JP7026887B2 - 樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤 - Google Patents
樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤 Download PDFInfo
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Description
例えば、特許文献1においては、特定構造のシアン酸エステル化合物と、その他の成分とからなる樹脂組成物が低吸水性、低熱膨張率などの特性に優れることが記載されている。
[1]
下記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、下記式(5)で表されるシアン酸エステル化合物(B)とを含み、
前記シアン酸エステル化合物(A)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)及び前記シアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、10質量部を超えて99質量部以下である、樹脂組成物。
前記Ar1及びAr3が、各々独立に下記式(6)又は(7)で表される、[1]に記載の樹脂組成物。
前記Ar2が、下記式(8)又は(9)で表される、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
前記シアン酸エステル化合物(B)が、下記式(10)で表される、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
マレイミド化合物を更に含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記シアン酸エステル化合物(A)及び(B)以外のシアン酸エステル化合物(C)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される1種以上を更に含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
充填材を更に含む、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]
前記充填材の熱伝導率が3W/(m・K)以上である、[7]に記載の樹脂組成物。
[9]
シート状成形体用である、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物をシート状に成形してなる、単層樹脂シート。
[12]
支持体と、
前記支持体の片面又は両面に配された、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物と、
を有する、積層樹脂シート。
[13]
基材と、
前記基材に含浸又は塗布された、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物と、
を有する、プリプレグ。
[14]
[11]に記載の単層樹脂シート、[12]に記載の積層樹脂シート、及び、[13]に記載のプリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種の片面又は両面に配された金属箔と、
を有し、
前記単層樹脂シート、前記樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれる樹脂組成物の硬化物を含む、金属箔張積層板。
[15]
絶縁層と、
前記絶縁層の片面又は両面に形成された導体層と、
を有し、
前記絶縁層が、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、プリント配線板。
[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
[17]
[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物と、強化繊維と、を含む、繊維強化複合材料。
[18]
[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
本実施形態の樹脂組成物は、式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、式(5)で表されるシアン酸エステル化合物(B)とを含む。
本実施形態の樹脂組成物において、シアン酸エステル化合物(A)の含有量は、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、10質量部を超えて99質量部以下である。
このような構成を有することにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現することができる。
本実施形態におけるシアン酸エステル化合物(A)は、式(1)で表される。このような構造を有するシアン酸エステル化合物(A)をシアン酸エステル化合物(B)と共に用いることにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現することができる。このような本実施形態の所望の効果について、特に限定する趣旨ではないが、本発明者らは次のように推察している。本実施形態におけるシアン酸エステル化合物(A)は、メソゲン構造を有することから、メソゲン構造を有さない他のシアン酸エステル化合物と比べて、本実施形態におけるシアン酸エステル化合物(B)と共に特定の配向性を示すことができると推察される。その結果、本実施形態の樹脂組成物は、熱伝導経路を多く確保できるため、当該他のシアン酸エステル化合物とシアン酸エステル化合物(B)を組み合わせた場合と比べて、優れた熱伝導性を発現することができると考えられる。
式(2)中のR1は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましく、全て水素原子であることが、優れた熱伝導性を発現することから、より好ましい。また、式(1)中、Ar1及びAr3は、同一であることが好ましい。
式(3)中のR2は、少なくとも水素原子を1つ有することが好ましい。
式(4)中のR2は、少なくとも水素原子を1つ有することが好ましい。
本実施形態のシアン酸エステル化合物(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、下記式(11)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物を得た後、このヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化して、上記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)を得るシアネート化工程を含んで得る方法が挙げられる。
式(11)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、特に限定されないが、例えば、次の合成方法に得ることができる。
まず、フェノール系化合物と、置換若しくは非置換の4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノンとを酸性下で反応させて、置換若しくは非置換の1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを得る。
フェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-キシレノール、m-キシレノール、p-キシレノール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノールが挙げられる。
