JP5505060B2 - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、感光性樹脂硬化物及び可視光導光路 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、感光性樹脂硬化物及び可視光導光路 Download PDF

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、感光性樹脂硬化物、及び可視光導光路に関し、特に優れた透明性を有し、かつ長時間の加熱によっても着色しない感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、感光性樹脂硬化物、及び可視光導光路に関する。
近年実用が広まっている照明用光源としてLEDが挙げられる。LEDは高輝度と低消費電力という特徴を併せ持つことから、携帯電話や携帯情報末端(PDA:Personal Digital Assisant)、携帯ゲーム機器、携帯オーディオなど様々なモバイル機器で多用されている。これに加えて近年では、液晶ディスプレイのバックライトなど大型機器への用途展開も進んでいる。
こうした機器に対しては更なる低消費電力化や軽量化、薄型化が求められることから、より効率的な照明デバイスの実用が望まれる。このような背景のもと、導光路や導光板、導波路を用いた照明デバイスに注目が集まっている。
その中でもポリマーを用いたデバイスは、加工性に優れ、かつフレキシブルな構造が可能であることから、ポリマー導光路やポリマー導光板、ポリマー導波路はこれらの用途に最適であると考えられる。
照明用デバイスに用いられるポリマー材料に対しては、適用される機器の使用環境の観点から380〜780nmの可視光波長領域において高い透明性を有することが求められる。こうした要求特性を満たすポリマー材料として、従来は脂環式ポリオレフィンや(メタ)アクリルポリマーなどに代表されるビニル共重合体が用いられてきた。これらのポリマー材料の多くは高い透明性という特徴を活かして、主にプリズムやレンズ、導光板などへ用途展開されている。しかし、成形方法は射出成形や押出成形といった溶融成形が中心であるため、小型で複雑な形状の部材や極めて薄い部材への加工は難しい。またこれらのポリマー材料は熱可塑性樹脂であるために、耐熱信頼性や耐湿信頼性に劣るという問題を有していた。
複雑な部材を形成可能な加工技術として、注型法やインプリント法、スタンプ法、トランスファー法などが考えられる。また、塗工法や印刷法、スピンコーター法などを用いると、薄い部材を形成することが可能である。感光性を持たせた液体を任意形状の型に注入する、あるいは液を流延したところに金型で押さえ込む、あるいはフィルムないしシート状に加工した材料を金型で押さえ込み、光を照射することで三次元架橋化・不溶化し、容易に複雑な形状の部材を形成可能である。そこで感光性を有し、かつ光学特性、特に可視光領域における透明性の良好な素材が検討されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開平6−128342号公報 特開2001−288206号公報
しかしながら、従来の材料で可視光の透明性を確保するためには、残存する光開始剤やその分解物により熱劣化が発生し、高温高湿信頼性が劣る等の問題を有する。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、可視光波長領域380〜780nmにおける高い透明性、並びに高温高湿信頼性に優れた感光性樹脂組成物、これらの感光性樹脂硬化物、その感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路を提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決すべく検討を重ねた結果、特定の(A)アクリル重合体、及び特定量の、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明は、
(1)(A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、(A)アクリル重合体が以下の(i)〜(iv)の条件を満たし、かつ(A)成分と(B)成分の含有量比(質量比)が30:70〜70:30であり、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部であり、(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部である感光性樹脂組成物、
(i)重量平均分子量が3万〜30万
(ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
(iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
(iv)ガラス転移点が30〜100℃
(2)上記(1)に記載の感光性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する感光性樹脂ワニス、
(3)上記(2)に記載の感光性樹脂ワニスを基材フィルム上に塗布し、乾燥してなる感光性樹脂フィルム、
(4)上記(1)に記載の感光性樹脂組成物、上記(2)に記載の感光性樹脂ワニス又は上記(3)に記載の感光性樹脂フィルムに光を照射し、硬化して得られる感光性樹脂硬化物、及び
(5)上記(4)の感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路
を提供するものである。
本発明によると、可視光波長領域において高い透明性を有し、かつ耐熱耐湿信頼性に優れた感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、及びそれを光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物並びに可視光導光路を提供することが可能となる。
