JP2019026627A - 新規なビスフェノール化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高耐熱性でありながら低融点である、12員環の環状炭化水素を有する新規なビスフェノール化合物の提供。【解決手段】式(1)で表されるビスフェノール化合物。【選択図】なし
Description
本発明は、新規なビスフェノール化合物に関する。詳しくは、無置換もしくは、アルキル基又はアルコキシ基により置換された3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル基が、シクロドデシル基の1位に2つ結合している新規なビスフェノール化合物に関する。
従来、ビスフェノール類は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性合成樹脂原料、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂原料、酸化防止剤原料、感熱記録体原料、感光性レジスト原料などの用途で用いられている。近年、環状炭化水素を有するビスフェノール誘導体は、耐熱性に優れたポリマー原料等として有望視されており、7員環以上の環状炭化水素を有するビスフェノール誘導体としては、12員環の環状炭化水素を有する1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンが知られている(特許文献1)。しかし該化合物は、樹脂原料とした場合の耐熱性は高いものの、化合物が高融点であるため、操作性が悪く、また、光学特性においてもさらなる改良が求められている。
本発明は、上述した事情を背景としてなされたものであって、高耐熱性でありながら低融点である、12員環の環状炭化水素を有する新規なビスフェノール化合物の提供を課題とする。
本発明者らは、上述の課題解決のために鋭意検討した結果、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのヒドロキシフェニル基にシクロヘキシル基を付加した12員環の環状炭化水素を有するビスフェノール化合物が、高耐熱性であるだけでなく、従来知られた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンと比較して低融点であることを見出し、本発明を完成した。
本発明によるビスフェノール化合物は、低融点であるため、各種樹脂原料として用いる場合に操作性に優れる。また化合物自体、低融点であるにもかかわらず、高軟化点(高耐熱性)を有しているため、耐熱性樹脂原料として有用である。特に、本発明によるビスフェノール化合物をポリカーボネート原料モノマーとして用いて溶融重合(エステル交換反応)で重合を行うときに、反応仕込み時の温度を低温で行うことができるため、加熱量を抑えることができ、熱履歴等を少なくできるほか、着色等のリスクを減らすことができる。
また、本発明によるビスフェノール化合物は、反応性のフェノール性水酸基を複数有しているので、そのまま又は誘導体として、例えば、ホスゲンやジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類と反応することにより得られるポリカーボネート、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂、2−(3−オキセタニル)ブチルトシレートを反応させることにより得られるオキセタン樹脂、アクリル酸(又はメタクリル酸)を反応させることにより得られる樹脂、さらには、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン(又はポリサルフォン、ポリフェニルサルフォン)、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等の各種樹脂原料として、またi線レジスト添加剤、顕色剤、酸化防止剤等としての利用も期待できる。
また、本発明によるビスフェノール化合物は、反応性のフェノール性水酸基を複数有しているので、そのまま又は誘導体として、例えば、ホスゲンやジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類と反応することにより得られるポリカーボネート、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂、2−(3−オキセタニル)ブチルトシレートを反応させることにより得られるオキセタン樹脂、アクリル酸(又はメタクリル酸)を反応させることにより得られる樹脂、さらには、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン(又はポリサルフォン、ポリフェニルサルフォン)、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等の各種樹脂原料として、またi線レジスト添加剤、顕色剤、酸化防止剤等としての利用も期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のビスフェノール化合物は下記一般式(1)で表される。
(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
