JP5160663B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダンパ補償信号、イナーシャ補償信号およびベース信号に応じて定まる目標信号によってモータを制御する電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、電動機が操舵トルクの大きさに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクをステアリング系に伝達して、運転者が操舵する操舵力を軽減するものである。操舵トルクと車速によって定まるベース電流(アシストトルク)を、ステアリング系のイナーシャ(慣性)とダンピング(粘性)によって補償し、この補償された電流を目標電流として電動機を制御する技術が開示されている(特許文献1,2参照)。
なお、特許文献2の慣性補償電流値決定手段には、トルクセンサ出力のみが入力されており車速信号が入力されていない。
特開2002−59855号公報(図2) 特開2000−177615号公報(図2)
特許文献1に記載のダンピング、イナーシャ、および、ベース電流の各特性は、ベーステーブル、ダンパテーブル、および、事実上微分特性を備えるイナーシャテーブルを用いて演算される。ここで、操舵トルク、車速および電動機回転速度の関数である各テーブルの設定方法について検討する。ベーステーブルは、車速が速くなるほどゲインを低くし、かつ、不感帯を大きくして、マニュアルステアリング領域を大きくとって路面情報を運転者に与え、車速の増大に応じてしっかりとした操舵トルクの手応え感を付与すると共に、イナーシャテーブルを使って、電動機の慣性(や粘性)による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与する必要がある。
また、イナーシャテーブルは、操舵トルクに基づいて、事実上微分特性を付与することにより、操舵トルクの変化分、すなわち電動機の回転加速度(操舵回転加速度)に応じて電動機のアシストを増減し、ステアリングダンパ効果と協同して操向ハンドルの応答性を向上させつつ収斂性を向上させて、車両特性を向上させる必要がある。これによれば、イナーシャテーブルのゲインを大きく設定すると、応答遅れの発生が改善され、すっきりとした操舵感になる。しかしながら、電動機によるアシストが増大することになるので、操舵トルクの手応え感が減少して頼りない操舵感になったり、ステアリングダンパ効果が減少するので、操向ハンドルの手応え感が減少して頼りない操舵感になったり、ステアリングダンパ効果が減少して、操向ハンドルの収斂性が減少して車両特性が低下したりすることがある。
すなわち、ベース電流、ダンピングおよびイナーシャの各特性は、1つを変更すると他の2つも適宜変更する必要がある。このように、ベース電流(ベース信号)、ダンピング(ダンパ補償信号)、および、イナーシャ(イナーシャ補償信号)の各特性が互いに干渉するために、干渉度合いを経験的に予測推定しながら調整する必要がある。しかも、実走行により路面状況を考慮しながら、操舵トルクの軽快さと電動機の持つイナーシャやダンピングを両立させる作業を伴うため、開発工数がかかり過ぎるという問題がある。
そこで、本発明は、イナーシャ補償信号、ダンパ補償信号、および、ベース信号相互間の影響を低減することができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、少なくとも操舵トルクに応じて、ベース信号を演算するベース信号演算部(220)と、電動機(11)の回転速度もしくは操舵速度に応じて、ダンパ補償信号を演算するダンパ補償信号演算部(225)と、少なくとも前記操舵トルクに基づいてイナーシャ補償信号を演算するイナーシャ補償信号演算部(215)と、を備え、前記ダンパ補償信号および前記イナーシャ補償信号が前記ベース信号を補償して定められた目標信号によって前記電動機が駆動され、操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置において、前記イナーシャ補償信号演算部の特性は、微分手段(230)の特性と信号安定性向上手段(235)の特性とに分割され、前記ベース信号を前記ダンパ補償信号で補償した補償信号と前記微分手段からの出力信号とを加算する加算器(250)が備えられ、前記信号安定性向上手段は、前記加算器の出力側に配置されることを特徴とする。