白色LED透過光強度比を測定する装置。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有して得られる感光性樹脂組成物であり、(A)アクリル重合体が以下の(i)〜(iv)の条件を満たすことが必須である。
(i)重量平均分子量が3万〜30万
(ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
(iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
(iv)ガラス転移点が30〜100℃
(A)アクリル重合体の重量平均分子量は、3万〜30万の範囲である。(A)成分の重量平均分子量が3万未満であると、フィルムへの加工が困難であり、得られた感光性樹脂硬化物の強度や可撓性が不十分であるため好ましくない。また高温高湿試験においては、低分子量な(A)成分のブリードアウトが発生し信頼性を維持することができない。
一方重量平均分子量が30万を超えると、感光性樹脂組成物及び感光性樹脂ワニスの粘度が高くなりフィルムへの加工性が低下し、得られた硬化物は脆く柔軟性が低下するため好ましくない。また(B)重合性化合物との相溶性が十分に得られず、その結果として感光性樹脂硬化物のヘイズが大きく透明性が低下するため好ましくない。
以上の観点から、(A)成分の重量平均分子量は、4万〜15万の範囲であることがより好ましい。なお本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
次に、(A)アクリル重合体の水酸基価は15〜50mgKOH/gの範囲である。(A)成分の水酸基価が15mgKOH/g未満であると、(B)重合性化合物との相溶性が不十分であり透明な感光性樹脂硬化物を得ることができない。一方、(A)成分の水酸基価が50mgKOH/gを超えると、感光性樹脂硬化物の吸水性が高く高温高湿試験において吸湿白化を生じるため好ましくない。以上の観点から、(A)成分の水酸基価は20〜40mgKOH/gの範囲が好ましい。
次に、(A)アクリル重合体の酸価は3.2〜5・5mgKOH/gの範囲である。(A)成分の酸価が3.2mgKOH/g未満であると、(B)重合性化合物との相溶性が不十分であり透明な感光性樹脂硬化物を得ることができない。一方、(A)成分の酸価が5.5mgKOH/gを超えると、感光性樹脂硬化物の吸水性が高く高温高湿試験において吸湿白化を生じるため好ましくない。以上の観点から、(A)成分の酸価は3.5〜4.8mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。
また、(A)アクリル重合体のガラス転移点は30〜100℃の範囲である。(A)成分のガラス転移点が30℃未満であると、感光性樹脂硬化物は脆く柔軟性が低下する。また高温高湿信頼性試験において硬化物がその形状を保持できず変形してしまう。一方、(A)成分のガラス転移点が100℃を超えると、得られる感光性樹脂硬化物の硬度が不十分であり、寸法安定性が低下するため好ましくない。以上の観点から、(A)アクリル重合体のガラス転移点は45〜85℃の範囲であることがより好ましい。
上記(A)アクリル重合体としては、上述の(i)〜(iv)の要件を満足するものであれば特に制限はなく、種々のものが挙げられる。具体的には、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸などが挙げられる。本発明においては、該アクリル重合体が、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマーとして重合した重合体であることが好ましい。すなわち、上記モノマーの単独重合体又は上記モノマーから選択される2種以上のモノマーの共重合体が好ましい。
特に、メチルメタクリレートは該アクリル重合体の高い透明性に寄与する。ブチルメタクリレート及びブチルアクリレートは、該アクリル重合体に任意のガラス転移温度を持たせることに寄与する。2‐ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリル酸は、該アクリル重合体と後述する(B)重合性化合物との相溶性向上に寄与する。以上の観点から、適宜必要に応じて、各種モノマーを用いて特定の(A)アクリル重合体を得、これを用いることで、可視光波長領域における高い透明性と、任意のガラス転移温度、(B)成分である重合性化合物との相溶性のすべてを満足した感光性樹脂組成物を提供することが可能である。
上記(A)アクリル重合体は、上述のモノマー成分を重合させたものが好ましく、上述の重量平均分子量、水酸基価、酸価、及びガラス転移点の範囲となるものが選択される。このようなアクリル重合体の構造や重合方法、重合反応の種類には特に制限はない。例えば重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法、気相重合法などを用いることができ、また重合反応としてはラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などが利用できる。
次に、(B)重合性化合物については、加熱又は紫外線などの照射によって重合するものであれば特に制限はなく、例えばエチレン性不飽和基などの重合性置換基を有する化合物が好適に挙げられる。特に、光重合開始剤に光が照射されて発せられるラジカルによって連鎖重合可能な官能基を1分子中に少なくとも2つ以上有するもので、かつ可視光波長領域380〜780nmの範囲で光の吸収がないものが好ましい。また、性状については固体、半固体、液体いずれも使用可能である。