置換若しくは非置換の4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノンとしては、特に限定されないが、例えば、4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノン、4-(2-メチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノン、4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノン、4-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノン、4-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノンが挙げられる。
溶媒としては、特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾールなどのフェノール類が挙げられる。これらの溶媒は、必要に応じて、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
次に、上記のようにして得られた式(11)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化する工程について述べる。
式(11)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的には、ヒドロキシ置換芳香族化合物とハロゲン化シアンを、溶媒中で、塩基性化合物存在下で反応させる方法、溶媒中、塩基の存在下で、ハロゲン化シアンが常に塩基より過剰に存在するようにして、ヒドロキシ置換芳香族化合物とハロゲン化シアンを反応させる方法(米国特許第3553244号明細書参照)や、塩基として3級アミンを用い、これをハロゲン化シアンよりも過剰に用いながら、溶媒の存在下、ヒドロキシ置換芳香族化合物に3級アミンを添加した後、ハロゲン化シアンを滴下する、あるいは、ハロゲン化シアンと3級アミンを併注滴下する方法(特許第3319061号明細書参照)、連続プラグフロー方式で、ヒドロキシ置換芳香族化合物、トリアルキルアミン及びハロゲン化シアンを反応させる方法(特許第3905559号明細書参照)、ヒドロキシ置換芳香族化合物とハロゲン化シアンとを、4級アミンの存在下、非水溶液中で反応させる際に副生するtert-アンモニウムハライドを、カチオン及びアニオン交換対で処理する方法(特許第4055210号明細書参照)、ヒドロキシ置換芳香族化合物に対して、水と分液可能な溶媒の存在下で、3級アミンとハロゲン化シアンとを同時に添加して反応させた後、水洗分液し、得られた溶液から2級若しくは3級アルコール類又は炭化水素の貧溶媒を用いて沈殿精製する方法(特許第2991054号明細書参照)、更には、ヒドロキシ置換芳香族化合物、ハロゲン化シアン、及び3級アミンを、水と有機溶媒との二相系溶媒中、酸性条件下で反応させる方法(特許第5026727号明細書参照)等により、本実施形態のシアン酸エステル化合物を得ることができる。
本実施形態におけるシアン酸エステル化合物(B)は、式(5)で表される。このような構造を有するシアン酸エステル化合物(B)をシアン酸エステル化合物(A)と共に用いることにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現することができる。
炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。これらの中でも、優れた熱伝導性を発現することから、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
これらのシアン酸エステル化合物(B)は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物には、優れた熱伝導性を維持しながら、耐熱性、難燃性、低吸湿性、低誘電性など所望の特性を向上させることができる点から、マレイミド化合物を含むことが好ましい。
これらのマレイミド化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
他のシアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)で少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する化合物であれば、特に限定されない。シアン酸エステル化合物を用いた樹脂組成物は、硬化物とした際に、ガラス転移温度、低熱膨張性、めっき密着性等に優れた特性を有する。
以下、これらの各成分について説明する
上記式(15)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
アルキル基の具体例としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、特に限定されないが、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o-,m-又はp-フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo-,m-又はp-トリル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert-ブトキシ基が挙げられる。
上記式(15)のXにおける炭素数1~50の2価の有機基の具体例としては、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ジメチルメチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン-フェニレン-ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
上記式(15)のXにおける窒素数1~10の2価の有機基の例としては、特に限定されないが、-N-R-N-で表される基、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
式(16)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに式(17)のRi、Rjにおけるアルキル基、アリール基及びアルコキシル基は、上記式(15)におけるものと同義である。フェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基としては、特に限定されず、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-キシレノール、m-キシレノール、p-キシレノール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノールなどのフェノール性化合物から水素原子を1個除いた1価の基が挙げられる。
式(18)のR2及びR3におけるアルキル基は、直鎖若しくは分岐の鎖状構造、及び、環状構造(例えば、シクロアルキル基等)の何れを有していてもよい。
また、式(18)のR2及びR3におけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o-,m-又はp-フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o-,m-又はp-トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂が難燃性の点で好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、公知のものを適宜使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物などが挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が難燃性、耐熱性の面で好ましい。
