JPWO2013077455A1 - アルミニウム部材の接合方法及び当該接合方法によって接合されたアルミニウム構造体 - Google Patents

アルミニウム部材の接合方法及び当該接合方法によって接合されたアルミニウム構造体 Download PDF

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Abstract

本発明は、溶化材やロウ材を必要としない簡易なアルミニウム部材の接合方法、ならびに、継手部分において応力集中がなく、十分な強度を有するアルミニウム構造体を提供するものである。第1及び第2のアルミニウム部材の少なくとも一方を、その全質量に対する当該アルミニウム部材内に生成される液相の質量の比が5%以上35%以下となる温度として接合するとともに、第1及び第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅を、前記第2のアルミニウム合金部材の本体部分の、前記第1及び第2アルミニウム部材の接合面と平行な面に沿った断面の最小幅よりも大きくした。

Description

本発明は、アルミニウム部材同士を接合する方法、ならびに、当該接合方法によって接合されたアルミニウム構造体に関する。
金属製の部材の接合方法には、従来から様々な方法が採用されている。非特許文献1には、金属の接合方法が材質的接合法、化学的接合法及び機械的接合法に大きく分類されている。アルミニウム部材の接合も、これらいずれかの方法が用いられ、具体的には、溶接法、ハンダ付け法、ロウ付法等の材質的接合法が用いられてきた。
溶接法は、接合部を電気又は炎により加熱して溶融、合金化して接合を成すものである。接合部の隙間が大きい場合や接合強度が必要な場合は、接合時に溶加材を同時に溶融させて隙間を充填する。このように、接合部が溶融するため確実な接合がなされる。一方で、接合部を溶融して接合するため、接合部近傍の形状が大きく変形し、金属組織も局所的に大きく変化して別組織となり局所的な脆弱化が生じることがある。また、接合部のみを局所的に加熱していく必要があるために、同時に多点を接合するのが困難となるなどの問題もある。未接合部が残って残留応力が生じてしまうことや、溶加材を加えることによる重量増などの問題があった。
また、ロウ付け法では、ロウ材の溶融による流動で形状変化が生じるなどの問題があった。被接合部材の他にロウ材を使用する場合でも、或いは、被接合材にロウ材をクラッドして一体化する場合でも、ある一定程度のロウ材が必要になるので、例えば、狭い流路が存在する場合などでも、その隙間を埋めてしまうなどの問題があった。また、ロウ材を別途用意する場合は組み立てが面倒となり、クラッド材では材料費が高くなるという問題もあった。
これに対して、特許文献1に示すしみ出し接合は、良好な接合性と、接合時の材料の流動による変形が殆どない、信頼性の高い新規な接合方法である。被接合部材自体が溶融により大きく流動することがなく、ハンダ材やロウ材、溶化材等を用いないため、接合による寸法変化が小さく殆ど形状変化を生じないという特徴を有する。特に、微細な流路を備えた部材の接合においても、液相の流れ込みや変形によって流路が塞がれることなく良好な接合を行える。また、拡散接合のように接合面同士の強い加圧が必要でないため、平坦な板状のものに限らず、部材同士の端部を突き合せた接合も可能である。素材自体で接合できるので、ロウ材を使用するロウ付けのように組み立てが煩雑でなく、ロウ材のクラッド材ように材料費が高くなることもない。
以上のように、しみ出し接合は、従来の接合方法の問題点を解決する接合方法であり、アルミニウム材の接合において多くの利点を有する方法である。
国際公開WO2011/152556
溶接・接合技術データブック、p.57、溶接・接合技術データブック編集委員会(2007年)
アルミニウム材は、比強度が高いことから構造体としての需要が高く、軽量かつ高強度の構造体があれば産業的に大きな効果が得られる。しかしながら、前述のしみ出し接合を構造体のような継手形状に使用する場合には、部材同士の端部を突き合せた部分に応力集中が生じ易い。
その理由は、次のように考えられる。通常のロウ付けの場合では接合部を液相ロウが埋めて接合部近傍の形状を太らせるフィレットが形成され、溶接の場合では接合部を溶融しつつ溶加材を付加することで接合部近傍の形状を太らせるビードが形成される。これらの接合方法では、部材間の急激な断面積変化を緩和するフィレットやビードによって応力が分散される。これに対してしみ出し接合では、接合部において部材間の断面積変化を緩和するフィレットやビードが形成されないので急激な断面積変化を緩和できず、接合部に応力が集中することになる。そこで、しみ出し接合の利点を活かしつつ、接合部の応力集中をなくして継手強度を向上可能なしみ出し接合に適した接合方法が求められている。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものである。しみ出し接合を用いたアルミニウム構造体において、継手部分に応力集中がなく十分な強度を有するとともに、溶接やロウ付けにおけるような組織変化、形状変化を生じることがないなど、しみ出し接合の長所を兼ね備えたアルミニウム部材の接合方法の提供を目的とする。
