JP2017159896A - 車両用構造部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体の軽量化を図りつつ、車両衝突時の耐荷重性能を高く維持すること。【解決手段】本発明に係る車両用構造部材1は、底壁部2aと、上記底壁部2aの両端から起立した一対の側壁部2bと、上記底壁部2aに対向する天壁部3aとを有し、上記底壁部2a、上記一対の側壁部2bおよび上記天壁部3aにより閉断面を形成する中空部材10と、上記底壁部2aまたは上記天壁部3aの少なくともいずれかの内面に密着して配置される補強部材(充填部材)4と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、車両用構造部材に関する。
近年、地球環境保護の観点から、自動車の燃費改善が要求されている。その一方で、車両の衝突安全性の維持または向上が要求されている。これらの要求を満足するために、高強度かつ軽量な車体構造の開発が進められている。車両用構造部材であり、車体の骨格を形成するフレームについても、従来の衝突性能を維持しつつ車体構造の軽量化を図るために、フレームを形成する鋼板の高強度化および薄肉化が進められている。
また、車両衝突時におけるフレームの変形を抑制するために、発泡樹脂材等により形成される充填部材が当該フレームの内側に充填されることがある。例えば、下記特許文献1には、フレームを形成する金属要素と、当該金属要素の各側面に接合するレインフォースメントとの間に存在する空洞に充填部材が配置される技術について開示されている。下記特許文献2には、フレームの内側(例えばフレームの角部の内側)に、充填部材が配置される技術について開示されている。下記特許文献3には、フレーム内側に設けられる基材と当該フレームとの間に充填部材が配置される技術について開示されている。下記特許文献4には、フレームの内壁に沿って充填部材が配置される技術について開示されている。
特表2015−523269号公報 特開2013−67234号公報 特開2002−173049号公報 特開平11−217084号公報
ところで、上記のフレームを従来よりも高強度である金属板(鋼板(高強度鋼板)、またはアルミ板等)により形成する場合、フレームの長手方向に衝突が生じた際のフレームの軸耐力等の耐荷重性能により示される衝突安全性能が、従来の金属板により形成されたフレームと同等の性能となるようにフレームの板厚が設定される。この場合、フレームの板厚は、従来の金属板の板厚よりも薄く設定され得る。以降、金属板を金属板の代表的な素材である鋼板と記載する。
しかし、薄肉化されたフレームに対して長手方向に衝突が生じた場合、フレームが曲げられたときにフレームの断面変形が生じてしまい、フレームについて想定されていた衝突安全性能を確保できなくなる可能性があることを、本発明者らは見出した。
図42は、薄肉化されたフレーム100の断面形状の変化の一例を示す断面図である。図42に示すように、フレーム100の長手方向に衝突が生じた際にフレーム100に曲げが生じると、底壁部100aが面外方向に膨らみ、かつ、側壁部100bが面外方向に撓むように変形する(断面形状101)。さらに折れ曲げが進展すると、底壁部100aおよび側壁部100bの面外方向への変形がさらに進むので、フレーム100の断面形状102が、当初の断面形状から大幅に変形してしまう。
また、図43は、薄肉化されたフレーム200の断面形状の変化の他の例を示す断面図である。図43に示すように、フレーム200の長手方向に衝突が生じた際に、または底壁部200aに対して衝突が生じた際にフレーム200に曲げが生じると、底壁部200aが凹み、かつ、側壁部200bが撓むように変形する(断面形状201)。さらに折れ曲げが進展すると、底壁部200aおよび側壁部200bが面外方向に変形するので、フレーム200の断面形状202は、当初の断面形状から大幅に変形してしまう。図42および図43に示したような変形がフレーム100(200)に生じると、いわゆる断面潰れが生じる。
フレームの板厚が従来よりも小さくなるとフレームの曲げ剛性が低下するので、衝突荷重の入力により当該フレームに生じる応力が大きくなる。すると、図42および図43に示したように、当該フレームの曲げ変形時において、当該フレームを構成する各壁面において面外変形が生じやすくなる。この断面変形により、曲げが生じたフレームの断面により発揮される耐荷重性能が設計段階よりも低くなる。そのため、当該フレームが従来有する衝突安全性能が低減してしまう。その結果、単にフレームを形成する高強度鋼板を用いて薄肉化することにより車体の軽量化を図るだけでは、想定されていた衝突安全性能を確保できない可能性がある。
上記特許文献1〜4に開示されている技術は、フレームの強度を高めて、衝突によるフレームの曲げ変形を抑制するために充填部材を使用する技術である。しかしながら、車体のさらなる軽量化を達成するためには、充填部材による耐荷重性能の向上に対する質量効率をさらに高め、かつフレームの耐荷重性能を減少させる要因となる面外変形を抑止することが有用であると本発明者らは考えた。しかし、フレームの耐荷重性能の向上および面外変形の抑止に係る充填部材の効果的な配置については、これまで何ら検討されていなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車体の軽量化を図りつつ、車両衝突時の耐荷重性能を高く維持することが可能な、新規かつ改良された車両用構造部材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、底壁部と、上記底壁部の両端から起立した一対の側壁部と、上記底壁部に対向する天壁部とを有し、上記底壁部、上記一対の側壁部および上記天壁部により閉断面を形成する中空部材と、上記底壁部または上記天壁部の少なくともいずれかの内面に密着して配置される補強部材と、を備える、車両用構造部材が提供される。
上記補強部材は、上記側壁部と上記底壁部または上記天壁部とを接続する稜線部の内側に密着して配置されてもよい。
上記補強部材は、上記側壁部の内面に密着して配置されてもよい。
上記中空部材は、上記中空部材の長手方向の一部に曲げ誘起部をさらに備え、
上記補強部材は、上記曲げ誘起部により誘起される曲げの内側に相当する部分の内面に沿って配置されてもよい。
上記曲げ誘起部は、上記中空部材の断面の重心により形成される上記長手方向に沿った中心軸の曲率半径が260mm以下である部分であってもよい。
上記曲げ誘起部は、上記中空部材の断面係数が上記長手方向で変化する部分を含んでもよい。
上記曲げ誘起部は、凹部、凸部、穴部、板厚変化部または薄肉部の少なくともいずれかが設けられた部分を含んでもよい。
上記凹部、上記凸部または上記板厚変化部の少なくともいずれかが、上記中空部材の上記長手方向に沿って、複数並設されてもよい。
上記曲げ誘起部は、上記中空部材の降伏強度が上記長手方向で変化する部分を含んでもよい。
上記補強部材は充填部材であってもよい。
上記中空部材を形成する金属板の板厚は2.3mm以下であってもよい。
上記車両用構造部材は、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、クラッシュボックス、ピラー、フロアレインフォースメント、フロアクロスメンバ、バンパーレインフォースメント、サイドシル、ルーフサイドレール、ルーフセンターレインフォースメントまたはトンネルの少なくともいずれかであってもよい。
上記構成によれば、底壁部または天壁部の内面に補強部材が密着して設けられるので、補強部材が設けられた底壁部または天壁部の面外変形を抑制することができる。これにより、衝突荷重の入力時における中空部材の面外変形が抑制されるので、中空部材の断面により発揮される耐荷重性能を設計段階において想定されていたレベルで維持することができる。したがって、車体の重量の増加を抑えつつ(つまり、車体の軽量化を実現しつつ)、車両用構造部材の衝突安全性能を想定されるレベルに維持することが可能となる。
以上説明したように本発明によれば、車体の軽量化を図りつつ、車両衝突時の耐荷重性能を高く維持することが可能である。
本実施形態に係る車両用構造部材の適用対象について説明するための自動車の概要構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両用フレームの一例の概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係る中空部材の中心軸を可視化した模式図である。 同実施形態に係るフレームの一例のZ軸方向に直交する断面を示す断面図である。 図4に示したフレームのV−V切断線における断面図である。 図4に示したフレームのVI−VI切断線における断面図である。 