本発明は、交流電源の電圧を降圧または昇圧して交流電圧を出力する電力変換装置に関する。
交流電源の電圧を降圧または昇圧して交流電圧を出力する電力変換装置として、降圧型または昇圧型の交流チョッパが知られている。図11は、特許文献1に開示されている単相降圧型交流チョッパを説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷である。
双方向スイッチ2は、それぞれダイオードが逆並列に接続されたスイッチング素子S1,S2を逆直列に接続してなる回路である。双方向スイッチ3は、それぞれダイオードが逆並列に接続されたスイッチング素子S3,S4を逆直列に接続してなる回路である。双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは直列に接続されて、単相交流電源1の両端に接続される。負荷4は、抵抗RとリアクトルLとを直列に接続してなる。負荷4は、双方向スイッチ3の両端に接続される。
この構成において、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは、パルス幅変調されたゲート信号に基づいて交互にオンオフ動作を繰り返す。なお、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3のゲート信号には、両方の双方向スイッチのオンオフが切り替わるタイミングで同時にオンすることがないように、休止期間が設けられている。この動作によって、交流電源1の電圧を降圧した所定の交流電圧が負荷4に印加される。
図12は、特許文献1に開示されている単相昇圧型交流チョッパを説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷、5はリアクトル、6はコンデンサである。
双方向スイッチ2および双方向スイッチ3の構成は、上述した降圧型交流チョッパと同様である。リアクトル5と双方向スイッチ2の直列回路が交流電源1の両端に接続される。さらに、双方スイッチ3とコンデンサ6の直列回路が双方向スイッチ2の両端に接続される。負荷4は、コンデンサ6の両端に接続される。
この構成において、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは、パルス幅変調されたゲート信号に基づいて交互にオンオフ動作を繰り返す。なお、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3のゲート信号には、両方の双方向スイッチのオンオフが切り替わるタイミングで同時にオンすることがないように、休止期間が設けられている。この動作によって、交流電源1の電圧を昇圧した所定の交流電圧が負荷4に印加される。
しかし、降圧型交流チョッパの場合、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3が休止期間において同時にオフすると、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路が断たれる。このとき、リアクトルLの両端にサージ電圧が発生する。また、昇圧型交流チョッパの場合、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3が休止期間において同時にオフすると、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路が断たれる。このときも、リアクトル5の両端にサージ電圧が発生する。そして、リアクトルLまたはリアクトル5に生じたサージ電圧によって、双方向スイッチ2,3は、破壊するおそれがある。
このサージ電圧の発生を抑制する方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、双方向スイッチ2,3のオンオフを切り替えるとき、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性に応じて、双方向スイッチ2,3を構成するスイッチング素子S1〜S4を個別にオンオフさせるための3つの期間が設けられている。この3つの期間は、それぞれで、リアクトルLまたはリアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーの放出経路を構成することができる。その結果、サージ電圧の発生が抑制される。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性に応じてスイッチング素子S1〜S4をオンオフさせるための制御信号を生成する必要がある。ところが、双方向スイッチ2,3は、例えばパルス幅変調制御によりオンオフ動作をするため、負荷電流Ioまたは電源電流Iinにはリプル成分が含まれている。そのため、電流のゼロクロス付近において、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性を正しく検出するのが難しい。電流強制の検出を誤った場合には、リアクトルLまたはリアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーによって、サージ電圧が発生する。
また、軽負荷時は、負荷電流Ioおよび電源電流Iinが小さくなる。そのため、軽負荷時にはさらに、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性を正しく検出するのが難しくなる。
したがって、特許文献1に開示されている技術を適用した交流チョッパは、負荷電流Ioまたは電源電流Iinのゼロクロス付近において、リアクトルLまたはリアクトル5によって発生するサージ電圧を抑制できない場合がある。または、このサージ電圧を抑制するために、複雑な制御回路を必要とする。
また、特許文献1に開示されている技術は、スイッチング素子S1〜S4を個別にオンオフさせるための3つの期間を設けている。したがって、電源電圧のゼロクロス付近において、通常の場合に比べて3倍の休止期間を必要とする。休止期間を多く必要とすることは、交流チョッパの高周波化の妨げとなる。
本発明は、このような従来技術が有している問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、電流にリプル成分が含まれていても、リアクトルLまたはリアクトル5によって発生するサージを抑制することができる交流チョッパを提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、交流電源の両端に直列に接続される第1と第2の双方向スイッチを交互にオンオフすることによって得られる交流電圧を、第2の双方向スイッチの両端に接続される負荷に供給する電力変換装置である。この電力変換装置は、第1の双方向スイッチを第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成し、第2の双方向スイッチを第3のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成している。そして、この電力変換装置は、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第1の基準電圧よりも小さい第2の基準電圧との間にあるとき、第1の双方向スイッチの第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2の双方向スイッチの第3と第4のスイッチング素子をオフさせて、交流電源の電圧を負荷に供給することを特徴とする。さらに、第1の基準電圧はゼロよりも大きい電圧であり、第2の基準電圧はゼロよりも小さい電圧であることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係る電力変換装置であって、交流電源の電圧周期を、交流電源の電圧が第1の基準電圧以上である第1の期間と、交流電源の電圧が第2の基準電圧以下である第2の期間と、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第2の基準電圧の間にある第3の期間とに分割することを特徴とする。そして、この電力変換装置は、分割した各期間において、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、交流電源の電圧を所定の交流電圧に降圧して負荷に供給することを特徴とする。
具体的には、この電力変換装置は、第1の期間において、第2と第3のスイッチング素子をオンさせるとともに、第1と第4のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第2の期間において、第1と第4のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2と第3のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第3の期間において、第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第3と第4のスイッチング素子をオフさせる。
第3の発明は、第2の発明に係る電力変換装置であって、第1の期間から第3の期間への切り替えおよび第2の期間から第3の期間への切り替えが、第1と第2のスイッチング素子が同時にオンしているときに行われることを特徴とする。
第4の発明は、リアクトルと第2の双方向スイッチとを交流電源の両端に直列接続するとともに、第1の双方向スイッチとコンデンサとを第2の双方向スイッチの両端に直列接続し、第1と第2の双方向スイッチを交互にオンオフすることによって得られる交流電圧を、コンデンサの両端に接続される負荷に供給する電力変換装置である。この電力変換装置は、第1の双方向スイッチを第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成し、第2の双方向スイッチを第3のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成している。そして、この電力変換装置は、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第1の基準電圧よりも小さい第2の基準電圧との間にあるとき、第1の双方向スイッチをオンさせるとともに、第2の双方向スイッチをオフさせて、交流電源の電圧を負荷に供給することを特徴とする。さらに、第1の基準電圧はゼロよりも大きい電圧であり、第2の基準電圧はゼロよりも小さい電圧であることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明に係る電力変換装置であって、交流電源の電圧周期を、交流電源の電圧が第1の基準電圧以上である第4の期間と、交流電源の電圧が第2の基準電圧以下である第5の期間と、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第2の基準電圧の間にある第6の期間とに分割することを特徴とする。そして、この電力変換装置は、分割した各期間において、第1〜第4のスイッチング素子を定められたモードでオンオフ制御することにより、交流電源の電圧を所定の交流電圧に昇圧して負荷に供給することを特徴とする。
具体的には、この電力変換装置は、第4の期間において、第1と第4のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2と第3のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第5の期間において、第2と第3のスイッチング素子をオンさせるとともに、第1と第4のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第6の期間において、第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第3と第4のスイッチング素子をオフさせる。
第6の発明は、第5の発明に係る電力変換装置であって、第4の期間から第6の期間への切り替えおよび第5の期間から第6の期間への切り替えが、第1と第2のスイッチング素子が同時にオンしているときに行われることを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれか1つの発明に係る電力変換装置を2組用いて、三相交流電源と三相負荷とをV結線接続した電力変換装置である。
第8の発明は、第1から第6の発明のいずれか1つの発明に係る電力変換装置を3組用いて、三相交流電源と三相負荷とをY結線接続した電力変換装置である。
本発明を適用した電力変換装置は、2つの双方向スイッチを備えて、交流電源の電圧を降圧または昇圧して負荷に供給する交流チョッパである。
この電力変換装置が降圧型交流チョッパである場合、交流電源の電圧周期を第1〜第3の期間に分割して、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御する。
第1の期間では、第2と第3のスイッチング素子がオン状態にあり、第1と第4のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第1のスイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第3のスイッチング素子に転流する。第2の期間では、第1と第4のスイッチング素子がオン状態にあり、第2と第3のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第2のスイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第4のスイッチング素子に転流する。第3の期間では、第1と第2のスイッチング素子がオン状態にあり、第3と第4のスイッチング素子がオフ状態にある。この期間では、回路電流は、第1または第2のスイッチング素子を流れる。
また、この電力変換装置が昇圧型交流チョッパである場合、交流電源の電圧周期を第4〜第6の期間に分割して、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御する。
