JPWO2013035525A1 - 全固体電池用積層成形体、全固体電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
電極層の焼成前の成形体に含まれる導電剤の燃焼を抑制するとともに、固体電解質層の焼成前の成形体に含まれるバインダーを除去することが可能な全固体電池用積層成形体、全固体電池およびその製造方法を提供する。全固体電池用積層成形体は、正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含み、正極層(1)または負極層(3)の焼成前の成形体である第1の成形体と、第1の成形体に積層され、固体電解質と第2の高分子材料とを含み、固体電解質層(2)の焼成前の成形体である第2の成形体とを備える。正極層(1)、固体電解質層(2)および負極層(3)からなる全固体電池の積層体(10)を製造するために、第1の成形体と第2の成形体とを作製し、積層して、積層成形体を形成した後、焼成する。第1の高分子材料の分解温度が第2の高分子材料の分解温度よりも高い。
Description
本発明は、全固体電池用積層成形体、全固体電池およびその製造方法に関する。
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の電源として電池の需要が大幅に拡大している。このような用途に用いられる電池においては、イオンを移動させるための媒体として有機溶媒等の電解質(電解液)が従来から使用されている。
しかし、上記の構成の電池では、電解液が漏出するという危険性がある。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質である。このため、電池の安全性をさらに高めることが求められている。
そこで、電池の安全性を高めるための一つの対策は、電解質として、電解液に代えて、固体電解質を用いることが提案されている。さらに、電解質として固体電解質を用いるとともに、その他の構成要素も固体で構成されている全固体電池の開発が進められている。
たとえば、特開2007‐5279号公報(以下、特許文献1という)には、全固体電池の製造方法が提案されている。特許文献1に開示された全固体電池の製造方法によれば、リン酸化合物を含む活物質と固体電解質とを、それぞれ、バインダーおよび可塑剤を含む溶液中に分散させて、スラリーを作製し、これらのスラリーを成形して得られた活物質グリーンシートと固体電解質グリーンシートとを積層し、熱処理することによって、全固体電池の積層体を製造する。
発明者らが、特許文献1に記載されているような全固体電池の製造方法を種々検討した結果、焼成前のグリーンシート、膜等の成形体を積層し、熱処理して、全固体電池の発電要素を構成する積層体を形成するためには、成形体に含まれるバインダー、可塑剤等の有機化合物を熱処理にて完全に除去する技術が重要であることがわかった。しかしながら、有機化合物を除去する熱処理は、電極層の焼成前の成形体に含まれる導電剤としての炭素をも燃焼させるので、電池特性の劣化を引き起こす可能性があることがわかった。本発明は、上記の知見に基づいてなされたものである。
したがって、本発明の目的は、電極層の焼成前のグリーンシート、膜等の成形体に含まれる導電剤の燃焼を抑制するとともに、固体電解質層の焼成前のグリーンシート、膜等の成形体に含まれるバインダーを除去することが可能な全固体電池用積層成形体、全固体電池およびその製造方法を提供することである。
発明者らが上記の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、含まれるバインダー種が異なる電極層の焼成前の成形体と固体電解質層の焼成前の成形体とを用いることにより、電極層の焼成前の成形体に含まれる導電剤の燃焼を抑制するとともに、固体電解質層の焼成前の成形体に含まれるバインダーを除去することが可能になることを見出した。このような発明者らの知見に基づいて、本発明は以下の特徴を備えている。
本発明に従った全固体電池用積層成形体は、正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の成形体と、第1の成形体に積層され、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の成形体とを備える。第1の高分子材料の分解温度が第2の高分子材料の分解温度よりも高い。
本発明の全固体電池用積層成形体において、第1および第2の高分子材料の分子量が10000以上であることが好ましい。
なお、本発明の全固体電池用積層成形体において、成形体は、グリーンシートおよび膜からなる群より選ばれた一つの形態であればよい。
本発明の一つの局面に従った全固体電池の製造方法は、以下の工程と特徴を備える。
(A)正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の成形体と、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の成形体とを作製する成形体作製工程
(B)第1の成形体と第2の成形体とを積層して積層成形体を形成する積層成形体形成工程
(C)積層成形体を焼成して電極層と固体電解質層とからなる積層焼成体を形成する積層焼成体形成工程
(D)第1の高分子材料の分解温度が第2の高分子材料の分解温度よりも高い。
本発明のもう一つの局面に従った全固体電池の製造方法は、以下の工程と特徴を備える。
(E)正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の固液混合物を作製する工程