同実施形態に係る充填部材の第1の配置例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る充填部材の第2の配置例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る充填部材の第3の配置例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る充填部材の第2の配置例の変形例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る充填部材の第3の配置例の変形例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る充填部材の第4の配置例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられるビード部の例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る凹部の形状および大きさの一例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る凸部の形状および大きさの一例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる板厚変化部の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる薄肉部の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる異強度部の例を説明するためのフレームの断面図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる異強度部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる異強度部の他の例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる強度変化部の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る中空部材に設けられる屈曲部および穴部の組み合わせの例を説明するためのフレームの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る中空部材の第1の例の長手方向に直交する断面を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る中空部材の第2の例の長手方向に直交する断面を示す断面図である。 比較例1に係る充填部材の屈曲部における配置例を示す断面図である。 薄肉化されたフレームの断面形状の変化の一例を示す断面図である。 薄肉化されたフレームの断面形状の変化の他の例を示す断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.車両用構造部材の適用対象>
本発明の一実施形態に係る車両用構造部材の一例である車両用フレームの構成について説明する前に、当該車両用構造部材の適用対象について説明する。図1は、本実施形態に係る車両用構造部材の適用対象について説明するための自動車の概要構成図である。図1に示す一般的な自動車等の車両1000に設けられる車体は、フロント構造(FRONT)、リア構造(REAR)、およびキャビン構造(CABIN)に分別することができる。
フロント構造およびリア構造は、「クラッシャブルゾーン」とも呼ばれ、車両衝突時において当該構造が自ら圧潰することにより、車両に対する衝撃を吸収して緩和する機能(衝撃吸収機能)を担っている。すなわち、車両衝突時に、キャビンに搭乗する乗員の安全を確保するために、フロント構造およびリア構造は、衝突により生じるエネルギ(衝突エネルギ)を可能な限り吸収する構造であることが要求される。したがって、フロント構造およびリア構造を構成するフレームは、衝突時に曲げや潰れが生じた際においても衝突エネルギを多く吸収することが求められる。当該フロント構造およびリア構造に用いられるフレームは、例えば、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、バンパーレインフォースメント、およびクラッシュボックス等である。フロントサイドメンバは、後端部を構成するフロントサイドメンバリア、および当該後端部よりも前側の部分を構成するフロントサイドメンバフロントを含む。リアサイドメンバは、後端部を構成するリアサイドメンバリア、および当該後端部よりも前側の部分を構成するリアサイドメンバフロントを含む。
一方で、キャビン構造は、「セーフティゾーン」とも呼ばれ、車両衝突時において当該車両に搭乗している乗員の安全を確保する機能(乗員保護機能)を担っている。すなわち車両衝突時に、乗員の安全を確保するために、キャビン構造は、衝撃力に対して潰れにくい構造であることが要求される。したがって、キャビン構造を構成するフレームは変形しにくく、かつ、高い耐荷重性能を有することが求められる。当該キャビン構造に用いられるフレームは、例えば、フロントピラー(Aピラー)、センターピラー(Bピラー)、リアピラー(Cピラー、Dピラー)、ルーフピラー、サイドシル、ルーフレール、クロスメンバ、およびトンネル等である。
ところで、車両の衝突安全性の維持と軽量化とを両立させるために、車体構造を形成する鋼板の高強度化および薄肉化が進められている。上記のフロント構造、リア構造およびキャビン構造を構成するフレームについても、薄肉化された高強度鋼板に置き換えることが進められている。具体的には、衝突エネルギ吸収量および耐荷重性能の少なくともいずれかが、従来の鋼板により形成されるフレームと同等になるように、高強度鋼板により形成されるフレームの板厚が従来の鋼板により形成されるフレームよりも小さく設定される。これにより、高強度フレームの衝突性能を従来フレームと同等に維持しつつ、フレームの重量を低減させることができる。
しかし、図42および図43に示したように、薄肉化されたフレームに曲げ変形が生じると、以下のようなメカニズムによりフレームの断面が変形することが本発明者らにより明らかにされた。具体的には、(1)フレームに衝突荷重が入力される際に、曲げ内側に対応する底壁部100aが面外変形する。次に、(2)底壁部100aの面外変形により側壁部100bも面外変形し、底壁部100aと側壁部100bとを連続させる稜線部において局所的な塑性変形が生じる。その後、(3)側壁部100bの面外方向への倒れが進行する。これにより、当該フレームの断面が変形し、いわゆる断面潰れが当該フレームに生じ得る。この断面潰れが生じれば、フレーム断面により発揮される衝突安全性能が設計段階よりも低くなるため、当該フレームが従来有する衝突安全性能が低減してしまう。すなわち、単に車体を構成するフレームを軽量化するだけでは、フロント構造およびリア構造に期待される衝突エネルギの吸収特性、およびキャビン構造に期待される耐荷重性能が、設計時に想定された各性能よりも低くなってしまう。
フレームの薄肉化による車体の軽量化を図りつつ、衝突安全性能を想定されるレベルに維持するためには、上述したようなフレームの断面変形を抑制することが重要となる。本発明者らは、衝突荷重によるフレームの断面変形を抑制することができれば、想定される衝突安全性能を発揮することができると考えた。
本発明者らは、フレームの衝突安全性能を高く維持するための方法について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、衝突荷重の入力に対するフレームの耐荷重性能を高く維持するためには、フレームの底壁部または天壁部の面外変形を抑制することが有効であることを見出した。そこで、本発明者らは、底壁部または天壁部の内面に、鋼板よりも質量密度が顕著に低い充填部材等を配置することを想到した。これにより、フレームに対して衝突荷重が入力された際において、当該充填部材がフレームの断面変形を抑制するので、フレームの重量をさほど増加させずに耐荷重性能を高く維持できると、本発明者らは思案した。以下、フレームの耐荷重性能を高く維持しつつ、かつ車体の軽量化を実現することが可能な、本発明の一実施形態に係る車両用構造部材について説明する。
<2.車両用フレームの構成>
(フレームの構成要素)
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用フレーム1の一例の概略構成を示す斜視図である。なお、本明細書における車両用フレーム1は車両用構造部材の一例であり、以下単にフレーム1と記載する。なお、当該車両用構造部材は、例えば、自動車のフロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、クラッシュボックス、ピラー、フロアレインフォースメント、フロアクロスメンバ、バンパーレインフォースメント、サイドシル、ルーフサイドレール、ルーフセンターレインフォースメントおよびトンネル等を含む。本実施形態に係る車両用フレーム1はキャビン構造に係る部材に適用されることが好ましいが、車両用フレーム1をフロント構造およびリア構造に係る部材に適用することも可能である。また、当該車両用構造部材は、自動車のみならず、他の車両および自走可能な機械にも適用可能である。他の車両および自走可能な機械には、例えば、二輪車両、バスまたは牽引車等の大型車両、トレーラー、鉄道車両、建設機械、鉱山機械、農業機械、一般機械、および船舶等が含まれる。
本実施形態に係るフレーム1は、第1の構造部材2、第2の構造部材3、および充填部材4(4A、4B)を備える。本実施形態に係る中空部材10は、第1の構造部材2および第2の構造部材3により形成される。
本実施形態に係る第1の構造部材2は、長尺状の中空部材を形成する構造部材の一例であり、ハット形の断面形状を有する。図2に示すように、第1の構造部材2は、長手方向(略Y軸方向)に延びる底壁部2a、側壁部2b、2b、フランジ部2c、2c、および稜線部2d、2d、2e、2eを有する。
側壁部2bは、底壁部2aのZ軸方向(幅方向)の両端から起立して設けられる。側壁部2bは、底壁部2aと略垂直の角度を成して設けられることが衝突性能の観点から多いが、側壁部2bと底壁部2aとにより成される角度は、略垂直に限らず部材の設計に応じて適宜設定される。また、稜線部2dは、底壁部2aと側壁部2bとの境界となる部分である。
フランジ部2cは、側壁部2bの底壁部2aに対し反対側の端部からZ軸方向に沿って外側に起立して設けられる。フランジ部2cは、側壁部2bと略垂直の角度を成して設けられることが多いが、フランジ部2cと側壁部2bとにより成される角度は、略垂直に限らず、部材の設計に応じて適宜決定される。また、稜線部2eは、側壁部2bとフランジ部2cとの境界となる部分である。
本実施形態に係る第2の構造部材3は、上記中空部材を第1の構造部材2とともに形成する構造部材の一例であり、板状の部材である。図2に示すように、第2の構造部材3は、天壁部3a、および接合部3c、3cを有する。