オキセタン樹脂としては、特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3-メチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT-101(商品名、東亞合成(株)社製)、OXT-121(商品名、東亞合成(株)社製)等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ベンゾオキサジン化合物としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA-BXZ(商品名、小西化学工業(株)社製)、ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF-BXZ(商品名、小西化学工業(株)社製)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS-BXZ(商品名、小西化学工業(株)社製)、P-d型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)社製)、F-a型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)社製)等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
重合可能な不飽和基を有する化合物としては、特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、及びベンゾシクロブテン樹脂、が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを包含する概念である。
本実施形態の樹脂組成物には、より優れた熱伝導性を発現でき、熱膨張特性、寸法安定性、難燃性、誘電特性などが向上する点から、充填材を更に含有することが好ましい。充填材としては、公知のものを適宜使用することができ、その種類は特に限定されない。積層板用途において一般に使用されている充填材を、充填材として用いることができる。充填材の具体例としては、特に限定されないが、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の酸化物、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E-ガラス、A-ガラス、NE-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、M-ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラスなど無機系の充填材の他、スチレン型、ブタジエン型、アクリル型などのゴムパウダー、コアシェル型のゴムパウダー、並びにシリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダーなど有機系の充填材などが挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、充填材の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、50質量部~2500質量部であることが好ましく、100質量部~2200質量部であることがより好ましく、より優れた熱伝導性を得る観点から、150質量部~2000質量部であることが更に好ましい。
充填材の熱伝導率としては、日本熱物性学会編「熱物性ハンドブック」等を参照して確認することができ、充填材の熱伝導率として既知の値を採用することができる。なお、樹脂組成物に含まれる充填材の全てが3W/(m・K)以上の熱伝導率を有する必要はなく、含まれる充填材の全量に対して50質量%以上の充填材が3W/(m・K)以上の熱伝導率を有していることが好ましく、75質量%以上の充填材が3W/(m・K)以上の熱伝導率を有していることがより好ましい。すなわち、充填材が3W/(m・K)未満の熱伝導率を有するものが含まれていてもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、シランカップリング剤の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)と充填材との相溶性を良好にでき、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、通常0.1質量部~50質量部であり、0.5質量部~30質量部であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、湿潤分散剤の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、通常0.1質量部~30質量部である。
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて、硬化速度を適宜調節するための硬化触媒を含んでもよい。硬化触媒としては、特に限定されず、シアン酸エステル化合物やエポキシ樹脂等の硬化触媒として一般に使用されているものを好適に用いることができる。硬化触媒としては、例えば、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄、オクチル酸ニッケル、オクチル酸マンガン等の有機金属塩類、フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物、1-ブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらのイミダゾール類のカルボン酸若しくはその酸無水類の付加体等の誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン類、ホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホニウム塩系化合物、ダイホスフィン系化合物等のリン化合物、エポキシ-イミダゾールアダクト系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、硬化触媒の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、通常0.01質量部~20質量部である。
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、難燃性化合物、並びに各種添加剤等を含んでもよい。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されない。難燃性化合物としては、特に限定されないが、例えば、4,4'-ジブロモビフェニル等の臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂などのリン含有化合物又はリン含有樹脂、メラミン及びベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。各種添加剤としては、特に限定されないが、例えば、前記のシランカップリング剤、前記の湿潤分散剤、前記の硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、流動調整剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、樹脂組成物中における他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びシアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、それぞれ通常0.01質量部~50質量部である。
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含んでもよい。この場合、本実施形態の樹脂組成物は、上記した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部が有機溶剤に溶解又は相溶した態様(溶液又はワニス)として用いることができる。有機溶剤としては、上記した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部を溶解又は相溶可能なものであれば、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂環式ケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の無極性溶剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、常法にしたがって調製することができ、本実施形態のシアン酸エステル化合物、及び上記したその他の任意成分を均一に含有する樹脂組成物が得られる方法であれば、その調製方法は特に限定されない。例えば、本実施形態のシアン酸エステル化合物、及び上記したその他の任意成分を溶剤に順次配合し、十分に撹拌することで本実施形態の樹脂組成物を容易に調製することができる。
