JP5168023B2 - バンパーリインフォースメントおよびその製造方法 - Google Patents
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また、本発明は、自動車車体の後部にこの自動車車体の幅方向へ向けて延びて設けられる長尺の筒体により構成されるバンパーリインフォースメントであって、この筒体は、少なくとも二つの構成部材を重ね合わせることにより設けられるとともに、これら二つの構成部材の重ね合わせ部である外向きフランジを備え、筒体は、長手方向の中央の両側に配置されるクラッシュボックス取付け領域を有し、中央は、上面と下面ならびに車体の前後方向に前面と後面とを備えるとともに、上面および下面に外向きフランジを備える閉断面形状から構成されるとともに、クラッシュボックス取付け領域は、上面と下面ならびに車体の前後方向における後面を備えるとともに、上面および下面に外向きフランジを備える開断面形状から構成され、中央からクラッシュボックス取付け領域の間の少なくとも一部の領域は、上面と下面ならびに車体の前後方向に前面と後面を備えるとともに、上面および下面に外向きフランジを備える閉断面形状から構成され、中央における外向きフランジの、上面および下面における自動車の前後方向についての設置位置は、一部の領域におけるクラッシュボックス取付け領域側の幅方向の端における外向きフランジの、上面および下面における自動車車体の前後方向についての設置位置よりも、後面側に偏って存在し、少なくとも一部の領域における外向きフランジの、上面及び下面における前後方向についての設置位置は、中央からクラッシュボックス取付け領域に向かって後側から前側に変化して存在し、クラッシュボックス取付け領域における外向きフランジの、上面および下面における前後方向についての設置位置は、前面側に偏って存在し、筒体の後面から、外向きフランジの、上面および下面における前後方向についての設置位置までの寸法は、前面と後面との間の距離をHとするとき、中央では、0.0H〜0.5Hであるとともに、一部の領域の端では0.5H〜1.0Hであり、さらに、クラッシュボックス取付け領域の後面の内側面にクラッシュボックスが取り付けられることを特徴とするバンパーリインフォースメントである。
第1の工程;
長手方向の中央の幅が長手方向の両端部の幅よりも狭い第1の素材と、長手方向の中央の幅が長手方向の両端部の幅よりも広く、かつ第1の素材に比べ長手方向の寸法が小さい第2の素材とを、ダイフェース面の高さならびにパンチフェース面の高さが長手方向に変化する金型を用いて、長手方向の両端部のハット断面高さが長手方向の中央のハット断面高さよりも大きいハット型の開断面形状を有する第1の中間素材あるいは両端部がハット型の開断面形状で中央が平坦状の断面形状を有する第1の中間素材と、長手方向の中央のハット断面高さが長手方向の両端部のハット断面高さよりも大きいハット型の開断面形状を有する第2の中間素材あるいは中央がハット型の開断面形状を有し、両端部が平坦状の断面形状を有する第2の中間素材とにそれぞれプレス成形する工程。
第2の工程;
前記第1の中間素材と前記第2の中間素材とをそれぞれの縁部で重ね合わせて接合する工程。
(a)耐曲げ性能
ハット部材3の曲げ強度を調査するため、図2に示す要領で三点曲げ衝突解析を行った。この解析では、バンパーリインフォースメントを想定してハット部材3の全長を1000mmに設定し、クラッシュボックス取付け部4a、4bに相当する個所(ハット部材3の両端部から50mmの位置)に、半径30mmの剛体とした支点5a、5bを、支点5a、5b間距離を900mmとして配置し、半径150mmの半円筒からなるインパクタ(剛体)6を、64km/hの一定速度でハット部材3の長手方向の中央に衝突させた。この解析モデルは、対称性を考慮してX−Y平面に1/2対称モデルとした。
(b)圧潰性能
