JPWO2013088579A1 - 車両前部構造 - Google Patents

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Abstract

パワーユニットの後方に配置された冷却ユニットへの冷却風の導入量を充分に確保することができる車両前部構造を得る。
パワーユニットルーム(16)内に固定されたパワーユニット(14)と、パワーユニット(14)の後方に設けられた冷却ユニット(18)と、車両(12)の下部を流れる空気を整流するアンダーカバー(20)と、このアンダーカバー(20)におけるパワーユニット(14)の後方かつ冷却ユニット(18)の前方に設けられた冷却風導入孔(58)と、前方側開口端部(48)から導入された空気を車両(12)の下部を流れる空気の流速よりも速い流速で冷却風導入孔(58)の上方に設けられた後方側開口端部(50)から冷却ユニット(18)へ向けて吹出させる冷却風導入路と、を備えている。

Description

本発明は、冷却風をパワーユニットの後方に配置された冷却ユニットに導入する車両前部構造に関する。
冷却ユニットとしてのラジエータがパワーユニットの後方に配置された構造が知られている。(例えば、WO/2010/097890号公報参照)。
しかしながら、冷却ユニットがパワーユニットの後方に配置された構造では、冷却ユニットに導入される冷却風の導入量を確保することについて改善の余地があった。
本発明は上記事実を考慮し、パワーユニットの後方に配置された冷却ユニットへの冷却風の導入量を充分に確保することができる車両前部構造を得ることが目的である。
第1の態様に係る車両前部構造は、車両の前部に設けられたパワーユニットルーム内に固定されたパワーユニットと、前記パワーユニットの後方に設けられた冷却ユニットと、前記パワーユニット及び前記冷却ユニットの下方に設けられ、車両の下部を流れる空気を整流するアンダーカバーと、前記アンダーカバーにおける前記パワーユニットの後方かつ前記冷却ユニットの前方に設けられ、車両の下部を流れる空気を前記冷却ユニットへ導入する冷却風導入孔と、車両の前方側から空気を導入する前方側開口端部を備えると共に、この前方側開口端部から導入された空気を車両の下部を流れる空気の流速よりも速い流速で前記冷却風導入孔の上方に設けられた後方側開口端部から前記冷却ユニットへ向けて吹出させる冷却風導入路と、を備えている。
上記の態様によれば、冷却風導入路の後方側開口端部から吹出された空気の流速即ちアンダーカバーに設けられた冷却風導入孔の上方を流れる空気の流速が、アンダーカバーと路面との間を流れる空気の流速即ち冷却風導入孔の下方を流れる空気の流速よりも速くなっている。これに伴い、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力が該冷却風導入孔の上方側を流れる空気の圧力よりも高くなる。その結果、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。換言すると、冷却風導入孔の上方側を流れる空気によって、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から引き込まれる。
第2の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様において、前記前方側開口端部の開口面積が前記後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定されている。
上記の態様によれば、前方側開口端部の開口面積が後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定されている。そのため、所謂ベンチュリー効果によって、後方側開口端部から吹出する空気の流速が前方側開口端部から流入する空気の流速よりも上昇する。その結果、車両の走行時においては、電動ファン等を作動させることなくあるいは電動ファンの出力を抑えたとしても、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。
第3の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様又は第2の態様において、前記冷却風導入路の流路の長さが、該冷却風導入路の前方側開口端部と前記後方側開口端部との車両前後方向の距離よりも長く設定されている。
上記の態様によれば、冷却風導入路の長さが上記のように設定されているため、冷却風導入路の内部(流路)を流れる空気の流速が、該冷却風導入路の下方側(アンダーカバーと路面との間)を流れる空気の流速よりも上昇する。その結果、車両の走行時においては、電動ファン等を作動させることなくあるいは電動ファンの出力を抑えたとしても、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。
