JPWO2013172352A1 - 4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類の製造方法 - Google Patents
4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
また、2−(4−ブロモフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピランと1,3−ジブロモベンゼンをグリニャール反応させて、次いで脱保護する方法(特許文献2)、4−メトキシフェニルボロン酸と1,3−ジヨードベンゼンを反応させて、次いで脱保護する方法(特許文献3)により、それぞれ4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニルを合成する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法によれば、有機金属化合物等の特殊で高価な原料を用いると共に、グリニヤール反応等を行うために、製造費用が非常に高く、工業的には実施し難いものである。
また一方、トリスフェノール類からのジヒドロキシ−p−ターフェニル類の製造方法(特許文献4)も知られているが、不飽和ケトンからのトリスフェノール類の製造方法やジヒドロキシ−m−ターフェニル類の製造方法については何ら記載されていない。
(式中、R2は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子を表し、mは各々独立して0又は1〜4の整数を示し、mが1以上の場合、3位に置換せず、mが2以上の場合、R2は各々同一でも異なっていてもよく、同一の炭素原子に2つ置換しない。また、一般式(1)のR2及びmと一般式(2)R2及びmは、それぞれ同じでもよく異なっていてもよい。)
(式中、R1は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を表し、nは0又は1〜4の整数を示し、nが2以上の場合、R1は各々同一でも異なっていてもよい。)
工程(A):2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類とフェノール類を触媒の存在下に反応させて下記一般式(5)で表される1,1,3−トリスフェノール類を得る工程
工程(B):1,1,3−トリスフェノール類を分解反応させて下記一般式(6)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を得る工程
工程(C):ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を脱水素して4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類を得る工程
工程(D):2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類とフェノール類を触媒の存在下に反応させて下記一般式(6)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を得る工程
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、結合位置が固定されていない4−ヒドロキシフェニル基の結合位置はシクロヘキセン環の3位又は5位である。)
本発明の4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類の製造方法によれば、出発原料として
(式中、R2は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子を表し、mは各々独立して0又は1〜4の整数を示し、mが1以上の場合、R2は3位には置換せず、mが2以上の場合、R2は各々同一でも異なっていてもよく、同一の炭素原子に2つ置換しない。また、一般式(1)のR2及びmと一般式(2)のR2及びmは、それぞれ同じでもよく異なっていてもよい。)
で表される2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類が用いられる。
上記アルキル基としては、好ましくは炭素原子数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を挙げることができる。
より好ましいアルキル基は炭素原子数1〜8の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、特に好ましいアルキル基は炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基である。これらの具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。また上記炭素原子数5〜12のシクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロへプチル基等を挙げることができる。
また、本発明の効果を妨げない範囲において、上記アルキル基にハロゲン原子、アルコキシ基、フェニル基、酸素原子(環状エーテル基)等が置換していてもよく、また、置換していなくてもよい。具体的には例えば、ベンジル基、メトキシエチル基、3−クロロプロピル基等が挙げられる。
より好ましいアルコシキ基は炭素原子数1〜8の直鎖状、分岐鎖状のアルコキシ基、炭素原子数5〜6のシクロアルコキシ基であり、特に好ましいアルコキシ基は炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルコキシ基であり、これらの具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。また上記炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基としては、例えばシクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。また、本発明の効果を妨げない範囲において、上記アルコキシ基にハロゲン原子、アルコキシ基、フェニル基等が置換していてもよく、また置換していなくてもよい。具体的には例えば、2−フェニルエトキシ基、メトキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基等が挙げられる。
また、本発明の効果を妨げない範囲において、上記芳香族炭化水素基にアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子等が置換していてもよく、また置換していなくてもよい。具体的には4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
また、一般式(1)で表される2−シクロヘキセン−1−オン類において、R2で表される置換基は、置換位置としては4位又は/及び5位が好ましく、また、2位には置換基がないことが好ましい。
従って、上記2−シクロヘキセン−1−オン類としては、具体的には例えば、
2−シクロヘキセン−1−オン、6−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、6−フルオロ−2−シクロヘキセン−1−オン、2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−メトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン、2−クロロ−2−シクロヘキセン−1−オン、4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−エチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−イソプロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−t−ブチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−シクロヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−フェニル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−フェニルメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−エチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−イソプロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−t−ブチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−n−ブチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−フェニル−2−シクロヘキセン−1−オン、2,6−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−イソプロピル−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−イソプロピル−5−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2,5,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン等が挙げられる。
