JPWO2014006980A1 - 車両用ドア - Google Patents

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Abstract

ドアから窓ガラスを不要にでき、かつ車両のドア開口部の開口面積を大きく確保される車両用ドアが開示される。車両用ドア(20)は、ドア開口部(12)を覆うドア本体(21)と、ドア開口部(12)を覆うように展開可能なスクリーン装置(27)と、スクリーン装置(27)を展開状態に保持するサッシュ部(28)とを備えている。スクリーン装置(27)は、展開状態でサッシュ部に係止可能で、かつドア本体(21)に格納されるシート(65)と、シートの先端部(65b)に設けられてサッシュ部(28)に係止される後係止部(73)とを備えている。サッシュ部(28)は、格納箱体(41)の内部に格納される格納状態と、格納箱体(41)から突出して後係止部(73)が係止される突出状態とに切替可能に設けられている。

Description

本発明は、車両に形成されたドア開口部にドア本体が設けられ、このドア本体でドア開口部の一部を開閉可能に構成された車両用ドアに関する。
車両用ドアのなかには、車体のドア開口部を開閉可能なドアを備え、ドア本体の内部に日除け装置を備え、日除け装置にロールスクリーンが展開可能(引出し可能)に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用ドアによれば、ドアを閉じることによりドア本体および窓ガラスでドア開口部が閉じられ、この状態で日除け装置からロールスクリーンが展開される(引き出される)。展開されたロールスクリーンが窓ガラスの上端部に係止されてロールスクリーンが日除けとして用いられる。
さらに、車両用ドアのなかには、車体のドア開口部を開閉可能なドアを備え、ドア本体の内部に巻取装置を備え、巻取装置にロールスクリーンが展開可能に設けられたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この車両用ドアによれば、ドアを閉じることによりドア本体および窓ガラスでドア開口部が閉じられ、この状態で巻取装置からロールスクリーンが展開される。展開されたロールスクリーンがドアサッシュのウェザーストリップに係止されてロールスクリーンが遮光幕として用いられる。
さらにまた、車両のなかには、車体の開口部の上端に巻取り手段を備え、巻取り手段に防水カーテン(以下、「スクリーン」という)が展開可能に設けられたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。この車両によれば、巻取り手段からスクリーンが展開され、展開されたスクリーンが車体のフロア部に係止される。スクリーンがフロア部に係止されることにより、スクリーンで開口部が覆われ開口部の防水性が確保される。
実開昭57−72315号公報 特開平6−328943号公報 実開昭62−100229号公報
特許文献1、2に開示されている車両用ドアは、ドアに窓ガラスを備え、窓ガラスとロールスクリーンとを併用するものであり、コストの観点から改良の余地が残されている。ドアから窓ガラスを除去する車両用ドアとして、特許文献3のスクリーンを透明な素材で形成し、スクリーンの巻取り手段をドアの内部に収納するものが考えられる。特許文献3の車両によれば、巻取り手段からスクリーンを展開することにより、スクリーンを窓ガラスの代わりに用いることが可能になり、コストを抑えることができる。
例えば、特許文献3のスクリーンを窓ガラスの代わりに用いる場合、ドアにドアサッシュを備え、ドアサッシュにスクリーンを係止させて展開した状態に保つことが考えられる。しかし、通常のドアサッシュは、ドア開口部に沿って略U字状に固定されている。このため、ドアを閉じた状態において、ドア開口部の周縁付近をドアサッシュで覆うことになり、ドア開口部の開口面積を大きく確保することが難しい。
本発明は、ドアから窓ガラスを不要にでき、かつ車両のドア開口部の開口面積を大きく確保できる車両用ドアを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明によれば、車両のドア開口部を開閉する車両用ドアであって、前記ドア開口部の一部を覆うドア本体と、前記ドア開口部のうち前記ドア本体に覆われていない非覆部分を覆うように展開可能なスクリーン装置と、前記スクリーン装置を展開された状態に保持可能なサッシュ部と、を備えており、前記スクリーン装置は、前記非覆部分を覆うように展開された状態で前記サッシュ部に係止可能で、かつ、前記ドア本体に格納可能な可撓性を有するシートと、前記シートの展開方向側の先端部に設けられ、前記サッシュ部に係止される係止部と、を備え、前記サッシュ部は、前記ドア本体の内部に格納される格納状態と、前記ドア本体から突出して前記係止部が係止される突出状態とに切替可能に設けられる車両用ドアが提供される。
