JP2011231156A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、感光性樹脂硬化物及び可視光導光路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、(A)アクリル重合体が以下の(i)〜(iv)の条件を満たし、かつ(A)成分と(B)成分の含有量比(質量比)が30:70〜70:30であり、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部であり、(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部である感光性樹脂組成物。
(i)重量平均分子量が3万〜30万
(ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
(iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
(iv)ガラス転移点が30〜100℃
【選択図】なし
Description
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、可視光波長領域380〜780nmにおける高い透明性、並びに高温高湿信頼性に優れた感光性樹脂組成物、これらの感光性樹脂硬化物、その感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路を提供することを目的とする。
(1)(A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、(A)アクリル重合体が以下の(i)〜(iv)の条件を満たし、かつ(A)成分と(B)成分の含有量比(質量比)が30:70〜70:30であり、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部であり、(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部である感光性樹脂組成物、
(i)重量平均分子量が3万〜30万
(ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
(iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
(iv)ガラス転移点が30〜100℃
(2)上記(1)に記載の感光性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する感光性樹脂ワニス、
(3)上記(2)に記載の感光性樹脂ワニスを基材フィルム上に塗布し、乾燥してなる感光性樹脂フィルム、
(4)上記(1)に記載の感光性樹脂組成物、上記(2)に記載の感光性樹脂ワニス又は上記(3)に記載の感光性樹脂フィルムに光を照射し、硬化して得られる感光性樹脂硬化物、及び
(5)上記(4)の感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路
を提供するものである。
(i)重量平均分子量が3万〜30万
(ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
(iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
(iv)ガラス転移点が30〜100℃
一方重量平均分子量が30万を超えると、感光性樹脂組成物及び感光性樹脂ワニスの粘度が高くなりフィルムへの加工性が低下し、得られた硬化物は脆く柔軟性が低下するため好ましくない。また(B)重合性化合物との相溶性が十分に得られず、その結果として感光性樹脂硬化物のヘイズが大きく透明性が低下するため好ましくない。
以上の観点から、(A)成分の重量平均分子量は、4万〜15万の範囲であることがより好ましい。なお本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
特に、メチルメタクリレートは該アクリル重合体の高い透明性に寄与する。ブチルメタクリレート及びブチルアクリレートは、該アクリル重合体に任意のガラス転移温度を持たせることに寄与する。2‐ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリル酸は、該アクリル重合体と後述する(B)重合性化合物との相溶性向上に寄与する。以上の観点から、適宜必要に応じて、各種モノマーを用いて特定の(A)アクリル重合体を得、これを用いることで、可視光波長領域における高い透明性と、任意のガラス転移温度、(B)成分である重合性化合物との相溶性のすべてを満足した感光性樹脂組成物を提供することが可能である。
(メタ)アクリレートとしては、2官能以上の多官能のものを用いることが好ましい。多官能の重合性化合物を用いることで三次元架橋が進行し、熱に対して形状変化の少ない硬化物を得ることができる。さらには、該化合物の未反応物のブリードアウトが抑制され好ましい。具体的な化合物としては、例えば、国際公開WO2009/066638号公報に記載のものが挙げられる。
一方、(A)成分の含有量が70質量%を超えると、高温高湿試験における信頼性が低下するため好ましくない。感光性樹脂組成物のフィルムへの加工性と高温高湿信頼性の維持という点から、(A)成分の含有量はより好ましくは40〜60質量%の範囲である。
一方、(B)成分の含有量が70質量%を超えると、感光性樹脂組成物をフィルムに加工することが困難であるため好ましくない。感光性樹脂組成物のフィルムへの加工性と、感光性樹脂組成物の硬化性、及び高温高湿信頼性の維持という点から、(B)成分の含有量はより好ましくは40〜60質量%の範囲である。
また、グリオキシエステル系光開始剤としては、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルやこれらの混合物などが挙げられる。
これらのうち、着色が少なく、可視光波長領域において透明性が高いという点から、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、及びこれらの混合物が特に好ましい。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常20〜80質量%であることが好ましい。
