JP2013116473A - ヒートシンクの製造方法およびヒートシンク - Google Patents
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Abstract
【課題】製造容易性を有し、かつ、ベースプレートおよび放熱フィンが高い強度を持ち、かつ高い熱交換性能を有するヒートシンクおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ヒートシンク1の製造方法は、ベースプレート2上に複数枚の放熱フィン3を立設する組立工程と、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを加熱して、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを接合する接合工程と、を含み、ベースプレート2および複数枚の放熱フィン3がアルミニウム合金から形成され、アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、接合工程において、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを接合する温度を、ベースプレート2内部の液相率が5%以上35%以下となる温度とする。
【選択図】図1
【解決手段】ヒートシンク1の製造方法は、ベースプレート2上に複数枚の放熱フィン3を立設する組立工程と、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを加熱して、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを接合する接合工程と、を含み、ベースプレート2および複数枚の放熱フィン3がアルミニウム合金から形成され、アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、接合工程において、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを接合する温度を、ベースプレート2内部の液相率が5%以上35%以下となる温度とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、CPU、集積回路、半導体素子等の各種電子部品、電子機器、そのほか各種電気機器などの放熱のために使用されるヒートシンクに関するものであり、特に放熱フィンの変形強度や取り付け時に必要なねじ強度等に優れた、高強度で高性能なヒートシンクの製造方法およびヒートシンクに関するものである。
CPU、集積回路、半導体素子などの電子部品、電子機器および各種電気機器においては、放熱、冷却のためにヒートシンクが設けられる。これらの放熱冷却に用いられるヒートシンクとしては、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属などからなるフィンを複数配列させた構造のものが広く採用されている。
これらのヒートシンクの製造方法として、以下の方法等が知られている。
(1)複数の溝が形成された押し出し枠材を用い、この溝を案内として圧延フィン材を挿入し、ロウ付け等でこの圧延フィン材と押し出し枠体とを固着させる方法。
(2)放熱フィンとその基部同士を連結させるための短冊状の板材を複数枚交互に組み合わせ、短冊状の板材の皮材に含有されているロウ材によって接合させる方法(特許文献1)。
(3)台座の面上に一体に複数のフィンを突設した部材を押し出しによって成形する押し出し成形方法(特許文献2)。
(4)枠体などのベースプレート部材に形成されている溝の上に挿入・嵌合したフィン材をカシメ固定する方法(特許文献3および特許文献4)。
(1)複数の溝が形成された押し出し枠材を用い、この溝を案内として圧延フィン材を挿入し、ロウ付け等でこの圧延フィン材と押し出し枠体とを固着させる方法。
(2)放熱フィンとその基部同士を連結させるための短冊状の板材を複数枚交互に組み合わせ、短冊状の板材の皮材に含有されているロウ材によって接合させる方法(特許文献1)。
(3)台座の面上に一体に複数のフィンを突設した部材を押し出しによって成形する押し出し成形方法(特許文献2)。
(4)枠体などのベースプレート部材に形成されている溝の上に挿入・嵌合したフィン材をカシメ固定する方法(特許文献3および特許文献4)。
しかしながら、上記(1)および(2)の方法を用いて、ベースプレートと放熱フィンとをロウ付け等の加熱処理で接合させる場合、加熱時の温度でベースプレートや放熱フィンが軟化してしまうことがあった。そのため、ベースプレートに発熱素子等をねじ止め固定する際のねじ強度が小さくなって、ねじ穴が変形することがあったため、ヘリサート等の別の部品を挿入する必要があった。
また、放熱フィンの強度が低く、取り扱い時に変形してしまうことがあったため、放熱フィンの変形を抑制するために、放熱フィンを取り扱う際に特別な注意をすることが必要なことがあった。また、ヒートシンクの外側の2枚の放熱フィンの板厚を厚くする等の対策が必要なことがあった。
ヒートシンクに要求される性能の一つにヒートシンクの放熱性能があるが、この性能を向上させるためには、ベースプレート上に立設する放熱フィンの間隔を狭く配置させ、放熱面積を増大させる必要がある。しかしながら、ロウ付けによって接合する場合、放熱フィンの間隔が狭くなると、毛細管現象でロウ材が放熱フィンの間に詰まってしまうことがあった。このため、特許文献1記載の方法のように、ロウ材を十分に溶融させずに接合する方法などがあるが、ベースプレートや放熱フィンを加熱するため、材料が軟化してしまうことがあり、ねじ強度やフィンの変形強度が低下してしまうことがあった。
また、上記(3)の押し出し成形方法(特許文献2)においては、ベースプレートや放熱フィンの強度がロウ付け等で軟化することはないものの、高いトング比(H/P:ここで、Hはフィン高さ、Pはフィン間隔)のヒートシンクを押し出そうとすると、設計した押出ダイスのフィン高さ先端までアルミが充填されないため、低いトング比のヒートシンク、つまり、フィン間隔が広いヒートシンクや、フィン高さが低いヒートシンクしか押し出しができないことがあった。
また、カシメ接合(特許文献3および特許文献4)においても、ベースプレートや放熱フィンの強度がロウ付け等で低下することはないものの、放熱フィンをベースプレートでカシメ固定させるための治具を入れる空間が必要であることから、フィン間隔を狭くして配置することは困難であった。さらに、ベースプレートと放熱フィンとが機械的にカシメられているだけで金属組織的に一体でないため、ベースプレートの熱が放熱フィンに十分に伝わらず、十分な放熱性能を得られないことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、製造容易性を有し、かつ、ベースプレートおよび放熱フィンが高い強度を持ち、かつ高い熱交換性能を有するヒートシンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるヒートシンクの製造方法は、
ベースプレート上に複数枚の放熱フィンを立設する組立工程と、
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを加熱して、前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する接合工程と、
を含み、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンがアルミニウム合金から形成され、
前記アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、
前記アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、