このような2−シクロヘキセン−1−オン類は、例えば2−アルキリデンシクロアルカノンを酸触媒、白金触媒の存在下に異性化する方法(特公昭58−42175号公報等)、2−(1−ヒドロキシルアルキル)シクロアルカノンを酸触媒等の存在下に脱水異性化する方法(特開昭56−147740号公報等)、ジカルボニル化合物を環化縮合する方法(特開平10−130192号公報等)等の公知の方法で容易に得ることができる。
従って、上記3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類としては、具体的には例えば3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、6−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、6−フルオロ−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2−エチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2−メトキシ−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2−クロロ−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−エチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−イソプロピル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−t−ブチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−シクロヘキシル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−フェニル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4−フェニルメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−エチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−イソプロピル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−t−ブチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−n−ブチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−フェニル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2,6−ジメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、5−イソプロピル−2−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2−イソプロピル−5−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン、2,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン等が挙げられる。
このような3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類は、例えば多価ヒドロキシアルキルフェノールを水素化触媒等の存在下に環水素化する方法(特開平11−60534号公報等)等の公知の方法で容易に得ることができる。
(式中、R1は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を表し、nは0又は1〜4の整数を示し、nが2以上の場合、R1は各々同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(3)で表されるフェノール類において、R1は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を表し、nは0又は1〜4の整数を示し、nが2以上の場合、R1は各々同一でも異なっていてもよい。
上記アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子の具体例、好ましい範囲、好ましい例としては、一般式(1)又は一般式(2)のR2のアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子の具体例、好ましい範囲、好ましい例と同じである。また、R1であるアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基に置換してもよい置換基やその具体例も本願効果を損なわない範囲においてR2で説明した置換基やその具体例と同じであり、置換基がなくてもよい。また、nは、好ましくは0又は1〜3であり、より好ましくは0又は1〜2であり、特に好ましくは0である。nが2以上の場合、R1は各々同一でも異なっていてもよい。
また、R1で表される置換基は、水酸基のパラ位には置換しない。置換位置としては水酸基のオルソ位が好ましく、また、水酸基のメタ位の少なくとも一つ又は両方に置換基R1がないことがより好ましく、両方に置換基がないことが特に好ましい。
また、水酸基のメタ位の置換基はメチル基、又はメトキシ基が好ましい。
従って、好ましいフェノール類としては、下記一般式(7)で表される。
(式中、R3、R5は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子を表し、R4は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を表す。)
基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子を表し、R4は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を表し、R3、R4、R5がアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子である場合の具体例、好ましい範囲、好ましい例は、R2で説明したアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子の具体例、好ましい範囲、好ましい例と同じである。また、R3、R4又はR5であるアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基に置換してもよい置換基やその具体例も本願効果を損なわない範囲においてR2で説明した置換基やその具体例と同じであり、置換しなくてもよい。
また、R3、R4は共に3級アルキル基でないことが好ましく、一方が3級アルキル基の場合もう一方は水素原子、1級アルキル基又は2級アルキル基であることがより好ましい。
また、R3、R4が芳香族炭化水素基である場合、R3又はR4のどちらか一方のみが芳香族炭化水素基である方が好ましい。
また、収率の観点から工程(A)の原料とする場合には、R5が水素原子であることが好まししく、工程(D)の原料とする場合には、R5は水素原子でないこと、即ち、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であることが好ましく、アルキル基又はアルコキシ基であることがより好ましく、メチル基、メトキシ基であることが特に好ましい。
従って、フェノール類としては、具体的には例えば、
