JPWO2012073760A1 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2012073760A1
JPWO2012073760A1 JP2012546795A JP2012546795A JPWO2012073760A1 JP WO2012073760 A1 JPWO2012073760 A1 JP WO2012073760A1 JP 2012546795 A JP2012546795 A JP 2012546795A JP 2012546795 A JP2012546795 A JP 2012546795A JP WO2012073760 A1 JPWO2012073760 A1 JP WO2012073760A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
current value
target current
target
torque
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012546795A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5575919B2 (ja
Inventor
中村 幸司
幸司 中村
稲葉 和彦
和彦 稲葉
重信 関谷
重信 関谷
智博 森上
智博 森上
淳一 瀬戸
淳一 瀬戸
怜 河辺
怜 河辺
憲雄 山崎
憲雄 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2012546795A priority Critical patent/JP5575919B2/ja
Publication of JPWO2012073760A1 publication Critical patent/JPWO2012073760A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5575919B2 publication Critical patent/JP5575919B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D6/00Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/046Controlling the motor
    • B62D5/0463Controlling the motor calculating assisting torque from the motor based on driver input
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D6/00Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits
    • B62D6/008Control of feed-back to the steering input member, e.g. simulating road feel in steer-by-wire applications

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Abstract

理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両に適用され、低車速の場合の操舵角−操舵反力特性を、理想アッカーマンの特性に近づけて運転者に違和感を与えない電動パワーステアリング装置を提供する。電動パワーステアリング装置の制御装置(200A)は、低車速時操舵反力制御部(300A)を有する。低車速時操舵反力制御部(300A)は、目標操舵トルク演算部(280)で操舵角θHに基づいて操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)を設定し、減算器(281)で目標操舵トルクKT(θH)と操舵トルクTとのトルク偏差を演算し、電流換算部(282)でトルク偏差に基づいて、目標電流値ITFB1を演算する。そして、目標電流値ITFB1の変動を減衰させた目標電流値ITFB3により、電動機(11)による操舵補助力を与えるq軸目標電流値ITG1を補正し、q軸目標電流値Iq*とする。

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両に適用される電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、電動機(モータ)が操舵トルクの大きさに応じた操舵補助力を発生し、この操舵補助力をステアリング系に伝達して、運転者が操舵する操舵力を軽減するものである。操舵トルクと車速によって定まるベース電流(アシストトルク)を、ステアリング系のイナーシャ(慣性)で補償したり、ステアリング系のダンパ(粘性)で補正したりし、このイナーシャ補償及びダンパ補正された電流を目標電流として電動機を制御する技術が開示されている(特許文献1,2参照)。
なお、特許文献2の慣性補償電流値決定手段には、トルクセンサ出力のみが入力されており車速信号が入力されていない。
また、特許文献3には、操向ハンドル(操舵輪)の直進方向の位置である中立位置では、車輪及び転舵機構による操向ハンドルに与えるセルフ・アライニング・トルクが小さいので、操向ハンドルの戻りが弱く、路面の凹凸やうねり等によって操向ハンドルが取られやすいので、その対策として操舵角検出センサで検出された操舵角に対して予め設定した目標操舵トルクと操舵トルクセンサで検出された実際の操舵トルクとの偏差に基づいて操舵補助力を発生させるように制御する電動パワーステアリング装置の技術が開示されている。
更に、特許文献4の図8には、パラレルジオメトリに近い特性のステアリングジオメトリを採用した車両においては、低車速の場合での操舵角−操舵トルク特性が、操舵角が小さいときには操舵角の増加に伴い操舵トルクも大きくなり、途中から操舵角が大きくなるに従って操舵トルクが小さくなる特性になっている。これが、運転者に違和感を与える要因となっている。また、特許文献4の図9には理想的なアッカーマンジオメトリでの操舵角−操舵トルク特性を示しており、操舵トルクは操舵角に直線的に比例して増加している。
このようにパラレルジオメトリで設計された車両では、旋回内輪の横すべり角が反対向きに転じるためにセルフ・アライニング・トルクが発散側に転じ、操舵角が大きくなると操舵トルクが軽くなり、操向ハンドルを取られるような操舵感を運転者に与え、違和感を与える。
そこで、特許文献4には、その対策として、電動パワーステアリング装置の制御装置において、操舵角を検出する操舵角センサと、操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車速を検出する車速検出手段と、操舵角、操舵角の舵角速度、操舵トルク及び車速に基づいて電動機を制御する制御手段とを具備し、制御手段はハンドル戻し制御機能を有し、ハンドル戻し制御機能により操舵角に応じた操舵フィーリングを補正する技術が記載されている。
特開2002−59855号公報(図2) 特開2000−177615号公報(図2) 特開平06−56046号公報(図1) 特開2007−99053号公報(図1〜図5)
しかしながら、特許文献4に記載の技術では、ハンドル戻し制御において、特許文献4の図2及び段落[0027]に記載のように、操舵角に応じて所定関数でハンドル戻し基本電流値を出力し、その値に、舵角速度に応じて舵角速度が大きいほど減衰する舵角速度感応ゲインと、車速に応じて車速が大きいほど減衰する車速感応ゲインとを乗じて、操舵補助力を設定する目標電流を補正する構成となっている。
その結果、ハンドル戻し基本電流値を操舵角に応じて設定する所定関数を、車両の特性に応じて設定する必要があり、車両の設計変更の都度シミュレーション計算又は実験に基づき所定関数の設定のやり直しが必要であった。また、特許文献4の図2では、車速感応ゲインが、車速ゼロでは、車速感応ゲインの値を1に設定しており、操向ハンドルの据え切り操作において、逆に運転者が操舵操作をするときの操舵力を増大させてしまう構成となっている。
本発明は、前記した従来の課題を解決する理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両に適用された電動パワーステアリング装置であって、低車速の場合の操舵角−操舵反力特性を、理想アッカーマンの特性に近づけて運転者に違和感を与えない電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
請求の範囲第1項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両に適用され、モータ制御手段によってモータに操舵補助力を発生させ、操舵補助力をステアリング系に伝達して操舵力を軽減させるものであって、操舵輪の操舵角を検出する操舵角センサと、操舵輪の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、操舵角センサで検出された操舵角に基づいて、目標操舵トルクを設定する目標操舵トルク設定手段と、目標操舵トルク設定手段により設定された目標操舵トルクと操舵トルクセンサによって検出された操舵トルクとのトルク偏差を演算するトルク偏差演算手段と、トルク偏差演算手段により算出されたトルク偏差に基づいて、モータによる操舵補助力を発生するための第1の目標電流値を演算する第1の目標電流値演算手段と、を備え、モータ制御手段は、第1の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
請求の範囲第2項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第1項に記載の発明において、理想未満のアッカーマン率である転舵機構とは、ステアリング系に操舵補助力が加えられない状態において、操舵輪から運転者に感じさせる操舵反力が、低車速領域のときに操舵角が大きくなると飽和するか、もしくは操舵反力が低減するようなパラレルジオメトリに近いものであることを特徴とする。
請求の範囲第1項及び第2項に記載の発明によれば、理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両において、低車速領域のときに操舵角が左右に大きくなると操舵反力が飽和するか、もしくは操舵反力が低減するようなパラレルジオメトリに近いものであっても、目標操舵トルク設定手段により設定された目標操舵トルクと、操舵トルクセンサによって検出された操舵トルクとのトルク偏差を演算するトルク偏差演算手段と、トルク偏差演算手段により算出されたトルク偏差に基づいて、モータによる操舵補助力を発生するための第1の目標電流値を演算する第1の目標電流値演算手段と、を備え、モータ制御手段は、第1の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。従って、左右に所定値以上の操舵角としたときに、目標操舵トルクと操舵トルクとのトルク偏差に基づいて第1の目標電流値を演算する構成になっているので、車体設計やモータの容量が異なる毎に第1の目標電流値演算手段における第1の目標電流値を演算するデータを試験等によって再設定するという煩雑な作業が不要な構成となっている。
また、トルク偏差に基づいて第1の目標電流値を演算する構成になっているので、例えば、低μ路面において操舵トルクが小さい場合においても、操舵反力を運転者に与えるように第1の目標電流値を最終的に出力するので、低μ路面、例えば、凍結路面における低車速走行状態における所定の左右の操舵角以上の領域における操舵感を違和感がなく運転者に与えることができる。
請求の範囲第3項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第1項に記載の発明の構成に加えて、更に、車速検出手段により検出された車速に応じて第1の目標電流値を補正して第2の目標電流値として出力する車速感応補正手段を備え、モータ制御手段は、前記第1の目標電流値にかえて第2の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
請求の範囲第3項に記載の発明によれば、車速に応じて第1の目標電流値を補正して第2の目標電流値として出力する車速感応補正手段を備え、モータ制御手段は、第2の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。その結果、車速感応補正手段から出力された第2の目標電流値により低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じように操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
そして、車速が中高車速領域においては、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操舵輪に与えるので、車速感応補正手段において第2の目標電流値を車速の増加に応じて連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
請求の範囲第4項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第1項に記載の発明の構成に加えて、更に、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に応じて第1の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、モータ制御手段は、前記第1の目標電流値にかえて第3の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
請求の範囲第4項に記載の発明によれば、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に応じて第1の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、モータ制御手段は、第3の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。
操舵角感応補正手段において、少なくとも操舵角が左右の所定値を超えないと第3の目標電流値が出力されないように設定することが可能なので、低アッカーマン率の転舵機構の車両において低車速状態であっても、操舵角−操舵トルク特性が高アッカーマン率の転舵機構の車両における操舵角−操舵トルク特性と同じ操舵角範囲では第3の目標電流値が0なので、操舵角が左右に所定値を超えた状態で、モータからの操舵補助力を効果的に得ることができる。
また、操舵角が左右の所定値の範囲内では、運転者は、転舵輪(前輪)からの路面情報を操舵反力の変化で感じ取ることができる。
