JP6138115B2 - トリスフェノール類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トリスフェノール類の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、2−シクロアルケン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類とフェノール類を触媒の存在下に反応させることを特徴とする1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類を製造する方法に関する。
従来、シクロアルカンを中心骨格とするトリスフェノール類の製造方法として、例えばフェノール類と、ヒドロキシフェニル基により置換されたシクロアルカン骨格のケトン類とを、酸性触媒存在下で反応させることによりシクロアルカン骨格を形成するカルボニル基の炭素原子が2つのヒドロキシフェニル基により置換される反応を採用することが知られている(特許文献1)。
しかし、この方法においては、特許文献1には原料の製法について何ら記載はないが、原料である上記ケトン類のうち、シクロアルカノンの3−位にヒドロキシフェニル基が結合した環状ケトン類は、工業的に製造が困難な化合物である。例えばTetrahedron,55(1999),6657に記載されているように、このようなケトン類は高価なパラジウム化合物やリン化合物を用いて得られるものであり、また、Journal of Organic Chemistry,56(1991),2853の方法では合成工程が長く、Journal of Chemical Research, Synopses 366(1995)の方法では、環状不飽和ケトンから反応1回で生成させているが、低収率のうえに必要な銀化合物も少量ではなくいずれも工業的に適した製造方法では得られていない。
また、アルキルフェノールとα,β−不飽和ケトンを反応させることによりα,β−不飽和結合へのフェノールの付加生成物が得られることが知られている(非特許文献1)。しかしながら、この反応においては、カルボニル基とフェノールの反応及びトリスフェノールの生成について記載されていない。
また、他の方法として、α,β−不飽和アルデヒドとフェノール類からトリスフェノール類を製造する方法も知られているが、ケトンを使用してなる方法ではない(特許文献2および特許文献3)。
また、一方、ヒドロキシ基置換環状ケトン類とフェノールとを反応させてビスフェノールを得ることも知られているが(特許文献4や特許文献5)、このような反応においては水酸基は反応に関与せず、ヒドロキシ基置換ケトン類とフェノール類との反応では、従来ビスフェノールの生成しか知られていない。
一般的にケトン類をフェノール類と反応させる場合においては、アルデヒド類と反応させる場合と比べて反応速度や収率等が低い場合が多く、フェノール類の置換基によっては、目的物が得られない若しくは極端に収率が低くなる場合がある。
このように、従来、α,β−不飽和ケトン類乃至ヒドロキシ基置換ケトン類とフェノール類からトリスフェノール類を一段階で製造する方法は知られていない。
特開平6−242599号公報 特開2009−166250号公報 特開昭63−182326号公報 特開平1−250334 特開2000−63309
Synthetic Communications, 19, 1109-17 (1989)
本発明は、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類をα,β−不飽和環状ケトン類乃至ヒドロキシ基置換飽和環状ケトン類から一段階の反応で工業的に得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題解決のために鋭意検討した結果、原料としてα、β−不飽和環状ケトンである2−シクロアルケン−1−オン類又はヒドロキシ基置換飽和環状ケトン類である3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類を用い、これとフェノール類を触媒の存在下に反応させることで、一段階で工業的に実施可能な反応条件において1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
下記一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類又は下記一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類と、下記一般式()で表されるフェノール類を触媒の存在下に反応させることを特徴とする、下記一般式()で表されるトリスフェノール類の製造方法。
(式中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、Rはアルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、mは0〜2の整数を示し、環全体でRが複数置換する場合にはRは各々同一でも異なってもよく、nはの整数を示す。)
(式中、R1、2、m及びnは前記のそれと同じである。)
(式中、 は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、R は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を示す。
(式中、R1、 m及びnは上記一般式(1)のそれと同じであり、R 、R は上記一般式(5)のそれと同じである。)
本発明によれば、工業的に入手困難又は/及び高価で特殊な原料を使用することなく、あるいは、工業的に実施困難な煩雑で長い反応工程を経ることなく、α,β−不飽和環状ケトン類又はヒドロキシ基置換飽和環状ケトン類を原料とし、これとフェノール類とを反応させることで、環状ケトン類から1段階の反応工程により、シクロアルカン環の1,3−位にヒドロキシフェニル基を有するトリスフェノール類を製造するができる。これにより従来必要であったα,β−不飽和ケトン類等から原料ケトンを製造するための反応や精製の工程が不要となった。
さらに好ましい条件等を選択することにより高収率でトリスフェノール類を得ることもできる。
以下、本発明のトリスフェノール類の製造方法について詳細に説明する。
