JP5155844B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ドライバが操舵する操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、電動機が操舵トルクの大きさ等に応じた補助トルクを発生し、この補助トルクをステアリング系に伝達して、ドライバが操舵する操舵力を軽減するものである。この電動パワーステアリング装置に関し、操舵トルクと車速によって定まるベース電流(補償前の補助トルクに対応)に電動機の慣性を補償するイナーシャ補償制御電流や、粘性感を制御するダンピング制御電流を付加し、この電流を目標電流(補助トルクに対応)として電動機を制御する技術が開示されている(特許文献1、2参照)。
更に、ステアリング機構の摩擦トルクがドライバの操舵方向によりその摩擦の向きが決定し、切り込み時は加算され戻り時は減算されることにより、操舵角が同一の場合ではドライバの操舵状態が切り込み状態のときの方が戻し状態のときよりも操舵トルクが大きいため、操舵角・操舵トルクのリサージュ波形は、ヒステリシス特性を有するものであることが開示されている(特許文献3、4参照)。
特開2002−59855号公報(図2) 特開2000−177615号公報(図2) 特許3751923号公報(図3) 特開2005−186801号公報(図3)
前記の従来の電動パワーステアリング装置では、操舵トルクと車速によって定まるベース電流に、電動機の慣性を補償するイナーシャ補償制御や、粘性感を制御するダンピング制御を付加し、操舵感を改善するようにしていた。しかしながら、操舵アシストトルクの発生の影響(操舵アシストが入る影響)によって操舵角・操舵トルクのリサージュ波形のヒステリシス幅がその操舵角によって変化するという課題があった。この結果、例えば、旋回中において、良好な操作性、操舵感が損なわれる虞があった。
そこで本発明では、車両状態を問わず、操舵感を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルクに基づいてベースアシスト電流を算出し、操舵速度に応じてダンピング電流を算出し、ベースアシスト電流からダンピング電流を加算または減算することでモータ目標電流を算出してモータを駆動し、車両の転舵を行う電動ステアリング装置であって、操向ハンドルの切り込み操作のときは、ダンピング電流の大きさをベースアシスト電流の絶対値のレベルが増大するのに応じて増加させ、操向ハンドルの戻し操作のときは、ダンピング電流の大きさを、ベースアシスト電流の絶対値のレベルが減少するのに応じて減少させ、ダンピング電流は、ベースアシスト電流による補助トルクを打ち消す方向に加算又は減算されて、操舵角と操舵トルクのリサージュ波形のヒステリシス幅が、操向ハンドルの左右への切り込み操作から戻し操作に切り換わる操舵角による影響を抑制するように制御することを特徴とする。
このように構成したことにより、ベースアシスト電流と対応する補償前の補助トルクに応じて、例えば、操舵の往き(切り込み)で補助トルク(アシストトルク)を減少させ、戻りで補助トルク(アシストトルク)を増大させることとができる。つまり、リサージュ波形の傾きを増大または減少させることでヒステリシス幅を確保し、ヒステリシス幅がほぼ一定である理想的な状態に近づけて、良好な操舵感を得ることができる。
更に、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1記載の電動ステアリング装置において、操舵速度に応じたダンピング電流は、操舵速度の増加とともに増加し、所定の飽和値となるように算出されるとともに、車速が大きいとき、ダンピング電流のレベルを大きくして、ベースアシスト電流を補正する際に、少なくとも補助トルクを抑えることで、しっかりとした重さの操舵感に制御することを特徴とする。
このように構成したことにより、舵角速度信号のレベルが大きいほど、ダンピング電流のレベルが大きくなるようにしても、操舵トルクが増加することで補正前の補助トルクが増加したとき、ベースアシスト電流に応じて、この補正前の補助トルクの補正による減衰が行われるので、理想的なヒステリシス幅確保に適した減衰力が得られる。
また、車速が大きいとき、ダンピング電流のレベルが大きくなることにより、補助トルクを補正する際の減衰量を大きくして補助トルクを抑え、更には、反対方向の補助トルクを生じさせることで、高速走行時、しっかりとした重さの操舵感を与えることができる。