第4の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様において、車両の前方側に面が向けられたフラップが前記冷却風導入孔の周縁部の車両後方側の端部に設けられている。
上記の態様によれば、アンダーカバーと路面との間を流れる空気がフラップにぶつかることによって減速すると、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力が上昇する。即ち、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力と該冷却風導入孔の上方側を流れる空気の圧力との差異がより一層大きくなる。その結果、冷却風導入孔から冷却ユニットに向けてより一層多くの量の空気が導入される。
第5の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様において、前記冷却風導入路の一部が車両後方側に向けて延出形成されていると共に、該延出形成された部分と前記冷却風導入孔とが車両の上下方向に重なるように配置されている。
上記の態様によれば、砂や石等の異物が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて侵入しようとしても、この異物は冷却風導入路の一部にぶつかった後、車両の下方側に向けて跳ね返される。換言すると、冷却風導入路の一部によって、砂や石等の異物が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて侵入することが抑制される。
第6の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つの態様において、前記冷却風導入路が前記アンダーカバーと一体で形成されている。
上記の態様によれば、車両前後方向に沿って延びる冷却風導入路がアンダーカバーと一体で形成されている。そのため、この冷却風導入路がアンダーカバーの補強部となることに伴い、アンダーカバーの剛性が向上する。
以上説明したように第1の態様に係る車両前部構造は、パワーユニットの後方に配置された冷却ユニットへの冷却風の導入量を充分に確保することができる、という優れた効果を有する。
第2の態様及び第3の態様に係る車両前部構造は、電動ファンの消費電力を抑制することができる、という優れた効果を有する。
第4の態様に係る車両前部構造は、冷却ユニットへの冷却風の導入量をより一層増やすことができる、という優れた効果を有する。
第5の態様に係る車両前部構造は、異物の侵入による冷却ユニットの破損を抑制することができる、という優れた効果を有する。
第6の態様に係る車両前部構造は、アンダーカバーの剛性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
本実施形態の車両前部構造が適用された車両の前部を示す該車両の側方から見た断面図である。 アンダーカバーの構造を示す斜視図である。 アンダーカバーに設けられた冷却風導入孔の近傍を示す車両の側方から見た拡大断面図である。
図1及び図2を用いて本発明の実施形態に係る車両前部構造について説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印Wは車幅方向をそれぞれ示す。以下の説明で、特記なく前後、上下の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
図1に示されるように、本実施形態の車両前部構造10が適用された車両12の前部には、パワーユニット14が収容されるパワーユニットルーム16が設けられている。また、このパワーユニットルーム16におけるパワーユニット14の後方には、パワーユニット14を構成するエンジンを冷却する冷却ユニットとしてのラジエータ18が設けられている。さらに、パワーユニット14及びラジエータ18の下方側には、車両前後方向及び車幅方向に延在するアンダーカバー20が設けられている。以下、先ずパワーユニットルーム16について説明し、次いでパワーユニット14、ラジエータ18及びアンダーカバー20について説明する。
(パワーユニットルーム16)
パワーユニットルーム16は車両12の前部でかつ左右のフロントタイヤ17が収容されている図示しないホイールハウスの間に設けられている。このパワーユニットルーム16には、後述するパワーユニット14やラジエータ18、その他図示しないバッテリー等が収容されている。また、パワーユニットルーム16は、該パワーユニットルーム16の後壁を形成するダッシュパネル22と、該パワーユニットルーム16の側壁を形成すると共に上記のホイールハウスを形成するサスペンションタワー及びエプロンとを備えている。また、パワーユニットルーム16内には、サスペンションタワー及びエプロンに隣接するように配置された図示しない一対のフロントサイドメンバが設けられている。さらに、このフロントサイドメンバには、図示しないパワーユニットマウントが取付けられている。