ベース信号は少なくとも操舵トルクに応じて演算され、ダンパ補償信号は電動機の回転速度もしくは操舵速度に応じて演算される。これに対して、イナーシャ補償信号は操舵トルクのみに応じて演算される。このため、イナーシャ補償信号演算部で演算する特性は、ベース信号演算部およびダンパ補償信号演算部から独立して設定することができる。さらに、安定化向上手段のゲイン特性は操舵トルクTsのゲイン特性と逆特性の関係にあり、微分手段の位相特性と安定化向上手段の位相特性とが互いに打ち消すような関係にある。これにより、電動パワーステアリング装置の出力ゲインが均一化され、位相特性が向上し制御安定性が高められる。
本発明によれば、イナーシャ補償信号、ダンパ補償信号およびベース信号相互間の影響を低減することができる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明の参考例となる電動パワーステアリング装置の構成図である。 参考例となる電動パワーステアリング装置の制御装置のアルゴリズム構成図である。 ベース信号演算部およびダンパ補償信号演算部の特性を示す図である。 イナーシャテーブル、ダンパテーブルおよびベーステーブルを設定する方法を示す図である。 本実施形態の制御装置のアルゴリズム構成図である。 本実施形態における電動パワーステアリング装置、微分手段、および、安定化向上手段のボード線図である。 実施例における微分手段、および、安定化向上手段のボード線図である。
(参考例)
本発明の参考例となる電動パワーステアリング装置を図面を用いて説明する。
図1において、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2が設けられたメインステアリングシャフト3と、シャフト1と、ピニオン軸5とが、2つのユニバーサルジョイント(自在継手)4によって連結され、また、ピニオン軸5の下端部に設けられたピニオンギア7は、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9,9を介して左右の転舵輪10,10が連結されている。この構成により、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2の操舵時に車両の進行方向を変えることができる。ここで、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9,9は転舵機構を構成する。なお、ピニオン軸5はその下部、中間部、上部を軸受6a,6b,6cを介してステアリングギアボックス20に支持されている。
また、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2による操舵力を軽減するための補助操舵力を供給する電動機11を備えており、この電動機11の出力軸に設けられたウォームギア12が、ピニオン軸5に設けられたウォームホイールギア13に噛合している。すなわち、ウォームギア12とウォームホイールギア13とで減速機構が構成されている。また、電動機11の回転子と電動機11に連結されてているウォームギア12とウォームホイールギア13とピニオン軸5とラック軸8とラック歯8aとタイロッド9,9等により、ステアリング系が構成される。
電動機11は、複数の界磁コイルを備えた固定子(図示せず)とこの固定子の内部で回動する回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモータであり、電気エネルギーを機械的エネルギー(P=ωT)に変換するものである。ここで、ωは回転速度であり、Tは電動機11の発生トルクである。また、発生トルクTと実際に出力として取り出すことができる出力トルクT‘との関係は、次式によって表現される。(i:ウォームギア12とウォームホイールギア13との減速比)
‘=T−(cdθ/dt+Jθ/dt)i (1)
この式より、出力トルクT‘と電動機回転角θとの関係は、電動機11の回転子の慣性モーメントJと粘性係数cとによって規定され、車両特性や車両状態に無関係である。
