガム、ベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、レバン等のホモ多糖ならびにサクシノグルカン及びキサンタンガム等のヘテロ多糖等の微生物粘質物、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、にかわ、ゼラチン、カゼイン及びコラーゲン等の蛋白質等の天然高分子化合物や、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等の共重合体及びその塩等の合成高分子化合物が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物は単独使用でも2種類以上の併用でもよく、これらの中でも澱粉または変性澱粉誘導体が好ましい。
変性澱粉誘導体としては、ブリティッシュガム等の焙焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化澱粉に示される酸化澱粉、変性アルファー化澱粉及び無変性アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、酵素変性澱粉、燐酸変性澱粉、脂肪澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、カルボキシアルキル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、スルフォアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、ジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、燐酸架橋澱粉、ジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリロアミド共重合体、澱粉ポリアクリル酸共重合体、澱粉ポリ酢酸ビニル共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉ポリスチレンマレイン酸共重合体、澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体、澱粉ポリプロピレン共重合体等の澱粉グラフト重合体が挙げられ、中でも、燐酸変性澱粉が好ましい。これらの水溶性高分子化合物は二種以上組み合わせても使用でき、版面処理剤中に好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%の範囲で含有させることができる。
また、本発明の版面保護剤は燐酸化合物を含有する。燐酸化合物としては、燐酸、第一燐酸アルカリ金属塩、第二燐酸アルカリ金属塩、第三燐酸アルカリ金属塩、第一燐酸アンモニウム、第二燐酸アンモニウム、第三燐酸アンモニウム、メタ燐酸及びその塩類、メタ燐酸及びその塩類、トリ燐酸及びその塩類、ヘキサメタ燐酸及びその塩類、ポリリン酸及びその塩類、亜燐酸及びそのアルカリ金属塩等が挙げられる。本発明の版面保護剤に含有する燐酸化合物の添加量としては1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%の範囲である。1質量%未満ではアルミニウム支持体表面の親水化が不十分で、50質量%超では版面処理後の版面上で燐酸化合物が析出してしまう場合がある。また、燐酸変性澱粉を用いる場合には、これが高分子化合物と燐酸化合物の両方を兼ねる。
本発明の版面保護剤のpHは3〜6の範囲が好ましい。pH3未満では平版印刷版に用いられる支持体やプロセッサーの部品を腐食させる恐れがあり、pH6を超えると版面保護処理における画像の硬化作用が乏しくなり、耐刷性が不十分となる場合がある。本発明の版面保護剤においては、pHを3〜6にするために、無機酸、有機酸または無機塩等のpH調整剤を添加し調節して用いることが好ましい。pHの調整剤としてはクエン酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸、酒石酸、乳酸、レブリン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、α−アラニン、β−アラニン等のアミノ酸等の有機酸、または硝酸、硫酸、燐酸、第一燐酸ナトリウム、第二燐酸ナトリウム、第一燐酸アンモニウム、メタ燐酸、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム等の無機酸及びその塩類が挙げられ、このうち特に好ましくはクエン酸、リンゴ酸、燐酸、メタ燐酸及びその塩類である。これらpH調整剤は単独もしくは二種以上を併用してもよい。