また、パワーユニットルーム16の車両下方側に形成された開口部には、後述するアンダーカバー20がこの開口部を塞ぐように取付けられている。また、このパワーユニットルーム16の車両上方側に形成された開口部がボンネットによって閉止されることにより、パワーユニットルーム16と該パワーユニットルーム16の外側とが開閉可能に隔成されている。
(パワーユニット14)
パワーユニット14は、所謂内燃機関であるエンジンと、このエンジンによって発生した動力を伝達するトランスミッションとを含んで構成されている。エンジンは、ピストン、シリンダ及びクランクシャフト等の多数の部品を含んで構成されており、ガソリン等の燃料がシリンダ内で燃焼することにより発生した熱エネルギーを運動のエネルギー(クランクシャフトの回転運動)に変換する。また、本実施形態で用いられているトランスミッションは金属ベルト及びプーリーを含んで構成された無段変速機(所謂「CVT」)である。この無段変速機によって、上記エンジンの出力軸であるクランクシャフトの回転数を所要の回転数に減速乃至増速することにより、この無段変速機の出力軸から所要の回転数及び回転力の動力が取り出される。
さらに、このエンジン及び無段変速機を含んで構成されたパワーユニット14が上記フロントサイドメンバに設けられたパワーユニットマウントを介してパワーユニットルーム16内に固定されている。
(ラジエータ18)
ラジエータ18は、車幅方向に向けて長尺状に形成された板状の部品であり、パワーユニット14を構成するエンジンを冷却する役割を担っている。このラジエータ18はパワーユニット14の後方に配置されると共に、パワーユニットルーム16の後方側に配置されたダッシュパネル22の前方に設けられている。さらに詳述すると、ダッシュパネル22には、キャビン23に向けて突出するように形成された膨出部24が設けられており、ラジエータ18はダッシュパネル22の前方かつこの膨出部24の下方に配置されている。また、ラジエータ18は、上端部が車両前方側へ向けて傾斜した状態で固定されている。なお、ラジエータ18の周りには、該ラジエータ18へ向けて流れる空気をガイドするシュラウド26が設けられていると共に、ラジエータ18の背面には電動ファン28が設けられている。
また、ラジエータ18は、上部タンク30、下部タンク32及びこの上部タンク30と下部タンク32とを繋ぐ図示しない連結管とを備えている。この連結管の周りにはフィン34が取付けられており、この連結管とフィン34とを主要な要素としてラジエータ18の冷却部であるラジエータコア36が形成されている。
さらに、ラジエータ18の上部タンク30は図示しない配管を介してエンジンに設けられた冷却水出力口に接続されると共に、ラジエータ18の下部タンク32は図示しない配管を介してエンジンに設けられた冷却水導入口に接続されている。さらに、ラジエータ18、ラジエータ18とエンジンとを繋ぐ配管及びエンジン内部に形成された図示しないウォータジャケットには冷却水が充填されている。
(アンダーカバー20)
図2に示されるように、アンダーカバー20は車両前後方向及び車幅方向に延在する大型の樹脂成型部品であり、車両12の下部を流れる空気を整流する役割を担っている。具体的には、アンダーカバー20は車両前後方向及び車幅方向に延在する一般部38を備えている。この一般部38は、フロントタイヤ17(図1参照)を避けるように形成されていると共に、車両前方側の端部はフロントバンパの形状に沿って形成されている。
また、アンダーカバー20の車幅方向の中間部には、車両前後方向に沿って延びる冷却風導入路40が設けられている。この冷却風導入路40は、一般部38の車両上方側の端面から車両上方側に延在する右側縦壁部42及び左側縦壁部44を備えると共に、この右側縦壁部42と左側縦壁部44とを車幅方向に繋ぐ上壁部46を備えている。その結果、冷却風導入路40の流路は車両正面視で略矩形状の閉断面とされている。
さらに、冷却風導入路40の前端部は車両12の前方側の空気を取り入れる前方側開口端部48とされており、後端部は前方側開口端部48から取り入れられた空気をラジエータ18に向けて吹出させる後方側開口端部50とされている。また、冷却風導入路40は平面視で車両前方から後方に向けて窄まるように形成されている。その結果、前方側開口端部48の開口面積が後方側開口端部50の開口面積よりも大きくなっていると共に、冷却風導入路40の流路が車両前方から後方にかけて次第に狭くなっている。
