JPWO2013147118A1 - N−フェニル−n’−フェニルスルホニルピペラジン誘導体およびその中間体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの引用文献1〜6において、その合成中間体として5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノールが開示されているのは特許文献6のみである。しかしながら、特許文献6には、5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノールが昇華性を有するために取り扱いが困難であることは記載されていない。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)、(1A)、(5A)、(5B)、(6A)〜(6J)および(8A)に関する。
(1)
式(I):
(式中、Xはハロゲン)で示される化合物の塩。
(1A)2価の塩である、上記(1)記載の塩。
(2)
マグネシウム塩またはアルカリ土類金属塩である、上記(1)記載の塩。
(3)
マグネシウム塩またはカルシウム塩である、上記(1)または(2)に記載の塩。
(4)
Xが塩素である、上記(1)〜(3)または(1A)のいずれかに記載の塩。
(5)
式(I):
Xが塩素である式(I)で示される化合物のマグネシウム塩の結晶である、上記(5)記載の結晶。
(6A)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.8°±0.2°、8.1°±0.2°、8.4°±0.2°、8.9°±0.2°および15.6°±0.2°にピークを有する、上記(6)記載の結晶。
(6B)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.8°±0.2°、8.1°±0.2°、8.4°±0.2°、8.9°±0.2°、15.6°±0.2°、21.0°±0.2°、23.5°±0.2°、24.7°±0.2°、25.6°±0.2°および26.1°±0.2°にピークを有する、上記(6)記載の結晶。
(6C)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0°±0.2°、15.5°±0.2°、24.6°±0.2°、25.5°±0.2°および26.0°±0.2°にピークを有する、上記(6)記載の結晶。
(6D)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.0°±0.2°、9.9°±0.2°、12.8°±0.2°、15.5°±0.2°、16.3°±0.2°、17.2°±0.2°、20.0°±0.2°、24.6°±0.2°、25.5°±0.2°および26.0°±0.2°にピークを有する、上記(6)記載の結晶。
(6E)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.8°±0.2°、8.4°±0.2°、8.8°±0.2°、21.0°±0.2°および23.4°±0.2°にピークを有する、上記(6)記載の結晶。
(6F)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.8°±0.2°、8.4°±0.2°、8.8°±0.2°、19.7°±0.2°、20.2°±0.2°、21.0°±0.2°、23.4°±0.2°、23.8°±0.2°、24.8°±0.2°および26.2°±0.2°、にピークを有する、上記(6)記載の結晶。
(6G)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記(6)記載の結晶。
(6H)
図2に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記(6)記載の結晶。
(6I)
図3に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記(6)記載の結晶。
(6J)
上記(5)、(6)、(5A)、(5B)または(6A)〜(6J)のいずれかに記載の結晶の製造方法。
(7)
式(I):
(式中、Xは前記と同意義)で示される化合物を、マグネシウムのハロゲン化物、マグネシウムの水素化物、マグネシウムの水酸化物、マグネシウムのオキソ酸塩、マグネシウムの有機酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属のオキソ酸塩、またはアルカリ土類金属の有機酸塩で処理することを特徴とする、式(I)で示される化合物のマグネシウム塩またはアルカリ土類金属塩の製造方法。
(7A)
式(II):
(式中、Xは前記と同意義)で示される化合物を得る工程を含む、上記(7)記載の製造方法。
(8)
式(II)で示される化合物またはその塩を、トリフェニルホスフィン、ハロゲン化剤および塩基の存在下で環化させる、上記(7A)記載の製造方法。
(8A)
ハロゲン化剤がトリフェニルホスフィンのハロゲン化剤である、上記(8)記載の製造方法。
式(I):
(式中、Xはハロゲン)で示される化合物のマグネシウム塩またはアルカリ土類金属塩を酸で処理することにより、式(I)で示される化合物を得、
得られた式(I)で示される化合物を、パラジウム触媒、ホスフィンリガンド、および塩基の存在下、式(IV):
「2価の塩」としては、ベリリウム塩、マグネシウム塩、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩およびラジウム塩)、遷移金属の塩(亜鉛塩、鉄塩など)が挙げられる。好ましくは、マグネシウム塩、アルカリ土類金属塩である。
「アルカリ土類金属塩」としては、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩およびラジウム塩が挙げられる。好ましくは、カルシウム塩が挙げられる。