本発明の版面保護剤には、上記水溶性高分子化合物、pH調整剤の他に、界面活性剤、湿潤剤、キレート剤、消泡剤、防腐剤、感脂化剤等を含むことが好ましい。版面保護剤に含有させる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤は、前述した現像液が含有する界面活性剤と同義である。該界面活性剤は二種以上併用することができる。使用量は特に限定する必要はないが、好ましい範囲としては版面保護剤の全質量に基づいて0.01〜20質量%が適当であり、好ましくは0.03〜10質量%である。
版面保護剤に添加できる湿潤剤は、前述した現像液が含有する湿潤剤と同義である。該湿潤剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて使用することができ、版面保護剤中に0.1〜50質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲で添加することができる。
版面保護剤に添加できるキレート剤は、前述した現像液が含有するキレート剤と同義である。該キレート剤は版面保護剤中に0.001〜1質量%の範囲で添加することができる。
版面保護剤に添加することのできる消泡剤は、前述した現像液が含有する消泡剤と同義である。該消泡剤は版面保護剤中に0.001〜1質量%の範囲で添加することができる。
版面保護剤に添加することが可能な防腐剤は、前述した現像液が含有する防腐剤と同義である。該防腐剤は、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、版面保護剤中に0.005〜5質量%の範囲で添加することができる。
また、感脂化剤としてはカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、イソ吉草酸等の飽和脂肪酸が挙げられ、また、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、プロピオール酸、ステアロール酸、ブテンシジン酸等の不飽和脂肪酸も挙げられる。また、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸ジエステル類、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール等のアルコール類が挙げられる。上記感脂化剤は版面保護剤中へ0.01〜10質量%の範囲で添加することができる。
版面保護剤は、現像液同様、使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが製造、運搬、保管などにおいて有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当であり、含有物にもよるが、通常、濃縮液:水=1:0〜1:10程度に濃縮することができる。また、容器としては安全上輸送中に破損することのない材料を用いることが好ましく、通常ハードボトル、キュービテナー等の樹脂製容器が好ましく用いられる。
一般的なPS版用のプロセッサーは、現像処理工程、水洗処理工程、版面保護処理工程、乾燥工程の4工程が連続的に行えるように設計されている。このようなプロセッサーにおいて本発明を実施する場合、現像処理後、水洗処理を介さずに版面保護処理を行うには、水洗槽で水洗水の供給ポンプを停止させ、平版印刷版表面への水洗水の供給を行わない方法、水洗水の代わりに版面保護剤を用いて水洗槽内で版面保護処理する方法がある。後者の場合、水洗処理槽の後の版面保護処理槽では、版面処理液を供給しなくてもよいが、多量の製版の場合に、現像槽からの現像液の持ち込みにより、水洗槽内の版面保護剤が希釈されるので、水洗槽だけでなく版面保護処理槽にも版面保護処理剤を用いる方が好ましい。
上記プロセッサーにおいて、現像槽内で感光層を溶解除去する方法としては、現像液に浸漬させた平版印刷版の感光層を有する側の面をブラシロールやモルトンロール等を用いてかき取る方法、現像槽に仕込んだ現像液をポンプで汲み上げてスプレーまたはシャワーノズルから平版印刷版の感光層面に吹き付けて、スプレーまたはシャワーの吹き付け圧力を利用して除去する方法等が挙げられる。上記現像槽内で感光層をモルトンロールを用いてかき取るタイプのプロセッサーとしては、例えば三菱製紙(株)製P−1310T等が市販されている。
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
(平版印刷版Aの作製)
[アルミニウム支持体の作製]