本発明は、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材を接合する方法であって、前記第1及び第2のアルミニウム部材の少なくとも一方を、その全質量に対する当該アルミニウム部材内に生成する液相の質量の比が5%以上35%以下となる温度で他方のアルミニウム部材と接合する接合方法において、
前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅が、前記第2のアルミニウム合金部材の、前記第1及び第2アルミニウム部材の接合面と平行な面に沿った断面の最小幅よりも大きくしたことを特徴とするアルミニウム部材の接合方法を提供する。
上記本発明において、前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ単一平面からなるものとすることができる。
上記本発明において、前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面又は相補的な曲面からなるものとすることもできる。
前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面からなる場合、該各接合面は、両部材間で相補的な二つの平面又は三つの平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が略L字状又は略コの字状であってもよい。
前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面からなる場合、該各接合面は、両部材間で相補的な連続する複数の平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が鋸歯状、階段状又は凹凸状であってもよい。
前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な曲面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が波状であってもよい。
上記本発明において、前記第1及び第2のアルミニウム部材は、Mg:0.5質量%以下に規制されるアルミニウム材からなり、
前記接合は、非酸化性雰囲気中において、フッ化物系もしくは塩化物系のフラックスが接合部に塗布された状態で行われるものとする。
上記本発明において、前記第1のアルミニウム部材は、Mg:0.2質量%以上2.0質量%以下を含有するアルミニウム材からなり、前記第2のアルミニウム部材は、Mg:2.0質量%以下に規制されるアルミニウム材からなり、
前記接合は、真空中、非酸化性雰囲気中又は大気中において行われるものとする。
本発明は、また、前記第1及び第2のアルミニウム部材を上述の各接合方法によって接合したアルミニウム構造体を提供する。
本発明により、溶化材やロウ材を必要としない簡易なアルミニウム部材の接合方法を提供することができ、更に、継手部分において応力集中がなく、十分な強度を有するアルミニウム構造体を提供することができる。
接合方法について詳述すると、しみ出し接合本来の以下の特徴を有する。すなわち、被接合部材自体が溶融により大きく流動することがなく、ハンダ材やロウ材、溶化材等を用いないため、接合による寸法変化が小さく、殆ど形状変化を生じない。特に、微細な流路を有する部材の接合においても、液相の流れ込みや変形によって流路が塞がれることなく良好な接合を行える。
更に、接合部近傍において局所的な組織変化が生起しないため、強度脆化が生じ難い。また、ロウ付法と同等の信頼性を有する同時多点接合を、置きロウ、ロウペースト、ロウ材をクラッドしたブレージングシートなどを用いることなく行うことができる。これにより、接合性能を損なうことなく材料のコストダウンが可能となる。
本発明と同様に接合による変形が少なく同時多点接合が可能である拡散接合と比べて、加圧が不要で、接合に要する時間を短くでき、Mgを含有していないアルミニウム合金材の接合であっても、接合面の清浄化処理のための特殊な工程を必要としない。
本発明における接合形態の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の他の実施例を示す断面図である。 第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の長手方向に沿った中心線同士が成す角度(θ)を示す模式図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 本発明における接合形態の接合面を変更した他の実施例を示す断面図である。 2元系共晶合金としてAl−Si合金の状態図を示す模式図である。 本発明に係るアルミニウム部材の接合方法における、液相の生成メカニズムを示す説明図である。 本発明に係るアルミニウム部材の接合方法における、液相の生成メカニズムを示す説明図である。 逆T字型接合試験片とその接合部の観察面位置を示す正面図である。 図21で観察した接合部を示す顕微鏡写真である。
以下、本発明のアルミニウム部材の接合方法、ならびに、この接合方法を用いて接合したアルミニウム構造体について説明する。ここで、この接合方法は、前記した特許文献1の記載に従い、アルミニウム部材同士をしみ出し接合法を適用して接合するものである。まず、被接合部材である第1及び第2のアルミニウム部材の接合形態について説明する。
A.接合形態
