JP2008092633A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの慣性補償制御の演算負荷を抑えつつ、操舵感を一様にすることができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵系に操舵補助力を付与する電動モータ12を備え、少なくとも操舵トルクTに基づいて基本アシスト指令値IM *を演算し、慣性補償部28でモータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iaを演算し、慣性補償値Iaを基本アシスト指令値IM *に正帰還して電流指令値Irを演算し、電流指令値Irに基づいて電動モータ12を駆動制御する。ここで、慣性補償部28は、モータ角加速度αの位相を進ませる位相進み補償部28aと、位相進み補償部28aの出力である基本慣性補償値Ia’に慣性補償ゲインGを乗じて慣性補償値Iaを演算する慣性補償値出力部28bとを備える。
【選択図】図2
【解決手段】操舵系に操舵補助力を付与する電動モータ12を備え、少なくとも操舵トルクTに基づいて基本アシスト指令値IM *を演算し、慣性補償部28でモータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iaを演算し、慣性補償値Iaを基本アシスト指令値IM *に正帰還して電流指令値Irを演算し、電流指令値Irに基づいて電動モータ12を駆動制御する。ここで、慣性補償部28は、モータ角加速度αの位相を進ませる位相進み補償部28aと、位相進み補償部28aの出力である基本慣性補償値Ia’に慣性補償ゲインGを乗じて慣性補償値Iaを演算する慣性補償値出力部28bとを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置に関し、特に路面からの入力を運転者へ良好に伝える電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来の電動パワーステアリング装置として、検出舵角加速度信号の所望の周波数域における位相を進ませると共にノイズ除去機能を有するファジー演算フィルタに、検出舵角加速度信号を供給し、上記ファジー演算フィルタにより抽出された舵角加速度信号に基づいて、モータの慣性を補償する慣性制御信号を演算し、この慣性制御信号を操舵アシスト指令値に正帰還することで、ハンドル手放し時の安定性及び戻り時の収束性を改善するというものが知られている(例えば、特許文献1)。
特許第3293047号明細書
上記特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置にあっては、舵角加速度検出にあるローパスフィルタの遅れや電流ループの遅れをファジーフィルタで補償することで、慣性補償の効果を上げ、ハンドル手放し時の安定性を向上している。しかしながら、ファジーフィルタは演算が複雑であり、演算負荷が大きい。
また、上記特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置にあっては、舵角加速度検出値の大きさにより、角加速度検出値の遅れ補償量が変化するため、ファジーフィルタ出力が非線形となり、特にセンタ付近の操舵では操舵感が一様にならない。
また、上記特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置にあっては、舵角加速度検出値の大きさにより、角加速度検出値の遅れ補償量が変化するため、ファジーフィルタ出力が非線形となり、特にセンタ付近の操舵では操舵感が一様にならない。
そこで、本発明は、モータの慣性補償制御の演算負荷を抑えつつ、操舵感を一様にすることができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータと、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記電動モータのモータ角加速度を検出する角加速度検出手段と、少なくとも操舵トルクに基づいて基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算手段と、該角加速度検出手段で検出したモータ角加速度に基づいて、前記電動モータの慣性を補償するための慣性補償値を演算する慣性補償手段と、前記慣性補償値を前記基本アシスト指令値に正帰還して電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ駆動制御手段とを備える電動パワーステアリング装