JPWO2013073241A1 - 固体銀銅合金 - Google Patents

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Abstract

新規な固体銀銅合金を提供することを課題とする。銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、上記固体銀銅合金が室温において共晶体を含まない非共晶構造を主体とする固体銀銅合金を提供する。この銀銅合金は、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させて製造することができる。銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用面間にできる薄膜流体中において混合することが望ましい。この銀銅合金は、その粒子径が50nm以下であることが望ましい。また、銀銅と他の少なくとも1種の金属とからなる固体合金であってもよい。

Description

本発明は、銀銅合金、並びに、銀と銅と銀銅以外の他の金属との少なくとも3種類の金属からなる固体合金に関する。
近年、導電性ペーストや導電性インク、導電性微細配線などに用いる材料、または一酸化炭素や窒素酸化物(NO)の還元触媒や鉛フリーはんだなどに用いる材料として、銀と銅の合金粒子が注目されている。銀銅合金粒子中の銀と銅の割合によって特性を制御できる可能性があり、例えば比抵抗や耐酸化性に優れる銀と、銀のマイグレーションを抑制するための銅とを合金化させた、主に銀からなる銀銅合金粒子や、マグネットワイヤなどの配線用材料として、主に銅からなる銀銅合金粒子についても注目されている。さらに、銀、銅それぞれにおける抗菌性にも注目されており、その他宝飾の用途など多くの応用が期待されているため、銀銅合金については、産業界において広い範囲で求められている材料である。マイグレーションは、多くの金属で発生するが、銀のマイグレーションは早く発生することが知られており、銅などの他の金属と合金化することでマイグレーションの発生を遅らせることができると言われている。しかし、一般的に銀と銅の合金は共晶体であるため、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制など、銀銅合金として期待された特性が十分に発揮できていない場合が多い。
銀と銅の合金粒子の製造方法としては、特許文献1または特許文献2、特許文献3のような液相還元法やアトマイズ法などがあるが、上記いずれの方法において作製された銀銅合金もコアシェル型であるか、または共晶体を含むものであり、実質的に共晶体を含まない銀銅合金粒子及びその製造方法についてはこれまで開示されていない。特許文献1においては、銀コア銀銅シェルナノ微粒子が開示されており、シェルを構成する銀銅合金について、電子顕微鏡観察とエネルギー分散型蛍光X線測定を組み合わせた元素組成分析から述べられているが、シェル部分における銀と銅との、それぞれのマッピングが開示されていないなど、銀と銅が固溶体化していることについては疑問が残る。また、特許文献4には銅粒子表面に銀を被着して得られた銀被着銅粉を、非酸化性雰囲気中150〜600℃の温度で熱処理することで、銀を銅粒子に拡散させて得られた銀拡散銅粉が記載されている。しかし、金属銀の銅粒子表面からの拡散によって銀拡散銅粉を製造するため、銅粒子の中心部にまで銀を拡散させることは難しく、その粒子全体において、共晶体を含まない状態とすることが難しいだけで無く、ペーストとして用いるには粒子径が大きすぎる。さらに、銀拡散銅粉の分析方法についても、熱処理によって銅粒子表面に単体として存在した金属銀が、表面観察(SEM観察)によって確認できなくなっただけに過ぎず、粒子の中心部には単体の銅が存在している可能性もある。これらより上記銀銅合金は、マクロ的に見れば合金であるが、極微視的に見れば合金とは呼べない。
その他、金属銀と金属銅とを高温で相溶させた状態からから急冷することで、銀銅合金粒子の部分固溶体を得る方法などもあるが、固溶体等の非共晶構造を主体とする銀銅合金の開示はこれまで無く、また製造に際しては高いエネルギーを必要とするため、自ずとコストが大きくなりやすいなどの問題がある。
本願出願人の出願である特許文献5において、銀銅合金粒子の製造方法が提供されたが、実施例で示された製造方法で得られた粒子を分析すると、共晶体または、単独の銀または銅が混在する銀銅合金粒子であり、実質的に共晶体を含まない銀銅合金粒子、特に固溶体銀銅合金粒子については、これまで開示されていなかった。
また、錫銀銅の合金については、特許文献6に記載されるような共晶合金の開示しかなく、実質的に共晶体を含まない非共晶構造を主体とする合金については、これまで開示されていなかった。
特開2011−068936号公報 特開2006−183110号公報 特開2000−144203号公報 特開2008−057044号公報 国際公開WO2009/008390号パンフレット 特開2007−132654号公報
本発明はこのことに鑑み、実質的に共晶体を含まない銀銅合金を提供することを課題とする。また、本発明は、銀と銅と銀銅以外の他の金属との少なくとも3種類の金属からなる固体合金であって、実質的に共晶体を含まない合金を提供することを課題とする。
本発明は、実質的に共晶体を含まない固体銀銅合金を提供することにより、上記の課題を解決する。
即ち、本発明は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、上記固体銀銅合金が室温において共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金を提供することにより、上記の課題を解決するものである。
また、本発明は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、前記固体銀銅合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、上記固体銀銅合金のICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されるものとして実施できる。
また、本発明は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、前記固体銀銅合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、上記固体銀銅合金のICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で、銀イオン、銅イオン及び還元剤を混合し、銀銅合金の粒子を析出させることにより得られたものとして実施できる。
また、本発明は、上記銀銅合金が固溶体であるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、銀と銅とが共に検出されるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、銀と銅とが共に検出されるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である銀銅合金粒子であるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、粒子径が50nm以下の粒子から構成されているものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金には、結晶粒界が無いものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、乾式での熱処理をされていない銀銅合金粒子であるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させて製造されたものとして実施できる。
また、本発明は、前記還元剤は少なくとも2種類の還元剤であり、前記少なくとも2種類の還元剤は、ヒドラジン類またはアミン類から選ばれる、少なくとも2種類の還元剤であるものとして実施できる。
また、本発明は、前記少なくとも2種類の還元剤が、ヒドラジン一水和物及びジメチルアミノエタノールであるものとして実施できる。
また、本発明は、前記銀銅合金は、銀と銅と以外に、錫を含むものとして実施することができる。
本発明においては、実質的に共晶体を含まない銀銅合金、特に固溶体銀銅合金を提供することができたものであり、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制などの特性の発現が期待されるものである。
