JP2019009202A - 空冷モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】空冷モジュールのろう付け接合姓を良好にする。
【解決手段】常圧下又は10−1Pa以上の低真空下の非酸化性ガス雰囲気中でフラックスを用いずにろう付し、ベースプレート、ベースプレートに接合する第1のブレージングシート、第1のブレージングシートに接合する押出形材フィン、第1のブレージングシートと押出形材フィンを挟んで反対側に配置し押出形材フィンに接続する第2のブレージングシートを接合部材とし、ベースプレートが10〜40mm厚で1000系、3000系又は6000系のアルミニウム合金、押出形材フィンが0.3〜5mm厚で1000系、3000系または6000系のアルミニウム合金、第1、第2のブレージングシートが0.05〜3mm厚で1000系、3000系または6000系の芯材の片面又は両面に0.7〜2.5質量%Mg、3.0〜13質量%Siを含有するAl−Si−Mg系ろう材の貼り合せ材、ろう付前における接合面のRzが20μm以下とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、半導体素子のヒートシンクなどとして用いることができる空冷モジュールに関するものである。
産業用や鉄道用のインバータに用いられる空冷ヒートシンクモジュールでは、高真空ろう付やフッ化物系フラックスを用いるCAB法(Controlled Atmosphere Brazing)により製造されるものがあるが、高真空ろう付で大型製品を製造すると加熱の大半がろう付炉内壁からの輻射になるため昇温効率が低く、また、真空機器の導入や維持に多大なコストが必要となる。
また、CAB法では、雰囲気ガスの対流加熱により優れた昇温効率が得られるが、フッ化物系フラックスがアルミニウム合金中のMgと反応し不活性化することで接合が阻害されるため、高い熱伝導性や強度を有するMg含有アルミニウム合金が使用できない。このことから、Mgを添加した高強度な構造部材を使用し、低コストで製造可能な空冷ヒートシンクモジュールが望まれている。
従来技術のAl−Si−Mgろう材を用いるフラックスフリーろう付では、溶融して活性となったろう材中のMgが接合部表面のAl酸化皮膜(Al)を還元分解することで接合が可能となる(例えば特許文献1参照)。
特開2002−9212号公報
しかし、閉塞的な面接合継手などでは、Mgによる酸化皮膜の分解作用によりろう材を有するブレージングシートを組合せた継手や、ブレージングシートとろう材を有さない被接合部材(ベア材)を組合せた継手で良好な接合状態が得られるが、広い面接合部を要するような継手では、接合部材の寸法精度やろう付前の組付け精度などにより接合部のクリアランスがばらつき易いため、クリアランスの広い部位に溶融ろうが充填され難く接合不良となり易い。未接合部では、熱伝達が悪くなるためインバータ素子などの冷却効率が著しく低下する。このため、広い面接合部において高い面接合率が得られる設計方法が必要となる。
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、接合面全体における接合を良好に行って冷却効率を高く保持することができる空冷モジュールを提供することを目的とする。
発明者らは、適切な部材選定と表面粗さRzの制御により常圧下や低真空のフラックスフリーろう付においても、広い面接合部を有する空冷モジュールで良好な接合状態が確保できることを見出した。
また、低融点、かつ、酸化物の標準生成自由エネルギーが高い金属元素をベア材合金に添加することで、ベア材表面の緻密なAl酸化皮膜が変質してろう付時に分解され易くなることで接合状態がさらに改善することを明らかにした。低融点元素を添加したベア材表面では、ろう付昇温過程でベア材表面に低融点元素が濃縮して緻密な酸化皮膜の成長を抑制するため、Mgを含有する活性な溶融ろう材と接触した際に酸化皮膜が分解され易くなったと考えられる。本材を空冷モジュール構成部材の押出形材フィンに適用することでろう付性がさらに向上する。
また、Mgを添加したベア材表面においても低融点元素が表面に濃縮することでMgO皮膜の成長が抑制されるため、より安定した接合状態が得られる。酸化物の標準生成自由エネルギーが低い低融点元素をベア材に添加すると、表面濃縮した低融点元素が酸化物層を形成して接合を阻害するため、酸化物の標準生成自由エネルギーが高い低融点元素を選択することが重要となる。
すなわち、本発明の空冷モジュールのうち、第1の形態は、常圧下または10−1Pa以上の低真空下の非酸化性ガス雰囲気中でフラックスを用いずにろう付される空冷モジュールであって、
