JPWO2013061622A1 - 絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物と絶縁部品 - Google Patents

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Abstract

液晶性ポリマーという特異な成分の配合や、高配合比でのガラス繊維の使用を必要とすることなく、絶縁部品用のほぼ全ての試験片厚みにおいてGWIT775℃規格と同等以上の強度特性を実現可能であり、耐トラッキング性、機械的特性とのバランスも良好な絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた絶縁部品を提供する。
(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(B)ハロゲン系難燃剤、(C)難燃助剤、(D)水分含有量が20質量%以上であって、かつ、脱水開始温度が300℃以上である鉱物フィラー、および(E)ガラス繊維強化剤を含有し、(B)成分の含有量が(A)成分100質量部に対して15〜35質量部、(D)成分の含有量が(A)成分100質量部に対して2〜60質量部であることを特徴とする。

Description

本発明は、絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物とこれを用いた絶縁部品に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂は、優れた機械的特性、電気的特性、耐熱性、耐候性、耐水性、耐薬品性および耐溶剤性を有するため、エンジニアリングプラスチックとして、自動車部品、電気・電子部品などの種々の用途に広く利用されている。また、その難燃性向上に関しても数々の技術が開発されている。
例えば難燃性ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂は、試験片厚み0.3mmにおいてアンダーライターズ(Underwriter's Laboratories Inc.)のUL−94規格を満足することも可能である。このことから、薄肉成形品であるリレーケース用途などの電気絶縁部品用途にも多数採用されている。また、比較トラッキング指数(CTI)の向上も図られている。
しかし、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission、略称IEC)のIEC60695−2規格への対応は必ずしも十分に進んでいない。同規格の中では電気電子機器に用いられる絶縁材料部品は、動作中の着火および炎の伝播に対して耐性が要求されている。欧州においては、白物家電など特にオペレータが付かない状態で動作する機器の部品で、定格電流が0.2Aを超える接続部を支持しているか、またはこれらの接続部から3mm以内の距離にある電気絶縁部品の安全に対する要求が高まっている。そして、同規格の中で赤熱棒着火温度(Glow-wire Ignition Temperature、略称:GWIT)が775℃以上であることを満足させなければならない。熱可塑性樹脂に対して特にGWITの規格を満足させることは、これまでのUL−94規格の難燃性評価においてV−0を有する材料であっても必ずしも容易ではない。
これまでのところ、赤熱捧(グローワイヤー)を接触させる間に貫通しない厚肉のもの、例えば繊維強化した3mm厚のものや、非常に薄いものについてはGWIT評価に対応可能とされつつある。しかし、全ての厚みでGWIT775℃規格を満足することは容易でなく、特に1.5mm前後の厚み試験片については難しい。
そして、絶縁部品用の樹脂材料としては、このようなGWIT775℃という燃焼試験に対しての耐性に加えて、難燃性や耐トラッキング性、機械的性質についても、バランス良く満たす材料が求められている。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂に難燃性を付与する方法としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂にハロゲン化ベンジルアクリレート等のハロゲン含有難燃剤と三酸化アンチモン等の無機系難燃助剤とを組み合わせ、更に特定のグラフト共重合体を併用した組成物が知られている(特許文献1)。
また、特許文献2では、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂にポリハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレートと五酸化アンチモンを配合した樹脂組成物を用いて形成された樹脂成形部を有する絶縁材料部品で、GWIT温度の向上が図られている。しかし、2mm以下の樹脂部に対しては金属等の耐熱板を組み合わせることによってIEC60695−2−13規格に記載のGWIT温度の向上を図っており、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂組成物単体として同規格を満足するものではない。
一方、特許文献3のように、熱可塑性樹脂の難燃化の手段として知られている液晶性ポリマーを配合することでポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂においてGWIT775℃の規格に対応することが提案されてもいる。
特開平8−109320号公報 特開2005−232410号公報 特開2008−19400号公報
特許文献3においては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂の組成物単体として、GWIT規格に対応する温度上昇を図ろうとしている。しかしながら、このポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂組成物では、液晶性ポリマーの配合が必須とされている。液晶性ポリマーは、比較的融点が高く、組成物の調製ではその取扱いが必ずしも容易ではない。また、高コストの要因ともなる。そして、GWIT難燃試験への対応性を高めるためにはガラス繊維の配合比を高める必要があり、このことが成形性を制約しかねないという問題がある。
