JP2020045071A - 車体構造 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、オフセット前面衝突のなかでも衝突対象物が車両側端部近傍の比較的狭い領域に衝突するスモールオーバーラップ衝突時への対応が要求されている。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、簡素かつ軽量な構造によりスモールオーバーラップ衝突時の乗員保護性能を向上した車体構造を提供することである。
請求項1に係る発明は、車室床部の側端部に沿って車両前後方向に延びて形成されるとともに、前端部が前輪の後方側に配置されたサイドシルを有する車体構造であって、前記サイドシルは、車幅方向外側に配置される外側部材と、車幅方向内側に配置される内側部材とを、前記サイドシルの上面部及び下面部の少なくとも一方から上下方向に突出して形成されたフランジ部において接合して構成され、前記サイドシルの前端部近傍において前記外側部材又は前記内側部材の前記フランジ部における一部を車幅方向に張り出させて形成された突出部を有することを特徴とする車体構造である。
これによれば、衝突時にサイドシルの前端部に前輪が衝突した際に、サイドシルに入力される曲げモーメントにより、突出部を起点としてそれよりも前方側のサイドシルが、突出部が設けられた側とは反対側に屈曲する変形が誘発される。この変形は、突出部の位置、形状等の設定により、屈曲位置、変形量を含めてコントロールすることが可能である。
このため、前輪に所定の挙動を発生させて車体から遠ざかるよう誘導し、衝突対象物とサイドシルとの間に前輪が挟み込まれることを防止可能なサイドシルの変形モードを再現性よく発生させることができる。
その結果、前輪からの入力に起因する車室変形を抑制し、乗員保護性能を向上することができる。
これによれば、簡単な構成により確実に上述した効果を得ることができる。
また、このようなビード状の形状は、部材のプレス成型時に同時に形成することが可能であり、既存のサイドシルの製造工程に大きな変更を加えることなく適用することができる。
これによれば、突出部を起点として誘発されるサイドシルの曲げ変形を促進することにより、上述した効果をより高めることができる。
これによれば、簡単な構造により上述した効果を適切に得ることができる。
これによれば、衝突初期にサイドシルの前端部を圧壊させ、サイドシルの長手方向に対して傾斜した斜面を形成することが可能となり、この斜面を利用して前輪の挙動をより精度よく制御し、上述した効果を促進して衝突時の乗員保護性能をさらに向上することができる。
これによれば、簡単な構造により上述した効果を適切に得ることができる。
これによれば、サイドシルの前部を車幅方向内側に屈曲させることにより、前輪の後端部を車幅方向内側に振ることで前輪をトーアウト側にステアさせ、前輪を車幅方向外側に転動させて車体から遠ざかる方向に退避させることが可能となる。
これによれば、サイドシルを車幅方向内側、外側のいずれにも屈曲可能とすることにより、前輪が車体に衝突する際の入力位置や前輪の姿勢が異なる場合であっても、適切に前輪による車体へのダメージを抑制することができる。
これによれば、前輪がサイドシルの長手方向に対して内側から衝突した場合には、車両前方側の突出部を起点としてサイドシルを外側に屈曲させることにより、サイドシルの前端部により前輪を車幅方向外側に案内することができる。
例えば、衝突時に大舵角の転舵が行われていた場合や、衝突によるタイロッド等の操舵系の破損が生じた場合などのように、前輪が著大なトーアウト状態で後退し、前輪の後端部の車幅方向外側のショルダー部がサイドシルの長手方向に対して内側から衝突した場合には、車両前方側の突出部を起点としてサイドシルを外側に屈曲させ、前輪を早期に安定した状態で車幅方向外側へ転がり出るよう誘導することにより、前輪による車室へのダメージを抑制することができる。
一方、前輪がサイドシルの長手方向に対して外側から衝突した場合には、車両後方側の突出部を起点としてサイドシルを内側に屈曲させることにより、前輪をトーアウト側にステアさせて車幅方向外側に転がり出るよう案内することができる。
以下、本発明を適用した車体構造の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の車体構造は、例えば、乗用車等の自動車の車体に適用されるものである。
図1は、第1実施形態の車体構造を有する車両のプラットフォームの模式的斜視図である。
図1は、車両左側の斜め前方側かつ斜め上方側から見た状態を示している。