第4の期間では、第1と第4のスイッチング素子がオン状態にあり、第2と第3のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第3スイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第1のスイッチング素子に転流する。第5の期間では、第2と第3のスイッチング素子がオン状態にあり、第1と第4のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第4のスイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第2のスイッチング素子に転流する。第6の期間では、第1と第2のスイッチング素子がオン状態にあり、第3と第4のスイッチング素子がオフ状態にある。この期間では、回路電流は、第1または第2のスイッチング素子を流れる。
本発明を適用した電力変換装置は、いずれの制御期間においても、リアクトルに蓄積された誘導性エネルギーの放出経路を構成することができる。したがって、本発明を適用した電力変換装置は、リアクトルで発生するサージ電圧を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
双方向スイッチ素子の実施形態を説明するための図である。
電圧Vinと期間1〜3の関係を説明するための図である。
期間1〜3とスイッチング素子の動作の関係を説明するための図である。
本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
本発明の第3の実施形態を説明するための図である。
本発明の第4の実施形態を説明するための図である。
電圧Vinと期間4〜6の関係を説明するための図である。
本発明の第5の実施形態を説明するための図である。
本発明の第6の実施形態を説明するための図である。
従来技術に係る降圧型交流チョッパを説明するための図である。
従来技術に係る昇圧型交流チョッパを説明するための図である。
以下、本発明を適用した電力変換装置の実施形態を、図1〜図10を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した電力変換装置の第1の実施形態を説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷、100は制御回路である。この実施形態に係る電力変換装置は、単相交流電源1の電圧Vinを降圧して得た電圧Voを負荷に供給する降圧型の交流チョッパである。
双方向スイッチ2(第1の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S1(第1のスイッチング素子)とスイッチング素子S2(第2のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S1のコレクタ端子側を双方向スイッチ2の第1の端子とし、スイッチング素子S1のエミッタ端子側を双方向スイッチ2の第2の端子とする。
双方向スイッチ3(第2の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S3(第2のスイッチング素子)とスイッチング素子S4(第4のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S4のコレクタ端子側を双方向スイッチ3の第1の端子とし、スイッチング素子S4のエミッタ端子側を双方向スイッチ3の第2の端子とする。
図に示したスイッチング素子S1〜S4は、逆阻止耐圧を有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
しかし、双方向スイッチ2,3は上記構成に限られるものではない。たとえば、双方向スイッチ2,3は、図2(a)に示すように、逆阻止耐圧を備えていないIGBTとダイオードを直列に接続した2組の回路を逆並列に接続して構成されていてもよい。また、双方向スイッチ2,3は、図2(b)に示すように、逆阻止耐圧を備えていないIGBTとダイオードを逆並列に接続した2組の回路を逆直列に接続して構成されていても良い。また、双方向スイッチ2,3は、図2(c)に示すように、ダイオードを逆並列接続した2組のIGBT双方向スイッチ素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とダイオードを逆並列に接続した2組の回路を逆直列に接続して構成されていても良い。
双方向スイッチをこのように構成することができることは、以下の他の実施形態においても同様である。
双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは、交流電源1の両端に、直列に接続される。具体的には、双方向スイッチ2の第2の端子と双方向スイッチ3の第1の端子とが接続されている。そして、双方向スイッチ2の第1の端子が交流電源1の一端に接続され、双方向スイッチ3の第2の端子が交流電源1の他端に接続される。
負荷4は双方向スイッチ3の両端に接続される。負荷4は、抵抗RとリアクトルLとが直列に接続された回路である。リアクトルLは、抵抗Rのインダクタンス成分や配線のインダクタンス成分を含むものである。
制御回路100には、電圧検出器301で検出された交流電源1の電圧Vinが入力される。制御回路100は、この電圧Vinに基づいて、スイッチング素子S1〜S4をオンオフさせるためのゲート信号G1〜G4を生成する。
制御回路100は、ゲート信号G1〜G4を生成するにあたり、交流電源1の電圧周期を期間1〜3の3つの期間に分割している。図3は、電圧Vinと期間1〜3の関係を説明するための図である。図3には、負荷4に流れる電流Ioも併せて記載している。
期間1(第1の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧以上の期間である。期間2(第2の期間)は、電圧Vinが第2の基準電圧以下の期間である。期間3(第3の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧より小さく、かつ第2の基準電圧より大きい期間である。
なお、第1の基準電圧は、0Vよりも少し大きい値に設定された電圧である。第2の基準電圧は、0Vよりも少し小さい値に設定された電圧である。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、第3の期間を、電圧Vinがゼロクロスする前後の限られた期間とすることができる。
例えば、単相交流電源1の電圧Vinを250VACとし、出力電圧Voを200VACとする。そして、第1の基準電圧を10V程度とし、第2の基準電圧を−10V程度にする。この場合、期間の切り替わりタイミングで生じる出力電圧Voの偏差(基本波成分の偏差)が2V程度になる。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、出力電圧Voの波形ひずみに対する影響を軽微なものとすることができる。
図4は、期間1〜3とスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作の関係を説明するための図である。
期間1において、制御回路100は、スイッチング素子S2、S3を常にオン状態にするためのゲート信号G2,G3を生成する。また、制御回路100は、スイッチング素子S1,S4を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G1,G4を生成する。ゲート信号G1,G4は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S1がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S4がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S4がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S1がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。休止期間Tdは、スイッチング素子S1,S4のオンオフが切り替わるタイミングにおいて、両素子が同時オンすることによる交流電源1の短絡を防止するために設けられる期間である。
スイッチング素子S1がオンすることにより、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で電流Ioが流れる。スイッチング素子S1がオフすると、スイッチング素子S1に流れていた電流Ioが、負荷4→スイッチング素子S3→負荷4の経路に転流する。スイッチング素子S1がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S4のオン期間およびスイッチング素子S4がオフした後の休止期間Tdの間、電流Ioは、上記負荷4→スイッチング素子S3→負荷4の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S3に流れていた電流Ioが、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間3から期間1に切り替わった直後において、電流Ioの極性が負の場合がある。このとき、電流Ioは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路、または負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路で流れる。
上述のとおり、期間1では、スイッチング素子S1,S4のオンオフ動作に伴って、電流Ioの転流動作が繰り返される。すなわち、負荷4のリアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間1において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間2において、制御回路100は、スイッチング素子S1、S4を常にオン状態にするためのゲート信号G1,G4を生成する。また、制御回路100は、スイッチング素子S2,S3を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G2,G3を生成する。ゲート信号G2,G3は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S2がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S3がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S3がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S2がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。
スイッチング素子S2がオンすることにより、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路で電流Ioが流れる。スイッチング素子S2がオフすると、スイッチング素子S2に流れていた電流Ioが、負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路に転流する。スイッチング素子S2がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S3のオン期間およびスイッチング素子S3がオフした後の休止期間Tdの間、電流Ioは、上記負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S4に流れていた電流Ioが、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間3から期間2に切り替わった直後において、電流Ioの極性が正の場合がある。このとき、電流Ioは、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路、または負荷4→スイッチング素子S3→負荷4の経路で流れる。
上述のとおり、期間2では、スイッチング素子S2,S3のオンオフ動作に伴って、電流Ioの転流動作が繰り返される。すなわち、負荷4のリアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間2において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間3において、制御回路100は、スイッチング素子S1,S2を常にオン状態にし、スイッチング素子S3、S4を常にオフ状態にする。
期間1後の期間3では、電流Ioは、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で流れる。また、期間2後の期間3では、電流Ioは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路で流れる。いずれの場合にもスイッチング素子のオンオフ動作は生じない。したがって、期間3において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧は発生しない。
なお、期間1から期間3への切り替えは、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。同様に、期間2から期間3への切り替えも、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。このタイミングで期間の切り替えを行えば、期間1若しくは期間2におけるスイッチング素子のオンオフ状態を維持しながら期間3に移行することができる。そして、スイッチング素子のオンオフ動作が切り替わらないため、このタイミングで休止期間を挿入する必要がない。
以上より、交流電源1のゼロクロス付近に期間3を設けた第1の実施形態は、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図5は、本発明の第2の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第1の実施形態に係る単相の降圧型チョッパを2組用いて、3相交流電源と三相負荷とをV結線接続した降圧型チョッパである。