ここで、操向ハンドル2に加えられる操舵トルクをTs、減速機構を介して倍力された電動機11の発生トルクによりアシストするアシスト量Aの係数を、例えば、車速Vの関数として変化するk(V)とする。この場合、A=k(V)×Tsであるから、路面負荷であるピニオントルクをTpは、
Tp=Ts+A
=Ts+k(V)×Ts
となる。これより、操舵トルクTsは、
Ts=Tp/(1+k(V)) (2)
と表現される。
したがって、操舵トルクTsは、ピニオントルクTp(負荷)の1/(1+k(V))倍に軽減される。例えば、車速V=0のときにk(0)=2ならば、操舵トルクTsは、ピニオントルクTpの1/3の軽さに制御され、車速V=100km/hのときに、k(100)=0ならば、操舵トルクTsは、ピニオントルクTpと等しくなり、マニュアルステアリングと同等のしっかりとした重さの操舵感に制御される。すなわち、車速Vに応じて操舵トルクTsを制御することにより、低速走行時には軽やかに、高速走行時にはしっかりとした安定な操舵感が付与される。
また、一般的に操舵トルクTsは、
Ts=J・dθ/dt+C・dθ/dt+K(θ−θ) (3)
となることがわかっている。ここで、θは操舵回転角であり、θは、電動機回転角θを減速機構の回転比nで除した値である。また、Jはステアリング系の慣性係数(イナーシャ)であり、Cはステアリング系の粘性係数(ダンパ)であり、Kはベース信号係数である。この式も(1)式と同様に車両特性や車両状態に無関係である。
このとき、操舵フィーリングを評価するにあたり、慣性モーメントの有無による操舵反力の差異に着目し、入力トルクと反力トルク(慣性トルク)との比Evを評価関数として慣性モーメントを評価することができる。この評価関数を用いた評価結果により、ステアリング系の慣性係数J、および、ステアリング系廻りの粘性を無視した点Ev0の周辺に操舵フィーリング評価の高い領域があることがわかった。ここで、比Evは、
Ev=Tdet/Ts=K(θ−θ)/Ts (4)
である。これにより、TsからTdet=K(θ−θ)までの伝達関数のゲイン特性をEv0以下とするような補償器H(S)を求めることができる。
H∞制御により求められる補償器は、対象モデルおよび周波数重み関数の次数により決まるため、通常のマイクロコンピュータでは実現困難な高い次数の補償器となる。そこで、ステアリング系を制御する上で必要な周波数帯に焦点を絞って補償器の次数を低減することにした。
例えば、零点・極をそれぞれ4個ずつ持つように、伝達関数Hf(S)を、
Hf(S)=8.88(S+140)(S+65.1)(S+30.1)(S+1.77)/{(S+1730)(S+209)(S+37.1)(S+15.6)}
に設定することができる。なお、本発明の実施形態で述べるように、伝達関数Hf(S)のゲイン特性は微分特性を備えている。
また、電動パワーステアリング装置100は、制御装置200と、電動機11を駆動する電動機駆動手段60と、レゾルバ50と、ピニオン軸5に加えられるピニオントルクTを検出するトルクセンサ30と、トルクセンサ30の出力を増幅する差動増幅回路40と、車速センサ35とを備えている。
電動機駆動手段60は、例えば、3相のFETブリッジ回路のような複数のスイッチング素子を備え、制御装置200からのDUTY(DUTY U,DUTY V,DUTY W)信号を用いて、矩形波電圧を生成し、電動機11を駆動するものである。また、電動機駆動手段60は図示しないホール素子を用いて3相の電動機電流I(IU,IV,IW)を検出する機能を備えている。レゾルバ50は、電動機11の電動機回転角θを検出し、角度信号θを出力するものであり、例えば、磁気抵抗変化を検出するセンサを周方向に等間隔の複数の凹凸部を設けた磁性回転体に近接させたものがある。
トルクセンサ30は、ピニオン軸5に加えられるピニオントルクTを検出するものであり、ピニオン軸5の軸方向2箇所に逆方向の異方性となるように磁性膜が被着され、各磁性膜の表面に検出コイルがピニオン軸5に離間して挿入されている。差動増幅回路40は、検出コイルがインダクタンス変化として検出した2つの磁歪膜の透磁率変化の差分を増幅し、トルク信号Tを出力するものである。
車速センサ35は、車両の車速Vを単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速信号VSを出力する。
