JPWO2013108758A1 - 熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に用いられる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とを重縮合することによって得られる重合体である。テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルなどが挙げられる。1,4−ブタンジオールのエステル形成性誘導体としては、例えば、1,4−ブタンジオールエステルなどのジオールのアルキルエステルなどが挙げられる。
各実施例および比較例に用いる(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂を130℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した後、試験温度270℃、荷重325gの条件下でISO1133に準拠した手法で、流れ出た樹脂量を測定した。
各実施例および比較例に用いる(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂を130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、温度270℃に設定した小型のホットプレスに載せ、加圧して溶融させた。その直後、溶融したペレットを液体窒素に投入し、冷却した。冷却したペレットを、示差走査熱量計(DSC)により、昇温速度20℃/分で40℃〜300℃まで昇温させたときの吸熱ピークを測定した。
各実施例および比較例により得られたペレットを130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃の条件で80mm×80mm×厚み3mmの角板を射出成形した。射出成形後の角板の外観を目視観察し、表面外観を評価した。
○:光沢があり、表面に凹凸が確認されない。
△:光沢がなく、表面に凹凸が確認されない。
×:光沢がなく、表面に凹凸が確認される。
各実施例および比較例により得られたペレットを130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃の条件で縦30mm×横30mm×高さ30mm×厚み1.5mmの四角い小箱を射出成形した。射出時間と冷却時間を変化させてサイクル秒数を35秒から22秒まで1秒ずつ短くしながら射出成形し、末端まで充填された小箱を突き出した時の小箱の変形有無を目視で判定した。小箱が最初に変形した時の成形サイクル秒数を計測した。
各実施例および比較例により得られたペレットを130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃、射出圧力20MPaの条件で厚み3mm、幅10mmの短冊型成形を行い、成形品の長さを測定した。
各実施例および比較例により得られたペレットを130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃の条件で厚さ4mmのISOダンベルの射出成形を行い、ISO527−1、2に従い引張ひずみを測定した。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
A−1:ポリブチレンテレフタレート(東レ製“トレコン(登録商標)”1100M)
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2〜B−11は、シリコーン系架橋樹脂(C−6、LTC−300B)を含む)
B−1:ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ製“テトロン(登録商標)”T900E)
B−2:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部に溶剤型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン製LTC−300B)をシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕、造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を1回行った。)
B−3:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を160℃に制御)を3回行った。)
B−4:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を110℃に制御)を3回行った。)
B−5:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を20回行った。)
B−6:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を20回行った。)
B−7:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を110℃に制御)を20回行った。)
B−8:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を2回行った。)
B−9:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕、造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を3回行った。)
B−10:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を18回行った。)
B−11:ポリエチレンテレフタレート(F20K100質量部にLTC−300Bをシリコーン樹脂の割合が1質量部となるよう添加し、フィルム成形した後、粉砕および造粒(造粒時の温度を130℃に制御)を10回行った。)
B−12:ポリエチレンテレフタレート樹脂(バージン、MFR8g/10分、Tcc135℃)
C−1:酸成分としてテレフタル酸30質量部、トリメリット酸20質量部、グリコール成分としてエチレングリコール50質量部を公知の方法により重縮合し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。ここに、オキサゾリン系架橋剤(2−ビニル−2−オキサゾリン)15質量部を添加し、270℃で10分間混練することにより、ポリエステル樹脂がオキサゾリン系架橋剤を介して架橋された架橋樹脂を得た。
C−2:アクリル樹脂(メタクリル酸アルキルエステル)100質量部にオキサゾリン系架橋剤(2−ビニル−2−オキサゾリン)15質量部を添加し、150℃で10分間混練することにより、アクリル樹脂がオキサゾリン系架橋剤を介して架橋された架橋樹脂を得た。
C−3:ウレタン樹脂100質量部にオキサゾリン系架橋剤(2−ビニル−2−オキサゾリン)15質量部を添加し、220℃で10分間混練することにより、ウレタン樹脂がオキサゾリン系架橋剤を介して架橋された架橋樹脂を得た。
C−4:ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂を公知の方法により溶融押出(押出温度270℃)して積層フィルムを形成した。得られた積層フィルムに、上記C−1(ポリエステル樹脂がオキサゾリン系架橋剤を介して架橋された架橋樹脂)の50質量%水溶液を塗布・乾燥した。得られた積層フィルムを粉砕機でフレーク状に粉砕し、さらに造粒機で押し固めて造粒した。
