JP2016199187A - 衝撃吸収部材、車体および衝撃吸収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強度が980MPa以上の超高張力鋼板を素材としても、衝突時の衝撃荷重の入力方向によらずに衝突エネルギー吸収性能を有し、平面視でN字状の曲げ変形を安定して発生できる衝撃吸収部材を提供する。【解決手段】引張強度が980MPa以上の高張力鋼板のプレス成形体を備え、軸方向に負荷される衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部材である。プレス成形体は、二つの第1の稜線12-1a,12-1bを有する天板11と、二つの第2の稜線12-2a,12-2bと、二つの縦壁13a,13bと、二つの凹稜線14a,14bと、二つの外向きフランジ15a,15bとを有し、第2の稜線12-2a,12-2bから縦壁13a,13bに達するとともに軸方向に略直交する凹部16,17を、二つの縦壁13a,13bそれぞれの軸方向について離れた少なくとも2か所に、備える。【選択図】図1

Description

本発明は、衝撃吸収部材、車体および衝撃吸収方法に関し、具体的には、自動車の衝突の際の衝撃エネルギーを吸収するための衝撃吸収部材、車体および衝撃吸収方法に関する。
自動車の車体の主流は、旧来のフレームを有さない構造、すなわちモノコック構造である。モノコック構造は、鋼板をプレス成形した後に通常スポット溶接により組立て箱状とした部品を結合して構成される。自動車に作用する静的荷重や動的荷重を、ボディ全体で受けもつ構造となっている。
このモノック構造の車体を構成する、例えばサイドメンバー、サイドシル等の構造部材は、衝突時には衝撃吸収部材としても機能することが求められている。それゆえ、これら構造部材には、衝突時に衝突エネルギーを吸収する性能、いわゆる衝撃吸収性能を有することが必要とされる。
近年、地球環境保護を背景として自動車の燃費向上を可能とする車体重量の低減とともに衝突安全性のいっそうの向上が求められる。したがって、上記の構造部材には軽量で優れた衝撃吸収能を有することが求められる。
図6は、自動車のモノコック構造の車体1の一例を示す説明図である。
図6に示すように、上述のサイドメンバーは、エンジンコンパートメント5内に配置されるフロントサイドメンバー2やリアーフロアーパネル6の下面に配置されるリアーサイドメンバー3のいずれにあっても、車両前後方向へ向けて配置されて、前面衝突(Front Impact),後面衝突(Rear Impact)の際には、その軸方向(長手方向)への衝撃荷重を負荷されて、軸圧壊変形や曲げ変形を発生することにより、衝撃エネルギーを吸収する。
また、サイドシル4は、車両側部8に配置され、側面衝突(Side Impact)の際には、その軸方向(長手方向)と直交する方向への衝撃荷重を負荷されて、主に三点曲げ変形を発生することにより、衝撃エネルギーを吸収する。
このように、自動車の車体1の各種の衝撃吸収部材2〜4は、衝撃荷重の負荷時に軸圧壊変形(進行性塑性座屈変形)や曲げ変形による塑性仕事を生じることにより衝撃エネルギーを吸収し、これにより、客室9の生存空間を確保できるように、設計される。
クラッシュボックス7やフロントサイドメンバー2の軸圧壊変形では、進行性座屈の座屈波長を短くするために、多角形の横断面を有する本体に溝型断面の凹部や十字型断面を導入することが既に行われている。
これに対し、後面衝突に対応するリアーサイドメンバー3の中には、図6に例示するように、リアーフロアーパネル6の車幅方向の両側に接続されるリアーホイルハウスインナーパネル6−1の張り出しを避けるために車幅方向へ屈曲した形状を有する。
このため、一般的に設計上の狙いである軸圧壊変形を安定して発生することが実際の衝突環境下では容易ではない。そこで、軸圧壊変形ではなく上面視(平面視)で折り曲げ変形を生じることにより衝撃エネルギーが吸収されている。
近年、リアーサイドメンバー3に関しても軽量化(例えば板厚1.4⇒1.0mm)および高強度化(引張強度590⇒980MPa)が推進されている。これにより、衝撃荷重負荷時のリアーサイドメンバー3の変形モードが変化し、所望の曲げポイントでの折り曲げ変形を生じることが難しくなってきている。このため、上述のように軽量化および高強度化されたリアーサイドメンバー3の衝撃エネルギー吸収量の低下が懸念されている。