本発明の下記一般式(4)で表される1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類の製造方法は、下記一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類又は下記一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類と下記一般式(3)で表されるフェノール類を触媒の存在下に反応させることを特徴とする。
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、R2はアルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、mは0〜2の整数を示し、環全体でR2が複数置換する場合にはR2は各々同一でも異なってもよく、nは1〜9の整数を示す。)
(式中、R1、R2、m及びnは前記のそれと同じである。)
(式中、R3はアルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、aが2以上の場合R3は各々同一でも異なってもよく、aは0〜4の整数を示し、bは1又は2の整数を示し、但し、1≦a+b≦5である。)
(式中、R1、R2、R3、a、b、mおよびnは前記のそれと同じである。)
本発明の製造方法に採用される原料ケトン化合物として用いられる一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類、及び一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類において、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、R2はアルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、mは0〜2の整数を示し、環全体でR2が複数置換する場合にはR2は各々同一でも異なってもよい。R1及びR2がアルキル基である場合、アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を挙げることができる。
これらの内、R1及びR2の好ましいアルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、特に好ましいアルキル基としては炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基である。
具体的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロへプチル基等が挙げられる。
このようなアルキル基には本願発明の効果を損なわない範囲でその炭素原子に、例えばハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基等の置換基が結合していてもよく、置換基を有するアルキル基の具体例として例えば、ベンジル基、メトキシエチル基、3‐クロロプロピル基等が挙げられる。また置換しなくてもよい。
また、R1及びR2がアルコキシル基である場合、アルコキシル基としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシル基、または炭素原子数5〜12のシクロアルコキシル基を挙げることができる。
これらの内、好ましいアルコキシル基としては炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシル基、または炭素原子数5〜6のシクロアルコキシル基であり、特に好ましいアルコキシル基としては、炭素原子数1〜2のアルコキシル基である。
具体的には例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
このようなアルコキシル基には本願発明の効果を損なわない範囲でその炭素原子に、例えばハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基等の置換基が結合していてもよく、置換基を有するアルコキシル基の具体例として例えば、2−フェニルエトキシ基、メトキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基等が挙げられる。また置換しなくてもよい。
また、R1及びR2が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基としては、例えば炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基を挙げることができる。具体的には例えば、フェニル基、インデニル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。
これらの内、好ましい芳香族炭化水素基としてはフェニル基である。このような芳香族炭化水素基には本願発明の効果を損なわない範囲で、例えばアルキル基、アルコキシル基、フェニル基、ハロゲン原子等の置換基が結合していてもよく、置換基を有する芳香族炭化水素基の具体例として例えば、ビフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等が挙げられる。また置換しなくてもよい。
また、R1及びR2がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としては、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
上記において、R1としては水素原子、低級アルキル基が好ましく、特に好ましくは水素原子である。
また、R2としては、アルキル基、アルコキシル基、フェニル基が好ましいく、メチル基等の低級アルキル基がより好ましい。
2の置換数であるmは、カルボニル基に隣接する炭素原子では0が好ましく、その他の炭素原子では0又は1が好ましい。m=2の場合、その炭素原子はカルボニル基に隣接していないことが好ましく、R2はアルキル基が好ましい。
環全体のR2の置換位置としては、例えば、2−シクロヘキセン−1−オン骨格の場合であれば、4位又は/及び5位が好ましい。
環を構成する炭素原子数であるnは、反応収率が良い点で2〜4が好ましく、具体的にはシクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環が好ましく、特に好ましいnは3であり、具体的にはシクロヘキセン環が好ましい。