図において、11は三相交流電源、21,22および31,32は双方向スイッチ、41は三相負荷、101は制御回路である。
図において、交流電源11は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源である。負荷41は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。
双方向スイッチ21,31の直列回路が、交流電源11のR相端子とS相端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に負荷41のU相負荷とV相負荷とが直列に接続される。双方向スイッチ21,31およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
また、双方向スイッチ22,32の直列回路が、交流電源11のT相端子とS相端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に負荷41のW相負荷とV相負荷とが直列に接続される。双方向スイッチ22,32およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
301は、交流電源11のR相とS相の間の線間電圧Vrsを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のT相とS相の間の線間電圧Vtsを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された線間電圧Vrsと電圧検出器302で検出された線間電圧Vtsとは、制御回路101に入力される。
制御回路101は、線間電圧Vrsの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路101は、線間電圧Vtsの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。制御回路101がゲート信号G1〜G4を生成する論理およびゲート信号G5〜G8を生成する論理は、第1の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、線間電圧Vrs,Vtsのゼロクロス付近に、それぞれ期間3を設けている。したがって、本実施形態は、負荷41のリアクトルLu,LvおよびLwに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図6は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第1の実施形態に係る単相の降圧型チョッパを3組用いて、3相交流電源と三相負荷とをY結線接続した降圧型チョッパである。
図において、12は三相交流電源、21〜23および31〜33は双方向スイッチ、42は三相負荷、102は制御回路である。
図において、交流電源12は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源であり、中性点を有している。負荷42は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。負荷42も中性点を有している。また、交流電源12の中性点と負荷42の中性点は接続されている。
双方向スイッチ21,31の直列回路が、交流電源12のR相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に負荷42のU相負荷が接続される。双方向スイッチ21,31およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
また、双方向スイッチ22,32の直列回路が、交流電源11のS相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に負荷42のV相負荷が接続される。双方向スイッチ22,32およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
また、双方向スイッチ23,33の直列回路が、交流電源11のT相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ33の両端に負荷42のW相負荷が接続される。双方向スイッチ23,33およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
301は、交流電源11のR相電圧Vrを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のS相電圧Vsを検出する電圧検出器である。303は、交流電源11のT相電圧Vtを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された電圧Vr,電圧検出器302で検出された電圧Vsおよび電圧検出器303で検出された電圧Vtは、制御回路102に入力される。
制御回路102は、電圧Vrの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路102は、電圧Vsの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。また、制御回路102は、電圧Vtの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S9〜S12のゲート信号G9〜G12を生成する。期間1〜3において制御回路102がゲート信号G1〜G4を生成する論理,ゲート信号G5〜G8を生成する論理およびゲート信号G9〜G12を生成する論理は、第1の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、電圧Vr,VsおよびVtのゼロクロス付近に期間3を設けている。したがって、本実施形態は、負荷42のリアクトルLu,LvおよびLwに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図7は、本発明を適用した電力変換装置の第4の実施形態を説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷、5はリアクトル、6はコンデンサ、103は制御回路である。この実施形態に係る電力変換装置は、単相交流電源1の電圧Vinを昇圧して得た電圧Voを負荷に供給する昇圧型の交流チョッパである。
双方向スイッチ2(第1の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S1(第1のスイッチング素子)とスイッチング素子S2(第2のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S1のコレクタ端子側を双方向スイッチ2の第1の端子とし、スイッチング素子S1のエミッタ端子側を双方向スイッチ2の第2の端子とする。
双方向スイッチ3(第2の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S3(第3のスイッチング素子)とスイッチング素子S4(第4のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S4のコレクタ端子側を双方向スイッチ3の第1の端子とし、スイッチング素子S4のエミッタ端子側を双方向スイッチ3の第2の端子とする。
そして、スイッチング素子S1〜S4は、逆阻止耐圧を有するIGBTである。
リアクトル5と双方向スイッチ3とは、交流電源1の両端に、直列に接続される。具体的には、リアクトル5の一端が交流電源1の一端に接続され、リアクトル5の他端が双方向スイッチ3の第2の端子に接続される。さらに、双方向スイッチ3の第1の端子が交流電源1の他端に接続される。
双方向スイッチ2とコンデンサ6とは、双方向スイッチ3と並列に直列接続される。具体的には、双方向スイッチ3の第2の端子に双方向スイッチ2の第1の端子が接続される。さらに、双方向スイッチ2の第2の端子にコンデンサ6の一端が接続されるとともに、コンデンサ6の他端が双方向スイッチ3の第1の端子に接続される。
負荷4は、コンデンサ6と並列に接続される。負荷4は、抵抗RとリアクトルLとが直列に接続された回路である。リアクトルLは、抵抗Rのインダクタンス成分や配線のインダクタンス成分を含むものである。
制御回路103には、電圧検出器301で検出された交流電源1の電圧Vinが入力される。制御回路103は、この電圧Vinに基づいて、スイッチング素子S1〜S4をオンオフするためのゲート信号G1〜G4を生成する。
制御回路103は、ゲート信号G1〜G4を生成するにあたり、第1の実施形態と同様に、交流電源1の電圧周期を期間4〜6の3つの期間に分割している。期間4(第4の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧以上の期間である。期間5(第5の期間)は、電圧Vinが第2の基準電圧以下の期間である。期間6(第6の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧より小さく、かつ第2の基準電圧より大きい期間である。
なお、第1の基準電圧は、0Vよりも少し大きい値に設定された電圧である。第2の基準電圧は、0Vよりも少し小さい値に設定された電圧である。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、第3の期間を、電圧Vinがゼロクロスする前後の限られた期間とすることができる。
例えば、単相交流電源1の電圧Vinを150VACとし、出力電圧Voを200VACとする。そして、第1の基準電圧を10V程度とし、第2の基準電圧を−10V程度にする。この場合、期間の切り替わりタイミングで生じる出力電圧Voの偏差(基本波成分の偏差)が3V程度になる。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、出力電圧Voの波形ひずみに対する影響を軽微なものとすることができる。
図8は、期間4〜6とスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作の関係を説明するための図である。
期間4において、制御回路103は、スイッチング素子S1、S4を常にオン状態にするためのゲート信号G1,G4を生成する。また、制御回路103は、スイッチング素子S2,S3を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G2,G3を生成する。ゲート信号G2,G3は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S2がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S3がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S3がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S2がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。休止期間Tdは、スイッチング素子S2,S3のオンオフが切り替わるタイミングにおいて、両素子が同時オンすることによるコンデンサ6の短絡を防止するために設けられる期間である。
スイッチング素子S3がオンすることにより、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S3→交流電源1の経路で電流Iinが流れる。スイッチング素子S3がオフすると、スイッチング素子S3に流れていた電流Iinが、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路に転流する。スイッチング素子S3がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S2のオン期間およびスイッチング素子2がオフした後の休止期間Tdの間、電流Iinは、上記交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S3がオンすると、スイッチング素子S1に流れていた電流Iinが、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S3→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間6から期間4に切り替わった直後において、電流Iinの極性が負の場合がある。このとき、電流Iinは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路、または交流電源1→スイッチング素子S4→リアクトル5→交流電源1の経路で流れる。
上述のとおり、期間4では、スイッチング素子S2,S3のオンオフ動作に伴って、電流Iinの転流動作が繰り返される。すなわち、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間4では、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間5では、制御回路103は、スイッチング素子S2、S3を常にオン状態にするためのゲート信号G2,G3を生成する。また、制御回路103は、スイッチング素子S1,S4を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G1,G4を生成する。ゲート信号G1,G4は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S1がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S4がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S4がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S1がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。