(F)固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の固液混合物を作製する工程
(G)第1の固液混合物から第1の成形体を形成する工程
(H)第2の固液混合物から第2の成形体を形成する工程
(I)第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程
(J)第2の成形体を焼成して固体電解質層を形成する工程
(D)第1の高分子材料の分解温度が前記第2の高分子材料の分解温度よりも高い。
本発明のもう一つの局面に従った全固体電池の製造方法において、第1の成形体を形成する工程(G)が、固体電解質層に第1の固液混合物を塗工して固体電解質層と第1の成形体の積層体を形成することを含み、第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程(I)が、固体電解質層と第1の成形体の積層体を焼成して固体電解質層と電極層とからなる積層焼成体を形成することを含むようにしてもよい。
また、本発明のもう一つの局面に従った全固体電池の製造方法において、第1の成形体を形成する工程(G)が、第2の成形体に第1の固液混合物を塗工して第1の成形体と第2の成形体とからなる積層成形体を形成することを含み、第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程(I)と、第2の成形体を焼成して固体電解質層を形成する工程(J)とが、上記の積層成形体を焼成して固体電解質層と電極層とからなる積層焼成体を形成することを含むようにしてもよい。
本発明の別の局面に従った全固体電池の製造方法は、以下の工程と特徴を備える。
(K)正極活物質と第1の高分子材料とを含む正極用固液混合物を作製する工程
(L)負極活物質と第1の高分子材料とを含む負極用固液混合物を作製する工程
(M)固体電解質と第2の高分子材料とを含む固体電解質用固液混合物を作製する工程
(N)正極用固液混合物または負極用固液混合物のいずれか一方の電極用固液混合物を基材に塗工して基材と一方電極成形体とからなる第1の積層成形体を形成する工程
(O)第1の積層成形体を焼成して基材と一方電極焼成層とからなる第1の積層焼成体を形成する工程
(P)第1の積層焼成体に固体電解質用固液混合物を塗工して第1の積層焼成体と固体電解質成形体とからなる第2の積層成形体を形成する工程
(Q)第2の積層成形体を焼成して基材と一方電極焼成層と固体電解質層とからなる第2の積層焼成体を形成する工程
(R)正極用固液混合物または負極用固液混合物のいずれか他方の電極用固液混合物を第2の積層焼成体に塗工して第2の積層焼成体と他方電極成形体とからなる第3の積層成形体を形成する工程
(S)第3の積層成形体を焼成して正極層と固体電解質層と負極層とからなる積層焼成体を形成する工程
(D)第1の高分子材料の分解温度が第2の高分子材料の分解温度よりも高い。
本発明の全固体電池の製造方法において、固液混合物は、スラリー、ペースト、および、コロイドからなる群より選ばれた一つの形態であればよい。
本発明の全固体電池の製造方法において、成形体は、グリーンシートおよび膜からなる群より選ばれた一つの形態であればよい。
本発明の全固体電池の製造方法において、第1の高分子材料の分解温度と第2の高分子材料の分解温度との差は、50℃以上500℃以下であることが好ましく、50℃以上200℃以下であることがより好ましい。
また、第1の高分子材料と第2の高分子材料は、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース、アクリル樹脂およびウレタン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに、第1の成形体における第1の高分子材料と第2の成形体における第2の高分子材料のそれぞれの重量含有比率は、無機材料100重量部に対して5重量部以上35重量部以下であることが好ましい。
本発明の全固体電池の製造方法において形成される積層焼成体は、正極層、固体電解質層および負極層を積層した単電池構造の積層焼成体を含んでもよい。
さらに、積層焼成体は、集電体層を介在させて、単電池構造の積層焼成体を複数個、積層した積層焼成体を含んでもよい。
本発明の全固体電池の製造方法において、正極層、固体電解質層および負極層からなる群より選ばれた少なくとも一つの層を形成する材料は、ナシコン型構造のリチウム含有リン酸化合物からなる固体電解質を含むことが好ましい。
本発明の全固体電池の製造方法において、正極層および負極層からなる群より選ばれた少なくとも一つの層を形成する材料は、リチウム含有リン酸化合物からなる電極活物質を含むことが好ましい。
本発明の全固体電池の製造方法において、第1および第2の高分子材料の分子量は10000以上であることが好ましい。
本発明に従った全固体電池は、上述の特徴を備えた製造方法によって製造されたものである。
本発明の全固体電池用積層成形体を焼成して全固体電池を製造すると、正極層または負極層では導電剤の燃焼を抑制することができるとともに、緻密な固体電解質層を形成することができるので、放電容量等の電池特性を高めることができる。
図1に示すように、本発明の製造方法が適用される一つの実施の形態としての全固体電池の積層体10は、正極層1と固体電解質層2と負極層3とからなる単電池で構成される。固体電解質層2の一方面に正極層1が配置され、固体電解質層2の一方面と反対側の他方面に負極層3が配置されている。いいかえれば、正極層1と負極層3とは、固体電解質層2を介して互いに対向する位置に設けられている。