フェノール、カテコール、o−クレゾール、m−クレゾール、2−エチルフェノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、2−フェニルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−イソブチルフェノール、2−クロロフェノール、2−メトキシフェノール、5−メチル−2−t−ブチルフェノール、5−メチル−2−シクロへキシルフェノール等が挙げられる。
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、置換位置が固定されていないヒドロキシフェニル基の置換位置はヒドロキシ基のパラ位又はオルソ位である。)
上記一般式(5)において、R1、nは一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。また、R2はヒドロキシフェニル基の置換したシクロヘキサン環の炭素原子には置換せず、mが2以上の場合、R2は同一の炭素原子に置換しない。R2の好ましい置換位置は、シクロヘキサン−1,1,3−トリイル基(1,1,3−シクロヘキサン環)の4位又は/及び5位である。
また、式中、結合位置が固定されていないヒドロキシフェニル基(シクロヘキサン環の1位の炭素原子と結合する2つのヒドロキシフェニル基の一方)のシクロヘキサン環への結合位置は、フェニル基に置換した水酸基に対してオルソ位又はパラ位である。
結合位置がオルソ位の場合は、他のヒドロキシフェニル基において水酸基のオルソ位の少なくともひとつが無置換であることが好ましい。
好ましい1,1,3−トリスフェノール類としては、下記一般式(8)又は一般式(9)で表される。
(式中、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、R3及びR4は各々独立して一般式(7)のそれと同じである。)
従って、1,1,3−トリスフェノール類としては具体的には例えば
1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3,4−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(3−イソプロピル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−6−メチルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メトキシシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−シクロヘキシルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−5−t−ブチルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−5−フェニルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−イソプロピルシクロヘキサン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2,5,6−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(3−メチル−2−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
例えば、フェノールと2−シクロヘキセン−1−オン又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとの反応により1,1,3−トリスフェノールを得る反応は下記の反応式(1)で示される。
一般式(3)のフェノール類を2種類以上同時に又は順次反応させた場合には、3つのヒドロキシフェニル基の置換基、置換位置及び/又は置換数が同一でないトリスフェノール及び同一のトリスフェノールが混在して生成する。
本発明の製造方法において、一般式(3)で表されるフェノール類と一般式(1)で表される2−シクロヘキセン−1−オン類又は一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクヘキサン−1−オン類との反応に際し、フェノール類は2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類に対し、好ましくは3〜50モル倍の範囲、より好ましくは5〜30モル倍、特に好ましくは8〜20モル倍の範囲で用いられるが、これに限定されるものではない。
酸触媒としては例えばプロトン酸触媒、ルイス酸触媒等の気体状、液体状及び固体状酸触媒が挙げられる。
具体的には例えば、塩化水素ガス、塩酸、硫酸、リン酸、無水硫酸等の無機酸、P−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はトリクロロ酢酸等の有機酸、塩化アルミウム、塩化鉄等のハロゲン化金属類又はリンタングステン酸もしくはケイタングステン酸等のヘテロポリ酸又は陽イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。
前記触媒のうち、特に好ましいのは塩酸又は塩化水素ガスである。
酸触媒の使用量は、特に限定されるものではない。好ましい使用量は触媒により適量が異なるので一概には言えないが、例えば35%塩酸の場合、2−シクロへキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロへキサン−1−オン類に対し、好ましくは0.1〜3モル倍、より好ましくは0.2〜1.0モル倍、特に好ましくは0.3〜0.6モル倍の範囲で用いられる。
助触媒としては、メルカプト基を有する化合物乃至高分子化合物が好ましく、具体的には例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類やメルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸等のメルカプタンカルボン酸、メルカプト基を有する陽イオン交換樹脂又は有機高分子シロキサン等が挙げられる。
なお、メチルメルカプタンを使用する場合は、ナトリウム塩水溶液として使用してもよい。助触媒の使用量は、特に限定されるものではなく、反応条件や種類により適量が異なるので一概には言えないが、例えばアルキルメルカプタンを用いる場合、使用量は2−シクロへキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロへキサン−1−オン類に対し、好ましくは0.5〜50モル%、より好ましくは2〜30モル%、特に好ましくは4〜20モル%の範囲である。
反応温度は、好ましくは、0〜80℃、より好ましくは10〜60℃、特に好ましくは15〜50℃の範囲で行われる。
このような反応条件においては、反応は、原料を全て反応系内に添加した後、好ましくは80時間程度以内で完結する。
例えば、原料フェノール類が、反応させる際に液状であればそれ自体溶媒となるので、必ずしも他に溶媒を用いなくてもよい。
反応溶媒を用いる場合、本願効果を阻害しない範囲であれば、溶媒の種類及び添加量に特に限定はないが、好ましい反応溶媒としては、具体的には例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール又は2−プロパノール等の低級脂肪族アルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類、又はこれらの混合溶剤が挙げられる。
反応溶媒は、2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類に対し、好ましくは0.1〜20モル倍の範囲で用いられる。
好ましい態様によれば、例えば、反応容器に所定量のフェノール類、酸触媒及び必要に応じて、助触媒、反応溶媒を仕込み、窒素気流下に撹拌しながら、所定の反応温度まで昇温した後、そこに2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類を逐次添加していく方法が挙げられる。
しかしながら1,1,3−トリスフェノール類を適宜の程度の純度で取り出すことが好ましい。その場合、反応終了後、公知の単離乃至精製方法を適宜適用し、中和、水洗等の後処理を行ってもよい。
例えば、反応終了液に水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等のアルカリ水溶液を加えて、酸触媒を中和する。
その後、必要に応じて水と分離する芳香族炭化水素や脂肪族ケトン等の溶媒を加え、水層を分離除去して得られた油層を、冷却して晶析又は沈殿させた後に、濾過することにより1,1,3−トリスフェノール類の粗製結晶、又は固体を得ることができる。
