JP2008143200A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】別途舵角センサやトルクリミッタ等を追加することなく、操舵限界位置到達時にトルク伝達部材に伝達される衝撃力を緩和することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング機構に操舵補助トルクを伝達する電動モータ12と、操舵トルクに基づく電流指令値に応じて電動モータ12を駆動制御するコントローラ15とを備え、コントローラ15は、操舵トルクセンサ14で検出した操舵トルクTと、角加速度演算部32で演算したモータ角加速度αとに基づいて端当て時か否かを判定する端当て判定部51を有する。そして、操舵トルク変化率ΔT又はモータ角加速度αが、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、操舵補助トルク指令値IM *を所定値に固定することで前記電流指令値を制限する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータを備える電動パワーステアリング装置に関し、特に端当て時の衝撃を緩和することができる電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、ステアリング装置として運転者がステアリングホイールを操舵する操舵トルクに応じて電動モータ駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が普及している。
一般に、ステアリング機構では、ステアリングホイールを中立位置から左及び右の何れの操舵方向に操舵を続けて、ステアリングホイールの操作量がその最大値に相当する最大舵角に達すると、ステアリング機構がメカニカルストッパに当接してそれ以上の操舵ができない操舵限界位置となる。このような操舵限界位置となって、メカニカルストッパに当接する状態となることを所謂端当てと称している。
そして、ステアリングホイールが素早く操作される場合即ち操舵速度が大きい場合には、電動パワーステアリング装置で発生する操舵補助力も大きくなり、端当ての際に生じる衝撃力が大きなものとなり、その結果、ステアリング機構の耐久性が低下したり、操舵操作において運転者が不快感を覚えたりすることがある。
このため、従来、端当て時の衝撃を緩和するように構成された電動パワーステアリング装置として、舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると電動機の操舵補助トルクを低減補正するアンローダ補正部を有し、このアンローダ補正部で、操舵速度が速いほど前記補助操舵トルクの低減補正量を増大修正するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、操舵輪が所定の最大舵角に接近して減衰開始舵角を超えたことが検出された場合に、電動モータの駆動力を減衰させる減衰手段と、操舵輪の負荷及び操舵輪の操舵速度に応じて前記減衰開始舵角を設定する減衰開始舵角設定手段とを備えた電気式パワーステアリング装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
ところが、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、最大舵角近傍において操舵補助トルクの低減補正量を増大修正するようにしているので、舵角を検出するセンサが必要となると共に、操舵速度が速い場合には、電動機の慣性により、必ずしも端当て時の衝撃を十分に緩和することができない。
また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、操舵輪の負荷及び操舵輪の操舵速度に応じて減衰開始舵角を設定するので、操舵速度が高速である場合には、最大舵角と減衰開始舵角との差を大きくする(電動モータの駆動力を減衰させる時点を早める)ことで、モータ慣性によって端当て時に大きな衝撃が発生することを防止することが可能となるものであるが、最大舵角近傍でアシスト力が不足してしまうと共に、ステアリングホイールを最大舵角近傍から中立位置へ向かって切り戻す場合には、電動モータの駆動力の減衰により、操舵補助力が不十分となってステアリングホイールが最大舵角付近に張り付くような感覚を与え、操舵フィーリングが悪化してしまう。
そこで、機械的に端当ての衝撃を低減することが考えられている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3に記載の発明では、電動モータから操舵輪への操舵力伝達系の途中であって、電動モータから伝えられるトルクが作用する部分に、該部分に作用するトルクが所定値に達した場合に当該トルクの伝達を制限するトルクリミッタを設けることにより、操舵輪がステアリングエンドに達した時等、操舵輪の操舵動作が急激に停止した場合に瞬間的に増加する電動モータの回転エネルギによるトルクをトルクリミッタにより制限し、所定値以上のトルクの操舵輪側への電動を阻止して大きな衝撃力の発生を防止するようにしている。
特開2001−253356号公報(第1頁、図2、図7) 特開2001−30933号公報(第1頁、図2、図3) 特開2000−335431号公報(第1頁、図2、図3)
ところで、端当て時やタイヤが縁石に当接した時のように操舵限界位置に達した時の衝撃荷重が及ぼす影響のうち、ステアリングシャフトとステアリングギヤとの間に介挿されたトルク伝達部材としての中間シャフトに与える影響が大きく、この中間シャフトの耐久性が低下する。