また、本発明においては、銀と銅と銀銅以外の他の金属である錫との3種類の金属からなる固体合金であって、実質的に共晶体を含まない合金を提供することができたものであり、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制などの特性の発現が期待されるものである。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 実施例2において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Cu)である。 実施例4において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Cu)である。 実施例8において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Cu)である。 一般的なAg−Cu系合金平衡状態図である。 実施例8において作製された銀銅合金粒子のHRTEM像及びそのHRTEM像の銀銅合金粒子におけるSTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例8において作製された銀銅合金粒子の、図8に示したSTEM−EDS各分析点にて測定したSTEM−EDS分析結果である。 実施例10において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例6において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例10において作製された銀銅合金粒子のHRTEM像及びそのHRTEM像の銀銅合金粒子におけるTEM−EDS分析点(5点)を示す。 実施例10において作製された銀銅合金粒子の、図12に示したTEM−EDS各分析点にて測定したTEM−EDS分析結果である。 実施例2,4,10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったXRD測定結果並びに上記銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した熱処理粉体を用いて行ったXRD測定結果である。 実施例7において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例3において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例4において作製された銀銅合金粒子の低倍率におけるTEM像である。 実施例2,4,10において作製された銀銅合金粒子の格子定数と、Vegard則から求めたAgCu固溶体の格子定数、ならびに急冷凝固にて作製されたAgCu固溶体での格子定数のCu比率に対する変化を示す図である。 実施例10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した熱処理後の銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例2において作製された銀銅合金粒子の、窒素雰囲気下におけるTG−DTA測定結果である。 実施例2,4,10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体並びに実施例10の銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した熱処理後の銀銅合金粒子を用いて行ったDSC測定結果である。 実施例13において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は1000万倍)。 実施例13において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は2000万倍)。 図23(A)(B)の各像と同じ視野において、Radial difference filter処理を施した、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は2000万倍)。 実施例13において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったXRD測定結果である。 実施例16において作製された錫銀銅合金粒子のTEM像である。
以下に、本発明の実施の形態の一例について、具体的に説明する。
(実質的に共晶体を含まない銀銅合金及びその粒子)
本発明に係る銀銅合金は、実質的に共晶体を含まない銀銅合金(AgCu合金)である。特にAg−Cu系合金平衡状態図(一例として、一般的なAg−Cu系合金平衡状態図を図7に示す。)における、固相α+βの領域の銀と銅との割合(重量比及びモル比)における固体銀銅合金である。一般的にこの領域(銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%の領域)において銀と銅は共晶体を形成するが、本発明においてはこの領域においても、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金である。従って、本発明における固体銀銅合金は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%、好ましくは0.5wt%から99.50wt%、さらに好ましくは1.0wt%から99.00wt%である固体銀銅合金であり、上記固体銀銅合金は室温において共晶体を含まない非共晶構造を主体とする固体銀銅合金である。これによって銀のマイグレーション、特に銀のイオン化によって発生するイオンマイグレーションの抑制が可能であると推測される。本発明に係る銀銅合金は共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金であるが、本発明において「非共晶構造を主体とする銀銅合金」とは、本発明に係る銀銅合金の65容量%、さらに好ましくは80容量%以上が非共晶構造である銀銅合金とする。また、本発明における非共晶構造としては、固溶体やアモルファス等が挙げられる。
以上のように、本発明者は、本発明に係る銀銅合金を、室温下にて、種々の装置によって観察し、本発明に係る銀銅合金が共晶体を含まない非共晶構造を主体とする固体銀銅合金であるとした。
より詳しくは、室温下にある銀銅合金粒子を、後述する実施例において用いた顕微分析(TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析)の環境下に置き、加速電圧200kVの電子線を照射した状態において、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金であることを確認した。その際、電子線を照射した試料自体の温度制御は行っていない。また、これらの観測を行なった銀銅合金粒子については、後述する実施例(2,4,10)においてDSC測定を行い、室温〜180℃の温度領域において、それらの状態に変化がないことを確認している。
銀銅合金中の共晶体の存在に関する分析方法は特に限定されないが、顕微分析が好ましく、特に微小領域について、銀と銅との分布状態や、銀と銅との重量比またはモル比を分析できる分析手法が好ましい。例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)または走査型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(SEM−EDS)、高分解能TEM(HRTEM)、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF−STEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた元素マッピング、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などが挙げられる。その他の分析方法であっても良いが、銀銅合金が共晶体を含まない非共晶構造であることの証明のためには、顕微分析が好ましい。本発明における共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金として、図4、図5及び図6に示すSTEM―HAADF像(図4(A)、図5(A)及び図6(A))、及びそれらに対するEDSマッピング結果(図4(B)(C)、図5(B)(C)及び図6(B)(C)。それぞれ、(B)はAgのマッピング結果であり、(C)はCuのマッピング結果である。)のような銀銅合金粒子が挙げられる。
図4に示す銀銅合金粒子については、その銀銅合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Cu=85.5:14.5(モル比)であり、言い換えると、銀銅合金に含まれる銅の濃度が9.1wt%である。また、図5に示す銀銅合金粒子については、その銀銅合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Cu=69.9:30.1(モル比)であり、言い換えると、銀銅合金に含まれる銅の濃度が20.2wt%である。図6に示す銀銅合金粒子については、その銀銅合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Cu=95.0:5.0(モル比)であり、言い換えると、銀銅合金に含まれる銅の濃度が3.0wt%である。上記の銀銅合金は、全てAg−Cu系合金平衡状態図において、固相α+βの領域である銀と銅との割合であるが、それぞれのEDSマッピング結果に見られるように、銀と銅が一つの粒子において明らかに偏析している様子は確認されず、銀のみの領域または銅のみの領域、銀のみの粒子または銅のみの粒子は確認されない。
本発明に係る銀銅合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されることが望ましい。
図12に、銀銅合金粒子(Ag:Cu=50.3:49.7(モル比))のHRTEM像、並びにその粒子における直径5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(5点)、並びに図13に図12に示した各分析点にて測定したTEM−EDS分析結果を示す。図13に示した分析結果より、分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。