天壁部3aは、第1の構造部材2の底壁部2aに対向する部分である。また、接合部3cは、第1の構造部材2のフランジ部2cに対して当接し、フランジ部2cと接合される部分である。つまり、天壁部3aは、第2の構造部材3における一対の稜線部2eとのそれぞれの接続部分の間に存在する領域に相当する部分である。また、接合部3cは、第2の構造部材3における稜線部2eとフランジ部2cの端部とに挟まれるフランジ部2cの領域に当接する部分である。
本実施形態に係る中空部材10は、フランジ部2cと接合部3cとが接合されることにより、第1の構造部材2と第2の構造部材3とにより形成される。このとき、図2に示すように、中空部材10は閉断面を有する。この閉断面は、底壁部2aと、一対の側壁部2b、2bと、天壁部3aにより形成される。なお、フランジ部2cと接合部3cとの接合方法は特に限定されない。例えば、当該接合方法は、溶接、リベットまたはボルト締結等であってもよい。本実施形態では、フランジ部2cと接合部3cは、スポット溶接により接合される。
なお、中空部材10の有する閉断面の形状は略多角形である。ここで、略多角形とは、複数の線分で近似表現することが可能である閉じた平面図形を意味する。例えば、図2に示した閉断面は、4つの線分(底壁部2a、側壁部2b、天壁部3aに相当)および4つの頂点(稜線部2d、2eに相当)からなる略四角形である。この略四角形は、矩形、台形等を含む。
また、本発明の一実施形態に係る中空部材10の有する閉断面の形状が略四角形以外の略多角形である場合であっても、本明細書において、当該中空部材10は、底壁部2a、一対の側壁部2b、2bおよび天壁部3aにより形成されるものとして説明する。中空部材10の有する閉断面の形状の例については後述する。
なお、本実施形態に係る第1の構造部材2および第2の構造部材3は、例えば鋼板等の金属板により形成されることが好ましい。また、衝突性能の観点から両構造部材の板厚はバス等の大型の車両で多く用いられるフレーム構造では、2.3mm以下が好ましく、通常のサイズの車両で多く用いられるモノコック構造車両では1.8mm以下であることが好ましく、バイク等の小型車両では1.4mm以下であることが好ましい。両構造部材の板厚が上記に示した板厚より大きい場合、衝突荷重の入力による中空部材10の折れ曲げ箇所における当該構造部材の面外変形が生じにくいため、本発明により得られる効果は小さい。また、両構造部材の板厚が上記に示した板厚より大きい場合、フレームの軽量化を達成することが困難である。また、本実施形態に係る第1の構造部材2および第2の構造部材3の強度は特に限定されない。ただし、軽量化により低減し得るフレームの全体的な強度を補うために、両構造部材の引張強度は780MPa以上であることが好ましい。また、両構造部材の引張強度は980MPa以上であることがさらに好ましい。
なお、軽量化のために上述したような引張強度の高い鋼板(いわゆるハイテン材)を各構造部材として用いる場合、当該鋼板の板厚を小さくすると、当該鋼板の引張強さが従来通り確保されても、当該鋼板の曲げこわさ(曲げ剛性)は低下する。そのため、薄板化された構造部材において面外変形が容易に生じ得る。
本実施形態に係るフレーム1は、薄板化された各構造部材の曲げ剛性を補うことができる。かかる効果は、曲げ剛性の低下が顕在化する引張強度が780MPa以上の鋼板が用いられている場合に、さらに明らかとなる。特に、引張強度が980MPa以上の鋼板が用いられている場合には、上述した効果がより顕著に明らかとなる。
本実施形態に係る充填部材4は、補強部材の一例である。本実施形態に係る充填部材4は、例えば発泡樹脂材からなる硬質の発泡充填部材である。より具体的には、充填部材4は、中空部材10の内側に設置された後に、化学変化により硬化する充填部材である。そのため、充填部材4の単位体積あたりの重量は、中空部材10を形成する鋼板の単位体積あたりの重量よりも顕著に低い。充填部材4は、例えばポリウレタンにより形成される。また、ポリウレタン以外の樹脂により形成される部材が充填部材4として用いられてもよい。
また、図2に示すように、本実施形態に係る中空部材10には、屈曲部5Aおよび5Bが設けられる場合がある。屈曲部5は、中空部材10が屈曲する部分である。すなわち、屈曲部5とは、中空部材10の断面の重心により形成される中心軸の長手方向における曲率半径が260mm以下である部分である。図3は、中空部材10の中心軸を可視化した模式図である。図3に示すように、中空部材10の中心軸C1は、屈曲部5Aおよび5Bにおいて屈曲している。
このような屈曲部5は、曲げ誘起部の一例である。このような屈曲部5を備える中空部材10は、例えば第1の構造部材2および第2の構造部材3に屈曲部5が設けられるようにプレス成形を行い、これらの構造部材を組み立てることにより得られる。屈曲部5は、フレーム1が適用される車両の構造に応じて適宜設けられる。中空部材10に設けられる屈曲部5の数は特に限定されず、上述したように車両の構造に応じて適宜決定される。
中空部材10に曲げ誘起部が形成された場合、長手方向への衝突によって曲げ誘起部において曲げ変形が生じる。例えば、図3に示すように、かかる屈曲部5Aおよび5Bの曲率半径RAおよびRBの少なくともいずれかが260mm以下であれば、中空部材10は、衝突荷重の入力時に、上記曲率半径の条件を満たす屈曲部5Aおよび5Bのうちの少なくともいずれかにおいて曲げ変形が生じる。この曲げ変形に必要なエネルギが衝突によるエネルギから供給される。すなわち、中空部材10の曲げ変形により衝突エネルギを吸収することができる。この曲げ誘起部を中空部材10に設けることにより、衝突により生じる中空部材10の曲げ起点を設定することができる。そのため、中空部材10の想定外の曲げによるキャビン構造への衝撃を回避することができるので、キャビンに搭乗する乗員の安全性を確保することができる。
なお、曲げ誘起部は、上記の屈曲部5の例だけに限定されない。例えば、屈曲部を有さない中空部材(例えば、長手方向において略直線状に延びる中空部材を含む)においては、穴部、ビード部、凸部、薄肉部、および異強度部等が設けられた部分が、曲げ誘起部としての機能を有する。穴部、ビード部、凸部、および薄肉部のいずれかが設けられた部分は、中空部材10の長手方向で中空部材10の断面係数が局所的に変化する部分である。断面係数が局所的に変化する部分においては、同一の曲げモーメントにより中空部材10に生じる曲げ応力が局所的に変化するので、当該部分において中空部材10の曲げが誘起される。より具体的には、中空部材10のうち断面係数が局所的に小さい部分については、当該部分における曲げ応力が大きくなるので、当該部分において屈曲が生じる。また、中空部材10のうち断面係数が局所的に大きい部分については、当該部分の中空部材10の長手方向の前後における領域を含む部分の断面係数が相対的に小さくなる。したがって、当該領域と断面係数が局所的に大きい部分との境界部分において屈曲が生じる。
また、異強度部は、中空部材10の長手方向で中空部材の強度が局所的に変化する部分である。強度が局所的に変化する部分においては、当該部分における中空部材10の塑性変形が誘起される。例えば、中空部材10のうち強度が局所的に小さい部分については、当該部分における塑性変形が中空部材10において最初に生じるため、当該部分において屈曲が生じる。また、中空部材10のうち強度が局所的に大きい部分については、当該部分の中空部材10の長手方向の前後における領域を含む部分の強度が相対的に小さくなる。したがって、当該領域と強度が局所的に大きい部分との境界部分において屈曲が生じる。
なお、屈曲部を有する中空部材において、屈曲部の曲げ内側部分に上記の例に示した穴部等の曲げを誘起させるための部分がさらに設けられてもよい。これにより、屈曲部において中空部材10をより確実に屈曲させることができる。また、上記に示した曲げ誘起の例を複数組み合わせることにより、曲げ誘起部における中空部材10の屈曲をより確実に生じさせることができる。
なお、例えば、センターピラー等のキャビン構造に用いられるフレーム1については、上述したように、フレーム1の難変形性が要求される。したがって、中空部材10には屈曲部5のような曲げ誘起部を設けることが好ましくない。この場合、中空部材10には曲げ誘起部が設けられない。また、キャビン構造に用いられるフレーム1であっても、車体のデザインまたは加工によって、上記の屈曲部または穴部等のように、フレーム1の曲げを誘起してしまう脆弱部が中空部材10に存在する場合がある。
このように、曲げ誘起部が設けられていない中空部材10や、脆弱部が存在する中空部材10に対しても、本発明の一実施形態に係る充填部材4による耐荷重性能の維持に係る効果を得ることができる。もちろん、曲げ誘起部が設けられる中空部材10に対しても、本実施形態に係る充填部材4による耐荷重性能の維持に係る効果を得ることができる。本明細書においては、充填部材4による耐荷重性能の維持に係る効果を説明するために、図2に示すような屈曲部5が設けられた中空部材10がフレーム1の構成要素として用いられた。
なお、底壁部2aのZ軸方向の長さは、側壁部2bのX軸方向の長さ以上であることが好ましい。これにより、中空部材10のZ軸方向に係る断面二次モーメントがX軸方向に係る断面二次モーメントよりも大きくなる。そのため、中空部材10に衝突荷重が入力された際に、底壁部2aおよび天壁部3aが屈曲しやすくなる。したがって、底壁部2aおよび天壁部3aに充填部材4を配置させることで、耐荷重性能の向上を十分に図ることができる。
(充填部材の配置)
図4は、本実施形態に係るフレーム1の一例のZ軸方向に直交する断面を示す断面図である。図4に示すように、中空部材10には、底壁部2aが曲げ内側となる方向に屈曲する屈曲部5A、および天壁部3aが曲げ内側となる方向に屈曲する屈曲部5Bが設けられている。本実施形態に係る充填部材4Aおよび4Bは、図2および図4に示すように、側壁部2bにおける屈曲部5Aおよび屈曲部5Bが設けられた部分の内面に密着して配置される。これらの屈曲部5は、フレーム1における脆弱部に相当する。