請求の範囲第5項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第3項に記載の発明の構成に加えて、更に、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に応じて第2の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、モータ制御手段は、前記第2の目標電流値にかえて第3の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる操舵角感応補正手段から出力された第3の目標電流値がモータによる操舵補助力の補正に用いられることを特徴とする。
請求の範囲第5項に記載の発明によれば、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に応じて第2の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、モータ制御手段は、第3の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。
操舵角感応補正手段において、少なくとも操舵角が左右の所定値を超えないと第3の目標電流値が出力されないように設定することが可能なので、低アッカーマン率の転舵機構の車両において低車速状態であっても、操舵角−操舵トルク特性が高アッカーマン率の転舵機構の車両における操舵角−操舵トルク特性と同じ操舵角範囲では第3の目標電流値が0なので、操舵角が左右に所定値を超えた状態で、モータからの操舵補助力を効果的に得ることができる。
また、操舵角が左右の所定値の範囲内では、運転者は、転舵輪(前輪)からの路面情報を操舵反力の変化で感じ取ることができる。
請求の範囲第6項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第1項に記載の発明の構成に加えて、更に、少なくとも、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第3の目標電流値演算手段と、第4の目標電流値に第1の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、モータ制御手段は、前記第1の目標電流値にかえて第5の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
請求の範囲第6項に記載の発明によれば、加算手段には、第4の目標電流値が入力され、前記した第1の目標電流値に第4の目標電流値を加算演算した結果である第5の目標電流値に基づいて、モータ制御手段はモータに操舵補助力を発生させる。その結果、第1の目標電流値は、加算手段によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速の領域における操舵角が左右に所定値を超えて大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正して、第5の目標電流値が出力され、モータの出力する操舵補助力の制御に用いられる。
その結果、例えば、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
請求の範囲第7項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第3項に記載の発明の構成に加えて、更に、少なくとも、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、第4の目標電流値に第2の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、モータ制御手段は、前記第2の目標電流値にかえて第5の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
請求の範囲第7項に記載の発明によれば、加算手段には、第4の目標電流値が入力され、前記した第2の目標電流値に第4の目標電流値を加算演算した結果である第5の目標電流値に基づいて、モータ制御手段はモータに操舵補助力を発生させる。その結果、第4の目標電流値は、加算手段によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速の領域における操舵角が左右に所定値を超えて大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正して、第5の目標電流値が出力され、モータの出力する操舵補助力の制御に用いられる。
その結果、例えば、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
請求の範囲第8項及び第9項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第4項又は第5項に記載の発明の構成に加えて、更に、少なくとも、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、第4の目標電流値に第3の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、モータ制御手段は、前記第3の目標電流値にかえて第5の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
請求の範囲第8項及び第9項に記載の発明によれば、加算手段には、第4の目標電流値が入力され、前記した第3の目標電流値に第4の目標電流値を加算演算した結果である第5の目標電流値に基づいて、モータ制御手段はモータに操舵補助力を発生させる。その結果、第4の目標電流値は、加算手段によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速の領域における操舵角が左右に所定値を超えて大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正して、第5の目標電流値が出力され、モータの出力する操舵補助力の制御に用いられる。
その結果、例えば、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
請求の範囲第10項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第1項に記載の発明の構成に加えて、更に、第1の目標電流値の振動的変動幅を減衰させる変動幅抑制手段を備えることを特徴とする。
請求の範囲第11項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第10項に記載の発明の構成に加えて、更に、変動幅抑制手段は、操舵角センサにより検出された操舵角を時間微分して舵角速度を演算する舵角速度演算手段と、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に基づいて目標操舵角速度を演算する目標操舵角速度演算手段と、目標操舵角速度演算手段により演算された目標操舵角速度と舵角速度演算手段により演算された舵角速度との舵角速度偏差を演算する舵角速度偏差演算手段と、演算された舵角速度偏差に基づいて第6の目標電流値を演算する第3の目標電流値演算手段と、第1の目標電流値に第6の目標電流値を加算して振動的変動幅の減衰処理をし、加算手段に入力する減衰加算手段と、を有することを特徴とする。
請求の範囲第12項に係る発明の電動パワーステアリング装置は、請求の範囲第10項に記載の発明の構成に加えて、更に、変動幅抑制手段は、第1の目標電流値を所定の時定数でフィルタリング処理して振動的変動幅の減衰処理をすることを特徴とする。
請求の範囲第10項から第12項に記載の発明によれば、変動幅抑制手段により第1の目標電流値の振動的変動幅を減衰させることができるので、モータの出力する操舵補助力を時間的に振動させることなく安定に制御できる。
本発明によれば、理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両に適用された電動パワーステアリング装置において、低車速の場合の操舵角−操舵反力特性を、理想アッカーマンの特性に近づけて運転者に違和感を与えない電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態である電動パワーステアリング装置の構成図である。 第1の実施形態における制御装置の機能ブロック構成図である。 (a)は、ベース信号演算部がベーステーブルを用いてベース目標電流値の設定をする方法の説明図、(b)は、ダンパ補正信号演算部がダンパテーブルを用いてダンパ補正電流値の設定をする方法の説明図である。 操舵角感応目標操舵トルク設定部における操舵角感応目標操舵トルクの値の設定方法の説明図である。 車速感応ゲイン設定部における車速感応ゲインの設定方法の説明図である。 操舵角感応目標操舵角速度設定部における操舵角感応目標操舵角速度の値の設定方法の説明図である。 第1の実施形態の作用説明図であり、(a)は、中立点への戻し操作における操舵角の時間推移の説明図、(b)は、中立点への戻し操作における操舵反力の時間推移の説明図である。 第2の実施形態における制御装置の機能ブロック構成図である。 操舵角感応ゲイン設定部における操舵角感応ゲインの設定方法の説明図である。 第3の実施形態における制御装置のうちの低車速時操舵反力制御部の機能ブロック構成図である。 理想アッカーマンジオメトリの説明図である。 (a)は、低車速時のアッカーマン比率に応じた操舵角−操舵トルク特性の変化例を示す説明図、(b)は、中、高車速時のアッカーマン比率に対する操舵角−操舵トルク特性の変化例を示す説明図である。
《アッカーマン率と操舵角−操舵トルク特性》
先ず、図11、図12を参照しながら、本発明に関係する転舵機構における、理想アッカーマンジオメトリと理想未満のアッカーマン率の転舵機構、及びアッカーマン率の値に応じた低車速時に生じる操舵角−操舵トルク特性について説明する。
図11は、理想アッカーマンジオメトリの説明図、図12の(a)は、低車速時のアッカーマン比率に応じた操舵角−操舵トルク特性の変化例を示す説明図、図12の(b)は、中、高車速時のアッカーマン比率に対する操舵角−操舵トルク特性の変化例を示す説明図である。
4輪10F,10F,10R,10Rがスリップ角を発生せずにスムーズに低車速において旋回するためには、転舵輪(前輪)10F,10Fの内輪切れ角δinは外輪切れ角δoutより大きく、図12に示すような内外輪切れ角特性になっていれば、中心Ocの周りに旋回することができる。
そして、最小半径の旋回のために必要な最大の内外輪切れ角δinmax,δoutmaxは車両のホイールベース(前後車軸間距離LL)、トレッド(左右輪の幅LW)に応じて決められる。
ここで、前記したアッカーマン率は、左右いずれかに目一杯操舵したときの理想アッカーマンジオメトリにおける最小半径の旋回のために必要な最大の内輪切れ角δinmaxと、実際の設計における理想未満のアッカーマン率の転舵機構における最大の内外輪切れ角δin* max,δout* maxとから次式(1)によって定義される。

Figure 2012073760
そして、実際の設計では、理想アッカーマンジオメトリよりもパラレルリンクジオメトリに近づける転舵機構にしていることが多い。電動パワーステアリング装置による操舵補助力がなく、アッカーマン率が高い100%(図12の(a)の曲線X1)や80%(図12の(a)の曲線X2)のような場合には、低車速時、例えば、車速VS=5km/hの時に、操舵角θHを大きく取ると、操舵角θHが増大するにつれて操舵トルクTが増大し、運転者に操舵反力の増大を感じさせる操舵角−操舵トルク特性となる。
ちなみに、図12の(a)の操舵角−操舵トルク特性は、矢印で示したような左右一杯に連続的に操舵操作する場合の操舵角−操舵トルクの軌跡である。
これに対し、パラレルリンクジオメトリに近い、アッカーマン率50%(図12の(a)の曲線X3)、30%(図12の(a)の曲線X4)になると、操舵角θHがある程度大きくなると、例えば、θH0以上の大きい左右の操舵角θHとなると操舵トルクTの変化が平坦になったり、操舵角θHがある程度大きくなると操舵トルクTが逆に減少し、運転者に操舵角θHを増大させているのに操舵反力が飽和したり逆に低下したりして、より大きい操舵角θHに引き込まれるような操舵感を与える操舵角−操舵トルク特性となる。
しかしながら、車速VSが増大して、中・高車速になるとアッカーマン率50%,30%(図12の(a)の曲線X4)でも、図12の(b)に、例えば、車速VS=30km/hの例に示すように、アッカーマン率100%の場合(曲線X1)との差は小さく、操舵角θHを大きく取ると、操舵角θHが増大するにつれて操舵トルクTが増大し、運転者に操舵反力の増大を感じさせる操舵角−操舵トルク特性となる。
特に、軽自動車やコンパクト車のように最小半径をできるだけ小さく取って、小回りの効くことを求められる度合いが小さい、中型車、大型車等では、アッカーマン率50%でも要求される旋回性能は満たされるが、前記した図12の(a)の曲線X3,X4のような低車速時の操舵角−操舵トルク特性は、運転者に与える操舵フィーリングとしては好ましくない。
そのため、本発明では、そのような低アッカーマン率の転舵機構を有する車両に適用される電動パワーステアリング装置において、低車速時の操舵角が左右に所定以上の場合の操舵反力を増大させるものを提供することを目的とし、以下で本発明の実施形態について説明する。
《第1の実施形態》
本発明の実施形態である電動パワーステアリング装置を、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である電動パワーステアリング装置の構成図であり、図2は、第1の実施形態における制御装置の機能ブロック構成図である。
(電動パワーステアリング装置の全体構成)
図1において、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル(操舵輪)2が設けられたメインステアリングシャフト3と、シャフト1と、ピニオン軸5とが、2つのユニバーサルジョイント(自在継手)4,4によって連結されている。また、ピニオン軸5の下端部に設けられたピニオンギア7は、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9,9を介して左右の転舵輪10F,10Fの図示しないナックルアームが連結されている。この構成により、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2の操舵時に車両の進行方向を変えることができる。