もしも、銀銅合金粒子において共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはCuが100%の分析点や、α相やβ相の銀と銅との割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり、上記の銀銅合金粒子が共晶体を含まない銀銅合金であることがわかる。
本発明に係る銀銅合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されることが望ましい。0.2nm径のビームは、銀及び銅の原子半径の大きさに近いが、実際の観察においては、深さ方向や周辺からの情報も取り込むため、実質的に銀や銅の原子サイズより大きい領域の情報を取り込むことが可能である。図8に、図6に示した銀銅合金粒子(Ag:Cu=95.0:5.0(モル比))のHRTEM像、並びにその粒子における直径0.2nmのビーム径による、STEM−EDS分析点(4点)、並びに図9に、図8に示した各分析点にて分析したSTEM−EDS分析結果を示す。図9に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。もしも、銀銅合金粒子において共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはCuが100%の分析点や、α相やβ相の銀と銅との割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり、上記の銀銅合金粒子が共晶体を含まない銀銅合金であることがわかる。
また、図10に示す銀銅合金粒子(Ag:Cu=50.3:49.7(モル比)、銀銅合金に含まれる銅の濃度が36.8wt%)においては、格子縞(結晶中の原子配列)が一方向に観測され、図10に示す銀銅合金粒子には結晶粒界が無いことがわかる。
本発明において、上記EDS分析(エネルギー分散型X線分光分析)を用いる場合のビーム径は、用いる装置の能力などによって異なるが、例えば25nmであることが好ましく、より好ましくは10nm、さらに好ましくは5nmであることが好ましい。また分析装置によっては0.5nmであることがより好ましく、0.2nmであることがより好ましい。本発明における実施例においては、TEM−EDS分析の場合にビーム径を5nm、STEM−EDS分析の場合にビーム径を0.2nmとして実施した。また、本発明における、TEMまたはSTEMの観察条件としては、25万倍以上が好ましく、50万倍以上がより好ましい。
EDSの分析方法について、その分析箇所の決定については単数複数を問わず特に限定されないが、複数箇所について行うことが好ましく、分析の対象が粒子である場合には、複数個の粒子についてそれぞれEDS分析を行っても良いし、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。例えば、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が5nmである場合には、複数個の粒子についてEDS分析を行う方法を用いても良いし、EDS分析におけるビームの照射位置を若干変更することによって、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。また、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が0.2nmである場合に、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。
EDS分析箇所の数については特に限定されないが、3箇所以上が好ましく、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは25個以上が好ましい。
本発明に係る銀銅合金においては、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析を用いた上記のビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上で、銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましい。
しかし、分析点の50%以上で、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%を越える場合には、ICP分析によって得られた銀と銅とのモル比に対して、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析によって得られた微小範囲分析結果における銀と銅とのモル比が大きく異なるため、均一な銀銅合金が作製できていない恐れがある。
このような分析が可能な装置としては特に限定されないが、例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)が可能な装置として、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)や、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)が可能な装置として、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(JEOL製)などが挙げられる。
(銀と銅の比率)
本発明における銀銅合金に含まれる銀と銅の比率(モル比)については特に限定されない。銀のモル比の方が高い銀銅合金でも良いし、銅のモル比の方が高い銀銅合金でも良い。また、本出願においては、上記銀銅合金に含まれる銀と銅のモル比に関係なく、銀と銅とからなる合金を銀銅合金と記載する。
(銀銅合金粒子の粒子径)
本発明における銀銅合金は、その粒子径が50nm以下の銀銅合金粒子であることが好ましい。より好ましくは粒子径が25nm以下の銀銅合金であり、さらに好ましくは10nm以下の銀銅合金粒子である。その理由は、ナノメートルサイズの粒子が、量子サイズ効果によって低融点化・低温焼結性といった特異的物性を示すためである。例えば、近年のナノテクノロジーの進展とともに塗布焼成のプロセスによってもプラスチック基板上に回路形成できる材料として、ナノ粒子を用いた電子回路形成用の導電性ペースト等が必要とされており、上記特異的物性によってその要求を満足できることなどが挙げられる。本発明においては、各図に示した銀銅合金を含め、得られる銀銅合金において、その粒子径が50nm以下であり、25nm以下並びに10nm以下の銀銅合金粒子もあった。
また、本発明に係る銀銅合金は、乾式での熱処理を要しない銀銅合金粒子である。
なお、多くの合金と同様に、本発明の銀銅合金も微量の不純物を含むこともあるために、本発明は、その銀銅合金中に、意図的に若しくは意図せずに、銀又は銅以外の元素を含めることを許容するものである。意図的に含める元素としては、錫元素を例示し得る。それらの元素の比率は、特に限定されないが、例えば、はんだを目的とする場合には、錫:銀:銅=95.0〜93.0:5.0〜3.0:2.0〜0.5(モル比)の範囲であることが好ましい。錫以外としては、特に限定されず、全ての元素が挙げられるが、一例を示すと、金、パラジウム、ニッケル、クロム、マンガン、バナジウム、鉄、モリブデンなどが挙げられる。その他の金属が意図せずに不純物として含まれると考えられる割合は、特に限定されないが、銀銅合金全体の0.05wt%未満、より好ましくは0.02wt%未満、さらに好ましくは、0.01wt%未満である。
(銀銅合金粒子の製造方法1:概要)
上記銀銅合金の製造方法としては、特に限定されない。銀及び銅の化合物を熱分解する方法でも良いし、銀及び銅のイオンを還元する方法でも良いが、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させる銀銅合金粒子の製造方法であることが好ましい。また、銀イオンを含む流体と、銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させる銀銅合金粒子の製造方法であってもよい。上記の還元剤を含む流体としては、1種類の還元剤を含むものであってもよく、少なくとも2種類の還元剤を含むものであってもよい。上記の還元剤を含む流体として少なくとも2種類の還元剤を含むことによって、銀及び銅の析出時間を制御でき、実質的に銀と銅とを同時に析出させることができるため、銀銅合金として析出させられる利点がある。還元剤を1種類しか用いない場合には、銀及び銅の析出時間を制御することが難しく、銀と銅とがそれぞれ単独で析出しやすいと考えられるが、本発明においては、上記の還元剤を含む流体として、1種類の還元剤を含む流体の使用を妨げるものではない。
また、上記の還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
(銀銅合金粒子の製造方法2:銀イオン及び銅イオンを含む流体、銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体)
上記銀イオン及び銅イオンを含む流体、または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体としては、特に限定されないが、銀イオン及び銅イオンを含む溶液、または銀イオンを含む溶液と銅イオンを含む溶液が好ましい。作製方法としては銀または銅の金属単体を塩酸や硝酸、王水などに溶解する方法や、銀または銅の化合物を溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。また、銀単体及び/または銀化合物と、銅単体及び/または銅化合物とを一度に溶媒に溶解して銀イオン及び銅イオンを含む流体を作製してもよいし、銀単体及び/または銀化合物を溶媒に溶解した銀溶液と、銅単体及び/または銅化合物を溶媒に溶解した銅溶液とを混合して銀イオン及び銅イオンを含む流体を作製してもよい。