発熱側の伝熱を行うベースプレートと、前記ベースプレートに接合される第1のブレージングシートと、前記第1のブレージングシートに接合される押出形材フィンと、前記第1のブレージングシートと前記押出形材フィンを挟んで反対側に配置されて前記押出形材フィンに接続される第2のブレージングシートと、を接合部材として有し、
前記ベースプレートが10〜40mmの厚さをもつJIS A1000系、A3000系またはJIS A6000系のアルミニウム合金からなり、
前記押出形材フィンが0.3〜5mmの厚さをもつJIS A1000系、A3000系またはJIS A6000系のアルミニウム合金からなり、
前記第1および第2のブレージングシートが、0.05〜3mmの厚さを有し、JIS A1000系、A3000系またはA6000系の芯材に片面または両面に0.7〜2.5質量%のMg、3.0〜13質量%のSiを含有するAl−Si−Mg系ろう材が貼り合わされたものであり、
かつ、ろう付前における前記各接合部材の各接合面の表面粗さRzが20μm以下であることを特徴とする。
他の形態の空冷モジュールの発明は、前記形態の発明において、ベースプレート接合面の面積が1600〜1440000mmであることを特徴とする。
他の形態の空冷モジュールの発明は、前記形態の発明において、前記ベースプレートおよび前記フィンの少なくとも一方のアルミニウム合金中に、融点350℃以下、かつ、600℃における酸化物の標準生成自由エネルギー(ΔGO)が−150(kg cal/gr mol O)よりも高い金属元素を含むことを特徴とする。
他の形態の空冷モジュールの発明は、前記形態の発明において、前記ベースプレートおよび前記フィンの少なくとも一方のアルミニウム合金中に、In、Sn、Bi、Se、K、NaおよびPbの内から選ばれる一つ、または、二つ以上の元素を含むことを特徴とする。
他の形態の空冷モジュールの発明は、前記形態の発明において、前記各元素が0.01〜0.5質量%の範囲内で含まれることを特徴とする。
他の形態の空冷モジュールの発明は、前記形態の発明において、前記Al−Si−Mg系ろう材に、さらに、0.01〜0.5質量%のBiが含まれていることを特徴とする。
以下に、本発明で規定した技術的事項について説明する。
(ベースプレート)
厚さ:10〜40mm
本発明では、産業用途や鉄道向け空冷モジュール製品のろう付状態最適化を念頭にしているが、これらの製品は長期使用に耐える構造強度や耐食性や放熱性能などが必要となるため、相応の材料肉厚で製作される。10mm未満では十分な耐久性が確保できず、40mm超では放熱性能が低下するため好ましくない。
JIS A1000系、A3000系、A6000系のアルミニウム合金
Al−Si系合金ろう材によるろう付では、製品温度を600℃付近まで加熱するため、これより固相線温度が低い合金部材を用いるとろう付後の構造寸法精度の確保が難しくなる。本発明では、この問題を生じない何れのアルミニウム合金も使用できるが、熱伝導性や強度に優れるJIS A1000系、A3000系、A6000系合金を用いることが好適である。
(ブレージングシート)
厚さ:0.05〜3mm
ブレージングシートは各種部材を接合するろう材の供給源となるが、ろう材が少ないとフィレットが小さくなり十分な接合強度が確保できないことやクリアランスを埋めきれずに接合不良となることが問題となる。また、ろう材が多過ぎると余剰な溶融ろうが接合部以外に流れて製品の外形不良となる。ブレージングシート製造の貼り合せ工程では、クラッド率のばらつきが小さく良好な貼り合せ状態を確保するため、実用的に5〜20%程度のクラッド率が用いられているが、空冷モジュールの製造では、接合部材間のクリアランス量などに応じてブレージングシートのろう材合金組成や板厚、および、クラッド率を最適化することで適切なろう材量を供給する。ブレージングシート板厚が0.05mm未満だと実用的なクラッド率範囲で十分なろう材量が供給できず、3mmより大きいとろう材過多になり易いためこの範囲で製造することが望ましい。さらに、ブレージングシートの厚みが大き過ぎると熱伝達経路が長くなり放熱性能が低下するため、3mm以下にすることが望ましい。
芯材:JIS A1000系、A3000系、A6000系合金
Al−Si系合金ろう材によるろう付では、製品温度を600℃付近まで加熱するため、これより固相線温度が低い合金部材を用いるとろう付後の構造寸法精度の確保が難しくなる。本発明では、この問題を生じない何れのアルミニウム合金も使用できるが、熱伝導性や強度に優れるJIS A1000系、A3000系、A6000系合金を用いることが好適である。
