JP6778213B2 - ビスフェノール化合物及び芳香族ポリカーボネート - Google Patents

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Description

本発明は、新規なビスフェノール化合物、及びこれを用いた新規な芳香族ポリカーボネートに関する。詳しくは、芳香族ポリカーボネートオリゴマー乃至樹脂等原料として好適な、インドリン骨格を有するビスフェノール化合物及びこれを原料ジヒドロキシ化合物として用いた芳香族ポリカーボネートに関する。
従来、ビスフェノール類は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性合成樹脂原料、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂原料、酸化防止剤原料、感熱記録体原料、感光性レジスト原料などの用途で用いられている。近年、これらのビスフェノール類に要求される性能はますます高度化してきており、それらのうちには、芳香族ポリカーボネートとした場合に、機械強度、光学特性等に優れたインドリン骨格を有するビスフェノール類もいくつか知られている(特許文献1、2)。例えば、ガラス転移温度が比較的高く、金属への接着が改良された芳香族ポリカーボネート用の原料ビスフェノールとして3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オンが知られている(特許文献2)。しかし該化合物は、芳香族ポリカーボネートとした場合の耐熱性は高いものの、化合物が高融点であるため、操作性が悪く、また、光学特性においてもさらなる改良が求められている。
特開2002−179650号公報 特表2010−505011号公報
本発明は、上述した事情を背景としてなされたものであって、高耐熱性、高屈折率でありながら低融点であるインドリン骨格を有する新規なビスフェノール化合物の提供及びこれを原料ジヒドロキシ化合物として用いた新規な芳香族ポリカーボネートを提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題解決のために鋭意検討した結果、N−フェニル置換イサチンを骨格とし、ヒドロキシフェニル基にフェニル置換基を付加したビスフェノールが、高耐熱性、高屈折率であるだけでなく、従来知られた3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オンと比較して低融点であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
1.下記一般式(3)で表されるビスフェノール化合物。
(式中、Rは各々独立してメチル基又はフェニル基を示し、Rは各々独立して水素原子又はメチル基を示し、Rメチル基を示し、mは0又は1を表し、nは0又は1を表。)
2.下記一般式(7)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネート。
(式中、Rは各々独立してメチル基又はフェニル基を示し、Rは各々独立して水素原子又はメチル基を示し、Rメチル基を示し、mは0又は1を表し、nは0又は1を表。)
3.1.記載の一般式(3)で表されるビスフェノール化合物とジフェニルカーボネートから得られる2.記載の一般式(7)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネート。
本発明によるビスフェノール化合物は、低融点であるため、特にポリカーボネート製造の重合時の操作性に優れる。また化合物自体、低融点であるにもかかわらず、高耐熱性であり、しかも高屈折率を有しているため、光学材料用途のポリカーボネート原料として優れた効果が期待できる。
また、本発明によるビスフェノール化合物は、反応性のフェノール性水酸基を複数有しているので、そのまま又は誘導体として、例えば、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂、2−(3−オキセタニル)ブチルトシレートを反応させることにより得られるオキセタン樹脂、アクリル酸(又はメタクリル酸)を反応させることにより得られる樹脂、さらには、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等の各種樹脂原料として、またi線レジスト添加剤、顕色剤、酸化防止剤等として優れた効果が期待できる。
さらに、本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記本発明に係る低融点のビスフェノールを原料ジヒドロキシ化合物モノマーとしているので、溶融エステル交換法や固相重合でポリカーボネートを製造するに際し、操作性もよく、着色やモノマー分解の懸念が少なく、得られたポリカーボネートは、高純度で、高耐熱性・高屈折率を有することが期待され、特に光学材料用ポリカーボネートにおいて優れた効果が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のビスフェノール化合物について説明すると、本発明のビスフェノール化合物は下記一般式(1)で表される。