置であって、前記慣性補償手段は、前記モータ角加速度に対し、位相を進ませる位相進み補償手段と慣性補償ゲインを乗じるゲイン乗算手段とを作用させることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記慣性補償ゲインは、前記操舵トルクに応じて変更されることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記慣性補償ゲインは、前記操舵トルクが大きいほど小さく設定されることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記慣性補償ゲインは、前記操舵トルクが大きいほど小さく設定されることを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、モータ角加速度に対し、位相進み補償手段とゲイン乗算手段とを作用させる慣性補償手段で演算した慣性補償値を基本アシスト指令値に正帰還して電流指令値を演算し、この電流指令値に基づいて電動モータを駆動制御するので、慣性補償制御の演算負荷の増加を抑えつつ適切に電動モータの慣性を補償して、操舵感を一様にすることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結されて操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ(ブラシモータ)12とを備えている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。
操舵補助制御装置20には、トルクセンサ3で検出された操舵トルクT及び車速センサ16で検出された車速検出値Vsが入力される。そして、操舵補助制御装置20は、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vsに応じた操舵補助力を操舵系に付与する操舵補助力制御を行う。
図2は、操舵補助制御装置20の構成を示すブロック図である。この図2に示すように、操舵補助制御装置20は、基本アシスト指令値演算部21と、加算部22と、加算部23と、電流制御部24と、モータ駆動部25と、モータ角速度演算部26と、モータ角加速度演算部27と、慣性補償部28とを備えている。
図2は、操舵補助制御装置20の構成を示すブロック図である。この図2に示すように、操舵補助制御装置20は、基本アシスト指令値演算部21と、加算部22と、加算部23と、電流制御部24と、モータ駆動部25と、モータ角速度演算部26と、モータ角加速度演算部27と、慣性補償部28とを備えている。
基本アシスト指令値演算部21は、操舵トルクT及び車速検出値Vsが入力されて、操舵トルクT及び車速検出値Vsに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生するための基本アシスト指令値IM *を算出する。
加算部22は、基本アシスト指令値演算部21から出力される基本アシスト指令値IM *と、後述する慣性補償部28から出力される慣性補償値Iaとを加算し、その結果を電流指令値Irとして加算部23に出力する。
加算部22は、基本アシスト指令値演算部21から出力される基本アシスト指令値IM *と、後述する慣性補償部28から出力される慣性補償値Iaとを加算し、その結果を電流指令値Irとして加算部23に出力する。
加算器23は、加算部22から出力される電流指令値Irと、モータ電流検出器14で検出されたモータ電流Imとを減算処理し、その電流偏差ΔIを電流制御部24に出力する。
電流制御部24は、電流偏差ΔIに対してPI制御を施して電流制御値(電圧指令値)Eを算出し、電流制御値Eに基づいてモータ駆動部25の半導体スイッチング素子を駆動するPWM信号のデューティ比を演算し、これをモータ駆動部25に出力する。
電流制御部24は、電流偏差ΔIに対してPI制御を施して電流制御値(電圧指令値)Eを算出し、電流制御値Eに基づいてモータ駆動部25の半導体スイッチング素子を駆動するPWM信号のデューティ比を演算し、これをモータ駆動部25に出力する。
モータ駆動部25は、前記デューティ比に基づいて半導体スイッチング素子で構成されたHブリッジ回路を作動させて電動モータ12を駆動する。
このように、電動モータ12に流れるモータ電流Imは、モータ電流検出器14で検出され、加算器23に入力されてフィードバックされる。
モータ角速度演算部26は、モータ電流Imと電圧指令値Eとに基づいて、例えば、次式をもとにモータ角速度ωを算出する。