ろう材:Al−Si−Mg系
アルミニウムの接合では、金属結合を阻害する酸化皮膜の破壊が必要となるが、Al−Si−Mg系ろう材を用いた常圧下のろう付では、ろう付昇温過程でろう材中のMgが材料表面のAl酸化皮膜と反応して分解することで接合が得られる。ろう材は、接合部の形態に応じて芯材の片面または両面に貼り合わせて使用する。
0.7〜2.5質量%のMg
Mgは、接合部表面のAl酸化皮膜(Al)を還元分解することで活性な金属表面を露出させる作用を有する。また、芯材や被接合部材に拡散したMgは、Siと化合物(MgSi)を形成することで材料強度を高める。Mgの含有量が少ないと酸化皮膜の還元作用が不足し、過剰であると強度が高くブレージングシートの圧延性が低下するため、0.7〜2.5%とすることが望ましい。なお、同様の理由で下限を0.8%、上限を2.0%とするのが一層望ましい。
3.0〜13質量%のSi
Siは、Alに含有することにより合金の融点を低下させ、ろう付中に母材よりも低い温度で溶融して所定の継手を形成する基本的な元素である。また、ろう材表面に存在するSi粒子上では、アルミニウムの緻密な酸化皮膜の成長が抑制され、酸化皮膜の欠陥部となる。すなわち、アルミニウム材料表面の酸化皮膜がろう付熱処理中に厚膜となっても、Si粒子の周辺から溶融ろうの染み出しが発生し、この部位を起点に酸化皮膜の破壊や分断が進み易くなり、溶融ろうの濡れ性が向上する。これにより、安定した接合状態を得ることが可能となる。
これら作用を得るため、Siの含有量は、3.0%以上が必要であり、3.0%未満では生成する液相量が不足し十分な流動性が得られない。一方、13.0%を超えると初晶Siが急激に増加して加工性が悪化するとともに、ろう付時に接合部のろう侵食が著しく促進される。これらのため、Si含有量は、3.0〜13.0%とする。なお、同様の理由により、Siの含有量の下限を5.0%、上限を11.0%とするのが一層望ましい。
0.01〜0.5質量%のBi
Biは溶融ろう材の表面張力を低下させることで濡れ性を向上させるため、所望により含有させることができる。ただし、0.01%未満の含有では十分な効果が得られず、0.5%を超えた含有では、固溶できないBiが熱間圧延や焼鈍時(271℃以上)に材料表面に溶け出し、材料の表面品質低下などを招くため好ましくない。なお、同様の理由で下限を0.05%、上限を0.2%とするのが一層望ましい。
(押出形材フィン)
肉厚:0.3〜5mm
フィンはベースプレート裏面のデバイスから発せられた熱を効率的に外気へ逃がすために用いられる。空冷モジュールの放熱設計や構造強度などから、各種形状の押出形材によるフィンを用いることができる。接合に際し肉厚は特に限定されるものではないが、0.3mm未満では製品に求められる構造強度が不足し、5mmより大きいとフィン形状の設計自由度が低下することや空冷モジュールの通風流路断面積が小さくなり放熱性能が低下するため望ましくない。
JIS A1000系、A3000系、A6000系合金
Al−Si系合金ろう材によるろう付では、製品温度を600℃付近まで加熱するため、これより固相線温度が低い合金部材を用いるとろう付後の構造寸法精度の確保が難しくなる。本発明では、この問題を生じない何れのアルミニウム合金も使用できるが、熱伝導性や強度に優れるJIS A1000系、A3000系、A6000系合金を用いることが好適である。
接合部接合面のRzが20μm以下
接合面の最大粗さを小さくすることで、接合面におけるろうの充填を確実にし、フィン接合率を向上させる。上記基準のRzが20μmを超えると、接合部におけるクリアランスが大きすぎるため、接合面間のろう充填が良好になされずフィン接合率が低下する。
なお、RzはJIS B 0633−2001に定義される基準長さを用いて測定されるJIS B 0601−2013で定義される最大高さ粗さである。
ベースプレート接合面の面積:1600〜1440000mm
ベースプレート接合面の面積は本発明としては特に限定されないが、半導体素子のヒートシンクとして使用する場合、1600〜1440000mmが好適なものとして示される。1600mm未満では、十分な放熱効果が得られず、1440000mmを超えると製品サイズが大きくハンドリング中のたわみ等により最大高さ粗さが変動し易くなるため好ましくない。
ベースプレートおよび板フィンの一方または両方への低融点元素添加
