JPWO2013168378A1 - 自動車ドア補強部材 - Google Patents

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Abstract

自動車のドアに取り付けられて前記ドアを補強する管状部材からなる自動車ドア補強部材であって、管長手方向中央部を含み、かつ管全長の1/3乃至4/5の長さを有する前記中央部位について、管軸直交断面における、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状を有する、自動車ドア補強部材。

Description

本発明は、自動車ドアに取り付けられて耐衝突性能(collision safety)を向上させる自動車ドア補強部材(automobile door impact beam)に関する。
自動車ドア補強部材(ドアビーム)は自動車の耐側面衝突性能(lateral collision safety)を向上させることを目的としてドア内部に設置される部品である。
従来の自動車ドア補強部材は、例えば特許文献1、2に開示されているように、全長に亘って円形の均一な断面形状を有するパイプを、ブラケットを介してドア本体に取り付けられるものが一般的である。
また、自動車ドア補強部材は、長手方向の中央部の強度が要求されることから、パイプ内部に補強材を入れて一部を補強する方法が特許文献3に開示されている。
また、特許文献4には、中央部を大径化することで、中央部の強度を高めた自動車ドア補強部材が開示されている。
特開平09−263127号公報 特開平11―254969号公報 特開2008−6935号公報 特開平11−321316号公報
自動車ドア補強部材には、以下の特性が要求される。
・自動車側面からの物体の衝突に対して十分な強度を有すること、
・側面からの衝突時に、早い段階から衝撃を受け止めて、十分なエネルギー吸収をできること、
・自動車前後方向からの衝突時にドアの変形を抑制するための十分な強度を有すること、
・十分に軽量であること。
また、自動車ドア補強部材は、側面衝突に対する強度に関し、乗員を保護する観点から特にドア前後方向の中央部において高い強度が要求される。さらに、早い段階から衝撃を受け止めるために、自動車ドア補強部材はドア外板に近い位置に配置されることが望ましい。
特許文献1、2に開示されるような均一な断面形状を持つ自動車ドア補強部材は、生産のしやすさには優れているものの、側面衝突に対する強度および軽量化(weight reduction)の観点からは最適な形状とは言えない。つまり、側面衝突に対する強度を高くしようとすると、自動車ドア補強部材を全長に亘って大径にする必要があり、そのため、重量が重くなってしまう。つまり、特許文献1、2に開示される補強部材は、側面衝突強度と軽量化を実現できる形状ではない。また、補強部材が全長に亘って断面が均一で真っ直ぐな形状であれば、自動車の車幅方向に凸曲面を有するドア外板(door outer panel)に対しては、自動車ドア補強部材の長手方向中央部においてドア外板と自動車ドア補強部材との隙間が大きくなり、この隙間の分だけ、衝撃を受け止めるタイミングが遅くなるという問題もある。
また、特許文献3に開示された自動車ドア補強部材を構成するパイプの長手方向中央部に補強材を入れるのでは、中央部の耐衝突性能向上という観点では改善されるものの、補強材をいれる分だけ重量が増すため、耐衝突性能向上と軽量化とを両立させることはできない。また、特許文献3に開示された自動車ドア補強部材も外形は長手方向で均一であるため、側面衝突に際して早期に衝撃を受け止めてエネルギー吸収を十分に行うという効果も期待できない。
また、特許文献4に開示された自動車ドア補強部材の中央部を大径化するものでは、大径にした分だけ重量が増し、特許文献3と同様に耐衝突性能向上と軽量化を両立させることはできない。
さらに、特許文献4に記載のものでは、大径の中央部と端部との間にテーパ状の部位を設けるという複雑な断面形状であるため、生産コストが高くなるという問題もある。
以上のように、従来の自動車ドア補強部材には、耐衝突性能向上と軽量化という両方の性能を有するものは存在しない。また、これらの性能に加えて、側面衝突に際して早期に衝撃を受け止めて十分なエネルギー吸収ができる性能や、自動車前後方向の衝突に対するドアの変形を抑制する性能を兼ね備えたものはなおさら存在しない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、耐衝突性能向上と軽量化という両方の性能を備えた自動車ドア補強部材を得ること、さらにこれらの性能に加えて、側面衝突に際して早期に衝撃を受け止めて十分なエネルギー吸収ができる性能や、自動車前後方向の衝突に対するドアの変形を抑制する性能を兼ね備えた自動車ドア補強部材を得ることを目的としている。
