JP5826006B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、等に関する。
従来、プリント配線板は一般的にはフォトリソグラフィー法によって製造されている。フォトリソグラフィー法とは、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、パターン露光して該感光性樹脂組成物の露光部を重合硬化(ネガ型の場合)又は現像液に対して可溶化(ポジ型の場合)させるとともに未露光部(ネガ型の場合)又は露光部(ポジ型の場合)を現像液で除去して基板上にレジストパターンを形成し、エッチング又はめっき処理を施して導体パターンを形成した後、該レジストパターンを該基板上から剥離除去することによって、基板上に導体パターンを形成する方法をいう。
フォトリソグラフィー法においては、通常、感光性樹脂組成物を基板上に塗布するときに、感光性樹脂組成物の溶液を基板に塗布して乾燥させる方法、又は支持体、感光性樹脂組成物から成る層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)、及び必要により保護層、を順次積層した感光性樹脂積層体(以下、「ドライフィルムレジスト」ともいう。)を基板に積層する方法のいずれかが使用される。そして、プリント配線板の製造においては、後者のドライフィルムレジストが使用されることが多い。
ここで、近年のプリント配線板における配線間隔の微細化に伴い、ドライフィルムレジストには種々の特性が要求されつつある。特許文献1には、ロイコクリスタルバイオレットを感光性樹脂組成物中に含む感光性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ロイコクリスタルバイオレットを含む顔料又は染料を、バインダー成分とモノマー成分と共に配合する感光性樹脂組成物が開示されている。
特開平5−333542号公報 特開平10―111567号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載された感光性樹脂組成物はいずれも、レジストが基板から完全に剥離するまでの時間(以下、「剥離時間」ともいう。)を十分に短くするという観点で、なお改良の余地を有するものであった。
したがって、本発明は、剥離特性に優れ、色相安定性、及び露光コントラストにも優れる感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下の技術的手段により、上記課題を解決することができることを見出した。
[1] (a)アルカリ可溶性高分子、(b)付加重合性モノマー、(c)光重合開始剤、及び(d)ロイコクリスタルバイオレットを含む感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物は、該(c)光重合開始剤としてアクリジン化合物を含み、そして該感光性樹脂組成物中の該(d)ロイコクリスタルバイオレットの含有量は、該感光性樹脂組成物の固形分総量に対して0.6質量%〜1.6質量%である、前記感光性樹脂組成物。
[2] 前記(b)付加重合性モノマーの重量平均分子量が、700〜1,200である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] 前記アクリジン化合物は、9−フェニルアクリジンである、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] ベーシックグリーン1をさらに含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[5] 前記(b)付加重合性モノマーとして、(b)付加重合性モノマーとして、下記一般式(I):
Figure 0005826006
{式中:
及びRは、各々独立にH又はCHであり;
Aは、Cであり、Bは、Cであり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列はランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合には、−(A−O)−及び−(B−O)−のいずれがビスフェノールA基側でもよく;
r及びsは、各々独立に1〜29の整数であり、かつr+sは2〜40の整数であり;そして
x及びyは、各々独立に0〜29の整数であり、かつx+yは0〜30の整数である。}
で表される化合物を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物より成る感光性樹脂層を支持体に積層して成ることを特徴とする感光性樹脂積層体。
[7] [6]に記載の感光性樹脂積層体を基材にラミネートし、露光し、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
[8] [6]に記載の感光性樹脂積層体を基材にラミネートし、露光し、現像し、エッチングする工程を含むことを特徴とする回路基板の形成方法。
本発明によれば、剥離特性に優れ、色相安定性、及び露光コントラストにも優れる感光性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について具体的に説明する。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態では、感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性高分子、(b)付加重合性モノマー、(c)光重合開始剤、及び染料を含み、さらに感光性樹脂組成物は、(c)光重合開始剤としてアクリジン化合物を含み、かつ染料として感光性樹脂組成物の固形分総量に対して0.6質量%〜1.6質量%の(d)ロイコクリスタルバイオレットを含む。
(a)アルカリ可溶性高分子
(a)アルカリ可溶性高分子は、典型的には、カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、重量平均分子量が5,000〜500,000の熱可塑性共重合体である。
熱可塑性共重合体の重量平均分子量は、5,000〜500,000であることが好ましい。熱可塑性共重合体の重量平均分子量は、ドライフィルムレジストの厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5,000以上が好ましく、一方で、現像性を維持するという観点から500,000以下が好ましい。より好ましくは、熱可塑性共重合体の重量平均分子量は、20,000〜100,000である。
熱可塑性共重合体は、後述する第一の単量体の1種以上と後述する第二の単量体の1種以上とから成る共重合成分を共重合させて得られることが好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を含有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルなどが挙げられる。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを示す。以下同様である。