融点350℃以下、かつ、600℃における酸化物の標準生成自由エネルギー(ΔGO)が−150(kg cal/gr mol O)よりも高い金属元素を添加することで、表面の酸化皮膜が変質してろう付時に分解され易くなるため接合状態がさらに改善する。低融点元素を添加した材料表面では、ろう付昇温過程で表面に低融点元素が濃縮して緻密な酸化皮膜の成長を抑制し、さらに、MgO皮膜の成長が抑制されるため、Mgを含有する活性な溶融ろう材と接触した際に酸化皮膜が分解され易くなる。
上記元素の融点が350℃を超えると、ろう付昇温過程で表面に濃縮が進み難く酸化皮膜の変質作用が低下するため、接合状態の改善が得られなくなる。
また、酸化物の標準生成自由エネルギーが−150(kg cal/gr mol O)以下であると、表面に濃縮した元素が酸化し酸化皮膜を形成することで接合を阻害し易くなる。
上記を満たす元素としては、In、Sn、Bi、Se、K、NaおよびPbなどが挙げられる。
低融点元素の添加量
上記で示した低融点元素は一つまたは二つ以上添加することで効果が得られるが、その添加量は各々0.01〜0.5質量%とする。過剰に含有すると、濃縮効果が飽和し、少量では効果が不十分となる。このため、各元素では、下限を0.01%、上限を0.5%とするのが望ましい。さらに、各元素で、下限を0.05%、上限を0.2%とするのが一層望ましい。
本発明によれば、面接合部において良好な接合を行うことができ、空冷モジュールとして良好な冷却効率を得ることができ、広い面接合部を有する場合にも溶融ろうが十分に充填されて良好な接合状態が得られる。
本発明の一実施形態における空冷モジュールを示す図である。 同じく、他の実施形態における空冷モジュールを示す図である。 酸化物の標準生成自由エネルギーを示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
ろう材用アルミニウム合金として、質量%で、Si:3.0〜13.0%、Mg:0.7〜2.5%、所望により、Bi:0.05〜0.5%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成に調製する。
また、芯材用アルミニウム合金として、JIS A1000系、A3000系またはA6000系のアルミニウム合金の組成に調製する。
JIS A1000系としては、1050、1100、1200合金などが挙げられる。
JIS A3000系としては、3003、3004合金などが挙げられる。
JIS A6000系としては、6101、6060、6N01、6063合金などが示される。
上記ろう材用アルミニウム合金および芯材用アルミニウム合金は、熱間圧延、冷間圧延を行って、芯材の一方または両方の面にろう材を重ね合わせて接合し、厚さが0.05〜3mmのブレージングシートを得る。ブレージングシートは、本発明の第1のブレージングシートと、第2のブレージングシートとして用いる。両者は同じ構成であってもよく、また、成分が異なるものであってもよい。なお、芯材とろう材のクラッド率は特に限定されるものではないが、例えば5%や10%が選択される。
次に、押出形材フィンとして、JIS A1000系、A3000系またはA6000系の成分に調整した押出形材フィン用アルミニウム合金を得る。押出形材フィン用アルミニウム材は、例えば、図1のフィン材13Aや図2のフィン材23Aに示す断面形状で肉厚が0.3mm〜5mmの押出形材フィンを押出し成形によって得ることができる。なお、本発明では間接押出しや後方押出しなど押出工法が限定されるものではなく、かつ、引き抜き加工などで寸法精度を調整しても良い。
ベースプレートとして、JIS A1000系またはA3000系またはA6000系のアルミニウム合金の組成に調製する。アルミニウム合金は、適宜、熱間圧延や冷間圧延により厚さを10〜40mmとする。なお、ベースプレートの製造方法が上記に限定されるものではない。
JIS A1000系としては、1050、1100、1200合金などが挙げられる。
JIS A3000系としては、3003、3004合金などが挙げられる。
JIS A6000系としては、6101、6060、6N01、6063合金などが示される。
前記ベースプレートおよび前記フィンの少なくとも一方のアルミニウム合金中に、融点350℃以下、かつ、600℃における酸化物の標準生成自由エネルギー(ΔGO)が−150(kg cal/gr mol O)よりも高い金属元素を含有させる。酸化物の標準生成自由エネルギーのグラフを図3に示す。条件を満たす金属元素としては、In、Sn、Bi、Se、K、NaおよびPbなどが挙げられ、これらから選ばれる一つ、または、二つ以上の元素を添加する。
各金属元素の含有量は特に限定されないが、実用的な範囲では0.01〜0.5質量%とする。