ここで、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9,9、ナックルアームは転舵機構を構成する。そして、本実施形態における電動パワーステアリング装置100を適用する車両の転舵機構は、タイロッド9とナックルアームのリンケージ位置が、理想アッカーマンジオメトリよりもアッカーマン率が小さい、例えば、50%以下のパラレルリンクに近いものである。
なお、ピニオン軸5は、その下部、中間部、上部を軸受6a,6b,6cを介してステアリングギアボックス20に支持されている。
また、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2による操舵力を軽減するための操舵補助力を供給する電動機11を備えており、この電動機11の出力軸に設けられたウォームギア12が、ピニオン軸5に設けられたウォームホイールギア13に噛合している。すなわち、ウォームギア12とウォームホイールギア13とで減速機構が構成されている。
ここで、シャフト1と、操向ハンドル2と、電動機11の回転子と、電動機11に連結されているウォームギア12及びウォームホイールギア13と、ピニオン軸5とラック軸8とラック歯8aとタイロッド9,9等により、ステアリング系が構成される。
電動機(モータ)11は、複数の界磁コイルを備えた固定子(図示せず)とこの固定子の内部で回動する回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモータである。
また、電動パワーステアリング装置100は、制御装置(モータ制御手段)200、電動機11を駆動するインバータ60、レゾルバ50、ピニオン軸5に加えられるピニオントルク、つまり、操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ30と、操舵トルクセンサ30の出力を増幅する差動増幅回路40と、車速センサ35と、操向ハンドル2の操作角を検出する操舵角センサ52とを備えている。
なお、図1において制御装置200と代表的に表示しているが、( )内に表示の制御装置(モータ制御手段)200Aは、第1の実施形態における制御装置に、制御装置(モータ制御手段)200Bは、第2の実施形態における制御装置に、制御装置(モータ制御手段)200Cは、第3の実施形態における制御装置に対応している。
インバータ60は、例えば、3相のFETブリッジ回路のような複数のスイッチング素子を備え、制御装置200からのDUTY(図2中では、「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)信号を用いて、矩形波電圧を生成し、電動機11を駆動するものである。また、インバータ60は、例えば、ホール素子等の電流センサSIu,SIv,SIw(図2参照)を用いて3相の実電流値I(図2中では、「Iu」,「Iv」,「Iw」と表示)を検出して制御装置200に入力する機能を有している。ちなみに、図2では、電流センサSIu,SIv,SIwを分かり易いようにインバータ60の外部に表示してある。
レゾルバ50は、電動機11の回転子の回転角θMを検出し、それに対応する角度信号を出力するものであり、例えば、周方向に等間隔の複数の凹凸部を設けた磁性回転体に磁気抵抗変化を検出する検出回路を近接させた可変リラクタンス型のレゾルバである。
操舵角センサ52で検出された操向ハンドル2の操作角を示す信号は制御装置200に入力され、図示しないが転舵輪10F,10Fの操舵角θHに換算される。
図1に戻って、操舵トルクセンサ30は、ピニオン軸5に加えられるピニオントルク、つまり、操舵トルクTを検出するものであり、例えば、ピニオン軸5の軸方向2箇所に逆方向の異方性となるように磁性膜が被着され、各磁性膜の表面に検出コイルがピニオン軸5に離間して挿入されている。差動増幅回路40は、検出コイルがインダクタンス変化として検出した2つの磁歪膜の透磁率変化の差分を増幅し、操舵トルクTを示す信号を制御装置200に入力する。
車速センサ35は、車両の車速VSを単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速VSを示す信号を出力する。
《制御装置》
次に、図2を参照しながら、適宜、図1、図3から図6を参照して、第1の実施形態における制御装置(モータ制御手段)200Aの構成と機能について説明する。図3の(a)は、ベース信号演算部がベーステーブルを用いてベース目標電流値の設定をする方法の説明図、(b)は、ダンパ補正信号演算部がダンパテーブルを用いてダンパ補正電流値の設定をする方法の説明図である。
制御装置200Aは、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory )等を備えるマイクロコンピュータ、インタフェース回路及びROMに格納されたプログラムからなり、図2の機能ブロック構成図に記載される機能を実現する。
図2の制御装置200Aは、ベース信号演算部(第2の目標電流値演算手段)220、イナーシャ補償信号演算部210、ダンパ補正信号演算部225、q軸PI制御部240、d軸PI制御部245、2軸3相変換部260、PWM変換部262、3相2軸変換部265、励磁電流生成部275、低車速時操舵反力制御部300A等を有する。
(ベース信号演算部220)
ベース信号演算部220は、差動増幅回路40(図1参照)からの操舵トルクTを示す信号と、車速センサ35(図1参照)からの車速VSを示す信号に基づいて、電動機11(図1参照)の出力する操舵補助力の基準となる目標値であるベース目標電流値(第4の目標電流値)IBを生成する。このベース目標電流値IBの生成は、予め実験測定等によって設定されたベーステーブル220aを、操舵トルクTと車速VSとで参照することによって行われる。
図3の(a)に、ベーステーブル220aに格納されているベース目標電流値IBの関数を示す。図3では、操舵トルクTの値が正の場合の例で示してあるが、操舵トルクTが負の場合は、ベース目標電流値IBの値は負になり、不感帯N1の幅も負側に設定される。右側への転舵操作の操舵トルクTを正(+)、左側への転舵操作の操舵トルクTを負(−)としたとき、以下の説明では、左右の操舵トルクTによる違いは、±の符号のみであるので、代表して+側(右側)の説明を行い、左側(−側)については、適宜省略する。
ちなみに、不感帯上限トルク、不感帯下限トルクも±符号の違いであるので、不感帯下限トルクの説明も適宜省略する。
また、ベース目標電流値IBは、+側の値が右方向への操舵補助力を発生させる電動機11への電流値であり、−側の値が左方向への操舵補助力を発生させる電動機11への電流値である。後記するダンパ補正電流値ID、イナーシャ補償電流値II、q軸目標電流値ITG1,q軸目標電流値Iq*、目標電流値ITFB1,ITFB2,ITFB3、補正電流値IωFB等の電流値の±も、+側の値が操向ハンドル2に右方向への操舵補助力を与えたり、右方向への操舵反力を与え、−側の値が操向ハンドル2に左方向への操舵補助力を与えたり、左方向への操舵反力を与えることを意味する。
ちなみに、操舵角θHについても中立状態から左側を負値とし、右側を正値として以下では示してある。
図3の(a)に即して操舵トルクTが正値の場合を例に説明すると、ベース信号演算部220は、ベーステーブル220aを用い、操舵トルクTの正値が小さいときはベース目標電流値IBがゼロに設定される正値側の不感帯N1が設けられ、操舵トルクTの値がこの不感帯N1の正値の上限値(不感帯上限トルク)以上になると、ベース目標電流値IBがゲインG1で直線的に増加する特性を備えている。また、ベース信号演算部220は、所定の操舵トルク値で出力はゲインG2で増加し、更に操舵トルク値が増加すると出力が所定の正の飽和値に達する特性を備えている。
ここで、正値側の不感帯N1及び負値側の不感帯N1を合わせて、以後、単に、「不感帯N1」と称する。
また、一般に車両は、走行速度に応じて路面の負荷(路面反力)が異なるため、車速VSにより不感帯上限トルクの値、ゲインG1,G2、ベース目標電流値|IB|の飽和値が調整される。車速ゼロの据え切り操作時が最も負荷が重く中低速では比較的負荷が軽くなる。このため、ベース信号演算部220は、車速VSが大きく高速になるにしたがってゲイン(G1,G2)及び飽和値の絶対値を低く、かつ、不感帯上限トルクを大きく設定して、マニュアルステアリング領域を大きくとって路面情報を運転者に与える。
すなわち、車速VSの増大に応じてしっかりとした操舵トルクTの手応え感が付与される。このとき、マニュアルステアリング領域においてもイナーシャ補償がなされることが必要である。
(ダンパ補正信号演算部225)
図2に戻り、ダンパ補正信号演算部225は、ステアリング系が備える粘性を補償するため、又、車両が高速走行時に収斂性が低下する際にこれを補正するステアリングダンパ機能を有するために設けられるものであり、ダンパ補正信号演算部225のダンパテーブル225aを用いて、電動機11の回転角速度ωMを参照して演算される。図3の(b)は、ダンパテーブル225aに格納されているダンパ補正電流値IDの関数を示す。図3の(b)は、電動機11の回転角速度ωMの値が正の場合で示してあるが、回転角速度ωMの値が負の場合は、ダンパ補正電流値IDの値は負になる。先ず、図3の(b)に即して回転角速度ωMの値が正の場合を例に説明すると、電動機11の回転角速度ωMが増加するほどダンパ補正電流値IDが直線的に増加し、所定の回転角速度ωMでダンパ補正電流値が急激に増加し車速VSに応じた所定の正の飽和値となる特性を備えている。
同様に、回転角速度ωMの値が負の場合は、電動機11の回転角速度ωMが負値方向に増加するほどダンパ補正電流値IDが直線的に負値方向に増加し、所定の回転角速度ωMでダンパ補正電流値IDが負値方向に急激に増加し車速VSに応じた所定の負の飽和値となる特性を備えている。
また、車速VSの値が高いほど、ゲイン、飽和値の絶対値の両方を大きくして電動機11の回転角速度、すなわち、操舵角速度に応じて電動機11の出力する操舵補助力を、減算器251でベース目標電流値IBからダンパ補正電流値IDを減算することで減衰させている。
言い換えれば、切り増し時には、操向ハンドル2の回転速度が高くなるに従って、電動機11への切り増し方向の操舵補助力電流の値を小さくして操向ハンドル2の操舵感を重く切りづらくし、操向ハンドル2の戻し時には電動機11へ戻し操作に対する反力方向の電流を大きくして戻りづらくしている。このステアリングダンパ効果により、操向ハンドル2の収斂性を向上させ、車両の旋回運動特性を安定化させることができる。
(減算器251)
再び図2に戻り、減算器251は、ベース信号演算部220のベース目標電流値IBからダンパ補正信号演算部225のダンパ補正電流値IDを減算し、その結果を加算器250に入力する。
(イナーシャ補償信号演算部210)
イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性による影響を補償するものであり、イナーシャ補償信号演算部210のイナーシャテーブル210aを用いて操舵トルクTを参照して、前記したイナーシャ補償電流値IIを演算する。
イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転子の慣性による応答性の低下をも補償している。言い換えれば、電動機11は正回転から逆回転に、又は、逆回転から正回転に回転方向を切り替える際、慣性によってその状態を持続させようとするので直ぐには回転方向が切り替わらない。そこで、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転方向の切り替わりが操向ハンドル2の回転方向が切り替わるタイミングに一致するように制御している。このようにして、イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性や粘性による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与している。また、FF(Front engine Front wheel drive)やFR(Front engine Rear wheel drive)車、RV(Recreation Vehicle)やセダン等の車両特性や車速、路面等の車両状態によって異なる操舵特性に対して、実用上十分な特性が付与される。
(加算器250,252、減算器253、q軸PI制御部240)
加算器250は、減算器251からの入力とイナーシャ補償信号演算部210のイナーシャ補償電流値IIとを加算するものである。加算器250の出力信号であるq軸目標電流値ITG1は、電動機11の出力トルクを規定するq軸電流の目標信号であり、加算器(加算手段)252に入力される。
加算器252には、低車速時操舵反力制御部300Aからの後記する目標電流値(第2の目標電流値)ITFB3が入力され、前記したq軸目標電流値ITG1に目標電流値ITFB3を加算演算した結果であるq軸目標電流値Iq*(第5の目標電流値)を、減算器253に入力する。その結果、q軸目標電流値Iq*は、加算器252によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速VSの領域における操舵角θHが左右に所定値以上大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正されて、減算器253に入力される。
減算器253には、3相2軸変換部265からq軸実電流値Iqが入力され、前記したq軸目標電流値Iq*からq軸実電流値Iqを減算した結果を、q軸PI制御部240に制御信号である偏差値ΔIq*として入力する。
q軸PI制御部240は、偏差値ΔIq*が減少するように、P(比例)制御及びI(積分)制御のフィードバック制御を行い、q軸目標信号であるq軸目標電圧値Vq*を得て、2軸3相変換部260に入力する。
(励磁電流生成部275、減算器254、d軸PI制御部245)
励磁電流生成部275は、電動機11のd軸目標電流値Id*の目標信号として「0」を生成するが、必要に応じd軸目標電流値Id*とq軸目標電流値Iq*とを略等しくすることにより、弱め界磁制御を行うことができる。
減算器254には、3相2軸変換部265からd軸実電流値Idが入力され、前記したd軸目標電流値Id*からd軸実電流値Idを減算した結果を、d軸PI制御部245に制御信号である偏差値ΔId*として入力する。
d軸PI制御部245は、偏差値ΔId*が減少するように、P(比例)制御及びI(積分)制御のPIフィードバック制御を行い、d軸目標信号であるd軸目標電圧値Vd*を得て、2軸3相変換部260に入力する。
(2軸3相変換部260、PWM変換部262)
2軸3相変換部260は、回転角θMを用いてd軸目標電圧値Vd*及びq軸目標電圧値Vq*の2軸信号を3相信号Uu*,Uv*,Uw*に変換する。PWM変換部262は、3相信号Uu*,Uv*,Uw*の大きさに比例したパルス幅のON/OFF信号[PWM(Pulse Width Modulation)信号]であるDUTY信号(図2中では「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)を生成する。