図1に示すように、プラットフォーム(車台)1は、左右一対の前輪FW及び後輪RWをそれぞれ有する4輪の乗用車のものである。
プラットフォーム1は、フロア10、トーボード20、Aピラー30、フロントサイドフレーム40、フロントクロスメンバ50、アッパサイドフレーム60、フロアリアクロスメンバ70、リアサイドフレーム80、リアフロア90、サイドシル100等を有して構成されている。
フロア10は、プラットフォーム1の前後方向における中間部分に配置されている。
フロア10の本体部は、鋼板をプレス成型して構成されたフロアパネルにより構成されている。
フロア10の車幅方向における中央部には、車室内側に張り出したフロアトンネル11が形成されている。
フロアトンネル11は、車両前後方向に延びて形成されている。
フロアトンネル11の内部(床下側)には、図示しないトランスミッション、プロペラシャフト、排気装置などが収容される。
クロスメンバ12,13は、鋼板をプレス成型して下方に開いたハット状の断面形状を有するパネル状の部材を有し、フロア10に接合することによって、閉断面を有する補強構造を構成する部材である。
クロスメンバ12,13は、車両前方側から順次配列されるとともに、車幅方向にほぼ沿って延びて配置されている。
クロスメンバ12,13の車幅方向内側の端部は、フロアトンネル11に接続されている。
クロスメンバ12,13の車幅方向外側の端部は、サイドシル100に接続されている。
トーボード20は、キャビンとエンジンルームとの間を区画する隔壁として機能する。
トーボード20の上部には、ワイパ装置等が収容されるカウル部21が設けられる。
カウル部21は、図示しない車両のフロントウインドウガラスの下端部と隣接して配置されている。
Aピラー30は、トーボード20の側端部に沿って配置されている。
また、Aピラー30の図示しない上部は、フロントウインドウガラスの側部に沿って配置されている。
Aピラー30の下部は、サイドシル100の前端部と接続されている。
フロントサイドフレーム40は、車幅方向に離間して一対設けられている。
フロントサイドフレーム40の前半部は、トーボード20から車両前方側に突出している。
フロントサイドフレーム40の図示しない後半部は、フロア10の下部に接続されている。
フロントサイドフレーム40は、フロア10の前端部近傍における下方において、サイドシル100の前端部と、閉断面構造を有する補強構造体である図示しないトルクボックスを介して連結されている。
フロントサイドフレーム40の前端部には、バンパビーム41が取り付けられている。
バンパビーム41は、車幅方向にほぼ沿って伸びた梁状の部材であって、図示しないバンパフェイスの内側に配置され、衝突時に入力される荷重をフロントサイドフレーム40に伝達するものである。
フロントクロスメンバ50は、前輪FWを支持する図示しないフロントサスペンションのトランスバースリンク(ロワアーム)や、防振弾性体を介してエンジン等のパワートレーンを支持するエンジンマウントが取り付けられる基部となる。
アッパサイドフレーム60は、左右一対が設けられ、これらは前端部において、車幅方向に延びて形成されたラジエータアッパサポート61により連結されている。
ラジエータアッパサポート61は、図示しないラジエータコア、エアコンディショナのコンデンサの上端部を保持するとともに、前照灯装置や、ラジエータグリル等の外装部材、図示しないフードのラッチ装置等が取り付けられる部材である。
ストラット保持部62は、フロントサスペンションのダンパ及びスプリングをユニット化したストラットの上部が収容されるとともに、ストラットの上端部が締結される部分である。
ストラット保持部62は、アッパサイドフレーム60から車幅方向内側に張り出して配置され、その下端部はフロントサイドフレーム40に接続されている。
フロアリアクロスメンバ70は、図示しない後席の足元部分の後方においてフロア10から上方に突出して形成されている。
フロアリアクロスメンバ70の車幅方向における両端部は、左右のサイドシル100の後端部にそれぞれ連結されている。
リアサイドフレーム80は、左右一対が設けられる。
リアサイドフレーム80には、後輪RWを支持するサスペンション装置が取り付けられる図示しないリアサブフレーム等が取り付けられる。
リアフロア90は、例えば鋼板をプレス成型したパネル状に構成されている。
図2は、第1実施形態の車体構造におけるサイドシル前端部周辺を斜め前方側かつ斜め上方側から見た斜視図(図1におけるII部矢視図)である。
図3は、第1実施形態の車体構造におけるサイドシルの前端部を斜め前方側かつ斜め上方側から見た斜視図である。