C−5:酸成分としてテレフタル酸30質量部、トリメリット酸20質量部、グリコール成分としてエチレングリコール50質量部を公知の方法により重縮合し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。ここに、メラミン系架橋剤(メチロール化メラミン)15質量部を添加し、270℃で10分間混練することにより、ポリエステル樹脂がメラミン系架橋剤を介して架橋された架橋樹脂を得た。
D−1:硫酸バリウム(メジアン径0.8μm)
表1〜5に示す質量部の各成分をバレル温度260℃に設定したスクリュー径57mmφの二軸押出機で溶融混練を行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。
各実施例、比較例の組成および評価結果を表1〜5に示す。
また、実施例1、3、6、7のように(C)架橋樹脂の種類および配合量が同じ場合、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の配合量が15〜65質量部の範囲内である実施例3および6が、成形品の表面外観に優れるとともに、成形サイクルが短く、ハイサイクル成形性がより向上する。
さらに、実施例3、8〜11のように(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂、(C)架橋樹脂の配合量が同じ場合、(C)架橋樹脂が積層フィルム由来の実施例10が、流動性が向上することにより、成形サイクルが短く、ハイサイクル成形性がより向上することがわかった。
表1および2に示すように、比較例1は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、および(C)架橋樹脂の種類および配合量が同じ実施例1、3、6および7と比べて、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の量が少ないため、成形品の表面外観が悪い。
また、比較例2は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、および(C)架橋樹脂の種類および配合量が同じ実施例1、3、6および7と比べて、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の量が多いため、成形サイクルが長く、ハイサイクル成形性に劣る。
比較例3、4は、(C)架橋樹脂を含まないため成形サイクルが長く、ハイサイクル成形性に劣る。
表3および4に示すように、実施例12〜17に比べて、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂のMFRおよびTccが好ましい範囲内にある実施例18〜24は、流動性に優れることから、成形サイクルが短く、ハイサイクル成形性がより向上する。
また、実施例22〜24によれば、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して15質量部以上65質量部以下である実施例23は、ハイサイクル成形性と成形品の表面外観がより向上することが分かる。
表5に示すように、比較例5は、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の量が少ないため、成形品の表面外観が悪い。
また、比較例6は、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の量が多いため、成形サイクルが長く、成形性に劣る。
比較例7は、(C)架橋樹脂を含まないため成形サイクルが長く、ハイサイクル成形性に劣る。
Claims (10)
- (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、
(C)架橋樹脂と、
を含み、前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、前記(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂および前記(C)架橋樹脂の配合割合は、前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、前記(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂10〜70質量部、前記(C)架橋樹脂0.0001〜10質量部である熱可塑性樹脂組成物。 - 前記(C)架橋樹脂は、(D)架橋剤を介した架橋構造を有する樹脂を含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(C)架橋樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂および/またはウレタン樹脂を含む樹脂が(D)架橋剤を介して架橋されたものである請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(D)架橋剤は、オキサゾリン系架橋剤および/またはメラミン系架橋剤を含む請求項2または3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂は、フィルム成形工程、溶融紡糸工程および射出成形工程からなる群から選ばれる少なくとも1種の工程を経たポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)を含む請求項1〜4のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記フィルム成形工程、前記溶融紡糸工程および前記射出成形工程からなる群から選ばれる少なくとも1種の工程を経たポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)のメルトフローレイトは、10〜100g/10分である請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記フィルム成形工程、前記溶融紡糸工程および前記射出成形工程からなる群から選ばれる少なくとも1種の工程を経たポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)の昇温時結晶化温度は、140℃〜160℃である請求項5または6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(C)架橋樹脂は、積層フィルムに由来する請求項1〜7のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、
ポリブチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムの少なくとも片面に(C)架橋樹脂を含む層が形成された積層フィルムと、
を配合し、溶融混練して請求項1〜8のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物を製造する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記積層フィルムを粉砕および/または造粒した後、前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂および前記(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂に配合して溶融混練する請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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