本発明によれば、車両状態を問わず、操舵感を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態である電動パワーステアリング装置について、説明する。
<1.電動パワーステアリング装置の構成>
まず、本発明の一実施形態である電動パワーステアリング装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の電動パワーステアリング装置の構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2が設けられたメインステアリングシャフト3と、シャフト1と、ピニオン軸5とが、2つのユニバーサルジョイント(自在継手)4によって連結され、また、ピニオン軸5の下端部に設けられたピニオンギア7が、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9、9を介して左右の転舵輪10、10が連結されている。この構成により、操向ハンドル2の操舵時に車両の進行方向を変えることができる。ここで、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9、9は転舵機構を構成する。
また、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2操舵時の操舵力を軽減するための補助操舵力を供給する電動機11を備えており、この電動機11の出力軸に設けられたウォームギア12が、ピニオン軸5に設けられたウォームホイールギア13に噛合している。即ち、ウォームギア12とウォームホイールギア13とで減速機構が構成されている。また、電動機11の回転子(図示せず)と電動機11に連結されているウォームギア12とウォームホイールギア13とピニオン軸5とラック軸8とラック歯8aとタイロッド9、9等により、ステアリング系が構成される。
電動機11は、複数の界磁コイルを備えた固定子(図示せず)とこの固定子の内部で回転する回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモータであり、電気エネルギーを機械的エネルギー(P=ωT)に変換するものである。ここで、ωは回転速度であり、Tは電動機11の発生トルクである。また、発生トルクTと実際に出力として取り出すことができる出力トルクT´との関係は、下記(1)式によって表現される。(i:ウォームギア12とウォームホイールギア13との減速比)
´=T−(cdθ/dt+Jd2θ/dt2)i2 ・・・(1)
上記(1)式より、出力トルクT´と電動機回転角θとの関係は、電動機11の回転子の慣性モーメントJと粘性係数cとによって規定され、車両特性や車両状態に無関係である。
更に、電動パワーステアリング装置100は、制御装置200と、電動機11を駆動する電動機駆動手段60と、レゾルバ50と、ピニオン軸5に加えられるピニオントルクを検出するトルクセンサ30と、トルクセンサ30の出力を増幅する差動増幅回路40と、車速センサ35とを備えている。
電動機駆動手段60は、例えば、3相のFETブリッジ回路のような複数のスイッチング素子を備え、制御装置200から出力されたDUTY(DUTY U、DUTY V、DUTY W)信号を用いて、矩形波電圧を生成し、電動機11を駆動するものである。また、電動機駆動手段60は図示しないホール素子を用いて3相の電機子電流I(IU、IV、IW)を検出する機能を備えている。
レゾルバ50は、電動機11の回転角を検出し、角度信号θを出力するものであり、例えば、磁気抵抗変化を検出するセンサを周方向に等間隔の複数の凹凸部を設けた磁性回転体に近接させたものである。なお、角度信号θは、検出した電動機11の回転角の信号である。
トルクセンサ30は、ピニオン軸5に加えられるピニオントルクを検出するものであり、ピニオン軸5の軸方向2箇所に逆方向の異方性となるように磁性膜が被着され、各磁性膜の表面に検出コイルがピニオン軸5に離間して挿入されている。
差動増幅回路40は、検出コイルがインダクタンス変化として検出した2つの磁歪膜の透磁率変化の差分を増幅し、トルク信号Tを出力するものである。なお、このトルク信号Tは、ピニオントルクレベルを示す信号である。
車速センサ35は、車両の車速Vを単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速信号VSを出力する。