図1に示すように、第1のアルミニウム部材が長尺材の場合にその長辺部に対して、或いは、第1のアルミニウム部材が平板材の場合にはその平面部に対して、同じく長尺材である第2のアルミニウム部材の端部を所定の角度を持って接合する接合形態が挙げられる。第2のアルミニウム部材が第1のアルミニウム部材上に“立つ”ように接合されていることから、このような接合を以下「立接」と記す。第1及び第2のアルミニウム部材のそれぞれの接合面が単一平面であり、これらの接合面を当接した部分が接合部となる。まず、接合面が単一平面である立接の接合形態について説明する。
しみ出し接合を適用すると、接合部にはロウ付けのフィレットや、溶接のビードのように、第2のアルミニウム部材から第1のアルミニウム部材にかけて断面積が徐々に大きくなるような部分が存在しない。断面積が徐変する部分が存在しないと、例えば第2のアルミニウム部材の接合部から離れた箇所に片持ち梁のような荷重が加わる場合、断面積が急に変化する接合部に応力が集中し、応力が接合強度を上回るような負荷条件になると接合部が変形又は破壊してしまう。
これは、一定の負荷条件では接合部に発生するモーメントは一定で、接合部の最外部に発生する応力は接合中心と最外部の距離が小さければ大きくなり、その距離が大きければ最大応力は小さくなるためである。言い換えれば、最大応力は接合部の幅が小さければ大きく、接合部の幅が大きければ小さくなるためである。そして、しみ出し接合では、この接合部の幅が小さいので、最大応力は大きくなる。
このため、本発明では、両アルミニウム部材同士をしみ出し接合で立接する場合には、第2のアルミニウム部材の、第1のアルミニウム部材と接する側の端部を大きくして、その接合面が第2のアルミニウム部材の本体部分より大きくなるようにした。具体的には、第2のアルミニウム部材と第1のアルミニウム部材の接合部の接合幅を、第2のアルミニウム部材の本体部分の、第1及び第2のアルミニウム部材の接合面と平行な面に沿った断面の最小幅よりも大きくするものである。これにより、接合部の最外部における応力集中が無くなり、接合部での変形や破壊の発生を抑制することができる。
このような立接による接合形態の例としては、図1に示すように、端部がL字状に成形された第2のアルミニウム部材と、第1のアルミニウム部材との接合形態が挙げられる。L字形状の寸法は適宜決定すればよい。
他の接合形態の例としては、図2に示すように、第2のアルミニウム部材の端部が漏斗状に広がっており、この漏斗状の端面において第1のアルミニウム部材と接合されているものが挙げられる。漏斗状の端部形状や寸法は適宜決定すればよい。
更に他の接合形態の例としては、図3に示すように、図2における第2のアルミニウム部材の第1のアルミニウム部材と接合された端部とは反対側の接合されていない端部が広がっているものが挙げられる。この接合されていない端部の形状は任意であり、本発明の効果を損なうものではない。
これら図1〜3に示す立接による接合形態の例では、第2のアルミニウム部材と第1のアルミニウム部材のなす角度、すなわち、両部材の長手方向に沿った中心線同士のなす角度が直角(90°)となっているが、この角度に限定されるものではない。図4に示すように、中心線同士(L1、L2)のなす角度(θ)は、0°<θ<180°の範囲において設定可能でありその効果が発揮される。一般的な構造部材の場合は、30°<θ<150°の範囲で接合する場合が多い。
第1及び第2のアルミニウム部材については中実部材であることを前提として述べてきたが、第1及び第2のアルミニウム部材のいずれか一方、或いは、両方が中空部材であってもよい。
次に、本発明の接合の形態として、前述の立接のような接合形態に限定しない一般的な接合形態であって、接合面を種々変更した例について説明する。一般に、接合とは2つの被接合部材が存在するものであって、それらの接合面は単一の平面からなる場合が多い。しかしながら、しみ出し接合では、液層量が通常のロウ付けよりも少なく、溶接のように溶加材を用いることもない。従って、被接合部材としてそれ自身の強度が高いものを選択した場合には、相対的に接合部の接合強度が弱くなる。このような場合には、荷重が負荷されれば接合部が変形又は破壊することにもなる。
このため、本発明の他の実施態様では、第1のアルミニウム部材の接合面を複数の平面とし、かつ、第2のアルミニウム部材の接合面もまた同じ複数の平面とした。そして、第1のアルミニウム部材の複数の接合面と、これらに対応する第2のアルミニウム部材の複数の接合面とが、それぞれ相補的となるようにした。また、これに代わって、第1及び第2のアルミニウム部材の接合面をそれぞれ曲面とし、それぞれの曲面が相補的となるようにした。
このような接合形態の例としては、図5に示すように、複数の平面と直交する接合部断面が垂直の段形状になっているものが挙げられる。段形状の寸法は適宜決定すればよく、角部が曲線(R)になっていてもよい。また、図6に示すように、接合部断面が鈍角の段形状になっているものが挙げられる。図5の例と同様に、段形状の寸法は適宜決定すればよく、角部が曲線(R)になっていてもよい。更に、図7に示すように、接合部断面がくの字状になっているものが挙げられる。くの字の直線間の角度は適宜決定すればよい。また、図8に示すように、接合部断面が曲線状になっているものが挙げられる。曲線の具体的な形状や寸法は適宜決定すればよい。
このような接合形態とする際に、アルミニウム部材としてそれ自身の強度が高いものを選択し相対的に接合面の接合強度が弱い場合でも、接合面積を大きくすることができる。その結果、接合構造全体としての接合強度は大きくなり、荷重が負荷されても接合部において破壊し難くなる。