図4は、第1実施形態の車体構造におけるサイドシルの模式的三面図である。
図4(a)は、左側のサイドシル100の長手方向における車両前方側から見た図である。
図4(b)は、図4(a)のb−b部矢視図であって、車幅方向外側(左側)から見た図である。
図4(c)は、図4(b)のc−c部矢視図であって、上方から見た図である。
(後述する図10乃至図12において同じ)
外側部材110、内側部材120は、それぞれ例えば高張力鋼からなる鋼板をプレス成型して形成されている。
これらは例えばプレス加工により一体に形成されている。
側面部111は、上下方向及び車両前後方向にほぼ沿って伸びた平面状に形成されている。
側面部111の前端部には、下方側の前縁部を上方側に対して車両後方側へ後退させて形成した凹部111aが設けられている。
このため、下面部113、下側フランジ115の前端部は、上面部112、上側フランジ114の前端部に対して車両後方側にオフセットして配置されている。
上面部112は、サイドシル100の本体部における上面部の車幅方向外側の半部を構成する。
下面部113は、側面部111の下端部から車幅方向内側に突出した面部である。
下面部113は、サイドシル100の本体部における下面部の車幅方向外側の半部を構成する。
上側フランジ114は、上面部112の全長にわたって設けられている。
上側フランジ114は、内側部材120の上側フランジ124と、例えばスポット溶接、レーザ溶接、構造用接着剤等により結合される。
下側フランジ115は、下面部113の全長にわたって設けられている。
下側フランジ115は、内側部材120の下側フランジ125と、例えばスポット溶接、レーザ溶接、構造用接着剤等により結合される。
ビード116は、図4(c)に示すように、上方から見た平面形が車幅方向外側に凸となる円弧状となるように形成され、図4(b)等に示すように、上側フランジ114の全高にわたって上下方向に伸びて形成されている。
ビード116は、車両前後方向における位置が、フロア10に設けられたクロスメンバ12と少なくとも一部で重なった位置に配置されている。
開口117は、車両前後方向における位置が、ビード116と少なくとも一部で重複するように配置されている。
開口117の車幅方向における位置は、製造上の制約の範囲内で極力ビード116に寄せて配置することが好ましい。
開口117は、例えば、車両前後方向(サイドシル100の長手方向)に沿った長軸を有する長円状の長穴として形成されている。
開口118は、上面部112における車幅方向外側の端部近傍に配置されている。
開口118は、例えば、車幅方向にほぼ沿った長軸を有する長円状の長穴として形成されている。
開口119は、側面部における上端部近傍に配置されている。
開口119は、例えば、上下方向にほぼ沿った長軸を有する長円状の長穴として形成されている。
開口118,119は、車両前後方向における位置が同じ位置に配置されている。
この斜面は、スモールオーバーラップオフセット衝突時に、前輪FWを車幅方向外側へ車体から遠ざける方向に案内する機能を有する。
開口118,119は、本発明にいう稜線破壊誘因部として機能する。
これらは例えばプレス加工により一体に形成されている。
側面部121は、フロア10の側端部に接合される。
側面部121は、上下方向及び車両前後方向にほぼ沿って伸びた平面状に形成されている。
側面部121の前端部には、下方側の前縁部を上方側に対して車両後方側へ後退させて形成した凹部121aが設けられている。
このため、下面部123、下側フランジ125の前端部は、上面部122、上側フランジ124の前端部に対して車両後方側にオフセットして配置されている。
上面部122は、サイドシル100の本体部における上面部の車幅方向内側の半部を構成する。
下面部123は、側面部121の下端部から車幅方向外側に突出した面部である。
下面部123は、サイドシル100の本体部における下面部の車幅方向内側の半部を構成する。
上側フランジ124は、上面部122の全長にわたって設けられている。
下側フランジ124は、下面部123の車幅方向外側の端部から上方に突出した面部である。
下側フランジ124は、下面部122の全長にわたって設けられている。
アウタパネル130は、側面部131、上面部132等を有する。
側面部131は、外側部材110の側面部111の車幅方向外側に設けられる面部である。
側面部131は、Aピラー30の側面部(車幅方向外側の面部)から連続して形成されている。
上面部132は、外側部材110の上面部112の上方に重ねて配置されている。
上面部132には、切欠部133が形成されている。