制御装置200は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータからなり、レゾルバ50からの角度信号θ、車速センサ35からの車速信号VS、差動増幅回路40からのトルク信号Tから得られる前記の発生トルクTで電動機11を駆動させるためのDUTY信号を電動機駆動手段60に出力する。このDUTY信号の出力により、電動機駆動手段60は、前記の発生トルクTで電動機11を駆動させる。
<2.制御装置>
次に、本実施形態の電動パワーステアリング装置における制御装置について、説明する。図2は、本実施形態の電動パワーステアリング装置における制御装置の機能構成を示す図である。
本実施形態の電動パワーステアリング装置における制御装置は、即ち、制御装置200は、ベース信号演算部220と、イナーシャ補償信号演算部210と、ダンパ補償信号演算部225と、Q軸(トルク軸)PI制御部240と、D軸(磁極軸)PI制御部245と、2軸3相変換部260と、PWM変換部270と、3相2軸変換部265と、電動機速度算出部280と、励磁電流生成部285等を、機能ブロックとして備える。
3相2軸変換部265は、電動機駆動手段60(図1参照)が検出する、電動機11(図1参照)の3相電流IU、IV、IWを、電動機11の回転子の磁極軸であるD軸の電流と、このD軸に対して電気的に90度回転した軸であるQ軸の電流に変換するものであり、D軸電流IDは励磁電流に比例し、Q軸電流は電動機11の発生トルクTに比例する。
励磁電流生成部285は、電動機11(図1参照)の励磁電流目標値を生成して出力する。
D軸(磁極軸)PI制御部245は、加算器253の出力信号を、即ち、3相2軸変換部265から出力されたD軸電流IDと励磁電流生成部285で生成された励磁電流目標値との差分を、減少するようにPI帰還制御を行う。
Q軸(トルク軸)PI制御部240は、加算器252の出力信号を、即ち、3相2軸変換部265から出力されたQ軸電流IQとこのQ軸電流IQの目標電流IMとの差分である偏差信号IEを減少するように、P(比例)制御及びI(積分)制御を行う。なお、電動機11の発生トルクTを規定するQ軸電流IQの目標電流IMの生成については、後述する。
2軸3相変換部260は、Q軸(トルク軸)PI制御部240の出力信号VQとD軸(磁極軸)PI制御部245の出力信号VDとの2軸信号を3相信号UU、UV、UWに変換して出力する。なお、2軸3相変換部260は、電動機11(図1参照)の角度信号θが入力され、回転子の磁極位置に応じた信号が出力される。
PWM変換部270は、2軸3相変換部260から出力された3相信号UU、UV、UWの大きさに比例したパルス幅のON/OFF信号[PWM(Pulse Width Modulation)信号]であるDUTY信号(DUTY U、DUTY Y、DUTY W)を生成して電動機駆動手段60(図1参照)に出力する。なお、PWM変換部270は、電動機11(図1参照)の角度信号θが入力され、回転子の磁極位置に応じた信号が出力される。
電動機11の発生トルクTを規定するQ軸電流IQの目標電流IMの生成について、以下、説明する。Q軸電流IQの目標電流IMは、加算器250の出力信号であり、この加算器250の出力信号は、加算器251の出力信号とイナーシャ補償信号演算部210の出力信号とを加算したものである。そして、加算器251の出力信号は、ベース信号演算部220の出力信号とダンパ補償信号演算部225の出力信号との差分であることにより、Q軸電流IQの目標電流IMは、ベース信号演算部220の出力信号とダンパ補償信号演算部225の出力信号との差分に、イナーシャ補償信号演算部210の出力信号とを加算したものである。
なお、前記の通り、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクと車速によって定まるベース電流(補償前の補助トルクに対応)を、ステアリング系のイナーシャ(慣性)とダンピング(粘性)によって補償し、この補償された電流を目標電流(補助トルクに対応)として電動機を制御するが、このベース電流がベース信号演算部220の出力信号に、補償された電流がQ軸電流IQの目標電流IMに相当する。そして、ステアリング系のイナーシャ(慣性)による補償はイナーシャ補償信号演算部210が行い、ステアリング系のダンピング(粘性)による補償はダンパ補償信号演算部225が行う。
ベース信号演算部220、ダンパ補償信号演算部225、イナーシャ補償信号演算部210について、以下、説明する。