接合面を種々変更した別の例について説明する。この例は、第1のアルミニウム部材の二つの接合平面と、これらに対応する第2のアルミニウム部材の二つの接合平面とが、それぞれ相補的となるもので、接合部の断面が直角又は鈍角を成す略L字状となっているものである。
例えば、図9に示すように、第2のアルミニウム部材は2つの平面からなる略直角状の角部を有し、第1のアルミニウム部材はこれらの2つの平面に相補的な底面と側面を有する。そして、第1のアルミニウム部材が、第2のアルミニウム部材の角部に立てかけられるように立接して接合され、接合部の断面がL字状になるものである。第1のアルミニウム部材の接合されない端部は、例えばL字状やU字状に成形されていてもよく、或いは、特定の形状に成形されていなくてもよい。
図9の第2のアルミニウム部材に代えて、図10に示すように、長辺部に設けた凸部の片側の2つの平面からなる略直角状の角部を有する第2のアルミニウム部材を用いてもよい。第1のアルミニウム部材は、第2のアルミニウム部材の上記2つの平面に相補的な底面と側面を有する。この例においても、第1のアルミニウム部材は、第2のアルミニウム部材の角部に立てかけられるように立接して接合され、接合部の断面がL字状になる。図9に示す例と同様に、第1のアルミニウム部材の接合されない端部は、例えばL字状やU字状に成形されていてもよく、或いは、特定の形状に成形されていなくてもよい。
接合部が略L字状となる他の例としては、図11に示すように、第1のアルミニウム部材の端部が段状になって2つの平面からなる略直角状の角部が形成されており、第2のアルミニウム部材は平板状であり、第1のアルミニウム部材の上記2つの平面に相補的な底面と側面を有する。そして、第1のアルミニウム部材の角部に第2のアルミニウム部材の端部を突き合せるように接合することにより、接合部の断面がL字状になる。第2のアルミニウム部材の接合されない端部は、例えばL字状やU字状に成形されていてもよく、或いは、特定の形状に成形されていなくてもよい。
上記図9〜11に示す例においては、L字状の寸法は適宜決定すればよい。また、これら例示した以外でも、接合部の断面がL字状になっていれば同様の効果を奏する。
接合面を種々変更した更に別の例について説明する。この例は、第1のアルミニウム部材の三つの接合平面と、これらに対応する第2のアルミニウム部材の三つの接合平面とが、それぞれ相補的となるもので、接合部の断面が直角又は鈍角を成す略コの字状となっているものである。
例えば、図12に示すように、第2のアルミニウム部材は、直角又は鈍角を成すコの字状の凹部を長辺部に有し、第1のアルミニウム部材は、上記凹部の平面と相補的な例えばL字面に成形された端部を有する。そして、第1のアルミニウム部材のL字状に形成された端部を、第2のアルミニウム部材の凹部に挿入して接合することにより、接合部の断面がコの字状になる。第1のアルミニウム部材の接合されない端部は、例えばL字状やU字状に成形されていても、或いは、特定の形状に成形されていなくてもよい。
また、接合部の断面がコの字状となっている他の例としては、図13に示すように、第2のアルミニウム部材が長辺部に並んで配置された2つの凸部(13-1,13-2)を有し、これら凸部間に凹部が形成されている。第1のアルミニウム部材は、上記凹部の平面と相補的な底面と両側面を備えた端部を有する。そして、第1のアルミニウム部材の上記端部を、第2のアルミニウム部材の凹部に挿入して接合することにより、接合部の断面がコの字状になる。図12の例と同様に、第1のアルミニウム部材の接合されない端部は、例えばL字状やU字状に成形されていても、或いは、特定の形状に成形されていなくてもよい。
上記図12、13に示す例においては、コの字状の寸法は適宜決定すればよい。また、これら例示した以外でも、接合部の断面がコの字状になっていれば同様の効果を奏する。
接合面を種々変更した更に別の例について説明する。この例は、第1のアルミニウム部材の連続する複数の接合平面と、これらに対応する第2のアルミニウム部材の連続する複数の接合平面とが、それぞれ相補的となるもので、接合平面と直交する接合部の断面が鋸歯状、階段状又は凹凸(矩形溝と上向き矩形突起の連続体)状となっているもの、或いは、第1及び第2のアルミニウム部材の接合曲面がそれぞれ相補的となるもので、接合曲面と直交する接合部の断面が波状となっているものである。
例えば、図14に示すように、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ複数の階段状の平面からなり、かつ、これら部材間で対応する平面同士が相補的となっているものである。従って、接合によって接合部の断面は階段状になる。
更に図15に示すように、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ複数の鋸歯状の平面からなり、かつ、これら部材間で対応する平面同士が相補的となっているものである。従って、接合によって接合部の断面は鋸歯状になる。
更に図16に示すように、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ複数の凹凸状の平面からなり、かつ、これら部材間で対応する凹と凸が相補的となっているものである。従って、接合によって接合部の断面は凹凸状になる。