図2に示すように、本発明の製造方法が適用されるもう一つの実施の形態としての全固体電池の積層体20では、正極層1と固体電解質層2と負極層3とから構成される単電池が複数個、たとえば2個、集電体層4を介して直列に接続されている。全固体電池の積層体20の内部に配置される集電体層4は、正極層1と負極層3との間に設けられている。
なお、正極層1と負極層3のそれぞれは固体電解質と電極活物質とを含み、固体電解質層2は固体電解質を含む。正極層1と負極層3の少なくとも一方は、導電剤として、炭素等を含む。
上記のように構成された全固体電池の積層体10、20を製造するために用いられる全固体電池用積層成形体は、正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の成形体と、第1の成形体に積層され、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の成形体とを備える。第1の高分子材料の分解温度が第2の高分子材料の分解温度よりも高い。
上記のように構成された全固体電池の積層体10、20を製造するために、本発明の一つの局面では、まず、正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の成形体と、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の成形体とを作製する(成形体作製工程)。次に、第1の成形体と第2の成形体とを積層して積層成形体を形成する(積層成形体形成工程)。そして、得られた積層成形体を焼成して電極層と固体電解質層とからなる積層焼成体を形成する(積層焼成体形成工程)。このようにして、固液混合物から成形体を形成し、正極層1、固体電解質層2および負極層3の成形体を積層して積層成形体を形成し、この積層成形体を焼成することにより、正極層1と固体電解質層2と負極層3の積層焼成体を形成してもよい。
あるいは、上記のように構成された全固体電池の積層体10、20を製造するために、本発明のもう一つの局面では、まず、正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の固液混合物を作製する。次に、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の固液混合物を作製する。そして、得られた第1の固液混合物から第1の成形体を形成する。得られた第2の固液混合物から第2の成形体を形成する。さらに、得られた第1の成形体を焼成して電極層、すなわち、正極層1と負極層3を形成する。得られた第2の成形体を焼成して固体電解質層2を形成する。このようにして、固液混合物から成形体を形成し、得られた成形体を焼成することにより、正極層1、固体電解質層2および負極層3のそれぞれの焼成体を形成してもよい。
なお、成形体は、グリーンシートおよび膜からなる群より選ばれた一つの形態であればよい。固液混合物は、スラリー、ペーストおよびコロイドからなる群より選ばれた一つの形態であればよい。
本発明のもう一つの局面に従った全固体電池の製造方法では、第1の成形体を形成する工程が、固体電解質層に第1の固液混合物を塗工して固体電解質層と第1の成形体の積層体を形成することを含み、第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程が、固体電解質層と第1の成形体の積層体を焼成して固体電解質層と電極層とからなる積層焼成体を形成することを含むようにしてもよい。
具体的には、たとえば、まず、第2の固液混合物から第2の成形体としての固体電解質材料のグリーンシートを形成する。この固体電解質材料のグリーンシートを焼成して固体電解質層2を作製する。この固体電解質層2の一方面に第1の固液混合物としての正極材料のスラリーまたはペーストを塗工し、一方面と反対側の他方面に第1の固液混合物としての負極材料のスラリーまたはペーストを塗工して、第1の成形体としての正極塗工膜および負極塗工膜と固体電解質層2との積層体を形成する。そして、この積層体を焼成して正極層1と固体電解質層2と電極層3とからなる積層焼成体を形成してもよい。
また、本発明のもう一つの局面に従った全固体電池の製造方法では、第1の成形体を形成する工程が、第2の成形体に第1の固液混合物を塗工して第1の成形体と第2の成形体とからなる積層成形体を形成することを含み、第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程と、第2の成形体を焼成して固体電解質層を形成する工程とが、上記の積層成形体を焼成して固体電解質層と電極層とからなる積層焼成体を形成することを含むようにしてもよい。
具体的には、たとえば、まず、第2の固液混合物から第2の成形体としての固体電解質材料のグリーンシートを形成する。この固体電解質材料のグリーンシートの一方面に第1の固液混合物としての正極材料のスラリーまたはペーストを塗工し、一方面と反対側の他方面に第1の固液混合物としての負極材料のスラリーまたはペーストを塗工して、第1の成形体としての正極塗工膜および負極塗工膜と第2の成形体としての固体電解質のグリーンシートとの積層成形体を形成する。そして、この積層成形体を焼成して正極層1と固体電解質層2と負極層3とからなる積層焼成体を形成してもよい。
