JPWO2013077347A1 - レドックスフロー電池用隔膜 - Google Patents

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Abstract

レドックスフロー電池用隔膜は、平均流量孔径が100nm以下であり、厚さが500μm以下であり、且つ、空気流量が0.1ml/s・cm2以上である多孔質膜(10)を含む。レドックスフロー電池用隔膜がV−V系レドックスフロー電池に用いられるときには、多孔質膜(10)の平均流量孔径は30nm以下であることが好ましい。

Description

本発明は、レドックスフロー電池の電解液槽に使用される隔膜に関する。
レドックスフロー電池とは、電解液槽を、水素イオンは透過するが電解質イオンは透過しない隔膜により正極室と負極室とに分離し、正極室及び負極室のそれぞれに正極及び負極の電池活物質をポンプにより循環させ、酸化還元反応を利用して充放電を行うタイプの2次電池である。レドックスフロー電池は、大型化が容易であるので大電力貯蔵用の2次電池として期待されている。
レドックスフロー電池の電池活物質としては、近年、起電力や電池容量に優れかつ正極液と負極液とが混合しても再生が容易である等の理由からバナジウム系化合物が広く用いられている。バナジウム(V)系化合物を電池活物質として用いたV−V系レドックスフロー電池では、充放電時には、正極室では+4価のVイオンと+5価のVイオンとの間で酸化又は還元が行われ、負極室では+2価のVイオンと+3価のVイオンとの間で酸化又は還元が行われる。
レドックスフロー電池用隔膜には、良好な充放電効率(高いエネルギー効率=高い電圧効率×高い電流効率)を得るために、低い膜抵抗(充放電時の電気抵抗)とともに正負極室間の電解液の混合を防ぐ性質が求められる。具体的には、水素イオン(H+、ヒドロニウムイオン)の透過性が良好である一方電解質イオンが透過し難いこと(優れた選択透過性)が求められる。そこで、従来、レドックスフロー電池用隔膜としては、イオンを選択透過するイオン交換膜が使用されている。
レドックスフロー電池用隔膜には、さらに、長期間の電解液との接触や充放電の繰り返しによって隔膜の性能が低下しないなどの優れた耐久性が求められる。特に、V−V系レドックスフロー電池用隔膜は、酸化力が強い5価のVイオンと接触するので強い耐酸化性が要求される。
先述の要求を充たす電池用隔膜として、ポリスルホン系の陰イオン交換膜またはピリジニウム基を有するビニル系の陰イオン交換膜等が提案されている(特許文献1(特開2000−235849号公報)、特許文献2(特開平10−162853号公報))。又、共役ジオレフィンとスチレン系単量体との共重合体を水素添加処理した共重合体、及びイオン交換性樹脂からなる樹脂組成物を、基材に付着したイオン交換膜も、電池用隔膜として提案されている(特許文献2)。
さらに、電池用隔膜の基材の材料としては、多孔質のポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が知られている(特許文献2の段落0022、特許文献1の請求項2)。
また、電圧効率とアンペアアワー効率とを改良するために有利な性能指数を有するイオン交換膜を備えたレドックスフロー電池についても知られている(特許文献3)。
特開2000−235849号公報 特開平10−162853号公報 US7,927,731B2
近年、レドックスフロー電池用隔膜に対する耐久性や寿命についての要求、特に耐酸化性についての要求はより厳しくなってきている。この近年の要請を考慮すると、特許文献1または2などに記載された隔膜では、化学的安定性特に耐酸化性が不充分であり、充分な寿命が得られないとの問題がある。そこで、従来の電池用隔膜よりも耐酸化性等の耐久性が優れたレドックスフロー電池用隔膜の開発が望まれている。また、バナジウム系化合物以外の化合物をレドックスフロー電池の電池活物質に用いることも検討されており、その場合におけるレドックスフロー電池用隔膜の開発も望まれている。
また、特許文献3に記載されたレドックスフロー電池では、電圧効率が78%程度であり、隔膜の厚さは600μm〜1.5mmである。そのため、電圧効率の更なる向上が要求されており、隔膜の膜抵抗の更なる低下が要求されている。
本発明は、近年の要請を充分満たす優れた耐酸化性を有するとともに選択透過性に優れ、高いエネルギー効率特に高い電流効率を達成できるレドックスフロー電池用隔膜を提供することを課題とする。
本発明者は、以上の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、多孔質膜の微小孔の孔径を非常に小さくすると、イオンに対する選択透過性が生じること、従ってレドックスフロー電池等の電池用隔膜として使用可能であることを見出した。そして、フッ素系樹脂製多孔質膜、特にPTFE製多孔質膜は優れた耐酸化性を有するので、フッ素系樹脂製多孔質膜を用いれば先述の課題が達成されることを見出した。本明細書では、フッ素系樹脂には、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂だけでなく、当該合成樹脂を主成分とする樹脂(たとえば当該合成樹脂を50質量%以上含む樹脂)も含まれる。