このように、電動モータ12に流れるモータ電流Imは、モータ電流検出器14で検出され、加算器23に入力されてフィードバックされる。
モータ角速度演算部26は、モータ電流Imと電圧指令値Eとに基づいて、例えば、次式をもとにモータ角速度ωを算出する。
ω=(E−Im×R)/K ………(1)
ここで、Rはモータ抵抗、Kは逆起電圧定数である。
モータ角加速度演算部27は、微分演算部27aと、LPF処理部27bとを備える。微分演算部27aは、モータ角速度演算部26で算出したモータ角速度ωを微分することによりモータ角加速度αを算出し、これをLPF処理部27bに出力する。
ここで、Rはモータ抵抗、Kは逆起電圧定数である。
モータ角加速度演算部27は、微分演算部27aと、LPF処理部27bとを備える。微分演算部27aは、モータ角速度演算部26で算出したモータ角速度ωを微分することによりモータ角加速度αを算出し、これをLPF処理部27bに出力する。
LPF処理部27bは、微分演算部27aから出力されたモータ角加速度αをローパスフィルタ(LPF)に通すことにより、ノイズを除去したノイズ除去後のモータ角加速度αを慣性補償部28に出力する。
慣性補償部28は、モータ角加速度αに基づいて、電動モータ12の慣性を補償するための慣性補償値Iaを出力する。ここで、本実施形態では、慣性補償に位相進みを含ませるものとする。
慣性補償部28は、モータ角加速度αに基づいて、電動モータ12の慣性を補償するための慣性補償値Iaを出力する。ここで、本実施形態では、慣性補償に位相進みを含ませるものとする。
この慣性補償部28は、モータ角加速度αの位相を進ませる位相進み補償部28aと、位相進み補償部28aの出力値に慣性補償ゲインGを乗じて慣性補償値Iaを出力する慣性補償値出力部(ゲイン乗算部)28bとで構成される。
位相進み補償部28aは、モータ角加速度αに対し位相を進ませる演算を施し、慣性補償値Iaの基本値である基本慣性補償値Ia’を出力する。具体的には、(T1s+1)/(T2s+1)のような伝達特性をモータ角加速度αに作用させるものとする。なお、T1>T2である。
位相進み補償部28aは、モータ角加速度αに対し位相を進ませる演算を施し、慣性補償値Iaの基本値である基本慣性補償値Ia’を出力する。具体的には、(T1s+1)/(T2s+1)のような伝達特性をモータ角加速度αに作用させるものとする。なお、T1>T2である。
図3は、慣性Jのみの機械系(1/Js,sはラプラス演算子)に慣性補償を行ったときの位相特性である。
図中曲線Aは、慣性補償部28を、慣性補償値出力部28bのみで構成したときの位相特性、曲線Bは、位相進み補償部28aと慣性補償値出力部28bとで構成したときの位相特性である。
図中曲線Aは、慣性補償部28を、慣性補償値出力部28bのみで構成したときの位相特性、曲線Bは、位相進み補償部28aと慣性補償値出力部28bとで構成したときの位相特性である。
前者の場合、モータ角速度検出の際に施すローパスフィルタ処理により、位相が徐々に遅れる特性となる。
そこで、位相進み補償部28aを作用させると、曲線Bに示すように、ある周波数までの領域では位相が進んだ特性となる。
慣性補償値出力部28bは、位相進み補償部28aの出力である基本慣性補償値Ia’に慣性補償ゲインGを乗じて、慣性補償値Iaを演算し、これを加算部22に出力する。
そこで、位相進み補償部28aを作用させると、曲線Bに示すように、ある周波数までの領域では位相が進んだ特性となる。
慣性補償値出力部28bは、位相進み補償部28aの出力である基本慣性補償値Ia’に慣性補償ゲインGを乗じて、慣性補償値Iaを演算し、これを加算部22に出力する。
ここで、慣性補償ゲインGは、図4に示す慣性補償ゲイン算出マップを参照し、トルクセンサ3で検出された操舵トルクTに基づいて算出する。
図4に示すように、慣性補償ゲイン算出マップは、操舵トルクTの絶対値が比較的小さいセンタ位置付近では慣性補償ゲインGが“K”に算出され、操舵トルクTの絶対値が大きいほど慣性補償ゲインGがKより小さい値に算出されるように設定されている。
図4に示すように、慣性補償ゲイン算出マップは、操舵トルクTの絶対値が比較的小さいセンタ位置付近では慣性補償ゲインGが“K”に算出され、操舵トルクTの絶対値が大きいほど慣性補償ゲインGがKより小さい値に算出されるように設定されている。
このように、慣性補償部28は、モータ角加速度αに対し、位相を進ませる位相進み補償と慣性補償ゲインGを乗じるゲイン乗算とを作用させるようになっている。