上記一般式(1)において、Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。このようなアルキル基には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、フェニル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、Rが炭素原子数1〜4のアルコキシ基である場合、アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルコキシ基であり、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられ、中でもメトキシ基が好ましい。このようなアルコキシ基には本願の効果を損なわない範囲で、例えば、フェニル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)において、Rは、上記ヒドロキシ基に対してo−位に置換することが好ましく、各々独立して水素原子、メチル基又はメトキシ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
本発明のビスフェノール化合物は下記一般式(1)で表される。
上記一般式(1)において、Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。このようなアルキル基には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、フェニル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、Rが炭素原子数1〜4のアルコキシ基である場合、アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルコキシ基であり、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられ、中でもメトキシ基が好ましい。このようなアルコキシ基には本願の効果を損なわない範囲で、例えば、フェニル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)において、Rは、上記ヒドロキシ基に対してo−位に置換することが好ましく、各々独立して水素原子、メチル基又はメトキシ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるビスフェノール化合物としては、具体的には例えば、
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)シクロドデカン
等が挙げられる。
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)シクロドデカン
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)シクロドデカン
等が挙げられる。
本発明の上記一般式(1)で表されるビスフェノールの製造方法については、特に制限はなく、公知のビスフェノール類の製造方法を適用できるが、好ましくは、下記に示すシクロドデカノンと下記一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物を原料とし、これらを酸触媒の存在下に反応させることにより得ることができる。
(式中、Rは一般式(1)のそれと同じであり、ヒドロキシ基に対してパラ位に置換しない。)
Rの好ましい例や具体例、好ましい置換位置も一般式(1)のそれと同じである。
このような上記一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物としては、具体的には、例えば
2−シクロヘキシルフェノール
2−シクロヘキシル−6−メチルフェノール
2−シクロヘキシル−6−エチルフェノール
2−シクロヘキシル−6−イソプロピルフェノール
2−シクロヘキシル−6−メトキシフェノール
等が挙げられる。
Rの好ましい例や具体例、好ましい置換位置も一般式(1)のそれと同じである。
このような上記一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物としては、具体的には、例えば
2−シクロヘキシルフェノール
2−シクロヘキシル−6−メチルフェノール
2−シクロヘキシル−6−エチルフェノール
2−シクロヘキシル−6−イソプロピルフェノール
2−シクロヘキシル−6−メトキシフェノール
等が挙げられる。
本発明化合物は後述する方法等により、結晶体で得ることが好ましく、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの結晶体がより好ましい。1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの結晶体は、後述する分析条件による示差走査熱量分析において、吸熱ピークトップ温度が175〜200℃の範囲にある。その吸熱ピークトップ温度は、好ましくは178〜196℃の範囲、より好ましくは180〜194℃、さらに好ましくは182〜192℃の範囲、特に好ましくは184〜190℃の範囲である。
本発明の1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの結晶体は、示差走査熱量分析において、吸熱ピークトップ温度が175〜200℃の範囲にある吸熱ピーク以外に、吸熱ピークが存在していてもよいが、吸熱ピークトップ温度が175〜200℃の範囲の吸熱ピーク面積が、それ以外のピーク面積よりも大きい結晶体である。
このような本発明の1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの結晶体は、その純度が通常95〜100%、好ましくは97〜100%、特に好ましくは98〜100%のものである。