(化合物)
上記銀または銅の化合物としては、特に限定されないが、一例として銀または銅の塩、酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物などが挙げられる。銀または銅の塩としては、特に限定されないが、硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩などが挙げられる。その他の化合物としては銀または銅のアルコキシドが挙げられる。
(溶媒)
上記の銀単体及び/または銀化合物、及び/又は、銅単体及び/または銅化合物を溶媒に混合、好ましくは溶解または分子分散して、銀イオン及び銅イオンを含む流体、または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体を作製することができる。また、上記銀単体及び/または銀化合物、及び/又は、銅単体及び/または銅化合物は、目的によって任意に選択して用いることができる。上記銀単体及び/または銀化合物、及び/又は、銅単体及び/または銅化合物を溶解させるための溶媒としては、例えば、水や有機溶媒、またはそれらを混ぜた混合溶媒が挙げられる。前記水としては、水道水やイオン交換水、純水や超純水、RO水などが挙げられ、有機溶媒としては、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物などが挙げられる。上記の溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、または複数を混合して使用しても良い。
(酸性物質及び塩基性物質)
その他、上記溶媒に塩基性物質または酸性物質を混合または溶解しても実施できる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの金属水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムイソプロポキシドのような金属アルコキシド、さらにトリエチルアミンやジエチルアミノエタノール、ジエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。酸性物質としては、王水、塩酸、硝酸、発煙硝酸、硫酸、発煙硫酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などの有機酸が挙げられる。これらの塩基性物質または酸性物質は、上記の通り各種溶媒と混合しても実施できるし、それぞれ単独でも使用できる。
(溶媒の詳しい説明)
上記の溶媒についてさらに詳しく説明すると、アルコール化合物溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられ、さらにn−ブタノールなどの直鎖アルコール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の分枝状アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ヨードホルムなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF (ヘキサフルオロリン酸イオン)との塩などが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、2,2−ジクロロプロピオン酸、スクアリン酸などが挙げられる。スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
(還元剤)
上記還元剤としては、特に限定されないが、銀及び/または銅のイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。一例を挙げると、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムなどのヒドリド系還元剤や、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム、次亜塩素酸またはその塩、遷移金属のイオン(チタンや鉄のイオンなど)やヒドラジン類やアミン類などが挙げられる。
(還元剤:ヒドラジン類またはアミン類)
本発明においては、上記還元剤のうちの少なくとも1種類を使用する。また、上記還元剤を少なくとも2種類を使用し、銀と銅の還元速度、または銀と銅の析出時間を制御することが好ましく、ヒドラジン類またはアミン類から選ばれる少なくとも2種を選択して用いることがより好ましく、ヒドラジン類から少なくとも1種及びアミン類から少なくとも1種を選択して用いることがさらに好ましい。上記ヒドラジン類としては、特に限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、フェニルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン塩酸塩などが挙げられる。アミン類としては、特に限定されないが、式:RNH;RNH;またはRN;[式中、R,RおよびRは同一またはそれぞれ異なる置換基を示し、RおよびRは互いに結合して隣接する窒素原子と環状アミノを形成していてもよい。]で表される化合物またはその塩などが挙げられる。一例を挙げると、トリエチルアミンやトリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどが挙げられる。
少なくとも2種類の還元剤を用いることによって、上述の通り、銀と銅の還元速度、または銀と銅の析出時間を制御できる。そのメカニズムとしては、特に限定されないが、異なる特性の銀と銅、特に標準電極電位の異なる銀と銅(Cu2++2e⇔Cu:+0.337V、Ag+e⇔Ag:+0.799V)を、1種類の還元剤で還元させようと試みた場合には、より還元されやすい貴な金属である銀が、銅よりも先に還元、析出されやすく、銀と銅が単独、または共晶体を含む合金として析出しやすいが、少なくとも2種類の還元剤を用いることによって、銅の還元、析出を早めるか、もしくは銀の還元、析出を遅らせるか、もしくはその両方の効果によって、銀と銅を同時に析出させることができるためと本発明者は考えている。よって、本発明における銀銅合金粒子は、共晶体を含まない非共晶構造となりやすく、後述する、本願出願人の出願である、特許文献5に記載された流体処理装置を用いて、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金粒子を析出させることによって、後述する実施例にて確認された均一且つ均質な銀銅合金粒子を作製することが可能である。
(還元剤を含む流体)
上記還元剤を含む流体は、上記の還元剤を少なくとも1種類含むものであり、上記の還元剤が液体の状態、または溶媒に混合され、溶解または分子分散された状態であることが好ましい。上記溶媒については特に限定されない。先述した溶媒を目的に応じて用いることが可能である。上記の還元剤を含む流体には、分散液やスラリーなどの状態のものを含んでも実施できる。
また、上記還元剤を含む流体としては、上述のように、少なくとも2種類の還元剤を含んだものを用いてもよく、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
(pH:銀及び銅のイオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅のイオンを含む流体、還元剤を含む流体、混合後の流体)
本発明における各流体のpHについては特に限定されない。目的とする銀銅合金粒子における銀と銅のモル比や粒子径、または結晶性などによって適宜変更することが可能である。銀及び銅のイオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体、及び還元剤を含む流体のpH調整については、各流体に上記酸性物質または塩基性物質を含んでも実施できるし、用いる銀または銅の化合物の種類や還元剤の種類、また濃度によって変更することも可能である。
さらに、上記銀イオン及び銅イオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合した後のpHについても特に限定されないが、7〜14であることが好ましく、8〜13であることがより好ましく、11〜13であることがさらに好ましい。より詳しくは、上記銀イオン及び銅イオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合した後の流体のpHが7以下である場合には、銀イオンまたは銅イオンの還元が不十分となり易く、また銀と銅の還元速度を制御することが難しくなる。また、混合した後の流体のpHが14よりも大きい場合には、銀や銅の酸素を含む化合物、例えば水酸化物や酸化物が発生しやすくなる。特に、混合した後の流体のpHが11〜13の範囲である場合には、作製される銀銅合金粒子における銀と銅の均一性が高くなりやすく、複数の粒子のそれぞれについても、個々の粒子内においても銀と銅の均一性が高くなりやすいため、好ましい。また、混合した後の流体のpHの調整方法については特に限定されない。混合した後の流体のpHが、上記pHの範囲となるように、各流体のpHを調整することや、各流体の流量を変更することによって実施できる。