図2において、基本アシスト指令値演算部21が基本アシスト指令値演算手段に対応し、加算部22が電流指令値演算手段に対応し、加算部23、電流制御部24及びモータ駆動部25がモータ駆動制御手段に対応し、慣性補償部28が慣性補償手段に対応し、位相進み補償部28aが位相進み補償手段に対応し、慣性補償値出力部28bがゲイン乗算部に対応している。
図2において、基本アシスト指令値演算部21が基本アシスト指令値演算手段に対応し、加算部22が電流指令値演算手段に対応し、加算部23、電流制御部24及びモータ駆動部25がモータ駆動制御手段に対応し、慣性補償部28が慣性補償手段に対応し、位相進み補償部28aが位相進み補償手段に対応し、慣性補償値出力部28bがゲイン乗算部に対応している。
なお、実際に電流指令値Irを設定する場合には、電動モータの慣性を補償するための慣性補償値Iaの他に、車両挙動の収斂性の確保等のためのダンピング補償値等の各種補償値が基本アシスト指令値IM *に付加されるが、説明の便宜上、本実施形態ではそれら他の補償値の付加は省略している。
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
今、操舵角一定の保舵状態で車両が走行中であるものとする。この場合、操舵補助制御装置20は、モータ角速度演算部26でモータ角速度ωを0に算出し、モータ角加速度演算部27でモータ角加速度αを0に算出するため、慣性補償部28で慣性補償値Ia=0を出力する。したがって、操舵トルクT及び車速検出値Vsに基づいて演算した基本アシスト指令値IM *がそのまま加算部22の出力(電流指令値Ir)となり、その電流指令値Irに基づいて電動モータ12が駆動制御され、電動モータ12の発生トルクが減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2の回転トルクに変換されて、運転者の操舵がアシストされる。
この状態から、運転者が操舵トルクの小さいセンタ位置付近でステアリング操作を行ったものとすると、操舵補助制御装置20は、LPF処理部27bで微分演算部27aから出力されたモータ角加速度αをローパスフィルタに通すことで、モータ角加速度αに含まれるノイズを除去する。そして、ノイズ除去後のモータ角加速度αに対して位相進み補償部28aで位相進み補償を行い、その結果である基本慣性補償値Ia’を算出する。
このとき、操舵トルクTは比較的小さい値であることから、慣性補償値出力部28bで、図4の慣性補償ゲイン算出マップをもとに慣性補償ゲインGが“K”に算出され、これを上記基本慣性補償値Ia’に乗じることにより、慣性補償値Iaが算出される。そして、この慣性補償値Iaを基本アシスト指令値IM *に加算した値が電流指令値Irとなり、その電流指令値Irに基づいて電動モータ12が駆動制御される。
このように、基本アシスト指令値IM *に慣性補償値Iaを正帰還することで、電動モータ12の慣性が打ち消され、違和感のない操舵補助力制御が実施される。
ところで、ハンドル手放し時の安定性及び戻り時の収束性を改善する電動パワーステアリング装置として、検出舵角加速度信号の所望の周波数域における位相を進ませると共にノイズ除去機能を有するファジー演算フィルタに、検出舵角加速度信号を供給し、上記ファジー演算フィルタにより抽出された舵角加速度信号に基づいて、モータの慣性を補償する慣性制御信号を演算し、この慣性制御信号を操舵アシスト指令値に正帰還するというものがある。
ところで、ハンドル手放し時の安定性及び戻り時の収束性を改善する電動パワーステアリング装置として、検出舵角加速度信号の所望の周波数域における位相を進ませると共にノイズ除去機能を有するファジー演算フィルタに、検出舵角加速度信号を供給し、上記ファジー演算フィルタにより抽出された舵角加速度信号に基づいて、モータの慣性を補償する慣性制御信号を演算し、この慣性制御信号を操舵アシスト指令値に正帰還するというものがある。
この場合、舵角加速度検出にあるローパスフィルタによる遅れや電流ループによる遅れをファジーフィルタで補償することで、慣性補償の効果を上げ、ハンドル手放し時の安定性を向上しているが、ファジーフィルタは演算が複雑であり、演算負荷が大きい。
また、舵角加速度検出値の大きさにより、角加速度検出値の遅れ補償量が変化するため、ファジーフィルタ出力が非線形となり、特にセンタ付近の操舵では操舵感が一様にならない。
また、舵角加速度検出値の大きさにより、角加速度検出値の遅れ補償量が変化するため、ファジーフィルタ出力が非線形となり、特にセンタ付近の操舵では操舵感が一様にならない。
これに対して本実施形態では、慣性補償部28を、位相進み補償部28aと、その出力である基本慣性補償値Ia’に操舵トルクTに応じたゲインGを乗じて慣性補償値Iaを出力する慣性補償値出力部28bとで構成している。