請求項2に係る発明では、好ましくは、前記ドア本体に、前記スクリーン装置および前記サッシュ部を格納可能な格納部を備え、前記格納部に、前記シートおよび前記サッシュ部を前記格納部の外部に導き出すための格納開口部が設けられ、前記サッシュ部が前記スクリーン装置より前記格納開口部側に格納される。
請求項3に係る発明では、好ましくは、前記格納部は、前記スクリーン装置およびサッシュ部を格納する断面略U字状の格納箱体を備え、前記格納箱体に前記スクリーン装置および前記サッシュ部が取り付けられる。
請求項4に係る発明では、好ましくは、前記ドア本体は、上下方向の一方の部位で、かつ、車体幅方向の一方の端部から前記ドア本体の内側に向けて凹むことにより、前記格納部が設けられたドア凹部を備え、前記ドア本体の車体幅方向の一方の面に前記ドア凹部を覆うガーニッシュが取り付けられる。
請求項5に係る発明では、好ましくは、前記シートは、該シートの展開方向に延びる縁部に沿わせて撓み防止用のワイヤが設けられ、前記シートの展開方向に交差する方向の縁部間の距離が前記シートの先端部に向かうにつれて小さくなる。
請求項6に係る発明では、好ましくは、前記ドア本体のドア長さ方向の一方側の端部に上下方向へ延びる固定窓部が設けられ、かつ、前記ドア本体のドア長さ方向の他方側の端部に前記サッシュ部が設けられ、前記固定窓部および前記サッシュ部の両方に前記係止部が係止される。
請求項7に係る発明では、好ましくは、前記車両の側部に前記ドア本体が設けられ、該ドア本体の前端部に前記固定窓部が設けられ、前記固定窓部は、該固定窓部の外面が車両の前方から後方に向かうにつれて車体幅方向外側に位置するように傾斜して設けられ、かつ、前記固定窓部の後端部が前記シートの前縁部よりも車体幅方向外側に配置されている。
請求項1に係る発明では、サッシュ部をドア本体から突出させて、サッシュ部に係止部を係止させることにより、シートを展開させた状態(引き出した状態)に保持できる。これにより、展開したシートでドア開口部を覆うことができるので窓ガラスを不要にでき、ドア(車両用ドア)から窓ガラスを除去できる。
一方、ドア本体にシートを格納した場合、サッシュ部をドア本体の内部に格納させることができる。よって、ドアを閉じた状態において、ドア開口部をサッシュ部で覆わないようにできる。これにより、ドアを閉じた状態において、ドア開口部の開口面積を大きく確保できる。さらに、サッシュ部をドア本体の内部に格納させることにより、ドアを開けた状態において、サッシュ部を避けることなく容易に乗降することができるので、乗降性が向上する。
請求項2に係る発明では、スクリーン装置およびサッシュ部を格納部に格納した。これにより、スクリーン装置およびサッシュ部を同じ格納部に格納できるので格納部の構造を簡略化できる。さらに、サッシュ部をスクリーン装置より格納開口部側に格納した。よって、シートを格納部から展開する際には、シートを展開する前に、サッシュ部をドア本体から突出させる必要がある。これにより、サッシュ部をドア本体から突出させない状態で、シートを格納部から誤って展開することを防ぐことができるので使い勝手の向上を図ることができる。
請求項3に係る発明では、格納箱体にスクリーン装置およびサッシュ部を取り付けることにより、格納部にスクリーン装置およびサッシュ部を一体にまとめることができる。これにより、格納部、スクリーン装置およびサッシュ部をユニット化できるので、格納部、スクリーン装置およびサッシュ部をドア本体に取り付ける作業を容易にできる。
請求項4に係る発明では、ドア本体のうち、上下方向の一方の部位で、かつ、車体幅方向の一方の端部にドア凹部を備え、ドア凹部に格納部を設けた。よって、ドア本体の角部にドア凹部を備えることができるので、ドア凹部を一方の部位側と一方の端部側との2方向に大きく開口させることができる。これにより、ドア凹部に格納部を取り付ける作業を容易にできる。
さらに、ドア本体の車体幅方向の一方の面にガーニッシュを設けて、ガーニッシュでドア凹部を覆うようにした。これにより、ガーニッシュでドア凹部を覆い、かつ、車体幅方向の一方の面を覆うことができるので、ドアの外観性を向上させることができる。