更に図17に示すように、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の接合面がそれぞれ波状の曲面からなり、かつ、対応する波状曲面同士が相補的となっているものである。従って、接合によって接合部の断面は波状になる。
これら階段形状の寸法や、鋸歯形状の寸法や、凹凸形状の寸法や、波状の寸法は適宜決定すればよい。
なお、上記図4〜17に示す例においても、第1のアルミニウム部材と第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅を、第1及び第2のアルミニウム部材の接合面と平行な第2のアルミニウム部材の本体断面の最小幅よりも大きくする。
以上、第1及び第2のアルミニウム部材の接合形態について詳述したが、いずれの接合形態においても、アルミニウム部材自身の強度が高いものを選択して、接合部の接合強度が相対的に弱い場合であっても接合面積を大きくすることができる。その結果、接合した構造体全体としての接合強度は大きくなり、荷重が負荷されても接合部において破壊し難いという格別の効果が得られる。
次に、本発明において適用するしみ出し接合について詳細に説明する。
B.被接合部材の組合せ
本発明に係るアルミニウム部材の接合方法では、一方の被接合部材である第1のアルミニウム部材と他方の被接合部材である第2のアルミニウム部材とを接合する。ここでいうアルミニウム部材とは、アルミニウム合金材又は純アルミニウム材を意味し、アルミニウム部材同士の接合は、合金組成が同一のもの同士でも、合金組成が異なるもの同士でもよい。
C.液相の生成
本発明において適用するアルミニウム部材のしみ出し接合では、前記した特許文献1に記載されている通り、第1及び第2のアルミニウム部材の少なくとも一方を、すなわち、第1及び第2のアルミニウム部材のいずれか一方、或いは、両方を、アルミニウム部材の全質量に対する当該アルミニウム部材内に生成する液相の質量の比(以下、「液相率」と記す)が5%以上35%以下となる温度で接合する必要がある。液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多過ぎてアルミニウム部材が形状を維持できなくなり大きな変形をしてしまう。一方、液相率が5%未満では接合が困難となる。好ましい液相率は5〜30%であり、より好ましい液相率は10〜20%である。
加熱中における実際の液相率を測定することは、極めて困難である。そこで、本発明で規定する液相率は平衡計算によって求めるものとする。具体的には、Thermo−Calcなどの熱力学平衡計算ソフトによって合金組成と加熱時の最高到達温度から計算される。
液相の生成メカニズムについて説明する。図18に代表的な2元系共晶合金であるAl−Si合金の状態図を模式的に示す。Si濃度がc1であるアルミニウム部材を加熱すると、共晶温度(固相線温度)Teを超えた付近の温度T1で液相の生成が始まる。共晶温度Te以下では、図19(a)に示すように、結晶粒界で区分されるマトリクス中に晶析出物が分布している。ここで液相の生成が始まると、図19(b)に示すように、晶析出物分布の偏析の多い結晶粒界が溶融して液相となる。次いで、図19(c)に示すように、アルミニウム合金のマトリクス中に分散する主添加元素成分であるSiの晶析出物粒子や金属間化合物の周辺が球状に溶融して液相となる。更に図19(d)に示すように、マトリクス中に生成したこの球状の液相は、界面エネルギーにより時間の経過や温度上昇と共にマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。次いで、図17に示すように温度がT2に上昇すると、状態図より液相量は増加する。図18に示すように、一方のアルミニウム部材のSi濃度が最大固溶限濃度より小さいc2の場合には、固相線温度Ts2を超えた付近で液相の生成が始まる。但し、c1の場合と異なり、溶融直前の組織は図20(a)に示すように、マトリクス中に晶析出物が存在しない場合がある。この場合、図20(b)に示すように粒界でまず溶融して液相となった後、図20(c)に示すようにマトリクス中において局所的に溶質元素濃度が高い場所から液相が発生する。図20(d)に示すように、マトリクス中に生成したこの球状の液相は、c1の場合と同様に、界面エネルギーにより時間の経過や温度上昇と共にマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。温度がT3に上昇すると、状態図より液相量は増加する。このように、本発明が適用するしみ出し接合は、アルミニウム部材内部の部分的な溶融により生成される液相を利用するものであり、接合と形状維持の両立を実現できるものである。
D.接合における金属組織の挙動
液相が生じた後から接合に至るまでの金属組織の挙動を説明する。図21に示すように、液相を生成するアルミニウム部材Aと、これと接合するアルミニウム部材Bとを用いた逆T字型接合試験片を接合し、図に示す観察面を顕微鏡で観察した。前述のように、接合においてアルミニウム部材Aの表面に生成するごく僅かな液相は、フラックス等の作用により酸化皮膜が破壊された相手のアルミニウム部材Bとの隙間を埋める。次に、両部材の接合界面付近にある液相がアルミニウム部材B内へと移動していき、それに伴い接合界面に接しているアルミニウム部材Aの固相α相の結晶粒がアルミニウム部材B内に向かって成長していく。一方、アルミニウム部材Bの結晶粒もアルミニウム部材A側へと成長していく。