(式中、Rは各々独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子を示し、Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、mは0〜2の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、ただし、mが2の場合、Rは同一でも異なっていてもよく、nが2の場合、Rは同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(1)において、Rは各々独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子であり、Rが炭素原子数1〜8のアルキル基である場合、アルキル基としては、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。このようなアルキル基には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、フェニル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、Rが炭素原子数1〜8のアルコキシ基である場合、アルコキシ基としては、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルコキシ基であり、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。このようなアルコキシ基には本願の効果を損なわない範囲で、例えば、フェニル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、Rがフェニル基である場合、フェニル基には本願の効果を損なわない範囲で、例えば、アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、Rがハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としては、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
は、好ましくはメチル基又はフェニル基である。
は各々独立して水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子であり、R、Rが炭素原子数1〜8のアルキル基である場合、好ましい基や具体例はRのそれと同じであり、R、Rが炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子である場合も同様に、各々Rのそれと同じである。Rは、好ましくは水素原子又はメチル基であり、Rは好ましくはメチル基である。
また、上記一般式(1)において、mは0、1又は2であり、好ましくは0又は1であり、nは0、1又は2であり、好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
また、上記一般式(1)において、インドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル基に置換するヒドロキシ基及びフェニル基、並びにRの置換位置については、まず、ヒドロキシ基は、インドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル炭素原子に対して4位又は2位に置換することが好ましく、4位に置換することがより好ましい。
また、フェニル基は、上記ヒドロキシ基に対してo−位又はp−位に置換することが好ましく、ヒドロキシ基がインドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル炭素原子に対して4位に置換している場合は、3位又は5位に置換することが好ましく、ヒドロキシ基が2位に置換している場合は、3位又は5位に置換することが好ましい。
さらに、上記一般式(1)において、Rは、上記ヒドロキシ基に対してo−位又はp−位に置換することが好ましく、前記インドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル炭素原子に対して、ヒドロキシ基が4位、フェニル基が3位に置換しているときは、5位に置換することが好ましく、ヒドロキシ基が2位、フェニル基が3位に置換しているときは、5位に置換することが好ましく、ヒドロキシ基が2位、フェニル基が5位に置換しているときは、3位に置換することが好ましい。
さらに、mが2の場合のRの置換位置は、前記インドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル炭素原子に対して、ヒドロキシ基が4位、フェニル基が3位、Rが5位及び6位に置換するか又はヒドロキシ基が4位、フェニル基が3位、Rが2位及び5位に置換することが好ましい。
従って、上記一般式(1)で表されるビスフェノール化合物としては、好ましくは下記一般式(3)で表される。
(式中、R、R、R、m、nは一般式(1)のそれと同じである。)
上記一般式(3)で表されるビスフェノール化合物において、mが1である場合、Rの置換位置はインドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル炭素原子に対して、5位が好ましく、mが2である場合、Rの置換位置はインドリン骨格の3位の炭素原子と直接結合しているフェニル炭素原子に対して、5位及び6位又は2位及び5位が好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるビスフェノール化合物としては、具体的には例えば、3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(5−エチル−4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−(4−メチルフェニル)フェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−(3−メチルフェニル)フェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−(4−メチルフェニル)−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−1H−インドール−2−オン