水素化マグネシウム、水素化カルシウム等のマグネシウムもしくはアルカリ土類金属の水素化物;
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のマグネシウムもしくはアルカリ土類金属の水酸化物;
炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム等のマグネシウムもしくはアルカリ土類金属のオキソ酸塩;
酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等のマグネシウムもしくはアルカリ土類金属の有機酸塩等が挙げられる。例えば、マグネシウムもしくはアルカリ土類金属のハロゲン化物が挙げられる。例えば、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが挙げられる。例えば、塩化マグネシウムが挙げられる。
上記(10)の式(VII)で示される化合物またはその塩を得る反応において、「塩基」としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等を用いることができる。例えば、炭酸カリウムが挙げられる。
例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)との塩等が挙げられる。
例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウムとの塩等が挙げられる。
例えば、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウムとの塩等が挙げられる。
例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、メタンスルホン酸との塩等が挙げられる。
これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
(式中、Xはハロゲン)
A製造方法は、A−1工程において、式(II)で示される化合物またはその塩を環化させ、式(I)で示される化合物を得、得られた化合物をA−2工程において、マグネシウムのハロゲン化物、マグネシウムの水素化物、マグネシウムの水酸化物、マグネシウムのオキソ酸塩、マグネシウムの有機酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属のオキソ酸塩、またはアルカリ土類金属の有機酸塩で処理することによって、式(I)で示される化合物のマグネシウム塩またはアルカリ土類金属塩、およびその結晶を製造する方法である。
また、式(II)で示される化合物またはその塩を、トリフェニルホスフィンとハロゲン化剤を反応させて調製した溶液と反応させた後、塩基で処理することによって環化させることもできる。
トリフェニルホスフィンは、式(II)で示される化合物またはその塩に対して、1〜5モル当量用いることができる。
ハロゲン化剤は、式(II)で示される化合物またはその塩に対して、1〜5モル当量用いることができる。
塩基としては、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等)等を用いることができる。例えば、トリメチルアミンを用いることができる。式(II)で示される化合物またはその塩に対して、塩基を2〜10モル当量用いることができる。
反応温度は、室温〜溶媒還流温度で反応させることができる。
反応時間は、30分〜24時間で反応させることができる。
溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、及びアセトニトリルを単独又は混合して用いることができる。例えば、アセトニトリルを用いることができる。
なお、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶、又は/及び蒸留等の一般的な方法により、単離精製することができる。また、精製せずに次の反応に用いることもできる。
上記の製造方法によって得られる式(I)で示される化合物のマグネシウム塩またはアルカリ土類金属塩の結晶は、粉末X線回折によってX線回折パターンを得ることができる。
(式中、Xはハロゲン)
B製造方法は、B−1工程において、式(I)で示される化合物のマグネシウム塩または式(I)で示される化合物のアルカリ土類金属塩等を酸で処理することにより、式(I)で示される化合物を得た後、式(VIII)で示される化合物またはその塩を製造する方法である。ここで、式(VIII)で示される化合物またはその塩は、特許文献6に記載の方法に従って、式(I)で示される化合物から調製することができる。
B−1工程において、酸としては、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)を用いることができる。例えば、酢酸を用いることができる。式(I)で示される化合物のマグネシウム塩または式(I)で示される化合物のアルカリ土類金属塩等に対して、0.5〜15モル当量用いることができる。
反応温度は、室温〜溶媒還流温度で反応させることができる。
反応時間は、30分〜24時間で反応させることができる。
溶媒としては、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水および酢酸を単独又は混合して用いることができる。例えば、トルエン、メタノールおよび水の混合溶媒を用いることができる。
なお、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶、又は/及び蒸留等の一般的な方法により、単離精製することができる。また、精製せずに次の反応に用いることもできる。