上記各従来例にあっては、ステアリング機構がメカニカルストッパに当接する端当て時などの操舵限界位置となった時の衝撃を緩和できるものであるが、第1及び第2の従来例のような対策では、ステアリングホイールの絶対角度情報を使用するため、高精度の舵角センサ又は絶対舵角推定機能が必要となり、横滑り防止装置用の低精度の舵角センサを流用することはできず、高価な舵角センサや絶対舵角推定機能を必要とするので、製造コストが嵩む。また、タイヤが縁石に当接した場合など、舵角に関係なく中間シャフト等のトルク伝達部材に伝達される衝撃力を緩和することができない。
また、第3の従来例のように、端当て時の衝撃を、トルクリミッタを使用して機械的に防止するには、トルクリミッタを組込む必要があり、同様に製造コストが嵩む。
そこで、本発明は、別途舵角センサやトルクリミッタ等を追加することなく、端当て時やタイヤが縁石等に当接した時などの操舵限界位置となった時に中間シャフト等のトルク伝達部材に伝達される衝撃力を緩和することができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータのモータ駆動電流を検出する駆動電流検出手段と、前記電流指令値と前記モータ駆動電流とに基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクの変化率を演算するトルク変化率演算手段と、前記電動モータのモータ角加速度を検出する角加速度検出手段と、前記操舵トルクの変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を、前記ステアリング機構のステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制するための所定電流値に固定する電流指令値制限手段とを備えることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記電流指令値制限手段は、前記操舵トルクの変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が操舵限界を判断する閾値以上、且つ前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクの絶対値が所定値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を前記所定電流値に固定することを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータのモータ駆動電流を検出する駆動電流検出手段と、前記電流指令値と前記モータ駆動電流とに基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記駆動電流検出手段で検出したモータ駆動電流の変化率を演算する駆動電流変化率演算手段と、前記電動モータのモータ角加速度を検出する角加速度検出手段と、前記モータ駆動電流の変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を、前記ステアリング機構のステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制するための所定電流値に固定する電流指令値制限手段とを備えることを特徴としている。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項3に係る発明において、前記電流指令値制限手段は、前記モータ駆動電流の変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が操舵限界を判断する閾値以上、且つ前記駆動電流検出手段で検出したモータ駆動電流の絶対値が所定値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を前記所定電流値に固定することを特徴としている。
さらにまた、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れか1項に係る発明において、前記電動モータのモータ角速度を検出する角速度検出手段を有し、前記電流指令値制限手段は、前記電流指令値制限条件を満足したものと判断し、且つ前記角速度検出手段で検出したモータ角速度の絶対値が所定値以上であるとき、前記電流指令値を前記所定電流値に固定することを特徴としている。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜5の何れか1項に係る発明において、前記電流指令値制限手段は、電流指令値を前記所定電流値に固定してから所定時間が経過したときに電流指令値の前記所定電流値への固定を解除するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項6に係る発明において、前記所定時間は、モータ角速度に基づいて設定されることを特徴としている。