このような一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類としては、具体的には例えば、2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オン、2−シクロオクテ−1−オン、2−シクロノネン−1−オン、2−シクロデセン−1−オン、2−シクロウンデセン−1−オン、2−シクロドデセン−1−オン、5−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−エチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−ブチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−t−ブチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5−メトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン、5−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン、4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、6−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、5−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、2−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、4,4−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン、4,5−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン等が挙げられる。
これらのうち2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オンが好ましく、2−シクロヘキセン−1−オンが特に好ましい。
このような2−シクロアルケン−1−オン類は、例えば2−アルキリデンシクロアルカノンを白金触媒の存在下に異性化する方法(特公昭58−42175号公報等)、2−(1−ヒドロキシルアルキル)シクロアルカン−1−オンを酸性触媒等の存在下に脱水異性化する方法(特開昭56−147740号公報等)、ジカルボニル化合物を環化縮合する方法(特開平10−130192号公報等)等の公知の方法で容易に得ることができる。
また、一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類としては、具体的には例えば、3−ヒドロキシシクロペンタノン、3−ヒドロキシシクロヘキサノン、4−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,4−ジメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、5,5−ジメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、6−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、5−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、2−メチル−3−ヒドロキシシクロヘキサノン、4−メチル−3−ヒドロキシシクロペンタノン、5−メチル−3−ヒドロキシシクロペンタノン、2−メチル−3−ヒドロキシシクロペンタノン、4,4−ジメチル−3−ヒドロキシシクロペンタノン、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシシクロペンタノン等が挙げられる。
このような3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類は、例えば多価ヒドロキシアルキルフェノールを水素化触媒等の存在下に環水素化する方法(特開平11−60534号公報等)等の公知の方法で容易に得ることができる。
本発明の製造方法に用いられるもう一方の原料である一般式(3)で表されるフェノール類において、R3がアルキル基である場合、アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基等が挙げられる。
好ましいアルキル基としては炭素原子数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基であり、より好ましいアルキル基としては炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、特に好ましいアルキル基としては1級または2級の炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数5〜6のシクロアルキル基である。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、アルキル基には本願発明の効果を損なわない範囲でその炭素原子に、例えばアルコキシル基、フェニル基、ハロゲン原子等の置換基が結合していてもよく、置換基を有するアルキル基の具体例として例えば、メトキシエチル基、ベンジル基、3−クロロプロピル基等が挙げられる。また置換しなくてもよい。
3がアルコキシル基である場合、アルコキシル基としては例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシル基、または炭素原子数5〜12のシクロアルコキシル基が挙げられる。好ましいアルコキシル基としては炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシル基、または炭素原子数5〜6のシクロアルコキシル基であり、特に好ましいアルコキシル基としては炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシル基である。
具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシル基には本願発明の効果を損なわない範囲でその炭素原子に、例えばアルコキシル基、フェニル基、ハロゲン原子等の置換基が結合していてもよく、置換基を有するアルコキシル基の具体例として例えば、メトキシエトキシ基、2−フェニルエトキシ基、2−クロロエトキシ基等が挙げられる。また置換しなくてもよい。