なお、2軸3相変換部260及びPWM変換部262には、レゾルバ50から電動機11の回転角θMを示す信号が入力され、回転子の回転角θMに応じた演算や制御がなされる。
(3相2軸変換部265)
3相2軸変換部265は、インバータ60の電流センサSIu,SIv,SIwが検出する、電動機11の3相の実電流値Iu,Iv,Iwを、回転角θMを用いてd−q座標系のd軸実電流値Id、q軸実電流値Iqに変換し、d軸実電流値Idを減算器254に入力し、q軸実電流値Iqを減算器253に入力する。
ちなみに、q軸実電流値Iqは電動機11の発生トルクに比例し、d軸実電流値Idは励磁電流に比例する。
(回転角速度演算部270)
回転角速度演算部270は、入力された回転角θMを時間微分して回転角速度ωMを算出し、ダンパ補正信号演算部225に入力する。
《低車速時操舵反力制御部300A、加算器252》
次に、図2、及び図4から図6を参照しながら本実施形態における特徴的な構成である低車速時操舵反力制御部300Aについて説明する。
図4は、操舵角感応目標操舵トルク設定部における操舵角感応目標操舵トルクの値の設定方法の説明図、図5は、車速感応ゲイン設定部における車速感応ゲインの設定方法の説明図、図6は、操舵角感応目標操舵角速度設定部における操舵角感応目標操舵角速度の値の設定方法の説明図である。
図2に示すように、低車速時操舵反力制御部300Aは、目標操舵トルク演算部(目標操舵トルク設定手段)280、減算器(トルク偏差演算手段)281、電流換算部(第1の目標電流値演算手段)282、加算器283、車速感応ゲイン設定部(車速感応補正手段)284、乗算器(車速感応補正手段)285A、目標操舵角速度演算部(目標操舵角速度演算手段)290、操舵角速度演算部(舵角速度演算手段)291、減算器(舵角速度偏差演算手段)292、補正電流換算部(第3の目標電流値演算手段)293を含んで構成され、乗算器285Aから出力される目標電流値ITFB3(第2の目標電流値)が加算器252に入力される。そして、加算器252において前記したように加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1に目標電流値ITFB3が加算され、減算器253にq軸目標電流値Iq*として出力される。
以下に、詳細に低車速時操舵反力制御部300Aの構成と機能を説明する。
(目標操舵トルク演算部280)
目標操舵トルク演算部280は、図4に示すように入力された操舵角θHに基づいて、目標操舵トルクKT(θH)を演算して、減算器281に入力する。以下では目標操舵トルクKT(θH)を「操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)」と称する。操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)の関数形状は、操舵角θHに応じて、操舵角θHが右側(+側)に増大すると操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)も+側に増大し、操舵角θHが左側(−側)に増大すると操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)も−側に増大するように設定されている。
この操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)の関数形状は、アッカーマン率が、例えば、80〜100%の転舵機構の車両において低車速領域、例えば、5km/h〜30km/h未満の車速VSの領域において、生じる操舵トルクを予めシミュレーション計算等によって計算して決定するものであり、ここでは、低車速領域に対し1つの関数形状が設定されるものとしている。
(減算器281)
減算器281には、操舵トルクセンサ30からの操舵トルクTの信号と、目標操舵トルク演算部280から操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)の信号とが入力され、操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)から操舵トルクTを減算してその結果のトルク偏差を電流換算部282に入力する。つまり、操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)に対して実操舵トルクである操舵トルクTのフィードバックを加えて、トルク偏差を求めて後記するように電流換算部282において目標電流値(第1の目標電流値)ITFB1を演算している。
(電流換算部282)
電流換算部282は、減算器281から入力されたトルク偏差に応じて目標電流値ITFB1を演算するが、50%以下の低アッカーマン率の転舵機構を採用した車両において、車両が低速度走行状態では、操舵角θHが左右に大きくなると、操舵トルクTの絶対値が操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)の絶対値よりも小さくなり、目標電流値ITFB1は、中立点に戻すような符号となる。例えば、右方向への操舵の場合は−側の値になり、左方向への反力成分が増加し、左方向への操舵の場合は+側の値になり、右方向への反力成分が増加することになる。つまり、電流換算部282においてトルク偏差から目標電流値ITFB1を演算するために用いるゲインGTFB1(図示せず)は、例えば、定数の負値である。
ちなみに、右方向への操舵の場合に、操舵トルクTの値が操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)の値よりも大きいときは、目標電流値ITFB1は+側の値になり、右方向への操舵補助力となる。逆に、左方向への操舵の場合に、操舵トルクTの負値の絶対値が操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)の負値の絶対値よりも大きいときは、目標電流値ITFB1は−側の値になり、左方向への操舵補助力となる。
(車速感応ゲイン設定部284)
車速感応ゲイン設定部284において、50%以下の低アッカーマン率の転舵機構を採用した車両において、低車速領域、例えば、5〜30km/hの車速領域において、操舵角θHの絶対値が所定値以上のとき、アッカーマン率が、例えば、80〜100%の転舵機構の車両における操舵反力と異なる違和感を運転者に与えることを緩和するため、その車速領域でのみゲインGTFB2を1.0とする。そして、停止状態を含む、例えば、5km/h未満の車速領域では、図5に示すように不感帯を含む低値のゲインGTFB2とし、5km/hに接近するにつれゲインGTFB2の値が1.0にまで急増し、5〜30km/h未満車速領域ではゲインGTFB2=1.0の値とし、車速VSが30km/h以上では、例えば、直線的になだらかに0にゲインGTFB2の値が低減する。
ちなみに、前記した不感帯では、ゲインGTFB2の値が0(ゼロ)である。
このように車速感応ゲイン設定部284は、ゲインGTFB2の値を設定することにより、操向ハンドル2(図1参照)の据え切り操作時の電動機11の出力する操舵補助力の低下を抑制しつつ、アッカーマン率が、例えば、80〜100%の転舵機構の車両のように低車速領域での操舵反力を付与することができる。また、車速VSが30km/h以上になると低車速時操舵反力制御部300Aによる操舵反力の増加を低減して、通常の電動パワーステアリング装置と同様な制御にスムーズに切り替わっていく。
車速感応ゲイン設定部284で設定されたゲインGTFB2の値は、乗算器285Aに入力される。
(目標操舵角速度演算部290)
目標操舵角速度演算部290は、図6に示すように入力された操舵角θH及び車速VSに基づいて、操向ハンドル2(図1参照)の中立点(直進状態)へ戻す方向の目標操舵角速度KωH(θH)を演算して、減算器292に入力する。以下では目標操舵角速度KωH(θH)を「操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)」と称する。目標操舵角速度KωH(θH)の関数は、車速VSをパラメータとして、操舵角θHに基づいて設定され、車速VSに対して補間演算するようにしてある。
(操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293)
操舵角速度演算部291は、操舵角センサ52からの操舵角θHを示す信号を時間微分して操舵角速度ωHを演算し、減算器292に入力する。
減算器292には、目標操舵角速度演算部290から操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)の信号と、操舵角速度演算部291からの操舵角速度ωHの信号が入力され、操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)から操舵角速度ωHを減算してその結果の操舵角速度偏差値を補正電流換算部293に入力する。
補正電流換算部293は、減算器292から入力された操舵角速度偏差値に所定の一定ゲインGωFBを乗じて、補正電流値(第6の目標電流値)IωFBに換算して、加算器(減衰加算手段)283に入力する。
ちなみに、操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)は、常に操向ハンドル2(図1参照)の中立点への戻り方向の目標操舵角速度として設定される。従って、減算器292及び補正電流換算部293による演算により、運転者による操向ハンドル2の左右方向への切り増し操作時には、操向ハンドル2の操作に対する反力成分を与えることになる。
また、運転者による操向ハンドル2の中立点への戻し操作時には、減算器292及び補正電流換算部293による演算により、操舵角速度演算部291からの実際の操舵角速度ωHが、操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)より速い中立点への戻し操作の場合は、速く中立点に戻らないようにする反力成分を与える。逆に実際の操舵角速度ωHが、操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)より遅い中立点への戻し操作の場合は、操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)になるように操舵補助を与える。
(加算器283、乗算器285A)
加算器283は、電流換算部282から目標電流値ITFB1を入力され、補正電流換算部293から補正電流値IωFBを入力され、目標電流値ITFB1に補正電流値IωFBを加算して補正された目標電流値(補正された第1の目標電流値)IωFB2を乗算器285Aに入力する。
乗算器285Aは、補正された目標電流値(補正された第1の目標電流値)ITFB2に車速感応ゲイン設定部284から入力されたゲインGTFB2を乗じてその結果を目標電流値ITFB3(第2の目標電流値)として加算器252に入力する。
図7は、第1の実施形態の作用説明図であり、(a)は、中立点への戻し操作における操舵角の時間推移の説明図、(b)は、中立点への戻し操作における操舵反力の時間推移の説明図である。
減算器292において操舵角速度偏差値を演算し、補正電流換算部293において補正電流値IωFBに換算して、加算器283に入力する効果を以下に説明する。
操舵角θHが左右に所定値以上のときに操舵角θHの時間変化率に対する減算器281から出力されるトルク偏差の値の変化が大きく、目標電流値ITFB1の時間的な変動が大きくなって、例えば、図7の(b)に破線で示すZ2の操舵反力の時間推移の曲線のように操向ハンドル2(図1参照)の戻し操作において振動的となる。これに対し、補正電流値IωFBを加算器283に入力して目標電流値ITFB1を補正することにより、図7の(b)の実線で示す曲線Z1のようにスムーズに低車速領域の操舵反力の補正がなされる。
そして、この結果、低車速領域における操舵角θHの変化が、低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両にありがちな、左右に大きい操舵角θHにおける操舵反力の飽和やハンドル取られの違和感が解消され、高アッカーマン率、例えば、80〜100%の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角θHが増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を安定的に運転者に与えることができる。
ここで、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293及び加算器283は、請求の範囲に記載の「変動幅抑制手段」を構成する。
本実施形態によれば、例えば、アッカーマン率が30〜50%の低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率、例えば、80〜100%の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角θHが増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、例えば、車速VSが5〜30km/hの低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
そして、車速VSが30km/h以上の中高車速領域においては、アッカーマン率が30〜50%の低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角θH以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操向ハンドル2に与えるので、目標電流値ITFB3の値は急速に連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
また、高アッカーマン率が、例えば、80〜100%の転舵機構を適用した車両が停止又は極低速状態において、操向ハンドル2をほぼ据え切り操作する場合に、左右のいずれかに操舵角θHを一杯に切るとき、高アッカーマン率の場合ほど、切り増し方向側(旋回内側方向)の転舵輪10F(図1参照)の切れ角が大きくなり、切り増し方向側の転舵輪10Fの転舵負荷が増大し、そのために電動機11の出力するべき操舵補助力を大きくする必要があり、電動機11の容量を大きくする必要がある。
しかし、本実施形態のようにアッカーマン率が30〜50%の低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両においては、車両が停止又は極低速状態において、操向ハンドル2をほぼ据え切り操作する場合に、左右のいずれかに操舵角θHを一杯に切るときにも、高アッカーマン率の場合ほど、切り増し方向側の転舵輪10F(図1参照)の切れ角が大きくならないことから切り増し方向側の転舵輪10Fの転舵負荷が前記した高アッカーマン率の場合よりも減少し、電動機11の容量を低減でき、最終的に車体重量を軽減して燃費改善に寄与することができる。