請求項5に係る発明では、シートの縁部に沿ってワイヤを設けることにより、シートの縁部が撓むことをワイヤで防止できる。これにより、シートを撓まないように保持できるので、シートでドア開口部を好適に覆うことができる。さらに、シートの縁部間の距離をシートの先端部に向かうにつれて小さくした。これにより、シートを格納する際に、ワイヤが重なることを防止できるので、シートを小さく格納することができる。
請求項6に係る発明では、固定窓部およびサッシュ部の両方に係止部を係止するようにした。これにより、固定窓部およびサッシュ部の両方でシートを支持できるので、シートでドア開口部を一層好適に覆うことができる。さらに、ドア本体の一方側の端部に固定窓部を設けることにより、ドア本体の車体前方側に固定窓部を設けることが可能になる。これにより、車両の走行時に発生する走行風を固定窓部で案内できるので、走行風によってシートが変形することを抑制できる。
請求項7に係る発明では、固定窓部の外面を車両の後方に向かうにつれて車体幅方向外側に傾斜させた。さらに、固定窓部の後端部をシートの前縁部よりも車両外側に配置させた。よって、車両前方から固定窓部に向かって導かれる走行風を固定窓部の外面で車体幅方向外側に案内し、走行風がシートの前縁部に導かれることを防止できる。これにより、固定窓部に向かって導かれる走行風によってシートが変形することを抑制できる。
本発明の実施例による車両用ドアを備えた車両を示す斜視図である。 図1の車両用ドアに備えたシートを格納した状態を示す斜視図である。 図2の3−3線に沿った断面図である。 図2の車両用ドアを示す分解斜視図である。 図3のスクリーンユニットを示す斜視図である。 図5の矢印6方向から見た図である。 図6のシートを展開した状態を示す断面図である。 本発明に係るシートを固定窓部およびサッシュ部で支持した状態を示す断面図である。 本発明に係るシートを形成する例を示した図である。 本発明に係る固定窓部を示す斜視図である。 図1の11−11線に沿った断面図である。 本発明に係る車両用ドアのサッシュ部を突出させる例を示した図である。 本発明に係るサッシュ部を突出位置に保持する例を示した図である。 本発明に係る固定窓部およびサッシュ部でシートを支持する例を示した図である。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付した図面に基づいて詳細に説明する。「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。実施例においては車両用ドア20としてサイドドアを例示するが、車両用ドア20はサイドドアに限定するものではない。
図1、図2に示すように、車両10は、側部11に開口されたドア開口部12と、ドア開口部12に開閉自在に設けられたサイドドア(車両用ドア)20とを備えている。ドア開口部12は、サイドシル13、フロントピラー14、リアピラー15およびルーフレール16などの骨格部材で略矩形状に形成されている。左右側のフロントピラー14(左側のフロントピラー14のみを図示する)間にフロント窓ガラス17が設けられている。
サイドドア20は、ドア開口部12を開閉するように、車両10の側部11のうちドア開口部12に開閉自在に設けられている。
図2、図3に示すように、サイドドア20は、ドア開口部12の下半部(一部)12aを覆うドア本体21と、ドア本体21に設けられたスクリーンユニット25と、スクリーンユニット25を覆うガーニッシュ31と、ドア本体21の前端部(ドア本体21のドア長さ方向の一方側の端部)21aに設けられた固定窓部33とを備えている。
ドア本体21は、樹脂材を用いてブロー成形で一体に成形された中空状の部材であり、ドア開口部12の下半部12aに前縁部21bがヒンジを介して開閉自在に設けられている。ドア本体21をブロー成形で一体に成形することによりドア本体21の構成を簡略化できる。ドア本体21は、上縁部に切り欠かれるように形成されたドア凹部22を有する。
ドア凹部22は、ドア本体21の上部(上下方向の一方の部位)21cで、かつ、車体幅方向の内端部(車体幅方向の一方の端部)21dに凹むように形成されている。ドア本体21の上部21c、かつ、車体幅方向の内端部21dで決められる部位は、ドア本体21の車室側の凸角部である。ドア凹部22がドア本体21の内側に向けて凹むように形成されることにより、ドア凹部22は凹部底面22aと凹部壁面22bとで形成される。凹部底面22aは略水平に形成された面であり、凹部壁面22bは略鉛直に形成された面である。