制御装置200は、CPU,ROM,RAM等を備えるコンピュータおよびプログラムからなり、図2のアルゴリズム構成図に記載される機能を実現する。
図2の制御装置200は、ベース信号演算部220と、イナーシャ補償信号演算部210と、ダンパ補償信号演算部225と、Q軸(トルク軸)PI制御部240と、D軸(磁極軸)PI制御部245と、2軸3相変換部260と、PWM変換部270と、3相2軸変換部265と、電動機速度算出部280と、励磁電流生成部285とを備える。
3相2軸変換部265は、電動機駆動手段60が検出する、電動機11(図1参照)の3相電流IU,IV,IWを、電動機11の回転子の磁極軸であるD軸と、このD軸に対して電気的に90度回転した軸であるQ軸との2軸に変換するものであり、Q軸電流IQは電動機11の発生トルクTに比例し、D軸電流IDは励磁電流に比例する。電動機速度算出部280は、角度信号θを微分演算して角速度信号ωを生成する。励磁電流生成部285は、電動機11(図1参照)の励磁電流「0」の目標信号を生成するが、必要に応じD軸電流とQ軸電流とを略等しくすることにより、弱め界磁制御を行うことができる。
ベース信号演算部220は、トルク信号Tと車速信号VSとから出力トルクT‘の目標信号IMの基準となるベース信号Dを生成する。この信号生成は、予め実験測定等によって設定されたべーステーブル220aをトルク信号Tと車速信号VSとが参照することによって行われ、図3(a)にべーステーブル220aに格納されているベース信号Dの関数を示す。ベース信号演算部220は、トルク信号Tの値が小さいときはベース信号Dがゼロに設定される不感帯N1が設けられ、トルク信号Tの値がこの不感帯N1よりも大きくなるとゲインG1で直線的に増加する特性を備えている。また、ベース信号演算部220は、所定のトルク値で出力はゲインG2で増加し、さらにトルク値が増加すると出力が飽和する特性を備えている。また、一般に車両は、走行速度に応じて路面の負荷(路面反力)が異なるため、車速信号VSによりゲインが調整される。車速ゼロの据え切り操作時が最も負荷が重く中低速では比較的負荷が軽くなる。このため、ベース信号演算部220は、車速Vが大きく高速になるにしたがってゲイン(G1,G2)を低く、かつ、不感帯N1を大きく設定して、マニュアルステアリング領域を大きくとって路面情報を運転者に与える。すなわち、車速Vの増大に応じてしっかりとした操舵トルクTsの手応え感が付与される。このとき、マニュアルステアリング領域においてもイナーシャ補償がなされることが必要である。
図2に戻り、ダンパ補償信号演算部225は、ステアリング系が備える粘性を補償するため、また車両が高速走行時に収斂性が低下する際にこれを補償するステアリングダンパ機能を有するために設けられるものであり、角速度信号ωがダンパテーブル225a参照することによって行われる。図3(b)は、ダンパテーブル225aの特性関数を示す図であり、電動機11(図1参照)の回転速度ωが増加するほど補償値Iが直線的に増加し、所定速度で補償値が急激に増加する特性を備えている。また、車速信号VSの値が高いほど、ゲインを大きくして電動機11の回転速度、すなわち、操舵速度(操舵回転速度)に応じて電動機11の出力トルクT‘を減衰させている。言い換えれば、電動機11(図1参照)に大きな電流が供給されて回転速度が速くなると、電動機11の慣性によって直ぐには回転速度が低下しない。この現象を回避するために、ダンパ補償信号演算部225は、電動機11の回転速度を抑制制御している。このステアリングダンパ効果により、操向ハンドルの収斂性を向上させ、車両特性を安定化させることができる。
再び図2に戻り、加算器251は、ベース信号演算部220の出力信号Dからダンパ補償信号演算部225の出力信号を減算するものであり、加算器250は、加算器251の出力信号とイナーシャ補償信号演算部210の出力信号とを加算するものである。なお、ベース信号演算部220とダンパ補償信号演算部225と加算器251とでアシスト制御が行われる。
イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性による影響を補償するものであり、トルク信号Tがイナーシャテーブル210aを参照することによって演算され、格納されているテーブルの伝達関数Hf(S)は、