前記接合工程において、前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する温度を、前記ベースプレート内部の液相率が5%以上35%以下となる温度とする、
ことを特徴とする。
ベースプレート上に複数枚の放熱フィンを立設する組立工程と、
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを加熱して、前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する接合工程と、
を含み、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンがアルミニウム合金から形成され、
前記アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、
前記アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、
前記接合工程において、前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する温度を、前記ベースプレート内部の液相率が5%以上35%以下となる温度とする、
ことを特徴とする。
前記アルミニウム合金が、さらに、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、Zrからなる群から選択された1または2以上の元素を含有し、
Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、
Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、
Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であってもよい。
Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、
Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、
Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であってもよい。
前記接合工程において、前記アルミニウム合金内部における長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が10個/mm2以上3000個/mm2以下となるように前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合してもよい。
前記接合工程において、前記アルミニウム合金の温度範囲を、前記アルミニウム合金の液相率が5%以上35%以下である温度範囲とする時間を30秒間以上3600秒間以下としてもよい。
前記接合工程の後、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンに対して、120℃以上200℃以下の温度で、4時間以上16時間以下の人工時効処理を行う工程をさらに含んでもよい。
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンに対して、120℃以上200℃以下の温度で、4時間以上16時間以下の人工時効処理を行う工程をさらに含んでもよい。
本発明の第2の観点にかかるヒートシンクは、
ベースプレートと、
前記ベースプレート上に立設された複数枚の放熱フィンと、
を備え、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンがアルミニウム合金から形成され、
前記アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、
前記アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとが、前記ベースプレート内部の液相率が5%以上35%以下となる温度で接合された、
ことを特徴とする。
ベースプレートと、
前記ベースプレート上に立設された複数枚の放熱フィンと、
を備え、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンがアルミニウム合金から形成され、
前記アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、
前記アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとが、前記ベースプレート内部の液相率が5%以上35%以下となる温度で接合された、
ことを特徴とする。
前記アルミニウム合金が、さらに、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、Zrからなる群から選択された1または2以上の元素を含有し、
Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、
Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、
Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であってもよい。
Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、
Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、
Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であってもよい。
前記アルミニウム合金の内部において、長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が10個/mm2以上3000個/mm2以下であってもよい。
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとの接合領域の金属組織が、前記ベースプレートの金属組織および前記放熱フィンの金属組織と略同一であってもよい。
前記放熱フィンのトング比が10以上50以下であってもよい。
本発明によれば、製造容易性を有し、かつ、ベースプレートおよび放熱フィンが高い強度を持ち、かつ高い熱交換性能を有するヒートシンクおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係るヒートシンクおよびその製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るヒートシンク1の構成を示す図である。図1に示すように、ヒートシンク1は、ベースプレート2上に放熱フィン3が複数枚立設された構成を備える。ベースプレート2上に立設された複数枚の放熱フィン3は、後述する熱処理を伴う接合工程によって接合されている。
さらに、ベースプレート2および放熱フィン3の強度を向上させるため、熱処理を伴う工程の後、ヒートシンク1に対して、たとえば、120℃以上200℃以下の温度で、4時間以上16時間以下の人工時効処理が施される。
さらに、ベースプレート2および放熱フィン3の強度を向上させるため、熱処理を伴う工程の後、ヒートシンク1に対して、たとえば、120℃以上200℃以下の温度で、4時間以上16時間以下の人工時効処理が施される。
ベースプレート2と放熱フィン3の材料としては、Mgを0.2質量%以上0.6質量%以下含有し、Siを1.5質量%以上3.5質量%以下含有し、残部Al(アルミニウム)および不可避不純物を含むAl−Mg−Si系アルミニウム合金が用いられる。