あるいは、固体電解質材料のグリーンシートの一方面に第1の固液混合物としての正極材料のスラリーまたはペーストを塗工し、第1の成形体としての正極塗工膜と第2の成形体としての固体電解質のグリーンシートとの積層成形体を形成する。そして、この積層成形体を焼成して正極層1と固体電解質層2とからなる積層焼成体を形成してもよい。この場合、固体電解質層2の一方面と反対側の他方面には、負極層3として合金等の金属箔を固着してもよい。
さらに、本発明の別の局面に従った全固体電池の製造方法では、まず、正極活物質と第1の高分子材料とを含む正極用固液混合物を作製する。負極活物質と第1の高分子材料とを含む負極用固液混合物を作製する。固体電解質と第2の高分子材料とを含む固体電解質用固液混合物を作製する。得られた正極用固液混合物または負極用固液混合物のいずれか一方の電極用固液混合物を基材に塗工して基材と一方電極成形体とからなる第1の積層成形体を形成する。第1の積層成形体を焼成して基材と一方電極焼成層とからなる第1の積層焼成体を形成する。次に、第1の積層焼成体に固体電解質用固液混合物を塗工して第1の積層焼成体と固体電解質成形体とからなる第2の積層成形体を形成する。さらに、第2の積層成形体を焼成して基材と一方電極焼成層と固体電解質層とからなる第2の積層焼成体を形成する。そして、得られた正極用固液混合物または負極用固液混合物のいずれか他方の電極用固液混合物を第2の積層焼成体に塗工して第2の積層焼成体と他方電極成形体とからなる第3の積層成形体を形成する。最後に、第3の積層成形体を焼成して正極層と固体電解質層と負極層とからなる積層焼成体を形成する。このようにして、正極層1、固体電解質層2および負極層3の各層を、順次、塗工し、焼成して積層することにより、形成してもよい。
具体的には、たとえば、まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材の上に正極材料のペーストを塗工し、焼成することにより正極層1を形成する。得られた正極層1の上に、固体電解質材料のペーストを塗工し、焼成することにより固体電解質層2を形成する。得られた固体電解質層2の上に負極材料のペーストを塗工し、焼成することにより負極層3を形成する。このようにして、正極層1と固体電解質層2と負極層3とからなる積層焼成体を形成してもよい。この場合、基材の上に負極層3を先に形成してもよい。
なお、本発明のさらに別の局面に従った全固体電池の製造方法では、まず、正極活物質と第1の高分子材料とを含む正極用固液混合物を作製する。負極活物質と第1の高分子材料とを含む負極用固液混合物を作製する。固体電解質と第2の高分子材料とを含む固体電解質用固液混合物を作製する。得られた固体電解質用固液混合物を成形し、焼成することにより、固体電解質層2を形成する。得られた正極用固液混合物または負極用固液混合物のいずれか一方の電極用固液混合物を成形することにより、一方電極成形体を形成する。一方電極成形体を固体電解質層の一方面の上に積層して積層体を形成する。この積層体を焼成することにより、固体電解質層と一方電極焼成層とからなる積層焼成体を形成する。得られた正極用固液混合物または負極用固液混合物のいずれか他方の電極用固液混合物を成形することにより、他方電極成形体を形成する。他方電極成形体を固体電解質層の一方面と反対側の他方面の上に積層して積層体を形成する。この積層体を焼成することにより、正極層1と固体電解質層2と負極層3とからなる積層焼成体を形成してもよい。このようにして、正極層1、固体電解質層2および負極層3の焼成前の各成形体を、順次、積層し、焼成することにより、積層焼成体を形成してもよい。
本発明の全固体電池の製造方法について種々説明したが、本発明の全固体電池の製造方法は上述した製造方法に限定されるものではない。
上述したように、本発明の全固体電池用積層成形体は、正極層1、固体電解質層2および負極層3のそれぞれの焼成前の成形体を積層した構造を有する。正極層1または負極層3の少なくともいずれかの焼成前の成形体に含まれる第1の高分子材料の種類と、固体電解質層2の焼成前の成形体に含まれる第2の高分子材料の種類とが異なる。また、第1の高分子材料の分解温度は第2の高分子材料の分解温度よりも高い。これにより、正極層1または負極層3では、高分子材料の残渣を優先的に残存させることができ、粒子同士のネッキングと導電剤の燃焼とを抑制することができる。一方、固体電解質層2では、イオン伝導性を阻害する高分子材料の残渣、高分子材料除去後の空孔、等を抑制することができ、緻密な固体電解質層を形成することができるとともに、さらに高分子材料の残渣による内部短絡を抑制することができる。したがって、本発明の全固体電池用積層成形体を焼成して全固体電池を製造すると、放電容量等の電池特性を高めることができる。
本発明の全固体電池の製造方法において、第1の高分子材料の分解温度と第2の高分子材料の分解温度との差が、50℃以上500℃以下であることが好ましく、50℃以上200℃以下であることがより好ましい。
第1の高分子材料の分解温度と第2の高分子材料の分解温度との差が、50℃以上500℃以下であることにより、上記の効果をより顕著に得ることができる。より好ましくは、第1の高分子材料の分解温度と第2の高分子材料の分解温度との差が、50℃以上200度以下であることにより、必要最低限の高分子材料の残渣を用いて上記の効果を得ることができるため、焼成後に高分子材料の残渣を含む正極層または負極層においても、その緻密化を阻害されることがないので、全固体電池用積層成形体の焼結性を高めることができる。