硬化に必要な照射量は、求める硬化物の厚みや屈折率等にも異なるが、一般的には照度1〜100mW/cm2にて、10〜10000mJ/cm2照射することで硬化物を得ることができる。
本発明の感光性樹脂フィルムは、前記感光性樹脂組成物からなり、前記(A)〜(D)成分を含有する感光性樹脂ワニスを好適な基材フィルムに塗布し、乾燥等の方法を用いて、溶媒を除去して、感光性樹脂層(以下単に「樹脂層」という場合がある。)を形成することにより容易に製造することができる。また感光性樹脂組成物をワニス化することなく、直接基材フィルムに塗布して製造してもよい。
1)感光性樹脂組成物の調製
容量200mLの茶褐色ポリ瓶に、(A)アクリル重合体として、ヒタロイドHA−3204−EB−1(ガラス転移温度;70℃、OH価;30mgKOH/g、重量平均分子量;43,000、樹脂分含有量;45質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製、商品名)を111g、(B)重合性化合物として、ファンクリル FA−P270A(PO変性ジアクリレート、平均PO鎖長;7、日立化成工業(株)製、商品名)を50.0g、(C)光重合開始剤としてIRGACURE754(オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名)を0.1g、DAROCURE TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名)を0.05g、(D)フェノール系酸化防止剤としてアデカスタブAO−80(ヒンダートフェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製、商品名)を0.5g、アセトン10gを配合し、ミックスローターを用いて室温で12時間撹拌した。得られた混合物を孔径2μmのメンブレンフィルターを用いて加圧ろ過し、10mmHgにて真空脱気して感光性樹脂組成物を調製した。
1)で作成した感光性樹脂組成物を、PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名A53、厚み50μm)の離型処理面上に塗工機((株)ヒラノテクシード製、商品名マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名A31、厚み25μm)を貼付け、感光性樹脂組成物フィルムを得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調製可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が200μmとなるように調製した。
2)で得られたフィルムを用い、離型PETフィルム上から紫外線露光機(大日本スクリーン(株)製、商品名MAP−1200−L)を用いて2000mJ/cm2UVを照射した。その後、基材フィルムと保護フィルムを剥がし、フィルム状光硬化物を得た。その後任意形状に試験片を切り出し、各種測定に用いた。
3)で得られた硬化物を4cmx4cmサイズに切り出したサンプルを評価に用いた。(株)日立製作所社製分光光度計 U−3310を用い、測定波長200〜800nmにて透過率を測定した。測定結果から、420nm、560nm、780nmの3点について評価した。得られた硬化物について評価したところ、透過率は92%(420nm)、92%(560nm)、92%(780nm)であり、透明性は良好であった。
図1を用いて説明する。3)で得られた硬化物を1cmx10cmサイズに切り出したサンプル3を評価に用いた。光源2として、サイド発光型白色LEDを用い、入力電流15mAにて発光させた。サンプル3を基板1上に載置し、端面より白色LED光(光源の透過強度比=4.2)を入光した。反対側の端面から出てきた光を、大塚電子(株)社製 マルチ測光システム MCPD−3000を用いて透過光のスペクトルを測定し、出てくる光のピーク強度から、透過強度比を以下式に従って算出した。
Int460:460nm付近に見られる主にB帯に起因するピークの強度
Int560:560nm付近に見られる主にG帯、R帯の混合光に起因するピークの強度
透過強度比は1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。そこで1.5より小さいものを×、1.5以上2.0未満のものを○、2.0以上のものを◎とした。
得られた硬化物について評価したところ、透過強度比は3.1であり、透過光は、白色LED光源と同様の白い光であったため、判定を◎とした。
5)で評価した試験片を85℃/85%RHに調整されたオーブンに入れた。250時間後に取り出し、5)と同様に白色LED透過強度を測定した。透過強度比は2.0であり、透過光は、白色LED光源と同様の白い光であった。
表1及び表2の配合組成に従い、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物を得た。実施例1と同様に光硬化物を作成し、評価を行った。
A−1:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1、重量平均分子量:43,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.6mgKOH/g、ガラス転移点:70℃、樹脂分含有量45質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−2:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1A、重量平均分子量:43,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.1mgKOH/g、ガラス転移点:75℃、樹脂分含有量42質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−3:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1B、重量平均分子量:43,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