まず、ベース信号演算部220について、説明する。ベース信号演算部220は、トルク信号Tと車速信号VSとから、電動機11の発生トルクTを規定するQ軸電流IQの目標電流IMの基準となるベースアシスト信号Dを生成する。なお、このベースアシスト信号Dの生成は、実験測定等によって予め設定されベース信号演算部220に格納されたベーステーブル220aを参照することによって、行われる。そして、トルク信号Tとは、前記の通り、ピニオン軸5に加えられるピニオントルクのレベルを示す信号である。
ベーステーブル220aでは、図3の通り、トルク信号Tのレベルが小さいときはベースアシスト信号Dがゼロレベルに設定される不感帯N1が設けられ、この不感帯N1よりもトルク信号Tのレベルが大きくなるとゲインG1で直線的に増加する特性を備えている。なお、図3は、ベース信号演算部220に格納されているトルク信号T及び車速信号VSとベースアシスト信号Dとの対応関係のベーステーブル220aを示す図である。また、ベーステーブル220aでは、図3の通り、トルク信号Tのレベルが所定レベル以上のとき、ゲインがG1からG2に増加し、更にトルク信号Tのレベルが増加して前記所定レベルよりも高い所定レベル以上となったとき、ベースアシスト信号Dのレベルが飽和する特性を備えている。
更に、ベーステーブル220aでは、車速Vが大きく高速になるに従って、ゲインG1、G2が低くなり、且つ、不感帯N1が大きくなる特性を備えている。この特性を備えていることにより、車速ゼロの据え切り操作時が最も負荷が重く、中低速時では比較的負荷が軽くなり、高速時ではマニュアルステアリング領域を大きくとって路面情報を運転者に与えるようにしている。
次に、ダンパ補償信号演算部225について、説明する。ダンパ補償信号演算部225は、舵角速度信号ω、ベースアシスト信号D、車速信号VSとから、ダンピング信号Iを生成する。なお、ダンピング信号Iの生成は、実験測定によって予め設定されダンパ補償信号演算部225に格納されたダンパテーブル225aを参照することによって、行われる。そして、舵角速度信号ωは、レゾルバ50(図1参照)出力の角度信号θを電動機速度算出部280で微分演算することにより生成される。
ダンパテーブル225aでは、図4の通り、舵角速度信号ωのレベルが大きいほど、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性を備えている。また、車速信号VSのレベルが大きいほど、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性を備えている。また、ベースアシスト信号Dのレベルが大きいほど、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性を備えている。
一般的に、ダンピング信号Iは、舵角速度信号ωと車速信号VSとに基づいて生成される。これは、路面反力が小さくなる高車速域において、速いステアリングホイールの動きを制限して安定した操舵感を得るためであるが、本実施形態では、図4に示すように、さらに、ベースアシスト信号Dを加味して、ダンピング信号Iを生成し、これにより、リサージュ波形を後記する理想的なものに近づけて、操舵感をさらによくするようにしている。
図5(a)(b)は、操舵角・操舵トルクのリサージュ波形を示す。この図5(a)(b)において、横軸は操舵角を示し、縦軸は操舵トルクを示す。操舵角は、この図の縦軸と横軸の交点である原点を基準に、右側にいくほどプラス側に操舵角の値が大きくなる(右操舵)。一方、原点を基準に、左側にいくほどマイナス側の操舵角の値が大きくなる(左操舵)。また、操舵トルクは、原点を基準に、上側にいくほどプラス側(右側)の操舵トルクの値が大きくなる。一方、原点を基準に、下側にいくほどマイナス側(左側)の操舵トルクの値が大きくなる。
また、この図5(a)(b)において、「戻し」は、操舵トルクの方向と操向ハンドルの回転方向とが一致しないときであり、「切り込み」は、操舵トルクの方向と操向ハンドルの回転方向とが一致するときである。
ここで、図5(a)は、電動パワーステアリング装置によるアシストがない場合(電動パワーステアリング装置を搭載しない場合)のリサージュ波形であり、どの操舵角でも、「切り込み」と「戻し」における操舵トルクの差(ヒステリシス幅)は概ね一定である。本実施形態では、このように、すべての操舵角域においてヒステリシス幅が一定となるようなリサージュ波形を理想的なものとする。
なお、ヒステリシス幅は、ステアリング系の機械的な摩擦により生じるトルクに起因するものである。