結晶性有機化合物は、3次元空間に周期的に配列された多数の原子よりなる。構造周期性は、通例、ほとんどの分光学的プローブ(例えば、X線回折、赤外スペクトル、ラマンスペクトルおよび固体NMR)によって明確に区別可能な物理的特性を発現する。X線回折(XRPD)は、固体の結晶性を測定するための最も感度の良い分析法のうちの1つである。X線が結晶に照射されると、結晶格子面で反射し、互いに干渉しあい、ブラッグ則よって予測される条件を満たす方向の回折線のみ強度が増大し、それ以外は打ち消しあって観測されない。一方、非晶質固体については広範囲の秩序だった回折線は認められない。非晶質固体は、通常、反復する結晶格子の広い範囲の秩序が不存在であるため、ハローパターンと呼ばれるブロードなXRPDパターンを示す。
TG/DTAは医薬活性成分の温度または時間に係る重量および熱量の変化を測定する方法であり、得られたデータを温度または時間に対してプロットすることにより、TG(熱重量)およびDTA(示差熱)曲線が得られる。TG/DTA曲線より、医薬活性成分の分解、脱水、酸化、還元、昇華、蒸発に関する重量および熱量変化の情報を得ることができる。
TG/DTAにおいて、「融点」とは、オンセット温度をいう。
TG/DTAについて、観察される温度、重量変化は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法および特定の装置に依存し得ることが知られている。結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変化し得る。
実施例中、以下の略号を使用する。
Me:メチル
DMSO:ジメチルスルホキシド
トリフェニルホスフィン(140.96g、537.41mmol)をアセトニトリル(550mL)に懸濁した。20℃で反応液に塩素(37.79g、532.93mmol)を導入し、ジクロロトリフェニルホスホランアセトニトリル溶液611.28gを調製した。
4−クロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−オキソエチル)ベンズアミド(I−1、5.97g、27.94mmol )をアセトニトリル(12mL)に懸濁し、上記で調製したジクロロトリフェニルホスホランアセトニトリル溶液(42.85g)を25℃で1時間45分かけて滴下した。反応液を55分間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(11.31g、111.77mol)を25℃で2時間かけて滴下した。反応液を25℃で2時間52分攪拌した。反応液に水(12mL)を25℃で加え、60℃に昇温した。反応液に塩化マグネシウム6水和物(2.84g、13.98mmol)を水(6mL)に溶解して調製した塩化マグネシウム水溶液を60℃で1時間かけて滴下した。反応液を25℃に冷却し、終夜放置した。生じた結晶をろ取し、マグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート ](I−2、5.08g、96.1%)を得た。
元素分析:C 51.67%, H 2.60%, Cl 16.76%, N 6.72%, Mg 5.65%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 6.33(dd, J=8.4 Hz, 2.1 Hz, 1H), 6.63(d, J=2.1 Hz, 1H), 6.88(d, J=0.9 Hz, 1H), 7.56(dd, J=15.9 Hz, 7.5 Hz, 1H), 7.86(d, J=0.9 Hz, 1H)
粉末X線回折の結果を表1および表2ならびに図1に示す。
主なピークの回折角:2θ=7.8、8.1、8.4、8.9、15.6
5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、5.00g、25.6mmol)にアセトニトリル(70mL)、水(14mL)およびトリエチルアミン(3.15g、31.1mmol)を室温下で加えた。反応液を60℃に昇温した後、反応液に塩化マグネシウム6水和物(2.89g、14.2mmol)を水(5mL)に溶解して調製した塩化マグネシウム水溶液を1時間かけて滴下した。反応液を室温に冷却し、終夜攪拌した。析出した結晶をろ取し、マグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート](I−2、5.12g、96.9%)のI型結晶を得た。
粉末X線回折の結果を表3および図2に示す。
主なピークの回折角:2θ=8.0、15.5、24.6、25.5、26.0
上記方法により得られた多形の混合物の結晶またはI型結晶をアセトン溶媒中、加熱還流下、4.5時間攪拌し、生じた結晶をろ取することにより、II型結晶を得た。
粉末X線回折の結果を表4および表5ならびに図3に示す。
主なピークの回折角:2θ=7.8、8.4、8.8、21.0、23.4
5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、1.00g、5.1mmol)にアセトニトリル(14mL)、水(2mL)およびトリエチルアミン(0.63g、6.1mmol)を室温下で加えた。反応液を60℃に昇温した後、反応液に塩化カルシウム2水和物(0.42g、2.8mmol)を水(3mL)に溶解して調製した塩化カルシウム水溶液を1時間かけて滴下した。反応液を25℃に冷却し、1時間20分間攪拌した。生じた固体をろ取し、カルシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート ](I−7、1.06g、96.2%)を得た。
元素分析:C 49.31%, H 2.58%, Cl 16.39%, N 6.30%, Ca 8.79%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 6.27(d, J=6 Hz, 1H), 6.50(s 1H), 7.27(s, 1H), 7.58(d, J=6 Hz, 1H), 7.94(s, 1H)