以下、ベースプレート2と放熱フィン3との接合について説明する。まず、ベースプレート2上に複数枚の放熱フィン3が立設されることで、組み立てられる。次に、ベースプレート2上に複数枚の放熱フィン3が立設されたものに対し、たとえば、真空中で600℃程度の温度で熱処理を行うと、アルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の内部の一部に液相が生成し、その液相がベースプレート2および放熱フィン3の材料表面に染み出してきて、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合をなす。ここで、アルミニウム合金板内部に含まれるMgが蒸発し、蒸気となったMgがアルミニウム合金表面の酸化皮膜と反応して酸化皮膜を還元するゲッター作用によって、液相が相手材(放熱フィン3)の表面を濡らすことが可能となり、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合が可能となる。
ここで、放熱フィン3の寸法は、放熱フィン3のトング比は、10以上50以下となる範囲で選択されることがより好ましい。本明細書において、トング比は以下の式で表される。
トング比=H/P(Hは放熱フィンの高さ、Pは放熱フィンの間隔)
ここで、放熱フィン3の寸法は、放熱フィン3のトング比は、10以上50以下となる範囲で選択されることがより好ましい。本明細書において、トング比は以下の式で表される。
トング比=H/P(Hは放熱フィンの高さ、Pは放熱フィンの間隔)
ベースプレート2の内部における液相の生成メカニズムについて、Al−Si合金を例にして、以下に詳細に説明する。
図2にAl−Si合金の2元系状態図を模式的に示す。図3(a)〜(d)は、図2の液相の生成過程を模式的に説明する図である。Siの濃度がc1である一方のアルミニウム合金材と他方の被接合部材(アルミニウム合金材)とを組み合せて加熱すると、共晶温度(固相線温度)Teを超えた付近の温度T1において液相の生成が始まる。共晶温度Te以下では、図3(a)に示すように、結晶粒界で区分されるマトリクス中にSiの晶析出物が分布している。ここで液相の生成が始まると、図3(b)に示すように、Siの晶析出物の分布の偏析の多い結晶粒界が溶融して液相となる。次いで、図3(c)に示すように、アルミニウム合金のマトリクス中に分散する主添加元素成分であるSiの晶析出物粒子の周辺が球状に溶融して液相となる。更に、図3(d)に示すように、マトリクス中に生成したこの球状の液相は、界面エネルギーにより、小さなものからマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。したがって、時間の経過や温度上昇と共に球状液相の数は少なくなっていき、また残った球状液相のサイズは大きいものとなる。次いで、図2に示すように、温度がT2に上昇すると、状態図に示すように、液相量は増加する。このようなメカニズムによって、Al−Si合金におけるSiの液相が生成され、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合のために機能する。
アルミニウム合金板からなるベースプレート2内部のSiの含有量が1.5質量%未満の場合、充分な液相の染み出しが無く、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合が不完全となる場合がある。一方、Siの含有量が3.5質量%を越えると、アルミニウム合金板からなるベースプレート2内部のSi粒子が多くなり、液相の生成量が多くなりすぎるため、加熱中の材料強度が極端に低下してしまい、ベースプレート2と放熱フィン3とからなる構造体の形状を加熱中に維持することが困難となる場合がある。したがって、本実施形態においては、アルミニウム合金板からなるベースプレート2中のSiの含有量を、1.5質量%以上3.5質量%以下の範囲とすることが好ましい。さらに、Siの含有量は、2.0質量%以上3.0質量%以下の範囲であればこの効果が顕著であり、より好ましい。なお、染み出す液相の量は板厚が厚く、加熱温度が高いほど多くなるが、加熱時に必要とする液相の量は構造体の形状に依存するので、必要に応じて、本実施形態の効果を奏する範囲で、Siの含有量や接合条件(加熱温度、加熱時間等)を適宜調整することが望ましい。また、Siは、Mgと共に、人工時効熱処理により、きわめて微細な金属間化合物Mg2Siを形成し、ベースプレート2および放熱フィン3の強度を向上する効果も有する。
アルミニウム合金板からなるベースプレート2中のMgは、上述のように、ゲッター作用により、アルミニウム合金の酸化皮膜を破壊、還元することで、ベースプレート2の表面に染み出した液相が他方の被接合部材(放熱フィン3)の表面を濡らし、ベースプレート2と放熱フィン3との間を接合する。アルミニウム合金板からなるベースプレート2中のMgの含有量が0.2質量%未満であるとアルミニウム合金の酸化皮膜が十分に破壊されず、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合が不完全となる場合がある。一方、アルミニウム合金板からなるベースプレート2中のMgの含有量が0.6質量%を超えると、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合するための加熱の過程において、ベースプレート2の表層にMgOが多く形成されてしまい、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合が困難になる。したがって、本実施形態において、アルミニウム合金板2中のMgの含有量を、0.2質量%以上0.6質量%以下の範囲とすることが好ましい。さらに、Mgの含有量は、0.3質量%以上0.5質量%以下の範囲であればこの効果が顕著であり、より好ましい。また、Mgはアルミニウムマトリックス中に固溶して、アルミニウム合金の強度を向上すると同時に、Siと共に人工時効熱処理により微細な金属間化合物Mg2Siを析出して、ベースプレート2および放熱フィン3の強度をさらに向上させる効果を有する。
また、ヒートシンク1の性能向上のため、アルミニウム合金板からなるベースプレート2に、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、Zrの元素を1種または2種以上添加することが、より好ましい。
Cuは、Al−Cu−Mn系の化合物が形成されることにより、人工時効熱処理時に強度に寄与する析出物が主にAl−Cu−Mn系の化合物上に析出し、アルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の強度をより高めることができる。Cuを0.02質量%以上添加することによって、人工時効熱処理時に、ベースプレート2および放熱フィン3の強度に寄与する析出物をより多く得ることができ、強度をより大きくする効果を得られる。また、Cuの含有率を0.5質量%以下とすることによって、アルミニウム合金の熱伝導率がより高くなり、ヒートシンクとしての冷却性能をより高めることができる。そのため、Cuの含有率を、0.02質量%以上0.5質量%以下とすることが、より好ましい。
Cuは、Al−Cu−Mn系の化合物が形成されることにより、人工時効熱処理時に強度に寄与する析出物が主にAl−Cu−Mn系の化合物上に析出し、アルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の強度をより高めることができる。Cuを0.02質量%以上添加することによって、人工時効熱処理時に、ベースプレート2および放熱フィン3の強度に寄与する析出物をより多く得ることができ、強度をより大きくする効果を得られる。また、Cuの含有率を0.5質量%以下とすることによって、アルミニウム合金の熱伝導率がより高くなり、ヒートシンクとしての冷却性能をより高めることができる。そのため、Cuの含有率を、0.02質量%以上0.5質量%以下とすることが、より好ましい。