また、図1に示されるように、冷却風導入路40は、前方側開口端部48から車両後方側に向けて下方側に傾斜して延びる第1流路52と、この第1流路の後端部から屈曲して車両後方側に延びる第2流路54と、この第2流路54の後端部から車両後方側に向けて上方側に傾斜して延びる第3流路56とを備えている。即ち、前方側開口端部48から後方側開口端部50にかけての冷却風導入路40の流路の長さが、この前方側開口端部48と後方側開口端部50との車両前後方向の距離よりも長く設定されている。また、第3流路56の後端部は、一般部38よりも上壁部46のほうが車両後方側へ延出するように形成されている。
また、アンダーカバー20の一般部38におけるパワーユニット14の後方かつラジエータ18の前方には、車両上下方向に開口した平面視で略矩形状の冷却風導入孔58が形成されている。さらに、この冷却風導入孔58は上記冷却風導入路40の一部としての上壁部46と車両上下方向に重なるように配置されている。
さらに、冷却風導入孔58の車両後方側の端部には、車両前方側に面が向けられた板状のフラップ60が設けられている。このフラップ60は、該フラップ60の下端部62がアンダーカバー20の一般部38から車両下方側に突出された状態で固定されている。また、このフラップ60の上端部64はラジエータ18へ向けて屈曲するように形成されている。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
図1に示されるように、パワーユニットルーム16内に固定されたパワーユニット14を構成するエンジンを始動すると、このエンジンの作動と同時にエンジンに取付けられた図示しないウォータポンプが作動する。このウォータポンプの作動に伴い、エンジンの内部で温められた冷却水が配管を介してラジエータ18の上部タンク30に圧送される。また、上部タンク30に圧送された冷却水は連結管を通じて下部タンク32へ流れる。この連結間の内部を流れる冷却水がフィン34の間を抜ける空気によって冷やされることによって、エンジン内部の熱がラジエータコア36から放熱される。さらに、下部タンク32へ流れた冷却水は配管を介してエンジンに形成された冷却水導入口へ向けて流れる。また、この冷却水導入口からエンジン内部に導入され冷却水はウォータポンプによって再び冷却水出力口からラジエータ18の上部タンクへ圧送される。このように、冷却水がエンジンとラジエータ18との間を循環することによって、エンジンが冷却される。
また、車両12の走行に伴い、該車両12の周りには前方から後方へ空気が流れる。具体的には、図3に示されるように、車両12の前端部からパワーユニットルーム16に流入した空気Fr1はパワーユニット14の下方を通過した後、ラジエータ18の前方へ向けて流れてゆく。また、アンダーカバー20に設けられた冷却風導入路40の前方側開口端部48から流入した空気Fr2は第1流路52、第2流路54及び第3流路56を通過した後、後方側開口端部50からラジエータ18に向けて吹出される。ここで、本実施形態では、前方側開口端部48の開口面積が後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定されている。そのため、所謂ベンチュリー効果によって、後方側開口端部50から吹出する空気の流速V2が前方側開口端部48から流入する空気の流速V1よりも上昇している。また、アンダーカバー20と路面66との間を流れる空気Fr3は、上記冷却風導入路40の前方側開口端部48から流入する空気Fr2の流速V1と略同一の速度で流れていると共に、この空気Fr3の一部がフラップ60の下端部62にぶつかることによって減速する。
以上説明したように本実施形態では、冷却風導入路40の後方側開口端部50から吹出された空気Fr2の流速V2(即ちアンダーカバー20に設けられた冷却風導入孔58の上方を流れる空気Fr2の流速V2)が、アンダーカバー20と路面66との間を流れる空気Fr3の流速V1(即ち冷却風導入孔58の下方を流れる空気Fr3の流速V1)よりも速くなっている。これに伴い、冷却風導入孔58の下方側を流れる空気Fr3の圧力が該冷却風導入孔58の上方側を流れる空気Fr2の圧力よりも高くなる。その結果、冷却風導入孔58の下方側を流れる空気Fr3が冷却風導入孔58からラジエータ18に向けて導入される。換言すると、冷却風導入孔58の上方側を流れる空気Fr2によって、冷却風導入孔58の下方側を流れる空気Fr3が冷却風導入孔58から引き込まれる。従って、本実施形態では、パワーユニット14の後方に配置されたラジエータ18への冷却風の導入量を充分に確保することができる。