特許文献1には、自動車のフロントサイドメンバーの軸方向へ延在するビードを付与することにより、衝突曲げ変形時の座屈強度および強度バランスを高めてフロントサイドメンバーの軽量化を図る発明が開示されている。
特許文献2には、自動車のフロントサイドメンバーに焼入れ処理を行って部分的に強度差を設けることにより、衝撃荷重負荷時のフロントサイドメンバーの先端を適正に折り曲げる発明が開示されている。
特許文献3には、自動車のフロントサイドメンバーを構成するアウターパネルおよびインナーパネルそれぞれに複数のビードを半ピッチずらして配置することにより、衝撃荷重の負荷によりそれら複数のビードそれぞれを起点とした蛇腹状の軸圧壊変形を発生させて、高い衝撃エネルギー吸収量EAを得る発明が開示されている。
特許文献4には、六角形断面のフロントサイドメンバーの上面および側面に最適なビードを配置することにより、衝撃荷重負荷時の初期座屈荷重を増加しながら蛇腹状の軸圧壊変形を安定して発生させる発明が開示されている。
特許文献5には、本体の長手方向と直交する方向へ配置された複数のクラッシュビードの位置に応じて本体のスポット溶接位置を(1/4)ピッチずらして配置することにより、衝撃荷重負荷時に蛇腹状の軸圧壊変形を安定して発生する発明が開示されている。
特許文献6には、バンパーから入力される衝撃荷重を効果的に負荷し、かつ安定した蛇腹状の軸圧壊変形を発生させるため、クラッシュボックスの形状を十字状断面とし、バンパーの突条部をクラッシュボックスの突出部により包み込むようにする発明が開示されている。
さらに、特許文献7には、トラック用シャシーオフセットフレームにおいて、衝突エネルギー吸収量EAを高めるために、衝撃荷重負荷時の折れの起点となるオフセット部の応力集中を緩和してZ字の折れを抑制することにより蛇腹状の軸圧壊変形を発生する発明が開示されている。
特開平8−108863号公報 国際公開第2012/108282号パンフレット 特許第2795010号明細書 特許第3598917号明細書 特開2012−218503号公報 特許第5125928号明細書 特開2000−289646号公報
特許文献1〜7のいずれにも、引張強度が980MPa以上の高張力鋼板によって成形・組み立てられたサイドメンバーにその軸方向へ向けて衝突荷重が負荷された場合に、サイドメンバーが軸方向へ交互に折れ曲がって平面視でN字状の曲げ変形を生じることにより後端部に生じる曲げモーメントを最小限にすることができ、かつ衝撃荷重の負荷方向に対する高い変形安定性を有する形状は、開示も示唆もされていない。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、引張強度が980MPa以上の超高張力鋼板を素材として成形および組み立てられていても、車体の衝突の際に、(a)撃荷重の入力方向によらずに安定した衝突エネルギー吸収性能を示して平面視でN字状の曲げ変形を設計目標通りに安定して発生でき、(b)荷重入力方向に対する変形のロバスト性が高く、かつ(c)過度な破断によって衝突エネルギー吸収能が急激に低下(変動)しないとともに、(d)取付け部に高い曲げモーメントを発生させずに取付け部で局所的な塑性変形を生じることなく衝撃エネルギーを効率的に吸収できる、衝撃吸収部材と、この衝撃吸収部材を構成要素として備える自動車の車体と、この衝撃吸収部材を用いる衝撃吸収方法とを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するため、特定の横断面(断面軸方向に延びる二つの第1の稜線を有する天板と、天板につながる湾曲した二つの第2の稜線と、これら二つの第2の稜線にそれぞれつながる二つの縦壁と、これら二つの縦壁にそれぞれつながる二つの凹稜線と、これら二つの凹稜線にそれぞれつながる二つの外向きフランジとを有する略六角形の横断面)を軸方向へ延びて有する衝撃吸収部材(例えばサイドメンバー等の)がその軸方向へ衝撃荷重を負荷された場合における、天板に交差する方向への平面視でN字状の曲げ変形の発生状況を鋭意検討した結果、以下に列記の知見A〜Cを得て、本発明を完成した。