本発明の1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの結晶体は、示差走査熱量分析において、吸熱ピークトップ温度が175〜200℃の範囲にある吸熱ピーク以外に、吸熱ピークが存在していてもよいが、吸熱ピークトップ温度が175〜200℃の範囲の吸熱ピーク面積が、それ以外のピーク面積よりも大きい結晶体である。
このような本発明の1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの結晶体は、その純度が通常95〜100%、好ましくは97〜100%、特に好ましくは98〜100%のものである。
本発明の上記一般式(1)で表されるビスフェノール化合物の製造方法として、例えば、シクロドデカノンと2−シクロヘキシルフェノールを出発原料とし、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンを製造する場合の反応式を、下記に示す。
上記のシクロドデカノンと一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物を酸触媒の存在下に反応させる製造方法においては、まず、シクロドデカノンと一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物を酸触媒の存在下に反応させ、得られた反応混合物をアルカリで中和した後、公知の方法に従い、晶析、ろ過して、1次晶析ろ過粗製物を得る。
反応に際して、シクロドデカノンに対する一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物の仕込みモル比は、理論値(2.0)以上であれば、特に限定されるものではないが、通常2〜20倍モル量の範囲、好ましくは3〜10倍モル量の範囲で用いられる。
使用する酸触媒は特に制限されず、公知の酸触媒を使用することができる。具体的な酸触媒としては、例えば、塩酸、塩化水素ガス、60〜98%硫酸、85%リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、蟻酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸等の有機酸、ヘテロポリ酸等の固体酸等を挙げることができる。好ましくは塩化水素ガスである。このような酸触媒の使用量は反応条件によって好適な量は異なるが、例えば塩化水素ガスの場合は、反応系の空気を窒素ガス等の不活性ガスで置換した後、塩化水素ガスを吹き込み、反応容器内の気相中の塩化水素ガス濃度を75〜100容量%とし、反応液中の塩化水素濃度を飽和濃度にするのがよい。35%塩酸の場合は一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物100重量部に対して、5〜70重量部の範囲、好ましくは、10〜40重量部の範囲、より好ましくは20〜30重量部の範囲で用いられる。
反応に際して、酸触媒と共に必要に応じて助触媒を用いてもよい。例えば、塩化水素ガスを触媒として用いる場合、助触媒としてチオール類を用いることによって、反応速度を加速させることができる。このようなチオール類としては、アルキルメルカプタン類やメルカプトカルボン酸類が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類や炭素数1〜12のメルカプトカルボン酸類であり、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等やそれらのナトリウム塩等のようなアルカリ金属塩、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。また、これらは単独又は二種類以上の組み合わせで使用できる。
助触媒としてのチオール類の使用量は、原料のシクロドデカノンに対し通常1〜30モル%の範囲、好ましくは2〜10モル%の範囲で用いられる。
反応に際して、シクロドデカノンに対する一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物の仕込みモル比は、理論値(2.0)以上であれば、特に限定されるものではないが、通常2〜20倍モル量の範囲、好ましくは3〜10倍モル量の範囲で用いられる。
使用する酸触媒は特に制限されず、公知の酸触媒を使用することができる。具体的な酸触媒としては、例えば、塩酸、塩化水素ガス、60〜98%硫酸、85%リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、蟻酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸等の有機酸、ヘテロポリ酸等の固体酸等を挙げることができる。好ましくは塩化水素ガスである。このような酸触媒の使用量は反応条件によって好適な量は異なるが、例えば塩化水素ガスの場合は、反応系の空気を窒素ガス等の不活性ガスで置換した後、塩化水素ガスを吹き込み、反応容器内の気相中の塩化水素ガス濃度を75〜100容量%とし、反応液中の塩化水素濃度を飽和濃度にするのがよい。35%塩酸の場合は一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物100重量部に対して、5〜70重量部の範囲、好ましくは、10〜40重量部の範囲、より好ましくは20〜30重量部の範囲で用いられる。