3が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基としては例えば、炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基を挙げることができる。具体的には例えば、フェニル基、インデニル基、1−ナフチル基、フェニルオキシ基等を挙げることができる。
これらの内、好ましい芳香族炭化水素基としてはフェニル基である。このような芳香族炭化水素基には本願発明の効果を損なわない範囲で、例えばアルキル基、アルコキシル基、フェニル基、ハロゲン原子等の置換基が結合していてもよく、置換基を有する芳香族炭化水素基の具体例として例えば、4−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基等が挙げられる。また置換しなくてもよい。
3がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
bは1又は2の整数を示し、bは1が好ましい。aは0又は1〜4の整数を示し、0、1又は2が好ましい。
置換基の位置としては水酸基のパラ位に置換基がないフェノール類が好ましく、bが1の場合、水酸基のパラ位に置換基がなく且つ水酸基のメタ位の内の少なくとも一つに置換基がないフェノール類がより好ましい。
一般式(3)で表されるフェノール類において、好ましいフェノールは下記一般式(5)で示される。
(式中、R4は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、R5は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を示す)
前記一般式(5)において、R4及びR5がアルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子である場合、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子の具体例、好ましい例及び好ましい範囲としてはR3と同じある。
また、R4及びR5が共に3級アルキル基でないことが好ましく、一方が3級アルキル基の場合はもう一方は水素原子、1級アルキル基または2級アルキル基であることがより好ましい。
また、原料フェノール類に芳香族炭化水素基が置換している場合、R4、R5のどちらか一方のみがフェニル基等の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
このような一般式(3)で表されるフェノール類としては、具体的には例えば、フェノール、カテコール、o−クレゾール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、2−フェニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−イソブチルフェノール、2−クロロフェノール、2−メトキシフェノール等が挙げられる。
従って、上記一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類又は上記一般式
(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類と上記一般式(3)で表されるフェノール類から本発明の製造方法により得られる上記一般式(4)で表されるトリスフェノール類において、式中、R1、R2、R3、a、b、mおよびnは上記一般式(1)〜(3)のそれと同じである。
また、3つヒドロキシフェニル基のR3、a、b、R3の置換位置又は/及び水酸基の置換位置が同じであっても異なっていてもよいが、同じであった方が好ましい。好ましいトリスフェノール化合物としては、下記一般式(6)で表される。
(式中、R1、R2、m及びnは上記一般式(1)又は(2)のそれと同じであり、R4、R5は上記一般式(5)のそれと同じである。)
従って、本発明の製造方法の目的物である上記一般式(4)又は上記一般式(6)で表されるトリスフェノール類としては、具体的には例えば、
1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン
1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(3,4−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン
1,1,3−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン
1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン
1,1,3−トリス(3,4−ジヒドロキシフェニル)シクロペンタン
1,1,3−トリス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン
1,1,3−トリス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン等が挙げられる。
本発明のトリスフェノール類の製造方法においては、上記一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類又は上記一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類と、上記一般式(3)で表されるフェノール類を触媒の存在下に反応させることにより上記一般式(4)で表されるトリスフェノール類を一段階の反応工程で得ることができる。
例えば、フェノールと2−シクロヘキセン−1−オン又は3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとの反応により1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを得る反応は下記の反応式(1)で示される。
一般式(3)のフェノール類を2種類以上同時に又は順次反応させた場合には、3つのヒドロキシフェニル基の置換基、置換位置及び/又は置換数が同一でないトリスフェノール及び同一のトリスフェノールが混在して生成する。