また、本発明の全固体電池の製造方法において、第1の高分子材料と第2の高分子材料は、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース、アクリル樹脂およびウレタン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。このような第1と第2の高分子材料を用いることにより、成形体を作製するためのスラリーまたはペーストにおいて分散性と粘性を両立させることができる。
さらに、本発明の全固体電池の製造方法において、第1の成形体における第1の高分子材料と第2の成形体における第2の高分子材料のそれぞれの重量含有比率は、無機材料100重量部に対して5重量部以上35重量部以下であることが好ましい。このように第1と第2の高分子材料の重量含有比率を限定することにより、成形体の機械的強度を維持し、成形体を積層する際に成形体間の密着性を維持することができる。
なお、第1および第2の高分子材料の分子量が10000以上であることが好ましい。
上記の積層焼成体は、正極層1、固体電解質層2および負極層3を積層して単電池構造の積層体10でもよく、集電体層4を介在させて、上記の単電池構造の積層体10を複数個、積層した積層体20でもよい。この場合、単電池構造の積層体10を複数個、電気的に直列または並列に積層してもよい。
上記の成形体を形成する方法は特に限定されないが、ダイコーター、コンマコーター、スクリーン印刷等を使用することができる。成形体を積層する方法は特に限定されないが、熱間等方圧プレス、冷間等方圧プレス、静水圧プレス等を使用して成形体を積層することができる。
成形体を形成するための固液混合物は、高分子材料を溶剤に溶解した有機ビヒクルと、正極活物質、負極活物質、固体電解質または集電体材料とを湿式混合することによって作製することができる。湿式混合ではメディアを用いることができ、具体的には、ボールミル法、ビスコミル法等を用いることができる。一方、メディアを用いない湿式混合方法を用いてもよく、サンドミル法、高圧ホモジナイザー法、ニーダー分散法等を用いることができる。
固液混合物は可塑剤を含んでもよい。可塑剤の種類は特に限定されないが、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸エステル等を使用してもよい。
焼成工程では、雰囲気は特に限定されないが、電極活物質に含まれる遷移金属の価数が変化しない条件で行うことが好ましい。
なお、本発明の製造方法が適用される全固体電池の積層体10、20の正極層1または負極層3に含まれる電極活物質の種類は限定されないが、正極活物質としては、Li3V2(PO4)3等のナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、LiFePO4、LiMnPO4等のオリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、LiCoO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2等の層状化合物、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等のスピネル型構造を有するリチウム含有化合物を用いることができる。
負極活物質としては、MOx(MはTi、Si、Sn、Cr、Fe、NbおよびMoからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素であり、xは0.9≦x≦2.0の範囲内の数値である)で表わされる組成を有する化合物を用いることができる。たとえば、TiO2とSiO2等の異なる元素Mを含むMOxで表わされる組成を有する2つ以上の活物質を混合した混合物を用いてもよい。また、負極活物質としては、黒鉛-リチウム化合物、Li‐Al等のリチウム合金、Li3V2(PO4)3、Li3Fe2(PO4)3、Li4Ti5O12等の酸化物等を用いることができる。
また、本発明の製造方法が適用される全固体電池の積層体10、20の正極層1、負極層3または固体電解質層2に含まれる固体電解質の種類は限定されないが、固体電解質としては、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物を用いることができる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物は、化学式LixMy(PO4)3(化学式中、xは1≦x≦2、yは1≦y≦2の範囲内の数値であり、MはTi、Ge、Al、GaおよびZrからなる群より選ばれた1種以上の元素である)で表わされる。この場合、上記化学式においてPの一部をB、Si等で置換してもよい。たとえば、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3とLi1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3等の異なる組成を有する2つ以上のナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物を混合した混合物を用いてもよい。
また、上記の固体電解質に用いられるナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の結晶相を含む化合物、または、熱処理によりナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の結晶相を析出するガラスを用いてもよい。