更に、本実施形態では、車速感応ゲイン設定部284と乗算器285Aを設けたことにより、車両が停止又は極低車速状態(車速VSが5km/h未満)及び、車速VSが中高車速以上(例えば、車速VSが30km/h以上)では、アッカーマン率が30〜50%の低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両に特有の所定値以上の操舵角θHの場合の操舵反力の飽和や逆に減少という違和感を運転者に与えずに済む。
また、特許文献4の図2のハンドル戻し制御部130の基本電流部131のように操舵角θHに応じてハンドル戻し基本電流値Irhを設定する構成であり、車体設計や電動機11の容量が異なる毎にハンドル戻し基本電流値Irhのデータを設定変更する必要がある。
それに対し、本実施形態においては、目標操舵トルク演算部280において操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)を設定し、操舵トルクTとのトルク偏差に基づいて目標電流値ITFB1を演算する構成になっているので、車体設計や電動機11の容量が異なる毎にゲインGTFB1、GωFBを調整するだけで済み極めて調整が簡単な構成となっている。
また、本実施形態においては、前記したように目標操舵トルク演算部280において操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)を設定し、操舵トルクTとのトルク偏差に基づいて目標電流値ITFB1を演算する構成になっているので、低μ路面において操舵トルクTが小さい場合においても、操舵反力を運転者に与えるように低車速時操舵反力制御部300Aが目標電流値ITFB3を最終的に出力するので、低μ路面、例えば、凍結路面における低車速走行状態における所定の左右の操舵角θH以上の領域における操舵感を違和感がなく運転者に与えることができる。
ちなみに、本実施形態では、乗算器285Aを設けて、車速感応ゲイン設定部284で設定されたゲインGTFB2の値を補正された目標電流値ITFB2に乗じたが、それに限定されるものではない。
乗算器285Aを削除し、ゲインGTFB2の値を電流換算部282に入力し、電流換算部282においてトルク偏差にゲインGTFB1とゲインGTFB2とを乗じるとともに、ゲインGTFB2の値を補正電流換算部293に入力し、補正電流換算部293において操舵角速度偏差値にゲインGωFBとゲインGTFB2とを乗じる構成としても良い。
もしくは、乗算器285Aを削除し、ゲインGTFB2の値を電流換算部282に入力し、電流換算部282においてトルク偏差にゲインGTFB1とゲインGTFB2とを乗じる構成としても良い。
《第1の実施形態の変形例》
第1の実施形態において制御装置200Aは、イナーシャ補償信号演算部210、ベース信号演算部220、ダンパ補正信号演算部225、加算器250、減算器251、加算器252、加算器283、車速感応ゲイン設定部284、乗算器285A、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293を含んだ構成としているが、それに限定されるものではない。
(第1の実施形態の第1変形例)
次に、第1の実施形態の第1変形例について説明する。
本変形例では、制御装置200Aは、イナーシャ補償信号演算部210、ベース信号演算部220、ダンパ補正信号演算部225、加算器250、減算器251、加算器252、加算器283、車速感応ゲイン設定部284、乗算器285A、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が全て削除されている。
つまり、電流換算部282から出力される第1の目標電流値である目標電流値ITFB1が、直接に減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両において、低車速領域のときに操舵角が左右に大きくなると操舵反力が飽和するか、もしくは操舵反力が低減するようなパラレルジオメトリに近いものであっても、減算器281において目標操舵トルク演算部280により設定された操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)と、操舵トルクセンサ30によって検出された操舵トルクTとのトルク偏差を演算する。そして、減算器281により算出されたトルク偏差に基づいて、電流換算部282が電動機11による操舵補助力又は操舵反力を発生させる。従って、左右に所定値以上の操舵角としたときに、操舵角感応目標操舵トルクKT(θH)と操舵トルクTとのトルク偏差に基づいて第1の目標電流値である目標電流値ITFB1を演算する構成になっているので、車体設計やモータの容量が異なる毎に目標操舵トルク演算部280において目標電流値ITFB1を演算するデータを試験等によって再設定するという煩雑な作業が不要で、電流換算部282のゲインGTFB1を変更するだけの簡単な構成とできる。
(第1の実施形態の第2変形例)
次に、第1の実施形態の第2変形例について説明する。
本変形例では、制御装置200Aは、イナーシャ補償信号演算部210、ベース信号演算部220、ダンパ補正信号演算部225、加算器250、減算器251、加算器252、加算器283、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、電流換算部282から出力される第1の目標電流値である目標電流値ITFB1が、車速感応ゲイン設定部284から出力されたゲインGTFB2により乗算器285Aにおいて乗算されることで補正され、第2の目標電流値である目標電流値ITFB3となり、直接に減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、前記した第1変形例の効果に加え、車速VSに応じて第1の目標電流値である目標電流値ITFB1を補正して第2の目標電流値である目標電流値ITFB3として出力する車速感応ゲイン設定部284及び乗算器285Aを備えているので、制御装置200Aは、目標電流値ITFB3に基づいて電動機11に操舵補助力又は操舵反力を発生させる。その結果、乗算器285Aから出力された目標電流値ITFB3により低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じように操舵角θHが左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
そして、車速VSが中高車速領域においては、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操向ハンドル2に与えるので、車速感応ゲイン設定部284及び乗算器285Aにおいて目標電流値ITFB3を車速VSの増加に応じて連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
(第1の実施形態の第3変形例)
次に、第1の実施形態の第3変形例について説明する。
本変形例では、制御装置200Aは、加算器283、車速感応ゲイン設定部284、乗算器285A、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、電流換算部282から出力される第1の目標電流値である目標電流値ITFB1が、加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1と加算器252において加算され、第5の目標電流値であるq軸目標電流値Iq*となり、減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、加算器252には、少なくとも第4の目標電流値であるベース目標電流値IBを考慮したq軸目標電流値ITG1が入力され、第1の目標電流値である目標電流値ITFB1に少なくともベース目標電流値IBを加算演算した結果である第5の目標電流値であるq軸目標電流値Iq*に基づいて、制御装置200Aは電動機11に通常の高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じようにベース目標電流値IBによる電動機11からの操舵補助力の出力が制御できる。それに加え、目標電流値ITFB1は、加算器252によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速の領域における操舵角θHが左右に所定値を超えて大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正して、q軸目標電流値Iq*として減算器253に出力され、電動機11の出力する操舵補助力又は操舵反力の制御に用いられる。
その結果、例えば、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角θHが左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
(第1の実施形態の第4変形例)
次に、第1の実施形態の第4変形例について説明する。
本変形例では、制御装置200Aは、加算器283、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、電流換算部282から出力される第1の目標電流値である目標電流値ITFB1が、車速感応ゲイン設定部284から出力されたゲインGTFB2により乗算器285Aにおいて乗算されることで補正され、第2の目標電流値である目標電流値ITFB3となり、加算器252に出力され、更に、加算器252において加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1と加算され、第5の目標電流値であるq軸目標電流値Iq*となり、減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、第1の実施形態の第3変形例の効果に加えて、車速VSが中高車速領域においては、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操向ハンドル2に与えるので、車速感応ゲイン設定部284及び乗算器285Aにおいて目標電流値ITFB3を車速VSの増加に応じて連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
《第2の実施形態》
次に、図8、図9を参照しながら、適宜、図4、図12を参照して第2の実施形態の電動パワーステアリング装置100における制御装置(モータ制御手段)200Bについて説明する。
第2の実施形態における電動パワーステアリング装置100の制御装置200Bが、第1の実施形態における電動パワーステアリング装置100の制御装置200Aと異なる点は、低車速時操舵反力制御部300Aが低車速時操舵反力制御部300Bに置き換わった点である。
第1の実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付し重複する説明を省略する。図8は、第2の実施形態における制御装置の機能ブロック構成図であり、図9は、操舵角感応ゲイン設定部における操舵角感応ゲインの設定方法の説明図である。
(低車速時操舵反力制御部300B)
図8に示すように、低車速時操舵反力制御部300Bは、目標操舵トルク演算部280、減算器281、電流換算部282、加算器283、車速感応ゲイン設定部(車速感応補正手段)284、乗算器(車速感応補正手段、操舵角感応補正手段)285B、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293、操舵角感応ゲイン設定部(操舵角感応補正手段)294を含んで構成され、乗算器285Bから出力される目標電流値(第3の目標電流値)ITFB3が加算器252に入力される。そして、加算器252において前記したように加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1に目標電流値ITFB3が加算され、減算器253にq軸目標電流値(第5の目標電流値)Iq*として出力される。
前記したように第1の実施形態と異なり、第2の実施形態における低車速時操舵反力制御部300Bは、新たに操舵角感応ゲイン設定部294を含み、乗算器285Aの代わりに乗算器285Bを有している。
(操舵角感応ゲイン設定部294、乗算器285B)
操舵角感応ゲイン設定部294は、図9に示すように操舵角θHに応じてゲインGθHを、左右に操舵角θHの絶対値が0〜θH1までは、0(ゼロ)とし、操舵角θHの値がθH1を超えてθH2までは、連続的に、例えば、直線的に増加し、操舵角θHの値がθH2以上では、1.0と設定する。
そして操舵角感応ゲイン設定部294で設定されたゲインGθHと、車速感応ゲイン設定部284で設定されたゲインGTFB2と、加算器283で演算された補正された目標電流値ITFB2とは、乗算器285Bに入力される。
乗算器285Bは、補正された目標電流値ITFB2に、ゲインGθHとゲインGTFB2とを乗じて目標電流値ITFB3(ITFB3=ITFB2×GθH×GTFB2)(第3の目標電流値)を演算し、加算器252に出力する。
操舵角感応ゲイン設定部294における、θH1の値は、例えば、図12の(a)における、θH0の値又はそれより小さい値に設定する。そうすると、図9に示すような操舵角θHに応じたゲインGθHを設定する場合、例えば、操舵角θHの絶対値が0からθH1を経てθH2に増大すると、ゲインGθHは操舵角θHの絶対値がθH1の値を超えると連続的に0から増加して1.0に達することになり、乗算器285Bにおいて補正された目標電流値ITFB2にゲインGθH及びゲインGTFB2が乗じられることにより、乗算器285Bから加算器252に出力される目標電流値ITFB3は、操舵角θHがθH1以下、又は車速VSが図4に示す不感帯の範囲では、ゼロとなる。そして、操舵角θHの絶対値がθH1を超えるとともに、そのとき車速VSが図9の不感帯を超えていると、0(ゼロ)ではない目標電流値ITFB3が出力され始めることになる。
本実施形態によれば、第1の実施形態における効果に加えて、少なくとも操舵角θHの絶対値が所定値θH1を超えないと目標電流値ITFB3が出力されないので、例えば、30〜50%の低アッカーマン率の転舵機構の車両において低車速状態であっても、操舵角−操舵トルク特性が高アッカーマン率の転舵機構の車両における操舵角−操舵トルク特性と同じ操舵角範囲では低車速時操舵反力制御部300Bが操舵反力補正を行わないので、操舵角θHの絶対値が0〜θH1までの範囲では、電動機11からの操舵補助力を効果的に得ることができる。