アルミニウム部材Bが液相を生成しない合金の場合には、図22(a)に示すように、接合界面付近のアルミニウム部材B中にアルミニウム部材Aの組織が入り込んだような組織となって接合される。従って、接合界面にはアルミニウム部材Aとアルミニウム部材B以外の金属組織が生じない。また、アルミニウム部材Bも液相を生成する合金の場合には、図22(b)に示すように、両部材は完全に一体化した組織となり接合界面が判別できない。
一方、アルミニウム部材Aとしてロウ材をクラッドしたブレージングシートを用い、アルミニウム部材Bとして液相を生成しない部材を用いた場合には、図22(c)に示すように、接合部にフィレットが形成され共晶組織が見られる。このように、図22(c)では、図22(a)、(b)において形成される接合組織とは異なるものとなる。ロウ付法では接合部を液相ロウが埋めてフィレットを形成するため、接合部は周囲と異なる共晶組織が形成されるのである。また、溶接法においても接合部が局部的に溶融するため、他の部位とは異なる金属組織となる。それに対して、本発明において適用するしみ出し接合では、接合部の金属組織が両被接合部材のものだけで構成され、或いは、両被接合部材が一体化したもので構成される点で、ロウ付や溶接による接合組織と相違する。
このような接合挙動のため、接合工程後において接合部位近傍の形状変化がほとんど発生しない。すなわち、溶接法のビードや、ロウ付法でのフィレットのような接合後の形状変化が、本発明に係る接合方法では殆ど発生しない。それにも拘わらず、溶接法やロウ付法と同じく金属結合による接合を可能とする。例えば、ブレージングシート(ロウ材クラッド率が片面5%)を用いてドロンカップタイプの積層型熱交換器を組み立てた場合、ロウ付け加熱後には溶融したロウ材が接合部に集中するため、積層した熱交換器の高さが5〜10%減少する。従って、製品設計においてはその減少分を考慮する必要がある。本発明において適用するしみ出し接合においては接合後における寸法変化が極めて小さいため、高精度の製品設計が可能となる。
E.酸化皮膜の破壊
アルミニウム部材の表層には酸化皮膜が形成されており、これによって接合が阻害される。従って、接合においては酸化皮膜を破壊する必要がある。本発明において適用するしみ出し接合では、酸化皮膜を破壊するために以下のD−1又はD−2に示すいずれかの方法が採用される。
E−1.フラックスによる酸化皮膜の破壊
この方法では、酸化皮膜を破壊する為に少なくとも接合部にフラックスを塗布する。フラックスはアルミニウム材のロウ付で用いるKAlF4やCsAlF4などのフッ化物系フラックス又はKClやNaClなどの塩化物系フラックスが用いられる。これらフラックスは、しみ出し接合において液相が溶融する前に又は接合温度に至る前に溶融し、酸化皮膜と反応して酸化皮膜を破壊する。
更にこの方法では、酸化皮膜の形成を抑制するために、窒素ガスやアルゴンガスなどの非酸化性雰囲気中で接合する。特にフッ化物系のフラックスを用いる場合は、酸素濃度を250ppm以下に抑え、露点を−25℃以下に抑えた非酸化性ガス雰囲気中で接合するのが好ましい。
また、フッ化物系のフラックスを用いる場合、第1及び第2のアルミニウム部材中にMgが0.5質量%を超えて含有されると、フラックスとMgが反応してフラックスの酸化皮膜破壊作用が損なわれる。従って、請求項1、3に規定するように、第1及び第2のアルミニウム部材のいずれもが、Mg含有量を0.5質量%(以下、単に「%」と記す)以下に規制されるアルミニウム材からなるものとする。ここで、Mg:0.5質量%以下とは、Mgを含有しない場合、或いは、不可避的不純物レベルとして極微量含有する場合を含む。なお、Mg含有量が0.5質量%以下の条件を満たせば、第1及び第2のアルミニウム部材に含有される他の元素の種類や含有量には制限はない。
E−2.Mgのゲッター作用による酸化皮膜の破壊
アルミニウム部材にMgが所定量添加されている場合は、接合部にフラックスを塗布しなくても、酸化皮膜が破壊されて接合が可能になる。この場合、真空フラックスレスロウ付と同様に、アルミニウム部材が溶融し液相が表層に出てくるときに、アルミニウム部材中より蒸発するMgのゲッター作用によって酸化皮膜が破壊される。
Mgのゲッター作用により酸化皮膜を破壊する場合、酸化皮膜の形成を抑制するために、真空中又は上記の非酸化性雰囲気中で接合する。面接合や閉塞空間での接合の場合は、乾燥した大気において接合可能な場合がある。非酸化性雰囲気中や乾燥大気中での接合の場合は、露点を−25℃以下に抑えることが好ましい。
Mgのゲッター作用により酸化皮膜を破壊する為には、第1及び第2のアルミニウム部材の一方が、Mg含有量を0.2%以上2.0%以下としたアルミニウム材からなるものとする。Mg含有量が0.2質量%未満では、十分なゲッター作用が得られず良好な接合が達成されない。一方、2.0質量%を超えると、表面でMgが雰囲気中の酸素と反応して酸化物MgOが多く生成され接合が阻害される。なお、一方のアルミニウム部材についてのみMg含有量を0.2%以上2.0%以下としたのは、一方のアルミニウム部材によるMgのゲッター作用が得られれば足りるためである。他方のアルミニウム部材においては、Mg含有量が0.2%以上に限定されないが、MgOが多く生成されると接合が阻害されるので、Mg含有量は2.0%以下に規制した。ここで、Mg:2.0%以下とは、Mgを含有しない場合、或いは、不可避的不純物レベルとして極微量含有する場合も含む。また、一方のアルミニウム部材において、Mg含有量が0.2%以上2.0%以下の条件が満たされれば他の元素の種類や含有量には制限はなく、他方のアルミニウム部材において、Mg含有量が2.0%以下の条件が満たされれば他の元素の種類や含有量には制限はない。