切欠部133は、上面部132における車幅方向内側の縁部の一部を、車幅方向外側へ凹ませて形成されている。
切欠部133は、外側部材110のビード116及び開口117を避け、後述する衝突時のサイドシル100の屈曲変形を阻害しないよう形成されている。
図5は、第1実施形態の車体構造におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時における車輪と車体との衝突直前の状態を示す図である。
図6は、第1実施形態の車体構造におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時における車輪と車体との衝突直後の状態を示す図である。
図7は、第1実施形態の車体構造におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時における車体の変形中の状態を示す図である。
図8は、第1実施形態の車体構造におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時における車体の変形中の状態を示す図であって、図7に示す状態の後の状態を示す図である。
図9は、第1実施形態の車体構造におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時における車体の変形中の状態を示す図であって、図8に示す状態の後の状態を示す図である。
なお、前輪FWが車体構造にダメージを与えるのは主に金属製のリム部分であることから、図5乃至図9においては、タイヤ部分は図示を省略している。
Aピラー30には、前輪FWから、車両後方側への荷重が入力される。
Aピラー30に入力された荷重の一部は、サイドシル100の前端部に伝達される。
Aピラー30に入力される荷重が、Aピラー30の変形破壊強度よりも大きい場合には、Aピラー30は圧壊を開始しつつ、前輪FWとともに車体の他部に対して後退を開始する。
また、このとき、サイドシル100の前端部においては、外側部材100の側面部111と上面部112との間の稜線が開口118,119の付近において破壊され、図3に示す領域Rの部分が三角形状の斜面となる。
このとき、前輪FWの後端部とサイドシル100の先端部との干渉により、前輪FWは、トーアウト側(前端部が車幅方向外側に開く方向)にステアされる。
その結果、前輪FWは転動しつつ車体に対して車幅方向外側に相対変位し、車体から遠ざかる方向に転がり出る挙動を示す。
図9に示すように、最終的には前輪FWは、サイドシル100等の車体に対して車幅方向外側に退避し、これによりAピラー30等が前輪FWに押されて後退し、車室内に侵入することが防止され、乗員保護性能が向上する。
(1)衝突時にサイドシル100の前方側から前輪FWが衝突した際に、サイドシル100に入力される曲げモーメントにより、ビード116を起点としてそれよりも前方側のサイドシル100が、ビード116が設けられた側とは反対側(車幅方向内側)に屈曲する変形が誘発される。この変形は、ビード116の位置、形状等の設定により、屈曲位置、変形量含めコントロールすることが可能である。
これにより、前輪FWの後端部を車幅方向内側に振り、前輪FWをトーアウト側にステアさせることができ、車体から遠ざかるよう転動させて衝突対象物とサイドシル100との間に前輪FWが挟み込まれることを防止するサイドシル100の変形を再現性よく得ることができる。
その結果、前輪FWからの入力に起因するAピラー30の後退などの車室変形を抑制し、乗員保護性能を向上することができる。
(2)サイドシル100の屈曲の起点となる突出部を、上側フランジ115に形成されたビード116としたことにより、外側部材110のプレス成形時にビード116を同時に形成することが可能であり、既存のサイドシルの製造工程に大きな変更を加えることなく本発明を適用することができる。
(3)上面部112のビード116と隣接する箇所に開口117を形成することにより、ビード116を起点として誘発されるサイドシル100の曲げ変形を促進し、簡単な構成により上述した効果を高めることができる。
(4)サイドシル100のビード116よりも前方の領域に、開口118,119を設けたことにより、衝突初期にサイドシル100の前端部の領域Rを圧壊させ、サイドシル100の長手方向に対して傾斜した斜面を形成することが可能となる。この斜面を利用して前輪FWの挙動をより精度よく制御し、上述した効果を促進して衝突時の乗員保護性能をさらに向上することができる。
次に、本発明を適用した車体構造の第2実施形態について説明する。