Mnはアルミニウムマトリックス中にAl−Cu−Mn系の化合物を形成し、ベースプレート2と放熱フィン3とが接合された後のアルミニウム母材の結晶粒を微細化する効果を有する。このように、結晶粒が微細化することにより、接合後のアルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の強度を、より高めることができる。また、上述のAl−Cu−Mn系の化合物が形成されることにより、人工時効熱処理時に、ベースプレート2および放熱フィン3の強度に寄与する析出物が、主にAl−Cu−Mn系の化合物上に析出し、接合後のアルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の強度を、より高めることができる。Mnを0.02質量%以上添加することによって、人工時効熱処理時に強度に寄与する析出物をより多く得ることができ、強度をより大きくする効果を得ることができる。また、Mnの含有率を、0.5質量%以下とすることによって、アルミニウム合金の熱伝導率がより大きくなり、ヒートシンク1の冷却性能をより高めることができる。そのため、Mnの含有率を、0.02質量%以上0.5質量%以下とすることが、より好ましい。
Crはアルミニウムマトリックス中にCu−Cr−Al系の化合物を形成し、アルミニウム合金の再結晶粒の成長を妨げ、ベースプレート2と放熱フィン3とが接合された後のアルミニウム母材の結晶粒を微細化する効果を有する。Crを0.02質量%以上添加することによって、微細化された結晶粒の存在により、アルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の強度をより大きくする効果を得ることができる。また、Crの含有率を、0.2質量%以下とすることによって、アルミニウム合金の熱伝導率がより大きくなり、ヒートシンク1の冷却性能をより高めることができる。そのため、Crの含有率を、0.02質量%以上0.2質量%以下とすることが、より好ましい。
Niはアルミニウムマトリックス中にAl3Niを形成し、人工時効熱処理時のアルミニウム合金板の強度を高める。また、Niを添加することによって、高温での優れた強度を得ることができ、ベースプレート2と放熱フィン3とが接合される時に、粒界に液相がしみ出している状態でのアルミニウム合金板からなるベースプレート2および放熱フィン3の変形を抑制することができる。Niを0.02質量%以上添加することによって、高温での優れた強度を得ることができるため、アルミニウム合金からなるベースプレート2および放熱フィン3の強度をより大きくする効果を得ることができる。また、Niの含有率を、0.5質量%以下とすることによって、アルミニウム合金の熱伝導率がより高くなり、ヒートシンク1の冷却性能をより高めることができる。そのため、Niの含有率を、0.02質量%以上0.5質量%以下とすることが、より好ましい。
Tiはアルミニウムマトリックス中にAl3Tiを形成し、アルミニウム合金の再結晶粒の成長を妨げ、アルミニウム母材の結晶粒を微細化する効果を有する。Tiを、0.02質量%以上添加することによって、上述の効果をより大きく得ることができる。また、Tiの含有率を0.3質量%以下とすることによって、鋳塊製造時に巨大な晶出物が形成されることを、より抑制することができる。そのため、Tiの含有率を、0.02質量%以上0.3質量%以下とすることが、より好ましい。
Zrはアルミニウムマトリックス中にAl3Zrを形成し、アルミニウム合金の再結晶粒の成長を妨げ、アルミニウム母材の結晶粒を微細化する効果がある。Zrを0.02質量%以上添加することによって、上述の効果をより大きく得ることができる。また、Zrの含有率を0.5質量%以下とすることによって、鋳塊製造時に巨大な晶出物が形成されることを、より抑制することができる。そのため、Zrの含有率を、0.02質量%以上0.5質量%以下とすることが、より好ましい。
なお、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合するための加熱をしている間のヒートシンク1の強度は、未溶融のアルミニウムマトリクスと液相に寄与しない金属間化合物とによって保たれる。これは、加熱時、ベースプレートと放熱フィンのほとんどが、加熱によって生じる液相以外の未溶融のアルミニウムマトリクスと液相に寄与しない金属間化合物であるため、本実施形態に係るヒートシンク1は、接合の前後で形状の変化がほとんどない。
また、このように構成されたヒートシンク1は、ベースプレート2と放熱フィン3との接合部分(接合領域)が金属組織的に一体の同一組織となり、その接合部分に接合痕が形成されない。このため、ベースプレート2に伝熱された、たとえば半導体素子等からの熱が、より高い効率で放熱フィン3へと伝わり、ヒートシンク1がより大きな冷却性能を有することができる。
以下、ヒートシンク1の製造方法を説明する。本実施形態に係るヒートシンク1の製造方法は、平面状のベースプレート2の平面上に放熱フィン3を複数枚立設する組立工程と、ベースプレート2と放熱フィン3とを加熱して接合する接合工程と、を含む。
はじめに、組立工程において、アルミニウム合金板からなるベースプレート2と複数枚の所定枚数の放熱フィン3とを用意し、図1に示すように、ベースプレート2の平面上に複数枚の放熱フィン3を立設する。
アルミニウム合金板は、前述のように、Mgを0.2質量%以上0.6質量%以下含有し、Siを1.5質量%以上3.5質量%以下含有し、残部Al(アルミニウム)および不可避不純物を含むAl−Mg−Si系合金からなる。アルミニウム合金板は、たとえば、一般的な製造方法である、DC鋳造、均質化処理、熱間加工によって製造されたものを用いる。また、アルミニウム合金板は、DC鋳造ではなく双ロール連続鋳造圧延またはベルトキャスターにより鋳造したものを用いてもよい。この場合、アルミニウム合金板中にSi粒子が微細で密に分布するため、液相が染み出しやすく、より良好な接合性を得られる。
次に、接合工程において、ベースプレート2と、ベースプレート2の平面上に立設されたアルミニウム合金板からなる放熱フィン3とを加熱して、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合する。たとえば、ベースプレート2と放熱フィン3(アルミニウム合金板)を加熱炉に入れて、たとえば0.665Pa(5×10−3Torr)以下の真空炉中で加熱処理を施して、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合する。加熱温度は、アルミニウム合金板内部に液相が生成する固相線温度以上であり、かつ、アルミニウム合金板内部に生成する液相量が多くなり、かつ、アルミニウム合金板の強度が低下して、その形状を維持できなくなる温度以下の範囲で適宜選択される。
なお、面接合や閉塞空間の接合においては、窒素やアルゴンなどの非酸化性ガス中、さらには大気中であってもMgのゲッター作用が働き、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合することができる。閉塞空間においては、閉塞空間の外部からの酸素の流入がほとんど無いため、ベースプレート2および放熱フィン3の、ごく周囲の雰囲気によって酸化被膜が成長したとしても、酸化被膜の厚さがMgのゲッター作用によって十分破壊しうる厚さにしかならないためである。閉塞空間で接合工程を行う場合、炉中ガスの露点をたとえばマイナス35℃以下に管理することがより一層好ましい。
また、接合温度は、接合工程におけるアルミニウム合金板の最高温度であり、被接合部材であるアルミニウム合金板(ベースプレート2)の全質量に対するアルミニウム合金板(ベースプレート2)内に生成する液相の質量の比(以下、液相率という。)が、5%以上35%以下となる範囲の温度とする。本明細書において、液相率は以下の式で表される。
液相率(%)=((放熱フィン内に生成する液相の質量)/(放熱フィンの全質量))×100