具体的には、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルピリジン、ビニルアミド、アリール化ビニル等が挙げられるが、これらのうち透明性の観点から、(メタ)アクリレートやアリール化ビニルが好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、2官能以上の多官能のものを用いることが好ましい。多官能の重合性化合物を用いることで三次元架橋が進行し、熱に対して形状変化の少ない硬化物を得ることができる。さらには、該化合物の未反応物のブリードアウトが抑制され好ましい。具体的な化合物としては、例えば、国際公開WO2009/066638号公報に記載のものが挙げられる。
また、(B)成分の重合性化合物として、下記一般式(1)又は(3)で表される化合物が好適に挙げられる。該化合物は、可視光波長領域で優れた透明性を有し、かつ芳香族を有するため耐熱性に優れ、また安価であるため好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ水素原子又はメチル基である。またR3は以下の一般式(2)に示すものである。
上記式(2)において、a+bは2〜30の範囲であり、R4及びR5はそれぞれ水素原子又はメチル基である。また、R6は、以下の式で示される2価の基である。
一般式(3)中、R7及びR8は、それぞれ水素原子又はメチル基である。またR9は以下の一般式(4)、(5)又は(6)に示すものである。
上記式(4)、(5)及び(6)において、R10〜R15はそれぞれ水素原子又はメチル基である。また、cは平均値であり、1〜30の範囲である。d及びeも平均値であり、それぞれ1〜15の範囲である。また、f、g及びhはそれぞれ平均値であり、1〜10の範囲である。
上記(B)重合性化合物は、1種の化合物を単独で又は2種類以上の化合物を組み合わせて使用することができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせて使用することもできる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)成分及び(B)成分を必須成分として含有するが、その比率は、(A)成分と(B)成分の質量比として、30:70〜70:30の範囲が好ましい。(A)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、30質量%未満であると、感光性樹脂組成物をフィルムに加工することが困難であるため好ましくない。
一方、(A)成分の含有量が70質量%を超えると、高温高湿試験における信頼性が低下するため好ましくない。感光性樹脂組成物のフィルムへの加工性と高温高湿信頼性の維持という点から、(A)成分の含有量はより好ましくは40〜60質量%の範囲である。
また、(B)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、30質量%未満であると、感光性樹脂組成物を光硬化させた硬化物の架橋密度が低く、また硬化反応が進行しにくいことから未反応重合性化合物のブリードアウトが発生しやすい。そのため、高温高湿試験における信頼性が低下し好ましくない。ここで、硬化反応を進めるためには、後述する(C)光重合開始剤の添加量を増やすことよって解決できるが、この手法では残存する未反応(C)光重合開始剤やその分解物により熱劣化が発生し、高温高湿信頼性が劣るため好ましくない。
一方、(B)成分の含有量が70質量%を超えると、感光性樹脂組成物をフィルムに加工することが困難であるため好ましくない。感光性樹脂組成物のフィルムへの加工性と、感光性樹脂組成物の硬化性、及び高温高湿信頼性の維持という点から、(B)成分の含有量はより好ましくは40〜60質量%の範囲である。
次に、本発明の感光性樹脂組成物は、(C)成分として、光重合開始剤を含有する。そして、(C)光重合開始剤として、(C−1)α−ヒドロキシアセトフェノン系光開始剤及びグリオキシエステル系光開始剤から選ばれる少なくとも1種、及び(C−2)フォスフィンオキシド系光開始剤を含有することが好ましい。このような特定の(C)重合開始剤を用いることで着色が少なく、可視光波長領域において透明性の高い硬化物が得られる。
(C−1)成分であるα−ヒドロキシアセトフェノン系光開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−3,5,2−メチルプロピオニル)−ベンジル)−フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、などが挙げられる。
また、グリオキシエステル系光開始剤としては、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルやこれらの混合物などが挙げられる。
これらのうち、着色が少なく、可視光波長領域において透明性が高いという点から、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、及びこれらの混合物が特に好ましい。
(C−2)成分であるフォスフィンオキシド系光開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシドや、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィンオキシド、これらの混合物などが挙げられる。このような光開始剤を用いると少ない光照射量で硬化が可能となるだけでなく、フォトブリーチ能を有するため、得られた光硬化物は可視光領域で優れた透明性を有する。その中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシドは、特に可視光領域で優れた透明性を有し、また硬化性が高いことから好ましい。