ドア凹部22にスクリーンユニット25(具体的には、格納部26)が設けられている。ドア本体21の凸角部にドア凹部22を備えることにより、ドア凹部22をドア本体21の上部21c側と内端部21d側との2方向に大きく開口させることができる。これにより、ドア凹部22にスクリーンユニット25を取り付ける作業の容易化が図れる。
さらに、ドア本体21のドア内面(車体幅方向の一方の面)21eにガーニッシュ31がボルト32(図4参照)で取り付けられている。これにより、ガーニッシュ31でドア凹部22、スクリーンユニット25およびドア内面21eが覆われ、ドア本体21(すなわち、サイドドア20)の外観性を向上させることができる。
図4、図5に示すように、スクリーンユニット25は、ドア凹部22に設けられた格納部26と、格納部26に設けられたスクリーン装置27と、格納部26においてスクリーン装置27の上方に設けられたサッシュ部28とを備えている。
格納部26は、断面略U字状の格納箱体41と、格納箱体41にサッシュ部28を支持するサッシュ支持手段51とを備えている。スクリーン装置27およびサッシュ部28は格納部26に格納される。スクリーン装置27およびサッシュ部28を同じ格納部26に格納できるので格納部26の構造を簡略化できる。
格納箱体41は、スクリーン装置27およびサッシュ部28を格納可能にボックス状に形成されている。格納箱体41は、凹部底面22a(図3)に載置された箱底部42と、凹部壁面22b(図3)に接触された箱内壁43と、ドア内面21eに対して略面一に設けられた箱外壁44と、箱底部42、箱内壁43および箱外壁44の各前端に設けられた箱前壁45と、箱底部42、箱内壁43および箱外壁44の各後端に設けられた箱後壁46とを有する。
この格納箱体41は、箱底部42、箱内壁43、箱外壁44、箱前壁45および箱後壁46でボックス状に形成され、上方が開口された格納開口部47が設けられている。箱前壁45および箱後壁46にそれぞれ前後の取付ブラケット48,49が形成されている。前後の取付ブラケット48,49がボルト56,56で凹部壁面22b(図3参照)に取り付けられることにより、格納箱体41がドア凹部22に取り付けられる。
格納箱体41にスクリーン装置27およびサッシュ部28が格納され、格納箱体41にスクリーン装置27およびサッシュ部28が取り付けられている。よって、格納部26にスクリーン装置27およびサッシュ部28を一体的にまとめることができる。これにより、格納部26、スクリーン装置27およびサッシュ部28をユニット化できるので、格納部26、スクリーン装置27およびサッシュ部28をドア本体21に取り付ける作業の容易化を図ることができる。
格納箱体41は格納開口部47を有する。従って、スクリーン装置27のシート65やサッシュ部28は格納開口部47を経て格納箱体41の外部に導き出される。
図6、図7に示すように、サッシュ支持手段51は、サッシュ部28の基部28aを回動自在に支持する支持軸52と、サッシュ部28を突出させた状態に支持する突出支持部53と、サッシュ部28を格納した状態に支持する格納支持部54とを備えている。突出支持部53については後で詳しく説明する。
図3、図5に示すように、スクリーン装置27は、格納箱体41の箱底部42側に設けられた巻取手段61と、巻取手段61に巻取可能に基端部65aが取り付けられたシート65と、シート65の先端部65bに設けられた前後の係止部71,73とを備えている。このスクリーン装置27は、図1に示すように、ドア開口部12のうちドア本体21に覆われていないドア開口部12の上半部(ドア本体21に覆われていない非覆部分)12bを覆うように展開可能に構成されている。
図3、図5に戻って、巻取手段61は、箱底部42の前端部寄りに設けられた巻取ばね部62と、巻取ばね部62および箱後壁46に回転自在に架け渡された巻取ロッド63とを備えている。
シート65は、可撓性や防水性を有し、巻取ロッド63に基端部65aが取り付けられることにより、巻取ばね部62のばね力で巻取ロッド63に巻き取られる。シート65を巻取ロッド63に巻き取ることにより、巻き取られたシート65が格納箱体41(ドア本体21のドア凹部22)に格納される。
シート65の展開方向(引出し方向)側の先端部65bに直線状の補強バー66が設けられている。シート65の展開方向を矢印で示す。シート65の先端部65bに補強バー66を設けることにより、先端部65bを補強バー66で直線状に保持することができる。よって、補強バー66を手でつかみ、巻取ばね部62のばね力に抗して上方(矢印方向)に展開することにより、シート65が先端部65bを直線状(略水平)に保持した状態で展開される(引き出される)。