本実施形態の硬化物は、本実施形態の樹脂組成物を硬化させてなる。硬化物は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、熱や光などを用いて通常の条件で硬化させることにより得ることができる。熱硬化の場合、硬化温度は、特に限定されないが、硬化が効率的に進み、かつ得られる硬化物の劣化を防止する観点から、120℃から300℃の範囲内が好ましい。光硬化の場合、光の波長領域は、特に限定されないが、光重合開始剤等により効率的に硬化が進む100nmから500nmの範囲で硬化させることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、プリプレグ、単層樹脂シート、積層樹脂シート、金属箔張積層板、プリント配線板、及び半導体パッケージの構成材料として用いることができる。本実施形態の樹脂組成物は、シート状成形体用であることが好ましい。例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を基材に含浸又は塗布し乾燥することでプリプレグを得ることができる。
また、支持体として剥離可能なプラスチックフィルムを用い、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、そのプラスチックフィルムに塗布し乾燥することでビルドアップ用フィルム又はドライフィルムソルダーレジストを得ることができる。ここで、溶剤は、20℃~150℃の温度で1~90分間乾燥することで除去することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を除去した状態(未硬化の状態)で使用することもできるし、必要に応じて半硬化(Bステージ化)の状態にして使用することもできる。
本実施形態の積層樹脂シートは、支持体と、該支持体の片面又は両面に配された本実施形態の樹脂組成物と、を有する。積層樹脂シートの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体に塗布し乾燥することで得ることができる。
以下、本実施形態のプリプレグについて詳述する。本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された樹脂組成物とを有する。本実施形態のプリプレグの製造方法は、本実施形態の樹脂組成物と、基材とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、120~220℃の乾燥機中で、2~15分程度乾燥させる方法等によって半硬化させることで、本実施形態のプリプレグを製造することができる。このとき、基材に対する樹脂組成物の付着量、すなわち半硬化後のプリプレグの総量に対する樹脂組成物の含有量(充填材を含む。)は、20~99質量%の範囲であることが好ましい。
まず、前記の金属箔張積層板を用意する。次に、金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路を形成することにより、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を施し、次いで、その内層回路表面に前記のプリプレグを所要枚数重ねる。さらに、その外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱及び加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成する。さらに、外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
本実施形態の封止用材料は、本実施形態の樹脂組成物を含む。封止用材料の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、本実施形態の樹脂組成物と、封止材料用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤あるいは溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで封止用材料を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル化合物、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
本実施形態の繊維強化複合材料は、本実施形態の樹脂組成物と、強化繊維とを含む。強化繊維としては、一般的に公知のものを用いることができ、特に限定されない。その具体例としては、Eガラス、Dガラス、Lガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、UNガラス、NEガラス、球状ガラス等のガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、及び炭化ケイ素繊維などが挙げられる。強化繊維の形態や配列については、特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選択できる。また、強化繊維の形態としてプリフォーム(強化繊維からなる織物基布を積層したもの、又はこれをステッチ糸により縫合一体化したもの、あるいは立体織物や編組物などの繊維構造物)を適用することもできる。
本実施形態の接着剤は、本実施形態の樹脂組成物を含む。接着剤の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、本実施形態の樹脂組成物と、接着剤用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤あるいは溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで接着剤を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル化合物、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
下記式(19)で表されるシアン酸エステル化合物(DPCCN)を後述のようにして合成した。
下記式(20)で表される1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを下記の方法にて合成した。
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの1H-NMRの帰属を以下に示す。
下記式(21)で表されるDPCOHを下記の方法にて合成した。
DPCOHの1H-NMRの帰属を以下に示す。また、DPCOHのIRチャートを図1に示す。
アルゴン吹き込み口、温度計を備えた2L四口フラスコに、アルゴン気流下、上記方法で得られたDPCOH40.0g(0.15mol)、テトラヒドロフラン800mLを加えた。更に臭化シアン44.5g(0.42mol)を添加した後、ドライアイス・アセトンバスで内温を-10℃に調整した。内温が-5℃を超えないようにトリエチルアミン45.5g(0.45mol)を20分かけて滴下し、-5℃で2時間攪拌した。途中、テトラヒドロフラン400mLを追加した。室温まで昇温した後、反応溶液をろ過した。得られたろ液を減圧濃縮し、得られた固体をクロロホルム800mLに溶解した。クロロホルム溶液を2.5%食塩水400mLで3回、水400mLで1回洗浄した後、減圧濃縮し、固体を得た。得られた固体にヘキサン600mLを加え、懸濁攪拌した後、固体をろ過回収して乾燥し、目的とするシアン酸エステル化合物(DPCCN)45.4gを得た。得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)のIRスペクトルは2252cm-1及び2287cm-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。IRチャートを図1に示す。