なお、上記の固体電解質に用いられる材料としては、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物以外に、イオン伝導性を有し、電子伝導性が無視できるほど小さい材料を用いることが可能である。このような材料として、たとえば、ハロゲン化リチウム、窒化リチウム、リチウム酸素酸塩、および、これらの誘導体を挙げることができる。また、リン酸リチウム(Li3PO4)等のLi‐P‐O系化合物、リン酸リチウムに窒素が導入されたLIPON(LiPO4-xNx)、Li4SiO4等のLi‐Si‐O系化合物、Li‐P‐Si‐O系化合物、Li‐V‐Si‐O系化合物、La0.51Li0.35TiO2.94、La0.55Li0.35TiO3、Li3xLa2/3-xTiO3等のぺロブスカイト型構造を有する化合物、Li、La、Zrを有するガーネット型構造を有する化合物等を挙げることができる。
本発明の製造方法が適用される全固体電池の積層体10、20の正極層1、固体電解質層2または負極層3の少なくとも一つの層を形成する材料が、ナシコン型構造のリチウム含有リン酸化合物からなる固体電解質を含むことが好ましい。この場合、全固体電池の電池動作に必須となる高いイオン伝導性を得ることができる。また、ナシコン型構造のリチウム含有リン酸化合物の組成を有するガラスまたはガラスセラミックスを固体電解質として用いると、焼成工程においてガラス相の粘性流動により、より緻密な焼結体を容易に得ることができるため、ガラスまたはガラスセラミックスの形態で固体電解質の出発原料を準備することが特に好ましい。
また、本発明の製造方法が適用される全固体電池の積層体10、20の正極層1または負極層3の少なくとも一つの層を形成する材料が、リチウム含有リン酸化合物からなる電極活物質を含むことが好ましい。この場合、焼成工程において電極活物質が相変化すること、または、電極活物質が固体電解質と反応することをリン酸骨格の高い温度安定性により容易に抑制することができるため、全固体電池の容量を高くすることができる。また、リチウム含有リン酸化合物からなる電極活物質と、ナシコン型構造のリチウム含有リン酸化合物からなる固体電解質とを組み合わせて用いると、焼成工程において電極活物質と固体電解質との反応を抑制することができるとともに、両者の良好な接触を得ることができるため、上記のように電極活物質と固体電解質の材料を組み合わせて用いることが特に好ましい。
さらに、本発明の製造方法が適用される全固体電池の積層体20の集電体層4は電子伝導材料を含む。電子伝導材料は、導電性酸化物、金属および炭素材料からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むことが好ましい。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は一例であり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の製造方法に従って作製された全固体電池の実施例1〜5と比較例について説明する。
(有機ビヒクルの作製)
まず、溶剤100重量部に、バインダーとして、以下の表1に示す分解温度が異なる各種の高分子材料を20重量部溶解した有機ビヒクルを作製した。高分子材料の分解温度は、セイコーインスツル株式会社製の示差熱熱重量同時測定装置(型番:TG‐DTA7200)を用いて、高分子材料の重量減少率が95%を越える温度にて判断した。ウレタンAとして重量平均分子量が60,000のウレタン樹脂、ウレタンBとして重量平均分子量200,000のウレタン樹脂を使用した。
(スラリーの作製)
固体電解質としてのナシコン型構造のリチウムゲルマニウム含有リン酸化合物(LAGP:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)のガラス粉末50重量部と、電極活物質としてのLi3V2(PO4)3の結晶相を有する粉末45重量部と、導電剤としての炭素粉末5重量部と、以下の表2に示す高分子材料Aを含むように上記で作製された有機ビヒクル120重量部とを、直径が1mmのジルコニア製の球形メディアとともに容器に封入して容器を回転させた後、球形メディアを取り出し、電極スラリーを作製した。
固体電解質としてのLAGPガラス粉末100重量部と、以下の表2に示す高分子材料Bを含むように上記で作製された有機ビヒクル120重量部とを、直径が1mmのジルコニア製の球形メディアとともに容器に封入して容器を回転させた後、球形メディアを取り出し、固体電解質スラリーを作製した。
なお、表2に、高分子材料の分解温度差(=(高分子材料Aの分解温度Ta)−(高分子材料Bの分解温度Tb))を示す。
(グリーンシート作製工程)
電極スラリーのそれぞれを、ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に塗工し、厚みが50μmのシート状に成形し、直径が10mmの円板状に打ち抜くことにより、電極グリーンシートを作製した。
固体電解質スラリーを、ドクターブレード法を用いてPETフィルムの上に塗工し、厚みが30μmのシート状に成形し、直径が11mmの円板状に打ち抜くことにより、固体電解質グリーンシートを作製した。
(積層体形成工程)
PETフィルムから剥離した固体電解質グリーンシートを4枚重ねて積層し、60℃の温度で加圧して圧着することによって固体電解質層を形成した。固体電解質グリーンシートを複数枚積層した理由は、焼成後の固体電解質層に十分な機械的強度を与えて、後述する工程における固体電解質層のハンドリングを容易にするためであり、固体電解質グリーンシートを複数枚積層しないで、固体電解質層を形成しても特に問題はない。