シート65の補強バー66に前係止部71および後係止部73が設けられている。前係止部71および後係止部73は、シート65が巻取ロッド63に巻き取られた状態で箱内壁43の上縁43aに係止可能に形成されている。前係止部71および後係止部73を箱内壁43の上縁43aに係止することにより、シート65の補強バー66は箱内壁43の上縁43aに配置される。
よって、シート65の補強バー66を手でつかみやすい位置に配置できるので、図8に示すように、シート65を簡単に展開することができる。シート65を簡単に展開した状態で、前係止部71が固定窓部33の係止孔38(図10参照)に係止され、後係止部73がサッシュ部28の係止段部79(図7参照)に係止される。よって、シート65が展開された状態に保持される。これにより、図1に示すように、ドア開口部12の上半部12bをシート65で覆うことができる。
また、図8に示すように、シート65は、シート65の展開方向(矢印方向)に延びる前縁部(縁部)65cと、シート65の展開方向に延びる後縁部(縁部)65dとを有する。さらに、シート65は、前縁部65cに沿わせて撓み防止用の前ワイヤ(ワイヤ)75が設けられ、後縁部65dに沿わせて撓み防止用の後ワイヤ(ワイヤ)76が設けられている。
このシート65は、前縁部65cおよび後縁部65d間の距離(縁部間の距離)Lがシート65の先端部65bに向かうにつれて小さくなるように形成されている。前縁部65cおよび後縁部65d間の距離Lは、シート65の展開方向(矢印方向)に交差する方向の距離である。前ワイヤ75および後ワイヤ76は、ばね性を備えた線材が側面視鋸刃状に形成され、シート65が展開された状態において伸長された状態に保たれる。
よって、シート65が展開された状態において、前ワイヤ75および後ワイヤ76を張った状態に保つことができる。これにより、シート65の前縁部65cが撓むことを前ワイヤ75で防止でき、シート65の後縁部65dが撓むことを後ワイヤ76で防止できる。したがって、シート65を撓まないように保持できるので、シート65でドア開口部12の上半部12b(図1参照)を好適に覆うことができる。
さらに、前縁部65cおよび後縁部65d間の距離Lをシート65の先端部65bに向かうにつれて小さくした。これにより、シート65を格納する際に、前ワイヤ75が重なることを防止でき、かつ、後ワイヤ76が重なることを防止できるので、シート65を小さく巻き取る(格納する)ことができる(図5参照)。
加えて、図9に示すように、シート65の前縁部65cおよび後縁部65dを同じ傾斜角θに設定されている。すなわち、シート65は左右対称に形成されている。よって、帯状のシート素材81から複数のシート65を形成する際に、シート素材81を無駄にすることなく複数のシート65を形成でき、歩留りを高めることができる。さらに、シート65の前縁部65cおよび後縁部65dを同じ傾斜角θに設定することにより、シート65を左右間違えて組み付けることを防止できるので、組立作業の容易化が図れる。
図6、図7に示すように、サッシュ部28は、棒状に形成された部材であり、ドア本体21の後端部(ドア本体21のドア長さ方向の他方側の端部)21f(図1、図2)に設けられている。このサッシュ部28は、基部28aに長手方向に沿って長孔78が形成され、先端部28bに係止段部79が形成されている。
基部28aの長孔78がサッシュ支持手段51の支持軸52に嵌合されることにより、サッシュ部28が支持軸52を軸にして揺動可能に支持されている。サッシュ部28を揺動することにより、サッシュ部28が格納位置P1(格納状態)と突出位置P2(突出状態)とに切り替えられる。
サッシュ部28が格納位置P1に配置された状態で、サッシュ部28の先端部28bが格納支持部54に接触し、かつ、サッシュ部28の基端円弧面28cが箱後壁46に接触する。さらに、支持軸52が長孔78の下端部78aに接触する。これにより、格納支持部54および支持軸52でサッシュ部28が格納箱体41の内部(すなわち、ドア本体21のドア凹部22)に格納された格納位置P1に格納状態で保持される。さらに、支持軸52および箱後壁46でサッシュ部28の水平方向への移動が阻止される。この状態で、格納部26においてサッシュ部28がスクリーン装置27の上方に配置される。
一方、サッシュ部28が突出位置P2に配置された状態で、サッシュ部28の突出支持部53に基部28aが係止する。具体的には、突出支持部53のストッパ53aに基部28aの下面28eが接触し、突出支持部53の壁部53bに基部28aの壁面28fが接触する。この状態で、サッシュ部28の基端鉛直面28dが箱後壁46に接触する。さらに、支持軸52が長孔78の上端部78b側に配置される。
