JP6197495B2 - 全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池に関する。
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の電源として電池の需要が大幅に拡大している。このような用途に用いられる電池においては、イオンを移動させるための媒体として有機溶媒等の電解質(電解液)が従来から使用されている。
しかし、上記の構成の電池では、電解液が漏出するという危険性がある。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質である。このため、電池の安全性をさらに高めることが求められている。
そこで、電池の安全性を高めるための一つの対策は、電解質として、電解液に代えて、固体電解質を用いることが提案されている。さらに、電解質として固体電解質を用いるとともに、その他の構成要素も固体で構成されている全固体電池の開発が進められている。
たとえば、特開2010−15782号公報(以下、特許文献1という)には、不燃性の固体電解質を用いてすべての構成要素を固体で構成した全固体電池が提案されている。特許文献1で提案された全固体電池では、ポリアニオンを有する電極活物質と固体電解質が用いられている。
特開2010−15782号公報
しかしながら、ポリアニオンを有する電極活物質は、反応に寄与しない原子を多く含むため、電極活物質の重量に対する反応電気量が小さくなり、電池の重量当たりのエネルギー密度を高めることが困難であるという問題がある。
より小さな分子量の電極活物質の一例としては単純な5価金属含有酸化物が挙げられる。ところが、5価金属含有酸化物を電極活物質として用いた場合、発明者らが検討した結果、この5価金属含有酸化物と、ポリアニオンを有する固体電解質材料の一つである、ナシコン型構造を有するジルコニウム(Zr)含有リチウムリン酸化合物とを焼結させた場合、5価金属含有酸化物と上記の固体電解質材料との間で固相拡散が生じ、電池性能が著しく低下することがわかった。
したがって、本発明の目的は、5価金属含有酸化物を電極活物質として用いた場合に電池性能の低下を抑制することが可能な全固体電池を提供することである。
発明者らが上記の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、電極活物質として、5価金属含有酸化物において5価金属の一部をリン(P)で置換した材料を用いることによって、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム(Zr)含有リチウムリン酸化合物との焼結時に生じる固相拡散が抑制され、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制することができることを見出した。このような発明者らの知見に基づいて、本発明は以下の特徴を備えている。
本発明に従った全固体電池は、正極層または負極層の少なくともいずれか一方の電極層と、電極層に積層された固体電解質層とを備える。固体電解質層が固体電解質としてナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を含む。電極層が電極活物質として5価金属含有酸化物を含み、5価金属含有酸化物において5価金属の一部がリンで置換されている。5価金属含有酸化物は、化学式P x1 M1 y1 (化学式中、M1はNbおよびVからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、x1は0<x1<2、y1はy1=2−x1を満たす数値である)で表される酸化物である
この場合、x1は、0.11≦x1≦1.33を満たす数値であることが好ましく、0.11≦x1≦0.20を満たす数値であることがより好ましい。
さらに、ジルコニウム含有リチウムリン酸化合物は、化学式Lix2M2y2Zrz2(PO43(化学式中、M2はNa、K、Ca、Mg、Ba、Sr、Al、Sc、Y、In、Ti、Ge、Ga、および、Hfからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、x2は0.6≦x2<3、y2は0≦y2<1、z2は1<z2≦2を満たす数値である)で表されることが好ましい。
この場合、y2は、0.10≦y2≦0.40を満たす数値であることが好ましく、0.10≦y2≦0.20を満たす数値であることがより好ましい。
本発明によれば、5価金属含有酸化物を電極活物質として用いた場合に、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物との焼結時に生じる固相拡散を抑制することができ、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制することが可能になる。