自動車ドア補強部材において、耐衝突強度が最も必要な部位は長手方向の中央部であり、中央部から離れるほど要求強度は低くなる。
この点、先行文献3においては、中央部に補強部材を挿入することで、また先行文献4では中央部を大径化することで、それぞれ中央部の強度を増すという手段を講じている。
しかし、前述したようにいずれの手段でも、耐衝突性能向上と軽量化を両立させることはできない。
この原因について検討したところ、従来は、衝突力の作用する方向に関係なく、自動車ドア補強部材の中央部の管軸直交断面の半径方向全てに亘る強度を、高くしている点にあると考えた。自動車ドア補強部材がその中央部において高い強度が要求されるのは、中央部断面の車幅方向からの衝突荷重に対する強度であり、車高さ方向の強度は必ずしも高くなくてよい。
そこで、発明者は、車高さ方向よりも車幅方向の断面二次モーメント(geometrical moment of inertia)が高くなる形状とすることで、耐衝突性能向上と軽量化を両立させることはできると考えた。
また、車高さ方向よりも車幅方向の断面二次モーメントが高くなる形状を採用することで、中央部がドア外板側に張り出すため、ドア外板と近い位置に自動車ドア補強部材を配置することができ、より早い段階から衝突エネルギーを吸収できるようにもなる。
本発明はかかる考えに基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)自動車のドアに取り付けられて前記ドアを補強する管状部材からなる自動車ドア補強部材であって、管長手方向中央部を含み、かつ管全長の1/3乃至4/5の長さを有する前記中央部位について、管軸直交断面における、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状を有する、自動車ドア補強部材。
(2)前記扁平な形状は、管端部側ほど扁平が小さくなる、(1)に記載の自動車ドア補強部材。
(3)前記扁平な形状は、管軸直交断面が楕円である、(1)に記載の自動車ドア補強部材。
(4)管軸直交断面の中心位置が管長手方向にみて同一直線状に存在する、(1)乃至(3)のいずれかに記載の自動車ドア補強部材。
(5)前記扁平な形状は、管軸直交断面において、車幅方向径の長さが車高さ方向径の長さの3倍以下、1倍超えである、(1)乃至(3)のいずれかに記載の自動車ドア補強部材。
(6)管軸直交断面が円形である管状部材を上下から押しつぶして成形される(1)乃至(3)のいずれかに記載の自動車ドア補強部材。
本発明においては、自動車のドアに取り付けられて前記ドアを補強する管状部材からなる自動車ドア補強部材であって、管長手方向中央部を含み、かつ管全長の少なくとも1/3の長さの部位について、管軸直交断面における車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状になっているので、耐衝突性能向上と軽量化を両立させることができ、かつ衝突に際して早い段階から衝突エネルギーを吸収することができる。
図1は、本実施の形態に係る自動車ドア補強部材の斜視図である。 図2は、本実施の形態に係る自動車ドア補強部材の取付状態における配置関係を説明する説明図である。 図3は、本実施の形態に係る自動車ドア補強部材の製造方法を説明する説明図である。 図4は、図3の製造方法によって製造された自動車ドア補強部材を説明する説明図である。 図5は、実施例における実験対象材を説明する説明図である(その1)。 図6は、実施例における実験方法を説明する説明図である。 図7は、実施例の効果を説明する説明図である(その1)。 図8は、実施例における実験対象材を説明する説明図である(その2)。 図9は、実施例の効果を説明する説明図である(その2)。
本実施の形態に係る自動車ドア補強部材1を図1〜図4に基づいて説明する。
本実施の形態に係る自動車ドア補強部材1は、図1に示すように、管状部材からなるものである。そして、自動車ドア補強部材1を、管長手方向(車前後方向)に中央部1aと両端部1bの3つの部分に分けたときに、中央部1aの長さが全長の1/3以上を有し(図4参照)、中央部1aは図1、図2および図4に示す通り、管軸直交断面(pipe axis orthogonality section)において、車幅方向径が車高さ方向径よりも長く、かつ中央部が両端部よりもドア外板3側に出っ張る(ドア外板3と近い位置に配置する)断面形状となっている。