また、本実施形態では、前方側開口端部48の開口面積が後方側開口端部50の開口面積よりも大きく設定されている。さらに、本実施形態では、前方側開口端部48から後方側開口端部50にかけての冷却風導入路40の流路の長さが、この前方側開口端部48と後方側開口端部50との車両前後方向の距離よりも長く設定されている。そのため、車両の走行時においては、電動ファン28を作動させることなくあるいは電動ファン28の出力を抑えたとしても、後方側開口端部50から吹出す空気Fr2の流速V2を前方側開口端部48から導入される空気の流速V1よりも増速することが可能となる。即ち、本実施形態では、電動ファン28の消費電力を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、アンダーカバー20と路面66との間を流れる空気Fr3がフラップ60にぶつかることによって減速すると、冷却風導入孔58の下方側を流れる空気Fr3の圧力が上昇する。即ち、冷却風導入孔58の下方側を流れる空気Fr3の圧力と該冷却風導入孔58の上方側を流れる空気Fr2の圧力との差異がより一層大きくなる。その結果、本実施形態では、冷却風導入孔58からラジエータ18に向けてより一層多くの量の空気を導入させることができる。
また、本実施形態では、砂や石等の異物が冷却風導入孔58からラジエータ18に向けて侵入しようとしても、この異物は冷却風導入路40の一部である第3流路56の上壁部46にぶつかった後、車両12の下方側に向けて跳ね返される。換言すると、第3流路56の上壁部46によって、砂や石等の異物が冷却風導入孔58からラジエータ18に向けて侵入することが抑制されている。即ち、本実施形態では、異物の侵入によるラジエータ18の破損を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、車両前後方向に沿って延びる冷却風導入路40がアンダーカバー20と一体で形成されている。そのため、この冷却風導入路40がアンダーカバー20の補強部となることに伴い、アンダーカバー20の剛性が向上する。その結果、路面66と干渉した場合におけるアンダーカバー20の耐久性が向上すると共に、経時変化によるアンダーカバー20の垂れを抑制することができる。
なお、本実施形態では、冷却風導入路40の前方側開口端部48の開口面積が後方側開口端部50の開口面積よりも大きく設定することによって、後方側開口端部50から吹出する空気の流速V2を前方側開口端部48から流入する空気の流速V1よりも上昇させた例について説明してきた。しかしながら、当該構成に限定されるものではなく、冷却風導入路40の後方側開口端部50から吹出する空気の流速V2を前方側開口端部48から流入する空気の流速V1よりも上昇させることができる他の構成を適用しても良い。
また、本実施形態では、フラップ60を設けた例について説明してきたが、このようなフラップ60を設けない構成としても良い。このように、フラップ60を設けるか否かについては、冷却風導入孔58から導入される冷却風の流量やロードクリアランス(アンダーカバー20と路面66との距離)等を考慮して適宜設定すれば良い。
さらに、本実施形態では、冷却風導入路40の一部である第3流路56の上壁部46と冷却風導入孔58とが車両上下方向に重なるように配置することによって、砂や石等の異物が冷却風導入孔58からラジエータ18に向けて侵入することを抑制した例について説明してきた。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば、冷却風導入孔58を格子状のメッシュシートで被うことにより、砂や石等の異物が冷却風導入孔58からラジエータ18に向けて侵入することを抑制した構成としても良い。
また、本実施形態では、冷却風導入路40とアンダーカバー20とが一体で形成されている例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、各々を別体で設けた構成としても良い。
さらに、本実施形態では、冷却ユニットとしてのラジエータ18をパワーユニット14の後方に配置した例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、他の冷却ユニットをパワーユニット14の後方に配置した構成としても良い。例えば、冷却ユニットとしてエアーコンディショナーのコンデンサやエンジンオイル等を冷却するオイルクーラをパワーユニット14の後方に配置することもできる。
また、本実施形態では、パワーユニット14のトランスミッションとしてCVTを用いた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、自動変速機(AT)や手動変速機(MT)等を用いた構成としても良い。
その他、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各種変形して実施可能であることは言うまでもない。