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−オン
等が挙げられる。
本発明の上記一般式(1)で表されるビスフェノールは、その製造方法については、特に制限はなく、公知のビスフェノール類の製造方法を適用できるが、好ましくは、下記一般式(5)で表されるN−フェニルイサチン化合物と下記一般式(6)で表されるフェニルフェノール化合物を原料とし、これらを酸触媒の存在下に反応させることにより得ることができる。
(式中、R、nは一般式(1)のそれと同じである。)
、nの好ましい例や具体例も一般式(1)のそれと同じである。
このような上記一般式(5)で表されるN−フェニルイサチン化合物としては、具体的には、例えば、
1−フェニル−1H−インドール−2,3−ジオン
1−(4−メチルフェニル)−1H−インドール−2,3−ジオン
1−(2−メチルフェニル)−1H−インドール−2,3−ジオン
1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2,3−ジオン
等があげられる。
また、
(式中、R、R、mは一般式(1)のそれと同じである。)
、Rの好ましい例や具体例も一般式(1)のそれと同じである。
このような上記一般式(6)で表されるフェニルフェノール化合物としては、具体的には、例えば、
2−フェニルフェノール
6−メチル−2−フェニルフェノール
6−エチル−2−フェニルフェノール
2,6−ジフェニルフェノール
6−メトキシ−2−フェニルフェノール
5,6−ジメチル−2−フェニルフェノール
3,6−ジメチル−2−フェニルフェノール
2−(4−メチルフェニル)フェニルフェノール
2−(3−メチルフェニル)フェニルフェノール
等が挙げられる。
上記のN−フェニルイサチン化合物とフェニルフェノール化合物を酸触媒の存在下に反応させる製造方法においては、まず、N−フェニルイサチン化合物とフェニルフェノール化合物を酸触媒の存在下に反応させ、得られた反応混合物をアルカリで中和した後、公知の方法に従い、晶析、ろ過して、1次晶析ろ過粗製物を得る。
反応に際して、N−フェニルイサチン化合物に対するフェニルフェノール化合物の仕込みモル比は、理論値(2.0)以上であれば、特に限定されるものではないが、通常、2.5倍モル量以上、好ましくは、2.5〜20倍モル量の範囲、特に好ましくは3〜10倍モル量の範囲で用いられる。酸触媒としては、例えば、塩酸、塩化水素ガス、60〜98%硫酸、85%リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、蟻酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸等の有機酸、ヘテロポリ酸等の固体酸等を挙げることができる。好ましくは 塩化水素ガスである。このような酸触媒の使用量は反応条件によって好適な量は異なるが、例えば塩化水素ガスの場合は、反応系の空気を窒素ガス等の不活性ガスで置換した後、塩化水素ガスを吹き込み、反応容器内の気相中の塩化水素ガス濃度を75〜100容量%とし、反応液中の塩化水素濃度を飽和濃度にするのがよい。35%塩酸の場合はフェニルフェノール化合物100重量部に対して、5〜70重量部の範囲、好ましくは、10〜40重量部の範囲、より好ましくは20〜30重量部の範囲で用いられる。
反応に際し、酸触媒と共に必要に応じて助触媒を用いてもよい。例えば、塩化水素ガスを触媒として用いる場合、助触媒としてチオール類を用いることによって、反応速度を加速させることができる。このようなチオール類としては、アルキルメルカプタン類やメルカプトカルボン酸類が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類や炭素数1〜12のメルカプトカルボン酸であり、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン等やそれらのナトリウム塩等のようなアルカリ金属塩、チオ酢酸、β-メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。また、これらは単独又は二種類以上の組み合わせで使用できる。
助触媒としてのチオール類の使用量は、原料のN−フェニルイサチン化合物に対し通常1〜30モル%の範囲、好ましくは2〜10モル%の範囲で用いられる。
また、反応に際して反応溶媒は、原料のN−フェニルイサチン化合物とフェニルフェノール化合物の融点が低く、操作性に問題がなければ、溶媒を使用する必要はないが、工業的生産時の操作性や反応速度の向上などの理由で、反応溶媒を使用してもよい。反応溶媒としては、反応温度において反応器から留出せず、反応に不活性であれば特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール等の脂肪族アルコール、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類又はこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、脂肪族アルコールが好ましく用いられる。
また、フェニルフェノール化合物の凝固点を下げ酸触媒の反応を促進するため、必要に応じて少量の水を添加してもよい。特に酸触媒が塩化水素ガスの場合は、水は触媒の塩化水素ガスの吸収を促進する理由で好ましい。水を添加する場合その添加量は、フェニルフェノール化合物100重量部に対し、0.5〜5.0重量部の範囲が好ましい。