本発明は、以上のとおりの背景から、特許文献3における液晶性ポリマーという特異な成分の配合や、高配合比でのガラス繊維の使用を必要とすることなく、絶縁部品用のほぼ全ての試験片厚みにおいてGWIT775℃規格と同等以上の強度特性を実現可能であり、耐トラッキング性、機械的特性とのバランスも良好な絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた絶縁部品を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂(a1)単独またはポリブチレンテレフタレート樹脂(a1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)との両者からなるポリブチレンテレフタレート系樹脂、(B)ハロゲン系難燃剤、(C)難燃助剤、(D)水分含有量が20質量%以上であって、かつ、脱水開始温度が300℃以上である鉱物フィラー、および(E)ガラス繊維強化剤を含有し、(B)ハロゲン系難燃剤の含有量が(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜35質量部、(D)鉱物フィラーの含有量が(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して2〜60質量部であることを特徴とする。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、ポリブチレンテレフタレート樹脂(a1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)との質量比が、(a1)/(a2)として95/5〜60/40であることが好ましい。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、(B)ハロゲン系難燃剤が、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化芳香族ビスイミド化合物、ハロゲン化ベンジルアクリレート、ハロゲン化ポリスチレン、およびハロゲン化フェニルエタンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、(C)難燃助剤が、メラミンシアヌレートおよび酸化アンチモンを含有することが好ましい。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、メラミンシアヌレートの含有量が(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜50質量部であり、酸化アンチモンのメラミンシアヌレートに対する質量比が0.05〜0.85であることが好ましい。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、(D)鉱物フィラーがコレマナイトであることが好ましい。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、(E)ガラス繊維強化剤の含有量が(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
この絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物において、試験片厚み0.75mm、1.5mm、3mmのいずれにおいてもIEC60695−2−13記載の赤熱棒着火温度775℃以上の条件を満足することが好ましい。
本発明の絶縁部品は、前記の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物により少なくともその一部が構成されていることを特徴とする。
本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた絶縁部品によれば、液晶性ポリマーという特異な成分の配合や、高配合比でのガラス繊維の使用を必要とすることなく、絶縁部品用のほぼ全ての試験片厚みにおいてGWIT775℃規格と同等以上の強度特性を実現可能であり、耐トラッキング性、機械的特性とのバランスも良好である。
特に本発明においては成分(D)鉱物フィラーの配合によって、例えば1.5mmの試験片の場合でも、750℃の赤熱棒を試験片に押し当てた際の試験片の発火が起こりにくくなる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物における前記必須成分(a1)としてのポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂〔以下、PBT樹脂と言う。〕は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と炭素数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)またはそのエステル形成性誘導体を重縮合して得られる熱可塑性樹脂である。
また、PBT樹脂はブチレンテレフタレート繰り返し単位を70質量%以上含有する共重合体であってもよい。この場合におけるテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(低級アルコールエステル等)以外の二塩基酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体が挙げられる。また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分としては、通常のアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