(C)光重合開始剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、0.03〜3.0質量部の範囲である。(C)成分の含有量が0.03質量部未満であると、光照射によって十分に硬化反応が進行せず好ましくない。一方、3.0質量部を超えると(C)成分に由来する着色の影響が大きくなる結果、可視光波長領域における透明性が低下するため好ましくない。感光性樹脂組成物の光硬化性と可視光波長領域における透明性という点から、(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜1.5質量部の範囲であることがより好ましい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物は、(D)成分として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する。(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、メチル基とt−ブチル基を同一芳香環上に1個ずつ有するフェノール基を1分子中に一つ以上有することを必須とするヒンダードフェノール系酸化防止剤であって、下記式(7)で示されるものであることが特に好ましい。これらの化合物を用いると、耐熱信頼性を向上させることができ、かつ光硬化の際の重合阻害が小さいために、硬化性が良好である。また硬化に必要な光の照射量が少なくて済むために生産性が高い。
ここで、Xは以下に示す2価の基のいずれかである。
(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、0.01〜1.0質量部の範囲である。(D)の含有量が0.01質量部未満であると高温高湿信頼性が劣り、1.0質量部を超えると光硬化の際に重合を阻害してしまうため好ましくない。以上の感光性樹脂組成物の硬化性と高温高湿信頼性の観点から(D)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、0.2〜1.0質量部の範囲であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記(A)〜(D)成分に加えて、必要に応じて、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤、蛍光増白剤等のいわゆる添加剤を本発明の効果に悪影響を与えない割合で添加してもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、適当な有機溶媒を用いて希釈し、感光性樹脂ワニスとして使用することができる。ここで用いる有機溶媒としては、該樹脂組成物を溶解し得るものであれば特に制限はないが、該感光性樹脂硬化物の高温高湿信頼性の観点からは、芳香族系溶剤を用いないことが好ましい。例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドなどが挙げられる。
これらの中で、溶解性及び沸点の観点から、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミドであることが好ましい。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常20〜80質量%であることが好ましい。
感光性樹脂ワニスを調合する際は、撹拌により混合することが好ましい。撹拌方法については特に制限はないが、撹拌効率の観点からプロペラを用いた撹拌が好ましい。撹拌する際のプロペラの回転速度には特に制限はないが、10〜1,000min-1であることが好ましい。10min-1以上であると、(A)〜(D)成分及び有機溶剤のそれぞれの成分が十分に混合され、1,000min-1以下であるとプロペラの回転による気泡の巻き込みが少なくなる。以上の観点から50〜800min-1であることがより好ましく、100〜500min-1であることがさらに好ましい。
撹拌時間についても特に制限はないが、1〜24時間であることが好ましい。1時間以上であると、(A)〜(D)成分及び有機溶剤のそれぞれの成分が十分に混合され、24時間以下であると、ワニス調合時間を短縮することができ、十分な生産性が得られる。
調合した感光性樹脂ワニスは、孔径50μm以下のフィルタを用いて濾過するのが好ましい。孔径50μm以下のフィルタを用いることで、大きな異物などが除去されて、ワニス塗布時にはじきなどを生じることがなく、またコア部を伝搬する光の散乱が抑制される。以上の観点から、孔径30μm以下のフィルタを用いて濾過するのがより好ましく、孔径10μm以下のフィルタを用いて濾過するのがさらに好ましい。
調合した感光性樹脂ワニスは、減圧下で脱泡することが好ましい。脱泡方法には、特に制限はなく、具体例としては真空ポンプとベルジャー、真空装置付き脱泡装置を用いることができる。減圧時の減圧度には特に制限はないが、樹脂ワニスに含まれる有機溶剤が沸騰しない範囲が好ましい。減圧脱泡時間には特に制限はないが、3〜60分であることが好ましい。3分以上であると、樹脂ワニス内に溶解した気泡を取り除くことができる。60分以下であると、樹脂ワニスに含まれる有機溶剤が揮発することがない。
本発明の感光性樹脂組成物は、素早く光硬化することができる。ここで厚み0.5mm、光照射量3000mJ/cm2にて得られる硬化物の反応率を100%として、100mJ/cm2照射時の反応率が80%以上であることが好ましい。このような材料を用いると成形品の生産性に優れた材料を得ることができる。
本発明で使用する硬化のための光の種類について、硬化反応が進むものであれば特に制限はないが、速硬化性の点から、UV光であることが好ましく、また(C)光開始重合剤の吸収波長の点からUV光の中でも365nmのi線により硬化させることがより好ましい。365nmのi線を放出する光源としては特に制限はなく、光源の例としては低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプなどの水銀ランプの他、タングステンランプ、キセノンランプ、ガスレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。
硬化に必要な照射量は、求める硬化物の厚みや屈折率等にも異なるが、一般的には照度1〜100mW/cm2にて、10〜10000mJ/cm2照射することで硬化物を得ることができる。