なお、図4に示すフレーム1に関して付された各寸法の記号の定義は以下の通りである。
FL:中空部材10のY軸方向(長手方向)の長さ。
FL1:中空部材10の衝突側の端部におけるX軸方向の断面寸法。
FL2:中空部材10の他端部におけるX軸方向の断面寸法。
FL:屈曲部5の長手方向前後における第2の構造部材3のオフセット長さ。
FMA、LFMB:充填部材4Aおよび4BのY軸方向の長さ。
図5は、図4に示したフレーム1のV−V切断線における断面図である。また、図6は、図4に示したフレーム1のVI−VI切断線における断面図である。図5に示すように、充填部材4Aは、底壁部2aの内面に密着(好ましくは接着)して配置される。この底壁部2aの内面は、屈曲部5Aの曲げ内側部分に相当する。特に、図5に示すように、充填部材4Aは、底壁部2aの中央部分の内面に密着して配置される。また、図6に示したように、充填部材4Bは、天壁部3aの内面に密着して配置される。この天壁部3aの内面は、屈曲部5Bの曲げ内側部分に相当する。
かかる配置により、フレーム1の曲げ圧縮に起因する面外方向への力が底壁部2aに負荷された場合に、底壁部2aの中央部分の変形が充填部材4Aにより拘束される。これにより、底壁部2aの面外変形を抑制することができる。すなわち、フレーム1に衝突荷重が入力された際に、充填部材4Aが配置された部分における中空部材の面外変形を抑制することができる。これにより、フレーム1の断面変形が抑制されるので、フレーム1の耐荷重性能を高めることができる。ゆえに、フレーム1の軽量化を図りつつ、衝突安全性能を高く維持することができる。
なお、充填部材4AのX軸方向の肉厚aについては特に限定されず、当該肉厚aは、フレーム1に要求される耐荷重性能および重量に応じて適宜設定される。充填部材4Aの肉厚aを制御するために、例えば、不図示のレインフォースメント等の板材が中空部材10の内側に設けられてもよい。また、充填部材4Aの配置位置を定める側壁部からの距離bおよびbについても特に限定されない。ただし、底壁部2aの中央部分の内面に充填部材4Aを密着して配置させることにより、底壁部2aの面外変形を効率的に抑制することができる。そのため、距離bおよびbは同値であることが好ましい。また、距離bおよびbの大きさは、フレーム1に要求される耐荷重性能および重量に応じて適宜設定される充填部材4AのZ軸方向の肉厚に応じて決定される。
なお、本発明において密着とは、隙間なく接して配置されることを意味する。特に密着のうち、互いを拘束する接着が最も好ましい。互いを拘束しない場合でも、中空部材10を形成する少なくともいずれかの壁部が面外変形するのを充填部材4が抑制する効果が発揮される。例えば、図42および図43に示したような断面形状の変化が本実施形態に係るフレーム1に生じるとする。充填部材4が底壁部2aまたは天壁部3aの少なくともいずれかの内面に接着されている場合、底壁部2aまたは天壁部3aが面外変形すると、充填部材4も当該内面の面外変形に追従する。そのため、充填部材4による底壁部2aまたは天壁部3aの面外変形の抑制効果が顕著に発揮される。また、充填部材4と底壁部2aまたは天壁部3aの少なくともいずれかの内面とが互いに拘束せずに密着して配置される場合、底壁部2aまたは天壁部3aが面外変形すると、充填部材4と当該内面とが部分的に離隔する場合も存在する。しかし、当該内面が面外変形した場合においても、充填部材4の少なくとも一部とは接した状態となる。したがって、充填部材4と当該内面とが互いに拘束せずに密着している状態であっても、充填部材4による底壁部2aまたは天壁部3aの面外変形の抑制効果は十分発揮される。
以上、充填部材4Aの配置、並びに当該配置による作用および効果について説明した。なお、上述した作用および効果は、図6に示すような、屈曲部5Bの内側に配置される充填部材4Bによっても同様に発揮される。
このように、本実施形態に係るフレーム1においては、曲げ誘起部である屈曲部5の内側に含まれる底壁部2aの内面に充填部材4Aが密着して配置され、屈曲部5Bの内側に含まれる天壁部3aの内面に充填部材4Bが密着して配置される。かかる構成により、フレーム1に衝突荷重が入力された際において、フレーム1の曲げ圧縮を起因として生じる底壁部2aおよび天壁部3aの面外変形を抑制することができる。これにより、衝突によるフレーム1の断面潰れを抑制することができる。したがって、車体の軽量化を図るために中空部材10の板厚を小さくする場合においても、質量密度の低い充填部材4を上述したような部分に配置することにより、フレーム1の重量をさほど増加させずにフレーム1の耐荷重性能を高く維持することができる。すなわち、例えば、脆弱部におけるフレーム1の安易な折れ曲げを防ぐことができる。
<3.充填部材の配置例>
以上、本実施形態に係る充填部材4Aおよび4Bの配置について説明した。なお、充填部材4の配置は、図2〜図6に示した例に限定されない。以下、充填部材4の他の配置例について説明する。
(第1の配置例)
図7は、本実施形態に係る充填部材の第1の配置例を説明するためのフレーム1の断面図である。なお、図7に示す断面図は、図4に示したフレーム1のV−V切断線におけるフレーム1の断面に相当する。
図7に示すように、本配置例に係る充填部材40は、側壁部2bと底壁部2aとに連続して密着(好ましくは接着)して配置されている。つまり充填部材40は、稜線部2dの内側に密着して配置されている。フレーム1への衝突荷重が入力されて屈曲部5において折れ曲げが生じるときに、稜線部2dにおいて局所的に塑性変形が生じる。この塑性変形により側壁部2bの面外方向への倒れが促進されてしまう。そのため、充填部材40がかかる位置に密着して配置されることにより、稜線部2dにおいて生じる局所的な塑性変形を抑制することができる。これにより、側壁部2bの面外方向への倒れを抑止することができる。したがって、フレーム1の断面変形をより効果的に抑制することができる。
なお、充填部材40の肉厚aは、フレーム1に要求される耐荷重性能および重量に応じて適宜設定される。
また、図4に示したフレーム1のVI−VI切断線におけるフレーム1の断面に対しても、図7に示す充填部材の配置を同様に適用することができる。この場合、充填部材40は、天壁部3aの内面および稜線部2eの内側に密着して配置される。
(第2の配置例)
図8は、本実施形態に係る充填部材の第2の配置例を説明するためのフレーム1の断面図である。なお、図8に示す断面図は、図4に示したフレーム1のV−V切断線におけるフレーム1の断面に相当する。
本配置例に係る充填部材41aおよび41bは、稜線部2dのそれぞれの内側に局所的に密着(好ましくは接着)して配置される。かかる配置により、稜線部2eにおいて生じる局所的な塑性変形を抑制することができる。これにより、側壁部2bの面外方向への倒れを低減させることができる。したがって、フレーム1の断面変形を抑制することができる。また、図8に示した例では、充填部材41aおよび41bが稜線部2dの内側に局所的に密着して配置されるので、フレーム1の重量をほとんど増加させずに、フレーム1の断面変形を抑制することができる。
(第3の配置例)
また、本実施形態に係る充填部材は、稜線部2dの少なくともいずれか一方の内側に局所的に密着(好ましくは接着)して配置されてもよい。図9は、本実施形態に係る充填部材の第3の配置例を説明するためのフレーム1の断面図である。なお、図9に示す断面図は、図4に示したフレーム1のV−V切断線におけるフレーム1の断面に相当する。
図9に示すように、本配置例に係る充填部材41cは、稜線部2dの一方の内側に局所的に密着して配置される。これにより、充填部材41cが配置された稜線部2dにおいて生じる局所的な塑性変形を抑制することができる。また、充填部材の充填量を少なくできるので、フレーム1の重量を増加させずに済ませることができる。
図8および図9に示した充填部材の配置例によれば、底壁部2aの面外変形だけではなく、稜線部2dの局所的な塑性変形を抑制することができる。なお、充填部材を稜線部2dの一方または両方のいずれかの内側に設けるかについては、フレーム1に要求される衝突安全性能および重量に応じて決定することが好ましい。また、充填部材41a、41bおよび41cのZ軸方向の肉厚a(a、a)およびX軸方向の肉厚c(c、c)は、適宜設定される。
また、充填部材は、底壁部2aの中央部分の内面および稜線部2dの内側にそれぞれ別々に密着して配置されてもよい。充填部材の各々が底壁部2aの中央部分の内面および稜線部2dの内側に密着して配置されていれば、フレーム1の断面変形を抑制する効果が十分得られる。
また、図4に示したフレーム1のVI−VI切断線におけるフレーム1の断面に対しても、図8および図9に示す充填部材の配置を同様に適用することができる。この場合、充填部材41a〜41cは、稜線部2eの内側に密着して配置される。
また、充填部材は、稜線部2dの内側だけではなく、側壁部2bの内面に密着して配置されていてもよい。図10および図11は、本実施形態に係る充填部材の第2の配置例および第3の配置例の各変形例を説明するためのフレーム1の断面図である。図10および図11に示すように、充填部材42a、42bおよび42cは、稜線部2dの内側だけではなく、側壁部2bの内面に密着して配置されてもよい。さらに、充填部材42a、42bおよび42cは、稜線部2eの内側に密着して配置されてもよい。これにより、フレーム1の耐荷重性能を、図8および図9に示した配置例と比較して、同等以上とすることができる。なお、充填部材42a、42bおよび42cの肉厚a(a、a)は、フレーム1に要求される耐荷重性能および重量に応じて適宜設定される。
(第4の配置例)
図12は、本実施形態に係る充填部材の第4の配置例を説明するためのフレーム1の断面図である。なお、図12に示す断面図は、図4に示したフレーム1のV−V切断線におけるフレーム1の断面に相当する。