また、前記水層を分離除去して得られた油層は、必要に応じて、再度、水を加え撹拌して水洗した後、水層を分離除去する操作を1回乃至複数回繰り返した後、得られた油層を冷却して晶析又は沈殿させた後に、濾過することによりトリスフェノール類の粗製結晶、又は固体を得ることもできる。また、前記した水層を分離除去して得られた油層は、これを蒸留して溶媒と未反応フェノール類を留去した後、その残液を適宜の溶媒に溶解させて、得られた溶液を冷却して晶析又は沈殿させた後、濾過してもよく、また、トリスフェノール類の結晶化が困難な場合には、蒸留して得られた残渣を冷却して粗製物として得ることもできる。上記晶析工程においては、1,1,3−トリスフェノール類によっては使用する溶媒や原料フェノール類との付加物結晶(アダクト結晶)として得られる場合もある。また得られた結晶、固体又は粗製物は必要に応じて晶析等の公知の精製方法を用いて高純度化し、これを次工程の原料に使用することができる。
次工程(B)の原料としては、このように晶析又は沈殿させた後、濾別して得られた1,1,3−トリスフェノール類を用いるのが好ましい。
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、また、結合位置が固定されていない4−ヒドロキシフェニル基の結合位置はシクロヘキセン環の3位又は5位である。)
従って、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類は具体的には下記一般式(10)で表される1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類又は下記一般式(11)で表される1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類である。
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
また、R1の好ましい置換位置は一般式(3)のそれと同じであり、R2の好ましい置換位置は、中心の1−シクロヘキセン−1,3−ジイル基の4位、5位又は1−シクロヘキセン−1,5−ジイル基の3位、4位であり、mが2以上の場合、シクロヘキセン−ジイル基の同じ炭素原子にR2は2つ置換しない。
(式中、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、R3、R4及びR5は各々独立して一般式(7)のそれと同じである。)
(式中、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、R3、R4及びR5は各々独立して一般式(7)のそれと同じである。)
従って、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(2−メチル−5−シクロへキシル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(2−メチル−5−シクロへキシル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチル−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−1−シクロヘキセン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1−シクロヘキセン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−6−メチル−1−シクロヘキセン等が挙げられる。
下記に反応式(2)で例示する。この反応では生成する前記一般式(6)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類は通常、上記一般式(10)で表される1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類及び一般式(11)で表される1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類の異性体混合物として得られる。
このように、アルカリ触媒を用いる場合は、アルカリ触媒は、1,1,3−トリスフェノール100モルに対して、好ましくは、0.01〜50モル、より好ましくは、0.1〜20モルの範囲で用いられる。アルカリ触媒の使用形態は、特に制限はないが、仕込み操作が容易である点から、好ましくは、10〜50重量%の水溶液として用いられる。
反応溶媒としては、分解反応温度において不活性であり、しかも、反応混合物から留出しない溶媒であれば、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等のポリエチレングリコール類、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類、グリセリン等の多価アルコール類、市販の有機熱媒体である「サームエス」(新日鉄化学(株)製)や「SK−OIL」(綜研化学(株)製)が用いられる。
このような溶媒は、用いる1,1,3−トリスフェノール類100重量部に対して、好ましくは、5〜150重量部、より好ましくは、20〜100重量部の範囲で用いられる。
このような反応条件において、1,1,3−トリスフェノール類は、好ましくは1〜10時間程度の分解反応に供される。分解反応は、例えば、分解反応によって生成するフェノール類の留出がなくなった時点をその終点とすることができる。
好ましい態様によれば、1,1,3−トリスフェノール類の分解反応は、例えば、反応容器に1,1,3−トリスフェノール類とアルカリ触媒とテトラエチレングリコール等の溶媒を仕込み、不活性雰囲気中、温度160〜200℃、圧力1〜10kPaで3〜6時間程度、分解反応によって生成したフェノール類を留去しながら、撹拌することによって行われる。
このようにして、1,1,3−トリスフェノール類を分解反応させることによって、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を、好ましい条件であれば、90%程度の反応収率にて得ることができる。
例えば、上記含水油状の混合物にメチルイソブチルケトン等の水と分離する有機溶媒と水を加え撹拌し、上記中和によって生成した塩と分解反応に用いた溶媒(例えば、テトラエチレングリコール)とを水層に抽出して水層と共に分離除去し、得られた油層を必要に応じて1回乃至複数回水洗する。その後、得られた油層から上記有機溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン)や分解生成したフェノール類等の低沸点物を蒸留等にて留去する。この後、このようにして得られた蒸留残渣を次工程(C)の脱水素反応の原料に用いてもよく、さらに晶析溶媒を加えて、晶析させ、精製した精製品としてから、次工程(C)の脱水素反応の原料に使用してもよい。前記晶析溶媒としては好ましくは例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族飽和炭化水素溶媒、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン溶媒、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式飽和炭化水素溶媒、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
得られる異性体混合物のモル比としては、原料の1,1,3−トリスフェノール類や反応条件等によりその比率は特定のものに限定されるものではないが、例えばシクロヘキセン−1−オンの2位や6位に置換基なければ、通常、1,3−置換体と1,5−置換体の異性体モル比は1前後乃至0.6〜1.5程度の範囲で得られる。
工程(D)においては、2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類とフェノール類とを触媒の存在下に反応させて見かけ上トリスフェノールを経由せずに反応1回で下記一般式(6)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を得る工程である。
下記に反応式(3)で例示する。
収率の観点から前記一般式(7)においてR5が水素原子でないフェノール類が好ましく、従って、得られるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類についても一般式(10)又は一般式(11)においてR5が水素原子でない、即ちアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類が好ましく、R5がアルキル基又はアルコキシ基であるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類がより好ましく、R5がメチル基、メトキシ基であるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類が特に好ましい。