【0001】
技術分野
[0001]
本発明は、冷却風をパワーユニットの後方に配置された冷却ユニットに導入する車両前部構造に関する。
背景技術
[0002]
冷却ユニットとしてのラジエータがパワーユニットの後方に配置された構造が知られている。(例えば、WO/2010/097890号公報参照)。
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0003]
しかしながら、冷却ユニットがパワーユニットの後方に配置された構造では、冷却ユニットに導入される冷却風の導入量を確保することについて改善の余地があった。
[0004]
本発明は上記事実を考慮し、パワーユニットの後方に配置された冷却ユニットへの冷却風の導入量を充分に確保することができる車両前部構造を得ることが目的である。
課題を解決するための手段
[0005]
第1の態様に係る車両前部構造は、車両の前部に設けられたパワーユニットルーム内に固定されたパワーユニットと、前記パワーユニットの後方に設けられた冷却ユニットと、前記冷却ユニットへ向けて流れる空気をガイドするシュラウドと、前記パワーユニット及び前記冷却ユニットの下方に設けられ、車両の下部を流れる空気を整流するアンダーカバーと、前記アンダーカバーにおける前記パワーユニットの後方かつ前記冷却ユニットの前方に設けられ、車両の下部を流れる空気を前記冷却ユニットへ導入する冷却風導入孔と、車両の前方側から空気を導入する前方側開口端部を備えると共に、この前方側開口端部から導入された空気を車両の下部を流れる空気の流速よりも速い流速で前記冷却風導入孔の上方に設けられた後方側開口端部から前記冷却ユニットへ向けて吹出させる冷却風導入路と、を備え、前記冷却風導入路の一部が車両後方側に向けて延出形成されていると共に、該延出形成された部分が、前記シュラウドと前記冷却風導入孔との間かつ前記冷却風導入孔と車両の上下方向に重なるように配置されている。
【0002】
[0006]
上記の態様によれば、冷却風導入路の後方側開口端部から吹出された空気の流速即ちアンダーカバーに設けられた冷却風導入孔の上方を流れる空気の流速が、アンダーカバーと路面との間を流れる空気の流速即ち冷却風導入孔の下方を流れる空気の流速よりも速くなっている。これに伴い、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力が該冷却風導入孔の上方側を流れる空気の圧力よりも高くなる。その結果、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。換言すると、冷却風導入孔の上方側を流れる空気によって、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から引き込まれる。
また、上記の態様によれば、砂や石等の異物が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて侵入しようとしても、この異物は冷却風導入路の一部にぶつかった後、車両の下方側に向けて跳ね返される。換言すると、冷却風導入路の一部によって、砂や石等の異物が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて侵入することが抑制される。
第2の態様に係る車両前部構造は、車両の前部に設けられたパワーユニットルーム内に固定されたパワーユニットと、前記パワーユニットの後方に設けられた冷却ユニットと、前記パワーユニット及び前記冷却ユニットの下方に設けられ、かつ車両前後方向及び車幅方向に延在する一般部を備え、車両の下部を流れる空気を整流するアンダーカバーと、前記アンダーカバーにおける前記パワーユニットの後方かつ前記冷却ユニットの前方に設けられ、車両の下部を流れる空気を前記冷却ユニットへ導入する冷却風導入孔と、車両の前方側から空気を導入する前方側開口端部を備えると共に、この前方側開口端部から導入された空気を車両の下部を流れる空気の流速よりも速い流速で前記冷却風導入孔の上方に設けられた後方側開口端部から前記冷却ユニットへ向けて吹出させる冷却風導入路と、車両の前方側に面が向けられ、かつ前記冷却風導入孔の周縁部の車両後方側の端部に前記一般部から車両下方側に突出された状態で固定されたフラップと、を備えている。
上記の態様によれば、アンダーカバーと路面との間を流れる空気がフラップにぶつかることによって減速すると、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力が上昇する。即ち、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力と該冷却風導入孔の上方側を流れる空気の圧力との差異がより一層大きくなる。その結果、冷却風導入孔から冷却ユニットに向けてより一層多くの量の空気が導入される。