また、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜7の何れか1項に係る発明において、前記モータ制御手段は、前記電流指令値と前記モータ駆動電流との偏差に基づいて、前記電動モータのモータ駆動電流を制御する電流制御手段と、前記電流指令値制限条件を満足したとき、前記電流制御手段でのモータ駆動電流制御の応答性を通常応答性より高い高応答性に変更する応答性変更手段とを備えることを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルクの変化率及びモータ角加速度の少なくとも一方が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、電動モータの電流指令値をステアリング機構のステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制する所定電流値に固定するので、ステアリングシャフト及びステアリングギヤ間に介挿された中間シャフト等のトルク伝達部材に過大なトルクが伝達される前に電動モータで発生する操舵補助トルクを制限することができ、別途舵角センサやトルクリミッタ等を追加することなく、端当て時やタイヤが縁石等に当接した時などの操舵限界位置となった時に中間シャフト等のトルク伝達部材に伝達される衝撃力を緩和することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図中、符号SMはステアリング機構である。このステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aとこの入力軸2aに図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装され、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は図示しないトーションバーに連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、2つのヨーク4a,4bとこれらを連結する十字連結部4cとで構成されるユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達され、さらに、2つのヨーク6a,6bとこれらを連結する十字連結部6cとで構成されるユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ギヤハウジング8a内に、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8bとこのピニオン8bに噛合するラック軸8cとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8bに伝達された回転運動をラック軸8cで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結された操舵補助力を発生する電動機としての例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
また、減速ギヤ11のステアリングホイール1側に連接されたハウジング13内に操舵トルクセンサ14が配設されている。この操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を非接触の磁気センサで検出するように構成されている。
そして、操舵トルクセンサ14から出力される操舵トルク検出値Tは、図2に示すように、コントローラ15に入力される。このコントローラ15には、トルク検出値Tの他に車速センサ16で検出した車速検出値V、電動モータ12に流れるモータ電流Iu〜Iw及びレゾルバ、エンコーダ等で構成される回転角センサ17で検出した電動モータ12の回転角θも入力され、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生させる操舵補助トルク指令値IM *を算出し、算出した操舵補助トルク指令値IM *に対して、回転角θに基づいて算出するモータ角速度ω及びモータ角加速度αに基づいて各種補償処理を行ってからd−q軸電流指令値Id*,Iq*に変換する。また、モータ電流Iu〜Iwを3相/d−q変換してd−q軸モータ電流Id,Iqを算出し、前記d−q軸電流指令値Id*,Iq*とd−q軸モータ電流Id,Iqとに基づいて電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック処理して、その結果をd−q/3相変換し、電動モータ12を駆動制御するモータ電流Iu,Iv及びIwを出力する。
すなわち、コントローラ15は、操舵トルクT及び車速Vに基づいて操舵補助トルク指令値IM *を演算する操舵補助トルク指令値演算部21と、算出された操舵補助トルク指令値IM *を補償する指令値補償部22と、この指令値補償部22で補償されたトルク指令値IM *´に対して制限処理を施す電流制限部23と、制限されたトルク指令値Irに基づいてd−q軸電流指令値Id*,Iq*を算出し、これら指令電流に基づいてモータ電流Iu〜Iwを生成するモータ電流制御部24とを備えている。
また、コントローラ15は、操舵トルクT及びモータ角加速度αに基づいて、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達しているか否か(端当て時か否か)を判断し、選択信号SLを出力する端当て判定部51を備えている。
ここで、端当て判定部51から出力される選択信号SLは、電流制限部23、及びモータ電流制御部24の後述する電流制御部63に出力される。この選択信号SLの出力により、後述する図5に示すように、電流制限部23のスイッチAの切り替え、及び電流制御部63のゲインKの変更並びに中間変数e2の変更が行われるようになっている。
操舵補助トルク指令値演算部21では、先ず、トルク指令値演算部41で、操舵トルクT及び車速Vをもとに図3に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して電流指令値となる操舵補助トルク指令値IM *を算出する。