得られた硬化物は380〜780nmの可視光領域において、厚み200μmの試験片における光線透過率が90%以上であることが好ましい。このような硬化物を用いると、光の照度を落とすことなく、かつ光源の色味を変えることなく光を伝播することが可能となる。光線透過率が90%よりも低いと、十分に光を伝播できず、光源の色味を変えて伝播してしまうため好ましくない。
以下、本発明の感光性樹脂フィルムについて説明する。
本発明の感光性樹脂フィルムは、前記感光性樹脂組成物からなり、前記(A)〜(D)成分を含有する感光性樹脂ワニスを好適な基材フィルムに塗布し、乾燥等の方法を用いて、溶媒を除去して、感光性樹脂層(以下単に「樹脂層」という場合がある。)を形成することにより容易に製造することができる。また感光性樹脂組成物をワニス化することなく、直接基材フィルムに塗布して製造してもよい。
基材フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマー等が挙げられる。
これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホンであることが好ましい。
基材フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3〜250μmであることが好ましい。3μm以上であるとフィルム強度が十分であり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。以上の点から、基材フィルムの厚みは5〜200μmであることがより好ましく、7〜150μmであることが更に好ましい。なお、樹脂層との剥離性向上にために、シリコーン系化合物、含フッ素化合物等により離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
基材フィルム上に感光性樹脂ワニス又は感光性樹脂組成物を塗布して製造した感光性樹脂フィルムは、必要に応じて保護フィルムを樹脂層上に貼り付け、基材フィルム、感光性樹脂組成物又は感光性樹脂硬化物からなる樹脂層及び保護フィルムの3層構造としてもよい。
保護フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンであることが好ましい。なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物等により離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
保護フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、10〜250μmであることが好ましい。10μm以上であるとフィルム強度が十分であり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。以上の点から、保護フィルムの厚みは15〜200μmであることがより好ましく、20〜150μmであることが更に好ましい。
本発明の感光性樹脂フィルムの樹脂層の厚みについては特に制限はないが、乾燥後の厚みで、通常は5〜500μmであることが好ましい。5μm以上であると、厚みが十分であるため感光性樹脂フィルム又は該フィルムの硬化物の強度が十分となり、500μm以下であると、乾燥が十分に行え、樹脂フィルム中の残留溶媒量が減少し、該フィルムの硬化物を加熱したときに発泡等が起こることがない。
このようにして得られた感光性樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。又はロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、光、熱などによって硬化反応又は重合反応させることによって、硬化物を得ることが可能である。その際、前もってシート、フィルム、短冊等の任意の形状にしておき、その後硬化反応等させることで、任意形状を有する硬化物を得ることも可能である。このようにして得られた硬化物は、空気クラッド中で用いることで、照明デバイス用の可視光導光路として用いることができる。
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例1
1)感光性樹脂組成物の調製
容量200mLの茶褐色ポリ瓶に、(A)アクリル重合体として、ヒタロイドHA−3204−EB−1(ガラス転移温度;70℃、OH価;30mgKOH/g、重量平均分子量;43,000、樹脂分含有量;45質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製、商品名)を111g、(B)重合性化合物として、ファンクリル FA−P270A(PO変性ジアクリレート、平均PO鎖長;7、日立化成工業(株)製、商品名)を50.0g、(C)光重合開始剤としてIRGACURE754(オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名)を0.1g、DAROCURE TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名)を0.05g、(D)フェノール系酸化防止剤としてアデカスタブAO−80(ヒンダートフェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製、商品名)を0.5g、アセトン10gを配合し、ミックスローターを用いて室温で12時間撹拌した。得られた混合物を孔径2μmのメンブレンフィルターを用いて加圧ろ過し、10mmHgにて真空脱気して感光性樹脂組成物を調製した。
2)感光性樹脂フィルムの作成
1)で作成した感光性樹脂組成物を、PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名A53、厚み50μm)の離型処理面上に塗工機((株)ヒラノテクシード製、商品名マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名A31、厚み25μm)を貼付け、感光性樹脂組成物フィルムを得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調製可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が200μmとなるように調製した。