反応温度は、通常10〜60℃、好ましくは25〜50℃の範囲である。反応圧力は、通常、常圧下で行われるが、用いてもよい有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記範囲内になるように、加圧又は減圧下で行ってもよい。このような条件下で反応を行えば、反応は、通常1〜30時間程度で終了する。
反応の終点は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー分析にて確認することができる。未反応のN−フェニルイサチン化合物が消失し、目的物の増加が認められなくなった時点を反応の終点とするのが好ましい。
フェニルフェノール化合物に対する反応収率は、通常75〜95モル%程度である。
反応終了後、得られた反応混合物に、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液を加えて酸触媒を中和して、本発明に係る一般式(1)で表されるビスフェノールを含む反応終了混合液を得る。
該反応終了混合物から目的物を分離精製する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、中和した反応終了混合液をそのまま又は一旦加熱して均一の溶液とした後、冷却するか、もしくはメタノール等の晶析溶媒を加えた後、冷却して、結晶を析出させ、析出結晶をろ別することで、粗製又は高純度の目的物を得ることができる。
このようにして得られた目的とするビスフェノールは、必要に応じて、さらに精製して高純度品としてもよい。特にポリカーボネートの原料ジヒドロキシフェノールとして用いる場合は高純度品とするのが好ましい。例えば、上記得られた目的物の結晶を、再度、適宜の溶媒、例えばトルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等の脂肪族ケトン溶媒等の溶媒に溶解し、その後メタノール、水等の晶析溶媒を加えて再度冷却、晶析し、ろ別、乾燥する。または、上記晶析操作の代わりに反応終了後、反応終了混合物から反応溶媒等を減圧下に濃縮し、その残渣をカラムクロマトグラフィー等により精製することで目的物の高純度品を得ることもできる。
次に、本発明の、上記一般式(1)で表されるビスフェノールを原料芳香族ジヒドロキシ化合物とした、新規な芳香族ポリカーボネートについて説明する。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネートである。
(式中、Rは各々独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子を示し、Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、mは0〜2の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、ただし、mが2の場合、Rは同一でも異なっていてもよく、nが2の場合、Rは同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、式中、R、R、Rで示される置換基の好ましい例や具体例、及びm、nで示される置換数の規定並びに好ましい置換位置は一般式(1)のそれと同じである。
従って、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネートにおいて好ましい繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネートは下記一般式(7)で表される。
(式中、R、R、R、m、nは一般式(2)のそれと同じである。)
本発明の上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネートは、その製造方法については特に制限はなく、従来公知の任意の方法を用いることができる。具体的には、界面重合法、溶融エステル交換法(溶融重縮合法と称呼する場合がある)、固相重合法、環状カーボネート化合物の開環重合法、ピリジン法などが挙げられるが、中でも、芳香族ジヒドロキシ化合物類とカーボネート前駆体を原料とする界面重合法、溶融エステル交換法が好ましく、特に、一般式(1)で表されるビスフェノール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類とをエステル交換触媒の存在下に溶融重縮合して製造する方法が好ましい。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートの原料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は本発明の効果を妨げない範囲において、上記一般式(1)で表されるビスフェノール化合物以外の、例えばビスフェノールA等の他のジヒドロキシ化合物も共重合原料として用いることができる。
共重合原料を用いる場合、全ジヒドロキシ化合物中、主として用いられる上記一般式(1)で表されるビスフェノール化合物以外のジヒドロキシ化合物共重合原料の割合は、本発明の芳香族ポリカーボネートの効果を妨げない限り特に制限はないが、好ましくは0〜20モル%の範囲、より好ましくは0〜10モル%の範囲、さらに好ましくは0〜5モル%の範囲、特に好ましくは0〜2モル%の範囲である。
本発明の上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネートを溶融重縮合で製造する溶融エステル交換法についてさらに詳しく説明する。ここで、溶融エステル交換法としては従来公知の方法を用いることができる。