シアン酸エステル化合物(DPCCN)の1H-NMRの帰属を以下に示す。1H-NMRチャートを図2に示す。
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン300g(OH基換算2.80mol)及びトリエチルアミン283.4g(2.80mol)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
塩化シアン275.4g(4.48mol)、ジクロロメタン642.6g、36%塩酸425.4g(4.20mol)及び水2637.6gを含む混合液に、攪拌下、液温-2~-0.5℃に保ちながら、溶液1を60分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分間更に攪拌した。その後、トリエチルアミン283.4g(2.80mol)をジクロロメタン283.4gに溶解させた溶液(溶液2)を30分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分間更に攪拌して、反応を完結させた。
その後、反応液を静置して有機相と水相に分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、有機相に含まれたイオン性化合物は十分に除去できたことを確認した。水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするシアン酸エステル化合物(E-CN)を360g得た。得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)の構造を1H-NMRにて同定した。
シアン酸エステル化合物(E-CN)の1H-NMRの帰属を以下に示す。
[実施例1]
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)50質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)50質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、真空加熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力3MPa)により硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)70質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)30質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)90質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)10質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)30質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)70質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)50質量部、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(三菱ガス化学株式会社製、以下「TA」とも略記)50質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)10質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)90質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)75質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)25質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名)、前記式(12)におけるR4がすべて水素原子であり、n1が1~3であるマレイミド化合物)49質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.15質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)67質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)33質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))28質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.13質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)56質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)44質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))11質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.11質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)82質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)18質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))18質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.12質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)100質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))113質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.21質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)75質量部、TA(三菱ガス化学株式会社製)25質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))49質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.15質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(220℃)を用いて硬化物を作製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、850-S(商品名))64質量部、フェノールノボラック樹脂(明和化成工業株式会社製、DL-92(商品名))36質量部、2-フェニルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)0.20質量部とを加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、実施例1と同様の方法で真空加熱プレス(190℃)を用いて硬化物を作製した。
以下に充填材含有硬化物の作製に用いた充填材を示す。
・FAN-f50(商品名):窒化アルミニウム粒子、古河電子株式会社製、熱伝導率200W/m・K
・AA-18(商品名):アルミナ粒子、住友化学株式会社製、熱伝導率30W/m・K
・AA-3(商品名):アルミナ粒子、住友化学株式会社製、熱伝導率30W/m・K
・AA-03(商品名):アルミナ粒子、住友化学株式会社製、熱伝導率30W/m・K
・AZ35-75(商品名):アルミナ粒子、新日鉄住金マテリアル株式会社マイクロンカンパニー製、熱伝導率30W/m・K
・AZ10-75(商品名):アルミナ粒子、新日鉄住金マテリアル株式会社マイクロンカンパニー製、熱伝導率30W/m・K
・PT110(商品名):窒化ホウ素粒子、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、熱伝導率200W/m・K