本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜は、平均流量孔径が100nm以下であり、厚さが500μm以下であり、且つ、空気流量が0.1ml/s・cm2以上である多孔質膜を含む。
本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜は、イオンに対する選択透過性を有し、水素イオンを透過し易いがVイオン等の電解質イオンを透過し難い。本発明における多孔質膜は、イオン性の官能基を有していない。しかし、本発明における多孔質膜の孔径は非常に小さいため、イオンの大きさを基にしたイオンの分離をすることができ、よって、選択透過性が発揮されていると考えられる。その結果、本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜を用いたレドックスフロー電池は、低い膜抵抗及び高い電流効率、高いエネルギー効率を達成することができる。又、本発明における多孔質膜がフッ素系樹脂製であれば、化学的安定性が高く、優れた耐久性特に優れた耐酸化性を有する。
ここで、平均流量孔径とは、ASTM F316−86に準拠して測定された値であり、細孔分布測定器及び液体としてプロピレン,1,1,2,3,3,3酸化ヘキサフッ酸を使用して次のようにして求めた値である。
先ず、膜に加えられる差圧と膜を透過する空気流量との関係を、膜が乾燥している場合と膜が液体で濡れている場合とについて測定する。得られたグラフをそれぞれ、乾き曲線及び濡れ曲線とする。乾き曲線の流量を1/2とした曲線と、濡れ曲線との交点における差圧をP(Pa)とし、次の式により、平均流量孔径を求める。
平均流量孔径d(μm)=cγ/P
ここでcは定数で2860であり、γは液体の表面張力(dynes/cm)である。
また、空気流量は、ガレー秒を測定することにより求められる。ここで、ガレー秒とは、100mlの空気を、膜有効面積6.42平方センチ、差圧1.22kPaで透過させるのに要する時間(秒)として定義される膜の透気度を表わす指標であり、デジタル型王研式透気度試験機を用いて測定される。
本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜がV−V系レドックスフロー電池に用いられる場合には、多孔質膜の平均流量孔径は30nm以下であることが好ましい。平均流量孔径が小さい程、イオンに対する選択透過性が向上し、電解質イオンの透過を防ぐことができる。その結果、電池の隔膜として用いたときには、高い電流効率が得られる。たとえば、平均流量孔径が30nm以下である多孔質膜を含むレドックスフロー電池用隔膜をV−V系レドックスフロー電池に用いた場合であって電流密度が140mA/cm2程度であれば、電流効率は90%程度となる。
本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜は、Ti−Mn系、Ti−Fe系、Fe−Cr系、Zn−Ce系、Zn−Br系またはZn−Cl系レドックスフロー電池に用いられることが好ましい。このようなレドックスフロー電池では、電池活物質は、V−V系レドックスフロー電池よりも大きい。そのため、多孔質膜の平均流量孔径が100nm以下であっても、イオンに対する選択透過性の低下を防止することができる。
本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜は、多孔質膜を支持するための多孔質支持体膜をさらに含むことが好ましい。
隔膜の水素イオンの透過性を高めて膜抵抗を低くし、高い電圧効率を得るためには、多孔質膜の気孔率(膜中の気孔の占める体積の割合)は高いことが好ましく、多孔質膜は薄いことが好ましい。一方、電池用隔膜には、電解液の圧力等に耐える機械的強度が求められる。しかし、気孔率を高める又は膜を薄くすると、機械的強度が低下する。そこで、電解液の圧力等に耐える機械的強度を有しかつイオンの透過を阻害しない多孔質支持体膜により、多孔質膜を支持する方法が好ましく採用され、この方法により電池用隔膜に機械的強度が付与される。
電解液の圧力等に耐える機械的強度を有しかつイオンの透過を阻害しない多孔質支持体膜としては、機械的強度(及び化学的安定性)に優れた樹脂、例えばPTFE等のフッ素系樹脂からなり、多孔質膜の孔よりもはるかに大きな径の貫通孔を有する多孔質膜が好ましく用いられる。多孔質支持体膜の厚さや気孔率の範囲は、特に限定されないが、イオンの透過を阻害せずかつ充分な機械的強度が得られる範囲から選択される。