よって、サッシュ部28が突出位置P2に突出された状態に保持される。サッシュ部28が突出位置P2に保持された突出状態で、サッシュ部28の係止段部79に後係止部73が係止される。これにより、シート65が展開された状態で先端部65bの後端65eがサッシュ部28に係止されることにより、スクリーン装置27が展開された状態でサッシュ部28に保持される。
ここで、サッシュ部28が格納位置P1に格納状態において、サッシュ部28はスクリーン装置27よりも格納開口部47側に格納される。よって、シート65を格納開口部47から展開する際には、シート65を展開する前に、サッシュ部28を格納箱体41の内部(すなわち、ドア本体21のドア凹部22)から突出させる必要がある。これにより、サッシュ部28を格納箱体41の内部から突出させない状態で、シート65を格納箱体41の内部から誤って展開することを防ぐことができるので使い勝手の向上を図ることができる。
また、ドア本体21にシート65を格納した場合、サッシュ部28を格納箱体41の内部に格納させることができる。よって、サイドドア20を閉じた状態において、図1に示すドア開口部12の上半部12b(具体的には、上半部12bの後部)をサッシュ部28で覆わないようにできる。これにより、サイドドア20を閉じた状態において、ドア開口部12の開口面積を大きく確保できる。さらに、サッシュ部28をドア本体21の内部に格納させることにより、サイドドア20を開けた状態において、サッシュ部28を避けることなく容易に乗降することができるので、乗降性が向上する。
図7に示すように、後係止部73は、補強バー66の後端66a(すなわち、シート65(先端部65b)の後端65e)に設けられている。この後係止部73は、頂部73aがサッシュ部28の係止段部79に係止可能で、かつ、箱内壁43の上縁43a(図5参照)に係止可能に形成されたフックである。
また、図10に示すように、前係止部71は、補強バー66の前端66b(すなわち、シート65(先端部65b)の前端65f)に設けられている。この前係止部71は、頂部71aが固定窓部33の係止孔38に係止可能で、かつ、箱内壁43の上縁43a(図5参照)に係止可能に形成されたフックである。
図8に示すように、サッシュ部28が突出位置P2に支持されて係止段部79に後係止部73が係止され、さらに、固定窓部33の係止孔38(図10参照)に前係止部71が係止される。よって、固定窓部33およびサッシュ部28の両方でシート65を支持できる。これにより、シート65を展開させた状態で良好に保持できるので、シート65で車両10のドア開口部12(図1参照)を好適に覆うことができる。このように、シート65を展開することにより、シート65でドア開口部12を覆うことができるので窓ガラスを不要にでき、サイドドア20(図2参照)から窓ガラスを除去できる。
図2、図10に示すように、固定窓部33は、ガラスや樹脂で形成され、ドア本体21の前端部21aにおいて、上下方向へ延びるように設けられている。固定窓部33は、車両10の側部11の外側に設けられた略台形状の側窓部34と、側窓部34の下端部34aに設けられた略三角形状の下窓部35と、側窓部34の上端部34bに設けられた略三角形状の上窓部36とを備えている。
下窓部35がドア本体21の前端部21aに設けられることにより、ドア本体21の前端部21aに固定窓部33が設けられている。ドア本体21の車体前方側に固定窓部33を設けることにより、車両10の走行時に発生する走行風を固定窓部33で案内できるので、走行風によってシート65が変形することを抑制できる。
上窓部36に上折曲部37が形成され、上折曲部37に係止孔38が形成されている。係止孔38は、前係止部71が係止可能に形成されている。係止孔38に前係止部71が係止されることにより、シート65が固定窓部33で展開された状態に保持される。
図10、図11に示すように、固定窓部33の側窓部34は、外面34cが車両10の前方から後方に向かうにつれて車体幅方向外側に位置するように傾斜して設けられている。さらに、固定窓部33の後端部34dは、シート65の前縁部65cよりも車体幅方向外側に配置されている。よって、車両前方から固定窓部33に向かって導かれる走行風を固定窓部33の外面34cで車体幅方向外側に矢印の如く案内し、走行風がシート65の前縁部65cに導かれることを防止できる。これにより、固定窓部33に向かって導かれる走行風によってシート65が変形することを抑制できる。