接合工程において、液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多くなり過ぎるため(すなわち、固相の量が少なくなり過ぎるため)、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合して加熱する時にアルミニウム合金板(ベースプレート2)が大きく変形してしまい、形状を保てなくなる。また、液相率が5%未満では、ベースプレート2の表面への液相の供給量が少ないため、ベースプレート2と放熱フィン3との間の十分な接合がなされない。また、液相率が10%以上30%以下となるような範囲の温度を選択することがより好ましい。
液相率(%)=((放熱フィン内に生成する液相の質量)/(放熱フィンの全質量))×100
接合工程において、液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多くなり過ぎるため(すなわち、固相の量が少なくなり過ぎるため)、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合して加熱する時にアルミニウム合金板(ベースプレート2)が大きく変形してしまい、形状を保てなくなる。また、液相率が5%未満では、ベースプレート2の表面への液相の供給量が少ないため、ベースプレート2と放熱フィン3との間の十分な接合がなされない。また、液相率が10%以上30%以下となるような範囲の温度を選択することがより好ましい。
しかしながら、接合工程において、加熱中における実際の液相率を測定することは非常に困難である。そのため、本実施形態においては、液相率を、アルミニウム合金の状態図を利用して、アルミニウム合金の組成と接合温度を用いた平衡計算によって求めるものとする。たとえば、Thermo−Calc(Thermo−Calc Software AB社製)等の平衡計算ソフトウェアを用いた平衡計算によって、アルミニウム合金の組成と、接合温度である加熱時の最高到達温度とから液相率が計算される。
接合工程における加熱中に、アルミニウム合金板のマトリクス中に生成した球状の液相は、接合後、図4に示すような特徴的な球状共晶組織となる。液相の供給が進むにつれて球状の液相の数は減少するため、接合工程において適切な加熱がなされたかどうかを、たとえば、球状共晶組織の数をカウントすることで判断することができる。本発明者は、より良好な接合性と、接合時の材料強度とのバランスがよりよく取れた場合、接合後における長径3μm以上の球状共晶組織のアルミニウム合金板(ベースプレート2および/または放熱フィン3)の断面内の密度(面密度)が、10個/mm2以上3000個/mm2以下であることを見出した。
長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が10個/mm2以上である場合、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合に用いられるのに十分な液相が供給されつつ、接合工程における加熱中のアルミニウム合金板の強度を維持するのに十分な固相を有している。また、長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が3000個/mm2以下である場合、接合工程における加熱中のアルミニウム合金板の強度を維持するだけの固相を有しつつ、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合に用いられるのに十分な液相が供給されており、ベースプレート2と放熱フィン3との間のよりよい接合性が十分に維持されている。
本実施形態に係るヒートシンク1の製造方法においては、被接合部材(ベースプレート2)の内部に液相が生成するが、被接合部材自体(ベースプレート2)の流動はほとんど起こらない。
たとえば、ブレージング法においては、ロウ材が溶融し、接合部に流動し、被接合材の隙間を充填することで接合を行う。その際に、多量に流動したロウ材が微細な流路などを埋めてしまうことがある。また、接合部以外ではロウ材の厚さに応じた板厚減少が起き、構造体の寸法変化が生じることもある。また、溶接においては溶接部がビードなどの溶接痕となり、局所的な凹凸が生じることもある。
これに対し、本実施形態に係るヒートシンク1の接合方法においては、わずかな液相がベースプレート2の表面にしみ出し、被接合部材間の隙間を埋めるため、ベースプレート2と放熱フィン3との接合部付近の形状変化や、ベースプレート2と放熱フィン3とからなる構造体全体の寸法や形状の変化はほとんど起こらない。特に、液相率が10%以上30%以下となる範囲の接合温度で本実施形態に係るヒートシンク1の接合方法を実施すると、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合する前の寸法に対する、ベースプレート2と放熱フィン3とを接合した後の寸法の変化率は5%以内となる。これは前述のメカニズムによって、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合に寄与する液相が被接合部材であるアルミニウム合金板(ベースプレート2)の内部に生成するものの、マトリクスや液相の生成に寄与しない金属間化合物によって、加熱中に被接合部材(ベースプレート2)の形状が維持されるためである。
また、たとえば、ブレージングシート(ロウ材クラッド率が片面で5%)を用いてドロンカップタイプの積層型ヒートシンクを組み立てた場合、ロウ付け加熱後には、溶融したロウ材が接合部に集中するため、積層したヒートシンクの高さが5〜10%減少することがある。そのため、ブレージングシートを用いて組み立てる場合のヒートシンクの製品設計においては、その高さの減少分を考慮する必要がある。一方、本実施形態に係るヒートシンク1の製造方法においては、接合前後の寸法変化がたとえば5%以下となるため、高さの減少分を考慮することなく、高精度の製品設計が可能となる。
アルミニウム合金は、高温下および低応力下では、結晶粒自体の塑性変形に優先して結晶粒界でずれる粒界すべりによって変形することがある。特に、本実施形態における接合工程のような固液共存域においては、粒界が優先して溶融しており、結晶粒径が小さいと、単位体積中の粒界が多くなり、粒界すべりによる変形が発生することがある。
さらに、本実施形態に係るヒートシンク1の製造方法においては、接合工程における加熱の際、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合をより確実に行うために、アルミニウム合金板(ベースプレート2)の温度が液相率5%以上35%以下となる温度域に30秒間以上3600秒間以下であることが、より好ましい。ベースプレート2内の液相率が5%以上になると、ベースプレート2の表面への液相のしみ出しが、より効果的に起こり始める。液相率が5%以上35%以下となる時間が30秒以上3600秒間以下であることによって、しみ出しが起こるのに、より十分な時間が得られる。たとえば、Al−2.0質量%Siにおいては、581℃の接合温度において、液相率が5%に達する。したがって、Al−2.0質量%Siの部材を、本実施形態に係るヒートシンク1の製造方法を用いて接合する場合、Al−2.0質量%Siの部材を昇温して、接合温度に至り、冷却するまでの過程において、Al−2.0質量%Siを用いた部材が581℃を超えている時間が30秒間以上3600秒間以下であることがより好ましい。なお、ベースプレート2と放熱フィン3との間の接合をより一層確実にするために、ベースプレート2と放熱フィン3とからなる構造部材の温度が、液相率5%以上35%以下となる温度域に60秒間以上2000秒間以下維持されることがより一層好ましい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。たとえば、本実施形態においては、ベースプレート2および放熱フィン3を構成するアルミニウム合金が、さらに、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、Zrからなる群から選択された1または2以上の元素を含有し、Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下である形態について説明したが、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、またはZrの含有率の範囲は上記範囲に限定されるものではなく、上述した効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、Cuの含有率が0.01質量%であってもよいし、Mnの含有率が0.6質量%であってもよい。