なお、実施例においては、銀イオン及び銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合した直後の流体のpHを測定することは困難なため、後述する流体処理装置の処理用面1,2間から吐出した吐出液のpHを測定した。
(温度)
本発明における各流体における温度については特に限定されない。pHと同様に、目的とする銀銅合金粒子における銀と銅のモル比や粒子径、または結晶性などによって適宜変更することが可能である。
(分散剤等)
また、本発明においては、目的や必要に応じて各種の分散剤や界面活性剤を用いる事ができる。特に限定されないが、界面活性剤及び分散剤としては一般的に用いられる様々な市販品や、製品または新規に合成したものなどを使用できる。一例として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や、各種ポリマーなどの分散剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。分散剤の中には還元性を示すものがあり、その一例としてポリビニルピロリドンやオクチルアミン等が挙げられる。
上記の界面活性剤及び分散剤は、上記の銀イオン及び銅イオンを含む流体、銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体、または還元剤を含む流体の内、銀銅合金粒子の作製に用いられる流体のいずれか、または用いる流体の複数に含まれていてもよい。また、上記の界面活性剤及び分散剤は、銀イオン及び銅イオンを含む流体とも、銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体とも、還元剤を含む流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。特に分散性の向上のために、上記分散剤などは、予め上記の還元剤を含む流体、または銀と銅のイオンを含む流体もしくは銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体の、少なくとも何れか一種の流体に導入しておくことが好ましい。
(流体処理装置)
本発明においては、上記の銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で混合し、銀銅合金粒子を析出させることが好ましく、本願出願人の出願である、特許文献5に記載された流体処理装置を用いて混合し、銀銅合金粒子を析出させることが好ましい。以下、図面を用いて上記流体処理装置の実施の形態について説明する。
(装置の説明)
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献5に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)に示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属、カーボンの他、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし、被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
なお、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中から微粒子を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが望ましい。開口部d20の形状は、図2(B)や図3(B)に実線で示すように円形状であってもよく、図2(B)に点線で示すように、リング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であってもよい。
円環形状の開口部d20を処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状に設けた場合、処理用面1,2間に導入する第2流体を同一条件で円周方向に広範囲に導入することができるため、より均一な拡散・反応・析出等の流体処理を行うことができる。微粒子を量産するには、開口部d20を円環形状とすることが好ましい。また、円環形状の開口部d20を処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状に設けなくてもよい。さらに、開口部を円環形状とした場合、その円環形状の開口部は連続していてもよいし、不連続であってもよい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記処理を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような処理が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。処理された被処理物の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面1,2間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
以下、上記の装置を用いて行う銀銅合金粒子の製造方法の具体的な態様について、一例を説明する。
上記の銀銅合金粒子の析出反応は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として銀イオン及び銅イオンを含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として還元剤を含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、銀銅合金粒子の析出反応を行う事が出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
銀のマイグレーションは、銀がイオン化し、その銀イオンが水に含まれる水酸基(OH)イオンと反応して水酸化銀となる可逆反応を繰り返しながら固体中を移動して銀として析出、偏析する現象であると言われているが、上記に示した装置を用いることによって、銀銅合金における格子欠陥の少ない緻密な結晶粒子を作製できるため、これまで以上にマイグレーションを抑制可能な銀銅合金粒子を作製できることも利点である。
なお、本願の実施例それぞれの電子顕微鏡(TEM)観察において、明らかな格子欠陥は確認されなかった。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオンを含む流体、第2流体として銅イオンを含む流体、第3流体として還元剤を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各流体の濃度や圧力を個々に管理することができ、銀銅合金粒子の析出反応をより精密に制御することができる。同じく、第1導入部d1、第2導入部d2以外に、第3導入部と第4導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオンを含む流体、第2流体として銅イオンを含む流体、第3流体として還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体、第4流体として第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第4流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第5以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、還元剤を含む流体と合流するまでに銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体とが合流していることが望ましく、また、銀イオン及び銅イオンを含む流体と合流するまでに第1還元剤流体と第2還元剤流体とが合流していることが望ましい。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。また、第2導入部d2の開口部d20として、図2(B)に点線で示すように、処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状のものを用いた。
(TEM−EDS分析)
TEM−EDS分析による、銀銅合金粒子中の銀及び銅の元素マッピング及び定量には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。直径5nmのビーム径を用いて分析し、銀銅合金粒子中の銀と銅とのモル比を算出した。具体的には、得られた銀銅合金粒子10個それぞれに図12に示すような5つの分析点を設け、各分析点にて銀と銅とのモル比を算出し、その平均値を用いた。
TEM観察、TEM−EDS分析の具体的な条件としては、室温の環境にて透過型電子顕微鏡に銀銅合金粒子の試料を搭載し、加速電圧200kVで銀銅合金粒子の試料に電子線照射を行った。その際、前記試料の温度制御を行わなかった。また、低加速電圧を用いた観察や、加速電圧200KVでの観察によって、前記電子線照射により銀銅合金粒子に変化が無いことを確認した。
なお、使用した透過型電子顕微鏡で銀銅合金粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
(STEM−EDS分析)