本発明の製造方法において、一般式(3)で表されるフェノール類と一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類又は一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類との反応に際し、2−シクロアルケン−1−オン類又は3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類に対し、フェノール類を好ましくは3〜50モル倍の範囲、より好ましくは5〜30モル倍、特に好ましくは8〜20モル倍の範囲で用いるが、これに限定されるものではない。
本発明の製造方法において、上記触媒としては酸性触媒が好ましい。しかしこれに限定されるものではない。酸性触媒としては例えばプロトン酸触媒、ルイス酸触媒等の気体状、液体状及び固体状酸性触媒が挙げられる。具体的には例えば、塩化水素ガス、塩酸、硫酸、リン酸、無水硫酸等の無機酸、P−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリクロロ酢酸等の有機酸、塩化アルミウム、塩化鉄等のハロゲン化金属類またはリンタングステン酸若しくはケイタングステン酸等のヘテロポリ酸または陽イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。前記触媒のうち、特に好ましいのは塩酸または塩化水素ガスである。
酸性触媒の使用量は、特に限定されるものではない。好ましい使用量は触媒により適量が異なるので一概には言えないが、例えば塩酸の場合、2−シクロアルケン−1−オン類または3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類に対し、好ましくは0.1〜3モル倍、より好ましくは0.2〜1.0モル倍、特に好ましくは0.3〜0.6モル倍の範囲で用いられる。その場合には35%等の比較的高濃度の塩酸が好ましい。
更に本発明の製造方法においては、反応を促進するために助触媒を用いることができる。
助触媒は使用しなくても反応は進行するものの、反応収率および反応速度の観点から、助触媒を使用する方が好ましい。
助触媒としては、メルカプト基を有する化合物乃至高分子化合物が好ましく、具体的には例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類やメルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸等のメルカプタンカルボン酸、メルカプト基を有する陽イオン交換樹脂または有機高分子シロキサン等が挙げられる。
尚、メチルメルカプタンを使用する場合は、ナトリウム塩水溶液として使用しても良い。
助触媒の使用量は、特に限定されるものではなく、反応条件や種類により適量が異なるので一概には言えないが、例えばアルキルメルカプタンを用いる場合、使用量は2−シクロアルケン−1−オン類または3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類に対し、好ましくは0.5〜50モル%、より好ましくは2〜30モル%、特に好ましくは4〜20モル%の範囲である。
反応温度は、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜60℃、特に好ましくは15〜50℃の範囲で行われ、このような反応条件においては、反応は、原料を全て反応系内に添加した後、好ましくは80時間程度以内で完結する。
反応に際し、反応溶媒は用いてもよく、また用いなくてもよいが、フェノール類の融点が高い等の理由で原料や触媒が十分に混合しない場合には、用いた方が好ましい。
反応溶媒を用いる場合、本願効果を阻害しない範囲であれば、溶媒の種類及び添加量に特に限定はないが、好ましい反応溶媒としては、具体的には例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノール等の低級脂肪族アルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類、またはこれらの混合溶剤が挙げられる。反応溶媒は、2−シクロアルケン−1−オン類または3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類に対し、好ましくは0.1〜20モル倍の範囲で用いられる。
反応に際し反応原料の仕込方法や反応方法は特に限定されないが、通常のビスフェノール類やトリスフェノール類の反応で用いられる方法に沿って行うことができる。例えば、原料、触媒、及び必要に応じて、助触媒や反応溶媒を一括して反応容器に仕込み、その後、不活性ガス雰囲気において反応温度まで昇温し、攪拌下に反応を行ってもよい。或いはまた、原料フェノール類、酸性触媒及び必要に応じて、助触媒、反応溶媒を仕込んだ反応容器に、不活性ガス雰囲気において原料ケトンの2−シクロアルケン−1−オン類または3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類若しくはそれら原料ケトンとフェノール類や溶媒との混合液を反応温度下において逐次添加してもよい。反応収率の観点からは後者の方法が好ましい。
具体的には例えば、反応容器に所定量のフェノール類、酸性触媒及び必要に応じて、助触媒、反応溶媒を仕込み、窒素気流下に攪拌しながら、所定の反応温度まで昇温した後、そこに2−シクロアルケン−1−オン類または3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類を逐次添加していく方法が挙げられる。
本発明の製造方法において、反応に際し、原料ケトンとして3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類を用いた場合、その反応の詳細は不明であるが、3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オンは、酸存在下で2−シクロヘキセン−1−オンを生成するので、反応中、2−シクロアルケン−1−オン類を経由して1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類が生成している可能性もあると思われる。
反応終了後、得られた反応終了液から本発明の製造方法における目的物を単離乃至精製するには、公知の単離乃至精製方法を適用することができる。例えば、反応終了液に水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等のアルカリ水溶液を加えて、酸性触媒を中和する。その後、必要に応じて水と分離する芳香族炭化水素や脂肪族ケトン等の溶媒を加え、水層を分離除去して得られた油層を、冷却して晶析または沈殿させた後に、濾過することにより目的物の粗製結晶、または固体を得ることができる。