(A)衝撃吸収部材の軸方向に対して略直交するように、二組の第2の稜線〜縦壁にかけて形成される凹部を、二つの縦壁それぞれの前記軸方向について離れた少なくとも2か所に備えることにより、上記課題を解決できる。
(B)上記課題を解決するためには、凹部の幅wb(mm)が縦壁の高さh(mm)に対して0.3×h≦wb≦0.6×hの関係を満足することが好ましい。
(C)凹部は、いずれも、二つの第2の縦壁を通過して二つの凹稜線に達することがより好ましい。
本発明は、以下に列記の通りである。
(1)引張強度が980MPa以上の高張力鋼板のプレス成形体を備え、軸方向に負荷される衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部材であって、
前記プレス成形体は、軸方向に延びる二つの第1の稜線を有する天板と、該天板につながる二つの第2の稜線と、該二つの第2の稜線にそれぞれつながる二つの縦壁と、該二つの縦壁にそれぞれつながる二つの凹稜線と、該二つの凹稜線にそれぞれつながる二つの外向きフランジとを有し、
前記第2の稜線から前記縦壁に達するとともに前記軸方向に略直交する凹部を、前記二つの縦壁それぞれの前記軸方向について離れた少なくとも2か所に、備えること
を特徴とする衝撃吸収部材。
(2)前記少なくとも二つの凹部は、前記軸方向へ向けて衝撃荷重が負荷された場合に、前記天板に交差する方向への平面視で、前記二つの縦壁が前記方向に関して互いに反対方向へ折れ曲がることにより生じるN字状の曲げ変形の変形起点である1項に記載された衝撃吸収部材。
(3)前記少なくとも二つの凹部は、前記第2の稜線を前記軸方向について分断する1項または2項に記載された衝撃吸収部材。
(4)前記凹部の幅(wb)と前記縦壁の高さ(h)とは、0.3×h(mm)≦wb(mm)≦0.6×h(mm)の関係を満足する1項から3項までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
ただし、前記凹部の幅wbは前記天板に交差する方向への平面視で、前記第2の稜線の延長上における前記凹部の開口の長さを意味し、縦壁の高さhは縦壁の高さ方向の長さを意味する。
(5)前記少なくとも二つの凹部は、前記縦壁を通過して前記凹稜線に達する1項から4項までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
(6)自動車車体の衝撃吸収部材である1項から5項までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
(7)サイドメンバーである6項に記載された衝撃吸収部材。
(8)前記サイドメンバーはリアーサイドメンバーである7項に記載された衝撃吸収部材。
(9)ボディシェルの構成要素として、6項から8項までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材を備えることを特徴とする自動車の車体。
(10)6項から8項までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材を、ボディシェルの構成要素として、自動車車体の所定の位置に配置しておき、衝突事故時には、前記少なくとも2つの凹部を起点として、前記天板に交差する方向への平面視でN字状の曲げ変形を生じることにより衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする衝撃吸収方法。
本発明の衝撃吸収部材は、引張強度が980MPa以上の超高張力鋼板を素材として成形および組み立てられていても、車体の衝突の際に、衝撃荷重の入力方向によらずに、平面視でN字状の曲げ変形を設計目標通りに安定して発生でき、その結果、安定した衝突エネルギー吸収性能を発揮することができる。すなわち、荷重入力方向に対する変形のロバスト性が高く、かつ過度な破断によって衝突エネルギー吸収能が変動しないとともに、取付け部に高い曲げモーメントを発生させずに取付け部で局所的な塑性変形を生じることなく衝撃エネルギーを効率的に吸収できる、例えば自動車のサイドメンバー(特にリアーサイドメンバー)等の衝撃吸収部材を提供できる。