工程(D)の反応において、原料のモル比、反応温度、触媒、触媒の使用量、助触媒、助触媒の使用量、反応溶媒、反応溶媒の使用量、原料の仕込み方法等の具体例、好ましい範囲や好ましい量については、工程(A)で説明したそれらと同じである。
また、反応終了後の反応液の処理方法、化合物の単離方法及び精製方法も公知の方法でよく、工程(A)で説明したそれらと同じである。
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
また、好ましい4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類は下記一般式(14)で表される。
(式中、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、R3、R4及びR5は各々独立して一般式(7)のそれと同じである。)
一般式(14)においてR3とR4は共に3級アルキル基でないことが好ましく、一方が3級アルキル基の場合はもう一方は水素原子、1級アルキル基又は2級アルキル基であることが好ましく、R2の置換位置は1,3−フェニレン基の4位又は/及び5位が好ましい。
また、工程(A)、工程(B)、工程(C)を順次経た場合は、一般式(14)においてR5が水素原子である4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類が好ましい。一方、工程(D)、工程(C)を順次経た場合は、一般式(14)においてR5が水素原子でない4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類が好ましく、R5がアルキル基、アルコキシ基であることがより好ましく、R5がメチル基、メトキシ基であることがさらに好ましい。
4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジエチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジイソプロピル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジメトキシ−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジ−t−ブチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジ−sec−ブチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジクロロ−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3",5,5"−テトラメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジ−t−ブチル−5,5"−ジメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3",5,5"−テトライソプロピル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジイソプロピル−5,5"−ジメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3",4,4"−テトラヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3"−ジシクロヘキシル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メトキシベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−シクロヘキシルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−t−ブチルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−フェニルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−イソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,5,6−トリメチルベンゼン、2,2",3,3",5,5"−ヘキサメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、3,3”−ジフェニル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、2,2”,5,5”−テトラメチル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、2,2”−ジメチル−5,5”−ジ−t−ブチル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、2,2”−ジメチル−5,5”−ジシクロヘキシル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル等が挙げられる。
下記に反応式(4)で例示する。
このような脱水素触媒は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類100重量部に対して、好ましくは、0.1〜20重量部、より好ましくは、0.2〜10重量部の範囲で用いられる。
このような水素受容体としては、特に、限定されるものではないが、例えば、α−メチルスチレン等のスチレン類、ニトロベンゼン、メチルイソブチルケトン、フェノール等が好ましく用いられる。また、脱水素反応の反応温度は、好ましくは、100〜250℃の範囲であり、より好ましくは、130〜200℃の範囲である。
脱水素反応は、気相においても行うことができるが、操作性の点から、溶液状態で行うのが好ましく、その際、反応溶媒を用いるのが好ましい。このような反応溶媒としては、エチレングリコール、2−プロパノール、2−ブタノール等の脂肪族アルコール溶媒、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジイソプロピルケトン等の脂肪族ケトン溶媒、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒等を挙げることができる。また、反応は、好ましくは、常圧下で行われる。このような反応条件において、脱水素反応は、好ましくは、3〜10時間程度で終了する。
このようにして、工程(A)次いで工程(B)を経るか、又は工程(D)を経て得られたビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を工程(C)の脱水素反応に付し、その反応終了後、得られた反応混合物から、常法に従って、触媒を分離した後、晶析濾過等の方法にて、本発明の目的物である4、4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類の粗製品を得ることができ、これを、さらに必要に応じて、再度、晶析濾過等の方法にて精製すれば、高純度品を得ることができる。
本発明によれば、このようにして、前記一般式(1)で表される2−シクロヘキセン−1−オン類又は一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類と前記一般式(3)で表されるフェノール類を出発原料として、好ましくは目的とする4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類を約40%又はそれ以上の収率にて得ることができる。
また、上記のようにして得られた本願化合物について、その用途やフェノール性水酸基を置換する等の公知の方法によって得られる誘導体についても具体的に説明する。
例えば、本願化合物と2−(3−オキセタニル)ブチルトシレートと反応させることにより、1,3−ビス{4−[2−(3−オキセタニル)]ブトキシフェニル}ベンゼン等が得られ、これらを原料にオキセタン樹脂を得ることができる。
また、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドと反応させることにより、1,3−ビス{4−[(6−ジアゾ−5−オキソナフチル)スルホニルオキシ]フェニル}ベンゼン等が得られ、これらは感光性組成物に用いることができる。
また、メチルアミン及びホルムアルデヒドと反応させることにより1,3−ビス(3−メチル(2H,4H−ベンゾ[3,4−e]1,3−オキサジン−6−イル))ベンゼン等が得られ、これらを原料に樹脂とすることができる。