図12に示すように、本配置例に係る充填部材43は、底壁部2a、および一対の側壁部2bの内面に連続して密着(好ましくは接着)して配置される。側壁部2bでは、フレーム1の曲げにより、面外方向への倒れが生じやすい。図12に示した配置によれば、側壁部2bの内面にも充填部材43が密着して配置されるので、充填部材43が側壁部2bの面外変形を抑制することが可能となる。フレーム1において曲げが生じても、充填部材43により側壁部2bの面外方向への倒れが抑止されるので、フレーム1の断面変形を抑制しつつ、フレーム1の圧潰による衝突エネルギの吸収を行うことができる。すなわち、フレーム1の耐荷重性能のみならず、フレーム1の衝突エネルギの吸収特性を向上させることができる。
なお、図12に示した充填部材43は、一対の側壁部2bと底壁部2aとに連続して密着して配置されているが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、充填部材43は、一対の側壁部2bおよび底壁部2aの内面に、それぞれ別々に密着して配置されてもよい。また、充填部材43は、一対の側壁部2bのいずれかと底壁部2aとに連続して密着して配置されてもよい。すなわち、Y軸方向に直交する断面において、充填部材43がL字状に設けられてもよい。つまり、充填部材43が一対の側壁部2bのいずれかと底壁部2aとにそれぞれ設けられていれば、フレーム1の耐荷重性能のみならず、フレーム1の衝突エネルギの吸収特性を向上させることができる。充填部材の配置位置および充填量については、フレーム1に要求される衝突安全性能および重量に応じて適宜設定され得る。また、図12に示した充填部材43の肉厚a、aおよびaも、適宜設定され得る。
また、図4に示したフレーム1のVI−VI切断線におけるフレーム1の断面に対しても、図12に示す充填部材の配置を同様に適用することができる。この場合、充填部材43は、一対の側壁部2bと天壁部3aとに連続して密着して配置される。
なお、図5〜図12に示した本実施形態に係る充填部材の配置については、屈曲部や穴部等により実現される曲げ誘起部または脆弱部を有さない中空部材により形成されるフレームに対しても適用することができる。例えば、図2に示すフレーム1に屈曲部が設けられない場合、充填部材4は中空部材10の底壁部2aおよび天壁部3aに、中空部材10の長手方向に沿って設けられてもよい。これにより、衝突時において底壁部2aまたは天壁部3aが曲げ内側となるような折れ曲げがフレーム1に生じたとしても、フレーム1の断面変形を抑制することができる。すなわち、屈曲させないことが望ましい方向に対応する中空部材10の内面に充填部材4を密着して配置させることにより、少なくとも当該方向に対するフレーム1の折れ曲げを抑制することができる。
<4.曲げ誘起部の例>
次に、中空部材10に設けられる曲げ誘起部の例について説明する。上記の実施形態では、曲げ誘起部である屈曲部5について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、屈曲部を有さない中空部材(例えば、長手方向において略直線状に延びる中空部材を含む)においては、穴部、凹部、凸部、板厚変化部、および異強度部等が設けられた部分が、曲げ誘起部としての機能を実現する。穴部、凹部、凸部、および板厚変化部のいずれかが設けられた部分は、中空部材10の長手方向で中空部材10の断面係数が変化する部分である。中空部材10の長手方向で断面係数が変化する部分においては、同一の曲げモーメントにより中空部材10に生じる曲げ応力が変化するので、当該部分において中空部材10の曲げが誘起される。より具体的には、長手方向で中空部材10のうち断面係数が相対的に小さい部分については、当該部分における曲げ応力が相対的に大きくなるので、当該部分において屈曲が生じる。また、長手方向で中空部材10のうち断面係数が相対的に大きい部分については、当該部分の中空部材10の長手方向の前後における領域を含む部分の断面係数が相対的に小さくなる。したがって、当該領域と上記断面係数が相対的に大きい部分との境界部分において屈曲が生じる。
また、異強度部は、中空部材10の長手方向で中空部材10の降伏強度が変化する部分である。中空部材10の長手方向で降伏強度が変化する部分においては、当該部分における中空部材10の塑性変形が誘起される。例えば、長手方向で中空部材10のうち降伏強度が相対的に小さい部分については、当該部分における塑性変形が中空部材10において最初に生じるため、当該部分において屈曲が生じる。また、長手方向で中空部材10のうち降伏強度が相対的に大きい部分については、当該部分の中空部材10の長手方向の前後における領域を含む部分の降伏強度が相対的に小さくなる。したがって、当該領域と上記降伏強度が相対的に大きい部分との境界部分において屈曲が生じる。
以下、中空部材10に設けられる曲げ誘起部の具体例について説明する。
(穴部)
図13は、本実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の例を説明するためのフレーム1の断面図である。図13に示すように、底壁部2aには穴部50が設けられている。穴部50が設けられた部分における中空部材10の断面係数は、穴部50が設けられた部分の前後(中空部材10の長手方向についての)における部分の中空部材10の断面係数よりも低い。したがって、図13に示す衝突荷重Fが中空部材10に入力された場合、フレーム1は、穴部50が設けられた部分において、穴部50が曲げ内側となるように屈曲する。すなわち、中空部材10の長手方向において、中空部材10のうち穴部50が設けられた部分が、中空部材10に設けられる曲げ誘起部となる。
そのため、充填部材4は、少なくとも穴部50が設けられた部分における側壁部2bの内面に密着して配置される。これにより、衝突荷重Fの入力により穴部50の近傍において屈曲が生じた場合に、フレーム1の面外変形を抑制し、フレーム1の耐荷重性能を高く維持することができる。
また、穴部の形状および配置については、上述した例に限られない。図14〜図17は、本実施形態に係る中空部材に設けられる穴部の他の例を示す模式図である。図14に示すように、円形の穴部50aが底壁部2aに設けられてもよい。また、図15に示すように、複数の穴部50bが底壁部2aに設けられてもよい。この場合、例えば、複数の穴部50bが、中空部材10Aの長手方向に横切る方向に並んで設けられてもよい。この場合、衝突荷重の入力時において、穴部50bが曲げの起点として、中空部材10Aが底壁部2a側に曲げ変形やすくなる。
また、図16に示すように、中空部材10Aの長手方向に横切る方向に延在する穴部50cが底壁部2aに設けられてもよい。この場合、衝突荷重の入力時において、穴部50cが曲げの起点として、中空部材10Aが底壁部2a側に曲げ変形される。なお、穴部50cの形状は、図16に示す角丸矩形に限定されず、あらゆる形状であってもよい。
なお、上述した中空部材10Aの長手方向に横切る方向は、図14〜図16に示すような、中空部材10Aの長手方向に直交する方向に限定されない。例えば、穴部50が設けられた部分の面において、中空部材10Aの長手方向と当該横切る方向とのなす角が、45度以上90度以下であることが好ましい。これにより、安定した曲げ変形を誘起させることができる。
また、穴部50の設けられる部分は底壁部2aに限られない。例えば、側壁部2bや天壁部3aに穴部50が設けられてもよい。また、穴部50が設けられた部分に対向する部分には、穴部50等が設けられないことが好ましい。例えば、穴部50が底壁部2aに設けられた場合、天壁部3aには別の穴部50の曲げ変形を誘起する部分は設けられないことが好ましい。衝突荷重の入力時に、穴部50が設けられた側に曲げ変形を誘起するためである。
また、図17に示すように、穴部50dが稜線部2dに設けられてもよい。これにより、中空部材10Aのうち長手方向で穴部50dが設けられた部分の断面係数が顕著に低下するので、穴部50dが設けられた部分を曲げの起点とする曲げ変形をより確実に誘起することができる。
(凹部)
図18は、本実施形態に係る中空部材に設けられるビード部の例を説明するためのフレーム1の断面図である。なお、ビード部51は、本実施形態における凹部の一例である。図18に示すように、底壁部2aにはビード部51が設けられている。ビード部51が設けられた部分における中空部材10の断面係数は、ビード部51が設けられた部分の前後(中空部材10の長手方向についての)における部分の中空部材10の断面係数よりも低い。したがって、図18に示す衝突荷重Fが中空部材10に入力された場合、フレーム1はビード部51が設けられた部分において、ビード部51が曲げ内側となるように屈曲する。すなわち、中空部材10の長手方向において、中空部材10のうちビード部51が設けられた部分が、中空部材10に設けられる曲げ誘起部となる。
そのため、充填部材4は、少なくともビード部51が設けられた部分における側壁部2bの内面に密着して配置される。これにより、衝突荷重Fの入力によりビード部51の近傍において屈曲が生じた場合に、フレーム1の面外変形を抑制し、フレーム1の耐荷重性能を高く維持することができる。
なお、凹部の形状および配置については、上述した例に限られない。図19〜図22は、本実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。ここでいう凹部とは、エンボスやビードなどの、中空部材10Bの底壁部2a等に設けられる窪み部分を意味する。図19に示すように、円形の凹部51aが底壁部2aに設けられてもよい。
また、図20に示すように、複数の凹部51bが底壁部2aに設けられてもよい。この場合、例えば、複数の凹部51bが、中空部材10Bの長手方向に横切る方向に並んで設けられてもよい。この場合、衝突荷重の入力時において、複数の凹部51bが曲げの起点として、中空部材10Bが底壁部2a側に曲げ変形されやすくなる。