また、本実施形態においては、接合工程において、アルミニウム合金内部における長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が10個/mm2以上3000個/mm2以下となるようにベースプレート2と複数枚の放熱フィン3とを接合する形態について説明したが、球状共晶組織の面密度は上記範囲に限定されるものではなく、上述した効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、面密度が8個/mm2であってもよいし、4000個/mm2であってもよい。
また、本実施形態においては、接合工程において、前記アルミニウム合金の温度が、アルミニウム合金の液相率が5%以上35%以下である温度範囲にある時間を30秒間以上3600秒間以下とする形態について説明したが、アルミニウム合金の液相率が5%以上35%以下となる温度範囲にある時間は上記範囲に限定されるものではなく、上述した効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、8秒間であってもよいし、2500秒間であってもよい。
さらに、ベースプレート2および放熱フィン3の強度を向上させるため、熱処理を伴う工程の後、ヒートシンク1に対して、たとえば、100℃以上200℃以下の温度で、6時間以上16時間以下の人工時効処理が施されてもよい。人工時効処理を行うことにより、きわめて微細な金属間化合物Mg2Siが形成され、ベースプレート2および放熱フィン3の強度を向上することができる。また、接合工程の後、人工時効処理を行う工程をさらに含む形態について説明したが、人工時効処理を行う工程が行われず、接合工程までの工程が行われたヒートシンク1を使用してもよい。また、上述の効果を奏する範囲で、上記温度範囲(120℃以上200℃以下)以外または上記時間範囲(4時間以上16時間以下)の人工時効処理を行ってもよい。
また、本実施形態においては、ベースプレート2と複数枚の放熱フィン3との接合領域の金属組織が、ベースプレート2の金属組織および放熱フィン3の金属組織と略同一である形態について説明したが、上述した効果を奏する範囲であれば、ベースプレート2と放熱フィンとの接合領域において、ベースプレート2または放熱フィン3と金属組織的に異なる領域があってもよい。
また、放熱フィン3のトング比を10以上50以下である形態について説明したが、放熱フィン3のトング比は上記範囲に限定されるものではなく、ヒートシンク1が十分な冷却性能を有する範囲で適宜選択される。たとえば、トング比が9であってもよいし、55であってもよい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1〜44及び比較例1〜9)
以下の実施例1〜44及び比較例1〜9において、本発明の効果を確認するため、表1に示す合金成分のそれぞれのアルミニウム合金を用いて、図5(b)に示すような試験片を作成し、表1に示すそれぞれの接合条件で接合した場合について、接合率および変形率の観点から、試験片の接合状態の確認を行った。
以下の実施例1〜44及び比較例1〜9において、本発明の効果を確認するため、表1に示す合金成分のそれぞれのアルミニウム合金を用いて、図5(b)に示すような試験片を作成し、表1に示すそれぞれの接合条件で接合した場合について、接合率および変形率の観点から、試験片の接合状態の確認を行った。
表1に、アルミニウム合金板の成分、および、接合条件としての接合温度、雰囲気、フラックスの有無、接合温度での保持時間等を示す。表1において、「−」は、その成分が含まれていなかったか、または含有率がごく微量であったことを表す。また、接合温度に対応する平衡液相率を合わせて示す。なお、平衡液相率は、Thermo−Calc(Thermo−Calc Software AB社製)を用いて、各合金の組成と各接合温度を基にして求めた。
以下、各試験片の作成方法を説明する。表1に示す成分の合金鋳塊をそれぞれ作製した後、熱間圧延および冷間圧延により、厚さ1mmの圧延板を得た。この板を切り出し、長さ30mm×幅10mm×厚さ1mmの板を1枚製作し、長さ10mm×幅10mm×厚さ1mmの板を2枚製作した。また、A3003アルミニウム合金を切り出し、長さ30mm×幅10mm×厚さ1mmの板を1枚製作した。これらの板材の端面をフライスにより平滑にしたものを組み合わせて図5(a)に示す試験片を作成した。試験片の上下には、長さ30mm×幅10mm×板厚1mmのステンレス板をそれぞれ配し、その上からステンレス線によって試験片を縛って固定した(図5(b))。なお、比較例6においては、アルミニウム合金の接合面にフッ化物系フラックスを塗布した。
試験片の接合のための加熱は、表1に示すように、真空雰囲気(実施例1〜16、比較例1〜5、比較例7〜9)あるいは窒素雰囲気(実施例17〜44、比較例6)の炉内で、表1に示すそれぞれの所定の温度までそれぞれのサンプルを昇温した後、5分間保持した後、冷却した。なお、昇温速度は、520℃以上において10℃/分とした。また、所定の接合温度に保持している間の温度を接合温度±1℃以内に維持するように制御した。また、表1に、それぞれのアルミニウム合金板が液相率5%以上35%以下の温度にあった時間を示す。比較例7〜9については、接合温度での保持中に、それぞれ表1に示す圧力で、試験片およびステンレス板に対して加圧を行った。
加熱による接合が終了した後、それぞれの試験片について、図5(a)の点線で示した面の断面観察を実施し、接合率、変形率、および長径3μm以上の球状共晶組織の数をそれぞれ測定した。本実施例においては、図5(c)中、実線で囲まれた4箇所における「接合部の長さ」の合計と、実線で囲まれた4箇所における「接合されるべき長さ」の合計とを用いて、接合率を以下のように定義する。
接合率(%)=(4箇所における接合部の長さの合計)/(4箇所における接合されるべき長さの合計)×100
接合率(%)=(4箇所における接合部の長さの合計)/(4箇所における接合されるべき長さの合計)×100
また、本実施例においては、図5(d)に示す、a、a´1、a´2を用いて、変形率を以下のように定義する。
変形率(%)={((a´1)+(a´2)/2a)−1}×100
a:試験片の天井部の接合前の長さ
a´1:試験片の天井部の上側の加熱による接合後の長さ
a´2:試験片の天井部の下側の加熱による接合後の長さ
変形率(%)={((a´1)+(a´2)/2a)−1}×100
a:試験片の天井部の接合前の長さ
a´1:試験片の天井部の上側の加熱による接合後の長さ
a´2:試験片の天井部の下側の加熱による接合後の長さ
球状共晶組織の数の測定を、図5(a)の点線の断面において行った。それぞれのアルミニウム合金の試験片について、金属顕微鏡で250μm×100μmの視野を20箇所観察し、目視で球状共晶組織球の数を測定した合計数の2倍の値を1mm2あたりの球状共晶組織の数とした。
各試験片の測定結果より、接合率が95%以上を◎、90%以上95%未満を○、90%未満を×と判定した。また、変形率が3%以内を◎、10%以内を○、10%を超えるものを×と判定した。