また、エピクロロヒドリンと反応させることにより、4,4"−ジ(グリシジルオキシ)−m−ターフェニル等が得られ、これらを原料にエポキシ樹脂を得ることができる。
また、ホルムアルデヒドと反応させることにより4,4"−ジヒドロキシ−3,3",5,5"−テトラヒドロキシメチル−m−ターフェニル等を得ることができる。さらに、これらの化合物をメタノールと反応させることで4,4"−ジヒドロキシ−3,3" ,5,5"−テトラメトキシメチル−m−ターフェニル等を得ることができ、各種用途で架橋材等として用いることができる。
また、エチレンカーボネートと反応させることにより、4,4"−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−m−ターフェニル等が得られ、これらをポリエステルやポリカーボネート等の樹脂原料に用いることができる。
その他用途として本願化合物は、フェノール性水酸基を複数有しているので、シアネート樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ノボラック、レゾール等の樹脂原料、エポキシ樹脂の硬化剤、その他i線レジスト添加剤、酸化防止剤としての利用も期待できる。
実施例1
[4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニルの合成]
工程(A):(1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成)
フェノール1412g、35%塩酸78.2g、ドデシルメルカプタン15.2g、メタノール144gを3リットル容量4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で液温を30〜32℃に保ちながら、2−シクロヘキセン−1−オン144gを10時間で滴下し、滴下終了後、30℃で46時間撹拌した。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した後、昇温してメタノールを留去した。その後、水層を分離除去して得られた油層に水とメチルイソブチルケトンを加え撹拌して水洗し、水層を分離除去した。得られた油層からメチルイソブチルケトンと未反応のフェノールを減圧下で留出させ除去した。残渣にトルエンを加えて析出した結晶を室温で濾別し、乾燥して、純度95%(高速液体クロマトグラフィー分析法)の1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの粗製結晶を得た。
この粗製結晶をメチルイソブチルケトンに溶解し、水を加えて水洗後、水層を分離した。得られた油層を濃縮後、残渣にトルエンを加えて析出した結晶を室温で濾別し、乾燥して、純度99.4%(高速液体クロマトグラフィー分析法)の1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン223.2gを得た。
収率:42%(2−シクロヘキセン−1−オンに対する収率)
分子量:359(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:202℃(示差走査熱量測定法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表1参照
温度計、冷却器及び撹拌翼を取り付けた4つ口フラスコに工程(A)で得られた1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン18.0gとテトラエチレングリコール9.0g、16%水酸化ナトリウム水溶液1.3gを仕込み、10kPaに減圧しながら撹拌下に170℃まで昇温した後、撹拌下に減圧下で生成したフェノールを留出させながら同温度でさらに9時間分解反応を行った。反応終了後、100℃に冷却してから酢酸を加えて中和した。さらにメチルイソブチルケトンと水を加えて撹拌した後、水層を分離した。得られた油層に水を加えて撹拌し、水層を分離する水洗操作を3回実施した。その後、水洗された油層から溶媒を蒸留して除去した後、トルエン18gを加えて晶析、濾過して、乾燥し、純度91%(高速液体クロマトグラフィー分析法)の1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(A)及び1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(B)の混合物6g(高速液体クロマトグラフィー分析法による比率:A/B=49/51)を得た。
この混合物の一部を液体クロマトグラフィーにて分取して精製し、純度98%(高速液体クロマトグラフィー法)の1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(A)及び1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(B)の混合物(高速液体クロマトグラフィー分析法による比率:A/B=50/50)を得て、これについてNMR、分子量、融点を測定した。
分子量:265(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:159℃(示差走査熱量測定法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:CD3OD):表2参照
工程(B)で得られた純度91%の1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン及び1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンの混合物2.6gとメチルイソブチルケトン15.6g、α-メチルスチレン3.5g、5%パラジウムカーボン0.2gをオートクレーブに仕込み、150℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過して5%パラジウムカーボンを除去し濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチル3.2gに溶解後、シクロヘキサン7.5gを加えて析出した結晶を濾別、乾燥させて純度99%(高速液体クロマトグラフィー分析法)の4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル1.9gを得た。
収率:33%(対トリスフェノール)
分子量:261(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:183℃( 示差走査熱量測定法 )
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO―d6):表3参照
[4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニルの合成]
実施例1の工程(A)で得られた1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン90gとテトラエチレングリコール45g、メタノール45g、16%水酸化ナトリウム水溶液6.3gを4つ口フラスコに仕込み、撹拌下10kPaに減圧しながら液温を170℃まで昇温し、さらに同温度で生成するフェノールを留出させながら9時間撹拌して反応した。反応終了後、冷却してから酢酸を加えて中和後、水とメチルイソブチルケトンを加えて撹拌して水洗した[工程(B)]。
水層を分離後、油層の1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン及び1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンの混合物の濃度が17%になるように濃縮等により調整した。その溶液79.6gとα-メチルスチレン14.8g、5%パラジウムカーボン0.8gをオートクレーブに仕込み、150℃で6時間撹拌した。反応後、反応液をろ過して5%パラジウムカーボンを除去し、メチルイソブチルケトンを留去後、トルエン40gを加えて析出した結晶を濾別、乾燥させて純度97%(高速液体クロマトグラフィー法)の4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル6.9gを得た[工程(C)]。
収率:53%(対トリスフェノール)
[3,3"−ジメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニルの合成]
工程(A):(1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成)