上記したベースプレート10または20、第1のブレージングシート11または21、押出形材フィン13または23(以下単にフィン13または23という)、第2のブレージングシート12または22では、少なくともそれぞれの接合面におけるRzを20μm以下とする。Rzは、JIS B 0633−2001に定義される基準長さを用いて測定されるJIS B 0601−2013で定義される最大高さ粗さを示す。
通常、ベースプレートには圧延材を用いるが、圧延ロールの表面租度など設備仕様により一般的に圧延ままのRzは最大20〜50μm程度あると考えられる。これを上記条件を満たすRzとする方法は特に限定されるものではないが、レベラーロールによる矯正や切削加工、あるいは機械研磨などで20μm以下とすることができる。
上記した空冷熱交換器モジュールは、図1に示すように、ベースプレート10上に、第1のブレージングシート11を設置する。第1のブレージングシート11は、芯材11Aのベースプレート側の片面にろう材11Bが位置し、芯材11Aの他面側の片面にろう材11Cが位置している。
芯材11Aのろう材11C側には、フィン13を設置する。フィン13は、櫛刃形のフィン材13Aの複数を並列したものであり、図示奥行き方向に面が伸張している。隣接するフィン材13Aは、互いに接触して配置されている。ただし、隣接するフィン材13A同士が離れて設置されるものであってもよい。したがって、フィン13の端面とろう材11Cとが接触してそれぞれ接合面となっている。
フィン13の対向側には、第2のブレージングシート12を設置する。第2のブレージングシートは、芯材12Aと、フィン13側の芯材12Aの片面に位置するろう材12Bとを有している。上記組み合わせによって、フィン13は、第1のブレージングシート11と第2のブレージングシート12と挟まれて設置されている。
上記空冷熱交換器モジュールは、常圧下または10−1Pa以上の低真空下の不活性ガス雰囲気中で、ろう付け加熱する。雰囲気は、不活性ガス、或いは還元性ガス等の非酸化性雰囲気でろう付けする。使用する置換ガスの種類としては、ろう付けにあたり、特に限定されるものではないが、コストの観点より、不活性ガスとしては窒素、アルゴン、還元性ガスとしては水素、アンモニア、一酸化炭素を用いることが好適である。雰囲気中の酸素濃度管理範囲としては、50ppm以下が望ましい。50ppm超では被ろう付部材の再酸化が進みやすくなる。ただし、本発明としては特定の雰囲気に限定されるものではない。
また、ろう付けにおける加熱条件は特に限定されるものではないが、例えば、昇温速度10〜200℃/minで加熱して、実体温度が590〜610℃に到達するまで加熱をしてろう付けを行うのが好適である。ただし、本発明としては、これら条件に限定されるものではない。
作製された空冷モジュールは、接合面において良好な接合状態が得られている。空冷モジュールの使用用途としては、例えば、半導体素子のヒートシンクとして用いることができる。ベースプレートは、半導体素子などの加熱側との間で伝熱がなされるように設置される。
ただし、本発明としては、空冷モジュールの使用用途が上記に限定されるものではない。
図2は、他の実施形態の空冷熱交換器モジュール2を示すものである。この実施形態では、フィン23の構造を格子状としたものである。フィン23は、格子状のフィン材23Aを並列配置してこうされている。
この実施形態でも、前記実施形態と同様に、ベースプレート20上に、第1のブレージングシート21を設置する。第1のブレージングシート21は、芯材21Aのベースプレート21側の片面にろう材21Bが位置し、芯材21Aの他面側の片面にろう材21Cが位置している。
芯材21Aのろう材21C側には、フィン23を設置する。フィン23は、図示奥行き方向に面が伸張している。フィン23の端面とろう材21Cとが接触してそれぞれ接合面となっている。
フィン23の対向側には、第2のブレージングシート22を設置する。第2のブレージングシート22は、芯材22Aと、フィン23側の芯材22Aの片面に位置するろう材22Bとを有している。上記組み合わせによって、フィン23は、第1のブレージングシート21と第2のブレージングシート22と挟まれて設置されている。