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)75質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)25質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業(株)製、BMI-2300(商品名))49質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.15質量部、窒化アルミニウム粒子(古河電子株式会社製、FAN-f50(商品名))837質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-18(商品名))130質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-3(商品名))130質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-03(商品名))130質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社、LS-2940(商品名))12質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)粗面に塗工し、100℃で15分間乾燥した。さらに減圧下110℃で15分間乾燥し、Bステージ化した樹脂組成物付銅箔を得た。粗面が樹脂組成物に向くよう銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)をBステージ化した樹脂組成物付銅箔に重ね、真空加熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力20MPa)により両面銅箔付硬化物を作製した。両面銅箔付硬化物から両面の銅箔を剥離し、充填材含有硬化物(充填材75体積%含有)を得た。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)75質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)25質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業(株)製、BMI-2300(商品名))49質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.15質量部、窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、PT110(商品名))424質量部、フェニルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)6質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)粗面に塗工し、130℃で10分間乾燥してBステージ樹脂組成物付銅箔を得た。Bステージ化した樹脂組成物を銅箔から剥離し、乳鉢で粉砕した。得られたBステージ化した樹脂組成物粉末を粉体成形用ダイス(エヌピーエーシステム株式会社製、DT5025-1525)に充填し、手動油圧ポンプ(理研精機株式会社製、P-16B)を用いて50MPaに加圧してペレットを作製した。得られたペレットを真空加熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力30MPa)し、充填材含有硬化物(充填材61体積%含有)を得た。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物(DPCCN)75質量部、合成例2で得られたシアン酸エステル化合物(E-CN)25質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業(株)製、BMI-2300(商品名))49質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.15質量部、アルミナ粒子(新日鉄住金マテリアル株式会社マイクロンカンパニー製、AZ35-75(商品名))282質量部、アルミナ粒子(新日鉄住金マテリアル株式会社マイクロンカンパニー製、AZ10-75(商品名))282質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-03(商品名))141質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社、LS-2940(商品名))7質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、110℃で15分間乾燥した後、110℃に加熱したオーブン中で30分間真空引きを行い、Bステージ化した樹脂組成物を得た。Bステージ化した樹脂組成物を金型に充填し、真空加熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力30MPa)により充填材含有硬化物(充填材60体積%含有)を得た。
TA(三菱ガス化学株式会社)100質量部、フェニルメタンマレイミド(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))129質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.23質量部、窒化アルミニウム粒子(古河電子株式会社製、FAN-f50(商品名))1276質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-18(商品名))198質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-3(商品名))198質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-03(商品名))198質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、LS-2940(商品名))19質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)粗面に塗工し、100℃で10分間乾燥してBステージ化した樹脂組成物付銅箔を得た。Bステージ化した樹脂組成物を銅箔から剥離し、乳鉢で粉砕した。得られたBステージ化した樹脂組成物粉末を金型に充填し、真空加熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力5MPa)により充填材含有硬化物(充填材75体積%含有)を得た。
TA(三菱ガス化学株式会社製)100質量部、フェニルメタンマレイミド(大和化成工業株式会社製、BMI-2300(商品名))129質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.23質量部、窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、PT110)638質量部、フェニルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)10質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)粗面に塗工し、130℃で10分間乾燥した後、150℃で5分間乾燥し、Bステージ化した樹脂組成物付銅箔を得た。Bステージ化した樹脂組成物を銅箔から剥離し、乳鉢で粉砕した。得られたBステージ化した樹脂組成物粉末を粉体成形用ダイス(エヌピーエーシステム株式会社製、DT5025-1525)に充填し、手動油圧ポンプ(理研精機株式会社製、P-16B)を用いて50MPaに加圧してペレットを作製した。