また、図21に示すように、中空部材10Bの長手方向に横切る方向に延在するビード部51cが底壁部2aに設けられてもよい。この場合、衝突荷重の入力時において、ビード部51cが曲げの起点として、中空部材10Bが底壁部2a側に曲げ変形される。なお、ビード部51cの形状は、図21に示す角丸矩形に限定されず、あらゆる形状であってもよい。
なお、上述した中空部材10Bの長手方向に横切る方向は、図21に示すような、中空部材10Bの長手方向に直交する方向に限定されない。例えば、凹部51が設けられた部分の面において、中空部材10Bの長手方向と当該横切る方向とのなす角が、45度以上90度以下であればよい。
また、凹部51の設けられる部分は底壁部2aに限られない。例えば、側壁部2bや天壁部3aに凹部51が設けられてもよい。また、凹部51が設けられた部分に対向する部分には、凹部51等が設けられないことが好ましい。例えば、凹部51が底壁部2aに設けられた場合、天壁部3aには別の凹部51の曲げ変形を誘起する部分は設けられないことが好ましい。衝突荷重の入力時に、凹部51が設けられた側に曲げ変形を誘起するためである。
また、図22に示すように、凹部51dが稜線部2dに設けられてもよい。これにより、中空部材10Bのうち長手方向で凹部51dが設けられた部分の断面係数が顕著に変化するので、凹部51dが設けられた部分を曲げの起点とする曲げ変形をより確実に誘起することができる。
上述したような凹部51を設ける場合、凹部51の形態は特に限定されないが、凹部51は以下に示す形態を有することが好ましい。例えば、中空部材10Bが高強度鋼板により形成される場合、成型性の観点から、図23に示すように、凹部51の深さD(凹部51が設けられた部分の面511と凹部51の底512との間における、平面に直交する方向の長さ、図23参照)は、中空部材10Bの板厚の3倍以上であることが好ましい。また、中空部材10Bの長手方向における凹部51の縁513同士の距離L(図23参照)は、50mm以下であることが好ましい。
図24は、本実施形態に係る中空部材に設けられる凹部の他の例を示す模式図である。図24に示すように、中空部材10Bの長手方向に延在する凹部51e、51fが、中空部材10Bの長手方向に沿って並んで設けられてもよい。この場合、中空部材10Bのうち、長手方向における凹部51eと凹部51fとの間の部分510で曲げが生じる。すなわち、中空部材10Bのうち、凹部51e、51fが設けられた部分と、凹部51eと凹部51fとの間の部分510とでは断面係数が異なるので、衝突荷重の入力時において、当該部分510を曲げの起点として曲げ変形が生じる。なお、この場合においても、中空部材10Bが高強度鋼板により形成される場合、成型性の観点から、凹部51e、51fの深さDは、中空部材10Bの板厚の3倍以上であることが好ましい。また、当該部分510には、凹部、後述する凸部、薄肉部または異強度部等が形成されていてもよい。
なお、凹部51eおよび凹部51fは、図24に示すように、必ずしも直列に並んでいなくてもよい。また、凹部51eおよび凹部51fは、必ずしも中空部材10Bの長手方向に延在していなくてもよい。例えば、凹部51eおよび凹部51fが設けられた部分の面において、中空部材10Bの長手方向と凹部51eおよび凹部51fの延在方向とのなす角は、0度以上45度以下であればよい。
(凸部)
図25は、本実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の例を説明するためのフレーム1の断面図である。図25に示すように、底壁部2aには凸部52が設けられている。凸部52が設けられた部分における中空部材10の断面係数は、凸部52が設けられた部分の前後(中空部材10の長手方向についての)における部分の中空部材10の断面係数よりも高い。したがって、図25に示す衝突荷重Fが中空部材10に入力された場合、中空部材10の長手方向における凸部52の前後の領域6aまたは6bのうち、最も断面係数が低くなる部分において、凸部52が曲げ内側となるように屈曲する。なお、この領域6aおよび6bは、Y軸方向における、中空部材10の断面係数の変化が生じる領域である。すなわち、中空部材10の長手方向において、中空部材10のうち凸部52およびその前後の領域6aおよび6bを含む部分が、中空部材10に設けられる曲げ誘起部となる。
そのため、充填部材4は、少なくとも凸部52およびその前後の領域6aおよび6bが設けられた部分における側壁部2b内面に密着して配置される。これにより、衝突荷重Fの入力により凸部52の近傍において屈曲が生じた場合に、フレーム1の面外変形を抑制し、フレーム1の耐荷重性能を高く維持することができる。
なお、図25に示した例では、底壁部2aに凸部52が設けられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、凸部52は、側壁部2bまたは天壁部3aに設けられてもよい。より具体的に説明すると、凸部52が、中空部材10の長手方向の一部における同一断面上において一対の側壁部2bおよび天壁部3aに設けられた場合、中空部材10の長手方向における断面係数は、凸部52が設けられた部分で変化するので、フレーム1の曲げが、凸部52が設けられた部分において生じ得る。したがって、この場合においても、凸部52は曲げ誘起部となる。
また、凸部の形状および配置については、上述した例に限られない。図26〜図29は、本実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。ここでいう凸部は、例えば、中空部材10の加工等により実現される。すなわち、かかる凸部は、中空部材10Cを構成する鋼板の一部を変形させて設けられるものであってもよい。図26に示すように、円形の凸部52aが底壁部2aに設けられてもよい。
また、図27に示すように、複数の凸部52bが底壁部2aに設けられてもよい。この場合、例えば、複数の凸部52bが、中空部材10Cの長手方向に横切る方向に並んで設けられてもよい。この場合、衝突荷重の入力時において、中空部材10Cの長手方向における複数の凸部52bの前後の領域のいずれかが曲げの起点として、中空部材10Cが底壁部2a側に曲げ変形されやすくなる。
また、図28に示すように、中空部材10Cの長手方向に横切る方向に延在する凸部52cが底壁部2aに設けられてもよい。この場合、衝突荷重の入力時において、中空部材10Cの長手方向における凸部52cの前後の領域のいずれかが曲げの起点として、中空部材10Cが底壁部2a側に曲げ変形される。なお、凸部52cの形状は、図28に示す角丸矩形に限定されず、あらゆる形状であってもよい。
なお、上述した中空部材10Cの長手方向に横切る方向は、図28に示すような、中空部材10Cの長手方向に直交する方向に限定されない。例えば、凸部52が設けられた部分の面において、中空部材10Cの長手方向と当該横切る方向とのなす角が、45度以上90度以下であればよい。
また、凸部52の設けられる部分は底壁部2aに限られない。例えば、側壁部2bや天壁部3aに凸部52が設けられてもよい。また、凸部52が設けられた部分に対向する部分には、凸部52等が設けられないことが好ましい。例えば、凸部52が底壁部2aに設けられた場合、天壁部3aには別の凸部52等の曲げ変形を誘起する部分は設けられないことが好ましい。衝突荷重の入力時に、凸部52が設けられた側に曲げ変形を誘起するためである。
また、図29に示すように、凸部52dが稜線部2dに設けられてもよい。これにより、中空部材10Cのうち長手方向で凸部52dが設けられた部分の断面係数が顕著に変化するので、凸部52dが設けられた部分を曲げの起点とする曲げ変形をより確実に誘起することができる。
上述したような凸部52を設ける場合、凸部52の形態は特に限定されないが、凸部52は以下に示す形態を有することが好ましい。例えば、中空部材10Cが高強度鋼板により形成される場合、成型性の観点から、図30に示すように、凸部52の高さH(凸部52が設けられた部分の面521と凸部52の頂522との間における、平面に直交する方向の長さ、図30参照)は、中空部材10Cの板厚の3倍以上であることが好ましい。また、中空部材10Cの長手方向における凸部52の縁523同士の距離L(図30参照)は、50mm以下であることが好ましい。
図31は、本実施形態に係る中空部材に設けられる凸部の他の例を示す模式図である。図31に示すように、中空部材10Cの長手方向に延在する凸部52e、52fが、中空部材10Cの長手方向に沿って並んで設けられてもよい。この場合、中空部材10Cのうち、長手方向における凸部52eと凸部52fとの間の部分520で曲げが生じる。すなわち、中空部材10Cのうち、凸部52e、52fが設けられた部分と、凸部52eと凸部52fとの間の部分520とでは断面係数が異なるので、衝突荷重の入力時において、当該部分520を曲げの起点として曲げ変形が生じる。なお、この場合においても、中空部材10Cが高強度鋼板により形成される場合、成型性の観点から、凸部52e、52fの高さ(Hd)は、中空部材10Cの板厚の3倍以上であることが好ましい。また、当該部分520には、上述した凹部、凸部または後述する薄肉部もしくは異強度部等が形成されていてもよい。
なお、凸部52eおよび凸部52fは、図31に示すように、必ずしも直列に並んでいなくてもよい。また、凸部52eおよび凸部52fは、必ずしも中空部材10Cの長手方向に延在していなくてもよい。例えば、凸部52eおよび凸部52fが設けられた部分の面において、中空部材10Cの長手方向と凸部52eおよび凸部52fの延在方向とのなす角は、0度以上45度以下であればよい。
(板厚変化部・薄肉部)
また、底壁部2aには曲げ誘起部を実現する構成として板厚変化部が設けられてもよい。図32は、本実施形態に係る中空部材に設けられる板厚変化部の一例を示す模式図である。ここでいう板厚変化部とは、中空部材10Dの長手方向において板厚が変化する部分を意味する。図32に示すように、中空部材10Dは、第1板厚部111および第2板厚部112を備える。第1板厚部111は中空部材10Dの端部側に設けられ、第2板厚部112は、中空部材10Dの長手方向に沿って第1板厚部111と連続して設けられる。第1板厚部111と第2板厚部112との間では、鋼板の板厚が異なる。板厚の大小関係については特に限定されないが、中空部材10D全体の曲げ剛性の確保の観点から、第2板厚部112の板厚が第1板厚部111の板厚よりも大きいことが好ましい。