.1mgKOH/g、ガラス転移点:75℃、樹脂分含有量42質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−4:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1D、重量平均分子量:57,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:3.8mgKOH/g、ガラス転移点:70℃、樹脂分含有量40質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−5:アクリル重合体(ヒタロイド3204EB−1E、重量平均分子量:86,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:3.8mgKOH/g、ガラス転移点:70℃、樹脂分含有量37質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−6:アクリル重合体(自家合成品、重量平均分子量:100,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.6mgKOH/g、ガラス転移点:62℃、樹脂分含有量31質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液)
B−1:PO変性ジアクリレート(平均PO鎖長=12)日立化成工業(株)製、FA−P270A
B−2:PO変性ジアクリレート(平均PO鎖長=7)日立化成工業(株)製、FA−P240A
B−3:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(平均EO鎖長=10)日立化成工業(株)製、FA−321A
C−1:グリオキシエステル系光開始剤。オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア754
C−2:フォスフィンオキシド系光開始剤。2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィンオキシド、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、DAROCUR TPO
D−1:3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(株)ADEKA製、アデカスタブAO−80
A−7:アクリル重合体(ヒタロイドHA1470、重量平均分子量:110,000、水酸基価:0mgKOH/g、酸価:3.2mgKOH/g、ガラス転移点:59℃、樹脂分含有量41質量%、トルエン、日立化成工業(株)製)
A−8:アクリル重合体(ヒタロイドHA1645L、重量平均分子量:100,000、水酸基価:55mgKOH/g、酸価:3.0mgKOH/g、ガラス転移点:30℃、樹脂分含有量45質量%、キシレン/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−9:アクリル重合体(ヒタロイドHA3098L、重量平均分子量:85,000、水酸基価:40mgKOH/g、酸価:2.6mgKOH/g、ガラス転移点:50℃、樹脂分含有量46質量%、キシレン/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−10:アクリル重合体(ヒタロイドHA1212、重量平均分子量:120,000、水酸基価:0mgKOH/g、酸価:0.2mgKOH/g、ガラス転移点:105℃、樹脂分含有量30質量%、トルエン、日立化成工業(株)製)
A−11:アクリル重合体(HTR−600L、重量平均分子量:1,200,000、水酸基価:20mgKOH/g、ガラス転移点:−37℃、ナガセケムテック(株)製)
B−2:上記と同様
C−1:上記と同様
D−1:上記と同様
2.光源
3.フィルム
Claims (8)
- (A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、(A)アクリル重合体が以下の(i)〜(iv)の条件を満たし、かつ(A)成分と(B)成分の含有量比(質量比)が30:70〜70:30であり、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部であり、(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部である感光性樹脂組成物。
(i)重量平均分子量が3万〜30万
(ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
(iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
(iv)ガラス転移点が30〜100℃ - 前記(A)アクリル重合体が、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマーとして重合した重合体である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B)重合性化合物が、多官能(メタ)アクリレート又はアリール化ビニルである請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(C)光重合開始剤が、(C−1)α−ヒドロキシアセトフェノン系光開始剤及びグリオキシエステル系光開始剤から選ばれる少なくとも1種、及び(C−2)フォスフィンオキシド系光開始剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する感光性樹脂ワニス。
- 請求項5に記載の感光性樹脂ワニスを基材フィルム上に塗布し、乾燥してなる感光性樹脂フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物、請求項5に記載の感光性樹脂ワニス又は請求項6に記載の感光性樹脂フィルムに光を照射し、硬化して得られる感光性樹脂硬化物。
- 請求項7に記載の硬化物よりなる可視光導光路。
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