図1は、本発明に係る衝撃吸収部材であるリアーサイドメンバーを示す説明図である。図1(a)は衝撃荷重を負荷される前の状態を示す。図1(b)は衝撃荷重を負荷されて平面視でN字状の曲げ変形を生じた後の状態を示す。 図2は、この際のリアーサイドメンバーの変形状況を経時的に示す説明図である。 図3は、引張強度980MPa以上,板厚1.2mmの高張力鋼板のプレス成形体である、図1(a)に示す本発明のリアーサイドメンバーにおける、平面視でN字状の折り曲げ変形挙動に及ぼす凹部の形状の影響を示す説明図である。図3(a)は、凹部を示す上面視図である。図3(b)はWb=45mm,db=20mmの場合、図3(c)はWb=68mm,db=20mmの場合、図3(d)はWb=124mm,db=20mmの場合、図3(e)はWb=45mm,db=10mmの場合、それぞれのリアーサイドメンバーの衝撃荷重負荷後の形状を示す。 図4は、図3(b)〜図3(e)に示す4種のリアーサイドメンバーについて、軸方向への圧壊ストローク(剛体壁の変位)と荷重との関係を示すグラフである。 図5は、部材軸方向に剛体壁を衝突させた際に生じる後端部の曲げモーメントの履歴を示す。図5(a)は、図5(b)の凹部に替えて凸部を設けた比較例のリアーサイドメンバーの曲げモーメンント履歴示すグラフである。図5(b)は、凹部を設けた本発明例のリアーサイドメンバーにおける後端部の曲げモーメント履歴を示すグラフである。 図6は、自動車のモノコック構造の車体の一例を示す説明図である。
本発明を、添付図面を参照しながら説明する。なお、以降の説明では、本発明に係る衝撃吸収部材10が、図6に示すように、自動車のモノコックボディの車体1の構成要素であって、リアーフロアーパネル6の下面に配置されるリアーサイドメンバー3である場合を例にとる。しかし、本発明は、リアーサイドメンバー3に限定されるものではなく、例えばフロントサイドメンバー2やサイドシル4等にも同様に適用できる。
1.リアーサイドメンバー10
図1は、本発明に係る衝撃吸収部材であるリアーサイドメンバー10を示す説明図であり、図1(a)は衝撃荷重を負荷される前の状態を示し、図1(b)は衝撃荷重を負荷されて平面視でN字状の曲げ変形を生じた後の状態を示す。なお、図1(b)では、リアーサイドメンバー10がリアーフロアーパネル6に装着されている状態を示す。
リアーサイドメンバー10は、引張強度が980MPa以上、好ましくは1180MPa以上、さらに好ましくは1380MPa以上の高張力鋼板のプレス成形体である。
高張力鋼板の板厚は、好ましくは、引張強度が980MPa以上である場合には0.8〜2.0mm程度であり、引張強度が1180MPa以上である場合には0.8〜1.6mm程度であり、さらに引張強度が1380MPa以上である場合には0.6〜1.4mm程度である。
リアーサイドメンバー10は、略六角形の横断面形状を有する。すなわち、この横断面形状は、軸方向に延びる二つの第1の稜線12−1a,12−1bを有する天板11と、二つの第2の稜線12−2a,12−2bと、二つの縦壁13a,13bと、二つの凹稜線14a,14bと、二つの外向きフランジ15a,15bとにより構成される。
天板11は、第1の稜線12−1a,12−1bにより区画される一つの頂面11−1と、第1の稜線12−1aおよび第2の稜線12−2aにより区画されるとともに頂面11−1につながって形成される斜面11−2と、第1の稜線12−1bおよび第2の稜線12−2bにより区画されるとともに頂面11−1につながって形成される斜面11−3とを有する。
このように、リアーサイドメンバー10は、第1の稜線12−1a,12−1bと、第2の稜線12−2a,12−2bと、凹稜線14a,14bとにより構成される略六角形の横断面形状を軸方向(図1(a)における両矢印方向であってリアーサイドメンバー10の長手方向を意味する)へ延びて有する。
二つの第2の稜線12−2a,12−2bは、斜面11−2,11−3の縁につながって形成されるとともに所定の曲率半径で湾曲して形成される。
二つの縦壁13a,13bは、二つの第2の稜線12−2a,12−2bにそれぞれつながって形成される。
二つの凹稜線14a,14bは、二つの縦壁13a,13bにそれぞれつながって形成される。