例えば、原料芳香族ジヒドロキシ化合物が3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オンであり、原料炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートである場合の、本発明に係る芳香族ポリカーボネートを得る反応を下記に反応式で示す。
溶融エステル交換反応は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを触媒の存在下、炭酸ジエステルと常圧または減圧不活性ガス雰囲気で加熱しながら撹拌し、生成するフェノールを留出させることで行われる。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させる炭酸ジエステルとしては、具体的には、例えば、ジフェニルカーボネート,ジトリルカーボネート,ビス(m−クレジル)カーボネート等の炭酸ジアリール、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネート等の炭酸ジアルキル、メチルフェニルカーボネート,エチルフェニルカーボネート,シクロヘキシルフェニルカーボネート等の炭酸アルキルアリール又はジビニルカーボネート、ジイソプロペニルカーボネート、ジプロペニルカーボネート等の炭酸ジアルケニル等が挙げられる。好ましくは炭酸ジアリールであり、特に好ましいのはジフェニルカーボネートである。
通常、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートを得る芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合比率は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを通常0.5〜1.5モル倍、好ましくは0.6〜1.2モル倍を用いる。
溶融エステル交換反応に際し、反応速度を高めるため、必要に応じてエステル交換触媒が用いられる。エステル交換触媒としては、特に制限はなく、例えばリチウム、ナトリウム、セシウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物、アルコラート、有機カルボン酸塩等の有機アルカリ金属化合物等のアルカリ金属化合物;ベリリウム、マグネシウム等の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物、アルコラート、有機カルボン酸塩等の有機アルカリ土類金属化合物等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の塩基性ホウ素化合物;トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン等の3価のリン化合物、又は、これらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等の塩基性リン化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物又は4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、アミノキノリン等アミン系化合物等の公知のエステル交換触媒を用いることができる。
中でも、アルカリ金属化合物が好ましく、特に炭酸セシウム、水酸化セシウム等のセシウム化合物が好ましい。
触媒の使用量は、触媒残留物が生成ポリカーボネートの品質上の問題が生じない範囲で用いられ、触媒の種類により好適な添加量が異なるので一概には言えないが概略、例えばビスフェノール化合物1モルに対して通常0.05〜100μモル、好ましくは0.08〜50μモル、より好ましくは0.1〜20μモル、さらに好ましくは0.1〜5μモルである。触媒はそのままで添加してもよいし、溶媒に溶解して添加してもよく、溶媒としては例えば、水、フェノール等の反応に影響しないものが好ましい。
溶融エステル交換反応の反応条件は、温度は通常120〜360℃の範囲、好ましくは150〜280℃の範囲、より好ましくは180〜260℃の範囲である。反応温度が低すぎるとエステル交換反応が進行せず、反応温度が高いと分解反応等の副反応が進行するので好ましくない。反応は好ましくは減圧下で行われ、反応圧力は反応温度において原料である炭酸ジエステルが系外に留出せず副生するフェノールが留出する圧力であることが好ましい。このような反応条件において、反応は通常0.5〜10時間程度で完結する。
このようにして得られた芳香族ポリカーボネートを含む反応終了物を、次いで、必要に応じて低分子量成分の分離低減処理を行った後、乾燥工程に付すことで、本発明に係る上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネートが得られる。
上記反応工程により得られた芳香族ポリカーボネートを含む反応終了物は、通常、反応温度近傍では溶融状態にある透明な粘稠物であり、常温近傍では固形体である。
必要に応じて行われてもよい低分子量成分の分離低減処理は、例えば特開平7−192310公報記載のように、芳香族ポリカーボネートを適宜の良溶媒に溶解し、その後メタノール等の貧溶媒中で芳香族ポリカーボネートを沈殿し、乾燥することにより、低分子量成分が低減された粒子状、粉状、フレーク状等の本発明に係る芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