本発明の一つの実施形態として全固体電池積層体の断面構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例2と比較例1で作製された負極シートのX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例1〜4で作製された全固体電池の放電曲線を示す図である。 本発明の比較例1で作製された全固体電池の放電曲線を示す図である。 本発明の実施例5、6で作製された固体電解質粉末のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例5〜8で作製された全固体電池の放電曲線を示す図である。
図1に示すように、本発明の一つの実施の形態としての全固体電池積層体10は、正極層11、固体電解質層13、負極層12の順に積層された積層体で構成される。固体電解質層13の一方面に正極層11が配置され、固体電解質層13の一方面と反対側の他方面に負極層12が配置されている。いいかえれば、正極層11と負極層12とは、固体電解質層13を介して互いに対向する位置に設けられている。なお、正極層11と負極層12のそれぞれは、少なくとも電極活物質を含み、さらに固体電解質を含んでもよい。固体電解質層13は固体電解質を含む。正極層11と負極層12のそれぞれは、電子導電材として、炭素、金属、酸化物等を含んでもよい。
上記のように構成された全固体電池積層体10において、固体電解質層13が固体電解質としてナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を含む。正極層11または負極層12の少なくともいずれか一方の電極層が電極活物質として5価金属含有酸化物を含み、5価金属含有酸化物において5価金属の一部がリン(P)で置換されている。
このように構成することにより、電極活物質としての5価金属含有酸化物と、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム(Zr)含有リチウムリン酸化合物との間で焼結時に生じる固相拡散を抑制することができ、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制することが可能になる。5価金属と同じ価数を持つリンを予め添加して、5価金属の一部をリンで置換した5価金属含有酸化物を電極活物質として用いることにより、焼結時の固相拡散の駆動力と考えられる濃度勾配が緩和され、元素拡散が抑制されるものと考えられる。
5価金属は、ニオブおよびバナジウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属であることが好ましい。5価金属としてニオブまたはバナジウムを用いることにより、焼成による充放電容量の低下を抑えることができる。
また、5価金属含有酸化物は、化学式Px1M1y15(化学式中、M1はNbおよびVからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、x1は0<x1<2、y1はy1=2−x1を満たす数値である)で表される酸化物であることが好ましい。このような5価金属含有酸化物を用いることにより、固体電解質と電極活物質との間で焼結時に生じる固相拡散をより抑制することができる。
この場合、好ましくはx1の数値を0.11≦x1≦1.33の範囲内に限定することにより、リン置換による電極活物質の単位容量の低下を抑制するとともに、固体電解質と電極活物質との間で焼結時に生じる固相拡散をより効果的に抑制することができ、固相拡散に起因した充放電容量の低下をより抑制することができる。より好ましくはx1の数値を0.11≦x1≦0.20の範囲内に限定することにより、上記の効果をさらに高めることができる。
なお、正極層11または負極層12の少なくともいずれか一方の電極層は、固体電解質としてナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を含むことが好ましい。
さらに、固体電解質層13に含められる固体電解質、あるいは、正極層11または負極層12に含められる固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物は、化学式Lix2M2y2Zrz2(PO43(化学式中、M2はNa、K、Ca、Mg、Ba、Sr、Al、Sc、Y、In、Ti、Ge、Ga、および、Hfからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、x2は0.6≦x2<3、y2は0≦y2<1、z2は1<z2≦2を満たす数値である)で表されることが好ましい。このようにLiZr2(PO43で表されるナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物において、Zrの一部を、Na、K、Ca、Mg、Ba、Sr、Al、Sc、Y、In、Ti、Ge、Ga、および、Hfからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素で置換することにより、高いイオン伝導度を示す菱面体晶の温度変化に対する安定性を向上させることができる。
この場合、好ましくはy2の数値を0.10≦y2≦0.40の範囲内に限定することにより、固体電解質層13において粒界への置換元素の偏析によるイオン伝導度の低下を抑制することができる。より好ましくはy2の数値を0.10≦y2≦0.20の範囲内に限定することにより、上記の効果をさらに高めることができる。