反応に際して、酸触媒と共に必要に応じて助触媒を用いてもよい。例えば、塩化水素ガスを触媒として用いる場合、助触媒としてチオール類を用いることによって、反応速度を加速させることができる。このようなチオール類としては、アルキルメルカプタン類やメルカプトカルボン酸類が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類や炭素数1〜12のメルカプトカルボン酸類であり、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等やそれらのナトリウム塩等のようなアルカリ金属塩、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。また、これらは単独又は二種類以上の組み合わせで使用できる。
助触媒としてのチオール類の使用量は、原料のシクロドデカノンに対し通常1〜30モル%の範囲、好ましくは2〜10モル%の範囲で用いられる。
また、反応に際して反応溶媒は、原料の一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物の融点が低く、操作性に問題がなければ使用する必要はないが、工業的生産時の操作性や反応速度の向上などの理由で使用してもよい。反応溶媒としては、反応温度において反応器から留出せず、反応に不活性であれば特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級脂肪族アルコール、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類等の有機溶媒や水又はこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、低級脂肪族アルコールが好ましく用いられる
また、酸触媒の反応を促進するため、必要に応じて反応有機溶媒に少量の水を添加してもよい。特に酸触媒が塩化水素ガスの場合は、水は触媒の塩化水素ガスの吸収を促進する理由で好ましい。水を添加する場合その添加量は、一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物100重量部に対し、0.5〜5.0重量部の範囲が好ましい。
反応温度は、原料の一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物や酸触媒の種類により異なるが、酸触媒として塩化水素ガスを使用する場合は、通常10〜60℃、好ましくは25〜50℃の範囲である。反応圧力は、通常、常圧下で行われるが、用いてもよい有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記範囲内になるように、加圧又は減圧下で行ってもよい。
反応時間は、原料の一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物、酸触媒の種類や、反応温度等の反応条件により異なるが、通常1〜30時間程度で終了する。
反応の終点は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー分析にて確認することができる。未反応のシクロドデカノンが消失し、目的物の増加が認められなくなった時点を反応の終点とするのが好ましい。
また、酸触媒の反応を促進するため、必要に応じて反応有機溶媒に少量の水を添加してもよい。特に酸触媒が塩化水素ガスの場合は、水は触媒の塩化水素ガスの吸収を促進する理由で好ましい。水を添加する場合その添加量は、一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物100重量部に対し、0.5〜5.0重量部の範囲が好ましい。
反応温度は、原料の一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物や酸触媒の種類により異なるが、酸触媒として塩化水素ガスを使用する場合は、通常10〜60℃、好ましくは25〜50℃の範囲である。反応圧力は、通常、常圧下で行われるが、用いてもよい有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記範囲内になるように、加圧又は減圧下で行ってもよい。
反応時間は、原料の一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物、酸触媒の種類や、反応温度等の反応条件により異なるが、通常1〜30時間程度で終了する。
反応の終点は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー分析にて確認することができる。未反応のシクロドデカノンが消失し、目的物の増加が認められなくなった時点を反応の終点とするのが好ましい。
反応に際し、反応原料の添加方法については、特に限定はないが、通常のビスフェノール類やトリスフェノール類の反応で用いられる方法に沿って行うことができる。好ましい態様によれば、例えば、反応容器に所定量の一般式(2)で表されるシクロヘキシルフェノール化合物、酸触媒及び必要に応じて、助触媒、反応溶媒を仕込み、窒素気流下に撹拌しながら、所定の反応温度まで昇温した後、そこにシクロドデカノンを逐次添加していく方法が挙げられる。