STEM−EDS分析による、銀銅合金粒子中の銀及び銅の元素マッピング及び定量には、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)、または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(JEOL製)を用いた。直径0.2nmのビーム径を用いて分析し、銀銅合金粒子中の銀と銅とのモル比を算出した。具体的には、得られた銀銅合金粒子10個それぞれに図8に示すような4つの分析点を設け、各分析点にて銀と銅とのモル比を算出し、その平均値を用いた。
STEM観察、HRTEM観察、STEM−EDS分析の具体的な条件としては、室温の環境にて走査透過型電子顕微鏡に銀銅合金粒子の試料を搭載し、加速電圧200kVで銀銅合金粒子の試料に電子線照射を行った。その際、前記試料の温度制御を行わなかった。また、低加速電圧を用いた観察や、加速電圧200kVでの観察によって、前記電子線照射により銀銅合金粒子に変化が無いことを確認した。
なお、使用したこれら電子顕微鏡で銀銅合金粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
(ICP分析)
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)による、銀銅合金粒子の乾燥粉体中に含まれる銀と銅の定量には、島津製作所製のICPS−8100を用いた。
(XRD測定)
X線回折測定には、粉末X線回折測定装置X‘Pert PRO MPD(XRD スペクトリス PANalytical事業部製)を使用した。測定条件は、Cu対陰極、管電圧45kV、管電流40mA、走査速度1.6°/min.である。また解析にはHigh Score Plusソフトウエアを用いた。Rietvelt解析及びWilliamson―Hall法においてPseudo Voigt関数を使用し、非対称性を加えて計算をした。
(pH測定)
pH測定には、pH試験紙またはpHメーター(HORIBA製、型番D−51)を用いた。
(DSC測定)
示差走査熱量計(DSC)測定には、示差走査熱量計(島津製作所製,DSC―60)を用いた。サンプル試料セルはアルミクリンプセル(φ5.8mm×t1.5mm)、参照試料にはαアルミナを使用し、測定試料には銀銅合金粒子5mgを用いた。測定条件はNフロー(30ml/min.)、室温〜400℃の温度範囲、昇温速度20 ℃/min.である。
(TG−DTA同時測定)
示差熱−熱重量(TG−DTA)同時測定には、高温型示差熱熱重量同時測定装置、TG/DTA6300(SII製)を用いた。測定条件は、参照試料にαアルミナ粉末5.5mgを用い、窒素雰囲気下、30〜500℃の温度範囲、昇温速度30℃/min.である。
実施例1〜15として、中央から第1流体として銀イオン及び銅イオンを含む流体または還元剤を含む流体を、供給圧力=0.50MPaGで送液しながら、第2流体として、銀イオン及び銅イオンを含む流体または還元剤を含む流体のうち、第1流体とは異なる流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。銀銅合金粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銀銅合金粒子分散液を遠心分離処理(20000G)し、銀銅合金粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃で大気圧にて乾燥し、銀銅合金粒子の乾燥粉体を作製した。また、銀銅合金粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径にて判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を25万倍以上とし、3箇所の最小値と最大値とを用いた。表1に第1流体の処理条件、表2に第2流体の処理条件、及び表3に処理用面1の回転数と、処理用面1,2間より吐出された銀銅合金粒子分散液(吐出液)のpH、STEM−EDSとTEM−EDS分析結果により得られた銀銅合金粒子における銀と銅の割合(モル比)、STEM−EDSとTEM−EDS分析における、銀のみ(銀100%)または銅のみ(銅100%)が検出される分析点(表3では測定点と表記)の有無、銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析結果による銀銅合金粒子における銀と銅の割合(モル比)、銀銅合金粒子に含まれる銅の濃度(wt%)を示す。表1、2における、略記号は、EG:エチレングリコール、Toluene:トルエン、AgNO:硝酸銀、CHCOOAg:酢酸銀、Cu(NO・3HO:硝酸銅三水和物、Cu(COOCH・HO:酢酸銅一水和物、Cu(COOCH:無水酢酸銅、HMH:ヒドラジン一水和物、DMAE:ジメチルアミノエタノール、PH:フェニルヒドラジン、PVP:ポリビニルピロリドン、OA:n-オクチルアミン、KOH:水酸化カリウム、NaBH:水素化ホウ素ナトリウム、MeOH:メタノール、EtOH:エタノール、SK08:チオカルコール08(花王製界面活性剤)、PW:純水である。なお、表3に示した「AgまたはCuが100%検出できる測定点」には、銀のみ(銀100%)または銅のみ(銅100%)が検出される分析点のほか、固相αまたは固相βの銀と銅の割合(モル比)である分析点を含む。また、実施例13及び実施例15の銀銅合金粒子分散液(吐出液)のpHは、処理用面1,2間より吐出された銀銅合金粒子分散液を水で10倍に希釈してから測定した。
比較例1〜3についても実施例1〜15と同様の方法で実施した。
なお、実施例1〜12、16及び比較例1〜4においては、優先権主張元の出願に記載した実施例のデータを全て見直し、見直し後の実施例のデータを記載した。
全ての分析点においてTEM−EDS分析及びSTEM−EDS分析を行ったところ、実施例において得られた銀銅合金粒子が、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%の範囲、つまり、Ag−Cu系合金平衡状態図における固相α+βの領域の範囲の銀銅合金粒子であることを確認した。また、実施例において得られた銀銅合金粒子中の銀と銅との割合(モル比)が、Ag−Cu系合金平衡状態図における固相αまたは固相βでの銀と銅の割合(モル比)である分析点や、銀が100%あるいは銅が100%である分析点は検出されなかった。
図4に実施例2において得られた銀銅合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Cu)、及び図5に実施例4において得られた銀銅合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Cu)、図6に実施例8において得られた銀銅合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Cu)を示す。図8に実施例8において得られた銀銅合金粒子のHRTEM像及びSTEM−EDS分析点(4点)を示し、図8に示した各分析点でのSTEM−EDS分析結果を図9に示す。図12に実施例10において得られた銀銅合金粒子のHRTEM像及びTEM−EDS分析点(5点)を示し、図12に示した各分析点でのTEM−EDS分析結果を図13に示す。図10に実施例10で得られた銀銅合金粒子のTEM像、及び図11に実施例6で得られた銀銅合金粒子のTEM像、及び図15に実施例7で得られた銀銅合金粒子のTEM像、及び図16に実施例3で得られた銀銅合金粒子のTEM像、図17に実施例4において得られた銀銅合金粒子の低倍率におけるTEM像を示す。
図9のSTEM−EDS分析結果は、実施例8で作製された銀銅合金粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の銀銅合金粒子それぞれにおいて、4つの分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。また、表3に示す他の実施例で同様のSTEM−EDS分析を行った結果、いくつかの分析点でのSTEM−EDS分析における銀と銅とのモル比の値が、各実施例のICP分析によって得られた銀と銅とのモル比の値に対して最大±30%である分析点が存在した。さらに、EDSマッピングを用いた分析において、それらの分析点の観察で銀と銅とが明らかに偏析している様子などは見られなかった。
図13のEDS分析結果は、実施例10で作製された銀銅合金粒子の一例であるが、TEM−EDS分析を行った10個の銀銅合金粒子それぞれにおいて、5つの分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。また、表3に示す他の実施例で同様のTEM−EDS分析を行った結果、いくつかの分析点でのTEM−EDSにおける銀と銅とのモル比の値が、各実施例のICP分析によって得られた銀と銅とのモル比に対して最大±30%である点が存在した。
また、実施例2、4、10で得られたそれぞれの銀銅合金粒子の乾燥粉体並びにそれらの銀銅合金粒子を300℃で30分の熱処理した熱処理粉体のXRD測定結果を図14に示す。実施例2、4、10で得られたそれぞれの銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃で30分加熱したものを熱処理粉体とした。以下、実施例で得られた銀銅合金粒子の乾燥粉体を「熱処理前(又は未処理)の銀銅合金粒子」、実施例で得られた銀銅合金粒子の乾燥粉体を上記の条件で熱処理したものを「熱処理後の銀銅合金粒子」と記載する。比較の為に参照試料として、試薬のAgとCuの回折パターンを合わせて示す。熱処理前の銀銅合金粒子の回折線は、広幅化していることが伺える。また熱処理前の銀銅合金粒子は、いずれも参照試料として用いたAgの回折位置に近いことが分かる。その回折パターンから、熱処理前の銀銅合金粒子はFCC構造のAgが母構造であると考えられた。FCC構造のAgの[111]である38.2 °付近に見られるピークについて、熱処理前の銀銅合金粒子のピークは銀銅合金粒子中のCuの比率が増加するにつれてわずかに高角度側にシフトしていることが確認された。更に、熱処理後の銀銅合金粒子のそれぞれの回折ピークは鋭くなり、FCC構造のCuの回折ピークと一致するピークを含み、CuとAgとの混合体のように各々の回折パターンが分離したように見られた。Cuの回折ピークと一致する熱処理後の銀銅合金粒子のピークは、銀銅合金中のCuの比率が増加するにつれて(実施例2、4、10の順に)、その相対強度が強くなった。