3)硬化物の作成
2)で得られたフィルムを用い、離型PETフィルム上から紫外線露光機(大日本スクリーン(株)製、商品名MAP−1200−L)を用いて2000mJ/cm2UVを照射した。その後、基材フィルムと保護フィルムを剥がし、フィルム状光硬化物を得た。その後任意形状に試験片を切り出し、各種測定に用いた。
4)透過率の評価
3)で得られた硬化物を4cmx4cmサイズに切り出したサンプルを評価に用いた。(株)日立製作所社製分光光度計 U−3310を用い、測定波長200〜800nmにて透過率を測定した。測定結果から、420nm、560nm、780nmの3点について評価した。得られた硬化物について評価したところ、透過率は92%(420nm)、92%(560nm)、92%(780nm)であり、透明性は良好であった。
5)白色LED透過強度の測定方法
図1を用いて説明する。3)で得られた硬化物を1cmx10cmサイズに切り出したサンプル3を評価に用いた。光源2として、サイド発光型白色LEDを用い、入力電流15mAにて発光させた。サンプル3を基板1上に載置し、端面より白色LED光(光源の透過強度比=4.2)を入光した。反対側の端面から出てきた光を、大塚電子(株)社製 マルチ測光システム MCPD−3000を用いて透過光のスペクトルを測定し、出てくる光のピーク強度から、透過強度比を以下式に従って算出した。
透過強度比=(Int460/Int560
Int460:460nm付近に見られる主にB帯に起因するピークの強度
Int560:560nm付近に見られる主にG帯、R帯の混合光に起因するピークの強度
透過強度比は1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。そこで1.5より小さいものを×、1.5以上2.0未満のものを○、2.0以上のものを◎とした。
得られた硬化物について評価したところ、透過強度比は3.1であり、透過光は、白色LED光源と同様の白い光であったため、判定を◎とした。
6)高温高湿信頼性試験
5)で評価した試験片を85℃/85%RHに調整されたオーブンに入れた。250時間後に取り出し、5)と同様に白色LED透過強度を測定した。透過強度比は2.0であり、透過光は、白色LED光源と同様の白い光であった。
実施例2〜8及び比較例1〜5
表1及び表2の配合組成に従い、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物を得た。実施例1と同様に光硬化物を作成し、評価を行った。
(表1中の説明)
A−1:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1、重量平均分子量:43,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.6mgKOH/g、ガラス転移点:70℃、樹脂分含有量45質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−2:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1A、重量平均分子量:43,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.1mgKOH/g、ガラス転移点:75℃、樹脂分含有量42質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−3:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1B、重量平均分子量:43,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.1mgKOH/g、ガラス転移点:75℃、樹脂分含有量42質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−4:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1D、重量平均分子量:57,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:3.8mgKOH/g、ガラス転移点:70℃、樹脂分含有量40質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−5:アクリル重合体(ヒタロイド3204EB−1E、重量平均分子量:86,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:3.8mgKOH/g、ガラス転移点:70℃、樹脂分含有量37質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−6:アクリル重合体(自家合成品、重量平均分子量:100,000、水酸基価:30mgKOH/g、酸価:4.6mgKOH/g、ガラス転移点:62℃、樹脂分含有量31質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液)
B−1:PO変性ジアクリレート(平均PO鎖長=12)日立化成工業(株)製、FA−P270A
B−2:PO変性ジアクリレート(平均PO鎖長=7)日立化成工業(株)製、FA−P240A
B−3:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(平均EO鎖長=10)日立化成工業(株)製、FA−321A
C−1:グリオキシエステル系光開始剤。オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア754