本発明では、上記の如き化合物をモノマー成分として重縮合して得られるPBT樹脂は何れも本発明の(a1)成分として用いることができ、単独でまたは2種類以上を混合して用いられる。
本発明では、PBT樹脂としてコポリマーに属する分岐ポリマーも用いることができる。ここでいうPBT樹脂分岐ポリマーとは、いわゆるPBT樹脂またはブチレンテレフタレート単量体を主成分とし、多官能性化合物を添加することにより分岐形成されたポリエステルである。ここで使用できる多官能性化合物としては、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらのアルコールエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、本発明では、前記PBT樹脂とともにポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂〔以下、PET樹脂と言う。〕が併用されてもよい。PET樹脂は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合して得られる熱可塑性樹脂である。
また、PET樹脂は、エチレンテレフタレートの繰り返し単位を90質量%以上含有する共重合体であってもよい。この場合におけるテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体以外の二塩基酸成分や共重合体については、前記PBT樹脂の場合と同様に考慮してもよい。
本発明では、PBT樹脂(a1)は必須である。PET樹脂(a2)を併用する場合にはその配合質量比は(a1)/(a2)として95/5〜60/40とするのが好ましい。
PET樹脂(a2)を併用する場合、その比率が高くなるに従ってハロゲン系難燃剤の使用量を減らすことが可能となる。ただし、PET樹脂(a2)の比率が(a2)/(a1)として40/60よりも高くなると、リレーケースなどの薄肉の成形品の場合、樹脂組成物の結晶性が低下し、成形性が低下しやすくなる。このため、金型温度の上昇や金型保持時間の延長が必要となりかねない。
PBT樹脂(a1)とPET樹脂(a2)との併用は各々別原料として混合することであってもよいし、両者は、共重合体として一体であってもよい。
(B)ハロゲン系難燃剤は、その種類は従来公知のものをはじめとして各種のものであってよい。中でも、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化芳香族ビスイミド化合物、ハロゲン化ベンジルアクリレート、ハロゲン化ポリスチレン、およびハロゲン化フェニルエタから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
これらの場合の「ハロゲン」は、好ましくは、塩素または臭素である。
より具体的には、好適なものとして、TBBPAジグリシジルエーテルコポリマー、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化ポリスチレン、ペンタブロモフェニルエタン等が例示される。
(B)ハロゲン系難燃剤の添加量は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜35質量部、好ましくは20〜30質量部である。(B)ハロゲン系難燃剤の添加量を15質量部以上にすると十分な難燃性を得ることができ、35質量部以下にすると機械的特性の低下を抑制できる。
(C)難燃助剤は、(B)ハロゲン系難燃剤と併用した場合に難燃性の相乗効果が知られる三酸化アンチモンや五酸化アンチモン等のアンチモン化合物やメラミンシアヌレートを用いることができる。その他、タルクやマイカ等のケイ酸塩類、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等を用いることができる。
(C)難燃助剤の添加量は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して20〜60質量部が好ましい。(C)難燃助剤を20質量部以上の添加量で用いると、難燃助剤としての効果が発揮され、60質量部以下の添加量で用いると、機械的強度の低下を抑制できる。
(C)難燃助剤は、上記に例示した中でも、酸化アンチモン、メラミンシアヌレートが好ましい。特に酸化アンチモンとメラミンシアヌレートを併用することで難燃性にも大きな効果を与えることができる。赤熱棒を試験片に押し当てた際に試験片から発生する可燃性ガスにより燃焼性が加速される場合が多いが、メラミンシアヌレートから発生する窒素ガスが燃焼性の抑制に大きく寄与するものと考えられる。すなわちメラミンシアヌレートを添加することにより、昇華・吸熱が起こり750℃の赤熱棒を押し当てた際の燃焼の抑制に大きな効果がある。
酸化アンチモンとメラミンシアヌレートの併用に際しては、メラミンシアヌレートの含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜50質量部が好ましい。かつ、酸化アンチモンのメラミンシアヌレートに対する質量比が0.05〜0.85であることが好ましく、0.05〜0.35であることがより好ましい。メラミンシアヌレートの含有量がこの範囲内であると、昇華・吸熱効果を得ることができ、酸化アンチモンのメラミンシアヌレートに対する質量比がこの範囲内であると、機械的特性や流動性の低下も抑制できる。
なお、前記(B)ハロゲン系難燃剤および(C)難燃助剤の配合量については、0.3mm厚試験片の難燃性がUL−94 V−0を満足できるように考慮する。
(D)鉱物フィラーは、水分含有量が20質量%以上であり、かつ、脱水開始温度が300℃以上のものであることが特徴的である。この(D)鉱物フィラーの添加によって、脱水、吸熱反応が起こり、750℃赤熱棒を試験片に押し当てた際の試験片の発火が起こりにくくなる。特に、1.5mm、3.0mm厚試験片の場合に有効である。
このような(D)鉱物フィラーとしてはコレマナイトが代表的なものとして例示される。コレマナイトは、含水硼酸カルシウムの鉱物で、灰硼鉱と呼ばれているものである。