この実施形態においても、前記実施形態と同様にろう付け処理が行われ、接合面における接合が良好になされた空冷モジュールが得られる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1に示す合金組成のアルミニウム合金スラブを半連続鋳造により作製し、均質化処理、熱間圧延、および、冷間圧延を経て所定の厚みとし、表面粗さRzを圧延状態やロールレベラー、あるいは、機械研磨により調整した。さらに、焼鈍により質別O材とした後、所定のサイズに切断して接合面積を変量し、各種水準のベースプレートを準備した。また、押出し加工で表2に示すフィン材を準備し、押出まま、あるいは、機械研磨により接合面のRzを調整した。また、表3に示すブレージングシートを板厚1.5mm、両面のろう材クラッド率をそれぞれ5%、質別O材で準備し、圧延状態やロールレベラーによりRzを変量した。
Figure 2019009202
Figure 2019009202
Figure 2019009202
評価方法
準備した部材を図1の構成で押出形材の接合面を15mm間隔で組付け、酸素濃度20ppmの窒素ガス雰囲気中で600℃まで加熱するろう付処理を行った。ろう付後の空冷モジュールにつき、超音波映像装置と断面観察で接合面を解析し、以下の判定によりろう付状態を評価したものを表4に示す。

ろう付後のフィンとブレージングシートの接合長さ
フィン接合率(%)=―――――――――――――――――――――――×100
組付け時のフィンとブレージングシートの接触長さ

〇:フィン接合率90%以上
△:フィン接合率90%未満80%以上
×:フィン接合率80%未満
Figure 2019009202
本発明による実施例は何れも高いフィン接合率を示し、良好な接合状態が確認できたが、比較例では十分なフィン接合率とならなかった。
以上、本発明について、上記実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りはこれら説明に対し適宜の変更が可能である。
1 空冷モジュール
2 空冷モジュール
10 ベースプレート
11 第1のブレージングシート
11A 芯材
11B ろう材
11C ろう材
12A 芯材
12B ろう材
13 フィン
20 ベースプレート
21 第1のブレージングシート
21A 芯材
21B ろう材
21C ろう材
22A 芯材
22B ろう材
23 フィン

Claims (6)

  1. 常圧下または10−1Pa以上の低真空下の非酸化性ガス雰囲気中でフラックスを用いずにろう付される空冷モジュールであって、
    発熱側の伝熱を行うベースプレートと、前記ベースプレートに接合される第1のブレージングシートと、前記第1のブレージングシートに接合される押出形材フィンと、前記第1のブレージングシートと前記押出形材フィンを挟んで反対側に配置されて前記押出形材フィンに接続される第2のブレージングシートと、を接合部材として有し、
    前記ベースプレートが10〜40mmの厚さをもつJIS A1000系またはJIS A3000系またはJIS A6000系のアルミニウム合金からなり、
    前記押出形材フィンが0.3〜5mmの肉厚をもつJIS A1000系またはJIS A3000系またはJIS A6000系のアルミニウム合金からなり、
    前記第1および第2のブレージングシートが、0.05〜3mmの厚さを有し、JIS A1000系、A3000系またはA6000系の芯材の片面または両面に0.7〜2.5質量%のMg、3.0〜13質量%のSiを含有するAl−Si−Mg系ろう材が貼り合わされたものであり、
    かつ、ろう付前における前記各接合部材の各接合面の表面粗さRzが20μm以下であることを特徴とする空冷モジュール。
  2. ベースプレート接合面の面積が1600〜1440000mmであることを特徴とする請求項1記載の空冷モジュール。
  3. 前記ベースプレートおよび前記押出形材フィンの少なくとも一方のアルミニウム合金中に、融点350℃以下、かつ、600℃における酸化物の標準生成自由エネルギー(ΔGO)が−150(kg cal/gr mol O)よりも高い金属元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の空冷モジュール。
  4. 前記ベースプレートおよび前記押出形材フィンの少なくとも一方のアルミニウム合金中に、In、Sn、Bi、Se、K、NaおよびPbの内から選ばれる一つ、または、二つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空冷モジュール。
  5. 前記各元素が0.01〜0.5質量%の範囲内で含まれることを特徴とする請求項4に記載の空冷モジュール。
  6. 前記Al−Si−Mg系ろう材に、さらに、0.01〜0.5質量%のBiが含まれていることを特徴とする請求項1〜5に記載の空冷モジュール。
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