[0007]
第3の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様又は第2の態様において、前記前方側開口端部の開口面積が前記後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定されている。
[0008]
上記の態様によれば、前方側開口端部の開口面積が後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定されている。そのため、所謂ベンチュリー効果によって、後方側開口端部から吹出する空気の流速が前方側開口端部から流入する空気の流速よりも上昇する。その結果、車両の走行時においては、電動ファン等を作動させることなくあるいは電動ファンの出力を抑えたとしても、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。
[0009]
第4の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様において、前記冷却風導入路の流路の長さが、該冷却風導入路の前方側開口端部と前記後方側開口端部との車両前後方向の距離よりも長く設定されている。
[0010]
上記の態様によれば、冷却風導入路の長さが上記のように設定されているため、冷却風導入路の内部(流路)を流れる空気の流速が、該冷却風導入路の下方側(アンダーカバーと路面との間)を流れる空気の流速よりも上昇する。その結果、車両の走行時においては、電動ファン等を作動させることなくあるいは電動ファンの出力を抑えたとしても、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。
【0003】
[0011]
[0012]
[0013]
[0014]
[0015]
第5の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様において、前記冷却風導入路が前記アンダーカバーと一体で形成されている。
[0016]
上記の態様によれば、車両前後方向に沿って延びる冷却風導入路がアンダーカバーと一体で形成されている。そのため、この冷却風導入路がアンダーカバーの補強部となることに伴い、アンダーカバーの剛性が向上する。
発明の効果
[0017]
以上説明したように第1の態様に係る車両前部構造は、パワーユニットの後方に配置された冷却ユニットへの冷却風の導入量を充分に確保することが
【0011】
積が後方側開口端部50の開口面積よりも大きく設定することによって、後方側開口端部50から吹出する空気の流速V2を前方側開口端部48から流入する空気の流速V1よりも上昇させた例について説明してきた。しかしながら、当該構成に限定されるものではなく、冷却風導入路40の後方側開口端部50から吹出する空気の流速V2を前方側開口端部48から流入する空気の流速V1よりも上昇させることができる他の構成を適用しても良い。
[0047]
[0048]
[0049]
また、本実施形態では、冷却風導入路40とアンダーカバー20とが一体で形成されている例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、各々を別体で設けた構成としても良い。
[0050]
さらに、本実施形態では、冷却ユニットとしてのラジエータ18をパワーユニット14の後方に配置した例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、他の冷却ユニットをパワーユニット14の後方に配置した構成としても良い。例えば、冷却ユニットとしてエアーコンディショナーのコンデンサやエンジンオイル等を冷却するオイルクーラをパワーユニット14の後方に配置することもできる。
[0051]
また、本実施形態では、パワーユニット14のトランスミッションとして
上記の態様によれば、冷却風導入路の後方側開口端部から吹出された空気の流速即ちアンダーカバーに設けられた冷却風導入孔の上方を流れる空気の流速が、アンダーカバーと路面との間を流れる空気の流速即ち冷却風導入孔の下方を流れる空気の流速よりも速くなっている。これに伴い、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力が該冷却風導入孔の上方側を流れる空気の圧力よりも高くなる。その結果、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて導入される。換言すると、冷却風導入孔の上方側を流れる空気によって、アンダーカバーと路面との間を流れる空気が冷却風導入孔から引き込まれる。