次に、図5(b)は、電動パワーステアリング装置による操舵アシストが入った場合の操舵角・操舵トルクのリサージュ波形を示す図であり、実線が比較例を示し、破線が本実施形態例を示す。つまり、図5(b)に実線で示すリサージュ波形は、図4の機能ブロック図において、ベースアシスト信号Dを加味しない構成の場合の波形(比較例)に相当するものであり、一方、図5(b)に破線で示すリサージュ波形は、図4の機能ブロック図において、ベースアシスト信号Dを加味した構成の場合の波形(実施形態例)に相当するものである。
図5(b)において右側操舵を考えると、実線で示す比較例の「切り込み」のステアリング操作では、操舵トルクが増加してアシスト開始トルクになると、換言すると、操舵トルクが図3のベースアシストテーブルの不感帯を超えると、電動機11によるアシストが入るため、この時点を境にリサージュ波形の傾斜が段々と緩やかとなる。つまり、電動機11によるアシストが開始されることにより、リサージュ波形の傾斜が、操舵角が大きくなるにつれて緩やかとなり、これが主たる要因となって、高操舵角域でのヒステリシス幅を狭くして、操舵感を理想的なものから遠ざけている。
なお、右側操舵について説明したが、左側操舵についても同様である。
本発明者らは、この点について検討を加え、図4のようにベース電流信号Dも加味してダンピング信号Iを生成することとし、ベースアシスト電流の大きさに応じたダンパ電流を流し、図5(b)に破線で示すように、例えば操舵の往き(切り込み)で補助トルク(アシストトルク)を減少させ、戻りで補助トルク(アシストトルク)を増大させることとした。つまり、リサージュ波形の傾きを増大または減少させることでヒステリシス幅を確保し、図5(b)の破線で示される、ヒステリシス幅がほぼ一定である理想的な状態に近づけて、良好な操舵感を得ることができるようにした。
ちなみに、車速信号VSのレベルが大きいほど、レシオが大きくなることで、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性を有していることにより、下記理由により、操舵感を損なうことなく高速域での安定性を高められる。
理由:車速信号VSのレベルが大きいとき、即ち、車速が大きいとき、ダンピング信号Iのレベルが大きくなることにより、前記の通り、補助トルクを補正する際の減衰量を大きくして補助トルクを抑え、更には、反対方向の補助トルクを生じさせることで、高速走行時、しっかりとした重さの操舵感に制御されるためである。
次に、イナーシャ補償信号演算部210について、説明する。イナーシャ補償信号演算部210は、トルク信号Tから、ステアリング系のイナーシャによる補助トルクの補償量を算出して出力することにより、ステアリング系のイナーシャによる影響を補償する。なお、ステアリング系のイナーシャによる補助トルクの補償量の算出は、実験測定によって予め設定されイナーシャ補償信号演算部210に格納されたイナーシャテーブル210aを参照することによって、行われる。
また、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転子の慣性による応答性の低下を補償している。言い換えれば、電動機11は正回転から逆回転に、または、逆回転から正回転に回転方向を切り換える際、慣性によってその状態を維持させようとするのですぐには回転方向が切り換わらない。そこで、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転方向の切り換わりが操向ハンドル2の回転方向が切り換わるタイミングに一致するように制御している。このようにして、イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性(や粘性)による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与している。また、FF(Front engine Front wheel drive)やFR(Front engine Rear wheel drive)車、RV(Recreation Vehicle)やセダン等の車両特性や車速、路面など
の車両状態によって異なる操舵特性に対して、実用上十分な特性が付与される。
<3.まとめ>
以上の通り、本実施形態の電動パワーステアリング装置は、下記(1)に記載の理由により、車両状態を問わず、操舵感を向上させることができる。更に、下記(2)に記載の理由により、操舵感を損なうことなく、高速域での車両安定性を高めることができる。
(1)図4の通り、ベースアシスト信号Dのレベルが大きいほど、レシオが大きくなることで、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性をダンパ補償信号演算部225が有していることにより、前記の通り、操舵アシストが入ることによる操舵角・操舵トルクのリサージュ波形のヒステリシス幅が減少する現象を防ぐことができるため。