また、前記水層を分離除去して得られた油層は、必要に応じて、再度、水を加え撹拌して水洗した後、水層を分離除去する操作を1回乃至複数回繰り返して、得られた油層を冷却して晶析または沈殿させ、濾過することにより目的物の粗製結晶、または固体を得ることもできる。
前記した水層を分離除去して得られた油層は、これを蒸留して溶媒と未反応フェノール類を留去した後、その残渣を適宜の溶媒に溶解させて、得られた溶液を冷却して晶析または沈殿させた後、濾過してもよく、また、目的物の結晶化が困難な場合には、蒸留して得られた残渣を冷却して粗製物として得ることもできる。
得られるトリスフェノール類や反応条件によっては前記アルカリ水溶液による中和終了後の溶液に、適宜の溶媒を加えて晶析または沈殿させることもできる。
本発明においては、前記粗製結晶、固体または粗製物から高純度のトリスフェノール類を得るために公知の精製方法を用いることができる。例えば前記方法で得られたトリスフェノール類をトルエン等の芳香族炭化水素溶媒、メタノール等のアルコール溶媒、アセトンやメチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン溶媒に溶解し、そのまま冷却して再結晶するか、あるいは貧溶媒を加えた後、これを冷却して再結晶し、析出した結晶を濾別して、トリスフェノール類の高純度品を得ることができる。
上記晶析工程においては、目的とするトリスフェノール類によっては使用する溶媒や原料フェノール類との付加物結晶(アダクト結晶)として得られる場合もある。
本発明の製造方法においては、原料ケトンの構造によっては生成したトリスフェノール類に不斉炭素原子を有する場合があり、この場合、トリスフェノール類は通常、ラセミ混合体で得られる。また、得られたラセミ混合体トリスフェノール類からは、光学活性カラム分離等の公知の方法を用いて分離し、トリスフェノール類のエナンチオマーやジアステレオマーを得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
実施例1
[ 1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンの合成 ]
フェノール22g、35%塩酸1.3gとドデシルメルカプタン0.1gを試験管に仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、2−シクロペンテン−1−オン2gを添加し、添加終了後、40℃で50時間、撹拌した。
反応終了液を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、目的物の組成値(面積百分率/フェノールを除く)は15%であった。なお、この組成値から計算した収率は20モル%(対 2−シクロペンテン−1−オン)となる。
反応終了液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和して水層を除去した。油層に水を加えて水洗後、水層を除去して得られた油層を蒸留により濃縮し、液体クロマトグラフィーにより残液から純度が87.6%(高速液体クロマトグラフィー法)の目的物を分取した。これをNMR及び液体クロマトグラフィー質量分析法により分析した結果、目的物の1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンであることが確認できた。
分子量(液体クロマトグラフィー質量分析法):345(M−H)-
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表1参照
純度の測定及び計算方法
高速液体クロマトグラフィー法により測定し、面積百分率法(検出されたすべてのピークの総面積に対する目的物のピーク面積の割合)により算出した。以下実施例2から実施例6も同様にして求めた。
実施例2
[ 1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成 ]
フェノール20g、35%塩酸2gとドデシルメルカプタン0.1gを試験管に仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、2−シクロヘキセン−1−オン2gを添加し、添加終了後、40℃で30時間、撹拌して反応させた。反応終了液を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの組成値(面積百分率/フェノールを除く)は68%であった。なお、この組成値から計算した収率は77%(対 2−シクロヘキセン−1−オン)となる。
実施例3
[ 1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成 ]
フェノール1412g、35%塩酸78.2g、ドデシルメルカプタン15.2g、メタノール144gを3リットル容量4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で液温を30〜35℃に保ちながら、2−シクロヘキセン−1−オン144gを10時間で滴下し、滴下終了後、30℃で46時間撹拌した。
反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した後、昇温してメタノールを留去した。その後、水層を分離除去して得られた油層にメチルイソブチルケトンと水を加え撹拌して水洗し、水層を分離した。得られた油層からメチルイソブチルケトンと未反応のフェノールを減圧下で留出させ除去した。残渣にトルエンを加えて析出した結晶を室温で濾別し、乾燥して1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの粗製結晶(純度95%、高速液体クロマトグラフィー法)を得た。
この粗製結晶をメチルイソブチルケトンに溶解し、水を加えて水洗後、水層を分離した。得られた油層を濃縮後、残渣にトルエンを加えて析出した結晶を室温で濾別し、乾燥して1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン223.2g(純度99.4%、高速液体クロマトグラフィー法)を得た。
収率 :42%( 2−シクロヘキセン−1−オンに対する収率 )
融点 :202℃(示差走査熱量測定法)
分子量:分子量:359(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO−d6):表2参照
実施例4