また、上記の固体電解質に用いられるナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物としては、ナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物の結晶相を含むもの、または、熱処理によりナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物の結晶相を析出するガラスを用いてもよい。
正極層11に含められる正極活物質として上記の5価金属含有酸化物が用いられる場合には、負極層12に含められる負極活物質としては、MOx(MはTi、Si、Sn、Cr、Fe、NbおよびMoからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む、xは0.9≦x≦2.0の範囲内の数値である)で表わされる組成を有する化合物を用いることができる。たとえば、TiO2とSiO2、等の異なる元素Mを含むMOxで表わされる組成を有する2つ以上の活物質を混合した混合物を用いてもよい。また、負極活物質としては、黒鉛-リチウム化合物、Li‐Al等のリチウム合金、Li32(PO43、Li3Fe2(PO43、Li4Ti512等の酸化物、等を用いることができる。なお、負極層12は、金属リチウムから形成されてもよい。
負極層12に含められる負極活物質として上記の5価金属含有酸化物が用いられる場合には、正極層11に含められる正極活物質としては、Li32(PO43等のナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、LiFePO4、LiMnPO4等のオリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、LiCoO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32等の層状化合物、LiMn24、LiNi0.5Mn1.54、Li4Ti512等のスピネル型構造を有するリチウム含有化合物を用いることができる。
上述のように構成された全固体電池積層体10を製造するために、本発明では、まず、正極層11または負極層12の少なくともいずれか一方の未焼成体である未焼成電極層と、固体電解質層13の未焼成体である未焼成固体電解質層とを作製する(未焼成層作製工程)。特に本発明では、上記のジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を含む材料から、固体電解質層13の未焼成体である未焼成固体電解質層を作製し、上記の5価金属含有酸化物を含む材料から、電極層の未焼成体である未焼成電極層を作製する。その後、作製された未焼成電極層と未焼成固体電解質層とを積層して積層体を形成する(積層体形成工程)。そして、得られた積層体を焼成する(焼成工程)。焼成により、正極層11および/または負極層12と固体電解質層13とが接合される。最後に、焼成した積層体を、たとえばコインセル内に封止する。封止方法は特に限定されない。たとえば、焼成後の積層体を樹脂で封止してもよい。また、Al23等の絶縁性を有する絶縁体ペーストを積層体の周囲に塗布またはディップして、この絶縁ペーストを熱処理することにより封止してもよい。
なお、正極層11と負極層12から効率的に電流を引き出すため、正極層11と負極層12の上に炭素層、金属層、酸化物層等の集電体層を形成してもよい。集電体層の形成方法は、たとえば、スパッタリング法が挙げられる。また、金属ペーストを塗布またはディップして、この金属ペーストを熱処理してもよい。
積層体形成工程では、正極層11、固体電解質層13、および、負極層12の未焼成体を積層して単電池構造の未焼成積層体を形成することが好ましい。さらに、積層体形成工程において、集電体の未焼成体を介在させて、上記の単電池構造の積層体を複数個、積層して積層体を形成してもよい。この場合、単電池構造の積層体を複数個、電気的に直列、または並列に積層してもよい。
上記の未焼成電極層と未焼成固体電解質層を形成する方法は特に限定されないが、グリーンシートを形成するためにドクターブレード法、ダイコーター、コンマコーター等、または、印刷層を形成するためにスクリーン印刷等を使用することができる。上記の未焼成電極層と未焼成固体電解質層を積層する方法は特に限定されないが、熱間等方圧プレス、冷間等方圧プレス、静水圧プレス等を使用して未焼成電極層と未焼成固体電解質層を積層することができる。
グリーンシートまたは印刷層を形成するためのスラリーは、有機材料を溶剤に溶解した有機ビヒクルと、(正極活物質および固体電解質、負極活物質および固体電解質、固体電解質、または、集電体材料)とを湿式混合することによって作製することができる。湿式混合ではメディアを用いることができ、具体的には、ボールミル法、ビスコミル法等を用いることができる。一方、メディアを用いない湿式混合方法を用いてもよく、サンドミル法、高圧ホモジナイザー法、ニーダー分散法等を用いることができる。グリーンシートまたは印刷層を成形するためのスラリーに含まれる有機材料は特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などを用いることができる。