(D)鉱物フィラーの平均粒径は特に限定されないが、通常は100μm以下、好ましくは1〜50μmの範囲である。なお、平均粒径は、例えば、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。そして、平均粒径は、母集団から任意に抽出される試料を用い、上記測定装置を利用して測定し導出される値である。
また、その配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して2〜60質量部、好ましくは2〜25質量部、より好ましくは5〜25質量部の範囲である。脱水・吸熱効果を得るためには2質量部以上添加することが必要である。一方、機械的特性を確保し、燃焼時の滴下による難燃性の低下を抑制するためには60質量部以下の範囲で添加することが必要である。
(E)ガラス繊維強化剤については、その平均繊維径は特に制限されず、例えば、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜30μm程度である。また、平均繊維長も特に制限されず、例えば、0.1〜20mm程度である。
(E)ガラス繊維強化剤の添加量は、要求される剛性や寸法安定性のレベルに応じて配合量を決定すればよい。前記の(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは30〜60質量部である。添加量を10質量部以上にすることで、剛性や寸法安定性を高めることができる。添加量を100質量部以下にすることで、溶融混練性や成形性の低下を抑制できる。
(E)ガラス繊維強化剤は、必要により収束剤または表面処理剤(例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物)で表面処理してもよい。(E)ガラス繊維強化剤は、前記収束剤または表面処理剤により予め表面処理してもよく、または樹脂組成物の調製の際に収束剤または表面処理剤を添加して表面処理してもよい。
本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物においては、その成形品の用途によりUL規格94の難燃区分「V−0」であることを要求される場合には、フッ素系樹脂等の滴下防止剤を難燃剤と共に用いることが好ましい。
フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン(PTFE)、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等のフッ素含有モノマーの単独または共重合体や、前記フッ素含有モノマーとエチレン、プロピレン、(メタ)アクリレート等の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。
フッ素系樹脂の添加量は、例えば、前記の(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して0〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜1.5質量部である。
さらに、本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤等の安定剤、滑剤、離型剤、着色剤、造核剤、結晶化促進剤等を添加してもよい。また、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド、アクリル樹脂等)や熱硬化性樹脂(例えば、不飽和PBT樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等)を添加してもよい。
以上のとおりの成分配合の本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物においては、試験片が0.3mm厚みで燃焼性試験でUL94 V−0に相当することと共に、試験片厚み0.75mm、1.5mm、そして3.0mmのいずれにおいてもGWITが775℃以上の条件をほぼ満足可能であることが好ましい。
GWITでは熱棒を試験片に押し当てた場合、0.75mmではすぐに貫通するため、比較的燃焼・発火は発生し難く、3.0mmの場合は試験片が貫通しないため比較的燃焼・発火が発生しにくい。これに比べて1.5mmの場合は燃焼・発火は発生しやすくなるが、本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物によれば、厚み0.75mm、1.5mm、そして3.0mmのいずれにおいても、試験片に熱棒を押し当てても燃焼・発火を抑制できる。
このような本発明の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であってもよく、慣用の方法で混合することにより調製できる。例えば、各成分を混合して、一軸または二軸の押出機により混練し押出してペレットとして調製することができる。
本発明の絶縁部品は、上記のようにして調製した絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形等の公知の成形を行うことで得られる。絶縁部品としては、自動車部品、電気・電子部品等に使用されるものを挙げることができ、電気・電子部品としては、スイッチ、リレーケース等の薄肉成形品にも好適である。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<組成物の調製>
別表の表1に示した実施例、比較例の各配合材料を、ガラス繊維を除いた状態で配合し、ブレンダーで30分間混合し均一化した。
260℃に加熱した二軸押出機で混練溶融し、溶融したところへガラス繊維を所定比率で添加し、さらに混練溶融を行った。
なお、一部の鉱物フィラー(コレマナイト)に関しては別供給フィーダーにて混練機根元部より供給した。その後、50℃水中で冷却、ペレタイザーで2〜4mmに切断してペレット状材料を得た。
配合材料については次のものを用いた。
[(a1)PBT樹脂]
・市販のPBT樹脂
[(a2)PET樹脂]
・市販のPET樹脂
[(B)ハロゲン系難燃剤]
・臭素化エポキシ樹脂:坂本薬品工業 SR T20000
・1,2ビス−ペンタブロモフェニルエタン:アルベマール SAYTEX8010
・ポリペンタブロモベンジルアクリレート:Dead Sea Bromine GrFR1025
[(C)難燃助剤]
・メラミンシアヌレート:日産化学 MC4500
・三酸化アンチモン
[(D)鉱物フィラー]
・コレマナイト:キンセイマテック UBパウダー
[(E)ガラス繊維強化剤]
・ガラス繊維(平均繊維径13μm、平均繊維長3.0mm)
[添加剤]
・タルク
・モンタン酸エステル:クラリアント WAX−E
・テトラフルオロエチレン(PTFE)
<試験片の作製>
表1の配合の組成物からなる成形材料を恒温槽で140℃×4hの前乾燥を行い、成形材料中の含有水分率0.02%以下にした。その後、100t射出成形機で射出成形を行いテストピースを得た。
その時の条件はシリンダー温度260℃(ヘッド付近)、200℃付近(材料投入口)で、金型温度はTPによって異なる。
試験片:
1)0.3mmダンベル試験片:金型温度80℃にて0.8mm成形品を成形し研磨加工を行った。
2)0.75mm試験片:金型温度80℃にて作製。
3)1.5mm試験片:金型温度80℃にて作製。
4)3.0mm試験片:金型温度80℃にて作製。
5)トラッキング性試験片:上記ダンベルを用いた。
<評価方法と評価結果>
各試験片について次の評価を行った。
◆引張り・曲げ強度測定:ISOに準ずる。
◆耐トラッキング性:IEC規格に準ずる。
◆GWIT:IEC規格に準ずる。
◆GWIT測定時の発火:0.3mmダンベル試験片を用いて発火の有無を確認した。
評価の結果を表1に示した。
Figure 2013061622
実施例1〜7と比較例1、2との対比から明らかなように、鉱物フィラーのコレマナイトを配合する実施例1〜7においては、GWIT775の規格以上をほぼ全ての試験片厚みにおいて実現している。これに対し、比較例1、2では格段に劣っていることがわかる。
また、難燃助剤としてのメラミンシアヌレートと酸化アンチモンとの併用が有効であることもわかる。特に、メラミンシアヌレートの含有量がポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜50質量部であり、酸化アンチモンのメラミンシアヌレートに対する質量比が0.05〜0.85の範囲内である実施例1〜6では試験片厚み0.75mm、1.5mm、3.0mmのいずれにおいてもGWIT775の規格以上を実現している。実施例7は比較例に比べるとGWITは明らかな向上を示し優れた結果を得ているが、実施例1〜6に比べると試験片厚み1.5mmにおいてやや低下した。

Claims (9)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂(a1)単独またはポリブチレンテレフタレート樹脂(a1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)との両者からなるポリブチレンテレフタレート系樹脂、(B)ハロゲン系難燃剤、(C)難燃助剤、(D)水分含有量が20質量%以上であって、かつ、脱水開始温度が300℃以上である鉱物フィラー、および(E)ガラス繊維強化剤を含有し、前記(B)ハロゲン系難燃剤の含有量が前記(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜35質量部、前記(D)鉱物フィラーの含有量が前記(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して2〜60質量部であることを特徴とする絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(a1)と前記ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)との質量比が、(a1)/(a2)として95/5〜60/40であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(B)ハロゲン系難燃剤が、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化芳香族ビスイミド化合物、ハロゲン化ベンジルアクリレート、ハロゲン化ポリスチレン、およびハロゲン化フェニルエタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記(C)難燃助剤が、メラミンシアヌレートおよび酸化アンチモンを含有することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記メラミンシアヌレートの含有量が前記(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して15〜50質量部であり、前記酸化アンチモンの前記メラミンシアヌレートに対する質量比が0.05〜0.85であることを特徴とする請求項4に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記(D)鉱物フィラーがコレマナイトであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記(E)ガラス繊維強化剤の含有量が前記(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 試験片厚み0.75mm、1.5mm、3mmのいずれにおいてもIEC60695−2−13記載の赤熱棒着火温度775℃以上の条件を満足することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の絶縁部品用熱可塑性樹脂組成物により少なくともその一部が構成されていることを特徴とする絶縁部品。
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