多孔質支持体膜により多孔質膜を支持する方法は特に限定されないが、通常は、多孔質支持体膜の表面に多孔質膜を貼り合せる方法により行われる。多孔質膜の両面に多孔質支持体膜を貼り合せる、すなわち多孔質支持体膜により多孔質膜を挟持してもよい。または、多孔質支持体膜の両面に多孔質膜を貼り合せてもよい。
多孔質膜及び多孔質支持体膜が、共に、PTFE又はPTFEを主体とする樹脂からなる場合は、例えば次の工程1〜3からなる方法により、大きな孔径を有するPTFE多孔質体からなり機械的強度に優れた支持体膜に、微小な孔径を有するPTFE多孔質膜が支持されたレドックスフロー電池用隔膜を得ることができる。なお、多孔質膜と多孔質支持体膜とは異なるフッ素系樹脂製であっても良い。
工程1:PTFE粉末の焼結によりPTFE無孔質膜を形成する。
工程2:所定の機械的強度を有するPTFE多孔質膜の上に、工程1で形成されたPTFE無孔質膜を、フッ素樹脂系の接着剤を用いて貼り合せて複合体を形成する。
工程3:形成された複合体を延伸する。
本発明に係るレドックスフロー電池用隔膜では、多孔質膜の表面はイオン交換樹脂により処理されていることが好ましい。
多孔質膜の表面がイオン交換樹脂により処理されていると、電流効率を向上させることができる。ここで、「多孔質膜の表面がイオン交換樹脂により処理される」とは、多孔質膜の表面に陽イオン交換樹脂を塗布することを意味する。陽イオン交換樹脂としては、フッ素樹脂系の陽イオン交換樹脂が好ましく用いられ、例えば、ナフィオン(登録商標)等の商品名で市販されているテトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2−(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]との共重合体を挙げることができる。
陽イオン交換樹脂による表面処理は、例えば、陽イオン交換樹脂としてテトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2−(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]との共重合体を用いる場合は、当該共重合体が微粒子の凝集体として分散している分散液を、多孔質膜の表面に塗布した後、洗浄、乾燥することにより行うことができる。陽イオン交換樹脂が塗布されることにより多孔質膜の表面が親水化され、レドックスフロー電池用隔膜として用いた場合に電流効率が向上する。
本発明のレドックスフロー電池用隔膜は、優れた選択透過性を有するとともに耐酸化性等の耐久性に優れている。耐酸化性が特に求められるバナジウム系レドックスフロー電池用隔膜として用いた場合、その効果が特に発揮される。
本発明のレドックスフロー電池用隔膜は、優れた耐酸化性を有するとともに、イオンの選択透過性に優れている。その結果、このレドックスフロー電池用隔膜を用いることにより、近年の要請を充分満たす寿命を有するとともに、高いエネルギー効率、特に高い電流効率を示す電池を作製できる。本発明は、特にV−V系レドックスフロー電池用隔膜として好適に用いられる。
本発明のレドックスフロー電池用隔膜の一例を概念的に示す拡大断面図である。 5価のバナジウムイオンの一例の立体構造を概念的に示す図である。 実施例1における電流効率と平均流量孔径との関係を示すグラフである。 実施例2における電流効率とセル抵抗との関係を示すグラフである。 実施例3における電流効率とセル抵抗との関係を示すグラフである。 実施例1および4における電流効率と平均流量孔径との関係を示すグラフである。 実施例5〜8における電流効率と平均流量孔径との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
先ず、本発明のレドックスフロー電池用隔膜の一例について、構造、製造方法及び作用とその原理を、図を参照して説明する。
(1)構造
このレドックスフロー電池用隔膜の拡大された断面を図1に概念的に示す。図1に示すように、フッ素系樹脂製多孔質膜10は、多孔質支持体膜20の表面に貼り合わされて支持されている。フッ素系樹脂製多孔質膜10には、複数の微小孔12が形成されており、多孔質支持体膜20には、複数の気孔22が形成されている。
この例では、フッ素系樹脂製多孔質膜10が、+4価又は+5価のVイオンが存在する電解質側すなわち正極室側となるように、かつ多孔質支持体膜20が、+2価又は+3価のVイオンが存在する電解質側すなわち負極室側となるように電池用隔膜が設置されている。しかし、逆の向きに設置することも可能である。又、先述のように、フッ素系樹脂製多孔質膜の両側に多孔質支持体膜を設けることも可能であるし、多孔質支持体膜の両側にフッ素系樹脂製多孔質膜を設けることも可能である。