この場合、図32に示すように、第1板厚部111と第2板厚部112との境目の部分が板厚変化部113となる。この板厚変化部113において中空部材10Dの長手方向での断面係数が変化する。すなわち、板厚変化部113が曲げ誘起部5に相当する。したがって、衝突荷重が中空部材10Dに入力された場合、フレーム1は板厚変化部113において屈曲する。そのため、充填部材4は少なくとも板厚変化部113が設けられた底壁部2aに密着して配置される。これにより、衝突荷重Fの入力により板厚変化部113の近傍において屈曲が生じた場合に、フレーム1の面外変形を抑制することができる。
また、曲げ誘起部5は、例えば、薄肉部により実現されてもよい。図33は、本実施形態に係る中空部材に設けられる薄肉部の一例を示す模式図である。図33に示すように、底壁部2aには、中空部材10Dの長手方向前後において、他の部分よりも相対的に板厚が薄い薄肉部114が設けられている。薄肉部114を含む部分における中空部材10の断面係数は、薄肉部114が設けられた部分の前後(中空部材10Dの長手方向についての)における部分の中空部材10の断面係数よりも低い。すなわち、中空部材10Dのうち薄肉部114が設けられた部分が曲げ誘起部5に相当する。したがって、衝突荷重が中空部材10Dに入力された場合、フレーム1は薄肉部が設けられた部分において、薄肉部が曲げ内側となるように屈曲する。
かかる板厚変化部を有する中空部材10Dは、例えば、切削、プレス、およびテーラードブランクからなる被加工板により形成されてもよい。かかる被加工板は、溶接線を有するテーラーウェルドブランク(Tailor Welded Blank;TWB)であってもよい。また、上記被加工板は、圧延ロールにより板厚を異ならせて設けられるテーラーロールドブランク(Tailor Rolled Blank;TRB)であってもよい。TWBにおいては、板厚変化部における差厚は0.2mm以上とすることが可能である。また、TRBにおいては、部材長手方向当たりの板厚変化部における板厚変化量は、0.1mm/100mm以上とすることが可能である。
(異強度部・強度変化部)
図34は、本実施形態に係る中空部材に設けられる異強度部の例を説明するためのフレーム1の断面図である。図34に示すように、底壁部2aには異強度部53が設けられている。異強度部53は、例えば、中空部材10に対して部分的に溶接、焼き入れまたは焼き戻し等の熱処理等を行うことにより設けられる。異強度部53が設けられた部分における中空部材10の降伏強度は、異強度部53が設けられた部分の前後(中空部材10の長手方向についての)における部分の中空部材10の降伏強度とは異なる。したがって、図34に示す衝突荷重Fが中空部材10に入力された場合、異強度部53または異強度部53の近傍において、異強度部53が曲げ内側となるように屈曲する。すなわち、中空部材10の長手方向において、中空部材10のうち異強度部53を含む部分が、中空部材10に設けられる曲げ誘起部となる。
この屈曲は、異強度部53または異強度部53の近傍の領域が塑性変形することにより生じる屈曲である。そのため、充填部材4は、少なくとも異強度部53の近傍を含む部分における側壁部2bの内面に密着して配置される。これにより、衝突荷重Fの入力により異強度部53の近傍において屈曲が生じた場合に、フレーム1の面外変形を抑制し、フレーム1の耐荷重性能を高く維持することができる。
なお、図34に示した例では、底壁部2aに異強度部53が設けられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、異強度部53は、側壁部2bまたは天壁部3aに設けられてもよい。より具体的に説明すると、異強度部53が、中空部材10の長手方向の一部における同一断面上において一対の側壁部2bおよび天壁部3aに設けられた場合、当該断面上において底壁部2aの強度が最も低くなる。そうすると、底壁部2aを曲げ内側とするフレーム1の曲げが、異強度部53において生じ得る。したがって、この場合においても、異強度部53は曲げ誘起部となる。
また、異強度部の配置については、上述した例に限られない。図35、図36は、本実施形態に係る中空部材に設けられる異強度部の他の例を示す模式図である。ここでいう異強度部は、中空部材10Eを形成する被加工板に対する溶接または熱処理等により実現される。
図35に示すように、中空部材10Eの長手方向に対する断面周方向に沿って異強度部120が設けられている。この場合も、中空部材10Eのうち異強度部120が設けられた部分が曲げ誘起部5に相当する。したがって、衝突荷重が中空部材10Eに入力された場合、フレーム1は異強度部120が設けられた部分において、異強度部120が曲げ内側となるように屈曲する。
なお、かかる異強度部は、例えば、図36に示したように、底壁部2a等、中空部材10Eの断面を構成する壁部の少なくともいずれかに部分的に設けられてもよい。かかる場合においても、衝突荷重が中空部材10Eに入力された場合、フレーム1は異強度部121が設けられた部分において、異強度部121が曲げ内側となるように屈曲する。
また、曲げ誘起部5は、例えば、強度変化部により実現されてもよい。図37は、本実施形態に係る中空部材に設けられる強度変化部の一例を示す模式図である。図37に示すように、中空部材10Eは、第1強度部122および第2強度部123を備える。第1強度部122は中空部材10Eの端部側に設けられ、第2強度部123は、中空部材10Eの長手方向に沿って第1強度部122と連続して設けられる。第1強度部122と第2強度部123との間では、鋼板の降伏強度が異なる。降伏強度の大小関係については特に限定されないが、中空部材10E全体としての曲げ剛性の確保の観点から、第2強度部123の降伏強度が第1強度部122の降伏強度よりも大きいことが好ましい。
この場合、図37に示すように、第1強度部122と第2強度部123との境目の部分が強度変化部124となる。この強度変化部124において中空部材10Eの長手方向での降伏強度が変化する。すなわち、強度変化部124が曲げ誘起部5に相当する。したがって、衝突荷重が中空部材10Eに入力された場合、フレーム1は強度変化部124において屈曲する。
(組み合わせ)
なお、屈曲部を有する中空部材において、屈曲部の曲げ内側部分に上記の例に示した穴部等の曲げを誘起させるための部分がさらに設けられてもよい。図38は、本実施形態に係る中空部材に設けられる屈曲部および穴部の組み合わせの例を説明するためのフレーム1の断面図である。図38に示すように、中空部材10には屈曲部5Aが設けられ、底壁部2aの曲げ内側部分には穴部54が設けられる。充填部材4は屈曲部5における側壁部2bの内面に密着して配置される。これにより、衝突荷重Fの入力により、屈曲部5において中空部材10をより確実に屈曲させることができる。
曲げ誘起部の組み合わせは図38に示した例に限られず、上記に示した曲げ誘起部の例を複数組み合わせることにより、曲げ誘起部における中空部材10の屈曲をより確実に生じさせることができる。例えば、上述した屈曲部、凹部、凸部、穴部、板厚変化部、薄肉部、異強度部および強度変化部の少なくとも2つ以上の組み合わせにより、曲げ誘起部が実現されてもよい。
<5.中空部材の閉断面の形状の例>
次に、中空部材10の有する閉断面の形状の例について説明する。図39は、本発明の他の実施形態に係る中空部材10の第1の例の長手方向に直交する断面を示す断面図である。図39に示すように、中空部材10の閉断面は、X軸について対称な略六角形の形状を有する。このうち、第1の構造部材2のX軸方向に略直交する部分において、4つの頂点2d、2d、2f、2fが存在する。ここで、頂点2dの内角ang1が頂点2fの内各ang2より小さい場合、頂点2dが稜線部2dとして定義される。すなわち、頂点2f、2fを含む、一対の稜線部2dに挟まれる部分が、底壁部2aと定義される。
図40は、本発明の他の実施形態に係る中空部材10の第2の例の長手方向に直交する断面を示す断面図である。図40に示すように、第1の構造部材2および第2の構造部材30は、ハット形の断面形状を有する。すなわち、中空部材10は、ハット形の断面形状を有する2つの構造部材により形成される。この場合、第1の構造部材2の側壁部2bおよび第2の構造部材30の側壁部30bは、第1の構造部材2の稜線部2eと第2の構造部材30の稜線部30eとを介して、稜線部2dと稜線部30dとを両端とする連続した一つの側壁部(連続側壁部)として定義される。すなわち、中空部材10の閉断面は、底壁部2aと、一対の連続側壁部と、底壁部30a(天壁部に相当)により形成される。
また、中空部材10、および中空部材10の有する閉断面の形状は、図2、図39および図40に示した例に限定されない。中空部材10の有する閉断面の形状が略多角形であり、当該閉断面を形成する底壁部、一対の側壁部および天壁部に相当する部分が定義できれば、本発明に係る技術は中空部材10に対して適用可能である。例えば、中空部材は、U字形の断面形状を有する2つの構造部材を、開口部分が対向するように重ねあわせることにより得られる閉断面を有する中空部材であってもよい。また、中空部材は、円管に対してハイドロフォーミングまたは曲げ加工等を行うことにより形成される中空部材であってもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。本発明の効果を確認するために、本実施例では、充填部材4によるフレームの衝突安全性能の向上効果について検証した。なお、以下の実施例は本発明の効果を検証するために行ったものに過ぎず、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。また、各実施例および比較例に係る充填部材については、特に区別しない限り、「充填部材4」と称して説明する。