Hf(S)=8.88(S+140)(S+65.1)(S+30.1)(S+1.77)/{(S+1730)(S+209)(S+37.1)(S+15.6)}
である。
また、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転子の慣性による応答性の低下を補償している。言い換えれば、電動機11は正回転から逆回転に、または、逆回転から正回転に回転方向を切り替える際、慣性によってその状態を持続させようとするので直ぐには回転方向が切り替わらない。そこで、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転方向の切り替わりが操向ハンドル2の回転方向が切り替わるタイミングに一致するように制御している。このようにして、イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性(や粘性)による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与している。また、FF(Front engine Front wheel drive)やFR(Front engine Rear wheel drive)車、RV(Recreation Vehicle)やセダン等の車両特性や車速、路面などの車両状態によって異なる操舵特性に対して、実用上十分な特性が付与される。
加算器250の出力信号IMは、電動機11(図1参照)のトルクを規定するQ軸電流の目標信号であり、加算器252は出力信号IMからQ軸電流IQを減算し、偏差信号IEを生成する。Q軸(トルク軸)PI制御部240は、偏差信号IEが減少するように、P(比例)制御およびI(積分)制御を行う。加算器253は、励磁電流生成部285の出力信号からD軸電流IDを減算するものである。D軸(磁極軸)PI制御部245は、加算器253の出力信号が減少するようにPI帰還制御を行う。
2軸3相変換部260は、Q軸(トルク軸)PI制御部240の出力信号VQとD軸(磁極軸)PI制御部245の出力信号VDとの2軸信号を3相信号UU,UV,UWに変換する。PWM変換部270は、3相信号UU,UV,UWの大きさに比例したパルス幅のON/OFF信号[PWM(Pulse Width Modulation)信号]であるDUTY信号(DUTY U,DUTY V,DUTY W)を生成する。なお、2軸3相変換部260、および、PWM変換部270は、電動機11(図1参照)の角度信号θが入力され、回転子の磁極位置に応じた信号が出力される。
次に、図4のフローチャートを参照して、べーステーブル220a、イナーシャテーブル210a、ダンパテーブル225aを設定する方法を説明する。
ステップSP10においては、設定者がステアリングギアボックス20と制御装置200とを接続する。このとき、ステアリングギアボックス20を車両本体に搭載しない。言い換えれば、この状態は電動パワーステアリング装置100が車両に搭載されていない状態である。ステップSP20において、イナーシャ補償信号演算部210のイナーシャテーブル210aを設定する。イナーシャテーブル210aは、トルク信号Tに依存し、車速信号VSに依存せず、また例えば、前記したH∞制御のように机上で算出され低次元化され、車両負荷をかけなくても設定できるため、設定が容易である。ステップSP30においては、電動パワーステアリング装置100を車両に搭載する。そして、ステップSP40において、ベース信号演算部220のベーステーブル220aを設定する。そして、ダンパ補償信号演算部225のダンパテーブル225aの設定を行う。すなわち、ベーステーブル220aとダンパテーブル225aとは車速信号VSの関数であるので、車両に搭載して設定を行う必要がある。
以上説明したように、参考例によればイナーシャテーブル210aの特性は車速信号VSに依存しないので、ダンパテーブル225aおよびベーステーブル220aと独立して設定することができる。このため、イナーシャテーブル210aはステアリングギアボックス20と制御装置200を接続した状態で設定することができる。もちろん机上で設計されたままでもよく、この場合は確認作業を行うのみでよい。
(本発明の実施形態)