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体などが挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の(a)アルカリ可溶性高分子の含有量(但し、感光性樹脂組成物の固形分総量に対してである。以下、特別に規定される場合以外は、各含有成分において同じ。)は、好ましくは、20質量%〜80質量%の範囲であり、より好ましくは、25質量%〜70質量%の範囲であり、さらに好ましくは、40質量%〜60質量%の範囲である。この含有量は、アルカリ現像性を維持するという観点から20質量%以上であることが好ましく、一方で、露光によって形成されるレジストパターンがレジストとしての性能を十分に発揮するという観点から80質量%以下であることが好ましい。
(b)付加重合性モノマー
(b)付加重合性モノマーは、例えば、エチレン性不飽和基を有することによって付加重合性を有するモノマーである。
本実施形態では、(b)付加重合性モノマーの重量平均分子量が、700〜1,200であることが好ましい。なお、複数の(b)付加重合性モノマーが感光性樹脂組成物中に含まれている場合には、(b)付加重合性モノマーの重量平均分子量とは、[(b)付加重合性モノマーの各々の重量平均分子量×対応するモノマーの全モノマーに対する配合率]の合計値をいう。(b)付加重合性モノマーの重量平均分子量を700〜1,200の範囲に調整することは、テンティング性、解像性、及び露光コントラストを向上させる観点から好ましい。(b)付加重合性モノマーの重量平均分子量は、900〜1,200であることがより好ましい。
本実施形態では、h線感度、高解像性及び/又は耐エッジフューズ性の観点から、感光性樹脂組成物は、(b)付加重合性モノマーとして、下記一般式(I):
Figure 0005826006
{式中:
及びRは、各々独立にH又はCHであり;
Aは、Cであり、Bは、Cであり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列はランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合には、−(A−O)−及び−(B−O)−のいずれがビスフェノールA基側でもよく;
r及びsは、各々独立に1〜29の整数であり、かつr+sは2〜40の整数であり;そして
x及びyは、各々独立に0〜29の整数であり、かつx+yは0〜30の整数である。}
で表される少なくとも1種の光重合可能な不飽和化合物を含むことが好ましい。
上記一般式(I)において、r及びsは、硬化膜の柔軟性及びテンティング性の観点からそれぞれ1以上であることが好ましく、一方で、解像度の観点からそれぞれ29以下であることが好ましい。また、r+sは、硬化膜の柔軟性及びテンティング性の観点から2以上であることが好ましく、一方で、解像度の観点から40以下であることが好ましい。さらに、x及びyは、解像度の観点からそれぞれ29以下であることが好ましく、x+yは、解像度の観点から30以下であることが好ましい。r、s、x及びyのより好ましい範囲としては、r及びsがそれぞれ2以上18以下であり、x及びyがそれぞれ18以下である。
上記一般式(I)で表される化合物において、r+s+x+yは、硬化膜の柔軟性及びテンティング性の観点から2以上であることが好ましく、解像度の観点から40以下であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される光重合可能な不飽和化合物の具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(例えば新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−200)、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(例えば新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6モルのエチレンオキサイドと平均2モルのプロピレンオキサイドとを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート、ビスフェノールAの両側にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均15モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートが挙げられる。テント性の観点からビスフェノールAの両側にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均15モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートが好ましい。
上記一般式(I)で表される光重合可能な不飽和化合物の感光性樹脂組成物中の含有量は、感度の観点から、3質量%以上が好ましく、一方で、耐エッジフューズ性の観点から70質量%以下が好ましい。この含有量は、より好ましくは3質量%〜35質量%であり、さらに好ましくは3質量%〜30質量%である。
(b)付加重合性モノマーとして使用できる、上記一般式(I)で表される化合物以外の例としては、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する既知の化合物が挙げられる。
(b)付加重合性モノマーのより具体的な例として、例えば、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(例えば日本触媒化学製、商品名OE−A 200)、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ペンタエリスリトールに平均4モルのエチレンオキサイドを付加したグリコールのテトラアクリレート、トリメチロールプロパンに平均3モルのエチレンオキサイドを付加したトリアクリレート(新中村化学製A−TMPT−3EO、製品名)、ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物等のウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、及びイソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物中の(b)付加重合性モノマーの含有量は、5質量%〜60質量%の範囲であることが好ましい。この含有量は、硬化不良、及び現像時間の遅延を抑えるという観点から5質量%以上であることが好ましく、一方で、コールドフロー及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から60質量%以下であることが好ましい。また、この含有量は、15質量%〜60質量%の範囲であることがより好ましく、30〜50質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(c)光重合開始剤