本発明者らは充填部材4によるフレームの衝突安全性能の向上効果について検証するために、シミュレーションを用いて、同一の衝突荷重に対する各種フレームの最大荷重Lmax(kN)を算出した。最大荷重Lmaxとは、フレーム1に対して衝突荷重Fが入力された際のフレーム1に関する荷重−ストローク曲線における最大の荷重値を意味する。つまり、同一の衝突荷重に対して最大荷重Lmaxが大きいほど、耐荷重性能が高く、すなわち、衝突安全性能が高いと言える。
本実施例においては、図4に示すフレーム1の屈曲部5Aおよび5Bの内側に充填部材4を所定の部分に密着して配置させ、当該フレーム1の長手方向における端部に対して不図示の衝突体を衝突させた。これにより、衝突荷重Fがフレーム1に対して入力される。衝突荷重Fの入力後における当該衝突体の最大荷重Lmaxを各実施例、比較例および参考例について解析し、結果について検討した。
まず本実施例の試験条件について示す。本実施例において用いられたフレーム1の各寸法(図4参照)は、以下の通りである(単位はmm)。
FL=500
FL1=70
FL2=90
FL=60
FMA=70
FMB=70
また、第1の構造部材2の板厚は2.0mmであり、第1の構造部材2の強度は780MPaである。また、第2の構造部材3の板厚は1.5mmであり、第2の構造部材3の強度は690MPaである。また、フレーム1の重量は、3.63kgである。
各実施例および比較例に係る屈曲部5Aにおける充填部材4の配置は以下の通りである。括弧内の数値は、充填部材4の肉厚および配置位置に関する値である。
実施例1:図5に示す配置(a=10mm、b=15mm、b=15mm)
実施例2:図7に示す配置(a=10mm)
実施例3:図7に示す配置(a=3mm)
実施例4:図7に示す配置(a=30mm)
実施例5:図7に示す配置(a=50mm)
実施例6:図8に示す配置(a、a、c、c=10mm)
実施例7:図9に示す配置(a、c=10mm)
実施例8:図10に示す配置(a、a=10mm)
実施例9:図11に示す配置(a=10mm)
実施例10:図12に示す配置(a、a、a=10mm)
比較例1:図41に示す配置(a、a=10mm、b〜b=15mm)
ここで、図41は、比較例1に係る充填部材の屈曲部5Aにおける配置例を示す断面図である。図41に示すように、比較例1に係る充填部材44aおよび44bは、側壁部2bのそれぞれの中央部分の内面に密着して配置されている。
なお、実施例1〜8に係る充填部材4は底壁部2aの内面(および稜線部2dの内側)に密着して配置されているが、屈曲部5Bにおいては、当該実施例および当該比較例に係る充填部材4は、天壁部3aの内面(および稜線部2eの内側)に密着して配置される。また、実施例9および10に係る充填部材4は、屈曲部5Bにおいても、底壁部2aおよび天壁部3aの内面に密着して配置される。
ここで、充填部材4の密度は176kg/mとし、充填部材4のヤング率および降伏応力は100MPaおよび2.1MPaとした。
また、参考例においては、フレーム1には充填部材4が設けられない。
表1に、各実施例、比較例および参考例に係るフレーム1の総重量および充填部材4の重量を示す。
Figure 2017159896
フレーム1の端部に対して衝突する衝突体の重量は201kgとし、フレーム1の端部に衝突する際の当該衝突体の速度は12m/sとした。
各実施例、比較例および参考例に係る充填部材4の重量、フレームの最大荷重量Lmax、および荷重改善率I(kN/g)を表2に示す。なお、最大荷重量Lmaxとは、フレームが衝突荷重に対して耐え得る荷重である。また、荷重改善率Iとは、参考例に係るフレームの最大荷重と、一の例に係るフレームの最大荷重との差を、当該一の例に係るフレームに設けられた充填部材4の重量(g)で除した値である。すなわち、荷重改善率Iは、充填部材4による耐荷重性能の質量効率を示す値である。
Figure 2017159896
まず、充填部材4の配置に対する荷重改善率Iについて比較した。実施例1と比較例1とを比較すると、充填部材4が側壁部2bの内面に配置されるよりも、底壁部2a(天壁部3a)の内面に配置される方が、荷重改善率Iが高いことが分かる。すなわち、耐荷重性能を効率よく向上させるためには、充填部材4を底壁部2a(天壁部3a)の内面に配置することが好ましいことが示された。
また、実施例6および7、並びに比較例1を比較すると、実施例6および7の方が充填部材の重量が小さいにも関わらず、荷重改善率Iについて良い結果を示した。したがって、充填部材4を稜線部2d(2e)の内側に配置する方が、側壁部2bの内面のみに配置するよりも耐荷重性能に係る質量効率を向上させることができる。一方で、充填部材4が側壁部2bの内面のみに配置される場合は、耐荷重性能の向上にあまり寄与しないことが示された。
また、実施例1と実施例2とを比較すると、最大荷重量Lmaxについては同一の結果を示したが、荷重改善率Iについては実施例1の方が良い結果を示した。したがって、充填部材4を底壁部2a(天壁部3a)の中央部分に配置することにより、耐荷重性能に関する充填部材4の質量効率を向上させることができる。したがって、車両の軽量化をより進めることが可能となる。
また、実施例2〜5を比較すると、充填部材4の肉厚aを増加に応じて、最大荷重量Lmaxおよび荷重改善率Iの双方がより向上する結果が示された。したがって、フレームに要求される衝突安全性能に応じて底壁部2a(天壁部3a)の内面に配置される充填部材4の充填量を調整することにより、適切な耐荷重性能を確保しつつ、車両の軽量化を達成することができる。
また、実施例6および8、並びに実施例7および9を比較すると、最大荷重量Lmaxについて、実施例8および9の方が良い結果を示した。したがって、側壁部2bの内面に充填部材4を密着して配置させることにより、単に稜線部2d(2e)の内側に充填部材4を密着して配置させるよりも、フレーム1の耐荷重性をさらに高めることができる。
また、実施例10については、高い最大荷重量Lmaxが得られた。このことから、充填部材4を底壁部2a(天壁部3a)のみならず、稜線部2d(2e)および側壁部2bに連続的に密着して配置することにより、フレーム1の衝突エネルギの吸収特性を向上させるだけではなく、フレーム1の耐荷重性能もさらに向上させることができる。
以上、上記実施例に示したように、充填部材4を主として底壁部2a(天壁部3a)の内面に密着して配置することにより、薄肉化されたフレーム1の耐荷重性能を高く維持することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 (車両用)フレーム
2 第1の構造部材
2a 底壁部
2b 側壁部
2c フランジ部
2d、2e 稜線部
3、30 第2の構造部材
3a 天壁部
30a 底壁部
30b 側壁部
3c、30c 接合部
30e 稜線部
4 充填部材
5 屈曲部(曲げ誘起部)
10 中空部材
50、54 穴部
51 凹部
52 凸部
53 異強度部

Claims (12)

  1. 底壁部と、前記底壁部の両端から起立した一対の側壁部と、前記底壁部に対向する天壁部とを有し、前記底壁部、前記一対の側壁部および前記天壁部により閉断面を形成する中空部材と、
    前記底壁部または前記天壁部の少なくともいずれかの内面に密着して配置される補強部材と、
    を備える、車両用構造部材。
  2. 前記補強部材は、前記側壁部と前記底壁部または前記天壁部とを接続する稜線部の内側に密着して配置される、請求項1に記載の車両用構造部材。
  3. 前記補強部材は、前記側壁部の内面に密着して配置される、請求項2に記載の車両用構造部材。
  4. 前記中空部材は、前記中空部材の長手方向の一部に曲げ誘起部をさらに備え、
    前記補強部材は、前記曲げ誘起部により誘起される曲げの内側に相当する部分の内面に沿って配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
  5. 前記曲げ誘起部は、前記中空部材の断面の重心により形成される前記長手方向に沿った中心軸の曲率半径が260mm以下である部分である、請求項4に記載の車両用構造部材。
  6. 前記曲げ誘起部は、前記中空部材の断面係数が前記長手方向で変化する部分を含む、請求項4または5に記載の車両用構造部材。
  7. 前記曲げ誘起部は、凹部、凸部、穴部、板厚変化部または薄肉部の少なくともいずれかが設けられた部分を含む、請求項6に記載の車両用構造部材。
  8. 前記凹部、前記凸部または前記板厚変化部の少なくともいずれかが、前記中空部材の前記長手方向に沿って、複数並設される、請求項7に記載の車両用構造部材。
  9. 前記曲げ誘起部は、前記中空部材の降伏強度が前記長手方向で変化する部分を含む、請求項4または5に記載の車両用構造部材。
  10. 前記補強部材は充填部材である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
  11. 前記中空部材を形成する金属板の板厚は2.3mm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
  12. 前記車両用構造部材は、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、クラッシュボックス、ピラー、フロアレインフォースメント、フロアクロスメンバ、バンパーレインフォースメント、サイドシル、ルーフサイドレール、ルーフセンターレインフォースメントまたはトンネルの少なくともいずれかである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
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