幅1030mm、厚み0.24mmの合金組成がA1050タイプのアルミニウム板を13m/minの処理速度で移動させ、60℃、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸漬した後、水洗し、30℃の1.5質量%の塩酸と2質量%の酢酸を満たした間接給電方式の電解槽に浸漬し、電源より40A/dmで、50Hzの単相交流電流を30秒間流して、交流電解粗面化し、水洗し、その後50℃、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液に20秒間浸漬してデスマットし、水洗し、更に15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm、電圧15Vの条件下に60秒間陽極酸化処理を施した後、水洗、乾燥した。
[カルボキシル基を有する重合体の作製]
P−1(前記に例示);特開2001−290271号公報に記載の方法に従い、クロロメチルスチレンとビスムチオールを等モル反応させて得たモノマーとメタクリル酸をトリエチルアミンで中和してエタノール中で重合を行い、重合終了後クロロメチルスチレンを反応させることにより、カルボキシル基を有し、且つ側鎖にエチレン性二重結合を有する重合性ポリマーを合成した。質量平均分子量は約9万であった。
[平版印刷版の作製]
カルボキシル基を有する重合体(P−1)の溶液を用いた下記処方の感光層塗布液を作製し、ワイヤドクターコーターで、上記アルミニウム支持体上に、乾燥膜厚が2μmになるよう塗布し、100℃の温風で2分間乾燥させ平版印刷版を得た。
<感光層塗布液処方>
カルボキシル基を有するポリマー(P−1)の10質量%ジオキサン溶液
100質量部
光重合開始剤(BC−6) 2質量部
(T−4) 1質量部
エチレン性不飽和化合物(C−12) 5質量部
増感色素(S−3) 0.3質量部
重合禁止剤2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール 0.1質量部
平均粒径185nmのカーボンブラック 25質量%メチルエチルケトン溶液
0.1質量部
シクロヘキサノン(溶媒) 20質量部
全量を1,3−ジオキソランにて200質量部に調整。
[平版印刷版の製版]
このようにして得られた平版印刷版について、830nm半導体レーザーを搭載した外面ドラム方式プレートセッター、大日本スクリーン製造(株)製PT−R4000を使用して、ドラム回転速度1000rpm、解像度2400dpi、レーザー照射エネルギー100mJ/cmの条件で50%平網露光を行った。露光後に自動現像機として、現像槽内で感光層をモルトンロールを用いてかき取るタイプのプロセッサーである三菱製紙(株)製自動現像機P−1310Tを使用し、現像処理、水洗処理、版面保護処理を行い、平版印刷版Aを得た。現像液及び版面保護剤は、それぞれ下記組成のものを使用し、水洗処理は、水道水を用いた。現像液温は30℃、現像液への浸漬時間は20秒である。
<現像液処方>
燐酸変性澱粉 100g
EDTA 2ナトリウム塩 1g
ポリオキシアルキレンアルキルアミン(日本油脂(株)製ナイミーンL−703)
100g
シリコン系消泡剤(信越シリコーン(株)製KM−90) 0.1g
イソチアゾロン系防腐剤(ケイ・アイ化成(株)製バイオエース) 0.1g
水で1Lとし、pHを85質量%燐酸で7.5に調整。
<版面保護剤処方>
燐酸変性澱粉 100g
第一燐酸アンモニウム 6g
EDTA 2ナトリウム塩 1g
シリコン系消泡剤(信越シリコーン(株)製KM−90) 0.1g
イソチアゾロン系防腐剤(ケイ・アイ化成(株)製バイオエース) 0.1g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 1g
水で1Lとし、pHを85質量%燐酸で3.5に調整。
[溶出性の評価]
溶出性の評価は、非画像部が問題なく溶出しているものを○、非画像部に塗布物がわずかに残っているものを△、非画像部がほとんど溶出していないものを×として、目視にて評価した。
[平版印刷版の印刷評価]
耐刷性と耐汚れ性の印刷性評価は、得られた平版印刷版を、印刷機ハイデルベルグKORD(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(DIC(株)製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い耐刷性及び耐汚れ性を評価した。尚、溶出性の評価が×のものについては、非画像部がほとんど溶出しなかったので印刷試験を実施しなかった。
耐刷性については画像部のインキ乗りの不良、あるいは画像部の消失のいずれかにより印刷が不可能になったときの印刷枚数で評価し、10万枚以上を○、10万枚未満を×とした。耐汚れ性については、各実施例の耐刷性評価終了時の印刷物の非画像部の汚れの状態を目視にて評価し、汚れが認められないものを○、わずかに汚れが認められるものを△、はっきりと汚れが認められるものを×とした。結果を表1に示す。尚、表中(−)と記載したものは、非画像部がほとんど溶出しなかったので印刷試験を実施しなかったことを意味する。
(平版印刷版Bの作製)
[比較の重合性ポリマーの作製]