さらに、二つの外向きフランジ15a,15bは、二つの凹稜線14a,14bにそれぞれつながって形成される。
リアーサイドメンバー10は、凹部16,17を備える。凹部16,17は、いずれも、略六角形の横断面の内部側へ向けて凸となる凹部である。凹部16,17は、いずれも、第2の稜線12−2a,12−2bから縦壁13a,13bを通過して凹稜線14a,14bに達するとともに軸方向に略直交して形成される。凹部16,17は、凹稜線14a,14bに達する必要はないが、凹稜線14a,14bに達することにより、平面視でN字状の曲げ変形をより安定して発生することができる。
凹部16,17は、略六角形の断面の内部側へ向けて凸となる必要がある。これにより、リアーサイドメンバー10の取付け部である二つの外向きフランジ15a,15bに高い曲げモーメントを発生させずに外向きフランジ15a,15bが断面高さ方向に倒れこむことにより、安定してN字状の曲げ変形を発生させ、衝撃エネルギーを効率的に吸収できる。
凹部16,17は、二つの縦壁13a,13bそれぞれの軸方向について離れた少なくとも2か所に、形成されている。凹部16,17は、いずれも、第2の稜線12−2a,12−2bを軸方向について分断して形成されていることが好ましい。
さらに、凹部16,17は、凹稜線14a,14bをも軸方向について分断するように形成されていることが好ましい。これにより、平面視でN字状の曲げ変形をより安定して発生させることができるためである。
凹部16と凹部17との軸方向の距離は、発生させようとする平面視でN字状の曲げ変形の態様に応じて適宜設定すればよい。この距離は、例えば100〜450mm程度が例示される。凹部16,17は、リアーサイドメンバー10の全長をほぼ3等分する2か所にそれぞれ配置することが好ましい。
凹部16,17の幅wb(mm)と縦壁13a,13bの高さ(h)とは、0.3×h(mm)≦wb(mm)≦0.6×h(mm)の関係を満足することが好ましい。これにより、平面視でN字状の曲げ変形を確実に生じるためである。
凹部16,17の幅Wb<0.3×hである場合には、凹部16,17での曲げ変形によって生じる断面内側への変形量(しわサイズ)が小さく、換言すれば曲げストロークが短くなり過ぎるため、安定したN字状の曲げ変形を発生することが困難になることがある。
一方、凹部16,17の幅Wb>0.6×hである場合には、曲げストロークが過度に長くなり、曲げ変形に伴う低荷重領域が長くなるために効率的な衝突エネルギー吸収を達成できないことがある。
ここで、凹部16,17の幅wbは天板11に交差する方向への平面視で、第2の稜線12−2a,12−2bの延長上における凹部16,17の開口の長さを意味し、縦壁13a,13bの高さhは縦壁13a,13bの高さ方向の長さを意味する。
二つの凹部16,17は、図1(b)に示すように、いずれも、軸方向へ向けて衝撃荷重が負荷された場合に、軸方向へ互いに反対方向へ折れ曲がることにより生じる平面視でN字状の曲げ変形の変形起点となる。
なお、図1(a)に示すリアーサイドメンバー10では、凹部16,17の断面形状は、半円形としたが、半円形に限定されるものではない。例えば、楕円形、長円形、多角形の一部、さらにはこれらの形状を適宜組み合わせた形状等であってよい。好ましくは、凹部16,17の断面は、凹曲線からなる。凹部16,17は上述のとおり、部材に生じた軸方向の荷重によって安定して凹部曲げ変形を発生させ、N字状の全体的な曲げ変形を発生させる起点となる必要がある。そのため、凹部16,17全体で曲げ起点となるためには局所変形の起点となるような急激形状変化がなく、滑らかな曲線状の形態が好ましい。
つまり、凹部16,17の断面形状は特に限定されるものではない。凹部16,17は、第2の稜線12−2a,12−2bを軸方向について、分断するように、形成されていればよい。好ましくは、凹部16,17は、凹稜線14a,14bをも軸方向について、分断するように、形成される。
なお、図1(a)では省略しているが、リアーサイドメンバー10は、図6に示すように、リアーフロアーパネル6の車幅方向の両側に接続されるリアーホイルハウスインナーパネル7の張り出しを避けるために、車幅方向へ屈曲した形状を有する。
リアーサイドメンバー10は以上のように構成される。