[ 1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成 ]
フェノール41.6g、35%塩酸3.2gとドデシルメルカプタン0.5gを200ml四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン10.7gを3時間で滴下し、滴下終了後、40℃で79時間、撹拌して反応させた。反応終了液を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの組成値(面積百分率/フェノールを除く)は61%であった。なお、この組成値から計算した収率は59%(対 3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン)となる。
実施例1と同じ方法で後処理後、NMR及び液体クロマトグラフィー質量分析法により分析した結果、目的物の1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロへキサンであることが確認できた。
実施例5
[ 1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成 ]
オルソクレゾール1513.4g、35%塩酸73g、ドデシルメルカプタン14.2g、メタノール134.4gを3リットル容量4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下に、液温を30〜32℃に保ちながら、2−シクロヘキセン−1−オン134.5gを3.5時間で滴下した。滴下終了後、30〜32℃で22時間攪拌した。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、中和した後、昇温してメタノールを留去した。その後、水層を分離除去して得られた油層にメチルイソブチルケトンと水を加え撹拌して水洗し、水層を分離除去した。得られた油層からメチルイソブチルケトンと未反応のオルソクレゾールを減圧下で留出させ除去した。
残渣を1−オクタノールに溶解後、シクロヘキサンを加えて晶析し、析出したアダクト結晶を室温で濾別し、乾燥して、目的物である1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン522.5gを白色のアダクト結晶として得た。得られたアダクト結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、アダクト結晶中の溶媒量は16重量%であり、アダクト結晶を高速液体クロマトグラフィー法で分析した結果、1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの純度は99.2%( 溶媒分除く )であった。
収率:77.9% (2−シクロヘキセン−1−オンに対する収率)
分子量:401(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
融点:確認できず( 示差走査熱量測定法 )
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3 ):表3参照
実施例6
[ 1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの合成 ]
2−フェニルフェノール177g、ドデシルメルカプタン0.5g、メタノール17.7gを1リットル容量の4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で液温を42℃まで昇温した後、系内が塩化水素ガスで飽和するまで吹き込んだ。内温を39〜41℃に維持しつつ、これに2−シクロヘキセン−1−オン10.1gを2時間で滴下し、滴下終了後、塩化水素ガスを吹き込みながら39〜41℃で25時間攪拌した。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した後、トルエンを加えて水層を分離除去した。その後、水を加え撹拌して水洗し、水層を分離して得られた油層からトルエンと未反応の2−フェニルフェノールを減圧下で留出させて除去し、純度77.0%(高速液体クロマトグラフィー)の1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン93.6gを得た。さらに分取液体クロマトグラフィーにて精製を行い、純度97.2%(高速液体クロマトグラフィー法)の1,1,3−トリス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを取得した。
分子量:587(M−H)-(液体クロマトグラフィー質量分析法)
1H‐NMR(400MHz)測定(溶媒:DMSO‐d6):表4参照

比較例1
[フェノールと4−ヘキセン−3−オンとの反応]
フェノール19g、35%塩酸1.0gとドデシルメルカプタン0.1gを試験管に仕込み、35℃に昇温した後、4−へキセン−3−オン2gを添加し、添加終了後、35℃で42時間、撹拌した。反応液を実施例1と同様に分析したが、トリスフェノールの生成は確認できなかった。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表される2−シクロアルケン−1−オン類又は下記一般式(2)で表される3−ヒドロキシシクロアルカン−1−オン類と、下記一般式()で表されるフェノール類を触媒の存在下に反応させることを特徴とする、下記一般式()で表されるトリスフェノール類の製造方法。
    (式中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、Rはアルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、mは0〜2の整数を示し、環全体でRが複数置換する場合にはRは各々同一でも異なってもよく、nはの整数を示す。)
    (式中、R1、2、m及びnは前記のそれと同じである。)
    (式中、 は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、R は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水酸基を示す。
    (式中、R1、 m及びnは上記一般式(1)のそれと同じであり、R 、R は上記一般式(5)のそれと同じである。)
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