R−1(下記化24);特開2001−290271号公報に記載の方法に従い、クロロメチルスチレンとビスムチオールを等モル反応させて得たモノマーをトリエチルアミンで中和してエタノール中で重合を行い、重合終了後クロロメチルスチレンを反応させることにより、カルボキシル基を有せず、且つ側鎖にエチレン性二重結合を有する重合性ポリマーを合成した。質量平均分子量は約9万であった。
Figure 2011180197
平版印刷版Aの作製で用いた感光層塗布液が含有するカルボキシル基を有する重合体(P−1)の代わりに比較の重合性ポリマー(R−1)を用いること以外同様にして、比較の平版印刷版Bを得た。得られた平版印刷版Bを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
(平版印刷版Cの作製)
平版印刷版Aの作製において、現像液の処方から燐酸変性澱粉を除いた現像液を用いること以外同様にして、平版印刷版Cを得た。得られた平版印刷版Cを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
(平版印刷版Dの作製)
平版印刷版Aの作製において、現像液の処方から燐酸変性澱粉を除いた現像液を用い、更に水洗処理で用いた水道水の代わりに平版印刷版Aの作製で用いた版面保護剤を用いること以外は平版印刷版Aと同様にして、平版印刷版Dを作製した。得られた平版印刷版Dを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
(平版印刷版Eの作製)
平版印刷版Dの作製において、版面保護処理で用いた版面保護剤の処方から燐酸変性澱粉を除いた版面保護剤を用いること以外は平版印刷版Dと同様にして、平版印刷版Eを作製した。得られた平版印刷版Eを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
(平版印刷版Fの作製)
平版印刷版Dの作製において、版面保護処理で用いた版面保護剤の処方から第一燐酸アンモニウム及び85質量%燐酸(pH調整)を除いた版面保護剤を用いること以外は平版印刷版Dと同様にして、平版印刷版Fを作製した。尚、版面保護剤のpHは、硫酸を用いて3.5に調整した。得られた平版印刷版Fを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
(平版印刷版Gの作製)
平版印刷版Fの作製において、版面保護処理で用いた版面保護剤の処方から燐酸変性澱粉を除いた版面保護剤を用いること以外は平版印刷版Fと同様にして、平版印刷版Gを作製した。得られた平版印刷版Gを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
Figure 2011180197
〈実施例2〉
実施例1の平版印刷版Dの製版方法において、現像液のpHを表2記載のように変更すること以外同様にして、平版印刷版H〜Nを作製した。得られた平版印刷版H〜Nを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表2に示す。
Figure 2011180197
〈実施例3〉
実施例1の平版印刷版Dの製版方法において、現像液に表3に示す高分子化合物を、現像液1L当たり100g添加すること以外同様にして、平版印刷版O〜Sを作製した。得られた平版印刷版O〜Sを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表3に示す。
Figure 2011180197
〈実施例4〉
実施例1の平版印刷版Dの製版方法において、水洗処理及び版面保護処理で用いた版面保護剤の燐酸変性澱粉の代わりに、表4に示す高分子化合物を、1L当たり100g添加すること以外同様にして、平版印刷版T〜Xを作製した。得られた平版印刷版T〜Xを平版印刷版Aと同様にして現像性及び印刷性の評価を実施した。この結果を表4に示す。
Figure 2011180197
以上の結果から明らかなように、本発明により、低pHの現像液を用いて製版した際にも十分な現像性を有し、且つ優れた耐刷性と耐汚れ性が得られる平版印刷版が得られる。

Claims (1)

  1. アルミニウム支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有する単量体、及びカルボキシル基を少なくとも含有する光重合性感光層を有する平版印刷版を露光した後、実質的に水溶性高分子化合物を含まないpH5〜9の現像液で現像処理し、その後水洗処理を介さずに、水溶性高分子化合物及び燐酸化合物を少なくとも含有する版面保護剤で処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
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