この操舵補助トルク指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助トルク指令値IM *をとると共に、車速Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助トルク指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
そして、位相補償部42で、上記操舵補助トルク指令値IM *に対して位相補償を行い、位相補償後の操舵補助トルク指令値IM *を後述する加算器38に出力する。また、トルク微分回路43では、操舵トルクTを微分して操舵トルク変化率ΔTを算出し、これを後述する加算器38に出力する。
指令値補償部22は、回転角センサ17で検出されるモータ回転角θを微分してモータ角速度ωを算出する角速度演算部31と、この角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωを微分してモータ角加速度αを算出する角加速度演算部32と、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償部33と、角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償部34と、セルフアライニングトルク(SAT)を推定するSAT推定フィードバック部35とを少なくとも有する。
ここで、収斂性補償部33は、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、収斂性補償値Icを算出する。
また、SAT推定フィードバック部35は、操舵トルクT、モータ角速度ω、モータ角加速度α及び操舵補助トルク指令値演算部21で算出した操舵補助トルク指令値IM *が入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定演算する。
このセルフアライニングトルクSATを算出する原理は、路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を図4に示して説明する。
すなわち、ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・α+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+T ………(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s)=Tm(s)+T(s)−J・ω´(s)+Fr・sign(ω(s)) ………(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、回転角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを推定することができる。ここで、アシストトルクTmは操舵補助トルク指令値IM *に比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助トルク指令値IM *を適用する。
そして、慣性補償部34で算出された慣性補償値Ii及びSAT推定フィードバック部35で算出されたセルフアライニングトルクSATが加算器36で加算され、この加算器36の加算出力と収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Icとが加算器37で加算されて指令補償値Icomが算出され、この指令補償値Icomが操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値IM *に加算器38で加算されて補償後トルク指令値IM *´が算出され、この補償後トルク指令値IM *´が電流制限部23に出力される。
電流制限部23には、図5に示すように、端当て判定部51から出力される選択信号SLが入力される。そして、スイッチAは、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達していないことを意味する論理値“0”の選択信号SLが入力されているときには、実線で示す状態となっており、ラックストロークエンドに達していることを意味する論理値“1”の選択信号SLが入力されているときには、破線で示す状態へ切り替わるようになっている。
このような構成により、電流制限部23は、論理値“0”の選択信号SLが入力されているときには、加算器38で算出された補償後トルク指令値IM *´をそのまま制限後トルク指令値Irとして出力する。
一方、電流制限部23は、論理値“1”の選択信号SLが入力されているときには、加算器38で算出された補償後トルク指令値IM *´を所定電流値(例えば、3A)に制限するリミッタ23aからの出力値を制限後トルク指令値Irとして出力する。
また、モータ電流制御部24は、電動モータ12の各相コイルLu、Lv及びLwに供給されるモータ電流Iu、Iv及びIwを検出するモータ電流検出器60と、制限後トルク指令値Irからd−q軸電流指令値Id*,Iq*を算出する電流指令値算出部61と、モータ電流Iu、Iv及びIwをd−q軸モータ電流Id,Iqに変換する3相/d−q変換部62と、d−q軸電流指令値Id*,Iq*からd−q軸モータ電流Id,Iqを個別に減算して各相電流偏差ΔId,ΔIqを求める減算器61d,61qと、各相電流偏差ΔId,ΔIqに対して比例積分制御を行って電圧指令値Vd,Vqを算出する電流制御部63と、当該電圧指令値Vd,Vqが入力されて、3相の電圧指令値Vu,Vv,Vwが算出されるd−q/3相変換部64と、これら電圧指令値Vu、Vv及びVwに基づいてデューティ演算を行って各相のデューティ比を算出するデューティ比演算部65とを備えている。