オルソクレゾール1513.4g、35%塩酸73g、ドデシルメルカプタン14.2g、メタノール134.4gを3リットル容量4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下に、液温を30〜32℃に保ちながら、2−シクロヘキセン−1−オン134.5gを3.5時間で滴下し、滴下終了後、30〜32℃で22時間撹拌した。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した後、昇温してメタノールを留去した。その後、水層を分離除去して得られた油層にメチルイソブチルケトンと水を加え撹拌して水洗し、水層を分離除去した。得られた油層からメチルイソブチルケトンと未反応のオルソクレゾールを減圧下で留出させ除去した。残渣を1−オクタノールに溶解後、シクロヘキサンを加えて晶析し、析出したアダクト結晶を室温で濾別し、乾燥して1,1,3−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンのアダクト結晶522.5gを得た。この結晶について、ガスクロマトグラフィー分析による溶媒量は16%であり、高速液体クロマトグラフィー分析による純度は99.2%(溶媒除く)であった。
収率:77.9%(2−シクロヘキセン−1−オンに対する収率)
分子量:401(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3):表4参照
温度計、冷却器及び撹拌翼を備えた4つ口フラスコに、実施例3の工程(A)で得られた1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのアダクト結晶236.8g、テトラエチレングリコール50.3g、16%水酸化ナトリウム水溶液12.5gを仕込み、液温を190℃まで昇温した後、減圧下で生成するオルソクレゾールを留出させながら分解反応を2時間行った。反応終了後、冷却してから酢酸を加えて中和し、メチルイソブチルケトンと水を加えて撹拌して水洗を行ない、水層を分離除去した。得られた油層からメチルイソブチルケトンを留去させ、その蒸留残渣として純度86.8%(高速液体クロマトグラフィー法)の1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(C)及び1,5−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(D)の混合物(高速液体クロマトグラフィー分析法による比率:C/D=56/44)132.3gを得た。
この混合物の一部を液体クロマトグラフィーにて分取して精製し、純度96.8%(高速液体クロマトグラフィー法)の1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(C)及び1,5−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(D)の混合物(高速液体クロマトグラフィー分析法による比率:C/D=59/41)を得て、これについてNMRを測定した。
分子量:293(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3):表5参照
実施例3の工程(B)で得られた混合物35.3g、エチレングリコール17.7g、α−メチルスチレン35.5g、5%パラジウムカーボン2.2gを200ml容量4つ口フラスコに仕込み、液温145〜146℃で4時間反応した。反応終了液からパラジウムカーボンを除去後、メチルイソブチルケトンと水を加え水洗を行ない、水層を分離除去した。得られた油層からメチルイソブチルケトンを留去させ、純度85.1%(高速液体クロマトグラフィー法)の蒸留残渣30.4gを得た。この残渣5gに1−オクタノール2.5gを加え溶解後、シクロヘキサン10gを加えて晶析、濾過することにより純度96.3%(高速液体クロマトグラフィー法)の3,3"−ジメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニルのアダクト結晶(シクロヘキサン付加物)2.7gを得た。
この結晶を液体クロマトグラフィーにて分取して精製し、純度99.9%(高速液体クロマトグラフィー法)の3,3"−ジメチル−4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニルを得て、NMR、融点の測定を行った。
分子量:289(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:138.2℃(示差走査熱量測定法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3):表6参照
[3,3”−ジフェニル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニルの合成]
工程(A):1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成
2−フェニルフェノール177.0g、ドデシルメルカプタン1.0g、メタノール17.7gを500ml容量の4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で液温を41℃まで昇温した後、系内が塩化水素ガスで飽和するまで吹き込んだ。内温を41℃に保ちながら、これに2−シクロヘキセン−1−オン20.0gを撹拌下4時間かけて滴下し、滴下終了後、塩化水素ガスを吹き込みながら41℃で19時間撹拌した。反応終了後、16%水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した後、昇温して水層を分離除去した。その後、トルエン及び水を加え撹拌して水洗し、水層を分離して得られた油層からトルエンと未反応の2−フェニルフェノールを減圧下で留出させ、純度48.0%(高速液体クロマトグラフィー法)の1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン95.2gを得た。
一部を液体クロマトグラフィーにて分取して精製し、得られた高純度品をプロトンNMR分析及び分子量測定を行ない、目的物であることを確認した。
分子量:587(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO‐d6):表7参照
実施例4の工程(A)で得られた1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン61.3g、テトラエチレングリコール7.4g、16%水酸化ナトリウム水溶液1.3gを温度計、冷却器及び撹拌翼を取り付けた200ml容量4つ口フラスコに仕込み、液温を200℃まで昇温した後、減圧下で2−フェニルフェノールを反応系外に留出させながら分解反応を3時間行なった。反応終了後、冷却してから酢酸を加えて中和し、メチルイソブチルケトンと水を加えて撹拌して溶解させ、水層を分離除去した。得られた油層からメチルイソブチルケトンを留去させ、1,3−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(化合物E)と1,5−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン(化合物F)の混合物37.8g(純度59.4%、高速液体クロマトグラフィー法)を蒸留残渣として得た。
一部を液体クロマトグラフィーにて分取して精製し、得られた高純度品をプロトンNMR分析及び分子量測定を行ない、目的物であることを確認した。
分子量:417(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3):表8参照
実施例4の工程(B)で得られた混合物12.6g、メチルイソブチルケトン37.8g、α−メチルスチレン7.8g、5%パラジウムカーボン5.22gをオートクレーブに仕込み、140〜150℃で4.5時間反応した。反応終了液からパラジウムカーボンを除去後、得られた油層からメチルイソブチルケトンを留去させ、残渣として目的物9.2g(純度77.4%、高速液体クロマトグラフィー法)を得た。
この残渣を用いて分取液体クロマトグラフィーにて精製を行ない、3,3”−ジフェニル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル(純度99.1%、高速液体クロマトグラフィー法)を得た。
分子量:413(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:確認できず(示差走査熱量測定法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表9参照