リアーサイドメンバー10は、パンチおよびダイを用いる曲げ成形による公知のプレス加工法や、パンチ、ブランクホルダーおよびダイを用いる絞り成形による公知のプレス加工法といった、公知のプレス加工法により製造される。ただし、凹部16,17の形状が大きい場合には、天板11でのしわがやや大きくなるため、曲げ成形よりも縦壁13a,13bに張力が作用する絞り成形のほうが好ましい。
2.リアーサイドメンバー10を備える車体
本発明に係る車体は、上述のように、ボディシェルの構成要素として、リアーサイドメンバー10を備える。リアーサイドメンバー10は、二つの外向きフランジ15a,15bの裏面(天板11から離れた側の面)を介して、リアーフロアーパネル6の下面6aに例えば抵抗スポット溶接により溶接固定される。リアーサイドメンバー10は、車両前後方向へ向けて配置されて、後面衝突(Rear Impact)の際には、その軸方向(長手方向)への衝撃荷重を負荷されて、主に平面視でN字状の曲げ変形を発生することにより、衝撃エネルギーを吸収する。
3.リアーサイドメンバー10を用いる衝撃エネルギー吸収方法
本発明に係る車体は、リアーサイドメンバー10により後面衝突(Rear Impact)の際に入力される衝撃エネルギーを吸収する。
図2は、この際のリアーサイドメンバー10の変形状況を経時的に示す説明図である。
すなわち、リアーサイドメンバー10を、ボディシェルの構成要素として、二つの外向きフランジ15a,15bの裏面(天板11から離れた側の面)を介して、車体の所定の位置(リアーフロアーパネル6の下面6a)に、車両前後方向へ向けて例えば抵抗スポット溶接により溶接することによって、固定して配置しておく。
そして、衝突事故時には、凹部16,17を起点として、平面視でN字状の曲げ変形を生じることにより衝撃エネルギーを吸収する。
本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
図3は、引張強度980MPa以上,板厚1.2mmの高張力鋼板のプレス成形体である、図1(a)に示す本発明のリアーサイドメンバー10における、平面視でN字状の折り曲げ変形挙動に及ぼす凹部16,17の形状の影響を示す説明図である。図3(a)は、凹部16,17を示す上面視図である。図3(b)はWb=45mm,db=20mmの場合、図3(c)はWb=68mm,db=20mmの場合、図3(d)はWb=124mm,db=20mmの場合、図3(e)はWb=45mm,db=10mmの場合、それぞれのリアーサイドメンバーの衝撃荷重負荷後の形状を示す。
ここで、図3(a)に示すように、凹部の幅Wbは天板に交差する方向への平面視で第2の稜線の延長上における凹部16,17の開口の長さを意味し、凹部の深さdbは天板に交差する方向への平面視で凹部16,17の開口の最大深さを意味する。
図4は、図3(b)〜図3(e)に示す4種のリアーサイドメンバー10について、軸方向への圧壊ストローク(剛体壁の変位)と荷重との関係を示すグラフである。
図4に示すグラフから、軸方向に対して設けた2箇所の凹部16,17によって、リアーサイドメンバー10が平面視でN字状に確実に曲げ変形することがわかる。このため、本発明に係るリアーサイドメンバー10は、蛇腹状の軸圧壊変形により衝撃エネルギーを吸収する従来のリアーサイドメンバーに比べて、衝撃荷重の入力方向が軸方向から変動することに対する抵抗性(変形ロバスト性)を高めることができる。
また、図4に示すグラフから、引張強度980MPa級の薄鋼板によりリアーサイドメンバー10を構成しても、2つの凹部16,17を起点として平面視でN字状の曲げ変形を確実に生じることができることが示された。
このため、蛇腹状の軸圧壊変形により衝撃エネルギーを吸収する従来のリアーサイドメンバーにおける一般的な蛇腹状の座屈変形による曲げしわよりも、リアーサイドメンバー10の曲げ変形の曲げ曲率半径は大きくなり、引張強度980MPa級の薄鋼板といった延性に乏しい材料でも、曲げ変形時に破断し難く、高い衝撃エネルギー吸収量を得られる。
図5は、部材軸方向に剛体壁を衝突させた際に生じる後端部の曲げモーメントの履歴を示す。図5(a)は、図5(b)の凹部16,17に替えて凸部18,19を設けた比較例のリアーサイドメンバー20の曲げモーメンント履歴示すグラフである。図5(b)は、凹部16,17を設けた本発明例のリアーサイドメンバー10における後端部の曲げモーメント履歴を示すグラフである。