図1に示すように、微小孔12はフッ素系樹脂製多孔質膜10の表裏を貫通する(直線状に貫通するとは限らない)貫通孔である。微小孔12の径aは、フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径に近い大きさと考えられる。フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径は、100nm以下であることが好ましい。これにより、水素イオン1はフッ素系樹脂製多孔質膜10を透過する一方、Vイオンはフッ素系樹脂製多孔質膜10を透過し難い。よって、フッ素系樹脂製多孔質膜10のイオンに対する透過選択性が向上する。図1に示す例のようにフッ素系樹脂製多孔質膜10をV−V系レドックスフロー電池用隔膜として用いるときには、フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径は30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。これにより、Vイオンはフッ素系樹脂製多孔質膜10をさらに透過し難いため、フッ素系樹脂製多孔質膜10のイオンに対する選択透過性がさらに向上する。ここで、フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径を100nm以下とする方法としては、たとえば下記「(2)製造方法」に記載の方法などを挙げることができる。また、フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径を30nm以下とする方法としては、樹脂原料を変更することを除いてはフッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径を100nm以下とする方法と同じ方法を用いることができる。
フッ素系樹脂製多孔質膜10の厚さbが薄い方が、水素イオン1の透過性が高くなる。よって、高い電圧効率(低い膜抵抗)を得るためには、フッ素系樹脂製多孔質膜10の厚さbは薄い方が好ましい。しかし、フッ素系樹脂製多孔質膜10の厚さbが薄くなるとVイオンが透過しやすくなるので、両者を考慮して最適な厚さが選択される。後述のように水素イオン1の透過性はフッ素系樹脂製多孔質膜10の気孔率にも依存するため一概に言えないが、フッ素系樹脂製多孔質膜10の厚さが500μm以下であれば高い電圧効率を得ることができる。
フッ素系樹脂製多孔質膜10の気孔率についても、気孔率が大きくなると水素イオン1の透過性が高くなるので、高い電圧効率(低い膜抵抗)を得るためには好ましい。しかし、気孔率が大きくなると、Vイオンが透過しやすくなる。そこで、両者を考慮して最適な気孔率が選択される。フッ素系樹脂製多孔質膜10の空気流量が0.1ml/s・cm2以上であれば、高い電圧効率を得ることができる。好ましくは、フッ素系樹脂製多孔質膜10の空気流量は0.2ml/s・cm2以上である。ここで、フッ素系樹脂製多孔質膜10の空気流量を0.1ml/s・cm2以上とする方法としては、たとえば下記「(2)製造方法」に記載の方法などを挙げることができ、樹脂原料または製造パラメータを変更すればフッ素系樹脂製多孔質膜10の空気流量を変更することができる。又、フッ素系樹脂製多孔質膜10がPTFE製多孔質膜である場合は、先述のようにPTFE粉末を加熱、加圧してシート状に成形してなる無孔質膜を延伸して製造することができるが、この方法では、気孔率を大きくすると微小孔12の径aも大きくなる。従って、この点からも気孔率の大きさは制約される。フッ素系樹脂製多孔質膜10がPTFE製多孔質膜の場合、気孔率は20〜50%程度であることが好ましい。ここで、気孔率は、たとえは、気孔率=1−(フッ素系樹脂製多孔質膜10の質量)÷(フッ素系樹脂製多孔質膜10の体積)×(フッ素系樹脂製多孔質膜10を構成する材料の真の密度)という式を用いて算出される。
先述のように、多孔質支持体膜20の厚さc及び気孔率は、イオンの透過性を阻害せずかつ充分な機械的強度が得られる範囲で選択される。又、気孔22の孔径も、イオンの透過性を阻害しないように、微小孔12の径aよりもはるかに大きな範囲から選択される。多孔質支持体膜20としてPTFE多孔質膜を用いる場合は、通常、気孔22の孔径は、0.2〜10μm、厚さcは、20〜500μm程度である。
フッ素系樹脂製多孔質膜10の正極室側の表面には、陽イオン交換樹脂を塗布して親水化処理がなされていてもよい(図示されていない)。親水化処理をすることにより電流効率を向上させることができる。
(2)製造方法
多孔質支持体膜20上にフッ素系樹脂製多孔質膜10が支持されているレドックスフロー電池用隔膜は、特許文献1、特開2009−179802号公報、特開2011−52175号公報、国際公開第2008/018400号に記載されている方法により製造することができる。例えば、次に示す1)〜6)の工程からなる方法により製造することができる。