ハット部材3の圧潰性能、すなわち衝撃エネルギの吸収性能を調査するため、図3に示す要領で圧潰解析を行った。この解析では、図2に示す三点曲げ衝突解析と同様に、クラッシュボックス取付部4a、4bに相当する個所に、半径30mmの剛体に設定した支点5a、5bを配置し、半径150mmの半円筒からなるインパクタ(剛体)6を、64km/hの一定速度で、ハット部材3のクラッシュボックス取付け部4bに相当する個所に衝突させた。
(a)耐曲げ性能
図4は、ハット部材3の長手方向の中央にインパクタ6を衝突させた場合の1stピーク荷重値を比較して示すグラフである。図4のグラフから、逆ハット断面部材は、順ハット断面部材よりも1stピーク荷重が10%程度高くなっており、耐曲げ性能が良好であることがわかる。すなわち、逆ハット断面部材は、順ハット断面部材に比べて、衝突の際の断面変形が小さく、断面形状を維持し易いために優れた耐曲げ性能を有する。
(b)圧潰性能
図5は、ハット部材3の長手方向の端部にインパクタ6を衝突させた場合の60mm圧潰時の吸収エネルギを比較して示すグラフである。図5のグラフから明らかなように、順ハット断面部材は、逆ハット断面部材よりも吸収エネルギが5%程度高くなっており、衝撃エネルギ吸収性能が高いことがわかる。
(I)順ハット断面部材は、逆ハット断面部材に比較すると、衝突の初期に大きな変形が起こり易いために断面形状が大きく変形することによって曲げ強度が不芳であるものの、衝撃エネルギ吸収性能が高いこと、および
(II)逆ハット断面部材は、順ハット断面部材に比較すると、衝突の際の断面形状の変形に対する抵抗性が高いために曲げ強度は高いものの、板状素材2が接合されていない、ハット状開断面素材1のハット頂部側から変形が生じるため、バンパーリインフォースメントが十分に圧潰する前にクラッシュボックスの変形が発生し易く、順ハット断面部材に比較すると衝撃エネルギ吸収性能が不芳であること
がわかる。
本発明者らは、上記解析結果を踏まえ、クラッシュボックスとの組み合わせにより衝突エネルギー吸収性能を高めるためのバンパーリインフォースメントについて、さらに検討を重ねた。図6にグラフで示すように、クラッシュボックスはバンパーリインフォースメントよりも圧潰強度が高い。そこで、衝突の極初期の段階からクラッシュボックスが有する性能を十分に発揮させて衝突エネルギーの吸収性能を高めるために、本実施の形態では、バンパーリインフォースメントの内部にクラッシュボックスを挿入して配置することができるように、バンパーリインフォースメントの形状を工夫する。
図8(a)は衝突面側の素材のプレス成形に用いるダイ金型7の形状を模式的に示す説明図であり、図8(b)は衝突面側の素材のプレス成形に用いるパンチ金型8の形状を模式的に示す説明図であり、図8(c)は反衝突面側の素材のプレス成形に用いるダイ金型9の形状を模式的に示す説明図であり、さらに、図8(d)は反衝突面側の素材のプレス成形に用いるパンチ金型10の形状を模式的に示す説明図である。
汎用動的有限要素法解析ソフトを用いて、本発明例1、2と比較例1について耐曲げ性能および圧潰性能(衝突エネルギ吸収性能)を調査した。解析は、バンパーリインフォースメントの長手方向の中央の耐曲げ性能を解析するために三点曲げ解析を行うとともに、衝突エネルギ吸収性能を解析するために斜め衝突解析を行った。
(耐曲げ性能)
図18は、曲げ衝突解析条件を示す説明図である。同図に示すように、長手方向の中央から距離Wが450mm(±0.74L)の位置に、一辺の長さが70mmで板厚が1.6mmの正方形断面形状の筒体であるクラッシュボックス21を取付け、反衝突面側を固定し、半径150mmの半円筒からなるインパクタ(剛体)23を一定速度(15km/h)で、バンパーリインフォースメント20、22の長手方向の中央に衝突させた。また、本発明例2と比較例1は、クラッシュボックス21の全長を200mmに設定したが、本発明例1は、クラッシュボックス21を取付けた状態の車両前後方向の寸法が比較例1と同じ長さとなるように、クラッシュボックス21の全長を261.2mmと、本発明例2および比較例1よりも長く設定した。
(圧潰性能)