また、操舵角θHの絶対値が0〜θH1までの範囲では、運転者は、転舵輪(前輪)10F,10Fからの路面情報を操舵反力の変化で感じ取ることができる。
《第2の実施形態の変形例》
第2の実施形態において制御装置200Bは、イナーシャ補償信号演算部210、ベース信号演算部220、ダンパ補正信号演算部225、加算器250、減算器251、加算器252、加算器283、車速感応ゲイン設定部284、乗算器285B、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293、操舵角感応ゲイン設定部294を含んだ構成としているが、それに限定されるものではない。
(第2の実施形態の第1変形例)
次に、第2の実施形態の第1変形例について説明する。
本変形例では制御装置200Bは、イナーシャ補償信号演算部210、ベース信号演算部220、ダンパ補正信号演算部225、加算器250、減算器251、加算器252、加算器283、車速感応ゲイン設定部284、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、電流換算部282から出力される第1の目標電流値である目標電流値ITFB1が、操舵角感応ゲイン設定部294から出力されたゲインGθHにより乗算器285Bにおいて乗算されることで補正され、第3の目標電流値である目標電流値ITFB3となり、直接に減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、前記した第1の実施形態の第1変形例の効果に加え、少なくとも操舵角センサ52により検出された操舵角に応じて第1の目標電流値である目標電流値ITFB1を補正して第3の目標電流値である目標電流値ITFB3として出力する操舵角感応ゲイン設定部294を備え、制御装置200Bは、目標電流値ITFB3に基づいて電動機11に操舵補助力を又は操舵反力を発生させる。
操舵角感応ゲイン設定部294において、少なくとも操舵角θHが左右の所定値(−θH1又は+θH1)を左右外側に超えないと目標電流値ITFB3が出力されないように設定することが可能なので、低アッカーマン率の転舵機構の車両において低車速状態であっても、操舵角−操舵トルク特性が高アッカーマン率の転舵機構の車両における操舵角−操舵トルク特性と同じ操舵角範囲では目標電流値ITFB3が0なので、操舵角θHが左右に所定値を超えた状態で、電動機11からの操舵反力を効果的に得ることができる。
また、操舵角θHが左右の所定値の範囲(−θH1〜+θH1)内では、運転者は、転舵輪(前輪)10F,10Fからの路面情報を操舵反力の変化で感じ取ることができる。
(第2の実施形態の第2変形例)
次に、第2の実施形態の第2変形例について説明する。
本変形例では制御装置200Bは、加算器283、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、電流換算部282から出力される第1の目標電流値である目標電流値ITFB1が、車速感応ゲイン設定部284から出力されたゲインGTFB2で乗算器285Bにおいて乗算されることで補正されるとともに、操舵角感応ゲイン設定部294から出力されたゲインGθHにより乗算器285Bにおいて乗算されることで補正され、第3の目標電流値である目標電流値ITFB3となり、直接に減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、乗算器285Bにおいて、目標電流値ITFB1にゲインGTFB2を乗じて第2の目標電流値にし、更に、少なくとも操舵角センサ52により検出された操舵角θHに応じたゲインGθHを乗じて補正した第3の目標電流値である目標電流値ITFB3を減算器253に出力するので、制御装置200Bは、目標電流値ITFB3に基づいて電動機11に操舵補助力又は操舵反力を発生させる。
従って、第2の実施形態の第1変形例の効果に加えて、車速VSに応じて第1の目標電流値である目標電流値ITFB1に対してゲインGTFB2による補正も加わった目標電流値ITFB3として出力する車速感応ゲイン設定部284及び乗算器285Bを備えているので、制御装置200Bは、目標電流値ITFB3に基づいて電動機11に操舵補助力又は操舵反力を発生させる。その結果、乗算器285Bから出力された目標電流値ITFB3により低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じように操舵角θHが左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
そして、車速VSが中高車速領域においては、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操向ハンドル2に与えるので、車速感応ゲイン設定部284及び乗算器285Aにおいて目標電流値ITFB3を車速VSの増加に応じて連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
(第2の実施形態の第3変形例)
次に、第2の実施形態の第2変形例について説明する。
本変形例では制御装置200Bは、加算器283、車速感応ゲイン設定部284、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、乗算器285Bから出力される目標電流値ITFB3は、目標電流値ITFB1にゲインGθHが乗じられて補正された第3の目標電流値であり、加算器252において加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1と目標電流値ITFB3とが加算され、第5の目標電流値であるq軸目標電流値Iq*となり、減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、第2の実施形態の第1変形例の効果に加え、加算器252には、少なくとも第4の目標電流値であるベース目標電流値IBを考慮したq軸目標電流値ITG1が入力され、第3の目標電流値である目標電流値ITFB3に少なくともベース目標電流値IBを加算演算した結果である第5の目標電流値であるq軸目標電流値Iq*に基づいて、制御装置200Bは、電動機11に操舵補助力又は操舵反力を発生させる。
その結果、通常の高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じようにベース目標電流値IBによる電動機11からの操舵補助力の出力が制御できるとともに、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じように補助力が電動機11から出力できる操舵角θHが左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
(第2の実施形態の第4変形例)
次に、第2の実施形態の第4変形例について説明する。
本変形例では制御装置200Bは、加算器283、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293が削除されている。
つまり、乗算器285Bから出力される目標電流値ITFB3は、目標電流値ITFB1にゲインGθHとゲインGTFB2とが乗じられて補正された第3の目標電流値であり、目標電流値ITFB3が、加算器252に出力され、更に、加算器252において加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1と加算され、第5の目標電流値であるq軸目標電流値Iq*となり、減算器253に入力される構成でも良い。
本変形例によれば、第2の実施形態の第3変形例の効果に加えて、車速VSが中高車速領域においては、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操向ハンドル2に与えるので、車速感応ゲイン設定部284及び乗算器285Bにおいて目標電流値ITFB3を車速VSの増加に応じて連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
《第3の実施形態》
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、目標操舵角速度演算部290、操舵角速度演算部291、減算器292、補正電流換算部293及び加算器283が、請求の範囲に記載の「変動幅抑制手段」を構成するものとしたがそれに限定されるものではない。
図10を参照しながら変動幅抑制手段の別の構成例について説明する。
図10は、第3の実施形態における制御装置のうちの低車速時操舵反力制御部の機能ブロック構成図である。
図10に示す制御装置(モータ制御手段)200Cにおける低車速時操舵反力制御部300Cは、図2に示した第1の実施形態又はその変形例における制御装置200Aの低車速時操舵反力制御部300Aを低車速時操舵反力制御部300Cに変更したものであり、他は制御装置200Aと同じ構成である。第1の実施形態又はその変形例と重複する構成は同じ符号を付し、重複する構成要素の説明を省略する。
図10に示すように低車速時操舵反力制御部300Cは、目標操舵トルク演算部280、減算器281、電流換算部282、リミッタ286、一次遅れ処理部287、車速感応ゲイン設定部284、乗算器285Aを含んで構成され、乗算器285Aから出力される目標電流値(第2の目標電流値)ITFB3が加算器252に入力される。そして、加算器252において前記したように加算器250から出力されたq軸目標電流値ITG1から目標
電流値ITFB3が減算され、減算器253にq軸目標電流値Iq*として出力される。
ここで、本実施形態におけるリミッタ286、一次遅れ処理部287が請求の範囲に記載される「変動幅抑制手段」を構成する。
リミッタ286は、電流換算部282で演算された目標電流値ITFB1を、所定の±の制限値内に制限し一次遅れ処理部287に入力する。一次遅れ処理部287は、予め設定された時定数τ、ゲインKを用いてリミッタ286で上下限値以上の値の目標電流値ITFB1を制限処理された目標電流値ITFB1を一次遅れ処理し、滑らかに補正された目標電流値ITFB1を乗算器285Aに入力する。乗算器285Aは、車速感応ゲイン設定部284から入力されたゲインGTFB2を一次遅れ処理により補正された目標電流値ITFB1に乗じ、目標電流値(第2の目標電流値)ITFB3として、加算器252に入力する。
本実施形態によれば、第1の実施形態又はその変形例における操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)と操舵角速度ωHとの偏差である操舵角速度偏差値に基づく補正電流値IωFBを電流換算部282で演算された目標電流値ITFB1に加算処理せずとも目標電流値(第1の目標電流値)ITFB1の操舵角速度ωHの変化による大きな変動を抑制でき、安定した目標電流値ITFB3を得ることができる。
なお、図10では、第1の実施形態又はその変形例にリミッタ286、一次遅れ処理部287を適用した例で説明したが、第2の実施形態又はその変形例にも容易に適用できる。つまり、図10において操舵角感応ゲイン設定部294を追加し、乗算器285Aの代わりに乗算器285Bとし、乗算器285Bには、前記した一次遅れ処理部287からの一次遅れ処理された滑らかな補正され目標電流値(補正された第1の目標電流値)ITFB2と、車速感応ゲイン設定部284からのゲインGTFB2と、操舵角感応ゲイン設定部294からのゲインGθHとが入力され、補正された目標電流値ITFB2に、ゲインGTFB2とゲインGθHとを乗じ、目標電流値(第3の目標電流値)ITFB3として、加算器252に入力する。
本実施形態によれば、第1、第2の実施形態及びその変形例における操舵角感応目標操舵角速度KωH(θH)と操舵角速度ωHとの偏差である操舵角速度偏差値に基づく補正電流値IωFBを、電流換算部282で演算された目標電流値(第1の目標電流値)ITFB1に加算処理せずとも目標電流値ITFB1の操舵角速度ωHの変化による大きな変動を抑制でき、安定した目標電流値(第2の目標電流値、第3の目標電流値)ITFB3を得ることができる。
2 操向ハンドル(操舵輪)
10F 転舵輪
11 電動機(モータ)
30 操舵トルクセンサ
35 車速センサ(車速検出手段)
50 レゾルバ
52 操舵角センサ
60 インバータ
100 電動パワーステアリング装置
200,200A,200B,200C 制御装置(モータ制御手段)
210 イナーシャ補償信号演算部
220 ベース信号演算部(第2の目標電流値演算手段)
225 ダンパ補正信号演算部
240 q軸PI制御部
245 d軸PI制御部
250 加算器
251 減算器
252 加算器(加算手段)
253 減算器
254 減算器
260 2軸3相変換部
262 PWM変換部
265 3相2軸変換部
270 回転角速度演算部
275 励磁電流生成部
280 目標操舵トルク演算部(目標操舵トルク設定手段)
281 減算器(トルク偏差演算手段)
282 電流換算部(第1の目標電流値演算手段)
283 加算器(変動幅抑制手段、減衰加算手段)
284 車速感応ゲイン設定部(車速感応補正手段)
285A 乗算器(車速感応補正手段)
285B 乗算器(車速感応補正手段、操舵角感応補正手段)
286 リミッタ(変動幅抑制手段)
287 一次遅れ処理部(変動幅抑制手段)
290 目標操舵角速度演算部(変動幅抑制手段、目標操舵角速度演算手段)
291 操舵角速度演算部(変動幅抑制手段、舵角速度演算手段)
292 減算器(変動幅抑制手段、舵角速度偏差演算手段)
293 補正電流換算部(変動幅抑制手段、第3の目標電流値演算手段)
294 操舵角感応ゲイン設定部(操舵角感応補正手段)
300A,300B,300C 低車速時操舵反力制御部
TFB1 ゲイン
TFB2 ゲイン
GθH ゲイン
B ベース目標電流値(第4の目標電流値)
D ダンパ補正電流値
I イナーシャ補償電流値
Iq* q軸目標電流値(第5の目標電流値)
Iq q軸実電流値
Id* d軸目標電流値
Id d軸実電流値
Iu,Iv,Iw 実電流値
TG1 q軸目標電流値
TFB1 目標電流値(第1の目標電流値)
TFB2 補正された目標電流値
TFB3 目標電流値(第2の目標電流値、第3の目標電流値)
IωFB 補正電流値(第6の目標電流値)
KωH(θH) 操舵角感応目標操舵角速度
KT(θH) 操舵角感応目標操舵トルク
T 操舵トルク
VS 車速