このように、位相進み補償部28aでモータ角加速度αの位相を進ませることで、上述したファジーフィルタによる位相進み補償と異なり、線形位相進みとすることができるため、慣性補償制御の演算負荷を抑えつつ操舵感を一様にすることができる。
このように、位相進み補償部28aでモータ角加速度αの位相を進ませることで、上述したファジーフィルタによる位相進み補償と異なり、線形位相進みとすることができるため、慣性補償制御の演算負荷を抑えつつ操舵感を一様にすることができる。
また、位相進み補償部28aを設けることで、図3の曲線Bに示すように、ある周波数までは位相が進む特性となる。このように、低周波数領域で位相が進むため、ステアリング機械系が動き易い特性となる。そのため、路面からの外力に対して機械系が動き易くなるため、外力を運転者に伝え易くなり操舵性が向上する。
しかし、これだけでは、ある周波数以上の高周波数領域では位相が遅れるため、EPSシステムの安定性を悪化させてしまう。
しかし、これだけでは、ある周波数以上の高周波数領域では位相が遅れるため、EPSシステムの安定性を悪化させてしまう。
そこで、本実施形態では、慣性補償値出力部28bで、位相進み補償部28aの出力である基本慣性補償値Ia’に乗じる慣性補償ゲインGを操舵トルクTに応じて決定するものとし、EPSシステムの安定性の余裕が減少する操舵トルクTが大きい領域では、慣性補償ゲインGを“K”より小さく設定して安定性悪化を防止している。
つまり、運転者が、操舵トルクTが大きい状態で急なステアリング操作を行っているものとすると、慣性補償値出力部28bで、慣性補償ゲインGがKより小さい値に算出される。そのため、操舵トルクTが小さいときと比較して慣性補償値Iaが小さく算出される。そして、この慣性補償値Iaに基づいて慣性補償制御を行うことで、安定性悪化を防止する。
つまり、運転者が、操舵トルクTが大きい状態で急なステアリング操作を行っているものとすると、慣性補償値出力部28bで、慣性補償ゲインGがKより小さい値に算出される。そのため、操舵トルクTが小さいときと比較して慣性補償値Iaが小さく算出される。そして、この慣性補償値Iaに基づいて慣性補償制御を行うことで、安定性悪化を防止する。
一方、操舵トルクTが小さく操舵安定性の余裕があるときには、慣性補償ゲインGをKとして慣性補償値Iaを算出し、これに基づいて慣性補償制御を行う。
このように、上記実施形態では、少なくとも操舵トルクに基づいて基本アシスト指令値を演算すると共に、慣性補償部でモータ角加速度に基づいて電動モータの慣性を補償するための慣性補償値を演算し、慣性補償値を基本アシスト指令値に正帰還することで電流指令値を演算し、その電流指令値に基づいて電動モータを駆動制御する。そして、前記慣性補償部を、モータ角加速度の位相を進ませる位相進み補償部と、位相進み補償部の出力である基本慣性補償値に、操舵トルクに応じた慣性補償ゲインを乗じて慣性補償値を演算するゲイン乗算部とで構成する。
このように、上記実施形態では、少なくとも操舵トルクに基づいて基本アシスト指令値を演算すると共に、慣性補償部でモータ角加速度に基づいて電動モータの慣性を補償するための慣性補償値を演算し、慣性補償値を基本アシスト指令値に正帰還することで電流指令値を演算し、その電流指令値に基づいて電動モータを駆動制御する。そして、前記慣性補償部を、モータ角加速度の位相を進ませる位相進み補償部と、位相進み補償部の出力である基本慣性補償値に、操舵トルクに応じた慣性補償ゲインを乗じて慣性補償値を演算するゲイン乗算部とで構成する。
慣性補償部に位相進み補償部を設けることにより、低周波数領域で機械系の位相が進んだ特性とすることができ、路面からの外力を運転者に伝え易くして操舵性を向上させることができる。
また、ファジーフィルタによる位相進み補償と異なり、線形位相進みとすることで、特にセンタ付近の操舵において操舵感を一様にすることができる。
また、ファジーフィルタによる位相進み補償と異なり、線形位相進みとすることで、特にセンタ付近の操舵において操舵感を一様にすることができる。
したがって、慣性補償制御の演算負荷を抑えつつ、適切に電動モータの慣性を補償することができ、操舵感を一様にして運転者に違和感のない操舵補助力制御を実施することができる。
さらに、慣性補償部にゲイン乗算部を設け、操舵トルクに応じて慣性補償ゲインの大きさを変更するので、EPSシステムの安定性の余裕の有無に応じて慣性補償制御の度合いを設定することができる。
さらに、慣性補償部にゲイン乗算部を設け、操舵トルクに応じて慣性補償ゲインの大きさを変更するので、EPSシステムの安定性の余裕の有無に応じて慣性補償制御の度合いを設定することができる。