さらに、モータ電流制御部24は、デューティ比演算部65から出力されるデューティ比に基づいてパルス幅変調を行ってパルス幅変調信号を求め、このパルス幅変調信号に基づいて3相モータ電流Iu、Iv及びIwを電動モータ12に出力するインバータ66を備えている。
前記電流制御部63には、図5に示すように、端当て判定部51から出力される選択信号SLが入力され、この選択信号SLの論理値に応じて比例積分制御のゲインK及び後述する中間変数e2が変更されるようになっている。
具体的には、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達していないことを意味する論理値“0”の選択信号SLが入力されているときには、ゲイン設定部63aで、ゲインKが、電流制御ループの応答性を通常応答性とする通常ゲインに設定され、ラックストロークエンドに達していることを意味する論理値“1”の選択信号SLが入力されているときには、ゲインKが、電流制御ループの応答性を通常応答性より高い高応答性とする高応答性ゲインに設定されるようになっている。そして、このゲイン設定部63aで設定されたゲインKに応じて、PI制御部63bで比例積分制御が実施される。
図6は、電流制御部63を離散化されたデジタル信号処理系で表した図である。本実施形態では、論理値“1”の選択信号SLが入力されたとき、PI制御部63bでは、中間変数e2を“0”にリセットするようになっている。このように、中間変数e2を“0”とすることにより、出力yは入力xに応じて1ステップで変化することになるため、制限電流を短時間でモータから出力することができ、さらに応答性を高めることができる。
端当て判定部51には、操舵トルクセンサ14で検出された操舵トルクT及び角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αが入力され、これらに基づいて、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達するか又はタイヤが縁石等に接触してこれ以上の転舵ができない操舵限界位置となっているか否かを判定する。
図7は、端当て判定部51で実行される端当て判定処理手順を示すフローチャートである。
先ず、ステップS1で、端当て判定部51は、操舵トルクセンサ14で検出した操舵トルクTを読み込み、これを微分して操舵トルク変化率ΔTを算出し、ステップS2に移行する。
ステップS2では、端当て判定部51は、角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αを読み込んで、ステップS3に移行する。
ステップS3では、端当て判定部51は、前記ステップS1で算出した操舵トルク変化率ΔTが、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達するか又はタイヤが縁石等に接触してこれ以上の転舵ができない操舵限界位置となったときに生じる通常の操舵では発生することがない大きな傾きの操舵トルクを判別する閾値ΔTth以上であるか否かを判定する。そして、このステップS3で、ΔT≧ΔTthであると判定したときには、ラックストロークエンドに達したものと判断してステップS4に移行して、論理値“1”の選択信号SLを電流制限部23及び電流制御部63に出力してから端当て判定処理を終了する。
一方、前記ステップS3で、ΔT<ΔTthであると判定したときには、ステップS5に移行し、前記ステップS2で読み込んだモータ角加速度αが、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達するか又はタイヤが縁石等に接触してこれ以上の転舵ができない操舵限界位置となったときに生じる通常の操舵では発生することがない大きな傾きのモータ加速度を判別する閾値αth以上であるか否かを判定する。
そして、このステップS5で、α≧αthであると判定したときには、ラックストロークエンドに達したものと判断して前記ステップS4に移行し、α<αthであると判定したときには、ラックストロークエンドに達していないものと判断してステップS6に移行する。
ステップS6では、論理値"0"の選択信号SLを電流制限部23及び電流制御部63に出力してから端当て判定処理を終了する。
通常操舵時にラック軸8cが操舵限界位置に到達したときの操舵トルクTとモータ角速度ωとの波形は、図8に示すようになる。時点t1でラック軸8cが操舵限界位置となったものとすると、図8(a)に示すように、操舵トルクTが通常の操舵では発生しないような大きな傾きで増加する。このため、ΔT≧ΔTthであるときには、確実にラックストロークエンドに達したものと判断することができる。
また、据え切りのようなハンドルが重い状態で操舵限界位置に達したときの操舵トルクTとモータ角速度ωとの波形は、図9に示すようになる。時点t11でラック軸8cが操舵限界位置となったものとすると、図9(a)に示すように、操舵トルクTは増加するが、操舵限界位置となる前の操舵トルクTがもともと大きいため、変化率は小さい。また、変化する時間も短いため、上記のように操舵トルク変化率ΔTだけでは操舵限界位置の検出が困難である。