(c)光重合開始剤は、光によりモノマーを重合させる化合物である。本実施形態では、良好な剥離特性を示すという観点から、感光性樹脂組成物は、(c)光重合開始剤としてアクリジン化合物を含むことが好ましい。また、本実施形態では、感光性樹脂組成物は、(c)光重合開始剤としてアクリジン化合物以外の化合物を含んでもよい。
アクリジン化合物としては、下記一般式(II):
Figure 0005826006
{式中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルキレン基、フェニル基又はベンジル基であり、そしてmは、1又は2の整数である。}
で表される化合物が挙げられる。
本実施形態では、剥離特性及び/又はh線感度を向上させるという観点から、アクリジン化合物は、下記一般式(III):
Figure 0005826006
{式中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。}
で表される化合物であることが好ましい。本実施形態では、剥離特性及び/又はh線感度をさらに向上させるという観点から、一般式(III)において、Rは、アクリジン骨格の9位に位置するアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。また、本実施形態では、感光性樹脂組成物は、一般式(II)又は(III)で表される化合物以外のアクリジン化合物を含んでもよい。
(c)光重合開始剤として使用されるアクリジン化合物の好ましい例としては、アクリジン、9−フェニルアクリジン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のアクリジン誘導体が挙げられる。特に、h線感度を向上させるという観点から、9−フェニルアクリジンが好ましい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中のアクリジン化合物の含有量は、0.1質量%〜2質量%の範囲であることが好ましい。この含有量を0.1質量%〜2質量%の範囲に調整することは、良好な剥離特性を得るという観点から好ましい。また、この含有量は、0.4質量%〜1.2質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜1.2質量%の範囲であることが更に好ましく、0.8質量%〜1.2質量%の範囲であることが特に好ましい。
アクリジン化合物と併用されるその他の光重合開始剤としては、例えば、N−アリールアミノ酸、有機ハロゲン化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体、光増感剤などが挙げられる。
N−アリールアミノ酸の例としては、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等が挙げられる。中でも、N−フェニルグリシンが特に好ましい。感光性樹脂組成物中のN−アリールアミノ酸の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
有機ハロゲン化合物の例としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、及びクロル化トリアジン化合物が挙げられ、中でも特にトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましく用いられる。感光性樹脂組成物中の有機ハロゲン化合物の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(以下、トリアリールイミダゾリル誘導体の二量体、又はトリアリールイミダゾリル二量体ともいう)の例としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体(以下、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビスイミダゾール、ともいう)、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体が挙げられる。特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体は、解像性及び硬化膜の強度に対して高い効果を有する光重合開始剤であり、好ましく用いられる。感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビスイミダゾール誘導体の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
光増感剤の例としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、並びに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。感光性樹脂組成物中の光増感剤の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
また、本実施形態では、感光性樹脂組成物は、光増感剤としてピラゾリン化合物を含有することも好ましい。ピラゾリン化合物としては、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。この含有量は、感度の観点から0.1質量%以上であることが好ましく、一方で、解像度の観点から20質量%以下であることが好ましい。この含有量は、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。(c)光重合開始剤は、上記で列挙したような化合物の1種類を単独で使用するか、又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(d)ロイコクリスタルバイオレット
一般に、ロイコクリスタルバイオレットは、下記式(IV):
Figure 0005826006
で表される化合物(CAS番号:603−48−5)又はその誘導体であり、そして感光性樹脂組成物に着色性(すなわち、発色性)を付与するために使用される。また、本実施形態では、感光性樹脂組成物中にロイコクリスタルバイオレット及びアクリジン化合物を含有させることにより、良好な剥離特性を得ることができるため好ましい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中のロイコクリスタルバイオレットの含有量は、0.6質量%〜1.6質量%であることが好ましい。この含有量を0.6質量%〜1.6質量%の範囲に調整することは、感光性樹脂組成物に良好な発色性を付与して認識し易くするとともに、剥離時間を短縮するという観点から好ましい。また、この含有量は、さらに剥離時間を短縮するという観点から、0.8質量%〜1.2質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(a)アルカリ可溶性高分子、(b)付加重合性モノマー、(c)光重合開始剤、及び(d)ロイコクリスタルバイオレットを必須成分とするが、必要に応じて、添加剤(例えば、ベース染料、可塑剤、酸化防止剤、及び安定化剤など)を含有してもよい。
ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]等が挙げられる。中でもベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、及びベーシックブルー7が好ましく、色相安定性および露光コントラストを向上させるという観点からベーシックグリーン1が特に好ましい。
感光性樹脂組成物中の染料の含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%の範囲であり、より好ましくは0.01質量%〜2質量%の範囲であり、さらに好ましくは、0.01質量%〜1.2質量%の範囲である。この含有量は、良好な着色性を得るという観点から、0.001質量%以上であることが好ましく、一方で、感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル等のグリコール・エステル類、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルフォン酸アミド、p−トルエンスルフォン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、及びアセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ビスフェノールAの両側にそれぞれプロピレンオキサイドを付加したプロピレングリコール、ビスフェノールAの両側にそれぞれエチレンオキサイドを付加したエチレングリコールなどが挙げられる。
感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、好ましくは0.1質量%〜50質量%であり、より好ましくは、1質量%〜20質量%である。この含有量は、現像時間の遅延を抑え、硬化膜に柔軟性を付与するという観点から0.1質量%以上であることが好ましく、一方で、硬化不足及びコールドフローを抑えるという観点から50質量%以下であることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルフォスファイト(例えば旭電化工業社製、商品名:TPP)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(例えば旭電化工業社製、商品名2112)、トリス(モノノニルフェニル)フォスファイト(例えば旭電化工業社製、商品名:1178)、及びビス(モノノニルフェニル)−ジノニルフェニルフォスファイト(例えば旭電化工業社製、商品名:329K)などが挙げられる。
感光性樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量は、好ましくは0.01質量%〜0.8質量%の範囲であり、より好ましくは、0.01質量%〜0.3質量%の範囲である。この含有量が0.01質量%以上である場合、感光性樹脂組成物の色相安定性に優れる効果が良好に発現し、感光性樹脂組成物の露光時における感度が良好になる。一方で、この含有量が0.8質量%以下である場合、発色性が抑えられるために色相安定性が良好になるとともに、密着性も良好になる。
安定化剤は、感光性樹脂組成物の熱安定性及び/又は保存安定性を向上させるという観点から、使用されることが好ましい。安定化剤としては、ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、及びグリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、及びビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
グリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト1500NP)、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト400E)、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 2モル付加物ジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト3002)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト1600)等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、及びグリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物の、感光性樹脂組成物中の合計含有量は、好ましくは0.01質量%〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。この合計含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.01質量%以上であることが好ましく、一方で、感度を良好に維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
<感光性樹脂組成物調合液>
本発明の感光性樹脂組成物は、これに溶媒を添加して形成した感光性樹脂組成物調合液として用いてもよい。好適な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
<感光性樹脂積層体>
本発明の別の態様は、支持体と、該支持体上に積層された、上述の本発明に係る感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層とを有する感光性樹脂積層体を提供する。本発明の感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層と該層を支持する支持体とに加え、必要により、感光性樹脂層の支持体形成側と反対側の表面に保護層を有していてもよい。
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが好ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。ヘーズは5以下のものが好ましい。フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。