図19は、斜め衝突解析条件を示す説明図である。曲げ衝突解析条件と同様のクラッシュボックス21をバンパーリインフォースメント20、22に取付け、反衝突面側を固定し、インパクタ(剛体)24を10度傾斜させ、バンパーリインフォースメント20、22を40%覆うようにし、黒矢印で示すように一定速度(15km/h)でバンパーリインフォースメント20、22の長手方向の端部に衝突させた。
また、上述したように、本発明に係るバンパーリインフォースメントは、フロントバンパーリインフォースメントのみならずリアバンパーリンフォースメントについても同様に適用される。
さらに、上述した説明では、本発明に係るバンパーリインフォースメントが二つの構成部材により構成される場合を例にとったが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、3以上の構成部材により構成される場合にも同様に適用される。
1a、1b 外向きフランジ
2 平坦状断面素材
3 ハット状閉断面部材
4 クラッシュボックス取付け部
5a、5b 支点
6 インパクタ(剛体)
7 ダイ金型
8 パンチ金型
9 ダイ金型
10 パンチ金型
7a,9a ダイフェース面
8a、10a パンチフェース面
11,12 ブランク
13 プレス機
14 ホルダー14
15 ダイクッション
16 ダイ
17 パンチ
18,19 切欠き
20 本発明例1、2のバンパーリインフォースメント
21 クラッシュボックス
20a 衝突面側の素材
20b 反衝突面側素材
22 比較例1のバンパーリインフォースメント
22a 衝突面側素材
22b 反衝突面側素材
23 インパクタ(剛体)
24 インパクタ(剛体)
25〜30 バンパーリインフォースメント
25a〜30a 衝突面側の素材
25b〜30b 反衝突面側の素材
31 ビード
32〜37 バンパーリインフォースメント
32a〜37a 衝突面側の素材
32b〜37b 反衝突面側の素材
38 リインフォース
39 ビード
40 本発明に係るバンパーリインフォースメント
41 クラシュボックス
40a 衝突面側の素材
42 ハット頭頂部
43 溶接部
44 接合手段
Claims (3)
- 自動車車体の前部に該自動車車体の幅方向へ向けて延びて設けられる長尺の筒体により構成されるバンパーリインフォースメントであって、
前記筒体は、少なくとも二つの構成部材を重ね合わせることにより設けられるとともに、前記二つの構成部材の重ね合わせ部である外向きフランジを備え、
前記筒体は、長手方向の中央の両側に配置されるクラッシュボックス取付け領域を有し、
前記中央は、上面と下面ならびに車体の前後方向に前面と後面とを備えるとともに、該上面および下面に外向きフランジを備える閉断面形状から構成されるとともに、前記クラッシュボックス取付け領域は、上面と下面ならびに車体の前後方向における前面を備えるとともに、該上面および下面に外向きフランジを備える開断面形状から構成され、
前記中央から前記クラッシュボックス取付け領域の間の少なくとも一部の領域は、上面と下面ならびに車体の前後方向に前面と後面を備えるとともに、該上面および下面に外向きフランジを備える閉断面形状から構成され、
前記中央における前記外向きフランジの、前記上面および下面における前記自動車車体の前後方向についての設置位置は、前記一部の領域におけるクラッシュボックス取付け領域側の幅方向の端における前記外向きフランジの、前記上面および下面における前記自動車車体の前後方向についての設置位置よりも、前記前面側に偏って存在し、
前記少なくとも一部の領域における前記外向きフランジの、前記上面及び下面における前記前後方向についての設置位置は、前記中央から前記クラッシュボックス取付け領域に向かって前側から後側に変化して存在し、
前記クラッシュボックス取付け領域における前記外向きフランジの、前記上面および下面における前記前後方向についての設置位置は、前記後面側に偏って存在し、