以下説明する各実施形態において、従前の実施形態と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図10は、第2実施形態の車体構造におけるサイドシルの前端部の模式的三面図である。
第2実施形態の車体構造においては、サイドシル100の外側部材110の上面部112に設けられる開口117を、車両前方側が後方側に対して車幅方向内側となるように長軸が傾斜した長円状の長穴として形成されている。
以上説明した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果と同様の効果に加え、開口117の長軸方向をサイドシル100の変形時における屈曲方向に沿って配置することにより、衝突時にビード116を中心とするサイドシル100の曲げ変形をより確実に誘発することができる。
次に、本発明を適用した車体構造の第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態の車体構造におけるサイドシルの前端部の模式的三面図である。
第3実施形態の車体構造においては、サイドシル100の外側部材110の上面部112に形成される開口117を、車幅方向に分散して複数(例えば2個)設けている。
以上説明した第3実施形態によれば、例えば側面衝突対応、オブリーク衝突対応などのためにサイドシル100の車幅方向における寸法が拡大した場合であっても、サイドシル100の曲げ変形を確実に誘発して上述した効果を得ることができる。
次に、本発明を適用した車体構造の第4実施形態について説明する。
図12は、第4実施形態の車体構造におけるサイドシルの前端部の模式的三面図である。
図12に示すように、第4実施形態のサイドシル100は、内側部材120に、以下説明するビード126、開口127を形成している。
ビード126は、図12(c)に示すように、上方から見た平面形が車幅方向内側に凸となる円弧状となるように形成され、図4(a)に示すように、上側フランジ124の全高にわたって上下方向に伸びて形成されている。
ビード126は、車両前後方向における位置が、外側部材110のビード116よりも車両前方側となるように配置されている。
開口127は、車両前後方向における位置が、ビード126と少なくとも一部で重複するように配置されている。
開口127の車幅方向における位置は、製造上の制約の範囲内で極力ビード126に寄せて配置することが好ましい。
開口127は、例えば、車両前後方向(サイドシル100の長手方向)に沿った長軸を有する長円状の長穴として形成されている。
また、内側部材120のビード126を、外側部材110のビード116よりも車両前方側に配置したことにより、前輪FWがサイドシル100の長手方向に対して内側から衝突した場合には、車両前方側のビード126を起点としてサイドシル100を外側に屈曲させることにより前輪FWを車幅方向外側に押し出すことができる。
例えば、衝突時に大舵角の転舵が行われていた場合や、衝突によるタイロッド等の操舵系の破損が生じた場合などのように、前輪FWが著大なトーアウト状態で後退し、前輪FWの後端部の車幅方向外側のショルダー部が、サイドシル100の前端部の車幅方向内側の領域に衝突する場合に、サイドシル10を外側に屈曲させて前輪FWを早期に安定した状態で車幅方向外側へ転がり出るよう誘導することにより、前輪FWによる車室へのダメージを抑制することができる。
一方、前輪FWがサイドシル100の長手方向に対して外側から衝突した場合には、車両後方側のビード116を起点としてサイドシル100を内側に屈曲させることにより、前輪FWをトーアウト側にステアさせて車幅方向外側に転がり出すよう案内することができる。
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車体構造及びサイドシルの具体的構成等は、上述した各実施形態に限定されることなく、適宜変更することが可能である。
例えば、各実施形態においては、サイドシルはAピラーの下端部から後方側へ延びて配置されているが、サイドシルの前端部がAピラーの下端部から前方へ突出する構成としてもよい。
また、サイドシルの外部又は内部に、パッチ、ダブラ、セパレータ等の各種補強部材を設ける構成としてもよい。
(2)各実施形態においては、サイドシルの上側のフランジに突出部(ビード)を形成しているが、サイドシルの下側のフランジに突出部を形成してもよい。
また、上下両方のフランジに突出部を形成してもよい。
また、突出部の形状もビード状(畝状、突条状)のものに限らず、例えばバルジ状、コブ状など他の形態であってもよい。