スラリーは可塑剤を含んでもよい。可塑剤の種類は特に限定されないが、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸エステル等を使用してもよい。
焼成工程では、雰囲気は特に限定されないが、電極活物質に含まれる遷移金属の価数が変化しない条件で行うことが好ましい。焼成温度は400℃以上1000℃以下であることが好ましい。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は一例であり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例A)
以下、負極活物質として斜方晶の五酸化ニオブでニオブの一部がリンで置換されたものを用いて作製した全固体電池の実施例1〜4と、単斜晶の五酸化ニオブを用いて作製した全固体電池の比較例1について説明する。
<材料粉末の準備>
まず、実施例1〜4と比較例1の全固体電池に用いられる負極活物質材料、正極活物質材料、固体電解質材料、導電剤を、以下のとおり準備した。
負極活物質材料:以下の表1に示す組成を有するニオブ(Nb)含有酸化物粉末
正極活物質材料:Li32(PO43の組成を有するナシコン型構造の結晶相を含むリチウム含有リン酸化合物粉末
固体電解質材料:Li1.2Ca0.1Zr1.9(PO43の組成を有するナシコン型構造の結晶相を含むジルコニウム含有リチウムリン酸化合物粉末
導電剤:炭素粉末
Figure 0006197495
<スラリーの作製>
次に、下記の主材、ポリビニルアセタール樹脂、および、アルコールを、100:15:140の重量比率で秤量した。ポリビニルアセタール樹脂をアルコールに溶解させ、主材をメディアとともに容器に封入して容器を回転させることにより混合した後、容器からメディアを取り出し、固体電解質スラリー、正極スラリー、および、負極スラリーの各スラリーを作製した。
固体電解質スラリーの主材:固体電解質材料の粉末
正極スラリーの主材:正極活物質材料、導電剤、および、固体電解質材料を40:10:50の重量比率で混合した粉末
負極スラリーの主材:負極活物質材料、導電剤、および、固体電解質材料を重量比40:10:50の重量比率で混合した粉末
<グリーンシートの作製>
ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に各スラリーを塗工し、40℃の温度に加熱したホットプレートの上で乾燥させることにより、下記の厚みになるようにシート状に成形した。その後、25mm×25mmの大きさの正方形状シートに切断して、固体電解質シート、正極シート、負極シートの各シートを作製した。
固体電解質シート:35μm
正極シート:35μm
負極シート:20μm
次に、得られた実施例1〜4と比較例1の負極シートの特性を以下のようにして評価した。
<負極シートの評価>
実施例1〜4と比較例1の負極シートを、1体積%の酸素を含む窒素ガス雰囲気中で500℃の温度で焼成することにより、ポリビニルアセタール樹脂を除去した後、窒素ガス雰囲気中で1000℃の温度で焼成することにより、焼成体としての実施例1〜4と比較例1の負極シートを作製した。
X線回折装置(XRD)を用いて4.0°/分のスキャン速度、10°〜60°の測角範囲の条件で、焼成体としての実施例1〜4と比較例1の負極シートのX線回折パターンを測定した。一例として、測定された実施例2と比較例1の負極シートのX線回折パターンを図2に示す。図2には、実施例2と比較例1の負極シートのX線回折パターンに加えて、以下に示す物質のJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)カードNo.のX線回折パターンを合わせて示す。
0.2Nb1.85:01−082−0081
Nb25(単斜晶):00−037−1468
LiZr2(PO43(菱面体晶):01−072−7742
LiZr2(PO43(単斜晶):01−070−5819
LiZr2(PO43(三斜晶):01−074−2562
LiNb38:01−070−1566
図2から、実施例2の負極シートのX線回折パターンは、菱面体晶のLiZr2(PO43とP0.2Nb1.85のX線回折パターンとほぼ一致し、負極シートの焼成体において固体電解質であるLi1.2Ca0.1Zr1.9(PO43と負極活物質であるP0.2Nb1.85とが固相反応によって消失することなく、その骨格を維持できていることが確認された。なお、図示していないが、実施例1、3、4の負極シートにおいても同様の結果が得られた。
一方、図2から、比較例1の負極シートのX線回折パターンには、Nb25(単斜晶)のX線回折パターンは見られず、P0.2Nb1.85、菱面体晶、単斜晶、三斜晶のLiZr2(PO43、および、LiNb38のX線回折パターンが確認された。このことから、比較例1の負極シートの焼成体では、負極活物質と固体電解質との固相反応が生じたことが確認された。
<積層体の作製>