さらに、シート65は、車両10の前方から後方に向かうにつれて車体幅方向外側に位置するように傾斜して設けられている。よって、シート65の後縁部65dがサッシュ部28よりも車体幅方向外側に配置されている。これにより、車両前方から固定窓部33に向かって導かれる走行風がシート65の後縁部65dとサッシュ部28間の隙間から車室82内に入り込むことを防止できる。
つぎに、車両10のドア開口部12をシート65で覆う例を図12〜図14に基づいて説明する。
図12(a)に示すように、サッシュ部28を支持軸52を軸にして格納位置P1から突出位置P2方向に向けて矢印A方向に揺動する(突出させる)。この状態において、サッシュ部28の基端円弧面28cが箱後壁46に接触した状態で矢印B方向に移動する。図12(b)に示すように、サッシュ部28を突出位置P2まで突出する。
図13(a)に示すように、サッシュ部28を突出位置P2まで突出させた後、突出させたサッシュ部28を矢印Cの如く下降させる。サッシュ部28の長孔78が支持軸52に沿って下降するとともに、サッシュ部28の基端鉛直面28dが箱後壁46に沿って下降する。
図13(b)に示すように、サッシュ部28の基部28aが突出支持部53に係止する。よって、突出支持部53のストッパ53aに基部28aの下面28eが当接し、突出支持部53の壁部53bに基部28aの壁面28fが当接する。この状態で、サッシュ部28の基端鉛直面28dが箱後壁46に接触されている。よって、サッシュ部28が突出位置P2に突出された状態に保持される。
図14(a)に示すように、シート65の補強バー66を手でつかみ、補強バー66を巻取ばね部62のばね力に抗して矢印Dの如く上方に展開する(引き出す)。図14(b)に示すように、シート65を展開させた状態において、サッシュ部28の係止段部79に後係止部73を係止し、固定窓部33の係止孔38(図14(a)参照)に前係止部71を係止する。これにより、シート65を展開させた状態に保持して、シート65で車両10のドア開口部12を覆うことができる。
なお、本発明に係る車両用ドア20は、本実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。例えば、実施例では、車両10の側部11に車体幅方向を向けてサイドドア20を設けた例について説明したが、これに限らないで、車両10の後部にドアを車体幅方向に向けて設けることも可能である。
また、実施例では、サッシュ部28を支持軸52を軸にして揺動させることにより、サッシュ部28を格納位置P1と突出位置P2とに切り替える例について説明したが、これに限定するものではない。例えば、サッシュ部28を上下方向にスライド(昇降)させることにより、サッシュ部28を格納位置P1と突出位置P2とに切り替えるように構成することも可能である。
さらに、実施例では、サッシュ部28や固定窓部33にシート65(補強バー66)を支持する前後の係止部71,73としてフックを例示したが、これに限らないで、磁石などの他の係止手段を用いることも可能である。
また、実施例では、前ワイヤ75および後ワイヤ76を側面視鋸刃状に形成した例について説明したが、これに限らないで、前ワイヤ75および後ワイヤ76を直線状に形成して前後の縁部65c,65dに沿わせるように設けることも可能である。
さらに、実施例では、ドア本体21の前端部21aに下窓部35を設けることによりドア本体21の前端部21aに固定窓部33を設ける例について説明したが、固定窓部33の取り付け方法はこれに限定するものではない。例えば、ドア本体21の前端部21aから前サッシュ部を突出させ、ドア本体21の前端部21aに下窓部35を設けるとともに、前サッシュ部に側窓部34の前縁部65cを設けることにより、ドア本体21の前端部21aに固定窓部33を設けることも可能である。
また、実施例では、固定窓部33の上窓部36に上折曲部37を一体に形成した例について説明したが、これに限らないで、上窓部36に上折曲部37をインサート成形で設けることも可能である。この場合、上窓部36をガラスや樹脂で成形し、上折曲部37を金属で形成することが可能である。
さらに、実施例では、シート65を左右対称に形成した例について説明したが、これに限定するものではなく、シート65を非左右対称に形成することも可能である。
また、実施例で示した車両、ドア開口部、車両用ドア、ドア凹部、格納部、スクリーン装置、サッシュ部、ガーニッシュ、固定窓部、格納箱体、格納開口部、シート、前後の係止部および前後のワイヤなどの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