また、高分子量芳香族ポリカーボネートを得るためにより好ましい方法としては、特開平3−223330公報、WO00/18822公報記載のように該反応において予備重合を行い(第一工程)芳香族ポリカーボネートオリゴマーを得、該芳香族ポリカーボネートオリゴマーを触媒の存在下に固相重合又は膨潤固相重合させる(第二工程)ことにより、高分子量芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
上記第一工程における予備重合は、溶融エステル交換反応により行われ、ビスフェノール化合物およびジフェニルカーボネートを、触媒存在下、フェノールを留出させながら温度120〜360℃、好ましくは150〜280℃、特に好ましくは180〜270℃において、0.5〜10時間反応させることにより芳香族ポリカーボネートオリゴマーを得る。上記第一工程において得られる芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、第二工程における操作性の面から公知の方法に従いフレーク状、粉末又は粒子等の固形体とするのが好ましい。
第二工程においては、第一工程で得られた芳香族ポリカーボネートオリゴマーに、減圧下のもとで必要に応じて4級ホスホニウム塩等、適宜前述のエステル交換触媒を追加添加し、不活性ガスを導入して、撹拌下に、芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上で、且つ固相重合中の結晶化オリゴマーが溶融しない固相状態又は膨潤固相状態で残余のフェノールを留出させつつ、反応させることにより高分子量芳香族ポリカーボネートを得る。
第一工程の反応と第二工程の反応は、別々に行っても、また、連続して行っても良い。ここで、芳香族ポリカーボネートオリゴマーとは通常、例えば重量平均分子量が500〜15000程度である。また、高分子量芳香族ポリカーボネートとは通常、例えば重量平均分子量が15000〜100000程度である。しかし、本発明の芳香族ポリカーボネートはこのような分子量には限定されない。
また、上記のようにして得られた本発明のビスフェノール化合物について、その用途やフェノール性水酸基を置換する等の公知の方法によって得られる誘導体についても具体的に説明する。
例えば、本発明のビスフェノール化合物とエピクロロヒドリンを反応させることにより、3,3−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン等が得られ、これらを原料にエポキシ樹脂を得ることができる。
本発明のビスフェノール化合物と2−(3−オキセタニル)ブチルトシレートを反応させることにより、3,3−ビス(4−[2−(3−オキセタニル)]ブトキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン等が得られ、これらを原料にオキセタン樹脂を得ることができる。
本発明のビスフェノール化合物とアクリル酸(又はメタクリル酸)を反応させることで3,3−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン等を得ることができ、これらを原料に樹脂とすることができる。
本発明のビスフェノール化合物とホルムアルデヒドを反応させることにより3,3−ビス(5−ヒドロキシメチル−4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン等を得ることができる。またこのメチロール化合物をメタノールと反応させることで3,3−ビス(5−メトキシメチル−4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン等を得ることができる。
本発明のビスフェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドを反応させることにより、3,3−ビス(4−[(6−ジアゾ−5−オキソナフチル)スルホニルオキシ]−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン等が得られ、これらは感光性組成物に用いることができる。
その他用途として本発明化合物は、フェノール性水酸基を複数有しているので、ポリカーボネート以外にも、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ノボラック、レゾール等の樹脂原料、その他i線レジスト添加剤、顕色剤、酸化防止剤としての利用も期待できる。
また、本発明のビスフェノール化合物原料として得られる本発明の芳香族ポリカーボネートは、高分子量ポリカーボネートとすることで、透明性、耐熱性、機械特性、耐衝撃性、流動性等に優れ、光ディスク、スマートフォン等に用いられる光学レンズ、フラットパネルディスプレイ等に用いられる光学フィルムなどの光学用途や、エンジニアリングプラスチックとして自動車分野、電気・電子分野、各種容器等、様々な分野での使用が期待できる。
また、芳香族ポリカーボネートオリゴマーとしては、各種重合方法により、高分子量ポリカーボネートを製造する際の原料として使用することができるだけでなく、表面改質剤、難燃剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、可塑剤、樹脂アロイ用溶化剤などのポリマー改質剤等、添加剤としても幅広く利用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例における軟化点、屈折率は以下の方法により計測した。その分析方法は以下の通りである。
<分析方法>
1.軟化点測定
装置:島津製作所社製 DSC-60 DIFFERENTIAL SCANNING CALORIMETER