スイッチング素子S4がオンすることにより、交流電源1→スイッチング素子S4→リアクトル5→交流電源1の経路で電流Iinが流れる。スイッチング素子S4がオフすると、スイッチング素子S4に流れていた電流Iinが、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→リアクトル5→交流電源1の経路に転流する。スイッチング素子S2がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S3のオン期間およびスイッチング素子S3がオフした後の休止期間Tdの間、電流Ioは、上記負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S4に流れていた電流Ioが、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間6から期間5に切り替わった直後において、電流Iinの極性が正の場合がある。このとき、電流Iinは、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路、または交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S3→交流電源1の経路で流れる。
上述のとおり、期間5では、スイッチング素子S1,S4のオンオフ動作に伴って、電流Iinの転流動作が繰り返される。すなわち、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間5において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間6において、制御回路103は、スイッチング素子S1,S2を常にオン状態にし、スイッチング素子S3、S4を常にオフ状態にする。
期間4後の期間6では、電流Iinは、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で流れる。また、期間5後の期間6では、電流Iinは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→リアクトル5→交流電源1の経路で流れる。いずれの場合にもスイッチング素子のオンオフ動作は生じない。したがって、期間6では、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧は発生しない。
なお、期間4から期間6への切り替えは、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。同様に、期間5から期間6への切り替えも、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。このタイミングで期間の切り替えを行えば、期間1若しくは期間2におけるスイッチング素子のオンオフ状態を維持しながら期間3に移行することができる。そして、スイッチング素子のオンオフ動作が切り替わらないため、このタイミングで休止期間を挿入するなど、複雑なゲート信号を生成する必要がない。
以上より、交流電源1のゼロクロス付近に期間6を設けた第4の実施形態は、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図9は、本発明の第5の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第4の実施形態に係る単相の昇圧型チョッパを2組用いて、3相交流電源と三相負荷とをV結線接続した昇圧型チョッパである。
図において、11は三相交流電源、21,22および31,32は双方向スイッチ、41は三相負荷、51〜53はリアクトル、61〜63はコンデンサ、104は制御回路である。
交流電源11は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源である。負荷41は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。
リアクトル51と双方向スイッチ31とからなる直列回路が、交流電源11のR相端子とS相端子との間にリアクトル52を介して接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に双方向スイッチ21とコンデンサ61とからなる直列回路が接続される。双方向スイッチ31およびリアクトル51と双方向スイッチ31とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ21および双方向スイッチ21とコンデンサ61とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
コンデンサ61の両端に、負荷41のU相負荷とV相負荷とが直列に接続される。
また、リアクトル53と双方向スイッチ32とからなる直列回路が、交流電源11のT相端子とS相端子との間にリアクトル52を介して接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に双方向スイッチ22とコンデンサ63とからなる直列回路が接続される。双方向スイッチ32およびリアクトル53と双方向スイッチ32とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ22および双方向スイッチ22とコンデンサ62とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
コンデンサ62の両端に、負荷41のW相負荷とV相負荷とが直列に接続される。
さらに、コンデンサ63が、コンデンサ61,62の直列回路の両端に接続される。
301は、交流電源11のR相とS相の間の線間電圧Vrsを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のT相とS相の間の線間電圧Vtsを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された線間電圧Vrsと電圧検出器302で検出された線間電圧Vtsとは、制御回路104に入力される。
制御回路104は、線間電圧Vrsの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路104は、線間電圧Vtsの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。制御回路104がゲート信号G1〜G4を生成する論理およびゲート信号G5〜G8を生成する論理は、第4の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、線間電圧Vrs,Vtsのゼロクロス付近に期間6を設けている。したがって、本実施形態は、リアクトル51〜53に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図10は、本発明の第6の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第4の実施形態に係る単相の昇圧型チョッパを3組用いて、3相交流電源と三相負荷とをY結線接続した昇圧型チョッパである。
図において、12は三相交流電源、21〜23および31〜33は双方向スイッチ、42は三相負荷、51〜53はリアクトル、61〜63はコンデンサ、105は制御回路である。
交流電源12は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源であり、中性点を有している。負荷42は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。負荷42も中性点を有している。また、交流電源12の中性点と負荷42の中性点は接続されている。
リアクトル51と双方向スイッチ31の直列回路が、交流電源12のR相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に、双方向スイッチ21とコンデンサ61の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサ61の両端に負荷42のU相負荷が接続される。双方向スイッチ31およびリアクトル51と双方向スイッチ31とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ21および双方向スイッチ21とコンデンサ61とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
リアクトル52と双方向スイッチ32の直列回路が、交流電源12のS相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に、双方向スイッチ22とコンデンサ62の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサ62の両端に負荷42のV相負荷が接続される。双方向スイッチ32およびリアクトル52と双方向スイッチ32とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ22および双方向スイッチ22とコンデンサ62とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
リアクトル53と双方向スイッチ33の直列回路が、交流電源12のT相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ33の両端に、双方向スイッチ23とコンデンサ63の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサ63の両端に負荷42のW相負荷が接続される。双方向スイッチ33およびリアクトル53と双方向スイッチ33とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ23および双方向スイッチ23とコンデンサ63とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
301は、交流電源11のR相電圧Vrを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のS相電圧Vsを検出する電圧検出器である。303は、交流電源11のT相電圧Vtを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された電圧Vr,電圧検出器302で検出された電圧Vsおよび電圧検出器303で検出された電圧Vtは、制御回路105に入力される。
制御回路105は、電圧Vrの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路105は、電圧Vsの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。また、制御回路105は、電圧Vtの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S9〜S12のゲート信号G9〜G12を生成する。期間4〜6において制御回路105がゲート信号G1〜G4を生成する論理,ゲート信号G5〜G8を生成する論理およびゲート信号G9〜G12を生成する論理は、第1の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、電圧Vr,VsおよびVtのゼロクロス付近に期間6を設けている。したがって、本実施形態は、負荷42のリアクトルLu,LvおよびLwに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
本発明は、交流電源の電圧を降圧または昇圧して交流電圧を出力する交流チョッパに利用することができる。
1 単相交流電源
11,12 三相交流電源
2,21〜23 双方向スイッチ
3,31〜33 双方向スイッチ
4 単相負荷
41,42 三相負荷
5,51〜53 リアクトル
6,61〜63 コンデンサ
100〜105 制御回路
301〜303 電圧検出器。
本発明は、交流電源の電圧を降圧または昇圧して交流電圧を出力する電力変換装置に関する。
交流電源の電圧を降圧または昇圧して交流電圧を出力する電力変換装置として、降圧型または昇圧型の交流チョッパが知られている。図11は、特許文献1に開示されている単相降圧型交流チョッパを説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷である。
双方向スイッチ2は、それぞれダイオードが逆並列に接続されたスイッチング素子S1,S2を逆直列に接続してなる回路である。双方向スイッチ3は、それぞれダイオードが逆並列に接続されたスイッチング素子S3,S4を逆直列に接続してなる回路である。双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは直列に接続されて、単相交流電源1の両端に接続される。負荷4は、抵抗RとリアクトルLとを直列に接続してなる。負荷4は、双方向スイッチ3の両端に接続される。
この構成において、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは、パルス幅変調されたゲート信号に基づいて交互にオンオフ動作を繰り返す。なお、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3のゲート信号には、両方の双方向スイッチのオンオフが切り替わるタイミングで同時にオンすることがないように、休止期間が設けられている。この動作によって、交流電源1の電圧を降圧した所定の交流電圧が負荷4に印加される。
図12は、特許文献1に開示されている単相昇圧型交流チョッパを説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷、5はリアクトル、6はコンデンサである。
双方向スイッチ2および双方向スイッチ3の構成は、上述した降圧型交流チョッパと同様である。リアクトル5と双方向スイッチ2の直列回路が交流電源1の両端に接続される。さらに、双方スイッチ3とコンデンサ6の直列回路が双方向スイッチ2の両端に接続される。負荷4は、コンデンサ6の両端に接続される。