図14に示すXRD測定結果を元にRietvelt解析及びWilliamson−Hall法を用いて求めた格子定数、結晶子サイズ並びに歪みについて表4に示す。熱処理後の銀銅合金粒子については、AgとCuの二相として解析を行った。熱処理前の銀銅合金粒子について、いずれもAgの格子定数[4.086(Å)]](文献1:R. K. Linde: In Partial Fulfillment of the Requirements For the Degree of Doctor of Philosophy, California Institute of Technology , 1964)と比較して格子定数が大きくなっている。また、上記の方法で求めた熱処理前の銀銅合金粒子の結晶子サイズはおよそ5−6nm程度であり、また歪んでいることが分かる。格子定数の広がりの一つの可能性として、結晶子サイズ並びに歪みの影響に加えて、粒子内部におけるAgとCuのランダムな分布による複合的な影響によるものであると考えられる。
また、格子定数の変化について、図18に、文献1に示されたVegard則から求めたAgCu固溶体の格子定数と急冷凝固にて作製されたAgCu固溶体の格子定数の図中に、実施例2、4、10における各熱処理前の銀銅合金粒子の格子定数を適用したものを示す。熱処理前の銀銅合金粒子についても、銀銅合金粒子中のCuの比率が増加するにつれて、その格子定数は小さくなる傾向が見られた。
熱処理後の銀銅合金粒子の格子定数は、 表4に示した様にAgとCu[3.615(Å)](文献1)との格子定数とほぼ一致した。
また、上記のXRD測定結果より、熱処理後の銀銅合金粒子中に含まれる銀と銅の定量結果を表5に示す。表3に示した、熱処理前の銀銅合金粒子におけるAg:Cuモル比率とほぼ一致する値が得られた。図19に代表例として実施例10の熱処理後の銀銅合金粒子のTEM像を示す。この像から明らかな様に、熱処理後においても粒子径は10−20nm程度であり、熱処理前後での銀銅合金粒子の粒子径の変化は見られなかった。また、熱処理前の銀銅合金粒子と同様に、TEM−EDS分析を用いて熱処理後の銀銅合金粒子の定量分析を行い、熱処理前後における銀銅合金粒子のAg:Cu比率に変化がないことを確認している。さらに、図20に実施例2において得られた銀銅合金粒子の、窒素雰囲気下におけるTG−DTA測定結果を示す。図20より、300℃までの熱処理では、銀銅合金粒子の重量に変化が無いことを確認した。同図の450℃付近から500℃までの重量減少及び発熱については、PVPに起因するものである。よって熱処理後の銀銅合金粒子は、同一粒子中でAgとCuは相分離、つまり明らかに共晶体または単独の銀及び銅が発生しているものと考えられる。言い換えると、熱処理前の銀銅合金粒子が、共晶体を含まない固溶体であることがわかる。
図21に実施例2、4、10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体、並びに300℃、30分で熱処理した実施例10の銀銅合金粒子の乾燥粉体のDSC測定結果を示す。第1流体または第2流体に含まれるPVPによる保護膜の形成が考えられるため、DSC測定結果にPVPのDSC測定結果を併せて示した。測定範囲において、PVPについては、特にピークは確認されなかった。実施例において作製した銀銅合金粒子については、180−350℃付近に非常にブロードな発熱ピークが確認された。これは固溶したAg−Cu末端の分解と成長によるものと考えられる(文献2:H.W.Sheng, G.Wilde, E. Ma : Acta. Materialia,50,475(2002)、文献3:Klassen T,Herr U, Averback RS. : Acta. Mater.,49,453(1997))。実施例10の熱処理後の銀銅合金粒子のDSC測定結果では特にピークは見られず、不可逆的な変化が起こっていることがわかる。また、表4に示した様に、XRD測定から求めた熱処理後の銀銅合金粒子の結晶子サイズは銀、銅のいずれか又は、両方が大きくなっており、歪みは小さくなっていることが分かる。よって、300℃、30分の熱処理によって、熱処理前の銀銅合金粒子を構成する固溶体相が分解し、AgとCuがそれぞれで成長しながら共晶体または単独の銀及び銅が発生したものと考えられる。
次に、実施例13において得られた銀銅合金粒子のSTEM像を図22((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す(倍率は、1000万倍)。図22(A)(B)に示されたように、銀銅合金粒子に格子縞が観察された。更に、実施例13の銀銅合金粒子を2000倍で観察したSTEM像を図23((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す。また、図23(A)(B)の各像と同じ視野において、Radial difference filter処理により、銀銅合金粒子を乗せているコロジオン膜の影響などを除したSTEM像を図24((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す(倍率は、2000万倍)。図23(A)(B)、図24(A)(B)に示した像の全てにおいて、格子縞が、うねっている様子が確認された。
銀と銅とがそれぞれ単独で結晶子を構成している場合には、それら結晶子の粒界において不整合としてうねりが見られる場合もあるが、実施例13の銀銅合金粒子に観測されたうねりは、結晶子内において観測されたものであり、銀と銅が固溶体化することによって、それらの原子半径の差異により結晶格子が歪むことによるうねりと考えられる。加えて、図25に示した実施例13の銀銅合金粒子の粉末X線回折測定結果ではFCC型の銀に近しい回折パターンのみが確認され、銅由来の結晶性の回折は見られないため、図23、24のSTEM像に見られたうねりがFCC型の銀構造中に銅が固溶していることを裏付けるものと考える。また、実施例13の銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した粉体のXRD測定と、実施例13の銀銅合金粒子の乾燥粉体及び同乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した粉体のDSC測定では、実施例2、4、10と同様の結果が得られ、実施例13の銀銅合金粒子のTG−DTA同時測定では、実施例2と同様の結果が得られた。
以上の結果より、実施例1〜15によって得られた銀銅合金粒子が、実質的に共晶体を含まない、固溶体銀銅合金粒子であることがわかった。
以上より、本発明に係る銀銅合金は、実質的に共晶体を含まない銀銅合金であり、その銀銅合金が固溶体であることがわかった。
また、本発明に係る銀銅合金は、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤流体とを、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合し、実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を析出させて製造できることがわかった。
その際、還元剤を含む流体として、1種類の還元剤を含むものを用いても、2種類の還元剤を含むものを用いても、同じように、実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を作製できることが確認できた。このような実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を作製できるメカニズムは明らかではないが、還元剤や還元性を示す分散剤の種類や量により、それらが銀銅合金粒子の作製に及ぼす影響が異なるためと考えている。
また、銀イオン及び銅イオンを含む流体と還元剤流体とを薄膜流体中で混合した後の流体のpHを7以上、より好ましくは8以上とすることが、実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を作製する点で好ましいことがわかった。
(錫銀銅合金の製造)