前記参考例は、ベース信号演算部220の出力信号Dを基準にしてイナーシャ補償信号演算部210の出力信号とダンパ補償信号演算部225の出力信号とを加減算して補償したが、イナーシャ補償信号演算部210の特性を微分手段の特性と安定化向上手段の特性とに分割して、微分手段の出力信号とダンパ補償信号演算部225の出力信号とを用いて補償し、安定化向上手段を用いて制御を安定化させることができる。
本実施形態の制御装置の構成を図5参照して説明する。図5の制御装置205において、ベース信号演算部220、ダンパ補償信号演算部225、Q軸(トルク軸)PI制御部240、D軸(磁極軸)PI制御部245、励磁電流生成部285、2軸3相変換部260、PWM変換部270、3相2軸変換部265、電動機速度算出部280、および、加算器251,252,253の構成については参考例と同様であるので説明を省略する。また、図1に記載の電動パワーステアリング装置100も同様であるので説明を省略する。
微分手段230は、トルク信号Tを微分するものであり、トルク信号Tが微分テーブル230aを参照することによって演算される。(もちろん計算によりもとめてもよい)加算器250は、微分手段230の出力信号と加算器251の出力信号とを加算する。安定化向上手段235は、安定化テーブル235aが備えられ、加算器250の出力信号を安定化し、加算器252に出力する。言い換えれば、微分手段230は、加算器250の上流側に配置され、安定化向上手段235は加算器250の下流側に配置されている。なお、イナーシャ補償信号演算部215は、微分手段230と安定化向上手段235とが備えられる。
図6は、電動パワーステアリング装置100の操舵トルクTs、微分手段230、および、安定化向上手段235のボード線図である。
図6(a)から分かるように、電動パワーステアリング装置100の操舵トルクTsは、低周波領域で低く、中周波領域で極大になり、高周波領域で減衰する特性を備えている。これは、中周波領域で減衰が不足していることを示している。
また、図6(b)に示されるように、微分手段230のゲイン特性H1fは、低周波領域で減衰するものの、周波数fの増加に応じてゲインが増加し、位相が進む特性を備えている。図6(c)に示されるように、安定化向上手段235のゲイン特性H2fは、低周波領域で減衰率が低く、中周波領域で極小となり、高周波領域で極大となる特性を備えている。すなわち、電動パワーステアリング装置100の特性と、安定化向上手段235のゲイン特性とは、安定化向上手段235の高周波領域で極大となる点で若干異なるものの、基本的には逆特性になっている。このため、微分手段230と、安定化向上手段235とに分割することによって、電動パワーステアリング装置100の出力ゲインの周波数特性が均一化され、制御安定性を高めることができる。
次に、本実施形態の実施例を図7を用いて説明する。
イナーシャ補償信号演算部215(図5参照)の伝達関数Hf(S)を
Hf(S)=8.88(S+140)(S+65.1)(S+30.1)(S+1.77)/{(S+1730)(S+209)(S+37.1)(S+15.6)}
とし、この伝達関数Hf(S)を微分手段230の伝達関数H1f(S)と安定化向上手段235の伝達関数H2f(S)とに分割した(図5参照)。すなわち、伝達関数H1f(S)は、
H1f(S)=2.77(s+30.1)(S+1.77)/{(S+209)(S+37.1)}
であり、また、伝達関数H2f(S)は、
H2f(S)=2.97(S+140)(S+65.1)/{(S+1730)(S+15.6)}
である。
図7に、伝達関数H1f(S)、および、伝達関数H2f(S)のボード線図を示す。図7(a)はゲイン−周波数特性を示す図であり、実線H1f(S)は1Hz以下の低周波領域で減衰するものの、周波数の増加と共にゲインが増加し、数十Hz以上の高周波領域では20dBのゲインで飽和する微分特性を示している。図7(a)の破線H2f(S)は、低周波領域で約−10dBの一定量で減衰し、中周波領域で−20dBの極小点を備える特性を備え、図6(c)の波形と類似する。このため、伝達関数H2f(S)のゲイン特性は、操舵トルクTsを示す図6(a)の特性を打ち消す。
また、図7(b)は位相特性を示し、実線H1f(S)は数Hz程度の低周波領域で極大を示し、破線H2f(S)は数Hz程度の低周波領域で極小を示し、100Hz程度で極大を示している。すなわち、少なくとも低周波領域では、位相特性が互いに打ち消されていることがわかる。