F.接合条件
液相率が5%以上35%以下である時間は、30秒以上3600秒以下とするのが好ましく、60秒以上1800秒以下とするのがより好ましい。30秒未満では、液相が接合部に十分に充填されない場合があり、3600秒を超えると被接合部材の形状変化を確実に抑制できない場合がある。
また、液相を生成するアルミニウム部材の固相線温度と液相線温度の差を10℃以上とするのが好ましい。10℃未満では、固体と液体が共存する温度範囲が狭くなり、発生する液相量の制御が困難となる場合がる。
更に、液相を生成するアルミニウム合金材においては、接合温度で加熱した後のマトリクスの結晶粒径を50μm以上とするのが好ましい。50μm未満では、自重により粒界すべりが発生し易くなり、接合時間が長くなると変形が促進される場合が生じるからである。なお、結晶粒径の測定はJIS H:501に準拠した切断法により測定した。
G.本発明に適したアルミニウム部材の材質
所定の液相率を生成するアルミニウム部材としては、Mg含有量が0.5%以下又は0.2%以上2.0%以下に規制され、Si:0.6〜3.5%を必須元素として含有し、Cu:0.05〜0.5%、Fe:0.05〜1.0%、Zn:0.2〜1.0%、Mn:0.1〜1.8%及びTi:0.01〜150.3%から選択される1種又は2種以上を選択的添加元素として更に含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるアルミニウム合金材が好適に用いられる。
このようなAl−Si合金又はAl−Si−Mg合金からなるアルミニウム合金材を、液相を生成するアルミニウム部材とする場合には、Si含有量をX(%)として、接合温度Tを、660−39.5X≦T≦660−15.7X、且つ、T≧577となるように制御するのが好ましい。これによって、更に良好な接合が達成される。
所定の液相率を生成する他のアルミニウム部材としては、Mg含有量が0.5%以下又は0.2%以上2.0%以下に規制され、Cu:0.7〜15.0%を必須元素として含有し、Si:0.05〜0.8%、Fe:0.05〜1.0%、Zn:0.2〜1.0%、Mn:0.1〜1.8%及びTi:0.01〜0.3%から選択される1種又は2種以上を選択的添加元素として更に含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるアルミニウム合金材も好適に用いられる。
このようなAl−Cu合金又はAl−Cu−Mg合金からなるアルミニウム合金材を、液相を生成するアルミニウム部材とする場合には、Cu含有量をY(%)として、接合温度温Tを、660−15.6Y≦T≦660−6.9Y、且つ、T≧548となるように制御するのが好ましい。これによって、更に良好な接合が達成される。
H.接合時におけるアルミニウム部材に加わる応力
本発明の接合においては、接合部で第1及び第2のアルミニウム部材が接していれば接合面に圧力を加える必要は必ずしもない。しかしながら、実際の製品の製造過程では、アルミニウム部材同士を固定したりクリアランスを縮めたりする為に、冶具等で両アルミニウム部材に応力が加わる場合が多い。また、自重によってもアルミニウム部材内に応力が発生する。このとき、各アルミニウム部材内の各部位に発生する応力は、形状と荷重から求められる。例えば、構造計算プログラムなどを用いて計算する。本発明では、接合時において液相を生じるアルミニウム部材の各部位に発生する応力のうち最大のもの(最大応力)をP(kPa)とし、当該アルミニウム部材であるアルミニウム合金での液相率をVとしたときに、P≦460−12Vを満たすよう接合することが好ましい。この式の右辺で示される値は限界応力であり、これを超える応力が液相を生じるアルミニウム部材に加わると、液相率が35%以内であってもアルミニウム部材に大きな変形が発生するおそれがある。
なお、両アルミニウム部材から液相が発生する場合は、両アルミニウム部材各々に対して、各々の応力P、液相率Vを用いてP≦460−12Vを算出し、両アルミニウム部材とも前記式を同時に満たすよう接合を行う。
I.アルミニウム部材の接合表面におけるうねり
本発明の接合においてはアルミニウム部材の液相生成量が微量である為、接合部では両アルミニウム部材が接するように配置される必要がある。しかしながら、材料の反りやうねりにより、両アルミニウム部材の間に僅かな隙間が生じる場合がある。特に、凹凸の波長が25〜2500μmのうねりは隙間として無視できる大きさではなく、また冶具の押さえなどで矯正することも困難である。
本発明においては、接合前の両アルミニウム部材の接合面の表面の凹凸から求められる算術平均うねりWa1とWa2の和が、Wa1+Wa2≦10(μm)を満たす場合には、更に十分な接合が得られる。なお、算術平均うねりWa1、Wa2は、JISB0633で規定されるものであり、25〜2500μmの波長のみを検出するようにカットオフ値を設定したレーザー顕微鏡やコンフォーカル顕微鏡で測定されたうねり曲線から求められる。
J.接合方法