PETフィルムから剥がした正極シート、固体電解質シート、および、負極シートを、60℃の温度に加熱した2枚のステンレス鋼板で挟んで、1000kg/cm2の圧力にて熱圧着した。次に、この圧着体をポリエチレン製のフィルム容器に封入し、180MPaの水圧で等方圧プレスして、積層体を作製した。積層体は図1に示すように正極層11、固体電解質層13、負極層12から構成される。5枚の固体電解質シートからなる固体電解質層13の片面に、1枚の正極シートからなる正極層11と、正極層11とは反対側の固体電解質層13の片面に、1枚の負極シートからなる負極層12を積層した。正負極層の厚みは使用される電極活物質の材料に応じて適宜変更することができる。
<固体電池の作製>
積層体を10mm×10mmの大きさの平面形状に切断し、2枚の多孔性のセッターで挟持した後、2kgf/cm2(約196.2kPa)の圧力で加圧した状態で焼成して、焼成体を作製した。焼成は、1体積%の酸素を含む窒素ガス雰囲気中で500℃の温度に加熱することにより、ポリビニルアセタール樹脂を除去した後、窒素ガス雰囲気中で1000℃の温度に加熱することによって行った。
正負極層の上に、スパッタリングによって、集電体層となる白金(Pt)層を形成した後、焼成体を100℃の温度で乾燥して水分を除去し、2032型のコインセルで封止して実施例1〜4と比較例1の固体電池を作製した。
<固体電池の評価>
以上のようにして得られた実施例1〜4と比較例1の固体電池を、25℃の温度に保持した恒温槽に入れ、正極活物質材料の重量に対して約0.1Cの電流に相当する40μAの電流で3.25Vの電圧まで充電し、3.25Vの電圧で5時間保持した後に、3時間休止し、40μAの電流で0Vの電圧まで放電した後に、3時間休止した。このようにして測定された放電曲線を図3と図4に示し、放電容量を以下の表2に示す。
Figure 0006197495
以上の結果から、実施例1〜4の固体電池の放電容量は、比較例1の固体電池よりも高いことがわかる。特にリンの置換量x1が0.11≦x1≦0.20の範囲内であるニオブ含有酸化物を負極活物質として用いた実施例1と2の固体電池は、より高い放電容量を示したことがわかる。このことから、実施例1〜4の固体電池では、電極活物質としての5価金属含有酸化物と、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物との間で焼結時に生じる固相拡散を抑制することができ、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制することができたものと考えられる。
なお、実施例Aにおいては、負極活物質としてリン置換ニオブ含有酸化物を用いた例についてのみ説明したが、負極活物質はリン置換ニオブ含有酸化物に限られることなく、5価金属としてバナジウムを用いたリン置換バナジウム含有酸化物を用いても同様の効果が得られる。
(実施例B)
以下、負極活物質として斜方晶の五酸化ニオブでニオブの一部がリンで置換されたものを用い、かつ、固体電解質としてナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物においてカルシウムの置換量を変化させて作製した固体電池の実施例5〜8について説明する。
<材料粉末の準備>
まず、実施例5〜8の全固体電池に用いられる負極活物質材料、正極活物質材料、固体電解質材料、導電剤を、以下のとおり準備した。
負極活物質材料:P0.2Nb1.85の組成を有するニオブ(Nb)含有酸化物粉末
正極活物質材料:Li32(PO43の組成を有するナシコン型構造の結晶相を含むリチウム含有リン酸化合物粉末
固体電解質材料:以下の表3に示す組成を有するナシコン型構造の結晶相を含むジルコニウム含有リチウムリン酸化合物粉末
導電剤:炭素粉末
Figure 0006197495
<固体電解質粉末の評価>
X線回折装置(XRD)を用いて4.0°/分のスキャン速度、10°〜60°の測角範囲の条件で、上記で準備した実施例5〜8の固体電解質粉末のX線回折パターンを測定した。一例として、測定された実施例5と6の固体電解質粉末のX線回折パターンを図5に示す。図5には、実施例5、6の固体電解質粉末のX線回折パターンに加えて、ナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物であるLiZr2(PO43(菱面体晶)のJCPDSカードNo.01−072−7742のパターンを合わせて示す。
図5から、実施例5と6の固体電解質粉末のX線回折パターンは、ナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物であるLiZr2(PO43(菱面体晶)のX線回折パターンとほぼ一致していることが確認された。ただし、実施例6の固体電解質粉末のX線回折パターンでは、LiZr2(PO43(菱面体晶)のX線回折パターンとピーク強度比が異なっており、実施例6の固体電解質粉末がLiZr2(PO43にカルシウム(Ca)が固溶した材料であり、菱面体晶の結晶系であることがわかった。なお、図示していないが、実施例7と8の固体電解質粉末においても同様の結果が得られた。
<固体電池の作製>
実施例Aに記載された製造方法と同様にして、固体電解質スラリー、正極スラリー、および、負極スラリーの各スラリーを作製し、さらに、固体電解質シート、正極シート、負極シートの各シートを作製し、積層体を作製し、実施例5〜8の固体電池を作製した。