(2)図4の通り、車速信号VSのレベルが大きいほど、レシオが大きくなることで、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性をダンパ補償信号演算部225が有していることにより、前記の通り、操舵感を損なうことなく高速域での車両安定性を高められるため。
一方、比較例として、図6の通り、舵角速度信号ωのレベルが大きいほど、ダンピング信号Iのレベルが大きくなる特性を有するダンパ補償信号演算部を備えた電動パワーステアリング装置では、換言するとベースアシスト信号Dを加味しないダンパ補償信号演算部を備えた電動パワーステアリング装置では、操舵トルクが増加することで補正前の補助トルクが増加しても、この補正前の補助トルクの補正による減衰が行われにくいため、理想的なヒステリシス幅確保に適した減衰力が得られない。なお、図6は、比較例の電動パワーステアリング装置のダンパ補償信号演算部に格納されている舵角速度信号ωとダンピング信号Iとの対応関係のダンパテーブルを示す図である。前記の通り、特に操舵角の絶対値が大きく、電動機11による補助トルクが大きいとき、図5(b)の実線で示されるように、操舵アシストが入ることによる操舵角・操舵トルクのリサージュ波形のヒステリシス幅が減少する現象が発生する。その結果、車両状態を問わず、操舵感が悪くなる。
本発明の一実施形態である電動パワーステアリング装置の構成を示す図である。 本発明の一実施形態である電動パワーステアリング装置における制御装置の機能構成を示す図である。 本発明の一実施形態である電動パワーステアリング装置における制御装置のベース信号演算部に格納されているトルク信号T及び車速信号VSとベースアシスト信号Dとの対応関係のベーステーブルを示す図である。 本発明の一実施形態である電動パワーステアリング装置における制御装置のダンパ補償信号演算部の機能ブロック及び格納されている舵角速度信号ω及びベースアシスト信号D及び車速信号VSとダンピング電流レベル信号Iとの対応関係のダンパテーブルを示す図である。 (a)理想的な操舵力ヒステリシス幅を有する操舵角・操舵トルクのリサージュ波形を示す図である。 (b)電動パワーステアリング装置による操舵アシストが入った場合の操舵角・操舵トルクのリサージュ波形を示す図であり、実線が比較例を示し、破線が本実施形態例を示す。 比較例の電動パワーステアリング装置のダンパ補償信号演算部に格納されている舵角速度信号ωとダンピング信号Iとの対応関係のダンパテーブルを示す図である。
符号の説明
1 シャフト
2 操向ハンドル
3 メインステアリングシャフト
4 ユニバーサルジョイント(自在継手)
5 ピニオン軸
7 ピニオンギア
8 ラック軸
8a ラック歯
9 タイロッド
10 転舵輪

Claims (2)

  1. 操舵トルクに基づいてベースアシスト電流を算出し、操舵速度に応じてダンピング電流を算出し、ベースアシスト電流からダンピング電流を加算または減算することでモータ目標電流を算出してモータを駆動し、車両の転舵を行う電動パワーステアリング装置であって、
    操向ハンドルの切り込み操作のときは、前記ダンピング電流の大きさを、前記ベースアシスト電流の絶対値のレベルが増大するのに応じて増加させ、
    操向ハンドルの戻し操作のときは、前記ダンピング電流の大きさを、前記ベースアシスト電流の絶対値のレベルが減少するのに応じて減少させ、
    前記ダンピング電流は、前記ベースアシスト電流による補助トルクを打ち消す方向に加算又は減算されて、操舵角と操舵トルクのリサージュ波形のヒステリシス幅が、前記操向ハンドルの左右への切り込み操作から戻し操作に切り換わる操舵角による影響を抑制するように制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵速度に応じた前記ダンピング電流は、操舵速度の増加とともに増加し、所定の飽和値となるように算出されるとともに、
    車速が大きいとき、前記ダンピング電流のレベルを大きくして、前記ベースアシスト電流を補正する際に少なくとも補助トルクを抑えることで、しっかりとした重さの操舵感に制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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