また、感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について、支持体よりも保護層の方が充分小さく容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルム等が保護層として好ましく使用できる。また、例えば特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の膜厚は10〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、好ましくは、5〜100μm、より好ましくは、7〜60μmである。厚みが薄いほど解像度は向上し、また、厚いほど膜強度が向上するので、用途に応じて適宜選択することができる。
支持体、感光性樹脂層、及び必要により、保護層を順次積層して、本発明の感光性樹脂積層体を作製する方法としては、従来知られている方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂層を形成するために用いる感光性樹脂組成物を、前述の感光性樹脂組成物調合液にしておき、まず支持体上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に該感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層する。次いで、必要により、該感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
<レジストパターン形成方法>
本発明は、上述した本発明の感光性樹脂積層体を用いて基板の上に感光性樹脂層を形成するラミネート工程、該感光性樹脂層を露光する露光工程、及び該露光後の感光性樹脂層における未露光部を現像液で除去することによってレジストパターンを形成する現像工程を順に含む、レジストパターン形成方法も提供する。本実施形態の感光性樹脂積層体を用いてレジストパターンを形成する具体的な方法の一例を示す。
まず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する。具体的には、感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。基板の材質としては銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。この場合、感光性樹脂層は基板表面の片面だけにラミネートするか、又は必要に応じて両面にラミネートしてもよい。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また、該加熱圧着を2回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性が向上する。この時、圧着には二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、基板と感光性樹脂層との積層物を何回か繰り返してロールに通し圧着してもよい。
次に、露光工程において、露光機を用いて感光性樹脂組成物を活性光に露光する。露光は必要ならば支持体を剥離した後に行うことができる。フォトマスクを通しての露光の場合、露光量は、光源照度及び露光時間により決定され、光量計を用いて測定してもよい。
露光工程においては、マスクレス露光方法を用いてもよい。マスクレス露光においてはフォトマスクを使用せず基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては波長350nm〜410nmの半導体レーザー又は超高圧水銀灯等が用いられる。描画パターンはコンピューターによって制御され、この場合の露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
次に、現像工程において、露光後の感光性樹脂層における未露光部を、現像装置を用いて現像液により除去する。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合にはこれを除く。続いてアルカリ水溶液から成る現像液を用いて未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、NaCO、又はKCO等の水溶液が好ましい。これらは感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNaCO水溶液が一般的である。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。なお、現像工程における現像液の温度は、20℃〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
上述の工程によってレジストパターンが得られるが、場合によっては、さらに100℃〜300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なる耐薬品性向上が可能となる。加熱には、熱風、赤外線、又は遠赤外線等の方式の加熱炉を用いることができる。
<導体パターンの製造方法>
本発明は、上述した本発明の感光性樹脂積層体を用いて、金属板又は金属皮膜絶縁板である基板の上に感光性樹脂層を形成するラミネート工程、該感光性樹脂層を露光する露光工程、該露光後の感光性樹脂層における未露光部を現像液で除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、及び該レジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程を順に含む、導体パターンの製造方法も提供する。すなわち、本実施形態の導体パターンの製造方法は、基板として金属板又は金属皮膜絶縁板を用い、上述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の導体パターン形成工程を経ることにより実施される。導体パターン形成工程においては、上述したような方法でレジストパターンが形成された基板において、現像により露出した基板表面(例えば銅面)に公知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成する。
さらに、本発明は、例えば、以下のような用途において好適に適用される。
<プリント配線板の製造>
本発明により導体パターンを製造した後、レジストパターンを、現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離する剥離工程を更に行うことにより、所望の配線パターンを有するプリント配線板を得ることができる。プリント基板の製造においては、基板として好ましくは銅張積層板又はフレキシブル基板を用いる。剥離用のアルカリ水溶液(以下、「剥離液」ともいう。)について特に制限はないが、2質量%〜5質量%の濃度の、NaOH又はKOHの水溶液が一般的に用いられる。剥離液には少量の水溶性溶媒を加えることが可能である。剥離工程における該剥離液の温度は、40℃〜70℃の範囲であることが好ましい。
<リードフレームの製造>