また、イナーシャ補償信号演算部210のイナーシャ特性Hfと、微分手段230の微分特性H1f、および、安定化向上手段235の安定化特性H2fの合成特性とのゲイン余裕(余有)および位相余裕(余有)を表1に示す。
Figure 0005160663
イナーシャ特性Hfのゲイン余裕は10.9dBであり、位相余裕は35°であり、微分手段230および安定化向上手段235の合成特性H1f&H2fのゲイン余裕は11.7dBであり、位相余裕は58.5°であり、ゲイン余裕と位相余裕との双方が増加している。
以上説明したように、本実施形態によれば、イナーシャ補償信号演算部210のイナーシャ特性Hfを微分手段230と安定化向上手段235とに分割した。ここで、安定化向上手段235のゲイン特性は操舵トルクTsのゲイン特性と逆特性の関係にあり、微分手段230の位相特性と安定化向上手段235の位相特性とが互いに打ち消すような関係にある。したがって、イナーシャ特性Hfは、事実上微分特性を備え、応答性が向上される。また、電動パワーステアリング装置100の出力ゲインが均一化され、制御安定性が高められる。また、イナーシャ特性Hfからシステムを安定化させる安定化向上手段235の特性H2fを切り出すことにより、従来別々に設計していたものをまとめて同時に設計することができる。
(変形例)
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記参考例および実施形態は、目標電流を設定して電動機11に流す電流を制御したが、電動機11に印加される電圧を目標電圧に設定することもでき、電動機11が出力するトルクを目標トルクに設定して、電動機11に流す電流を制御することもできる。この目標電圧あるいは目標トルクも目標信号に含まれる。
(2)本発明の電動パワーステアリング装置には、操向ハンドル2と転舵輪10とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(Steer_By_Wire)が含まれる。
1 シャフト
2 操向ハンドル
3 メインステアリングシャフト
4 ユニバーサルジョイント
5 ピニオン軸
6a,6b,6c 軸受
7 ピニオンギア
8 ラック軸
8a ラック歯
9 タイロッド
10 転舵輪
11 電動機
12 ウォームギア
13 ウォームホイールギア
20 ステアリングギアボックス
30 トルクセンサ
35 車速センサ
40 差動増幅回路
50 レゾルバ
60 電動機駆動手段
100 電動パワーステアリング装置
200,205 制御装置
210,215 イナーシャ補償信号演算部
210a イナーシャテーブル
220 ベース信号演算部
220a ベーステーブル
225 ダンパ補償信号演算部
225a ダンパテーブル
230 微分手段
230a 微分テーブル
235 安定化向上手段
235a 安定化テーブル
240 Q軸(トルク軸)PI制御部
245 D軸(磁極軸)PI制御部
250,251,252,253 加算器
260 2軸3相変換部
265 3相2軸変換部
270 PWM変換部
280 電動機速度算出部

Claims (1)

  1. 少なくとも操舵トルクに応じて、ベース信号を演算するベース信号演算部と、
    電動機の回転速度もしくは操舵速度に応じて、ダンパ補償信号を演算するダンパ補償信号演算部と、
    少なくとも前記操舵トルクに基づいてイナーシャ補償信号を演算するイナーシャ補償信号演算部と、を備え、
    前記ダンパ補償信号および前記イナーシャ補償信号が前記ベース信号を補償して定められた目標信号によって前記電動機が駆動され、操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置において、前記イナーシャ補償信号演算部の特性は、微分手段の特性と信号安定性向上手段の特性とに分割され、
    前記ベース信号を前記ダンパ補償信号で補償した補償信号と前記微分手段からの出力信号とを加算する加算器が備えられ、
    前記信号安定性向上手段は、前記加算器の出力側に配置されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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