JPWO2013077455A1 - アルミニウム部材の接合方法及び当該接合方法によって接合されたアルミニウム構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅が、前記第2のアルミニウム合金部材の、前記第1及び第2アルミニウム部材の接合面と平行な面に沿った断面の最小幅よりも大きくしたことを特徴とするアルミニウム部材の接合方法を提供する。
前記接合は、非酸化性雰囲気中において、フッ化物系もしくは塩化物系のフラックスが接合部に塗布された状態で行われるものとする。
前記接合は、真空中、非酸化性雰囲気中又は大気中において行われるものとする。
図1に示すように、第1のアルミニウム部材が長尺材の場合にその長辺部に対して、或いは、第1のアルミニウム部材が平板材の場合にはその平面部に対して、同じく長尺材である第2のアルミニウム部材の端部を所定の角度を持って接合する接合形態が挙げられる。第2のアルミニウム部材が第1のアルミニウム部材上に“立つ”ように接合されていることから、このような接合を以下「立接」と記す。第1及び第2のアルミニウム部材のそれぞれの接合面が単一平面であり、これらの接合面を当接した部分が接合部となる。まず、接合面が単一平面である立接の接合形態について説明する。
なお、上記図4〜17に示す例においても、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅を、第1及び第2のアルミニウム部材の接合面と平行な第2のアルミニウム部材の本体断面の最小幅よりも大きくする。
B.被接合部材の組合せ
本発明に係るアルミニウム部材の接合方法では、一方の被接合部材である第1のアルミニウム部材と他方の被接合部材である第2のアルミニウム部材とを接合する。ここでいうアルミニウム部材とは、アルミニウム合金材又は純アルミニウム材を意味し、アルミニウム部材同士の接合は、合金組成が同一のもの同士でも、合金組成が異なるもの同士でもよい。
本発明において適用するアルミニウム部材のしみ出し接合では、前記した特許文献1に記載されている通り、第1及び第2のアルミニウム部材の少なくとも一方を、すなわち、第1及び第2のアルミニウム部材のいずれか一方、或いは、両方を、アルミニウム部材の全質量に対する当該アルミニウム部材内に生成する液相の質量の比(以下、「液相率」と記す)が5%以上35%以下となる温度で接合する必要がある。液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多過ぎてアルミニウム部材が形状を維持できなくなり大きな変形をしてしまう。一方、液相率が5%未満では接合が困難となる。好ましい液相率は5〜30%であり、より好ましい液相率は10〜20%である。
液相が生じた後から接合に至るまでの金属組織の挙動を説明する。図21に示すように、液相を生成するアルミニウム部材Aと、これと接合するアルミニウム部材Bとを用いた逆T字型接合試験片を接合し、図に示す観察面を顕微鏡で観察した。前述のように、接合においてアルミニウム部材Aの表面に生成するごく僅かな液相は、フラックス等の作用により酸化皮膜が破壊された相手のアルミニウム部材Bとの隙間を埋める。次に、両部材の接合界面付近にある液相がアルミニウム部材B内へと移動していき、それに伴い接合界面に接しているアルミニウム部材Aの固相α相の結晶粒がアルミニウム部材B内に向かって成長していく。一方、アルミニウム部材Bの結晶粒もアルミニウム部材A側へと成長していく。
アルミニウム部材の表層には酸化皮膜が形成されており、これによって接合が阻害される。従って、接合においては酸化皮膜を破壊する必要がある。本発明において適用するしみ出し接合では、酸化皮膜を破壊するために以下のD−1又はD−2に示すいずれかの方法が採用される。
この方法では、酸化皮膜を破壊する為に少なくとも接合部にフラックスを塗布する。フラックスはアルミニウム材のロウ付で用いるKAlF4やCsAlF4などのフッ化物系フラックス又はKClやNaClなどの塩化物系フラックスが用いられる。これらフラックスは、しみ出し接合において液相が溶融する前に又は接合温度に至る前に溶融し、酸化皮膜と反応して酸化皮膜を破壊する。
アルミニウム部材にMgが所定量添加されている場合は、接合部にフラックスを塗布しなくても、酸化皮膜が破壊されて接合が可能になる。この場合、真空フラックスレスロウ付と同様に、アルミニウム部材が溶融し液相が表層に出てくるときに、アルミニウム部材中より蒸発するMgのゲッター作用によって酸化皮膜が破壊される。
液相率が5%以上35%以下である時間は、30秒以上3600秒以下とするのが好ましく、60秒以上1800秒以下とするのがより好ましい。30秒未満では、液相が接合部に十分に充填されない場合があり、3600秒を超えると被接合部材の形状変化を確実に抑制できない場合がある。
また、液相を生成するアルミニウム部材の固相線温度と液相線温度の差を10℃以上とするのが好ましい。10℃未満では、固体と液体が共存する温度範囲が狭くなり、発生する液相量の制御が困難となる場合がる。
更に、液相を生成するアルミニウム合金材においては、接合温度で加熱した後のマトリクスの結晶粒径を50μm以上とするのが好ましい。50μm未満では、自重により粒界すべりが発生し易くなり、接合時間が長くなると変形が促進される場合が生じるからである。なお、結晶粒径の測定はJIS H:501に準拠した切断法により測定した。
所定の液相率を生成するアルミニウム部材としては、Mg含有量が0.5%以下又は0.2%以上2.0%以下に規制され、Si:0.6〜3.5%を必須元素として含有し、Cu:0.05〜0.5%、Fe:0.05〜1.0%、Zn:0.2〜1.0%、Mn:0.1〜1.8%及びTi:0.01〜150.3%から選択される1種又は2種以上を選択的添加元素として更に含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるアルミニウム合金材が好適に用いられる。