この構成において、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは、パルス幅変調されたゲート信号に基づいて交互にオンオフ動作を繰り返す。なお、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3のゲート信号には、両方の双方向スイッチのオンオフが切り替わるタイミングで同時にオンすることがないように、休止期間が設けられている。この動作によって、交流電源1の電圧を昇圧した所定の交流電圧が負荷4に印加される。
しかし、降圧型交流チョッパの場合、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3が休止期間において同時にオフすると、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路が断たれる。このとき、リアクトルLの両端にサージ電圧が発生する。また、昇圧型交流チョッパの場合、双方向スイッチ2と双方向スイッチ3が休止期間において同時にオフすると、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路が断たれる。このときも、リアクトル5の両端にサージ電圧が発生する。そして、リアクトルLまたはリアクトル5に生じたサージ電圧によって、双方向スイッチ2,3は、破壊するおそれがある。
このサージ電圧の発生を抑制する方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、双方向スイッチ2,3のオンオフを切り替えるとき、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性に応じて、双方向スイッチ2,3を構成するスイッチング素子S1〜S4を個別にオンオフさせるための3つの期間が設けられている。この3つの期間は、それぞれで、リアクトルLまたはリアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーの放出経路を構成することができる。その結果、サージ電圧の発生が抑制される。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性に応じてスイッチング素子S1〜S4をオンオフさせるための制御信号を生成する必要がある。ところが、双方向スイッチ2,3は、例えばパルス幅変調制御によりオンオフ動作をするため、負荷電流Ioまたは電源電流Iinにはリプル成分が含まれている。そのため、電流のゼロクロス付近において、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性を正しく検出するのが難しい。電流強制の検出を誤った場合には、リアクトルLまたはリアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーによって、サージ電圧が発生する。
また、軽負荷時は、負荷電流Ioおよび電源電流Iinが小さくなる。そのため、軽負荷時にはさらに、負荷電流Ioまたは電源電流Iinの極性を正しく検出するのが難しくなる。
したがって、特許文献1に開示されている技術を適用した交流チョッパは、負荷電流Ioまたは電源電流Iinのゼロクロス付近において、リアクトルLまたはリアクトル5によって発生するサージ電圧を抑制できない場合がある。または、このサージ電圧を抑制するために、複雑な制御回路を必要とする。
また、特許文献1に開示されている技術は、スイッチング素子S1〜S4を個別にオンオフさせるための3つの期間を設けている。したがって、電源電圧のゼロクロス付近において、通常の場合に比べて3倍の休止期間を必要とする。休止期間を多く必要とすることは、交流チョッパの高周波化の妨げとなる。
本発明は、このような従来技術が有している問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、電流にリプル成分が含まれていても、リアクトルLまたはリアクトル5によって発生するサージを抑制することができる交流チョッパを提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、交流電源の両端に直列に接続される第1と第2の双方向スイッチを交互にオンオフすることによって得られる交流電圧を、第2の双方向スイッチの両端に接続される負荷に供給する電力変換装置である。この電力変換装置は、第1の双方向スイッチを第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成し、第2の双方向スイッチを第3のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成している。そして、この電力変換装置は、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第1の基準電圧よりも小さい第2の基準電圧との間にあるとき、第1の双方向スイッチの第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2の双方向スイッチの第3と第4のスイッチング素子をオフさせて、交流電源の電圧を負荷に供給することを特徴とする。さらに、第1の基準電圧はゼロよりも大きい電圧であり、第2の基準電圧はゼロよりも小さい電圧であることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係る電力変換装置であって、交流電源の電圧周期を、交流電源の電圧が第1の基準電圧以上である第1の期間と、交流電源の電圧が第2の基準電圧以下である第2の期間と、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第2の基準電圧の間にある第3の期間とに分割することを特徴とする。そして、この電力変換装置は、分割した各期間において、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、交流電源の電圧を所定の交流電圧に降圧して負荷に供給することを特徴とする。
具体的には、この電力変換装置は、第1の期間において、第2と第3のスイッチング素子をオンさせるとともに、第1と第4のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第2の期間において、第1と第4のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2と第3のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第3の期間において、第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第3と第4のスイッチング素子をオフさせる。
第3の発明は、第2の発明に係る電力変換装置であって、第1の期間から第3の期間への切り替えおよび第2の期間から第3の期間への切り替えが、第1と第2のスイッチング素子が同時にオンしているときに行われることを特徴とする。
第4の発明は、リアクトルと第2の双方向スイッチとを交流電源の両端に直列接続するとともに、第1の双方向スイッチとコンデンサとを第2の双方向スイッチの両端に直列接続し、第1と第2の双方向スイッチを交互にオンオフすることによって得られる交流電圧を、コンデンサの両端に接続される負荷に供給する電力変換装置である。この電力変換装置は、第1の双方向スイッチを第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成し、第2の双方向スイッチを第3のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成している。そして、この電力変換装置は、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第1の基準電圧よりも小さい第2の基準電圧との間にあるとき、第1の双方向スイッチをオンさせるとともに、第2の双方向スイッチをオフさせて、交流電源の電圧を負荷に供給することを特徴とする。さらに、第1の基準電圧はゼロよりも大きい電圧であり、第2の基準電圧はゼロよりも小さい電圧であることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明に係る電力変換装置であって、交流電源の電圧周期を、交流電源の電圧が第1の基準電圧以上である第4の期間と、交流電源の電圧が第2の基準電圧以下である第5の期間と、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第2の基準電圧の間にある第6の期間とに分割することを特徴とする。そして、この電力変換装置は、分割した各期間において、第1〜第4のスイッチング素子を定められたモードでオンオフ制御することにより、交流電源の電圧を所定の交流電圧に昇圧して負荷に供給することを特徴とする。
具体的には、この電力変換装置は、第4の期間において、第1と第4のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2と第3のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第5の期間において、第2と第3のスイッチング素子をオンさせるとともに、第1と第4のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第6の期間において、第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第3と第4のスイッチング素子をオフさせる。
第6の発明は、第5の発明に係る電力変換装置であって、第4の期間から第6の期間への切り替えおよび第5の期間から第6の期間への切り替えが、第1と第2のスイッチング素子が同時にオンしているときに行われることを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれか1つの発明に係る電力変換装置を2組用いて、三相交流電源と三相負荷とをV結線接続した電力変換装置である。
第8の発明は、第1から第6の発明のいずれか1つの発明に係る電力変換装置を3組用いて、三相交流電源と三相負荷とをY結線接続した電力変換装置である。
本発明を適用した電力変換装置は、2つの双方向スイッチを備えて、交流電源の電圧を降圧または昇圧して負荷に供給する交流チョッパである。
この電力変換装置が降圧型交流チョッパである場合、交流電源の電圧周期を第1〜第3の期間に分割して、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御する。
第1の期間では、第2と第3のスイッチング素子がオン状態にあり、第1と第4のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第1のスイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第3のスイッチング素子に転流する。第2の期間では、第1と第4のスイッチング素子がオン状態にあり、第2と第3のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第2のスイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第4のスイッチング素子に転流する。第3の期間では、第1と第2のスイッチング素子がオン状態にあり、第3と第4のスイッチング素子がオフ状態にある。この期間では、回路電流は、第1または第2のスイッチング素子を流れる。
また、この電力変換装置が昇圧型交流チョッパである場合、交流電源の電圧周期を第4〜第6の期間に分割して、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御する。
第4の期間では、第1と第4のスイッチング素子がオン状態にあり、第2と第3のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第3スイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第1のスイッチング素子に転流する。第5の期間では、第2と第3のスイッチング素子がオン状態にあり、第1と第4のスイッチング素子が交互にオンオフする。この期間では、第4のスイッチング素子のオフ動作に伴って、回路電流が第2のスイッチング素子に転流する。第6の期間では、第1と第2のスイッチング素子がオン状態にあり、第3と第4のスイッチング素子がオフ状態にある。この期間では、回路電流は、第1または第2のスイッチング素子を流れる。
本発明を適用した電力変換装置は、いずれの制御期間においても、リアクトルに蓄積された誘導性エネルギーの放出経路を構成することができる。したがって、本発明を適用した電力変換装置は、リアクトルで発生するサージ電圧を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
双方向スイッチ素子の実施形態を説明するための図である。
電圧Vinと期間1〜3の関係を説明するための図である。
期間1〜3とスイッチング素子の動作の関係を説明するための図である。
本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
本発明の第3の実施形態を説明するための図である。
本発明の第4の実施形態を説明するための図である。
電圧Vinと期間4〜6の関係を説明するための図である。
本発明の第5の実施形態を説明するための図である。
本発明の第6の実施形態を説明するための図である。
従来技術に係る降圧型交流チョッパを説明するための図である。
従来技術に係る昇圧型交流チョッパを説明するための図である。
以下、本発明を適用した電力変換装置の実施形態を、図1〜図10を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した電力変換装置の第1の実施形態を説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷、100は制御回路である。この実施形態に係る電力変換装置は、単相交流電源1の電圧Vinを降圧して得た電圧Voを負荷に供給する降圧型の交流チョッパである。