本発明は、車両に形成されたドア開口部にドア本体が設けられ、このドア本体でドア開口部の一部を開閉可能な車両用ドアを備えた自動車への適用に好適である。
10…車両、11…車両の側部、12…ドア開口部、12a…ドア開口部の下半部(ドア開口部の一部)、12b…ドア開口部の上半部(ドア本体21に覆われていない非覆部分)、20…車両用ドア、21…ドア本体、21a…ドア本体の前端部(ドア本体のドア長さ方向の一方側の端部)、21c…ドア本体の上部(上下方向の一方の部位)、21d…車体幅方向の内端部(車体幅方向の一方の端部)、21e…ドア本体のドア内面(車体幅方向の一方の面)、21f…ドア本体の後端部(ドア本体のドア長さ方向の他方側の端部)、22…ドア凹部、26…格納部、27…スクリーン装置、28…サッシュ部、31…ガーニッシュ、33…固定窓部、34c…固定窓部の外面、34d…固定窓部の後端部、41…格納箱体、47…格納開口部、65…シート、65b…シートの先端部、65c…前縁部(縁部)、65d…後縁部(縁部)、71…前係止部(係止部)、73…後係止部(係止部)、75…前ワイヤ(ワイヤ)、76…後ワイヤ(ワイヤ)、L…前縁部および後縁部間の距離(縁部間の距離)。

Claims (7)

  1. 車両のドア開口部を開閉する車両用ドアであって、
    前記車両用ドアは、
    前記ドア開口部の一部を覆うドア本体と、
    前記ドア開口部のうち前記ドア本体に覆われていない非覆部分を覆うように展開可能なスクリーン装置と、
    前記スクリーン装置を展開された状態に保持可能なサッシュ部と、
    を備え、
    前記スクリーン装置は、
    前記非覆部分を覆うように展開された状態で前記サッシュ部に係止可能で、かつ、前記ドア本体に格納可能な可撓性を有するシートと、
    前記シートの展開方向側の先端部に設けられ、前記サッシュ部に係止される係止部と、を備え、
    前記サッシュ部は、
    前記ドア本体の内部に格納される格納状態と、前記ドア本体から突出して前記係止部が係止される突出状態とに切替可能に設けられることを特徴とする車両用ドア。
  2. 前記ドア本体に、前記スクリーン装置および前記サッシュ部を格納可能な格納部を備え、
    前記格納部に、前記シートおよび前記サッシュ部を前記格納部の外部に導き出すための格納開口部が設けられ、
    前記サッシュ部が前記スクリーン装置より前記格納開口部側に格納される、請求項1に記載の車両用ドア。
  3. 前記格納部は、
    前記スクリーン装置およびサッシュ部を格納する断面略U字状の格納箱体を備え、前記格納箱体に前記スクリーン装置および前記サッシュ部が取り付けられる、請求項2に記載の車両用ドア。
  4. 前記ドア本体は、
    上下方向の一方の部位で、かつ、車体幅方向の一方の端部から前記ドア本体の内側に向けて凹むことにより、前記格納部が設けられたドア凹部を備え、
    前記ドア本体の車体幅方向の一方の面に前記ドア凹部を覆うガーニッシュが取り付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ドア。
  5. 前記シートは、
    該シートの展開方向に延びる縁部に沿わせて撓み防止用のワイヤが設けられ、前記シートの展開方向に交差する方向の縁部間の距離が前記シートの先端部に向かうにつれて小さくなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドア。
  6. 前記ドア本体のドア長さ方向の一方側の端部に上下方向へ延びる固定窓部が設けられ、かつ、前記ドア本体のドア長さ方向の他方側の端部に前記サッシュ部が設けられ、
    前記固定窓部および前記サッシュ部の両方に前記係止部が係止される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ドア。
  7. 前記車両の側部に前記ドア本体が設けられ、該ドア本体の前端部に前記固定窓部が設けられ、
    前記固定窓部は、
    該固定窓部の外面が車両の前方から後方に向かうにつれて車体幅方向外側に位置するように傾斜して設けられ、かつ、前記固定窓部の後端部が前記シートの前縁部よりも車体幅方向外側に配置されている、請求項6に記載の車両用ドア。
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