基板として銅、銅合金、又は鉄系合金等の金属板を用いて、前述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に以下の工程を経ることにより、リードフレームを製造できる。まず、現像により露出した基板をエッチングして導体パターンを形成する工程を行う。その後、レジストパターンを上述のプリント配線板の製造方法と同様の方法で剥離する剥離工程を行って、所望のリードフレームを得る。
<凹凸パターンを有する基材の製造>
本発明のレジストパターン形成方法によって形成されるレジストパターンは、サンドブラスト工法により基板に加工を施す時の保護マスク部材として使用することができる。このときの基板としては、例えば、ガラス、シリコンウエハー、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、セラミック、サファイア、金属材料等が挙げられる。これら基板上に、前述のレジストパターン形成方法と同様の方法によって、レジストパターンを形成する。その後、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付けて、目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、基板上に残存したレジストパターン部分をアルカリ剥離液等で基板から除去する剥離工程を経て、基板上に微細な凹凸パターンを有する基材を製造できる。上記のサンドブラスト処理工程に用いるブラスト材としては公知のものを使用でき、例えば、SiC、SiO、Al、CaCO、ZrO、ガラス、ステンレス等の粒径2μm〜100μm程度の微粒子が用いられる。
<半導体パッケージの製造>
基板として大規模集積化回路(LSI)の形成が終了したウェハを用いて、これに前述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることによって、半導体パッケージを製造できる。まず、現像により露出した開口部に銅、はんだ等の柱状のめっきを施して、導体パターンを形成する工程を行う。その後、レジストパターンを上述のプリント配線板の製造方法と同様の方法で剥離する剥離工程を行って、更に、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去する工程を行うことにより、所望の半導体パッケージを得る。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、プリント配線板の製造、ICチップ搭載用リードフレーム製造、メタルマスク製造等の金属箔精密加工、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、又はチップ・サイズ・パッケージ(CSP)等のパッケージの製造、チップ・オン・フィルム(COF)又はテープオートメイテッドボンディング(TAB)等のテープ基板の製造、半導体バンプの製造、ITO電極又はアドレス電極、電磁波シールド等のフラットパネルディスプレイの隔壁の製造に利用されることができる。
以下に、参考例1、実施例2〜12、参考例13、参考例14及び比較例1〜6の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について示す。
1.評価用サンプルの作製
参考例1、実施例2〜12、参考例13、参考例14及び比較例1〜6における感光性樹脂積層体は次のようにして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す化合物を表2および3に示す組成割合(単位は質量部)で配合し、十分に攪拌、混合して調製した感光性樹脂組成物溶液を、支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分間乾燥させて感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは33μmであった。
なお、表2及び3に示す組成において、P−1及びP−2の質量部は、固形分量である。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として22μm厚のポリエチレンフィルムを貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
<色相安定性評価用感光性樹脂積層体サンプルの作製>
表1に示す化合物を表2および3に示す組成割合(単位は質量部)で配合し、十分に攪拌、混合して調製した感光性樹脂組成物溶液を、温度40℃で3日間保存した後、支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布した。これを95℃の乾燥機中で3分間乾燥させて感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは33μmであった。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として22μm厚のポリエチレンフィルムを貼り合わせて色相安定性評価のための感光性樹脂積層体サンプルを得た。
<基板整面>
剥離時間、h線感度、及び色相安定性を評価するための基板としては、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を用い、これをCPE−900表面処理液にて粗化処理した。
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板にホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
<露光>
直接描画式露光装置(日本オルボテック株式会社製、Paragon9000、主波長355nm)を用いて直接描画式露光方法により露光した。
また、h線感度を評価するための露光には、直接描画式露光装置(日立ビア株式会社製、DE−1DH、主波長405nm)を用いた。
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%NaCO水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
2.評価方法
2.1 重量平均分子量
本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン(例えば昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)の検量線を用いて測定した重量平均分子量を意味する。重量平均分子量は、例えば、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して、以下の条件で測定することができる。
示差屈折率計:RI−1530
ポンプ:PU−1580
デガッサー:DG−980−50
カラムオーブン:CO−1560
カラム:順にKF−8025、KF−806M×2、KF−807
溶離液:THF
2.2 剥離時間評価