本発明の接合においては、接合部で第1及び第2のアルミニウム部材が接していれば接合面に圧力を加える必要は必ずしもない。しかしながら、実際の製品の製造過程では、アルミニウム部材同士を固定したりクリアランスを縮めたりする為に、冶具等で両アルミニウム部材に応力が加わる場合が多い。また、自重によってもアルミニウム部材内に応力が発生する。このとき、各アルミニウム部材内の各部位に発生する応力は、形状と荷重から求められる。例えば、構造計算プログラムなどを用いて計算する。本発明では、接合時において液相を生じるアルミニウム部材の各部位に発生する応力のうち最大のもの(最大応力)をP(kPa)とし、当該アルミニウム部材であるアルミニウム合金での液相率をVとしたときに、P≦460−12Vを満たすよう接合することが好ましい。この式の右辺で示される値は限界応力であり、これを超える応力が液相を生じるアルミニウム部材に加わると、液相率が35%以内であってもアルミニウム部材に大きな変形が発生するおそれがある。
なお、両アルミニウム部材から液相が発生する場合は、両アルミニウム部材各々に対して、各々の応力P、液相率Vを用いてP≦460−12Vを算出し、両アルミニウム部材とも前記式を同時に満たすよう接合を行う。
本発明の接合においてはアルミニウム部材の液相生成量が微量である為、接合部では両アルミニウム部材が接するように配置される必要がある。しかしながら、材料の反りやうねりにより、両アルミニウム部材の間に僅かな隙間が生じる場合がある。特に、凹凸の波長が25〜2500μmのうねりは隙間として無視できる大きさではなく、また冶具の押さえなどで矯正することも困難である。
本発明の接合方法においては、通常、アルミニウム部材は炉中で加熱される。炉の形状に特に制限はなく、例えば1室構造のバッチ炉、自動車用熱交換器の製造などに用いられる連続炉などを用いることができる。なお、炉中の雰囲気に制限はないが、前述の通り非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。
c1・・Si濃度
c2・・Si濃度
L1・・第1のアルミニウム部材の長手方向に沿った中心線
L2・・第2のアルミニウム部材の長手方向に沿った中心線
T・・温度
T1・・Teを超えた温度
T2・・T1より更に高い温度
T3・・Ts2を超えた温度
Te・・固相線温度
Ts2・・固相線温度
Claims (10)
- 第1のアルミニウム部材の平面部と第2のアルミニウム部材の端部とを接合する方法であって、前記第1及び第2のアルミニウム部材の少なくとも一方を、その全質量に対する当該アルミニウム部材内に生成される液相の質量の比が5%以上35%以下となる温度で接合する接合方法において、
前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅を、前記第2のアルミニウム部材の本体部分の、前記第1及び第2アルミニウム部材の接合面と平行な面に沿った断面の最小幅よりも大きくしたことを特徴とするアルミニウム部材の接合方法。 - 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ単一平面からなることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム部材の接合方法。
- 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面又は相補的な曲面からなることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム部材の接合方法。
- 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な二つの平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が略L字状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
- 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な三つの平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が略コの字状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
- 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が鋸歯状、階段状又は凹凸状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
- 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な曲面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が波状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
- 前記第1及び第2のアルミニウム部材は、Mg:0.5質量%以下に規制されるアルミニウム材からなり、
前記接合は、非酸化性雰囲気中において、フッ化物系もしくは塩化物系のフラックスが接合部に塗布された状態で行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルミニウム部材の接合方法。 - 前記第1のアルミニウム部材は、Mg:0.2質量%以上2.0質量%以下を含有するアルミニウム材からなり、前記第2のアルミニウム部材は、Mg含有量が2.0質量%以下に規制されるアルミニウム材からなり、
前記接合は、真空中、非酸化性雰囲気中又は大気中において行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルミニウム部材の接合方法。 - 前記第1及び第2のアルミニウム部材を、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアルミニウム部材の接合方法によって接合したアルミニウム構造体。
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