(3)第1乃至第3実施形態においては、外側部材のフランジに突出部(ビード)を形成し、サイドシルの前端部が車幅方向内側に変位する方向にサイドシルを屈曲させているが、車両の構成上サイドシルの前端部が車幅方向外側に変位する方向にサイドシルを屈曲させるほうが好ましい場合には、内側部材のフランジに突出部を形成する構成としてもよい。
また、第4実施形態においては、内側部材のフランジの突出部を外側部材のフランジの突出部に対して車両前方側に配置しているが、内側部材のフランジの突出部を外側部材のフランジの突出部に対して車両後方側に配置してもよい。
また、外側部材のフランジ、内側部材のフランジの少なくとも一方に、前後方向に分散した複数の突出部を設けてもよい。
(4)各実施形態においては、突出部(ビード)に隣接して設けられる脆弱部を開口としているが、この脆弱部は開口に限らず、他の構成としてもよい。
(5)各実施形態において、サイドシルにおける突出部よりも前方の稜線破壊誘因部として、上面部112及び側面部111に開口118,119を形成しているが、稜線破壊誘因部の構成はこのような開口に限らず、他の構成であってもよい。
また、予めサイドシルの前端部を、車両前方側が窄まった斜面状に形成してもよい。
11 フロアトンネル 12 クロスメンバ
13 クロスメンバ 20 トーボード
21 カウル部 30 Aピラー
40 フロントサイドフレーム 41 バンパビーム
50 フロントクロスメンバ 60 アッパサイドフレーム
61 ラジエータアッパサポート 62 ストラット保持部
70 フロアリアクロスメンバ 80 リアサイドフレーム
90 リアフロア 100 サイドシル
110 外側部材 111 側面部
111a 凹部 112 上面部
113 下面部 114 上側フランジ
115 下側フランジ 116 ビード
117 開口 118 開口
119 開口 120 外側部材
121 側面部 121a 凹部
122 上面部 123 下面部
124 上側フランジ 125 下側フランジ
126 ビード 127 開口
130 アウタパネル 131 側面部
132 上面部 133 切欠部
R 衝突時に圧壊する領域
FW 前輪 RW 後輪
Claims (9)
- 車室床部の側端部に沿って車両前後方向に延びて形成されるとともに、前端部が前輪の後方側に配置されたサイドシルを有する車体構造であって、
前記サイドシルは、車幅方向外側に配置される外側部材と、車幅方向内側に配置される内側部材とを、前記サイドシルの上面部及び下面部の少なくとも一方から上下方向に突出して形成されたフランジ部において接合して構成され、
前記サイドシルの前端部近傍において前記外側部材又は前記内側部材の前記フランジ部における一部を車幅方向に張り出させて形成された突出部を有すること
を特徴とする車体構造。 - 前記突出部は、前記フランジ部の高さ方向に沿って伸びたビード状に形成されること
を特徴とする請求項1に記載の車体構造。 - 前記外側部材と前記内側部材とのうち前記突出部が形成された側における前記フランジ部と隣接する上面部又は下面部に、前記突出部の近傍に配置された脆弱部を形成したこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体構造。 - 前記脆弱部は、前記突出部と車両前後方向における位置が少なくとも一部で重複した開口であること
を特徴とする請求項3に記載の車体構造。 - 前記サイドシルにおける前記突出部よりも前方側の領域に、前記外側部材の上面部と下面部との少なくとも一方と、側面部との間に形成される稜線部の強度を低下させる稜線破壊誘因部を設けたこと
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記稜線破壊誘因部は、前記外側部材の側面部に形成された第1の開口と、前記外側部材の上面部と下面部との少なくとも一方に形成され前記第1の開口と隣接して配置された第2の開口とを有すること
を特徴とする請求項5に記載の車体構造。 - 前記突出部を前記外側部材に設けたこと
を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記外側部材に設けた前記突出部と前記内側部材に設けた前記突出部とを前後方向に配列したこと
を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記内側部材に設けた前記突出部を前記外側部材に設けた前記突出部よりも車両前方側に配置したこと
を特徴とする請求項8に記載の車体構造。
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