<固体電池の評価>
以上のようにして得られた実施例5〜8の固体電池を、25℃の温度に保持した恒温槽に入れ、正極活物質材料の重量に対して約0.1Cの電流に相当する40μAの電流で3.25Vの電圧まで充電し、3.25Vの電圧で5時間保持した後に、3時間休止し、40μAの電流で0Vの電圧まで放電した後に、3時間休止した。このようにして測定された放電曲線を図6に示し、放電容量を以下の表4に示す。
Figure 0006197495
以上の結果から、実施例5〜8の固体電池の放電容量は、比較例1の固体電池よりも高いことがわかる。特にカルシウムの置換量y2が0.10≦y2≦0.40の範囲内であるナシコン構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を固体電解質として用いた実施例6と7の固体電池は、より高い放電容量を示したことがわかる。このことから、実施例1〜4の固体電池では、電極活物質としての5価金属含有酸化物と、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物との間で焼結時に生じる固相拡散を抑制することができ、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制することが可能になるとともに、固体電解質層において粒界への置換元素の偏析によるイオン伝導度の低下を抑制することができたものと考えられる。
なお、実施例Bにおいては、固体電解質としてLix2M2y2Zrz2(PO43においてM2にCaを用いた例についてのみ説明したが、M2として用いる金属元素は、Caに限られることなく、Na、K、Ca、Mg、Ba、Sr、Al、Sc、Y、In、Ti、Ge、Ga、Hfのいずれの元素であっても同様の効果が得られる。
M2としてCa以外の金属元素を用いて金属元素の置換量y2を0.1としたジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を固体電解質として用いて、上記と同様にして実施例9〜21の固体電池を作製した。得られた実施例9〜21の固体電池の放電容量を上記と同様にして測定した。その測定結果を以下の表5に示す。
Figure 0006197495
表5から、Ca以外の金属元素で置換したジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を固体電解質として用いても高い放電容量を得ることができたことがわかる。
なお、M2の一部をSi、Bなどの網目形成材となる元素で置換してもよい。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
5価金属含有酸化物を電極活物質として用いた場合に、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物との焼結時に生じる固相拡散を抑制することができ、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制することが可能になるので、本発明は固体電池の製造に特に有用である。
10:全固体電池積層体、11:正極層、12:負極層、13:固体電解質層。

Claims (6)

  1. 正極層または負極層の少なくともいずれか一方の電極層と、
    前記電極層に積層された固体電解質層と、を備え、
    前記固体電解質層が固体電解質としてナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を含み、前記電極層が電極活物質として5価金属含有酸化物を含み、前記5価金属含有酸化物において5価金属の一部がリンで置換されており
    前記5価金属含有酸化物が、化学式P x1 M1 y1 (化学式中、M1はNbおよびVからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、x1は0<x1<2、y1はy1=2−x1を満たす数値である)で表される酸化物である、全固体電池。
  2. 前記x1は0.11≦x1≦1.33を満たす数値である、請求項に記載の全固体電池。
  3. 前記x1は0.11≦x1≦0.20を満たす数値である、請求項に記載の全固体電池。
  4. 前記ジルコニウム含有リチウムリン酸化合物が、化学式Lix2M2y2Zrz2(PO(化学式中、M2はNa、K、Ca、Mg、Ba、Sr、Al、Sc、Y、In、Ti、Ge、Ga、および、Hfからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、x2は0.6≦x2<3、y2は0≦y2<1、z2は1<z2≦2を満たす数値である)で表される、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の全固体電池。
  5. 前記y2は0.10≦y2≦0.40を満たす数値である、請求項に記載の全固体電池。
  6. 前記y2は0.10≦y2≦0.20を満たす数値である、請求項に記載の全固体電池。
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