得られたペレットを真空加熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力30MPa)し、充填材含有硬化物(充填材61体積%含有)を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、850-S(商品名))64質量部、フェノールノボラック樹脂(明和化成工業株式会社製、DL-92(商品名))36質量部、2-フェニルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)0.20質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-3(商品名))400質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、LS-2940(商品名))4質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)粗面に塗工し、120℃で20分間乾燥してBステージ化した樹脂組成物付銅箔を得た。粗面が樹脂組成物に向くよう銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP、厚さ18μm)をBステージ化した樹脂組成物付銅箔に重ね、真空加熱プレス(190℃、30分間、プレス圧力5MPa)により両面銅箔付硬化物を作製した。両面銅箔付硬化物から両面の銅箔を剥離し、充填材含有硬化物(充填材55体積%含有)を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、850-S(商品名))64質量部、フェノールノボラック樹脂(明和化成工業株式会社製、DL-92(商品名))36質量部、2-フェニルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)0.20質量部、アルミナ粒子(住友化学株式会社製、AA-3(商品名))233質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、LS-2940(商品名))2質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP(商品名)、厚さ18μm)粗面に塗工し、120℃で20分間乾燥してBステージ化した樹脂組成物付銅箔を得た。粗面が樹脂組成物に向くよう銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP、厚さ18μm)をBステージ化した樹脂組成物付銅箔に重ね、真空加熱プレス(190℃、30分間、プレス圧力5MPa)により両面銅箔付硬化物を作製した。両面銅箔付硬化物から両面の銅箔を剥離し、充填材含有硬化物(充填材41体積%含有)を得た。
得られた硬化物及び充填材含有硬化物の特性は、以下の方法により評価した。
<硬化物の熱伝導率>
熱拡散係数は、1cm角の大きさに加工した硬化物をキセノンフラッシュ法熱拡散率測定装置(NETZSCH製、LFA447 NanoFlash)中の試料ホルダにセットし、25℃、大気中の条件下で測定を行うことによって求めた。
比熱は、DSC(セイコーインスツル株式会社製、EXSTAR6000 DSC6220)を用い、JIS K7123(プラスチックの比熱容量測定方法)に従って求めた。
密度は、水中置換法により、密度測定機(メトラー・トレド株式会社製、MS-DNY-43)を用いて求めた。
求めた熱拡散係数、比熱、密度から、得られた硬化物及び充填材含有硬化物の熱伝導率を下式により求めた。
式:λ=α・Cp・ρ
〔λ:熱伝導率(W/m・K)、α:熱拡散係数(m2/s)、Cp:比熱(J/g・K)、ρ:密度(kg/m3)〕
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製、EXSTAR6000 DMS6100)を用い、JIS-K7244-4(プラスチック-動的機械特性の試験方法-第4部:引張振動-非共振法)に準拠し、開始温度30℃、終了温度400℃、昇温速度5℃/分、測定周波数1Hz、窒素雰囲気下において、得られた硬化物及び充填材含有硬化物の動的粘弾性を測定し、その際得られた損失正接(tanδ)の最大値をガラス転移温度とした。
実施例11、比較例8、及び比較例9で得られた充填材含有硬化物の熱伝導率から、充填材含有硬化物における樹脂部分の熱伝導率を、下式(1)を用いて換算して求めた。
式(1):1-φ=[(λc-λf)/(λm-λf)]×(λm/λc)1/3
〔φ:フィラーの体積充填率(体積%)、λc:充填材含有硬化物の熱伝導率(W/m・K)、λf:アルミナの熱伝導率(30W/m・K)、λm:充填材含有硬化物における樹脂部分の熱伝導率(W/m・K)〕
硬化物の評価結果は、下記の表1及び表2に示されるとおりであった。なお、表1及び表2中、「-」の記載部分は該当する原料の配合がないことを意味する。
充填材含有硬化物の評価結果は、下記の表3及び表4に示されるとおりであった。なお、表3及び表4中、「-」の記載部分は該当する原料の配合がないことを意味する。
また、表4からも明らかなように、本発明の樹脂組成物からなる充填材含有硬化物から換算される樹脂部分の熱伝導率は、充填材を含まない硬化物の熱伝導率(実施例5:0.28W/m・K)よりも高い値を示した。一方、汎用のエポキシ樹脂を用いた比較例8及び比較例9から換算される樹脂部分の熱伝導率は、充填材を含まない硬化物と同等であった。以上の結果から、本発明の樹脂組成物は、充填材を更に含むと、熱伝導性が向上することが分かった。
Claims (18)
- 下記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、下記式(5)で表されるシアン酸エステル化合物(B)とを含み、
前記シアン酸エステル化合物(A)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)及び前記シアン酸エステル化合物(B)の合計100質量部に対して、10質量部を超えて99質量部以下である、樹脂組成物。
- マレイミド化合物を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル化合物(A)及び(B)以外のシアン酸エステル化合物(C)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される1種以上を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 充填材を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記充填材の熱伝導率が3W/(m・K)以上である、請求項7に記載の樹脂組成物。
- シート状成形体用である、請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物をシート状に成形してなる、単層樹脂シート。
- 支持体と、
前記支持体の片面又は両面に配された、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
を有する、積層樹脂シート。 - 基材と、
前記基材に含浸又は塗布された、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
を有する、プリプレグ。 - 請求項11に記載の単層樹脂シート、請求項12に記載の積層樹脂シート、及び、請求項13に記載のプリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種の片面又は両面に配された金属箔と、
を有し、
前記単層樹脂シート、前記樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれる樹脂組成物の硬化物を含む、金属箔張積層板。 - 絶縁層と、
前記絶縁層の片面又は両面に形成された導体層と、
を有し、
前記絶縁層が、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、プリント配線板。 - 請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、強化繊維と、を含む、繊維強化複合材料。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
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