5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、20.00g、102.2mmol)にトルエン(200mL)を室温下で加えた。反応液に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(19.71g、102.2mmol)を25℃で45分間かけて滴下した。反応液を70℃に昇温した後に、25℃に冷却し、55分間攪拌した。生じた固体をろ取し、ナトリウム 5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート(I−8、20.67g、92.9%)を得た。
元素分析:C 47.14%, H 2.78%, Cl 15.10%, N 6.10%, Na 10.04%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 6.25(dd, J=8.1Hz, 1.8 Hz, 1H), 6.54(d, J=1.8 Hz, 1H), 7.18(d, J=0.6 Hz, 1H), 7.55(dd, J=21.0 Hz, 8.7Hz, 1H), 7.97(d, J=0.6 Hz, 1H)
5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、20.00g、102.2mmol)にトルエン(100mL)を室温下で加えた。反応液を75℃に昇温した後、24%カリウムエトキシドのエタノール溶液(35.77g、102.2mmol)を70℃で50分間かけて滴下した。反応液にトルエン(100mL)を加えた。反応液を25℃に冷却し、60分間攪拌した。生じた固体をろ取し、カリウム 5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート(I−9、7.76g、26.4%)を得た。
元素分析:C 42.41%, H 2.68%, Cl 13.57%, N 5.54%, K 15.73%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 6.16(dd, J=8.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.38(d, J=2.1 Hz, 1H), 7.14(d, J=1.2 Hz, 1H), 7.53(dd, J=8.1 Hz, 4.2 Hz, 1H), 7.99(d, J=1.2 Hz, 1H)
1mol/Lリチウムメトキシドのメタノール溶液(43.84g、53.7mmol)に5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、10.00g、51.2mmol)をトルエン(60mL)溶解して調製した溶液を室温下で20分かけて滴下した。反応液を1時間8分間攪拌した。反応液にトルエンを加え、40℃で減圧留去する操作を繰り返し行い、トルエンへ溶媒置換した。反応液を1時間30分攪拌した。得られた固体をろ取し、リチウム 5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート(I−10、5.21g、50.3%)を得た。
元素分析:C 52.92%, H 2.59%, Cl 17.71%, N 6.95%, Li 3.36%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 5.88(dd, J=8.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.20(d, J=2.1 Hz, 1H), 7.07(d, J=0.9 Hz, 1H), 7.39(dd, J=15.9 Hz, 7.5 Hz, 1H), 7.84(d, J=1.2 Hz, 1H)
トリフェニルホスフィン(140.96g、537.41mmol)をアセトニトリル(550mL)に懸濁した。20℃で反応液に塩素(37.79g、532.93mmol)を導入し、ジクロロトリフェニルホスホランアセトニトリル溶液611.28gを調製した。
4−クロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−オキソエチル)ベンズアミド(I−1、5.97g、27.94mmol )をアセトニトリル(12mL)に懸濁し、上記で調製したジクロロトリフェニルホスホランアセトニトリル溶液(42.85g)を25℃で1時間45分かけて滴下した。反応液を55分間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(11.31g、111.77mol)を25℃で2時間かけて滴下した。反応液を25℃で2時間52分攪拌した。反応液に水(12mL)を25℃で加え、60℃に昇温した。反応液に塩化マグネシウム6水和物(2.84g、13.98mmol)を水(6mL)に溶解して調製した塩化マグネシウム水溶液を60℃で1時間かけて滴下した。反応液を25℃に冷却し、終夜放置した。生じた結晶をろ取し、マグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート ](I−2、5.08g、96.1%)を得た。
マグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート ](I−2、15.00g、 36.28mmol)にトルエン(90mL)、メタノール(15mL)、水(30mL)および酢酸(13.07g、217.65mmol)を室温で加えた。反応液を60℃に昇温し、79分間攪拌した。反応液に60℃で30%過酸化水素水(8.2mg、 0.07mmol)および水(15mL)を加え、60分間攪拌した。反応液に60℃で亜硫酸水素ナトリウム(13.7mg、0.13mmol)および水(15mL)を加え、30分間攪拌した。反応液に60℃で12%食塩水(30.00g)を加え、分液により水層を除去した。得られた有機層にトルエンを加え、30℃で減圧留去する操作を繰り返し行い、トルエンへ溶媒置換した。5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3)のトルエン溶液(61.54g)を得た。