前記筒体の前記前面から、前記外向きフランジの、前記上面および前記下面における前後方向についての設置位置までの寸法は、前記前面と前記後面との間の距離をHとするとき、前記中央では、0.0H〜0.5Hであるとともに、前記一部の領域の長手方向の端では0.5H〜1.0Hであり、さらに、
前記クラッシュボックス取付け領域の前記前面の内側面にクラッシュボックスが取り付けられること
を特徴とするバンパーリインフォースメント。 - 自動車車体の後部に該自動車車体の幅方向へ向けて延びて設けられる長尺の筒体により構成されるバンパーリインフォースメントであって、
前記筒体は、少なくとも二つの構成部材を重ね合わせることにより設けられるとともに、前記二つの構成部材の重ね合わせ部である外向きフランジを備え、
前記筒体は、長手方向の中央の両側に配置されるクラッシュボックス取付け領域を有し、
前記中央は、上面と下面ならびに車体の前後方向に前面と後面とを備えるとともに、該上面および下面に外向きフランジを備える閉断面形状から構成されるとともに、前記クラッシュボックス取付け領域は、上面と下面ならびに車体の前後方向における後面を備えるとともに、該上面および下面に外向きフランジを備える開断面形状から構成され、
前記中央から前記クラッシュボックス取付け領域の間の少なくとも一部の領域は、上面と下面ならびに車体の前後方向に前面と後面を備えるとともに、該上面および下面に外向きフランジを備える閉断面形状から構成され、
前記中央における前記外向きフランジの、前記上面および下面における前記自動車車体の前後方向についての設置位置は、前記一部の領域におけるクラッシュボックス取付け領域側の幅方向の端における前記外向きフランジの、前記上面および下面における前記自動車車体の前後方向についての設置位置よりも、前記後面側に偏って存在し、
前記少なくとも一部の領域における前記外向きフランジの、前記上面及び下面における前記前後方向についての設置位置は、前記中央から前記クラッシュボックス取付け領域に向かって後側から前側に変化して存在し、
前記クラッシュボックス取付け領域における前記外向きフランジの、前記上面および下面における前記前後方向についての設置位置は、前記前面側に偏って存在し、
前記筒体の前記後面から、前記外向きフランジの、前記上面および下面における前後方向についての設置位置までの寸法は、前記前面と前記後面との間の距離をHとするとき、前記中央では、0.0H〜0.5Hであるとともに、前記一部の領域の端では0.5H〜1.0Hであり、さらに、
前記クラッシュボックス取付け領域の前記後面の内側面にクラッシュボックスが取り付けられること
を特徴とするバンパーリインフォースメント。 - 長手方向の中央の両側に開断面形状のクラッシュボックス取付け領域を備えた長尺の筒体により構成されるとともに、自動車車体の前部または後部に自動車車体の幅方向へ延びて設けられるバンパーリインフォーンスメントの製造方法であって、下記第1の工程および第2の工程を含むことを特徴とするバンパーリインフォースメントの製造方法。
第1の工程;
長手方向の中央の幅が長手方向の両端部の幅よりも狭い第1の素材と、長手方向の中央の幅が長手方向の両端部の幅よりも広く、かつ第1の素材に比べ長手方向の寸法が小さい第2の素材とを、ダイフェース面の高さならびにパンチフェース面の高さが長手方向に変化する金型を用いて、長手方向の両端部のハット断面高さが長手方向の中央のハット断面高さよりも大きいハット型の開断面形状を有する第1の中間素材あるいは両端部がハット型の開断面形状で中央が平坦状の断面形状を有する第1の中間素材と、長手方向の中央のハット断面高さが長手方向の両端部のハット断面高さよりも大きいハット型の開断面形状を有する第2の中間素材あるいは中央がハット型の開断面形状を有し、両端部が平坦状の断面形状を有する第2の中間素材とにそれぞれプレス成形する工程。
第2の工程;
前記第1の中間素材と前記第2の中間素材とをそれぞれの縁部で重ね合わせて接合する工程。
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