双方向スイッチ2(第1の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S1(第1のスイッチング素子)とスイッチング素子S2(第2のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S1のコレクタ端子側を双方向スイッチ2の第1の端子とし、スイッチング素子S1のエミッタ端子側を双方向スイッチ2の第2の端子とする。
双方向スイッチ3(第2の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S3(第3のスイッチング素子)とスイッチング素子S4(第4のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S4のコレクタ端子側を双方向スイッチ3の第1の端子とし、スイッチング素子S4のエミッタ端子側を双方向スイッチ3の第2の端子とする。
図に示したスイッチング素子S1〜S4は、逆阻止耐圧を有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
しかし、双方向スイッチ2,3は上記構成に限られるものではない。たとえば、双方向スイッチ2,3は、図2(a)に示すように、逆阻止耐圧を備えていないIGBTとダイオードを直列に接続した2組の回路を逆並列に接続して構成されていてもよい。また、双方向スイッチ2,3は、図2(b)に示すように、逆阻止耐圧を備えていないIGBTとダイオードを逆並列に接続した2組の回路を逆直列に接続して構成されていても良い。また、双方向スイッチ2,3は、図2(c)に示すように、ダイオードを逆並列接続した2組のIGBT双方向スイッチ素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とダイオードを逆並列に接続した2組の回路を逆直列に接続して構成されていても良い。
双方向スイッチをこのように構成することができることは、以下の他の実施形態においても同様である。
双方向スイッチ2と双方向スイッチ3とは、交流電源1の両端に、直列に接続される。具体的には、双方向スイッチ2の第2の端子と双方向スイッチ3の第1の端子とが接続されている。そして、双方向スイッチ2の第1の端子が交流電源1の一端に接続され、双方向スイッチ3の第2の端子が交流電源1の他端に接続される。
負荷4は双方向スイッチ3の両端に接続される。負荷4は、抵抗RとリアクトルLとが直列に接続された回路である。リアクトルLは、抵抗Rのインダクタンス成分や配線のインダクタンス成分を含むものである。
制御回路100には、電圧検出器301で検出された交流電源1の電圧Vinが入力される。制御回路100は、この電圧Vinに基づいて、スイッチング素子S1〜S4をオンオフさせるためのゲート信号G1〜G4を生成する。
制御回路100は、ゲート信号G1〜G4を生成するにあたり、交流電源1の電圧周期を期間1〜3の3つの期間に分割している。図3は、電圧Vinと期間1〜3の関係を説明するための図である。図3には、負荷4に流れる電流Ioも併せて記載している。
期間1(第1の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧以上の期間である。期間2(第2の期間)は、電圧Vinが第2の基準電圧以下の期間である。期間3(第3の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧より小さく、かつ第2の基準電圧より大きい期間である。
なお、第1の基準電圧は、0Vよりも少し大きい値に設定された電圧である。第2の基準電圧は、0Vよりも少し小さい値に設定された電圧である。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、第3の期間を、電圧Vinがゼロクロスする前後の限られた期間とすることができる。
例えば、単相交流電源1の電圧Vinを250VACとし、出力電圧Voを200VACとする。そして、第1の基準電圧を10V程度とし、第2の基準電圧を−10V程度にする。この場合、期間の切り替わりタイミングで生じる出力電圧Voの偏差(基本波成分の偏差)が2V程度になる。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、出力電圧Voの波形ひずみに対する影響を軽微なものとすることができる。
図4は、期間1〜3とスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作の関係を説明するための図である。
期間1において、制御回路100は、スイッチング素子S2、S3を常にオン状態にするためのゲート信号G2,G3を生成する。また、制御回路100は、スイッチング素子S1,S4を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G1,G4を生成する。ゲート信号G1,G4は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S1がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S4がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S4がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S1がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。休止期間Tdは、スイッチング素子S1,S4のオンオフが切り替わるタイミングにおいて、両素子が同時オンすることによる交流電源1の短絡を防止するために設けられる期間である。
スイッチング素子S1がオンすることにより、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で電流Ioが流れる。スイッチング素子S1がオフすると、スイッチング素子S1に流れていた電流Ioが、負荷4→スイッチング素子S3→負荷4の経路に転流する。スイッチング素子S1がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S4のオン期間およびスイッチング素子S4がオフした後の休止期間Tdの間、電流Ioは、上記負荷4→スイッチング素子S3→負荷4の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S3に流れていた電流Ioが、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間3から期間1に切り替わった直後において、電流Ioの極性が負の場合がある。このとき、電流Ioは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路、または負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路で流れる。
上述のとおり、期間1では、スイッチング素子S1,S4のオンオフ動作に伴って、電流Ioの転流動作が繰り返される。すなわち、負荷4のリアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間1において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間2において、制御回路100は、スイッチング素子S1、S4を常にオン状態にするためのゲート信号G1,G4を生成する。また、制御回路100は、スイッチング素子S2,S3を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G2,G3を生成する。ゲート信号G2,G3は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S2がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S3がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S3がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S2がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。
スイッチング素子S2がオンすることにより、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路で電流Ioが流れる。スイッチング素子S2がオフすると、スイッチング素子S2に流れていた電流Ioが、負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路に転流する。スイッチング素子S2がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S3のオン期間およびスイッチング素子S3がオフした後の休止期間Tdの間、電流Ioは、上記負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S4に流れていた電流Ioが、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間3から期間2に切り替わった直後において、電流Ioの極性が正の場合がある。このとき、電流Ioは、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路、または負荷4→スイッチング素子S3→負荷4の経路で流れる。
上述のとおり、期間2では、スイッチング素子S2,S3のオンオフ動作に伴って、電流Ioの転流動作が繰り返される。すなわち、負荷4のリアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間2において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間3において、制御回路100は、スイッチング素子S1,S2を常にオン状態にし、スイッチング素子S3、S4を常にオフ状態にする。
期間1後の期間3では、電流Ioは、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で流れる。また、期間2後の期間3では、電流Ioは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路で流れる。いずれの場合にもスイッチング素子のオンオフ動作は生じない。したがって、期間3において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧は発生しない。
なお、期間1から期間3への切り替えは、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。同様に、期間2から期間3への切り替えも、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。このタイミングで期間の切り替えを行えば、期間1若しくは期間2におけるスイッチング素子のオンオフ状態を維持しながら期間3に移行することができる。そして、スイッチング素子のオンオフ動作が切り替わらないため、このタイミングで休止期間を挿入する必要がない。
以上より、交流電源1のゼロクロス付近に期間3を設けた第1の実施形態は、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図5は、本発明の第2の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第1の実施形態に係る単相の降圧型チョッパを2組用いて、3相交流電源と三相負荷とをV結線接続した降圧型チョッパである。
図において、11は三相交流電源、21,22および31,32は双方向スイッチ、41は三相負荷、101は制御回路である。
図において、交流電源11は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源である。負荷41は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。
双方向スイッチ21,31の直列回路が、交流電源11のR相端子とS相端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に負荷41のU相負荷とV相負荷とが直列に接続される。双方向スイッチ21,31およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
また、双方向スイッチ22,32の直列回路が、交流電源11のT相端子とS相端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に負荷41のW相負荷とV相負荷とが直列に接続される。双方向スイッチ22,32およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
301は、交流電源11のR相とS相の間の線間電圧Vrsを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のT相とS相の間の線間電圧Vtsを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された線間電圧Vrsと電圧検出器302で検出された線間電圧Vtsとは、制御回路101に入力される。
制御回路101は、線間電圧Vrsの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路101は、線間電圧Vtsの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。制御回路101がゲート信号G1〜G4を生成する論理およびゲート信号G5〜G8を生成する論理は、第1の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、線間電圧Vrs,Vtsのゼロクロス付近に、それぞれ期間3を設けている。したがって、本実施形態は、負荷41のリアクトルLu,LvおよびLwに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図6は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第1の実施形態に係る単相の降圧型チョッパを3組用いて、3相交流電源と三相負荷とをY結線接続した降圧型チョッパである。