以上の結果より、各評価の判定に対して◎を5点、○を3点、△を0点、×を−5点と点数をつけ、合計点が8点以上を◎、6点以上7点以下を○、1点以上5点以下を△、0点以下を×と判定した。併せて、それぞれの試験片における球状共晶組織の1mm2あたりの個数を示した。結果を表1に示す。
以上の結果より、各評価の判定に対して◎を5点、○を3点、△を0点、×を−5点と点数をつけ、合計点が8点以上を◎、6点以上7点以下を○、1点以上5点以下を△、0点以下を×と判定した。併せて、それぞれの試験片における球状共晶組織の1mm2あたりの個数を示した。結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜44では、接合加熱時のアルミニウム合金中の成分、液相率、および、接合条件が適切であったため、試験片が適切に接合されていることが確認された。また、これらの実施例においては、長径3μm以上の球状共晶組織の個数が1mm2あたり10個以上3000個以下の範囲であった。
一方、比較例1はMgの含有量が少ないためゲッター作用が十分に働かず、酸化皮膜が十分に破壊されずに、接合率が不十分であった。
比較例2はMgの含有量が多く、接合が不十分であった。
比較例3および比較例5は、Siの含有量が少なく、液相が十分に生成せず、接合が不十分であった。
比較例4は、Siの含有量が多く、試験片に大きな変形が発生してしまった。
比較例6はフッ化物系フラックスとアルミニウム合金中のMgとが反応し、フッ化物系フラックスの酸化皮膜破壊作用とMgのゲッター作用のいずれも十分に働かず、接合が不十分であった。
比較例7および比較例8は固相拡散接合法によって接合された試験片であった。比較例7および8においては、平衡液相率が0%であり、接合率が不十分であった。また、材料の変形も大きかった。
比較例9は平衡液相率が十分であったが、固層拡散接合のため加圧力が大きく、試験片が変形してしまった。
比較例2はMgの含有量が多く、接合が不十分であった。
比較例3および比較例5は、Siの含有量が少なく、液相が十分に生成せず、接合が不十分であった。
比較例4は、Siの含有量が多く、試験片に大きな変形が発生してしまった。
比較例6はフッ化物系フラックスとアルミニウム合金中のMgとが反応し、フッ化物系フラックスの酸化皮膜破壊作用とMgのゲッター作用のいずれも十分に働かず、接合が不十分であった。
比較例7および比較例8は固相拡散接合法によって接合された試験片であった。比較例7および8においては、平衡液相率が0%であり、接合率が不十分であった。また、材料の変形も大きかった。
比較例9は平衡液相率が十分であったが、固層拡散接合のため加圧力が大きく、試験片が変形してしまった。
(実施例45〜49、比較例10〜12)
実施例45〜49においては、表2に示す成分の合金および接合条件を用いて、ベースプレート上に放熱フィンを立設させて、ベースプレートと放熱フィンとを加熱して、ベースプレートと放熱フィンとを接合した。表2において、「−」は、その成分が含まれていなかったか、または含有率がごく微量であったことを表す。以下、実施例45〜49に係るヒートシンクの詳細な製造方法を示す。
実施例45〜49においては、表2に示す成分の合金および接合条件を用いて、ベースプレート上に放熱フィンを立設させて、ベースプレートと放熱フィンとを加熱して、ベースプレートと放熱フィンとを接合した。表2において、「−」は、その成分が含まれていなかったか、または含有率がごく微量であったことを表す。以下、実施例45〜49に係るヒートシンクの詳細な製造方法を示す。
板厚10mm×幅100mm×長さ150mmのベースプレート上に、板厚1mm×幅30mm×長さ145mmの放熱フィンを、ステンレス製の治具を使用して、間隔1mmで48枚の放熱フィンを立設した。実施例45〜49のそれぞれのベースプレートおよび放熱フィンを構成するアルミニウム合金の成分を表2に示す。次に、放熱フィンが立設されたベースプレートを、実施例45〜49のそれぞれの接合条件で接合した。接合の結果、放熱フィンの幅30mmをヒートシンクのフィン高さとし、トング比30のヒートシンクを得た。さらに、接合されたヒートシンクを空気炉に入れて加熱し、温度160℃で8時間の人工時効処理を行った。
実施例45〜49においては、表2に示すように、接合加熱時のアルミニウム合金中の成分、液相率、フィン間隔寸法、および、接合条件が適切であった。そのため、組み立て時と遜色ない形状でフィン間隔が形成され、ベースプレートと放熱フィンとが適切に接合されていることが確認された。
比較例10においては、一般的なロウ付け方法を採用し、厚10mm×幅100mm×長さ150mmのA1050材(アルミニウム合金)のベースプレート上に、A1050材の板厚1mm×幅30mm×長さ145mmのA1050材の放熱フィンを、ステンレス製の治具を使用して、1mm間隔で48枚の放熱フィンを立設した。しかし、放熱フィンと放熱フィンとの間隔が狭すぎたため、加熱時に溶融したロウ材が毛細管現象で放熱フィンと放熱フィンとの間に溜まり、フィン間隔を適切に形成する事ができなかった。
比較例11においては、図6(a)および(b)に示すように、特許文献1に記載された方法を用いて、放熱フィン10とその基部14とを連結させるための短冊状の板材(間隔部材15)を複数枚交互に組み合わせ、短冊状の板材の皮材に含有されているロウ材によって、放熱フィン10と基部14とを接合した。両面にMgが2質量%添加された皮材がクラッドされ、心材がA1050である、板厚1mm×幅10mm×長さ150mmのベースプレートになる基材と、板厚1mm×幅40mm×長さ150mmのA1050の放熱フィンとを交互に組み合わせ、大気中で、フラックスが無い状態で加熱し、放熱フィン10と基部14とを接合してヒートシンク9を得た。
比較例12においては、特許文献3記載のカシメ法を用いて、ヒートシンクを得た。すなわち、図7に示すように、ベースプレート4に形成されている嵌合凹部7の溝5(溝幅1.2mm)に放熱フィン6(板厚1.0mm)を装入・嵌合し、さらにベースプレート4の前記溝5の開口部近傍を、工具で、かしめて固定することで、ヒートシンクを得た。押圧変形部8は工具によるカシメによって変形した部分である。
実施例45〜49および比較例10〜12で得られたヒートシンクの性能を評価するため、ベースプレートのねじ破壊強度、放熱フィンの変形強度、およびヒートシンクの冷却性能を測定した。測定結果を表2に示す。
(ねじ破壊強度測定)
ベースプレ−トの取り付けねじの破壊強度を測定するため、ベースプレート部分に、M3(直径3mm)、および、ねじ深さ6mmのねじを用いて、ねじ加工を施した。
ベースプレ−トの取り付けねじの破壊強度を測定するため、ベースプレート部分に、M3(直径3mm)、および、ねじ深さ6mmのねじを用いて、ねじ加工を施した。
実施例45〜49に係るヒートシンクのベースプレートにおいては、ねじ破壊強度が0.48〜0.51kN・cmの範囲であったが、比較例10に係るヒートシンクのベースプレートにおいては、ねじ破壊強度は0.19kN・cmであり、比較例11に係るヒートシンクのベースプレートにおいては、ねじ破壊強度は0.21kN・cmであった。また、比較例12に係るヒートシンクのベースプレートにおいては、ねじ破壊強度は、0.38kN・cmであった。以上の測定結果より、実施例45〜49に係るヒートシンクのベースプレートは、比較例10〜12に係るヒートシンクのベースプレートと比較して、高いねじ破壊強度を有することがわかった。
(変形強度測定)
放熱フィンの変形強度を測定するため、ベースプレート部分を固定し、放熱フィンの端部にφ10(直径10mm)の治具をプッシュゲージで押し当て、荷重をかけることで、放熱フィンの変形状態を確認した。
放熱フィンの変形強度を測定するため、ベースプレート部分を固定し、放熱フィンの端部にφ10(直径10mm)の治具をプッシュゲージで押し当て、荷重をかけることで、放熱フィンの変形状態を確認した。