1)厚さがたとえば50μmのアルミ箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、PTFE粉末が水等の分散媒中に分散されたPTFEディスバージョン(例えば、旭ガラス社製AD911を用いることができる。)を滴下した後、スライドシャフト等を用いて先述のPTFEディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばす。
2)次に、80℃程度でたとえば60分間乾燥した後、250〜340℃程度で1〜2時間加熱を行い、その後自然冷却してアルミ箔上に固定された無孔質PTFE薄膜を形成する。
3)アルミ箔上に固定された無孔質PTFE薄膜を、ガラス平板の上に皺がないように、かつ無孔質PTFE薄膜が上になるように広げて固定し、PTFEよりも融点の低い熱可塑性のフッ素樹脂(例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA))のディスパージョンを滴下する。その後、スライドシャフト等を用いて、先述のフッ素樹脂のディスパージョンを、無孔質PTFE薄膜上に均一になるように伸ばす。この熱可塑性のフッ素樹脂は、無孔質PTFE薄膜と下記の延伸PTFE多孔質体との間を接着する接着剤として機能する。
4)水分が乾燥しない間に、孔径0.5μm程度、厚さ80μm程度の延伸PTFE多孔質体(例えば、住友電工ファインポリマー社製ポアフロンFP−045−80を用いることができる)を被せる。
5)その後、80℃程度でたとえば60分間程度乾燥した後、250〜340℃程度で1〜2時間加熱を行い、その後自然冷却し、延伸PTFE多孔質体上に、PTFEよりも融点の低い熱可塑性のフッ素樹脂により、無孔質PTFE薄膜が接着され、更にその上にアルミ箔が固定された複合体を得る。
6)アルミ箔を塩酸で溶解させることにより、先述の複合体からアルミ箔を除去した後、その複合体を一軸又は二軸に延伸する。その結果、無孔質PTFE薄膜は、均一な孔径の微小孔を有するPTFE製多孔質膜となり、PTFE多孔質体からなる多孔質支持体膜20上にPTFE製多孔質膜10が支持されているレドックスフロー電池用隔膜を製造することができる。
(3)作用とその原理
フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径は、100nm以下であり、好ましくは30nm以下である。そのため、図1に示す様に、H(水素)イオン1(実際はヒドロニウムイオン等)は小さいためフッ素系樹脂製多孔質膜10に形成されている微小孔12を通過することが可能であるが、Vイオン3、5は大きいために微小孔12を通過することが出来ない。その結果、フッ素系樹脂製多孔質膜10は、選択透過性を示す。
なお、+5価Vイオンは、図2に示すような構造であり、図2中の円で表す球体の半径は数nm程度であるが、水分子がさらに配位することにより、径が100nmの微小孔も通り難くなっていると考えられる。他のVイオンについても同様と考えられる。又、フッ素系樹脂製多孔質膜10の表面を陽イオン交換樹脂で処理した場合は、Vイオンの微小孔12の通過がより困難になっているものと考えられる。その結果、電流効率が向上すると考えられる。このような効果を得るためには、陽イオン交換樹脂の添加量は、フッ素系樹脂製多孔質膜に対して、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。なお、陽イオン交換樹脂の添加量の求め方としては、たとえば(フッ素系樹脂製多孔質膜10の表面を陽イオン交換樹脂で処理した後の当該フッ素系樹脂製多孔質膜10の質量)から(フッ素系樹脂製多孔質膜10の表面を陽イオン交換樹脂で処理する前の当該フッ素系樹脂製多孔質膜10の質量)を差し引くという方法が挙げられる。
以上、フッ素系樹脂製多孔質膜10をV−V系レドックスフロー電池用隔膜として使用する場合について主に示したが、フッ素系樹脂製多孔質膜10はTi−Mn系レドックスフロー電池、Ti−Fe系レドックスフロー電池、Fe−Cr系レドックスフロー電池、Zn−Ce系レドックスフロー電池、Zn−Br系レドックスフロー電池またはZn−Cl系レドックスフロー電池などの隔膜としても使用可能である。この場合には、フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径は30nm以下である必要はなく、100nm以下であれば良い。この場合であっても、Tiイオンなどの電解質イオンがフッ素系樹脂製多孔質膜10を透過することを防止することができる。