図において、12は三相交流電源、21〜23および31〜33は双方向スイッチ、42は三相負荷、102は制御回路である。
図において、交流電源12は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源であり、中性点を有している。負荷42は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。負荷42も中性点を有している。また、交流電源12の中性点と負荷42の中性点は接続されている。
双方向スイッチ21,31の直列回路が、交流電源12のR相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に負荷42のU相負荷が接続される。双方向スイッチ21,31およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
また、双方向スイッチ22,32の直列回路が、交流電源11のS相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に負荷42のV相負荷が接続される。双方向スイッチ22,32およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
また、双方向スイッチ23,33の直列回路が、交流電源11のT相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ33の両端に負荷42のW相負荷が接続される。双方向スイッチ23,33およびこれらからなる直列回路の構成は、第1の実施形態における双方向スイッチ2,3およびこれらからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
301は、交流電源11のR相電圧Vrを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のS相電圧Vsを検出する電圧検出器である。303は、交流電源11のT相電圧Vtを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された電圧Vr,電圧検出器302で検出された電圧Vsおよび電圧検出器303で検出された電圧Vtは、制御回路102に入力される。
制御回路102は、電圧Vrの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路102は、電圧Vsの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。また、制御回路102は、電圧Vtの電圧周期を期間1〜3に分割して、スイッチング素子S9〜S12のゲート信号G9〜G12を生成する。期間1〜3において制御回路102がゲート信号G1〜G4を生成する論理,ゲート信号G5〜G8を生成する論理およびゲート信号G9〜G12を生成する論理は、第1の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、電圧Vr,VsおよびVtのゼロクロス付近に期間3を設けている。したがって、本実施形態は、負荷42のリアクトルLu,LvおよびLwに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図7は、本発明を適用した電力変換装置の第4の実施形態を説明するための図である。
図において、1は単相交流電源、2および3は双方向スイッチ、4は負荷、5はリアクトル、6はコンデンサ、103は制御回路である。この実施形態に係る電力変換装置は、単相交流電源1の電圧Vinを昇圧して得た電圧Voを負荷に供給する昇圧型の交流チョッパである。
双方向スイッチ2(第1の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S1(第1のスイッチング素子)とスイッチング素子S2(第2のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S1のコレクタ端子側を双方向スイッチ2の第1の端子とし、スイッチング素子S1のエミッタ端子側を双方向スイッチ2の第2の端子とする。
双方向スイッチ3(第2の双方向スイッチ)は、スイッチング素子S3(第3のスイッチング素子)とスイッチング素子S4(第4のスイッチング素子)とを逆並列に接続してなる回路である。スイッチング素子S4のコレクタ端子側を双方向スイッチ3の第1の端子とし、スイッチング素子S4のエミッタ端子側を双方向スイッチ3の第2の端子とする。
そして、スイッチング素子S1〜S4は、逆阻止耐圧を有するIGBTである。
リアクトル5と双方向スイッチ3とは、交流電源1の両端に、直列に接続される。具体的には、リアクトル5の一端が交流電源1の一端に接続され、リアクトル5の他端が双方向スイッチ3の第2の端子に接続される。さらに、双方向スイッチ3の第1の端子が交流電源1の他端に接続される。
双方向スイッチ2とコンデンサ6とは、双方向スイッチ3と並列に直列接続される。具体的には、双方向スイッチ3の第2の端子に双方向スイッチ2の第1の端子が接続される。さらに、双方向スイッチ2の第2の端子にコンデンサ6の一端が接続されるとともに、コンデンサ6の他端が双方向スイッチ3の第1の端子に接続される。
負荷4は、コンデンサ6と並列に接続される。負荷4は、抵抗RとリアクトルLとが直列に接続された回路である。リアクトルLは、抵抗Rのインダクタンス成分や配線のインダクタンス成分を含むものである。
制御回路103には、電圧検出器301で検出された交流電源1の電圧Vinが入力される。制御回路103は、この電圧Vinに基づいて、スイッチング素子S1〜S4をオンオフするためのゲート信号G1〜G4を生成する。
制御回路103は、ゲート信号G1〜G4を生成するにあたり、第1の実施形態と同様に、交流電源1の電圧周期を期間4〜6の3つの期間に分割している。期間4(第4の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧以上の期間である。期間5(第5の期間)は、電圧Vinが第2の基準電圧以下の期間である。期間6(第6の期間)は、電圧Vinが第1の基準電圧より小さく、かつ第2の基準電圧より大きい期間である。
なお、第1の基準電圧は、0Vよりも少し大きい値に設定された電圧である。第2の基準電圧は、0Vよりも少し小さい値に設定された電圧である。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、第6の期間を、電圧Vinがゼロクロスする前後の限られた期間とすることができる。
例えば、単相交流電源1の電圧Vinを150VACとし、出力電圧Voを200VACとする。そして、第1の基準電圧を10V程度とし、第2の基準電圧を−10V程度にする。この場合、期間の切り替わりタイミングで生じる出力電圧Voの偏差(基本波成分の偏差)が3V程度になる。このように第1と第2の基準電圧を設定すれば、出力電圧Voの波形ひずみに対する影響を軽微なものとすることができる。
図8は、期間4〜6とスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作の関係を説明するための図である。
期間4において、制御回路103は、スイッチング素子S1、S4を常にオン状態にするためのゲート信号G1,G4を生成する。また、制御回路103は、スイッチング素子S2,S3を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G2,G3を生成する。ゲート信号G2,G3は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S2がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S3がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S3がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S2がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G2,G3には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。休止期間Tdは、スイッチング素子S2,S3のオンオフが切り替わるタイミングにおいて、両素子が同時オンすることによるコンデンサ6の短絡を防止するために設けられる期間である。
スイッチング素子S3がオンすることにより、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S3→交流電源1の経路で電流Iinが流れる。スイッチング素子S3がオフすると、スイッチング素子S3に流れていた電流Iinが、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路に転流する。スイッチング素子S3がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S2のオン期間およびスイッチング素子S2がオフした後の休止期間Tdの間、電流Iinは、上記交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S3がオンすると、スイッチング素子S1に流れていた電流Iinが、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S3→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間6から期間4に切り替わった直後において、電流Iinの極性が負の場合がある。このとき、電流Iinは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路、または交流電源1→スイッチング素子S4→リアクトル5→交流電源1の経路で流れる。
上述のとおり、期間4では、スイッチング素子S2,S3のオンオフ動作に伴って、電流Iinの転流動作が繰り返される。すなわち、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間4では、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間5では、制御回路103は、スイッチング素子S2、S3を常にオン状態にするためのゲート信号G2,G3を生成する。また、制御回路103は、スイッチング素子S1,S4を交互にオンオフ動作させるためのゲート信号G1,G4を生成する。ゲート信号G1,G4は、所定の交流電圧を出力するために、パルス幅変調されている。
スイッチング素子S1がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S4がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。同様に、スイッチング素子S4がオンからオフに切り替わり、スイッチング素子S1がオフからオンに切り替わるとき、両素子のゲート信号G1,G4には、両素子が同時にオフする休止期間Tdが設けられている。
スイッチング素子S4がオンすることにより、交流電源1→スイッチング素子S4→リアクトル5→交流電源1の経路で電流Iinが流れる。スイッチング素子S4がオフすると、スイッチング素子S4に流れていた電流Iinが、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→リアクトル5→交流電源1の経路に転流する。スイッチング素子S2がオフした後の休止期間Td、スイッチング素子S3のオン期間およびスイッチング素子S3がオフした後の休止期間Tdの間、電流Ioは、上記負荷4→スイッチング素子S4→負荷4の経路で流れ続ける。次にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S4に流れていた電流Ioが、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→交流電源1の経路に転流する。
なお、期間6から期間5に切り替わった直後において、電流Iinの極性が正の場合がある。このとき、電流Iinは、交流電源1→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路、または交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S3→交流電源1の経路で流れる。
上述のとおり、期間5では、スイッチング素子S1,S4のオンオフ動作に伴って、電流Iinの転流動作が繰り返される。すなわち、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーを放出する経路は、常に確保される。したがって、期間5において、リアクトルLに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧を抑制することができる。
期間6において、制御回路103は、スイッチング素子S1,S2を常にオン状態にし、スイッチング素子S3、S4を常にオフ状態にする。
期間4後の期間6では、電流Iinは、交流電源1→リアクトル5→スイッチング素子S1→負荷4→交流電源1の経路で流れる。また、期間5後の期間6では、電流Iinは、交流電源1→負荷4→スイッチング素子S2→リアクトル5→交流電源1の経路で流れる。いずれの場合にもスイッチング素子のオンオフ動作は生じない。したがって、期間6では、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧は発生しない。