そこで、このような場合には、モータ角加速度αを監視して操舵限界の判定を行う。図8(b)及び図9(b)に示すように、操舵限界位置に達したとき、モータ角速度ωは急激に低下する。このため、モータ角速度ωの変化率であるモータ角加速度αが閾値Δαth以上であるときに、確実にラックストロークエンドに達したものと判断することができる。
操舵トルクTの変化の方がモータ角加速度αの発生より早いため、通常は操舵トルク変化率ΔTを監視して操舵限界の判定を実施する。そして、据え切り等のために操舵トルク変化率ΔTだけでは操舵限界の判定が難しい場合には、モータ角加速度αによる判定が有効となる。モータ角加速度αによる判定は、操舵トルク変化率ΔTによる判定より若干遅れるが、十分に保護制御を実施することができる。
なお、図2において、操舵トルクセンサ14が操舵トルク検出手段に対応し、操舵補助トルク指令値演算部21及び指令値補償部22が電流指令値演算手段に対応し、端当て判定部51及び電流制限部23が電流指令値制限手段に対応し、モータ電流制御部24がモータ制御手段に対応し、角速度演算部31が角速度検出手段に対応し、角加速度演算部32が角加速度検出手段に対応し、モータ電流検出器60が駆動電流検出手段に対応し、電流制御部63が電流制御手段に対応している。
また、図5において、端当て判定部51及びゲイン設定部63aが応答性変更手段に対応し、図7において、ステップS1の処理がトルク変化率演算手段に対応している。
次に、本発明の実施形態における動作について説明する。
今、車両の走行を開始するために、イグニッションスイッチIGをオン状態としたものとすると、コントローラ15に電源が投入されて操舵補助制御処理が実行開始され、操舵トルクセンサ14で検出した操舵トルクT、車速センサ16で検出した車速V、モータ電流検出器60で検出したモータ電流検出値Iu〜Iw、回転角センサ17で検出したモータ回転角θがコントローラ15に供給される。
したがって、操舵補助トルク指令値演算部21で、操舵トルクTと車速Vとに基づいて図3に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して操舵補助トルク指令値IM *を算出する。一方、回転角センサ17で検出したモータ回転角θが角速度演算部31に入力されてモータ角速度ωが算出され、このモータ角速度ωが角加速度演算部32に入力されてモータ角加速度αが算出される。
そして、収斂性補償部33でモータ角速度ωに基づいて収斂性補償値Icが算出され、慣性補償部34でモータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iiが算出され、さらにSAT推定フィードバック部35でモータ角速度ω及びモータ角加速度αに基づいてセルフアライニングトルクSATが算出され、これらが加算器36及び37で加算されて指令値補償値Icomが算出され、これが加算器38で操舵補助トルク指令値IM *に加算されて補償後トルク指令値IM *´が算出される。
このとき、車両が停止状態にあって、ステアリングホイール1が操舵されていない状態では、操舵トルクセンサ14で検出される操舵トルクTが“0”であり、車速センサ16で検出される車速Vも“0”であるので、操舵補助トルク指令値演算部21で算出される操舵補助トルク指令値IM *も“0”となっている。また、角速度演算部32で演算されるモータ角加速度αも“0”となっている。
ΔT<ΔTth且つα<αthであるため、端当て判定部51は、図7のステップS3でNo、ステップS5でNoと判定し、ラックストロークエンドに達していないものと判断してステップS6に移行して、論理値"0"の選択信号SLを電流制限部23及び電流制御部63に出力する。
そのため、電流制限部23は、補償後トルク指令値IM *´をそのまま制限後トルク指令値Irとして出力し、この制限後トルク指令値Irに基づいて電動モータ12が駆動制御される。このとき、Ir=0であるので、電動モータ12は停止状態を継続する。
この状態から車両が発進し、運転者による通常操舵が行われているものとすると、操舵補助トルク指令値演算部21で、操舵トルクセンサ14で検出される操舵トルクT及び車速センサ16で検出される車速Vに基づいた操舵補助トルク指令値IM *が算出される。そして、指令値補償部22で算出される各補償値によって操舵補助トルク指令値IM *に対する補償が行われ、補償後トルク指令値IM *´が演算される。このとき、ラック軸8cが操舵限界位置に達していないものとすると、電流制限部23は、補償後トルク指令値IM *´をそのまま制限後トルク指令値Irとして出力し、この制限後トルク指令値Irに基づいて電動モータ12が駆動制御される。これにより、運転者の操舵負担を軽減するような操舵補助力が発生される。
このような通常操舵状態からステアリングホイール1を素早く操作して、タイヤが縁石等に接触することにより、ラック軸8cが操舵限界位置に達したものとすると、図8(a)に示すように操舵トルクTが急増し、操舵トルクTの時間変化率ΔTが閾値ΔTth以上となる。したがって、端当て判定部51は、図7のステップS3でYesと判定してステップS4に移行し、論理値"1"の選択信号SLを電流制限部23及び電流制御部63に出力する。これにより、電流制限部23は、補償後トルク指令値IM *´を所定値(3A)に制限し、これを制限後トルク指令値Irとして出力する。その結果、所定値(3A)に固定された電流指令値に基づいて電動モータ12が駆動制御されることになる。
このように、電流指令値が制限されることにより、電動モータ12で発生する操舵補助トルクが減少し、中間シャフト5に伝達される伝達トルクのピーク値が、電流指令値の制限を行わない場合と比較して抑制されることになり、中間シャフト等のトルク伝達部材の耐久性を向上させることができる。