C−2:フォスフィンオキシド系光開始剤。2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィンオキシド、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、DAROCUR TPO
D−1:3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(株)ADEKA製、アデカスタブAO−80
(表2中の説明)
A−7:アクリル重合体(ヒタロイドHA1470、重量平均分子量:110,000、水酸基価:0mgKOH/g、酸価:3.2mgKOH/g、ガラス転移点:59℃、樹脂分含有量41質量%、トルエン、日立化成工業(株)製)
A−8:アクリル重合体(ヒタロイドHA1645L、重量平均分子量:100,000、水酸基価:55mgKOH/g、酸価:3.0mgKOH/g、ガラス転移点:30℃、樹脂分含有量45質量%、キシレン/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−9:アクリル重合体(ヒタロイドHA3098L、重量平均分子量:85,000、水酸基価:40mgKOH/g、酸価:2.6mgKOH/g、ガラス転移点:50℃、樹脂分含有量46質量%、キシレン/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−10:アクリル重合体(ヒタロイドHA1212、重量平均分子量:120,000、水酸基価:0mgKOH/g、酸価:0.2mgKOH/g、ガラス転移点:105℃、樹脂分含有量30質量%、トルエン、日立化成工業(株)製)
A−11:アクリル重合体(HTR−600L、重量平均分子量:1,200,000、水酸基価:20mgKOH/g、ガラス転移点:−37℃、ナガセケムテック(株)製)
B−2:上記と同様
C−1:上記と同様
D−1:上記と同様
実施例1〜8に示したように、本発明の感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂フィルム硬化物は、高い透明性と優れた高温高湿信頼性を有していた。一方、比較例1と4にあるように、水酸基価が規定の範囲を下回った場合、(A)アクリル重合体と(B)重合性化合物の相溶性を示さず感光性樹脂組成物を得ることができなかった。また比較例2にあるように(A)アクリル重合体の水酸基価が規定の範囲を上回った場合、感光性樹脂組成物の硬化物は白濁し、透明性を維持することができなかった。比較例3にあるように、(A)アクリル重合体の酸価が規定の範囲外である場合も、感光性樹脂組成物の硬化物は白濁し、透明性を維持することができなかった。また、比較例5にあるように、(A)アクリル重合体の重量平均分子量が規定の範囲を超えている場合も、感光性樹脂組成物の硬化物は高い透明性を維持することができなかった。
以上述べたように、可視光波長領域において高い透明性を有し、かつ耐熱耐湿信頼性に優れた感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、及びそれを光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物を提供することができた。
本発明の感光性樹脂組成物は、光によって素早く硬化が可能で、380〜780nmの可視光透明性や耐熱信頼性にも優れた光硬化物が得られる感光性樹脂組成物、及びその硬化物を得ることができる。従って、光導波路や導光材料などの用途に最適であり、光によって素早く硬化可能であるため高い生産性で光導波路や導光材料などを製造することができる。
1.基板
2.光源
3.フィルム

Claims (7)

  1. (A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、(A)アクリル重合体が以下の(i)〜(iv)の条件を満たし、(B)重合性化合物が、多官能(メタ)アクリレート又はアリール化ビニルであり、かつ(A)成分と(B)成分の含有量比(質量比)が30:70〜70:30であり、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部であり、(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部である感光性樹脂組成物。
    (i)重量平均分子量が3万〜30万
    (ii)水酸基価が15〜50mgKOH/g
    (iii)酸価が3.2〜5.5mgKOH/g
    (iv)ガラス転移点が30〜100℃
  2. 前記(A)アクリル重合体が、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマーとして重合した重合体である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(C)光重合開始剤が、(C−1)α−ヒドロキシアセトフェノン系光開始剤及びグリオキシエステル系光開始剤から選ばれる少なくとも1種、及び(C−2)フォスフィンオキシド系光開始剤を含有する請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の感光性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する感光性樹脂ワニス。
  5. 請求項に記載の感光性樹脂ワニスを基材フィルム上に塗布し、乾燥してなる感光性樹脂フィルム。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の感光性樹脂組成物、請求項に記載の感光性樹脂ワニス又は請求項に記載の感光性樹脂フィルムに光を照射し、硬化して得られる感光性樹脂硬化物。
  7. 請求項に記載の硬化物よりなる可視光導光路。
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