なお、期間4から期間6への切り替えは、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。同様に、期間5から期間6への切り替えも、スイッチング素子S1,S2が同時にオンしているタイミングで行うのが好ましい。このタイミングで期間の切り替えを行えば、期間1若しくは期間2におけるスイッチング素子のオンオフ状態を維持しながら期間3に移行することができる。そして、スイッチング素子のオンオフ動作が切り替わらないため、このタイミングで休止期間を挿入するなど、複雑なゲート信号を生成する必要がない。
以上より、交流電源1のゼロクロス付近に期間6を設けた第4の実施形態は、リアクトル5に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図9は、本発明の第5の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第4の実施形態に係る単相の昇圧型チョッパを2組用いて、3相交流電源と三相負荷とをV結線接続した昇圧型チョッパである。
図において、11は三相交流電源、21,22および31,32は双方向スイッチ、41は三相負荷、51〜53はリアクトル、61〜63はコンデンサ、104は制御回路である。
交流電源11は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源である。負荷41は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。
リアクトル51と双方向スイッチ31とからなる直列回路が、交流電源11のR相端子とS相端子との間にリアクトル52を介して接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に双方向スイッチ21とコンデンサ61とからなる直列回路が接続される。双方向スイッチ31およびリアクトル51と双方向スイッチ31とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ21および双方向スイッチ21とコンデンサ61とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
コンデンサ61の両端に、負荷41のU相負荷とV相負荷とが直列に接続される。
また、リアクトル53と双方向スイッチ32とからなる直列回路が、交流電源11のT相端子とS相端子との間にリアクトル52を介して接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に双方向スイッチ22とコンデンサ63とからなる直列回路が接続される。双方向スイッチ32およびリアクトル53と双方向スイッチ32とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ22および双方向スイッチ22とコンデンサ62とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
コンデンサ62の両端に、負荷41のW相負荷とV相負荷とが直列に接続される。
さらに、コンデンサ63が、コンデンサ61,62の直列回路の両端に接続される。
301は、交流電源11のR相とS相の間の線間電圧Vrsを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のT相とS相の間の線間電圧Vtsを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された線間電圧Vrsと電圧検出器302で検出された線間電圧Vtsとは、制御回路104に入力される。
制御回路104は、線間電圧Vrsの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路104は、線間電圧Vtsの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。制御回路104がゲート信号G1〜G4を生成する論理およびゲート信号G5〜G8を生成する論理は、第4の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、線間電圧Vrs,Vtsのゼロクロス付近に期間6を設けている。したがって、本実施形態は、リアクトル51〜53に蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
図10は、本発明の第6の実施形態を説明するための図である。この実施形態は、第4の実施形態に係る単相の昇圧型チョッパを3組用いて、3相交流電源と三相負荷とをY結線接続した昇圧型チョッパである。
図において、12は三相交流電源、21〜23および31〜33は双方向スイッチ、42は三相負荷、51〜53はリアクトル、61〜63はコンデンサ、105は制御回路である。
交流電源12は、R相,S相およびT相の電源をY結線してなる三相交流電源であり、中性点を有している。負荷42は、抵抗RuとリアクトルLuとの直列回路(U相負荷)、抵抗RvとリアクトルLvとの直列回路(V相負荷)および抵抗RwとリアクトルLwとの直列回路(W相負荷)をY結線してなる三相負荷である。負荷42も中性点を有している。また、交流電源12の中性点と負荷42の中性点は接続されている。
リアクトル51と双方向スイッチ31の直列回路が、交流電源12のR相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ31の両端に、双方向スイッチ21とコンデンサ61の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサ61の両端に負荷42のU相負荷が接続される。双方向スイッチ31およびリアクトル51と双方向スイッチ31とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ21および双方向スイッチ21とコンデンサ61とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
リアクトル52と双方向スイッチ32の直列回路が、交流電源12のS相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ32の両端に、双方向スイッチ22とコンデンサ62の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサ62の両端に負荷42のV相負荷が接続される。双方向スイッチ32およびリアクトル52と双方向スイッチ32とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ22および双方向スイッチ22とコンデンサ62とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
リアクトル53と双方向スイッチ33の直列回路が、交流電源12のT相端子と中性点端子との間に接続されている。そして、双方向スイッチ33の両端に、双方向スイッチ23とコンデンサ63の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサ63の両端に負荷42のW相負荷が接続される。双方向スイッチ33およびリアクトル53と双方向スイッチ33とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ3およびリアクトル5と双方向スイッチ3とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、双方向スイッチ23および双方向スイッチ23とコンデンサ63とからなる直列回路の構成は、第4の実施形態における双方向スイッチ2および双方向スイッチ2とコンデンサ6とからなる直列回路の構成と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
301は、交流電源11のR相電圧Vrを検出する電圧検出器である。302は、交流電源11のS相電圧Vsを検出する電圧検出器である。303は、交流電源11のT相電圧Vtを検出する電圧検出器である。電圧検出器301で検出された電圧Vr,電圧検出器302で検出された電圧Vsおよび電圧検出器303で検出された電圧Vtは、制御回路105に入力される。
制御回路105は、電圧Vrの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S1〜S4のゲート信号G1〜G4を生成する。また、制御回路105は、電圧Vsの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S5〜S8のゲート信号G5〜G8を生成する。また、制御回路105は、電圧Vtの電圧周期を期間4〜6に分割して、スイッチング素子S9〜S12のゲート信号G9〜G12を生成する。期間4〜6において制御回路105がゲート信号G1〜G4を生成する論理,ゲート信号G5〜G8を生成する論理およびゲート信号G9〜G12を生成する論理は、第1の実施形態の場合と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、電圧Vr,VsおよびVtのゼロクロス付近に期間6を設けている。したがって、本実施形態は、負荷42のリアクトルLu,LvおよびLwに蓄積された誘導性エネルギーに起因するサージ電圧の発生を抑制することができる。また、本実施形態は、期間の切り替えタイミングにおいて、複雑なゲート信号の生成を必要としない。
本発明は、交流電源の電圧を降圧または昇圧して交流電圧を出力する交流チョッパに利用することができる。
1 単相交流電源
11,12 三相交流電源
2,21〜23 双方向スイッチ
3,31〜33 双方向スイッチ
4 単相負荷
41,42 三相負荷
5,51〜53 リアクトル
6,61〜63 コンデンサ
100〜105 制御回路
301〜303 電圧検出器。
上記目的を達成するための第1の発明は、交流電源の両端に直列に接続される第1と第2の双方向スイッチを交互にオンオフすることによって得られる交流電圧を、第2の双方向スイッチの両端に接続される負荷に供給する電力変換装置である。この電力変換装置は、第1の双方向スイッチを第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成し、第2の双方向スイッチを第3のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成している。そして、この電力変換装置は、交流電源の電圧周期を、交流電源の電圧がゼロよりも大きい第1の基準電圧以上である第1の期間と、交流電源の電圧がゼロよりも小さい第2の基準電圧以下である第2の期間と、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第2の基準電圧の間にある第3の期間とに分割することを特徴とする。そして、この電力変換装置は、分割した各期間において、第1〜第4のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、交流電源の電圧を所定の交流電圧に降圧して負荷に供給することを特徴とする。
具体的には、この電力変換装置は、第1の期間において、第2と第3のスイッチング素子をオンさせるとともに、第1と第4のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第2の期間において、第1と第4のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2と第3のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第3の期間において、第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第3と第4のスイッチング素子をオフさせる。
この電力変換装置は、さらに、第1の期間から第3の期間への切り替えおよび第2の期間から第3の期間への切り替えが、第1と第2のスイッチング素子が同時にオンしているときに行われることを特徴とする。
第2の発明は、リアクトルと第2の双方向スイッチとを交流電源の両端に直列接続するとともに、第1の双方向スイッチとコンデンサとを第2の双方向スイッチの両端に直列接続し、第1と第2の双方向スイッチを交互にオンオフすることによって得られる交流電圧を、コンデンサの両端に接続される負荷に供給する電力変換装置である。この電力変換装置は、第1の双方向スイッチを第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成し、第2の双方向スイッチを第3のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを直列または並列に接続して構成している。そして、この電力変換装置は、交流電源の電圧周期を、交流電源の電圧がゼロよりも大きい第1の基準電圧以上である第4の期間と、交流電源の電圧がゼロよりも小さい第2の基準電圧以下である第5の期間と、交流電源の電圧が第1の基準電圧と第2の基準電圧の間にある第6の期間とに分割することを特徴とする。そして、この電力変換装置は、分割した各期間において、第1〜第4のスイッチング素子を定められたモードでオンオフ制御することにより、交流電源の電圧を所定の交流電圧に昇圧して負荷に供給することを特徴とする。
具体的には、この電力変換装置は、第4の期間において、第1と第4のスイッチング素子をオンさせるとともに、第2と第3のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第5の期間において、第2と第3のスイッチング素子をオンさせるとともに、第1と第4のスイッチング素子を交互にオンオフさせる。この電力変換装置は、第6の期間において、第1と第2のスイッチング素子をオンさせるとともに、第3と第4のスイッチング素子をオフさせる。
この電力変換装置は、さらに、第4の期間から第6の期間への切り替えおよび第5の期間から第6の期間への切り替えが、第1と第2のスイッチング素子が同時にオンしているときに行われることを特徴とする。
そして、上記電力変換装置を2組用いて、三相交流電源と三相負荷とをV結線接続した電力変換装置とすることができる。
また、上記電力変換装置を3組用いて、三相交流電源と三相負荷とをY結線接続した電力変換装置とすることができる。