実施例45〜49に係るヒートシンクにおいては、30〜32Nで放熱フィンが変形したが、比較例10〜12に係るヒートシンクにおいては、それより低い18〜25N程度で放熱フィンが変形した。すなわち、比較例10に係るヒートシンクの放熱フィンは18Nで変形し、比較例11に係るヒートシンクの放熱フィンは21Nで変形し、比較例12に係るヒートシンクの放熱フィンは25Nで変形した。以上の測定結果より、実施例45〜49に係るヒートシンクの放熱フィンは、比較例10〜12に係るヒートシンクの放熱フィンと比較して、大きな変形強度を有することがわかった。
(冷却性能測定)
ヒートシンクの冷却性能を測定するため、実施例45〜49および比較例10〜12の放熱フィンの周りをそれぞれ風洞で覆った。放熱フィンの前面から、風速2m/s、3m/s、4m/sの冷却風を流し、ベースプレート部分に加熱用の電熱ヒーターを取り付けた。次に、200Wの電力を用いて、電熱ヒーターからベースプレートに熱を加え、ヒーターが接触する部分のベースプレートの温度を測定した。
ヒートシンクの冷却性能を測定するため、実施例45〜49および比較例10〜12の放熱フィンの周りをそれぞれ風洞で覆った。放熱フィンの前面から、風速2m/s、3m/s、4m/sの冷却風を流し、ベースプレート部分に加熱用の電熱ヒーターを取り付けた。次に、200Wの電力を用いて、電熱ヒーターからベースプレートに熱を加え、ヒーターが接触する部分のベースプレートの温度を測定した。
測定結果を図8に示す。図8に示すように、実施例46〜48に係るヒートシンクにおいては、放熱フィン前面からの風速が増加するに伴って、ベースプレートの温度上昇値が低くなった。比較例10〜12に係るヒートシンクにおいても、実施例46〜48と同様に、放熱フィン前面からの風速が増加するに伴って温度上昇値が低くなる傾向はあるが、実施例に係るヒートシンクの方が比較例に係るヒートシンクよりも温度上昇値が低かった。以上の測定結果より、実施例46〜48に係るヒートシンクは、比較例10〜12に係るヒートシンクと比較して、冷却性能に優れていることがわかった。
本発明は、CPU、集積回路、半導体素子等の各種電子部品、電子機器、そのほか各種電気機器などの放熱のために使用されるヒートシンクの製造方法およびヒートシンクに有用である。
1 ヒートシンク
2 ベースプレート
3 放熱フィン
4 ベースプレート
5 溝
6 放熱フィン
7 嵌合凹部
8 押圧変形部
9 ヒートシンク
10 放熱フィン
14 基部
15 間隔部材
2 ベースプレート
3 放熱フィン
4 ベースプレート
5 溝
6 放熱フィン
7 嵌合凹部
8 押圧変形部
9 ヒートシンク
10 放熱フィン
14 基部
15 間隔部材
Claims (10)
- ベースプレート上に複数枚の放熱フィンを立設する組立工程と、
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを加熱して、前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する接合工程と、
を含み、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンがアルミニウム合金から形成され、
前記アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、
前記アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、
前記接合工程において、前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する温度を、前記ベースプレート内部の液相率が5%以上35%以下となる温度とする、
ことを特徴とするヒートシンクの製造方法。 - 前記アルミニウム合金が、さらに、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、およびZrからなる群から選択された1または2以上の元素を含有し、
Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、
Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、
Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクの製造方法。 - 前記接合工程において、前記アルミニウム合金内部における長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が10個/mm2以上3000個/mm2以下となるように前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとを接合する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートシンクの製造方法。 - 前記接合工程において、前記アルミニウム合金の温度範囲を、前記アルミニウム合金の液相率が5%以上35%以下である温度範囲とする時間を30秒間以上3600秒間以下とする、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヒートシンクの製造方法。 - 前記接合工程の後、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンに対して、120℃以上200℃以下の温度で、4時間以上16時間以下の人工時効処理を行う工程をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒートシンクの製造方法。 - ベースプレートと、
前記ベースプレート上に立設された複数枚の放熱フィンと、
を備え、
前記ベースプレートおよび前記複数枚の放熱フィンがアルミニウム合金から形成され、
前記アルミニウム合金のMg含有率が0.2質量%以上0.6質量%以下であり、
前記アルミニウム合金のSi含有率が1.5質量%以上3.5質量%以下であり、
前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとが、前記ベースプレート内部の液相率が5%以上35%以下となる温度で接合された、
ことを特徴とするヒートシンク。 - 前記アルミニウム合金が、さらに、Cu、Mn、Cr、Ni、Ti、およびZrからなる群から選択された1または2以上の元素を含有し、
Cuの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Mnの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Crの含有率は0.02質量%以上0.2質量%以下であり、
Niの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下であり、
Tiの含有率は0.02質量%以上0.3質量%以下であり、
Zrの含有率は0.02質量%以上0.5質量%以下である、
ことを特徴とする請求項6に記載のヒートシンク。 - 前記アルミニウム合金の内部において、長径3μm以上の球状共晶組織の面密度が10個/mm2以上3000個/mm2以下である、
ことを特徴とする請求項6または7に記載のヒートシンク。 - 前記ベースプレートと前記複数枚の放熱フィンとの接合領域の金属組織が、前記ベースプレートの金属組織および前記放熱フィンの金属組織と略同一である、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のヒートシンク。 - 前記放熱フィンのトング比が10以上50以下である、
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のヒートシンク。
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