発明の電動パワーステアリング装置は、転舵機構を備える車両に適用され、モータ制御手段によってモータに操舵補助力を発生させ、操舵補助力をステアリング系に伝達して操舵力を軽減させるものであって、操舵輪の操舵角を検出する操舵角センサと、操舵輪の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、操舵角センサで検出された操舵角に基づいて、目標操舵トルクを設定する目標操舵トルク設定手段と、目標操舵トルク設定手段により設定された目標操舵トルクと操舵トルクセンサによって検出された操舵トルクとのトルク偏差を演算するトルク偏差演算手段と、トルク偏差演算手段により算出されたトルク偏差に基づいて、モータによる操舵補助力を発生させるための第1の目標電流値を演算する第1の目標電流値演算手段と、少なくとも、車速検出手段により検出された車速に応じて第1の目標電流値を補正して第2の目標電流値として出力する車速感応補正手段と、を備え、モータ制御手段は、第の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
また、電動パワーステアリング装置は、転舵機構とは、ステアリング系に操舵補助力が加えられない状態において、操舵輪から運転者に感じさせる操舵反力が、低車速領域のときに操舵角が大きくなると飽和するか、もしくは操舵反力が低減するものであることを特徴とする。
このような電動パワーステアリング装置によれば、転舵機構を備える車両において、低車速領域のときに操舵角が左右に大きくなると操舵反力が飽和するか、もしくは操舵反力が低減するようなものであっても、目標操舵トルク設定手段により設定された目標操舵トルクと、操舵トルクセンサによって検出された操舵トルクとのトルク偏差を演算するトルク偏差演算手段と、トルク偏差演算手段により算出されたトルク偏差に基づいて、モータによる操舵補助力を発生するための第1の目標電流値を演算する第1の目標電流値演算手段と、を備え、モータ制御手段は、第1の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。従って、左右に所定値以上の操舵角としたときに、目標操舵トルクと操舵トルクとのトルク偏差に基づいて第1の目標電流値を演算する構成になっているので、車体設計やモータの容量が異なる毎に第1の目標電流値演算手段における第1の目標電流値を演算するデータを試験等によって再設定するという煩雑な作業が不要な構成となっている。
また、車速に応じて第1の目標電流値を補正して第2の目標電流値として出力する車速感応補正手段を備え、モータ制御手段は、第2の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。その結果、車速感応補正手段から出力された第2の目標電流値により低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じように操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
そして、車速が中高車速領域においては、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、左右に所定値以上の操舵角以上ではセルフ・アライニング・トルクが十分に生じ、操舵反力を操舵輪に与えるので、車速感応補正手段において第2の目標電流値を車速の増加に応じて連続的に低減して、最終的には0(ゼロ)にしても、運転者に違和感を生じさせない。
また、電動パワーステアリング装置は、更に、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に応じて第2の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、モータ制御手段は、第2の目標電流値にかえて第3の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
このような電動パワーステアリング装置によれば、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に応じて第2の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、モータ制御手段は、第3の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させる。
操舵角感応補正手段において、少なくとも操舵角が左右の所定値を超えないと第3の目標電流値が出力されないように設定することが可能なので、低アッカーマン率の転舵機構の車両において低車速状態であっても、操舵角−操舵トルク特性が高アッカーマン率の転舵機構の車両における操舵角−操舵トルク特性と同じ操舵角範囲では第3の目標電流値が0なので、操舵角が左右に所定値を超えた状態で、モータからの操舵補助力を効果的に得ることができる。
また、操舵角が左右の所定値の範囲内では、運転者は、転舵輪(前輪)からの路面情報を操舵反力の変化で感じ取ることができる。
また、電動パワーステアリング装置は、更に、少なくとも、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、第4の目標電流値に第2の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、モータ制御手段は、第2の目標電流値にかえて第5の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
このような電動パワーステアリング装置によれば、加算手段には、第4の目標電流値が入力され、前記した第2の目標電流値に第4の目標電流値を加算演算した結果である第5の目標電流値に基づいて、モータ制御手段はモータに操舵補助力を発生させる。その結果、第4の目標電流値は、加算手段によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速の領域における操舵角が左右に所定値を超えて大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正して、第5の目標電流値が出力され、モータの出力する操舵補助力の制御に用いられる。
その結果、例えば、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
また、電動パワーステアリング装置は、更に、少なくとも、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、第4の目標電流値に第3の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、モータ制御手段は、第3の目標電流値にかえて第5の目標電流値に基づいてモータに操舵補助力を発生させることを特徴とする。
このような電動パワーステアリング装置によれば、加算手段には、第4の目標電流値が入力され、前記した第3の目標電流値に第4の目標電流値を加算演算した結果である第5の目標電流値に基づいて、モータ制御手段はモータに操舵補助力を発生させる。その結果、第4の目標電流値は、加算手段によって低アッカーマン率の転舵機構を適用した車両における特有な低車速の領域における操舵角が左右に所定値を超えて大きくなると操舵反力が飽和したり、逆に低下したりする操舵角−操舵トルク特性を補正して、第5の目標電流値が出力され、モータの出力する操舵補助力の制御に用いられる。
その結果、例えば、低アッカーマン率の転舵機構を有する車両においても、高アッカーマン率の転舵機構を適用した車両と同じような操舵角が左右に増加するほどセルフ・アライニング・トルクにより操舵反力が増加するという操舵感を、低車速領域においても安定的に運転者に与えることができる。
また、電動パワーステアリング装置は、更に、第1の目標電流値の振動的変動幅を減衰させる変動幅抑制手段を備えることを特徴とする。
また、電動パワーステアリング装置は、更に、変動幅抑制手段は、操舵角センサにより検出された操舵角を時間微分して舵角速度を演算する舵角速度演算手段と、少なくとも操舵角センサにより検出された操舵角に基づいて目標操舵角速度を演算する目標操舵角速度演算手段と、目標操舵角速度演算手段により演算された目標操舵角速度と舵角速度演算手段により演算された舵角速度との舵角速度偏差を演算する舵角速度偏差演算手段と、演算された舵角速度偏差に基づいて第6の目標電流値を演算する第3の目標電流値演算手段と、第1の目標電流値に第6の目標電流値を加算して振動的変動幅の減衰処理をし、加算手段に入力する減衰加算手段と、を有することを特徴とする。
また、電動パワーステアリング装置は、更に、変動幅抑制手段は、第1の目標電流値を所定の時定数でフィルタリング処理して振動的変動幅の減衰処理をすることを特徴とする。
このような電動パワーステアリング装置によれば、変動幅抑制手段により第1の目標電流値の振動的変動幅を減衰させることができるので、モータの出力する操舵補助力を時間的に振動させることなく安定に制御できる。

Claims (12)

  1. 理想未満のアッカーマン率である転舵機構を備える車両に適用され、モータ制御手段によってモータに操舵補助力を発生させ、該操舵補助力をステアリング系に伝達して操舵力を軽減させる電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵輪の操舵角を検出する操舵角センサと、
    前記操舵輪の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
    前記操舵角センサで検出された前記操舵角に基づいて、目標操舵トルクを設定する目標操舵トルク設定手段と、
    該目標操舵トルク設定手段により設定された前記目標操舵トルクと前記操舵トルクセンサによって検出された前記操舵トルクとのトルク偏差を演算するトルク偏差演算手段と、
    該トルク偏差演算手段により算出されたトルク偏差に基づいて、前記モータによる操舵補助力を発生させるための第1の目標電流値を演算する第1の目標電流値演算手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第1の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記理想未満のアッカーマン率である転舵機構とは、
    前記ステアリング系に前記操舵補助力が加えられない状態において、前記操舵輪から運転者に感じさせる操舵反力が、
    低車速領域のときに前記操舵角が大きくなると飽和するか、もしくは操舵反力が低減するようなパラレルジオメトリに近いものである
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 更に、少なくとも、車速検出手段により検出された車速に応じて前記第1の目標電流値を補正して第2の目標電流値として出力する車速感応補正手段を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第1の目標電流値にかえて前記第2の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 更に、少なくとも、前記操舵角センサにより検出された操舵角に応じて前記第1の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第1の目標電流値にかえて前記第3の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 更に、少なくとも、前記操舵角センサにより検出された操舵角に応じて前記第2の目標電流値を補正して第3の目標電流値として出力する操舵角感応補正手段を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第2の目標電流値にかえて前記第3の目標電流値に基づいて前記モータに操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 更に、少なくとも、前記操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、
    前記第4の目標電流値に前記第1の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第1の目標電流値にかえて前記第5の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 更に、少なくとも、前記操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、
    前記第4の目標電流値に前記第2の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第2の目標電流値にかえて前記第5の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 更に、少なくとも、前記操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、
    前記第4の目標電流値に前記第3の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第3の目標電流値にかえて前記第5の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第4項に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 更に、少なくとも、前記操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記操舵補助力を発生させるための第4の目標電流値を演算する第2の目標電流値演算手段と、
    前記第4の目標電流値に前記第3の目標電流値を加算して第5の目標電流値として出力する加算手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記第3の目標電流値にかえて前記第5の目標電流値に基づいて前記モータに前記操舵補助力を発生させる
    ことを特徴とする請求の範囲第5項に記載の電動パワーステアリング装置。
  10. 更に、前記第1の目標電流値の振動的変動幅を減衰させる変動幅抑制手段を備える
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  11. 前記変動幅抑制手段は、
    前記操舵角センサにより検出された前記操舵角を時間微分して舵角速度を演算する舵角速度演算手段と、
    少なくとも前記操舵角センサにより検出された前記操舵角に基づいて目標操舵角速度を演算する目標操舵角速度演算手段と、
    前記目標操舵角速度演算手段により演算された前記目標操舵角速度と前記舵角速度演算手段により演算された前記舵角速度との舵角速度偏差を演算する舵角速度偏差演算手段と、
    前記演算された舵角速度偏差に基づいて第6の目標電流値を演算する第3の目標電流値演算手段と、
    前記第1の目標電流値に前記第6の目標電流値を加算して、前記振動的変動幅の減衰処理をし、前記加算手段に入力する減衰加算手段と、を有する
    ことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の電動パワーステアリング装置。
  12. 前記変動幅抑制手段は、