昇温条件:10℃/分(30.0℃→200℃)
雰囲気ガス:窒素ガス(流量:50ml/分)
測定方法:上記昇温条件で1回目の測定を行い、その吸熱ピークから融点を測定した。その後、同じ試料を室温まで冷却し、同条件で2回目の測定を行い、その吸熱ピークを軟化点とした。
2.屈折率測定
装置:京都電子工業社製 Refractometer RA-500N
測定方法:濃度10、15、30%のTHF溶液(THF屈折率1.40)を調整し、その溶液の屈折率から測定化合物の屈折率を外挿法により算出した。
<実施例1>
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オンの製造
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコに2−フェニルフェノール680.4g(4.00モル)、1−フェニル−1H−インドール−2,3−ジオン223g(1.00モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、40℃で塩化水素ガスを吹込み、気相部の塩化水素ガス濃度を95%以上とした。その後、15%メチルメルカプタンナトリウム水溶液22.3g(メチルメルカプタンナトリウムとして0.05モル)を添加し、40℃で19時間撹拌した。反応終了後、16%水酸化ナトリウム水溶液409.4g(水酸化ナトリウムとして1.64モル)を加え、pHが5〜6となるように調整した。得られた溶液を78℃まで昇温した後、メタノール612.0gを添加し、35℃まで冷却した。析出した結晶をろ別して白色結晶691.7gを得た。
得られた白色結晶にトルエン2026.2g、メチルエチルケトン675.4gを加え溶解した後、水675.4gを添加し80℃で撹拌、静置後水層を抜き取る水洗操作を2回繰り返した。油層を107℃まで昇温して、溶媒919.3gを蒸留により除去した後、25℃まで冷却し、析出した結晶をろ別した。得られた結晶を減圧下で乾燥することにより、3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン417.6gを得た。得られた化合物の純度、収率、物性値は以下のとおりである。
純度 99.0%(高速液体クロマトグラフィー)
収率 77%(対1−フェニル−1H−インドール−2,3−ジオン)
融点 180℃/218℃(示差走査熱量分析)
軟化点 116℃(示差走査熱量分析)
屈折率(n20) 1.67
プロトン核磁気共鳴スペクトル(400MHz、溶媒DMSO−D、標準TMS)
化学シフト(シグナル形状、プロトン数)
6.8ppm(d,1H),7.0ppm(d,2H),7.1ppm(dd, 2H),7.2ppm(m,3H),7.2〜7.3ppm(m,3H),7.4ppm(t,4H),7.4〜7.5ppm(m,8H),7.5〜7.6ppm(m,2H),9.7ppm(s,2H)
3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン(化合物A)との物性比較
上記実施例1で得られた化合物と「化合物A」との融点、軟化点、屈折率について、それぞれ表1に記載する。「化合物A」の物性は、上記実施例1と同様の方法で測定した。
本発明実施例1の化合物は公知の「化合物A」と比較して、耐熱性(軟化点)を保ちながら低融点を併せ持つため、ポリカーボネート製造における溶融重合時の操作性に優れること、さらには、高耐熱性・低融点に加えて化合物Aと比較して、より高屈折率を有していることから、光学材料用途のポリカーボネート原料として有用であることを確認できた。
<実施例2>
ポリカーボネートの製造
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコに3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン65.0g(0.12モル)、ジフェニルカーボネート25.5g(0.12モル)を仕込み、炭酸セシウム水溶液を炭酸セシウムが3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン1モル当たり5マイクロモルになるように添加した。反応容器を窒素置換した後、50kPaまで減圧し、180℃まで昇温した。180℃を保持したまま30分かけて13.3kPaまで減圧後、200℃に昇温した。200℃を保持したままフェノールを留出させながら30分かけて1.3kPaまで減圧後、220℃まで昇温し、1時間保持した。さらに260℃まで昇温し、3時間エステル交換反応を行い、重量平均分子量(Mw)7100(ポリスチレン換算)、ガラス転移温度187℃のポリマーを得た。

Claims (3)

  1. 下記一般式(3)で表されるビスフェノール化合物。
    (式中、Rは各々独立してメチル基又はフェニル基を示し、Rは各々独立して水素原子又はメチル基を示し、Rメチル基を示し、mは0又は1を表し、nは0又は1を表。)
  2. 下記一般式(7)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネート。
    (式中、Rは各々独立してメチル基又はフェニル基を示し、Rは各々独立して水素原子又はメチル基を示し、Rメチル基を示し、mは0又は1を表し、nは0又は1を表。)
  3. 請求項1記載の一般式(3)で表されるビスフェノール化合物とジフェニルカーボネートから得られる請求項2記載の一般式(7)で表される繰り返し単位を含む芳香族ポリカーボネート。
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