このような反応の終了後に、得られた反応終了液から本発明の目的物を単離乃至精製するには、公知の単離乃至精製方法を適用することができる。例えば、反応終了液に、酸触媒を中和するために、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等のアルカリ水溶液を加えて、酸触媒を中和する。中和した反応混合液から、必要に応じて反応溶媒等を蒸留により減圧下に濃縮除去した後、そのまま又は一旦加熱して均一の溶液とし、水と分離する芳香族炭化水素や脂肪族ケトン等の溶媒を加え、水層を分離除去し、必要に応じて水を加え撹拌して水洗した後、水層を分離除去する操作を1回乃至複数回繰り返し行う。得られた油層を、冷却して晶析又は沈殿させた後に、ろ過することにより目的物の粗製物の結晶又は固体を得ることができる。得られた粗製物を、必要に応じて再結晶等を行うことで、高純度の目的物を得ることができる。例えば、粗製物をトルエン等の芳香族炭化水素溶媒と撹拌下に加温して溶解し、その溶液を冷却して結晶を析出させた後、析出した結晶をろ別、乾燥することにより、好ましい結晶体である高純度の目的物を得ることができる。晶析時に使用する芳香族炭化水素溶媒等の量は、目的物1重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、より好ましくは1.5〜5重量部である。一方、上記晶析操作の代わりに中和処理後、反応溶媒等を減圧下に濃縮し、その残渣をカラムクロマトグラフィー等により精製することで高純度品を得ることもできる。さらに、目的とするビスフェノール化合物や反応条件によっては、前記中和終了後の溶液に、そのまま適宜の溶媒を加えて晶析又は沈殿させることができる。あるいは目的物の結晶化が困難な場合には、蒸留して得られた残渣を冷却して粗製物として得ることもできる。
このような反応の終了後に、得られた反応終了液から本発明の目的物を単離乃至精製するには、公知の単離乃至精製方法を適用することができる。例えば、反応終了液に、酸触媒を中和するために、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等のアルカリ水溶液を加えて、酸触媒を中和する。中和した反応混合液から、必要に応じて反応溶媒等を蒸留により減圧下に濃縮除去した後、そのまま又は一旦加熱して均一の溶液とし、水と分離する芳香族炭化水素や脂肪族ケトン等の溶媒を加え、水層を分離除去し、必要に応じて水を加え撹拌して水洗した後、水層を分離除去する操作を1回乃至複数回繰り返し行う。得られた油層を、冷却して晶析又は沈殿させた後に、ろ過することにより目的物の粗製物の結晶又は固体を得ることができる。得られた粗製物を、必要に応じて再結晶等を行うことで、高純度の目的物を得ることができる。例えば、粗製物をトルエン等の芳香族炭化水素溶媒と撹拌下に加温して溶解し、その溶液を冷却して結晶を析出させた後、析出した結晶をろ別、乾燥することにより、好ましい結晶体である高純度の目的物を得ることができる。晶析時に使用する芳香族炭化水素溶媒等の量は、目的物1重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、より好ましくは1.5〜5重量部である。一方、上記晶析操作の代わりに中和処理後、反応溶媒等を減圧下に濃縮し、その残渣をカラムクロマトグラフィー等により精製することで高純度品を得ることもできる。さらに、目的とするビスフェノール化合物や反応条件によっては、前記中和終了後の溶液に、そのまま適宜の溶媒を加えて晶析又は沈殿させることができる。あるいは目的物の結晶化が困難な場合には、蒸留して得られた残渣を冷却して粗製物として得ることもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例における融点(吸熱ピークトップ温度)及び軟化点は以下の方法により計測した。その分析方法は以下の通りである。
<分析方法>
1.融点、軟化点の測定
装置 :島津製作所社製DSC-60 DIFFERENTIAL SCANNING CALORIMETER
昇温条件 :10℃/分(30℃→200℃)
雰囲気ガス:窒素ガス(流量:50ml/分)
測定試料量:2〜3mg
測定方法 :上記昇温条件で1回目の測定を行い、その吸熱ピークから融点を測定した(ピークトップ)。その後、同じ試料を室温まで冷却し、同条件で2回目の測定を行い、その吸熱ピークを軟化点とした。
なお、以下の例における融点(吸熱ピークトップ温度)及び軟化点は以下の方法により計測した。その分析方法は以下の通りである。
<分析方法>
1.融点、軟化点の測定
装置 :島津製作所社製DSC-60 DIFFERENTIAL SCANNING CALORIMETER
昇温条件 :10℃/分(30℃→200℃)
雰囲気ガス:窒素ガス(流量:50ml/分)
測定試料量:2〜3mg
測定方法 :上記昇温条件で1回目の測定を行い、その吸熱ピークから融点を測定した(ピークトップ)。その後、同じ試料を室温まで冷却し、同条件で2回目の測定を行い、その吸熱ピークを軟化点とした。
<実施例1>
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの製造
温度計、撹拌機、冷却管を備えた1リットル四つ口フラスコにメタノール43.7g、ドデシルメルカプタン3.7g、2−シクロヘキシルフェノール282.0g(1.6モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、40℃で飽和するまで塩化水素ガスを吹込んだ。その後、40℃を保持しながらシクロドデカノン72.9g(0.4モル)とメタノール29.2gの混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに40℃で23時間撹拌した。反応終了後、メタノール145.8gを添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応液を中和し、得られた液を常圧下で蒸留して溶媒286.3gを留出させた。残溜液にメチルイソブチルケトン310.1gを加えて水層を除去し、得られたオイル層にイオン交換水103gを加えて撹拌し、水層を除去した。次いで得られたオイル層を室温まで冷却した後、析出した結晶をろ別した。