本発明の接合方法においては、通常、アルミニウム部材は炉中で加熱される。炉の形状に特に制限はなく、例えば1室構造のバッチ炉、自動車用熱交換器の製造などに用いられる連続炉などを用いることができる。なお、炉中の雰囲気に制限はないが、前述の通り非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。
アルミニウム材の表層には酸化皮膜が形成されており、これによって接合が阻害される。従って、接合においては酸化皮膜を破壊する必要がある。本発明に係る接合方法では、酸化皮膜を破壊するために接合部にフラックスを塗布するのが好ましい。また、酸化皮膜の形成を抑制するために、窒素などの非酸化性ガスの雰囲気中で接合するのが好ましい。接合部にフラックスを塗布し、かつ、非酸化性ガスの雰囲気中で接合するのが特に好ましい。なお、アルミニウム合金材にMgが添加されている場合は、接合部にフラックスを塗布しなくても、真空、非酸化性雰囲気又は大気雰囲気の炉を用いることにより表面の酸化被膜をMgのゲッター作用により除去することが可能である。
本発明により、溶化材やロウ材を必要としない簡易なアルミニウム部材の接合方法が提供される。また、継手部分において応力集中がなく、十分な強度を有するアルミニウム構造体が提供される。
c・・Si濃度
c1・・Si濃度
c2・・Si濃度
L1・・第1のアルミニウム部材の長手方向に沿った中心線
L2・・第2のアルミニウム部材の長手方向に沿った中心線
T・・温度
T1・・Teを超えた温度
T2・・T1より更に高い温度
T3・・Ts2を超えた温度
Te・・固相線温度
Ts2・・固相線温度

Claims (10)

  1. 第1のアルミニウム部材の平面部と第2のアルミニウム部材の端部とを接合する方法であって、前記第1及び第2のアルミニウム部材の少なくとも一方を、その全質量に対する当該アルミニウム部材内に生成される液相の質量の比が5%以上35%以下となる温度で接合する接合方法において、
    前記第1及び第2のアルミニウム部材の接合部の接合幅を、前記第2のアルミニウム部材の本体部分の、前記第1及び第2アルミニウム部材の接合面と平行な面に沿った断面の最小幅よりも大きくしたことを特徴とするアルミニウム部材の接合方法。
  2. 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ単一平面からなることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  3. 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面又は相補的な曲面からなることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  4. 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な二つの平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が略L字状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  5. 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な三つの平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が略コの字状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  6. 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な複数の平面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が鋸歯状、階段状又は凹凸状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  7. 前記第1及び第2のアルミニウム部材の前記接合面がそれぞれ、両部材間で相補的な曲面からなり、該接合面と直交する接合部の断面が波状である、請求項3に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  8. 前記第1及び第2のアルミニウム部材は、Mg:0.5質量%以下に規制されるアルミニウム材からなり、
    前記接合は、非酸化性雰囲気中において、フッ化物系もしくは塩化物系のフラックスが接合部に塗布された状態で行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  9. 前記第1のアルミニウム部材は、Mg:0.2質量%以上2.0質量%以下を含有するアルミニウム材からなり、前記第2のアルミニウム部材は、Mg含有量が2.0質量%以下に規制されるアルミニウム材からなり、
    前記接合は、真空中、非酸化性雰囲気中又は大気中において行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルミニウム部材の接合方法。
  10. 前記第1及び第2のアルミニウム部材を、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアルミニウム部材の接合方法によって接合したアルミニウム構造体。


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