ここで、V−V系レドックスフロー電池では、正極活物質および負極活物質として、硫酸バナジウムなどのバナジウム系化合物を用いる。Ti−Mn系レドックスフロー電池では、正極活物質として硫酸マンガンなどのマンガン系化合物を用い、負極活物質として硫酸チタンなどのチタン系化合物を用いる。Ti−Fe系レドックスフロー電池では、正極活物質として塩化鉄または硫酸鉄などの鉄系化合物を用い、負極活物質として塩化チタンまたは硫酸チタンなどのチタン系化合物を用いる。Fe−Cr系レドックスフロー電池では、正極活物質および負極活物質として、塩化鉄などの鉄系化合物と塩化クロムなどのクロム系化合物との混合を用いる。Zn−Ce系レドックスフロー電池では、負極活物質として亜鉛などの亜鉛系化合物を用い、正極活物質として硫酸またはメタンスルホン酸などの水溶液に溶解されたセレン系化合物を用いる。Zn−Br系レドックスフロー電池では、負極活物質として亜鉛などの亜鉛系化合物を用い、正極活物質として臭化亜鉛などの臭素系化合物を用いる。Zn−Cl系レドックスフロー電池では、負極活物質として亜鉛などの亜鉛系化合物を用い、正極活物質として塩化亜鉛などの塩素系化合物を用いる。
(実施例1)
[隔膜サンプルの作製]
[フッ素系樹脂ディスパージョンの調整]
PTFEディスパージョン34JR(分子量60万)と、MFAラテックス及びPFAディスパージョン920HP(以上、三井デュポンフロロケミカル社製)とを用いて、MFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)及びPFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)がそれぞれ2%であるディスパージョンを調製した。このディスパージョンに、更に分子量200万のポリエチレンオキサイドを3mg/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王社製20T)を10mg/mlの濃度となるように添加してフッ素系樹脂ディスパージョンを調製した。
[隔膜サンプルの作製]
厚さ50μmのアルミ箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、先述のフッ素系樹脂ディスパージョンを滴下した後、日本ベアリング社製のステンレス鋼製のスライドシャフト(商品名:ステンレスファインシャフトSNSF型、外径20mm)を滑らすようにして先述のフッ素系樹脂ディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばした。
この箔を、80℃で60分間乾燥、250℃で1時間加熱、340℃で1時間加熱の各工程を経た後、自然冷却し、アルミ箔上に固定されたフッ素系樹脂薄膜(PTFEを主体とする無孔質フッ素系樹脂薄膜)を形成させた。フッ素系樹脂薄膜が形成される前後のアルミ箔の単位面積当たりの重量差とフッ素系樹脂の真比重(2.25g/cm3)より算出したフッ素系樹脂薄膜の平均厚さは約2μmであった。
次に、PFAディスパージョン920HPを蒸留水で4倍の容積に薄めたPFAディスパージョンに、更に分子量200万のポリエチレンオキサイドを3mg/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王社製20T)を10mg/mlの濃度となるように添加し、4倍希釈のPFAディスパージョンを調製した。
アルミ箔上に固定されたフッ素系樹脂薄膜上に、先述の4倍希釈のPFAディスパージョンを滴下した。その後、先述と同じ日本ベアリング社製のステンレス鋼製のスライドシャフトを滑らすようにして4倍希釈のPFAディスパージョンをフッ素系樹脂薄膜上に均一になるように伸ばしながら、水分が乾燥しない間に、孔径0.45μm、厚さ80μmの延伸PTFE多孔質体(住友電工ファインポリマー社製、商品名:ボアフロンFP−045−80)(IPA−BP:150kPa、気孔率:70%、ガーレー秒:9.1秒)を被せた。その後、80℃で60分間乾燥、250℃で1時間加熱、320℃で1時間加熱、317.5℃で8時間加熱の各工程を経た後、自然冷却して、延伸PTFE多孔質体上に、PTFEよりも融点の低い熱可塑性のPFAにより、PTFEを主体とする無孔質フッ素系樹脂薄膜が接着され、更にその上にアルミ箔が固定された複合体を得た。次いで、アルミ箔を塩酸によって溶解除去して、無孔質PTFE膜と延伸PTFE多孔質体の積層体を得た。
[延伸]
次に、この無孔質PTFE膜と延伸PTFE多孔質体の積層体を、引張試験機を用いて温度25℃、チャック間55mm、ストローク165mm(延伸率200%)で幅方向に延伸した後、更に同じ引張試験機で温度25℃、チャック間55mm、ストローク88mm(延伸率60%)で幅方向と直交する方向へ延伸し多孔質フッ素系樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素系樹脂膜複合体は、厚さ50μm、平均気孔径約1μmの多孔質支持体膜に、厚さ1μmのフッ素系樹脂製多孔質膜が貼り合わされてなるものである。これを隔膜サンプルとした。得られた多孔質フッ素系樹脂膜複合体について、以下の方法で、平均流量孔径を測定したところ平均流量孔径は、40nmであった。
[平均流量孔径の測定方法]
細孔分布測定器(パームポロメータ CFP−1500A:Porous Materials,Inc製)により、液体として、GALWICK(プロピレン1,1,2,3,3,3酸化ヘキサフッ酸(Porous Materials,Inc製)を用いて、先述のようにして測定した。
延伸の条件及びアニールの条件を変えた以外は同様にして、平均流量孔径が30、15、10及び8nmの隔膜サンプルを作製した。
[空気流量の測定方法]
空気流量は、ガレー秒を測定することにより求めた。具体的には、JISP8117ガレー試験機法に準拠してデジタル型王研式透気度試験機を用いて空気流量を測定した。
電解液に硫酸バナジウム溶液、炭素繊維製電極を用いるレッドクスフロー電池に、先述のようにして得られた隔膜サンプルのそれぞれを使用し、以下に示す「充放電条件」でレッドクスフロー電池の性能評価を行い、電流効率、セル抵抗を測定した。表1に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。又、図3に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。
(充放電条件)
充放電方法 :定電流
充電終了電圧:1.55(V)
放電終了電圧:1.00(V)
温度 :25℃
ここで、電流効率、セル抵抗は、次の式で表される値である。
・電流効率(%)=放電電気量/充電電気量=放電時間/充電時間
・充電電気量=充電時間×(電流密度×電極面積)=充電時間×電流
・放電電気量=放電時間×(電流密度×電極面積)=放電時間×電流
・セル抵抗(Ω・cm2)=(セル端子電圧−開回路電圧)/電流密度
実施例1では、電流密度は70mA/cm2であった。
Figure 2013077347
表1から、平均流量孔径が小さいほど電流効率は向上し、一方、セル抵抗(膜抵抗)が増加していることが判る。図3も平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上することを示している。平均流量孔径が小さいほどVイオンの透過が阻害され、その結果電流効率が向上するが、一方、水素イオンの透過も阻害されるためセル抵抗も増加すると考えられる。そして、図3より、平均流量孔径40nmで約70%の電流効率が得られ、平均流量孔径30nmで80%以上の電流効率が得られ、平均流量孔径10nmとすれば90%以上の電流効率が得られたことが分かる。
(実施例2)
実施例1で得られた平均流量孔径が15nmの隔膜サンプル(NM−15とする)及び平均流量細孔径が30nmの隔膜サンプル(NM−30とする)の表面にナフィオン(登録商標。デュポン社製フッ素系陽イオン交換樹脂。)を塗布し、純水で洗浄後加熱して表面処理を行った。(ナフィオンを塗布した後の隔膜サンプルの質量)から(ナフィオンを塗布する前の隔膜サンプルの質量)を差し引いてナフィオンの添加量を測定したところ、ナフィオンの添加量はフッ素系樹脂製多孔質膜の質量に対して5質量%であった。
図4に、平均流量孔径が15nmのPTFE製分離層膜の表面に、図中に示す濃度のナフィオン溶液(溶媒:イソプロピルアルコール)を塗布し、その後純水で洗浄し、洗浄後、図中に示す温度で加熱した場合の電流効率とセル抵抗の関係を示す。図4において、縦軸は電流効率(%)であり、横軸はセル抵抗(Ωcm2)である。又、処理に使用したナフィオン溶液の濃度及び加熱温度を図中に示す。図中に「→洗浄→」の記載があるものは、純水での洗浄を行った場合であり、その記載がないものは、ナフィオン溶液の塗布後、洗浄を行わずに加熱した場合である。なお、後述の図5においても同様である。
図4より、ナフィオンによる処理を施すと電流効率が向上することが示されている。ただ、セル抵抗も増加している。又、ナフィオンの濃度が増加する程、又は、乾燥温度が上昇する程、高い電流効率が得られ、セル抵抗も増加することが示されている。
(実施例3)
平均流量孔径が15nmのPTFE製分離層膜の代わりに、平均流量孔径が30nmのPTFE製分離層膜について行った以外は、実施例2と同様にしてナフィオンにより処理を行った場合の電流効率とセル抵抗の関係を図5に示す。実施例2と同様、ナフィオンの濃度が増加する程、高い電流効率が得られることが示されている。
(実施例4)
充放電条件の電流密度を140mA/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、電流効率を測定した。表2に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図6に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。なお、図6中の「70mA/cm2」のデータは実施例1のデータに相当する。表2と図6とから、実施例1と同じように、平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上する一方セル抵抗が増加していることが分かる。
Figure 2013077347
(実施例5)
正極電解液に硫酸マンガン(2価)溶液を用い、負極電解液に硫酸チタン(4価)溶液を用い、炭素繊維製電極を用いたレッドクスフロー電池に、隔膜サンプルのそれぞれを使用した以外は、実施例1と同様にして、電流効率を測定した。充放電条件の電流密度は70mA/cm2であった。表3に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図7に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。表3と図7とから、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上する一方セル抵抗が増加していることが分かる。また、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合には、平均流量孔径が100nm程度であっても電流効率が85%以上となることが分かる。
Figure 2013077347
(実施例6)
充放電条件の電流密度を140mA/cm2とした以外は、実施例5と同様にして、電流効率を測定した。表4に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図7に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。表4と図7とから、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上する一方セル抵抗が増加していることが分かる。また、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合には、平均流量孔径が100nm程度であっても電流効率が92.5%以上となることが分かる。
Figure 2013077347
(実施例7)
正極電解液に硫酸鉄(2価)溶液を用い、負極電解液に硫酸チタン(4価)溶液を用い、炭素繊維製電極を用いたレッドクスフロー電池に、隔膜サンプルのそれぞれを使用した以外は、実施例1と同様にして、電流効率を測定した。充放電条件では、充電終了電圧および放電終了電圧はそれぞれ1Vおよび0Vであり、電流密度は70mA/cm2であった。表5に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図7に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。表5と図7とから、隔膜サンプルをTi−Fe系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合と同程度の電流効率およびセル抵抗が得られることが分かる。
Figure 2013077347
(実施例8)
充放電条件の電流密度を140mA/cm2とした以外は、実施例7と同様にして、電流効率を測定した。表6に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。表6から、隔膜サンプルをTi−Fe系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合と同程度の電流効率およびセル抵抗が得られることが分かる。
Figure 2013077347
1 水素イオン、3 +3価のバナジウムイオン、5 +5価のバナジウムイオン、10 フッ素系樹脂製多孔質膜、12 微小孔、20 多孔質支持体膜、22 気孔。

Claims (6)

  1. 平均流量孔径が100nm以下であり、厚さが500μm以下であり、且つ、空気流量が0.1ml/s・cm2以上である多孔質膜を含むレドックスフロー電池用隔膜。
  2. 前記多孔質膜は、フッ素系樹脂製である請求項1に記載のレドックスフロー電池用隔膜。
  3. V−V系レドックスフロー電池に用いられ、
    前記多孔質膜の平均流量孔径は30nm以下である請求項1または2に記載のレドックスフロー電池用隔膜。
  4. Ti−Mn系、Ti−Fe系、Fe−Cr系、Zn−Ce系、Zn−Br系またはZn−Cl系レドックスフロー電池に用いられる請求項1または2に記載のレドックスフロー電池用隔膜。
  5. 前記多孔質膜を支持するための多孔質支持体膜をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載のレドックスフロー電池用隔膜。
  6. 前記多孔質膜の表面はイオン交換樹脂により処理されている請求項1〜5のいずれかに記載のレドックスフロー電池用隔膜。
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