また、上記の態様によれば、砂や石等の異物が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて侵入しようとしても、この異物は冷却風導入路の一部にぶつかった後、車両の下方側に向けて跳ね返される。換言すると、冷却風導入路の一部によって、砂や石等の異物が冷却風導入孔から冷却ユニットに向けて侵入することが抑制される。
車両前部構造は、車両の前部に設けられたパワーユニットルーム内に固定されたパワーユニットと、前記パワーユニットの後方に設けられた冷却ユニットと、前記パワーユニット及び前記冷却ユニットの下方に設けられ、かつ車両前後方向及び車幅方向に延在する一般部を備え、車両の下部を流れる空気を整流するアンダーカバーと、前記アンダーカバーにおける前記パワーユニットの後方かつ前記冷却ユニットの前方に設けられ、車両の下部を流れる空気を前記冷却ユニットへ導入する冷却風導入孔と、車両の前方側から空気を導入する前方側開口端部を備えると共に、この前方側開口端部から導入された空気を車両の下部を流れる空気の流速よりも速い流速で前記冷却風導入孔の上方に設けられた後方側開口端部から前記冷却ユニットへ向けて吹出させる冷却風導入路と、車両の前方側に面が向けられ、かつ前記冷却風導入孔の周縁部の車両後方側の端部に前記一般部から車両下方側に突出された状態で固定されたフラップと、を備えている構成とすることもできる
上記の態様によれば、アンダーカバーと路面との間を流れる空気がフラップにぶつかることによって減速すると、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力が上昇する。即ち、冷却風導入孔の下方側を流れる空気の圧力と該冷却風導入孔の上方側を流れる空気の圧力との差異がより一層大きくなる。その結果、冷却風導入孔から冷却ユニットに向けてより一層多くの量の空気が導入される。
第2の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様において、前記前方側開口端部の開口面積が前記後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定されている。
第3の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様または第2の態様において、前記冷却風導入路の流路の長さが、該冷却風導入路の前方側開口端部と前記後方側開口端部との車両前後方向の距離よりも長く設定されている。
第4の態様に係る車両前部構造は、上記第1の態様〜第3の態様のいずれか1つの態様において、前記冷却風導入路が前記アンダーカバーと一体で形成されている。

Claims (6)

  1. 車両の前部に設けられたパワーユニットルーム内に固定されたパワーユニットと、
    前記パワーユニットの後方に設けられた冷却ユニットと、
    前記パワーユニット及び前記冷却ユニットの下方に設けられ、車両の下部を流れる空気を整流するアンダーカバーと、
    前記アンダーカバーにおける前記パワーユニットの後方かつ前記冷却ユニットの前方に設けられ、車両の下部を流れる空気を前記冷却ユニットへ導入する冷却風導入孔と、
    車両の前方側から空気を導入する前方側開口端部を備えると共に、この前方側開口端部から導入された空気を車両の下部を流れる空気の流速よりも速い流速で前記冷却風導入孔の上方に設けられた後方側開口端部から前記冷却ユニットへ向けて吹出させる冷却風導入路と、
    を備えた車両前部構造。
  2. 前記前方側開口端部の開口面積が前記後方側開口端部の開口面積よりも大きく設定された請求項1記載の車両前部構造。
  3. 前記冷却風導入路の流路の長さが、該冷却風導入路の前方側開口端部と前記後方側開口端部との車両前後方向の距離よりも長く設定された請求項1又は請求項2記載の車両前部構造。
  4. 車両の前方側に面が向けられたフラップが前記冷却風導入孔の周縁部の車両後方側の端部に設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両前部構造。
  5. 前記冷却風導入路の一部が車両後方側に向けて延出形成されていると共に、該延出形成された部分と前記冷却風導入孔とが車両の上下方向に重なるように配置された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両前部構造。
  6. 前記冷却風導入路が前記アンダーカバーと一体で形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両前部構造。
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