図5(a)および図5(b)のグラフから、凸部18,19を設けた比較例のリアーサイドメンバー20は、凹部16,17を設けた本発明例のリアーサイドメンバー10と比べて、剛体壁の変位dが10mm程度である変形初期ならびに変位dが150mmを超えた時に、高いy方向モーメントを発生することがわかる。
すなわち、凸部18,19設けた比較例のリアーサイドメンバー20では、リアーサイドメンバー20と結合する他の部材を折り曲げてその結合部を塑性変形させる。これに対し、凹部16,17を設けた本発明例のリアーサイドメンバー10では、リアーサイドメンバー10に結合する他の部材(取付け部)の折り曲げ変形を抑制することができ、その結果、衝撃エネルギーを効率よく吸収できる。
10 リアーサイドメンバー
11 天板
12−1a,12−1b 第1の稜線
12−2a,12−2b 第2の稜線
13a,13b 縦壁
14a,14b 凹稜線
15a,15b 外向きフランジ
16,17 凹部

Claims (10)

  1. 引張強度が980MPa以上の高張力鋼板のプレス成形体を備え、軸方向に負荷される衝撃荷重を吸収する、衝撃吸収部材であって、
    前記プレス成形体は、軸方向に延びる二つの第1の稜線を有する天板と、該天板につながる二つの第2の稜線と、該二つの第2の稜線にそれぞれつながる二つの縦壁と、該二つの縦壁にそれぞれつながる二つの凹稜線と、該二つの凹稜線にそれぞれつながる二つの外向きフランジとを有し、
    前記第2の稜線から前記縦壁に達するとともに前記軸方向に略直交する凹部を、前記二つの縦壁それぞれの前記軸方向について離れた少なくとも2か所に、備えること
    を特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 前記少なくとも二つの凹部は、前記軸方向へ向けて衝撃荷重が負荷された場合に、前記天板に交差する方向への平面視で、前記二つの縦壁が前記方向に関して互いに反対方向へ折れ曲がることにより生じるN字状の曲げ変形の変形起点である請求項1に記載された衝撃吸収部材。
  3. 前記少なくとも二つの凹部は、前記第2の稜線を前記軸方向について分断する請求項1または請求項2に記載された衝撃吸収部材。
  4. 前記凹部の幅(wb)と前記縦壁の高さ(h)とは、0.3×h(mm)≦wb(mm)≦0.6×h(mm)の関係を満足する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
    ただし、前記凹部の幅wbは前記天板に交差する方向への平面視で、前記第2の稜線の延長上における前記凹部の開口の長さを意味し、縦壁の高さhは縦壁の高さ方向の長さを意味する。
  5. 前記少なくとも二つの凹部は、前記縦壁を通過して前記凹稜線に達する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
  6. 自動車車体の衝撃吸収部材である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
  7. サイドメンバーである請求項6に記載された衝撃吸収部材。
  8. 前記サイドメンバーはリアーサイドメンバーである請求項7に記載された衝撃吸収部材。
  9. ボディシェルの構成要素として請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材を備えることを特徴とする自動車の車体。
  10. 請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材を、ボディシェルの構成要素として、自動車車体の所定の位置に配置しておき、衝突事故時には、前記少なくとも2つの凹部を起点として、前記天板に交差する方向への平面視でN字状の曲げ変形を生じることにより衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする衝撃吸収方法。
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