PETフィルムから剥離した1枚の電極グリーンシートを、上記で得られた固体電解質層の片面に積層し、60℃の温度で加圧して圧着することにより、正極層を形成した。同様の方法で固体電解質層の反対側の面に2枚の電極シートを圧着することにより、負極層を形成した。このようにして、全固体電池用グリーンシート積層体を作製した。
なお、正極層と負極層において使用される電極シートの枚数に違いがある理由は、Li3V2(PO4)3を、正極活物質として用いた場合と負極活物質として用いた場合では、Li3V2(PO4)3の単位重量(グラム)当たりの容量が約2倍異なることを考慮したためである。なお、正極層と負極層の厚みは、使用する電極活物質の材料に応じて適宜変更することができる。
(焼成工程)
得られた積層体を空気雰囲気中にて500℃の温度で熱処理することにより、高分子材料の除去を行った(第1焼成工程)。その後、窒素雰囲気中にて、700℃の温度で熱処理して積層体を焼結することにより、全固体電池を得た(第2焼成工程)。
得られた全固体電池の破断面を、光学顕微鏡で固体電解質層の色味を観察することにより、固体電解質層に含まれる高分子材料の残渣を確認した。また、走査型電子顕微鏡で電極層の色味を観察することにより、電極層に含まれる導電剤の燃焼抑制効果を確認した。その結果を表3に示す。
また、得られた全固体電池を2032型コイン型電池に封止し、充放電試験を実施し、放電量を測定した。20μAの充電電流で電圧が4.5V(電圧が4.5Vに到達した後に4.5Vの電圧で3時間保持した)になるまで充電し、20μAの放電電流で電圧が3Vになるまで放電した。
表3に示すように、実施例1〜5の全固体電池では、電極層の色味が黒色であることにより、導電剤としての炭素の燃焼が抑制されており、固体電解質層の色味が白色であることにより、高分子材料の残渣がないことがわかる。これに対して、比較例の全固体電池では、電極層の色味が灰色であることにより、導電剤としての炭素の燃焼が抑制されておらず、固体電解質層の色味が灰色であることにより、高分子材料の残渣があることがわかる。また、表3に示す通り、実施例1〜5の全固体電池は、比較例の全固体電池に比べて、高い放電容量を示すことが確認された。
なお、電池を構成するための封止方法は特に限定されず、焼結により得られた全固体電池の積層体を樹脂等で封止してもよい。たとえば、Al2O3等の絶縁性のペーストを積層体の周囲に塗布またはディップしたものを熱処理して封止してもよい。
また、正負極層から効率的に電流を引き出すために、正負極層の上にスパッタリング等で金属層等の導電層を形成してもよい。たとえば、正負極層の上に金属ペースト等を塗布またはディップした後、熱処理することにより、導電層を形成してもよい。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
本発明の全固体電池用積層成形体を焼成して全固体電池を製造すると、正極層または負極層では導電剤の燃焼を抑制することができるとともに、緻密な固体電解質層を形成することができ、放電容量等の電池特性を高めることができるので、本発明は全固体二次電池の製造に特に有用である。
1:正極層、2:固体電解質層、3:負極層、4:集電体層、10、20:積層体。
Claims (20)
- 正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の成形体と、
前記第1の成形体に積層され、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の成形体と、を備え、
前記第1の高分子材料の分解温度が前記第2の高分子材料の分解温度よりも高い、全固体電池用積層成形体。 - 前記第1および第2の高分子材料の分子量が10000以上である、請求項1に記載の全固体電池用積層成形体。
- 前記成形体が、グリーンシートおよび膜からなる群より選ばれた一つの形態である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池用積層成形体。
- 正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の成形体と、固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の成形体とを作製する成形体作製工程と、
前記第1の成形体と前記第2の成形体とを積層して積層成形体を形成する積層成形体形成工程と、
前記積層成形体を焼成して電極層と固体電解質層とからなる積層焼成体を形成する積層焼成体形成工程と、を備え、
前記第1の高分子材料の分解温度が前記第2の高分子材料の分解温度よりも高い、全固体電池の製造方法。 - 正極活物質または負極活物質のいずれかの電極活物質と第1の高分子材料とを含む第1の固液混合物を作製する工程と、
固体電解質と第2の高分子材料とを含む第2の固液混合物を作製する工程と、
前記第1の固液混合物から第1の成形体を形成する工程と、
前記第2の固液混合物から第2の成形体を形成する工程と、
前記第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程と、
前記第2の成形体を焼成して固体電解質層を形成する工程と、を備え、
前記第1の高分子材料の分解温度が前記第2の高分子材料の分解温度よりも高い、全固体電池の製造方法。 - 前記第1の成形体を形成する工程が、前記固体電解質層に前記第1の固液混合物を塗工して前記固体電解質層と前記第1の成形体の積層体を形成することを含み、