[2,2”,5,5”−テトラメチル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニルの合成]
工程(D):1,3−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン及び1,5−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンの合成
2,5−キシレノール229.4g、ドデシルメルカプタン1.03g、メタノール102.0gを温度計及び撹拌機を備えた1リットル容量の4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で液温を39℃まで昇温した後、系内が塩化水素ガスで飽和するまで吹き込んだ。内温を39〜41℃に維持しつつ、これに2−シクロヘキセン−1−オン20.0g、2,5−キシレノール25.6g、メタノール25.6gの混合液を撹拌下2時間で滴下し、滴下終了後、塩化水素ガスを吹き込みながら39〜41℃で27時間撹拌した。反応途中で反応液の一部を採取して高速液体クロマトグラフ質量分析計で分析した結果、保持時間が近いところに目的物と同じ分子量のピークが2つ検出された。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した。これにメチルイソブチルケトンを加え60℃に昇温して析出していた結晶を溶解後、水層を分離除去した。得られた油層に水を加えて撹拌後、静置して水層を分離除去する水洗操作を2回実施した。水洗した油層から減圧下濃縮により溶媒を除去して結晶を析出させ、冷却後に濾過して粗製結晶を得た。結晶は、前記2つの検出された目的物と同じ分子量ピーク成分の内、保持時間が僅かに長い方のピーク成分が主成分であった。得られた粗製結晶にメチルイソブチルケトンを加えて溶解させて、冷却して析出した結晶を濾別し乾燥することで純度98.7%(高速液体クロマトグラフィー法)の白色結晶17.7gを得た。この白色結晶をNMRで分析した結果、1,5−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンであった。
分子量:323(M+H)+(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:247℃(示差走査熱量測定法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表10参照
分子量:323(M+H)+
1H−NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表11参照
実施例5の工程(D)で得られた純度98.7%の1,5−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセン3.0g、メチルイソブチルケトン30g、α−メチルスチレン3.0g、5%パラジウムカーボン0.63gをオートクレーブに仕込み、150℃に昇温して同温度で46.5時間撹拌して反応した。昇温後、18時間後と34時間後にそれぞれ5%パラジウムカーボン0.63gを追加した。さらに190℃に昇温して同温度で6時間撹拌して反応した後、パラジウムカーボンを濾別し、得られた濾液を濃縮した。得られた残渣をメチルイソブチルケトンに溶解し、晶析して、濾過、乾燥することによって純度94.5%(高速液体クロマトグラフィー法)の2,2”,5,5”−テトラメチル−4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニル1.4gを得た。
収率:46.3%(1,5−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンに対する収率)
分子量:317(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:238.3℃(示差走査熱量測定法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表12参照
フェノール19.6g、P−トルエンスルホン酸一水和物4.0gを100ml試験管に仕込み、液温を50℃に昇温した後、2−シクロヘキセン−1−オン2.1gを2時間で間欠添加し、添加終了後、50℃で68時間反応させた。反応液を分析したところ1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの生成が確認できた。
その後、さらに100℃で6時間、150℃で5時間撹拌した。
反応終了液を高速液体クロマトグラフィーで分析(検量線法)した結果、4,4”−ジヒドロキシ−m−ターフェニルが20%、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが46%の収率で含まれていた。
[1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成 ]
フェノール41.6g、35%塩酸3.2gとドデシルメルカプタン0.5gを200ml容量4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン10.7gを3時間で滴下し、滴下終了後、40℃で79時間、撹拌して反応させた。反応終了液を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの組成値(面積百分率/フェノールを除く)は61%であった。なお、この組成値から計算した収率は59%(対 3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン)となる。
反応終了後、反応液から液体クロマトグラフィーにより主生成物を分取し、これをNMR及び液体クロマトグラフィー質量分析法により分析した結果、目的物の1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロへキサンであることが確認できた。
Claims (1)
- 下記一般式(1)で表される2−シクロヘキセン−1−オン類又は下記一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類と下記一般式(3)で表されるフェノール類を原料とし、下記の工程(A)、工程(B)、工程(C)を順次行うか、又は工程(D)、工程(C)を順次行うことを特徴とする下記一般式(4)で表される4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類の製造方法。
(式中、R2は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子を表し、mは0又は1〜4の整数を示し、mが1以上の場合、3位に置換せず、mが2以上の場合、R2は各々同一でも異なっていてもよく、同一の炭素原子に2つ置換しない。また、一般式(1)のR2及びmと一般式(2)のR2及びmは、それぞれ同じでもよく異なっていてもよい。)
(式中、R1は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を表し、nは0又は1〜4の整数を示し、nが2以上の場合、R1は各々同一でも異なっていてもよい。)
工程(A):2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類とフェノール類を触媒の存在下に反応させて下記一般式(5)で表される1,1,3−トリスフェノール類を得る工程
工程(B):1,1,3−トリスフェノール類を分解反応させて下記一般式(6)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を得る工程
工程(C):ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を脱水素して4,4"−ジヒドロキシ−m−ターフェニル類を得る工程
工程(D):2−シクロヘキセン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン類とフェノール類を触媒の存在下に反応させて下記一般式(6)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン類を得る工程
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じである。)
(式中、R1、nは各々独立して一般式(3)のそれと同じであり、R2、mは一般式(1)又は一般式(2)のそれと同じであり、結合位置が固定されていない4−ヒドロキシフェニル基の結合位置はシクロヘキセン環の3位又は5位である。)
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