また、電流制御部63では、論理値“1”の選択信号SLが入力されることにより、ゲイン設定部63aで、比例積分制御のゲインKを高応答性ゲインに設定すると共に、PI制御部63bで、中間変数e2を“0”にリセットし、電流制御ループの応答性を向上させるので、短い時間でアシストトルクが所定値以下となるように制御することができる。
一方、電動モータ12の停止状態で、ステアリングホイール1を右切り(又は左切り)操舵する所謂据え切りを行っているようなハンドルの重い状態で、ラック軸8cが操舵限界位置に達したものとする。この場合、操舵トルクTは、図9(a)に示すように、比較的大きい値からの変化となるため操舵トルク変化率ΔTが閾値ΔTth以上となることはないが、図9(b)に示すように、モータ角速度ωが急激に低下し、モータ角加速度αが閾値Δαth以上となる。したがって、端当て判定部51は、図7のステップS5でYesと判定してステップS4に移行し、論理値"1"の選択信号SLを電流制限部23及び電流制御部63に出力する。これにより、電流制限部23は、補償後トルク指令値IM *´を所定値(3A)に制限し、これを制限後トルク指令値Irとして出力する。その結果、所定値(3A)に固定された電流指令値に基づいて電動モータ12が駆動制御されることになる。
このように、上記実施形態では、操舵トルクの変化率が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、電流指令値を所定電流値に固定するので、ステアリングシャフト及びステアリングギヤ間に介挿された中間シャフト等のトルク伝達部材に過大なトルクが伝達される前に電動モータで発生する操舵補助トルクを制限することができ、別途舵角センサやトルクリミッタ等を追加することなく、端当て時やタイヤが縁石等に当接した時などの操舵限界位置となった時に中間シャフト等のトルク伝達部材に伝達される衝撃力を緩和することができる。
また、モータ角加速度が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、電流指令値を所定電流値に固定するので、据え切りのようなハンドルの重い状態で操舵限界に達した場合など、操舵トルクの変化率だけでは操舵限界の判定が難しい場合であっても、適切に操舵限界判定を行って、ステアリングシャフト及びステアリングギヤ間に介挿された中間シャフト等のトルク伝達部材に過大なトルクが伝達される前に電動モータで発生する操舵補助トルクを制限することができる。
さらに、電流指令値制限条件を満足したとき、比例積分制御のゲインを通常ゲインから高応答性ゲインに変更することにより、モータ駆動電流制御の応答性を通常応答性より高い高応答性に変更するので、短い時間でアシストトルクが所定値以下となるように制御することができる。
なお、上記実施形態においては、操舵トルク変化率ΔTが閾値ΔTth以上であるか、モータ角加速度αが閾値αth以上であるときに、操舵限界位置であるとして電流指令値を所定電流値に固定する場合について説明したが、操舵トルクセンサ14で検出した操舵トルクTも選択信号形成部42に入力し、操舵トルク変化率ΔTが閾値ΔTth以上であるか、モータ角加速度αが閾値αth以上であり、且つ操舵トルクTの絶対値が所定値以上であるとき、操舵限界位置であると判断することもできる。これにより、より正確に操舵限界位置到達状態を検出することができる。
また、上記実施形態においては、図10に示すように、操舵トルクTに代えて、3相/d−q変換部62から出力されるq軸電流検出値Iqを端当て判定部51に入力し、q軸電流検出値Iqの変化率ΔIqが閾値ΔIqth以上であるか、モータ角加速度αが閾値αth以上であるときに、操舵限界位置であるとして電流指令値を所定電流値に固定することもできる。このとき、端当て判定部51では、前述した図7のステップS1で、q軸電流検出値Iqを読み込み、これを微分してq軸電流変化率ΔIqを算出するようにすればよい。また、ステップS3では、q軸電流変化率ΔIqと閾値ΔIqthとを比較し、ΔIq≧ΔIqthであるときには前記ステップS4に移行し、ΔIq<ΔIqthであるときには前記ステップS5に移行するようにすればよい。
ここで、閾値ΔIqthは、q軸電流変化率ΔIqが、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達するか又はタイヤが縁石等に接触してこれ以上の転舵ができない操舵限界位置となったときに生じる通常の操舵では発生することがない大きな傾きの電流を判別することができる程度の値に設定する。
ラック軸8cが操舵限界位置となると、ラック軸8cの車幅方向の移動が停止され、これによってピニオンシャフト7、ユニバーサルジョイント6、中間シャフト5、ユニバーサルジョイント4、ステアリングシャフト2の出力軸2bを介し、さらに減速ギヤ11を介して電動モータ12の回転が停止されるので、電動モータ12に供給されるモータ電流Iu〜Iwが急増し、これによって、q軸電流検出値Iqが通常の操舵では発生しないような大きな傾きで増加し、その後過電流保護回路の動作によってモータ電流Iu〜Iwが徐々に減少されることにより、q軸電流Iqが徐々に減少する。このため、q軸電流変化率ΔIqが閾値ΔIqth以上であるか否かを判定することにより、操舵限界位置を確実に検出することができる。