前記第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程が、前記固体電解質層と前記第1の成形体の積層体を焼成して前記固体電解質層と前記電極層とからなる積層焼成体を形成することを含む、請求項5に記載の全固体電池の製造方法。 - 前記第1の成形体を形成する工程が、前記第2の成形体に前記第1の固液混合物を塗工して前記第1の成形体と前記第2の成形体とからなる積層成形体を形成することを含み、
前記第1の成形体を焼成して電極層を形成する工程と、前記第2の成形体を焼成して固体電解質層を形成する工程とが、前記積層成形体を焼成して前記固体電解質層と前記電極層とからなる積層焼成体を形成することを含む、請求項5に記載の全固体電池の製造方法。 - 正極活物質と第1の高分子材料とを含む正極用固液混合物を作製する工程と、
負極活物質と第1の高分子材料とを含む負極用固液混合物を作製する工程と、
固体電解質と第2の高分子材料とを含む固体電解質用固液混合物を作製する工程と、
前記正極用固液混合物または前記負極用固液混合物のいずれか一方の電極用固液混合物を基材に塗工して前記基材と一方電極成形体とからなる第1の積層成形体を形成する工程と、
前記第1の積層成形体を焼成して前記基材と一方電極焼成層とからなる第1の積層焼成体を形成する工程と、
前記第1の積層焼成体に前記固体電解質用固液混合物を塗工して前記第1の積層焼成体と固体電解質成形体とからなる第2の積層成形体を形成する工程と、
前記第2の積層成形体を焼成して前記基材と前記一方電極焼成層と固体電解質層とからなる第2の積層焼成体を形成する工程と、
前記正極用固液混合物または前記負極用固液混合物のいずれか他方の電極用固液混合物を前記第2の積層焼成体に塗工して前記第2の積層焼成体と他方電極成形体とからなる第3の積層成形体を形成する工程と、
前記第3の積層成形体を焼成して正極層と固体電解質層と負極層とからなる積層焼成体を形成する工程とを備え、
前記第1の高分子材料の分解温度が前記第2の高分子材料の分解温度よりも高い、全固体電池の製造方法。 - 前記固液混合物が、スラリー、ペーストおよびコロイドからなる群より選ばれた一つの形態である、請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記成形体が、グリーンシートおよび膜からなる群より選ばれた一つの形態である、請求項4から請求項9までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記第1の高分子材料の分解温度と前記第2の高分子材料の分解温度との差が、50℃以上500℃以下である、請求項4から請求項10までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記第1の高分子材料の分解温度と前記第2の高分子材料の分解温度との差が、50℃以上200℃以下である、請求項11に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記第1の高分子材料と前記第2の高分子材料は、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース、アクリル樹脂およびウレタン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む、請求項4から請求項12までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記第1の成形体における前記第1の高分子材料と前記第2の成形体における前記第2の高分子材料のそれぞれの重量含有比率は、無機材料100重量部に対して5重量部以上35重量部以下である、請求項4から請求項13までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記積層焼成体は、正極層、固体電解質層および負極層を積層した単電池構造の積層焼成体を含む、請求項4、請求項6、請求項7および請求項8のいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記積層焼成体は、集電体層を介在させて、前記単電池構造の積層焼成体を複数個、積層した積層焼成体を含む、請求項15に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記正極層、前記固体電解質層および前記負極層からなる群より選ばれた少なくとも一つの層を形成する材料が、ナシコン型構造のリチウム含有リン酸化合物からなる固体電解質を含む、請求項15または請求項16に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記正極層および前記負極層からなる群より選ばれた少なくとも一つの層を形成する材料が、リチウム含有リン酸化合物からなる電極活物質を含む、請求項15から請求項17までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記第1および第2の高分子材料の分子量が10000以上である、請求項4から請求項18までのいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
- 請求項4から請求項19までのいずれか1項に記載の製造方法によって製造された全固体電池。
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