    前記第1の目標電流値を所定の時定数でフィルタリング処理して前記振動的変動幅の減衰処理をする
    ことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の電動パワーステアリング装置。
JP2012546795A 2010-11-29 2011-11-22 電動パワーステアリング装置 Expired - Fee Related JP5575919B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012546795A JP5575919B2 (ja) 2010-11-29 2011-11-22 電動パワーステアリング装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010265589 2010-11-29
JP2010265589 2010-11-29
JP2012546795A JP5575919B2 (ja) 2010-11-29 2011-11-22 電動パワーステアリング装置
PCT/JP2011/076909 WO2012073760A1 (ja) 2010-11-29 2011-11-22 電動パワーステアリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012073760A1 true JPWO2012073760A1 (ja) 2014-05-19
JP5575919B2 JP5575919B2 (ja) 2014-08-20

Family

ID=46171702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012546795A Expired - Fee Related JP5575919B2 (ja) 2010-11-29 2011-11-22 電動パワーステアリング装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9802644B2 (ja)
EP (1) EP2647547B1 (ja)
JP (1) JP5575919B2 (ja)
CN (1) CN103228524B (ja)
WO (1) WO2012073760A1 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6160860B2 (ja) * 2013-06-11 2017-07-12 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP2015013583A (ja) * 2013-07-05 2015-01-22 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
CN104340262B (zh) * 2013-08-08 2017-10-27 现代摩比斯株式会社 电动式转向装置的驱动装置及方法
WO2016017235A1 (ja) * 2014-07-31 2016-02-04 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置
CN106573647B (zh) * 2014-08-22 2019-04-26 日本精工株式会社 电动助力转向装置
US9598101B2 (en) * 2014-10-21 2017-03-21 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Steering assist apparatus for vehicle
JP5999291B1 (ja) * 2014-12-25 2016-09-28 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置
WO2016162902A1 (ja) * 2015-04-09 2016-10-13 日産自動車株式会社 車線維持支援装置
JP6278019B2 (ja) * 2015-09-25 2018-02-14 トヨタ自動車株式会社 車両用運転支援装置
KR102350043B1 (ko) * 2015-11-20 2022-01-12 주식회사 만도 자동 조향 제어 시스템 및 방법
JP6961934B2 (ja) * 2016-09-16 2021-11-05 株式会社ジェイテクト 操舵装置
GB2555839B (en) * 2016-11-11 2022-09-21 Trw Ltd A motor circuit
EP3459825B1 (en) * 2017-08-02 2020-06-17 NSK Ltd. Electric power steering device
CN111406012B (zh) * 2017-10-24 2021-12-21 日本精工株式会社 车辆用转向装置
DE102017126481A1 (de) * 2017-11-10 2019-05-16 Syn Trac Gmbh Verfahren zum Lenken eines Fahrzeuges
EP3718858B1 (en) 2017-11-30 2023-05-03 Jtekt Corporation Vehicle steering device
DE102018202854B4 (de) * 2018-02-26 2020-01-02 Audi Ag Verfahren zum Betrieb eines Bordnetzes eines Hybridkraftfahrzeugs und Hybridkraftfahrzeug
US11008014B2 (en) * 2018-08-14 2021-05-18 Ford Global Technologies, Llc Methods and apparatus to determine vehicle weight information based on ride height
US11407442B2 (en) * 2019-07-31 2022-08-09 Steering Solutions Ip Holding Corporation Steer-by-wire system
KR20210031075A (ko) * 2019-09-11 2021-03-19 주식회사 만도 조향 제어 장치 및 그 방법, 그리고 조향 시스템
CN111082728A (zh) * 2019-12-11 2020-04-28 珠海格力电器股份有限公司 一种油泵电机低速满负荷启动的控制方法及控制系统
EP4139183A1 (en) * 2020-04-20 2023-03-01 ThyssenKrupp Presta AG Degradation concept for a steer-by-wire steering system
US11919352B2 (en) * 2020-09-18 2024-03-05 Ford Global Technologies, Llc Suspension system with optimized position sensitive damping and system and method for optimizing the same
DE102021202482B4 (de) * 2021-03-15 2023-06-29 Continental Automotive Technologies GmbH Regelungseinrichtung und Verfahren zur Lenkwinkelregelung eines Fahrzeugs
WO2023203751A1 (ja) * 2022-04-22 2023-10-26 三菱電機株式会社 操舵制御装置及び電動パワーステアリング装置

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5198981A (en) * 1990-10-09 1993-03-30 General Motors Corporation Closed-loop torque control for electric power steering
JPH0656046A (ja) * 1992-08-11 1994-03-01 Honda Motor Co Ltd 電動式パワーステアリング装置
JP3133896B2 (ja) * 1994-06-09 2001-02-13 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング制御装置
JP2000177615A (ja) * 1998-12-15 2000-06-27 Toyoda Mach Works Ltd 電気式動力舵取装置
JP4007712B2 (ja) * 1999-03-17 2007-11-14 本田技研工業株式会社 車両の操舵制御装置
JP3598498B2 (ja) * 2000-08-23 2004-12-08 本田技研工業株式会社 電動パワーステアリング装置
JP4140321B2 (ja) * 2002-09-02 2008-08-27 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP4269677B2 (ja) * 2002-12-24 2009-05-27 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP4094597B2 (ja) * 2004-09-22 2008-06-04 本田技研工業株式会社 操舵装置
DE102004053722B4 (de) * 2004-11-06 2020-02-20 Zf Friedrichshafen Ag Fahrzeug mit wenigstens einer über eine Achsschenkellenkung lenkbar ausgeführten Fahrzeugachse
JP4872298B2 (ja) 2005-10-04 2012-02-08 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置の制御装置
US7881841B2 (en) * 2006-12-28 2011-02-01 Caterpillar Inc. Motion-control system
JP4495739B2 (ja) * 2007-02-16 2010-07-07 本田技研工業株式会社 操舵システム
JP5045244B2 (ja) * 2007-05-30 2012-10-10 トヨタ自動車株式会社 タイヤ挙動演算方法
JP5003427B2 (ja) * 2007-11-20 2012-08-15 トヨタ自動車株式会社 操舵制御装置及びこれを用いた車両用操舵装置
EP2096018A1 (en) * 2008-02-28 2009-09-02 Adam Opel Ag Method for controlling the steering feedback torque
JP6160860B2 (ja) * 2013-06-11 2017-07-12 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20140019008A1 (en) 2014-01-16
CN103228524B (zh) 2015-08-05
WO2012073760A1 (ja) 2012-06-07
EP2647547A1 (en) 2013-10-09
US9802644B2 (en) 2017-10-31
EP2647547B1 (en) 2016-04-13
CN103228524A (zh) 2013-07-31
EP2647547A4 (en) 2014-11-12
JP5575919B2 (ja) 2014-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5575919B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5512924B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
US7909131B2 (en) Electric power steering apparatus
WO2014122907A1 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5493690B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5061768B2 (ja) 車両用操舵装置
WO2013061568A1 (ja) 操舵制御装置、および操舵制御方法
JP2010188825A (ja) 操舵負荷推定装置及び電動パワーステアリング装置
JP5959981B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5475973B2 (ja) 電動パワーステアリングの制御装置
JP5189780B2 (ja) 操舵システム
JP2006256425A (ja) 操舵装置
JP4989093B2 (ja) 電動パワーステアリング装置、および、これに用いる演算特性設定方法。
JP5514417B2 (ja) 電動パワーステアリングの制御装置
JP5160663B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5249595B2 (ja) 操舵システム
JP2009166832A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2005225403A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5936277B2 (ja) 電動パワーステアリングの制御装置
JP5221969B2 (ja) 操舵システム
JP5217901B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5040414B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP4413098B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3929999B2 (ja) 反力制御装置
CN114867652A (zh) 车辆用转向装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140617

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5575919

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees