JP6016197B2 - レドックスフロー電池用隔膜 - Google Patents
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Description
平均流量孔径d(μm)=cγ/P
ここでcは定数で2860であり、γは液体の表面張力(dynes/cm)である。
工程1:PTFE粉末の焼結によりPTFE無孔質膜を形成する。
工程2:所定の機械的強度を有するPTFE多孔質膜の上に、工程1で形成されたPTFE無孔質膜を、フッ素樹脂系の接着剤を用いて貼り合せて複合体を形成する。
工程3:形成された複合体を延伸する。
このレドックスフロー電池用隔膜の拡大された断面を図1に概念的に示す。図1に示すように、フッ素系樹脂製多孔質膜10は、多孔質支持体膜20の表面に貼り合わされて支持されている。フッ素系樹脂製多孔質膜10には、複数の微小孔12が形成されており、多孔質支持体膜20には、複数の気孔22が形成されている。
多孔質支持体膜20上にフッ素系樹脂製多孔質膜10が支持されているレドックスフロー電池用隔膜は、特許文献1、特開2009−179802号公報、特開2011−52175号公報、国際公開第2008/018400号に記載されている方法により製造することができる。例えば、次に示す1)〜6)の工程からなる方法により製造することができる。
1)厚さがたとえば50μmのアルミ箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、PTFE粉末が水等の分散媒中に分散されたPTFEディスバージョン(例えば、旭ガラス社製AD911を用いることができる。)を滴下した後、スライドシャフト等を用いて先述のPTFEディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばす。
2)次に、80℃程度でたとえば60分間乾燥した後、250〜340℃程度で1〜2時間加熱を行い、その後自然冷却してアルミ箔上に固定された無孔質PTFE薄膜を形成する。
3)アルミ箔上に固定された無孔質PTFE薄膜を、ガラス平板の上に皺がないように、かつ無孔質PTFE薄膜が上になるように広げて固定し、PTFEよりも融点の低い熱可塑性のフッ素樹脂(例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA))のディスパージョンを滴下する。その後、スライドシャフト等を用いて、先述のフッ素樹脂のディスパージョンを、無孔質PTFE薄膜上に均一になるように伸ばす。この熱可塑性のフッ素樹脂は、無孔質PTFE薄膜と下記の延伸PTFE多孔質体との間を接着する接着剤として機能する。
4)水分が乾燥しない間に、孔径0.5μm程度、厚さ80μm程度の延伸PTFE多孔質体(例えば、住友電工ファインポリマー社製ポアフロンFP−045−80を用いることができる)を被せる。
5)その後、80℃程度でたとえば60分間程度乾燥した後、250〜340℃程度で1〜2時間加熱を行い、その後自然冷却し、延伸PTFE多孔質体上に、PTFEよりも融点の低い熱可塑性のフッ素樹脂により、無孔質PTFE薄膜が接着され、更にその上にアルミ箔が固定された複合体を得る。
6)アルミ箔を塩酸で溶解させることにより、先述の複合体からアルミ箔を除去した後、その複合体を一軸又は二軸に延伸する。その結果、無孔質PTFE薄膜は、均一な孔径の微小孔を有するPTFE製多孔質膜となり、PTFE多孔質体からなる多孔質支持体膜20上にPTFE製多孔質膜10が支持されているレドックスフロー電池用隔膜を製造することができる。
フッ素系樹脂製多孔質膜10の平均流量孔径は、100nm以下であり、好ましくは30nm以下である。そのため、図1に示す様に、H(水素)イオン1(実際はヒドロニウムイオン等)は小さいためフッ素系樹脂製多孔質膜10に形成されている微小孔12を通過することが可能であるが、Vイオン3、5は大きいために微小孔12を通過することが出来ない。その結果、フッ素系樹脂製多孔質膜10は、選択透過性を示す。
[隔膜サンプルの作製]
[フッ素系樹脂ディスパージョンの調整]
PTFEディスパージョン34JR(分子量60万)と、MFAラテックス及びPFAディスパージョン920HP(以上、三井デュポンフロロケミカル社製)とを用いて、MFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)及びPFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)がそれぞれ2%であるディスパージョンを調製した。このディスパージョンに、更に分子量200万のポリエチレンオキサイドを3mg/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王社製20T)を10mg/mlの濃度となるように添加してフッ素系樹脂ディスパージョンを調製した。
厚さ50μmのアルミ箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、先述のフッ素系樹脂ディスパージョンを滴下した後、日本ベアリング社製のステンレス鋼製のスライドシャフト(商品名:ステンレスファインシャフトSNSF型、外径20mm)を滑らすようにして先述のフッ素系樹脂ディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばした。
次に、この無孔質PTFE膜と延伸PTFE多孔質体の積層体を、引張試験機を用いて温度25℃、チャック間55mm、ストローク165mm(延伸率200%)で幅方向に延伸した後、更に同じ引張試験機で温度25℃、チャック間55mm、ストローク88mm(延伸率60%)で幅方向と直交する方向へ延伸し多孔質フッ素系樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素系樹脂膜複合体は、厚さ50μm、平均気孔径約1μmの多孔質支持体膜に、厚さ1μmのフッ素系樹脂製多孔質膜が貼り合わされてなるものである。これを隔膜サンプルとした。得られた多孔質フッ素系樹脂膜複合体について、以下の方法で、平均流量孔径を測定したところ平均流量孔径は、40nmであった。
細孔分布測定器(パームポロメータ CFP−1500A:Porous Materials,Inc製)により、液体として、GALWICK(プロピレン1,1,2,3,3,3酸化ヘキサフッ酸(Porous Materials,Inc製)を用いて、先述のようにして測定した。
空気流量は、ガレー秒を測定することにより求めた。具体的には、JISP8117ガレー試験機法に準拠してデジタル型王研式透気度試験機を用いて空気流量を測定した。
充放電方法 :定電流
充電終了電圧:1.55(V)
放電終了電圧:1.00(V)
温度 :25℃
ここで、電流効率、セル抵抗は、次の式で表される値である。
・電流効率(%)=放電電気量/充電電気量=放電時間/充電時間
・充電電気量=充電時間×(電流密度×電極面積)=充電時間×電流
・放電電気量=放電時間×(電流密度×電極面積)=放電時間×電流
・セル抵抗(Ω・cm2)=(セル端子電圧−開回路電圧)/電流密度
実施例1では、電流密度は70mA/cm2であった。
実施例1で得られた平均流量孔径が15nmの隔膜サンプル(NM−15とする)及び平均流量細孔径が30nmの隔膜サンプル(NM−30とする)の表面にナフィオン(登録商標。デュポン社製フッ素系陽イオン交換樹脂。)を塗布し、純水で洗浄後加熱して表面処理を行った。(ナフィオンを塗布した後の隔膜サンプルの質量)から(ナフィオンを塗布する前の隔膜サンプルの質量)を差し引いてナフィオンの添加量を測定したところ、ナフィオンの添加量はフッ素系樹脂製多孔質膜の質量に対して5質量%であった。
平均流量孔径が15nmのPTFE製分離層膜の代わりに、平均流量孔径が30nmのPTFE製分離層膜について行った以外は、実施例2と同様にしてナフィオンにより処理を行った場合の電流効率とセル抵抗の関係を図5に示す。実施例2と同様、ナフィオンの濃度が増加する程、高い電流効率が得られることが示されている。
充放電条件の電流密度を140mA/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、電流効率を測定した。表2に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図6に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。なお、図6中の「70mA/cm2」のデータは実施例1のデータに相当する。表2と図6とから、実施例1と同じように、平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上する一方セル抵抗が増加していることが分かる。
正極電解液に硫酸マンガン(2価)溶液を用い、負極電解液に硫酸チタン(4価)溶液を用い、炭素繊維製電極を用いたレッドクスフロー電池に、隔膜サンプルのそれぞれを使用した以外は、実施例1と同様にして、電流効率を測定した。充放電条件の電流密度は70mA/cm2であった。表3に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図7に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。表3と図7とから、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上する一方セル抵抗が増加していることが分かる。また、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合には、平均流量孔径が100nm程度であっても電流効率が85%以上となることが分かる。
充放電条件の電流密度を140mA/cm2とした以外は、実施例5と同様にして、電流効率を測定した。表4に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図7に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。表4と図7とから、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、平均流量孔径が小さいほど電流効率が向上する一方セル抵抗が増加していることが分かる。また、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合には、平均流量孔径が100nm程度であっても電流効率が92.5%以上となることが分かる。
正極電解液に硫酸鉄(2価)溶液を用い、負極電解液に硫酸チタン(4価)溶液を用い、炭素繊維製電極を用いたレッドクスフロー電池に、隔膜サンプルのそれぞれを使用した以外は、実施例1と同様にして、電流効率を測定した。充放電条件では、充電終了電圧および放電終了電圧はそれぞれ1Vおよび0Vであり、電流密度は70mA/cm2であった。表5に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。図7に、電流効率と平均流量孔径との関係を示す。表5と図7とから、隔膜サンプルをTi−Fe系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合と同程度の電流効率およびセル抵抗が得られることが分かる。
充放電条件の電流密度を140mA/cm2とした以外は、実施例7と同様にして、電流効率を測定した。表6に、電流効率、セル抵抗の測定値と平均流量孔径、空気流量との関係を示す。表6から、隔膜サンプルをTi−Fe系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合であっても、隔膜サンプルをTi−Mn系レドックスフロー電池用隔膜に用いた場合と同程度の電流効率およびセル抵抗が得られることが分かる。
Claims (5)
- 平均流量孔径が100nm以下であり、厚さが500μm以下であり、且つ、空気流量が0.1ml/s・cm2以上であるフッ素系樹脂製の多孔質膜を含むレドックスフロー電池用隔膜。
- V−V系レドックスフロー電池に用いられ、
前記多孔質膜の平均流量孔径は30nm以下である請求項1に記載のレドックスフロー電池用隔膜。 - Ti−Mn系、Ti−Fe系、Fe−Cr系、Zn−Ce系、Zn−Br系またはZn−Cl系レドックスフロー電池に用いられる請求項1に記載のレドックスフロー電池用隔膜。
- 前記多孔質膜を支持するための多孔質支持体膜をさらに含む請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用隔膜。
- 前記多孔質膜の表面はイオン交換樹脂により処理されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用隔膜。
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