実施例16では、中央から第1流体として銀イオン、銅イオン、及び錫(Sn)イオンを含む流体を、供給圧力=0.30MPaGで送液しながら、第2流体として、還元剤を含む流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の各送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれを処理装置に導入する直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)に測定した。処理用面1,2間より吐出された錫銀銅合金粒子分散液を遠心分離処理(21000G)し、錫銀銅合金粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃で−0.095MPaGの条件にて乾燥し、錫銀銅合金粒子の乾燥粉体を作製した。また、錫銀銅合金粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径にて判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を25万倍以上、好ましくは50万倍以上とし、3箇所の最小値と最大値とを用いた。表6に第1流体の処理条件、表7に第2流体の処理条件、及び表8に処理用面1の回転数と、錫銀銅合金粒子分散液(吐出液)のpH、TEM−EDS分析結果により得られた錫銀銅合金粒子における錫と銀と銅の比率(モル比)、TEM−EDS分析における、錫のみ、銀のみ(銀100%)または銅のみ(銅100%)が検出される分析点(表8では測定点と表記)の有無、錫銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析結果による錫と銀と銅のモル比を示す。表6、7における、略記号は、EG:エチレングリコール、AgNO:硝酸銀、Cu(NO・3HO:硝酸銅三水和物、PVP:ポリビニルピロリドン、KOH:水酸化カリウム、NaBH:水素化ホウ素ナトリウム、PW:純水、SnCl:塩化錫、T.A.:酒石酸、NH:アンモニアである。なお、TEM−EDS分析については、実施例1〜15と同様の方法を用いて、錫銀銅合金粒子中の錫、銀及び銅の定量を行い、ICP分析についても、実施例1〜15と同様の方法を用いて、錫銀銅合金粒子の乾燥粉体中の銀と銅との定量を行った。
比較例4についても実施例16と同様の方法で実施した。
実施例16の全ての分析点においてTEM−EDS分析を行ったところ、実施例16の錫銀銅合金粒子中の錫と銀と銅との割合(モル比)が、錫が100%、銀が100%あるいは銅が100%である分析点は検出されなかった。また、EDS分析を行った実施例16の10個の錫銀銅合金粒子それぞれにおいて、5つの分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における錫と銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた錫と銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。
なお、STEM−EDS分析においても、分析点の50%以上で、錫と銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた錫と銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。また、XRD測定においては、錫に由来するピークが確認され、単独の銀または銅については、確認されなかった。
以上のことから、これまでに開示された錫銀銅合金は共晶合金であったが、実施例16は実質的に共晶体を含まない錫銀銅合金粒子であると確認できた。
以上より、実施例16においては、錫イオン、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、少なくとも2種類の還元剤を含む流体(水素化ホウ素ナトリウム、並びに本件においてはPVP及びエチレングリコールを還元剤として作用させた)とを、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合する事によって、好ましくは、上記混合した後の流体のpHを8以上とすることによって、共晶体を含まない錫銀銅合金粒子を作製できる事がわかった。また実施例16の組成比(ICP分析結果において錫:銀:銅=96.6:2.9:0.5(モル比)、97.0:2.7:0.3(重量比))は、一般的にはんだに用いることが可能な合金である。一般的なはんだの融点は217℃であるが、実施例16において作製した合金は、DSC測定において(装置:示差走査熱量:DSC−60(島津製作所))、昇温速度:10℃/min.(40℃−230℃)、雰囲気:窒素、測定試料の量:5.4mgで測定した結果、吸熱ピークの開始温度が195.68℃であり、融点降下を確認した。実施例16において得られた粒子のTEM写真を図26に示す。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部
本発明は、実質的に共晶体を含まない固体銀銅合金を提供することにより、上記の課題を解決する。
本発明は、Ag−Cu系合金平衡状態図において、固相α+βの領域である銀と銅との割合の銀銅合金の粒子である。前記銀銅合金の粒子は、銀イオン及び銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転すると共に1mm以下の微小間隔に調整される少なくとも2つの処理用面によって強制された強制薄膜流体中で混合し、銀と銅とを同時に析出させるように銀及び銅の還元速度または析出時間を制御して得られたものである。そして、ビーム径が5nmの電子線を照射するTEM−EDS分析の環境下において、前記銀銅合金の粒子中で銀と銅とが共に検出される電子顕微鏡観察下の原子レベルで均一且つ均質な銀銅合金の粒子を提供する。または、ビーム径が0.2nmの電子線を照射するSTEM−EDS分析の環境下において、前記銀銅合金の粒子中で銀と銅とが共に検出される電子顕微鏡観察下の原子レベルで均一且つ均質な銀銅合金の粒子を提供する。

Claims (15)

  1. 銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、
    上記固体銀銅合金が室温において共晶体を含まない非共晶構造を主体とするものであることを特徴とする銀銅合金。
  2. 銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、
    前記固体銀銅合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、上記固体銀銅合金のICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されることを特徴とする銀銅合金。
  3. 銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である固体銀銅合金であり、
    前記固体銀銅合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、上記固体銀銅合金のICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されることを特徴とする銀銅合金。
  4. 前記銀銅合金は、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で、銀イオン、銅イオン及び還元剤を混合し、銀銅合金の粒子を析出させることにより得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  5. 上記銀銅合金が固溶体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  6. 前記銀銅合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、銀と銅とが共に検出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  7. 前記銀銅合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、銀と銅とが共に検出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  8. 前記銀銅合金は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%である銀銅合金粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  9. 前記銀銅合金は、粒子径が50nm以下の粒子から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  10. 前記銀銅合金には、結晶粒界が無いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  11. 前記銀銅合金は、乾式での熱処理をされていない銀銅合金粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  12. 前記銀銅合金は、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させて製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
  13. 前記還元剤は少なくとも2種類の還元剤であり、前記少なくとも2種類の還元剤は、ヒドラジン類またはアミン類から選ばれる、少なくとも2種類の還元剤であることを特徴とする請求項4または12に記載の銀銅合金。
  14. 前記少なくとも2種類の還元剤が、ヒドラジン一水和物及びジメチルアミノエタノールであることを特徴とする請求項13に記載の銀銅合金。
  15. 前記銀銅合金は、銀と銅と以外に、錫を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀銅合金。
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