4−(4−イソプロピルオキシフェニルスルホニル)ピペラジン(11.55g、40.62mmol)、ナトリウムtert−ペントキシド(11.18g、101.51mmol)、トリtert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(53.1mg、 0.10mmol)および 酢酸パラジウム(22.8mg、0.10mmol)のトルエン(40mL)に懸濁した。反応液に35℃で5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3)のトルエン溶液(28.72g)を10分かけて滴下した。反応液を110℃に昇温し、1時間30分攪拌した。反応液を75℃に冷却した。反応液にtert−ブチルアルコール(17mL)および水(13mL)を75℃で加え、さらに16%塩酸(22.91g)を1時間14分かけて滴下した。反応液を40℃に冷却し、メタノール(7mL)加えた。反応液中の水層を40℃で除去し、得られた有機層を25℃に冷却した。反応液にメタノール(12mL)を加えた。反応液を1時間攪拌し、0℃に冷却後、さらに1時間攪拌した。析出した結晶をろ取し、5−[4−(4−イソプロピルオキシフェニルスルホニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)−フェノール(I−4、13.15g、87.6%)を得た。
5−[4−(4−イソプロピルオキシフェニルスルホニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)−フェノール(I−4、10.00g、22.55mmol)にヨウ化カリウム(0.75g、4.52mmol)、炭酸カリウム(4.7g、34.01mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)を室温で加えた。反応液を80℃に昇温した。反応液にブロモ酢酸エチル(5.6g、33.53mmol)を80℃で2時間50分かけて滴下し、1時間攪拌した。反応液を25℃に放冷した。反応液に25℃で酢酸(4.1g、68.28mmol)を5分かけて滴下した後、メタノール(50mL)および水(100mL)を加えた。反応液を25℃で60分間攪拌後、終夜放置した。生じた固体をろ取し、{5−[4−(4−イソプロピルオキシフェニルスルホニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)−フェノキシ}−酢酸エチルエステルを湿潤固体(I−5、20.94g)として得た。
元素分析:C 58.84%, H 5.89%, N 7.96%, S 5.76%
1H−NMR(CDCl3)δppm:1.27(t, J= 7.2Hz, 3H), 1.37(d, J=6.3Hz, 6H), 3.13(m, 4H), 3.33(m, 4H), 4.24(q, J=7.2 Hz, 2H), 4.65(m, 1H), 6.38(d, J=2.4 Hz, 1H), 6.56(dd, J=8.7Hz, 2.1Hz), 6.97(d, J=9.0 Hz, 2H), 7.20(d, J=0.9 Hz, 1H), 7.66(d, J=0.6Hz, 1H), 7.68(d, J=9.0Hz, 2H), 7.84(d, J=8.4Hz, 1H)
{5−[4−(4−イソプロピルオキシフェニルスルホニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)−フェノキシ}−酢酸エチルエステルの湿潤固体(I−5、20.31g)に室温でテトラヒドロフラン(127mL)および活性炭(1.1g)を加えた。反応液を65℃に昇温し、1時間攪拌した。ろ過により、60℃で活性炭を除去し、得られたろ液に2%水酸化ナトリウム水溶液(44.90g)を60℃で20分かけて滴下した。反応液を60℃で1時間攪拌した。反応液に1%塩酸水溶液(65.02g)を60℃で滴下した。反応液を25℃に放冷し、2時間攪拌した。析出した結晶をろ取し、再結晶することにより、5−[4−(4−イソプロピルオキシフェニルスルホニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)−フェノキシ}−酢酸を結晶(I−6、9.12g)として得た。
ヘキサクロロエタン(36.56g、15.44mmol)をアセトニトリル(160mL)に懸濁した。反応液にトリフェニルホスフィンを23℃で加え、反応液を1時間攪拌した。反応液に4−クロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−オキソエチル)ベンズアミド(I−1、20.00g、93.62mmol )を23℃で加え、反応液を1時間攪拌した。生じた固体をろ取し、5−クロロ−2−[(5RS)−5−クロロ−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル]フェノール 塩酸塩(I−11、19.0g)を得た。
元素分析:C 40.07%, H 2.93%, N 5.33%, S 39.85%
1H−NMR(CDCl3)δppm:4.38(dd, J=16.5 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.54(dd, J=16.5 Hz, 6.5 Hz, 1H), 6.56(dd, J=6.5 Hz, 2.0Hz), 6.91(dd J=8.5 Hz, 1.7Hz), 7.07(d J=1.7Hz), 7.61(d, J=8.5Hz)
各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(装置)