上記<ラミネート>において説明した処理の後15分経過した基板を用い、直接描画式露光装置(日本オルボテック株式会社製、Paragon9000、主波長355nm)により5cm×6cmの長方形パターンを露光し、上記<現像>において説明した方法により現像した。ただし、露光量は、ストーファー21段ステップタブレットをマスクとして同露光機にて露光し、上記<現像>において説明した方法により現像したときの残膜限界段数が7段となる値とした。得られた基板上の硬化レジストを55℃、3質量%のNaOHに浸し、レジストが基板から完全に剥離するまでの時間を測定し、剥離時間とした。
2.3 色相安定性評価(600nmにおける透過率の差)
感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がし、紫外−可視(UV−vis)スペクトロメーター(島津製作所(株)製、UV−240)を用いて、波長600nmの光の透過率を測定した。
温度40℃で3日間保存した後の感光性樹脂組成物溶液を用いて作製した感光性樹脂積層体の色相安定性評価用サンプルの透過率と、保存前の感光性樹脂組成物溶液を用いて作製した感光性樹脂積層体の透過率とを比較した。
2.4 h線感度評価
上記<ラミネート>において説明した処理の後15分経過した基板を用い、ストーファー21段ステップタブレットをマスクとして上記直接描画式露光装置(日立ビア株式会社製、DE−1DH、主波長405nm)を用いて10mJ/cm〜35mJ/cmの露光量にて露光した。その後、上記<現像>において説明した方法により現像し、そのときの残膜限界段数が6段となる露光量を感度とした。
2.5 テンティング性評価
直径6mmのスルーホールが1008個開いた1.6mm厚の両面銅張積層板をジェットスクラブ研磨機により表面処理を行った。上記<ラミネート>において説明した方法により両面にラミネートを行い、直接描画式露光装置(日本オルボテック株式会社製、Paragon9000、主波長355nm)により両面を全面露光した。上記<現像>において説明した方法によって現像したときに破れたテント穴数を計測し、全テント穴に対する破れ率を算出した。
2.6 露光コントラスト評価
感光性樹脂積層体サンプルを、ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した側を上にし、直接描画式露光装置(日本オルボテック株式会社製、Paragon9000、主波長355nm)のステージに真空吸着させ、20mJ/cmにて露光した。露光後の感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がし、UV−visスペクトロメーター(島津製作所(株)製、UV−240)を用いて、波長600nmの光の透過率を測定した。この値と露光前の感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がしたサンプルの波長600nmの光の透過率の差を算出した。
参考例1、実施例2〜12、参考例13、参考例14及び比較例1〜6の評価結果を表2及び3に示す。また、それぞれの評価の判定基準を表4に示す。
Figure 0005826006
Figure 0005826006
Figure 0005826006
Figure 0005826006
上述の結果から、以下の内容が読み取れる。
(1)アクリジン化合物と、特定量のロイコクリスタルバイオレットが配合される本実施例は、比較例に対して剥離時間、色相安定性、露光コントラストの観点から優れた感光性樹脂組成物である。
(2)実施例8〜12と、参考例13及び14との対比から、付加重合性モノマーの重量平均分子量が700〜1,200であると、更にテント性に優れる感光性樹脂組成物が実現される。
(3)実施例3と実施例7との対比から、アクリジン化合物として9−フェニルアクリジンを含むと、更にh線感度に優れる感光性樹脂組成物が実現される。
(4)実施例8と実施例9との対比から、ベーシックグリーン1をさらに含むと、更にコントラスト又は色相安定性に優れる感光性樹脂組成物が実現される。
(5)実施例10,11及び参考例13と、実施例12及び参考例14との対比から、(b)付加重合性モノマーとして、ビスフェノールAの両側にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均15モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートを含むと、更にテント性に優れる感光性樹脂組成物が実現される。
上述の感光性樹脂組成物、等は、プリント配線板の製造、ICチップ搭載用リードフレーム製造、メタルマスク製造等の金属箔精密加工、BGA、又はCSP等のパッケージの製造、COF又はTAB等のテープ基板の製造、半導体バンプの製造、ITO電極又はアドレス電極、電磁波シールド等のフラットパネルディスプレイの隔壁の製造に利用し得る。

Claims (6)

  1. (a)アルカリ可溶性高分子、(b)付加重合性モノマー、(c)光重合開始剤、及び(d)ロイコクリスタルバイオレットを含む感光性樹脂組成物であって、該(b)付加重合性モノマーの重量平均分子量が、700〜1,200であり、該感光性樹脂組成物は、該(b)付加重合性モノマーとして、下記一般式(I):
    Figure 0005826006
    {式中:
    及びR は、各々独立にH又はCH であり;
    Aは、C であり、Bは、C であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列はランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合には、−(A−O)−及び−(B−O)−のいずれがビスフェノールA基側でもよく;
    r及びsは、各々独立に1〜29の整数であり、かつr+sは30〜40の整数であり;そして
    x及びyは、各々独立に0〜29の整数であり、かつx+yは4〜30の整数である。}
    で表される化合物を含み、かつ該(c)光重合開始剤としてアクリジン化合物を含み、そして該感光性樹脂組成物中の該(d)ロイコクリスタルバイオレットの含有量は、該感光性樹脂組成物の固形分総量に対して0.6質量%〜1.6質量%である、前記感光性樹脂組成物。
  2. 前記アクリジン化合物は、9−フェニルアクリジンである、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  3. ベーシックグリーン1をさらに含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物より成る感光性樹脂層を支持体に積層して成ることを特徴とする感光性樹脂積層体。
  5. 請求項に記載の感光性樹脂積層体を基材にラミネートし、露光し、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  6. 請求項に記載の感光性樹脂積層体を基材にラミネートし、露光し、現像し、エッチングする工程を含むことを特徴とする回路基板の形成方法。
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