温度計、撹拌機、冷却管を備えた1リットル四つ口フラスコに得られた結晶105.6g、酢酸ブチル198.2g、イオン交換水99gを仕込み、撹拌下、70℃に昇温して溶解した後、静置して水層を分離除去した。得られたオイル層にイオン交換水99gを加えて、70℃で撹拌後、静置して水層を分離除去する操作をさらに2回行った。得られたオイル層を蒸留濃縮して、酢酸ブチル105.5gを留出除去した後、トルエン105.5gを添加後してさらに蒸留濃縮を行い、溶媒113.8gを除去した。得られた蒸留残液にトルエン113.8gを加えて結晶を析出させた。室温まで冷却した後、析出した結晶をろ過、乾燥することにより、白色粉末結晶として1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン64.6gを得た。
純度 99.8%(高速液体クロマトグラフィー)
収率 31.2%(対シクロドデカノン)
融点 187℃
軟化点 94℃
プロトン核磁気共鳴スペクトル(400MHz、溶媒DMSO−D6、標準TMS)
化学シフト(シグナル形状、プロトン数)
0.85ppm(s, 4H)、1.15〜1.33ppm(m, 24H)、1.64〜1.74ppm(m, 10H)、1.90ppm(m, 4H)、2.72〜2.77ppm(m, 2H)、6.60〜6.62ppm(d, 2H)、6.71〜6.77ppm(m, 4H)、8.87ppm(s, 2H)
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの製造
温度計、撹拌機、冷却管を備えた1リットル四つ口フラスコにメタノール43.7g、ドデシルメルカプタン3.7g、2−シクロヘキシルフェノール282.0g(1.6モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、40℃で飽和するまで塩化水素ガスを吹込んだ。その後、40℃を保持しながらシクロドデカノン72.9g(0.4モル)とメタノール29.2gの混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに40℃で23時間撹拌した。反応終了後、メタノール145.8gを添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応液を中和し、得られた液を常圧下で蒸留して溶媒286.3gを留出させた。残溜液にメチルイソブチルケトン310.1gを加えて水層を除去し、得られたオイル層にイオン交換水103gを加えて撹拌し、水層を除去した。次いで得られたオイル層を室温まで冷却した後、析出した結晶をろ別した。
温度計、撹拌機、冷却管を備えた1リットル四つ口フラスコに得られた結晶105.6g、酢酸ブチル198.2g、イオン交換水99gを仕込み、撹拌下、70℃に昇温して溶解した後、静置して水層を分離除去した。得られたオイル層にイオン交換水99gを加えて、70℃で撹拌後、静置して水層を分離除去する操作をさらに2回行った。得られたオイル層を蒸留濃縮して、酢酸ブチル105.5gを留出除去した後、トルエン105.5gを添加後してさらに蒸留濃縮を行い、溶媒113.8gを除去した。得られた蒸留残液にトルエン113.8gを加えて結晶を析出させた。室温まで冷却した後、析出した結晶をろ過、乾燥することにより、白色粉末結晶として1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン64.6gを得た。
純度 99.8%(高速液体クロマトグラフィー)
収率 31.2%(対シクロドデカノン)
融点 187℃
軟化点 94℃
プロトン核磁気共鳴スペクトル(400MHz、溶媒DMSO−D6、標準TMS)
化学シフト(シグナル形状、プロトン数)
0.85ppm(s, 4H)、1.15〜1.33ppm(m, 24H)、1.64〜1.74ppm(m, 10H)、1.90ppm(m, 4H)、2.72〜2.77ppm(m, 2H)、6.60〜6.62ppm(d, 2H)、6.71〜6.77ppm(m, 4H)、8.87ppm(s, 2H)
<物性比較>
以下に示す比較例1〜3(比較化合物A〜C)の融点と軟化点を、上記「分析方法」により測定した。
比較例1(比較化合物A):1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン
比較例2(比較化合物B):1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
シクロドデカン
比較例3(比較化合物C):1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)
シクロドデカン
実施例1及び比較例1〜3の純度、融点、軟化点を表1に示す。
以下に示す比較例1〜3(比較化合物A〜C)の融点と軟化点を、上記「分析方法」により測定した。
比較例1(比較化合物A):1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン
比較例2(比較化合物B):1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
シクロドデカン
比較例3(比較化合物C):1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)
シクロドデカン
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