Rigaku社製MiniFlexII
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:15mA
管電圧:30Kv
試料プレート:無反射試料板、シリコン
スキャンスピード:5.000°/分
走査範囲:4.000〜40.0000°
サンプリング幅:0.0200°
結晶は、各回折角又は面間隔の値によって特徴づけられる(dsinθ=nλ:nは整数、dは面間隔(単位:オングストローム)、θは回折角(単位:度)を意味する)。
試験例1:TG/DTA測定による昇華性の評価
(1) 特許文献6に記載の方法で得られた5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、5mg)を量り、アルミニウムパンにつめ、開放系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 TG/DTA 7200
温度プログラム:30℃−200℃
昇温速度:10℃/分
パージガス:N2 200mL/分
TG/DTA曲線を図3に示す。融解によるオンセット温度は約90℃であり、40―85℃において、0.38%の重量減少を確認した。
(2) 特許文献6に記載の方法で得られた5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、約10mg)を量り、アルミニウムパンにつめ、開放系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 TG/DTA 7200
測定温度:40℃
測定時間:720分
パージガス:N2 200mL/分
TG曲線を図4に示す。試料が固体状態にある、40℃の低温条件下において、1.6%の重量減を確認した。この結果より、5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3)が昇華性を有することが示唆された。
(3) 実施例1の(1)で得られたマグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート](I−2、5mg)を量り、アルミニウムパンにつめ、開放系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 TG/DTA 7200
温度プログラム:30℃−200℃
昇温速度:10℃/分
パージガス:N2 200mL/分
TG/DTA曲線を図5に示す。約30℃−約180℃において、融解および重量減少が確認されなかった。この結果より、測定温度において、マグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート](I−2)が昇華性を有さないことを確認した。
特許文献6に記載の方法で得られた5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3、3.01g、15.4mmol)を−15℃の冷却液を通液した冷却管を備えたナス型フラスコに秤取し、減圧下(16〜18mmHg)、40℃で6時間加温した。6時間後、冷却管に白色固体が0.02g付着した。この白色固体を1H−NMR(DMSO−d6)測定し、5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3)であることを確認した。この結果より、5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェノール(I−3)が昇華性を有することを確認した。
下記の(1)〜(4)に示す所定の実施例で得られた化合物の水分吸脱着等温線の測定を以下の測定条件で行った。
(装置)
ハイデン社製IGASorp
(操作方法)
ステンレス製網状サンプル容器に試料約50mgを量り分け、装置内にて質量が変化しなくなるまで相対湿度(以下、RHとする)0%で乾燥した。以下の条件で温湿度を制御し、質量の動的測定を行った。
測定温度:25℃
測定湿度範囲:吸着0〜95%RH、脱着95〜0%RH、5%RH間隔
測定条件:Isotherm条件
ここで、Isotherm条件とは、平衡判断最小待ち時間より後に、一定湿度下において、質量が変化しない状態になったとき、または平衡判断最大待ち時間に達したとき、次の測定湿度に移行する測定条件である。
各湿度での平衡判断最小待ち時間:10分
各湿度での平衡判断最大待ち時間:2時間
湿度制御:窒素および加湿装置、250mL/分
(1) 実施例1の(1)で得られたマグネシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート](I−2)の水分吸脱着等温線を図6に示す。水分吸着等温線の測定では、95%RHとすると、0%RH時の質量に対する増加質量の比率が2%となった。水分脱着等温線の測定では、0%RHとすると、その比率は0%となった。
(2) 実施例1の(2)で得られたカルシウム ビス[5−クロロ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル) フェノレート](I−7)の水分吸脱着等温線を図7に示す。水分吸着等温線の測定では、95%RHとすると、0%RH時の質量に対する増加質量の比率が3%となった。水分脱着等温線の測定では、0%RHとすると、その比率は0%となった。
Claims (10)
- マグネシウム塩またはアルカリ土類金属塩である、請求項1記載の塩。
- マグネシウム塩またはカルシウム塩である、請求項1または2に記載の塩。
- Xが塩素である、請求項1〜3のいずれかに記載の塩。
- Xが塩素である式(I)で示される化合物のマグネシウム塩の結晶である、請求項5記載の結晶。
- 式(II)で示される化合物またはその塩を、トリフェニルホスフィン、ハロゲン化剤および塩基の存在下で環化させる、請求項8記載の製造方法。
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