なお、両端部1bには、図1に示すように、ドア本体へ取り付けのための取付ブラケット5を有している。
以下、自動車ドア補強部材1の断面形状について説明する。
<中央部1a>
中央部1aの扁平状態は、図1および図4に示す通り、管長手方向中央部または当該中央部を含む近辺が最大で、端部1b側ほど小さくなり、端部1bの断面形状は円になっている。
中央部1aを車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平形状とすることで、周長および単位長さあたりの重量が同一の円断面の部材と比較して、車幅方向の耐衝突強度が高くなる。すなわち、車幅方向長さは車高さ方向長さの1倍超えとする。これは、車幅方向の断面2次モーメント(geometrical moment of inertia)が、円の場合と比較して高いことによる。
また、車幅方向の耐衝突強度を同じにすると、本実施形態の自動車ドア補強部材について、板厚を減少するか、周長を短く(断面積を小さく)することになり、部材の軽量化が可能になる。
なお、一般に自動車ドア補強部材は、衝突時には断面形状が変化して、この変化に伴って断面二次モーメントの低下、すなわち耐衝突強度の低下が発生する。この点、本実施の形態の自動車ドア補強部材1は、扁平断面形状であるため、円断面形状と比較して車幅方向荷重を受けたときの断面形状の変化が起こりにくく、それ故、強度が低下しにくいという効果もある。
なお、車幅方向への扁平状態を大きくしすぎると、車高さ方向へ座屈が発生しやすくなる。そのため、車幅方向長さは車高さ方向長さの3倍以下であることが望ましい。
さらに、自動車ドアの剛性確保のためにドア外板3(図2参照)と自動車ドア補強部材1をマスチックシーラーで結合する場合には、自動車ドア補強部材1のドア外板3側の部分はある程度平坦であることが望ましい。この点、扁平状態を大きくしすぎると、横方向の端部が尖った形状となるので、この意味でも車幅方向長さを車高さ方向長さの3倍以下にするのが望ましい。より望ましくは、車幅方向長さを車高さ方向長さの1.5倍以上2.5倍以下である。
また、断面形状を車高さ方向に対称にすることで、車高さ方向への変形を抑え衝撃吸収性能を確保できるので、より望ましい。
なお、本実施の形態の図1では中央部1aの長さを、自動車ドア補強部材1の全長の4/5としているが、中央部1aの長さは少なくとも全長の1/3あればよい。中央部1aの長さを少なくとも全長の1/3必要であるとしたのは、以下の理由である。
側面から他の自動車等が衝突した場合、自動車ドアの前後には車体の骨格があるので、ドアの前後は骨格によって荷重が受け止められる。一方、ドアの中央部には骨格がないため、前記荷重はもっぱら自動車ドア補強部材1により受け止められ、これによって乗員を保護する必要がある。自動車ドア補強部材1にこのような機能を発揮させるには、全長の少なくとも1/3の長さについて車幅方向荷重に対する衝突強度を高くする必要がある。
<端部1b>
端部1bの断面形状は、図1および図4に示す通り、円形状となっている。これは、次の理由からである。
ドア外板3は、図2に示すように、車幅方向が凸に湾曲している場合がある。このような場合、中央部1aのみを扁平断面形状にしてドア外板3側に出っ張る形状とし、端部1bを円断面形状とすることで、自動車ドア補強部材1をドア外板3の曲面形状に沿うようにして取り付けることができ、ドア外板3と中央部1aの隙間を小さくすることができる。それ故、自動車ドアの中央部に対して衝突がある場合において、衝突のより早い段階から中央部1aにて衝突エネルギーを吸収することができる。
また、ドア外板3は、一般的に車高さ方向に見て車外側に湾曲している。他方、自動車ドア補強部材は、水平ではなく、斜めに取り付けられる場合もある。
このような場合、自動車ドア補強部材が軸方向に同じ断面形状の場合、ドア外板と自動車ドア補強部材との間に隙間が生じてしまう。
この点、本実施の形態の自動車ドア補強部材1のように、中央部1aのみがドア外板3側に出っ張る形状にして端部1bを円断面形状とすることで、ドア中央部におけるドア外板3との隙間を小さくすることができ、上記と同様に衝突のより早い段階から衝突エネルギーを吸収することができる。
なお、端部1bの断面形状を円とすることで、車幅方向荷重に対する衝突性能は中央部1aよりも劣ることになるが、自動車ドアの前後には車体の骨格があるので、自動車ドア補強部材1は中央から離れるほど耐衝突強度の要求強度は低くなるため問題はない。