また、操舵トルクが大きいほど慣性補償ゲインを小さい値に設定するので、EPSシステムの安定性の余裕が少ないほど慣性補償ゲインを小さく設定して、高周波数領域での慣性補償遅れに起因する安定性悪化を防止することができる。
なお、上記実施形態においては、モータ電流Im及び電圧指令値Eに基づいてモータ角速度ωを算出する場合について説明したが、操舵角センサを備えている場合には、操舵角センサの検出値からモータ角速度ωを算出することもできる。
なお、上記実施形態においては、モータ電流Im及び電圧指令値Eに基づいてモータ角速度ωを算出する場合について説明したが、操舵角センサを備えている場合には、操舵角センサの検出値からモータ角速度ωを算出することもできる。
また、上記実施形態においては、電動モータとしてブラシモータシステムを適用する場合について説明したが、ホールセンサタイプのロータ角度センサを備えた矩形波駆動ブラシレスモータを適用することもできる。
さらに、上記実施形態においては、電動モータとして3相ブラシレスモータを適用することもできる。この場合、操舵補助制御装置20の構成は図5に示すようになる。即ち、3相ブラシレスモータは、ロータの回転位置を検出するレゾルバ、エンコーダ等で構成されるロータ位置検出回路15を備えるものとし、このロータ位置検出回路15で検出したロータ回転角θをモータ角速度演算部26’に入力し、このモータ角速度演算部26’で、ロータ回転角θに基づいてモータ角速度ωを演算すればよい。
さらに、上記実施形態においては、電動モータとして3相ブラシレスモータを適用することもできる。この場合、操舵補助制御装置20の構成は図5に示すようになる。即ち、3相ブラシレスモータは、ロータの回転位置を検出するレゾルバ、エンコーダ等で構成されるロータ位置検出回路15を備えるものとし、このロータ位置検出回路15で検出したロータ回転角θをモータ角速度演算部26’に入力し、このモータ角速度演算部26’で、ロータ回転角θに基づいてモータ角速度ωを演算すればよい。
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…トルクセンサ、10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、12…電動モータ、16…車速センサ、20…操舵補助制御装置、21…基本アシスト指令値演算部、22…加算部、23…加算部、24…電流制御部、25…モータ駆動部、26…モータ角速度演算部、27…モータ角加速度演算部、27a…微分演算部、27b…LPF処理部、28…慣性補償部、28a…位相進み補償部、28b…慣性補償値出力部
Claims (3)
- 操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータと、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記電動モータのモータ角加速度を検出する角加速度検出手段と、少なくとも操舵トルクに基づいて基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算手段と、該角加速度検出手段で検出したモータ角加速度に基づいて、前記電動モータの慣性を補償するための慣性補償値を演算する慣性補償手段と、前記慣性補償値を前記基本アシスト指令値に正帰還して電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ駆動制御手段とを備える電動パワーステアリング装置であって、
前記慣性補償手段は、前記モータ角加速度に対し、位相を進ませる位相進み補償手段と慣性補償ゲインを乗じるゲイン乗算手段とを作用させることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記慣性補償ゲインは、前記操舵トルクに応じて変更されることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記慣性補償ゲインは、前記操舵トルクが大きいほど小さく設定されることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
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-
2006
- 2006-09-29 JP JP2006268199A patent/JP2008092633A/ja active Pending
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