以上のように、本実施の形態の自動車ドア補強部材1は、中央部1aにおいて車幅方向の衝突荷重に対する強度(耐衝突強度)(collision strength)を向上させる効果を奏し、かつ軽量にすることができ、さらにドア外板3との隙間を小さくして設置して衝突に際して早い段階から衝突エネルギー(collision energy)を吸収できるという効果を奏することができる。
また、本実施の形態の自動車ドア補強部材1は、図1に示すように、管軸直交断面の中心位置が長手方向にみて同一直線状に存在するので、車前後方向の衝突荷重が付加された場合においても、座屈しにくく、それ故、自動車ドアの変形を抑え、効果的に車前後方向への荷重伝達を行うことができるという効果も奏する。
次に、上記のような自動車ドア補強部材1の製造方法の一例について、図3に基づいて以下に説明する。
自動車ドア補強部材1は、図3に示すように、通常の円断面形状の管状部材7(図3(a)参照)を素材として、これをプレス機(図示なし)とプレス金型9を用いて、上下から押しつぶす(図3(b)参照)ことで容易に成形可能である(図3(c)参照)。
本実施の形態の一例では、上下のプレス金型9は同形のものが用いられ、プレス面は、図3(b)に示すように、立面視で円弧状となっている。上側のプレス金型9は下に凸の円弧となっており、下側のプレス金型9は上に凸の円弧となっている。
プレス金型9における円弧部の長さ(円弧の一端から他端までの直線距離)は、本例では素材となる管状部材7の全長の4/5となっている。
プレス金型9を用いて上下から管状部材7をプレスすると、管状部材7の中央部は、円弧の頂点部が最も押しつぶされて大きく扁平した断面形状となり、端部1b側になるにつれて、より扁平の小さい楕円断面形状となる。このようにして、自動車ドア補強部材1の中央部1aが形成される。
図4にプレス成形後の自動車ドア補強部材1を斜め上方から見た形状を示す。プレス金型9で押しつぶされた部分が中央部1aであり、端部1b側ほど扁平が小さくなっており、中央部1aの長さは本例では全長の4/5となっている。両端部1bは、図4に示すように円断面形状となっている。
このようにしてプレス成形された自動車ドア補強部材1に、適宜、取付ブラケット5を溶接する(図1参照)。
以上のように、本実施の形態の自動車ドア補強部材1の製造方法によれば、自動車ドア補強部材1を容易に製造することができる。
なお、上記の実施の形態においては、中央部1aの長さを全長の1/3〜4/5とし、両端部を断面が円形状の端部1bとしたが、全長に亘って車幅方向径が車高さ方向径よりも長く、かつ中央部が両端部よりもドア外板3側に出っ張る断面形状としてもよい。
さらに、上記の実施の形態では、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状の例として、楕円形状や車幅方向に扁平な長円のような形状であってもよい。
本発明の自動車ドア補強部材1の作用効果について、具体的な実施例に基づいて説明する。
まず、中央部1aの断面形状を楕円断面形状とすることによる車幅方向の耐衝突強度の向上についての確認実験を、図5に示す形状a、形状b、形状cの3形状について行った。
形状aは、素材となる管状部材7そのままであり、図5(a)に示すように、直径22.2mmの真円断面形状とした。
形状bは、形状aを扁平させて、図5(b)に示すように、長軸が25.3mm、短軸が19.3mmの楕円断面形状とした。
形状cは、形状bをさらに扁平させて、図5(c)に示すように、長軸が28.9mm、短軸が15.1mmの楕円断面形状とした。
このように、形状aの断面を基準として形状bおよび形状cを成形しているので、各形状における単位長さあたりの重量はほぼ一定(0.72g/mm)である。
上記形状a〜c毎に、図6に示すように、支持部11によって所定の間隔で支持した状態で、長手方向中心に上方からパンチ13で荷重を加える試験を行い、耐衝突強度を求めた。楕円断面形状(形状b、形状c)の場合、自動車ドアへ取り付けた状態における車幅方向の衝突荷重を想定して、断面形状の長軸を立てた状態で支持し、荷重方向が長軸方向と一致するようにした(図5中の矢印参照)。なお、試験は有限要素法解析(finite element analysis)ソフト(LSTC社製のLS−DYNAバージョン971)を用いて、動的陽解法(dynamic explicit method)を用いて計算を実施した。
試験結果を図7に示す。図7は形状毎の最大荷重を説明する図である。図7において横軸は図5の各形状を示し、縦軸は最大荷重(kN)を示している。
図7に示すように、最大荷重は、形状aが8.6kN、形状bが9.8kN、形状cが11.1kNとなっている。このことから単位長さあたりの重量が一定の場合において、中央部1aを管軸直交断面における、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状にすることで、耐衝突強度が向上することが実証された。
また、形状bより形状cが高い値を示していることから、管軸方向断面の長軸を短軸と比較してより長くすることによって、耐衝突強度が向上することが実証された。
上記の試験から、単位長さあたりの重量が一定でも、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状となる楕円形状断面とすれば耐衝突強度が向上することが実証された。また、この試験結果から、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状(例えば楕円形状断面)とすれば、従来の円形状断面のものと同程度の耐衝突強度を維持したまま、自動車ドア補強部材1の素材となる管状部材7を薄肉化あるいは小径化(断面積を小さく)することで、軽量化することが可能であることが分かる。
この点を具体的に確認するために、上記形状aと同程度の耐衝突強度を維持したまま、素材となる管状部材7を板厚一定(板厚t=1.4mm)のまま小径化して軽量化することを検討した。
検討の結果、楕円形状として図8(b)に示す形状を想定した。この形状の単位長さあたりの重量は0.62g/mmであり、形状a(図8(a)参照)の0.72g/mmと比較して約14%軽量化している。
図8(b)に示す形状の部材について、図6に示すのと同様の耐衝突強度に関する試験を実施した。試験結果を図9に示す。図9において、横軸はパンチ13のストローク(mm)を示し、左の縦軸が荷重(kN)、右の縦軸が衝撃吸収エネルギー(kJ)を示している。
図中の白抜きの四角または黒色のひし形のプロットを有する折れ線グラフは、ストローク毎の荷重を示したものであり、白抜きの四角は本発明例(図8(b))を、黒色のひし形は比較例(図8(a))を表している。
他方、灰色の線または黒色の線で表されるグラフは、ストローク毎の衝撃吸収エネルギーを示したものであり、灰色の線は本発明例(図8(b))を、黒色の線は比較例(図8(a))を表している。
ストローク毎の荷重についてみると、ストロークが約40mm以降で、本発明例は比較例より高い値を示しており、このことから、本発明例はストロークを増加させるために大きな荷重が必要になっており、耐衝突強度が高い。
また、ストローク毎の吸収エネルギーについてみると、本発明例と比較例はストロークが約55mmまではほぼ同一、約55mm以降では本発明例は比較例よりも上回っており、より多くのエネルギーを吸収していることが分かる。
以上から、本発明によれば、耐衝突強度を維持しつつ自動車ドア補強部材1の軽量化が実現できることが実証された。
1 自動車ドア補強部材
3 ドア外板
5 取付ブラケット
7 管状部材
9 プレス金型
11 支持部
13 パンチ
(1)自動車のドアに取り付けられて前記ドアを補強する管状部材からなる自動車ドア補強部材であって、管長手方向中央部を含み、かつ管全長の1/3乃至4/5の長さを有する前記中央部について、管軸直交断面における、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状を有する、自動車ドア補強部材。

Claims (6)

  1. 自動車のドアに取り付けられて前記ドアを補強する管状部材からなる自動車ドア補強部材であって、管長手方向中央部を含み、かつ管全長の1/3乃至4/5の長さを有する前記中央部位について、管軸直交断面における、車幅方向径が車高さ方向径よりも長い扁平な形状を有する、自動車ドア補強部材。
  2. 前記扁平な形状は、管端部側ほど扁平が小さくなる、請求項1記載の自動車ドア補強部材。
  3. 前記扁平な形状は、管軸直交断面が楕円である、請求項1または2に記載の自動車ドア補強部材。
  4. 管軸直交断面の中心位置が管長手方向にみて同一直線状に存在する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動車ドア補強部材。
  5. 前記扁平な形状は、管軸直交断面において、車幅方向径の長さが車高さ方向径の長さの3倍以下、1倍超えである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動車ドア補強部材。
  6. 管軸直交断面が円形である管状部材を上下から押しつぶして成形される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動車ドア補強部材。
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