また、ここでは、q軸電流変化率ΔIqが閾値ΔIqth以上であるか、モータ角加速度αが閾値αth以上であるときに、操舵限界位置であるとして電流指令値を所定電流値に固定する場合について説明したが、q軸電流変化率ΔIqが閾値ΔIqth以上であるか、モータ角加速度αが閾値αth以上であり、且つq軸電流検出値Iqの絶対値が所定値以上であるとき、操舵限界位置であると判断することもできる。これにより、より正確に操舵限界位置到達状態を検出することができる。
また、上記実施形態においては、図2又は図10の端当て判定部51に、角速度演算部31で演算したモータ角速度ωをさらに入力し、モータ角速度ωが所定値以上であるときに、操舵限界位置であるとして電流指令値を所定電流値に固定することもできる。このように、モータ角速度ωを操舵限界位置検出条件に入れることにより、モータ角速度ωが所定値より小さい状態では、端当て時の衝撃荷重も小さく、中間シャフト5に伝達される伝達トルクのピーク値も小さいので、電流指令値を所定電流値に固定する操舵補助トルク制限を行う必要がないが、モータ角速度ωが所定値以上である場合には、操舵限界位置到達時の衝撃荷重が大きくなるので、中間シャフト5に伝達される伝達トルクのピーク値も大きくなることから操舵補助トルク制限を行って中間シャフト5に伝達されるピークトルクを確実に減少させることができる。
さらにまた、上記実施形態においては、電流指令値を所定電流値に固定する操舵補助トルク制限の継続時間を所定時間(例えば20msec程度)に設定し、操舵補助トルク制限状態を上記所定時間継続した後に、当該制限を解除することもできる。これにより、中間シャフト5に発生する伝達トルクのピークを低減するに十分な時間だけ操舵補助トルク制限を継続させて、長い時間操舵補助トルク制限が継続されることに起因する運転者の違和感を抑制することができる。このとき、モータ角速度ωが大きいときには衝撃荷重も大きいことから、モータ角速度ωが大きいほど、操舵補助トルク制限の継続時間を長く設定する。
なおさらに、上記実施形態においては、電動モータとして3相ブラシレスモータを適用する場合について説明したが、ブラシモータシステムを適用することもできる。この場合、例えば、モータの逆起電力からモータ角速度ωを推定すればよい。
本発明の実施形態における電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 本実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 操舵補助トルク指令値算出マップである。 セルフアライニングトルクの説明に供する模式図である。 コントローラの一部の具体的構成を示すブロック図ある。 電流制御部の具体的構成を示すブロック図である。 端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 通常操舵時における操舵限界到達時の操舵トルク変化及びモータ角速度変化を示す信号波形図である。 据え切り時における操舵限界到達時の操舵トルク変化及びモータ角速度変化を示す信号波形図である。 コントローラの他の構成を示すブロック図である。
符号の説明
SM…ステアリング機構、1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…ステアリングコラム、4,6…ユニバーサルジョイント、5…中間シャフト、8…ステアリングギヤ、10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、12…電動モータ、14…操舵トルクセンサ、15…コントロールユニット、16…車速センサ、17…回転センサ、21…操舵補助トルク指令値演算部、22…指令値補償部、23…電流制限部、24…モータ電流制御部、51…端当て判定部

Claims (8)

  1. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータのモータ駆動電流を検出する駆動電流検出手段と、前記電流指令値と前記モータ駆動電流とに基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクの変化率を演算するトルク変化率演算手段と、前記電動モータのモータ角加速度を検出する角加速度検出手段と、前記操舵トルクの変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を、前記ステアリング機構のステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制するための所定電流値に固定する電流指令値制限手段とを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記電流指令値制限手段は、前記操舵トルクの変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が操舵限界を判断する閾値以上、且つ前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクの絶対値が所定値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を前記所定電流値に固定することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータのモータ駆動電流を検出する駆動電流検出手段と、前記電流指令値と前記モータ駆動電流とに基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記駆動電流検出手段で検出したモータ駆動電流の変化率を演算する駆動電流変化率演算手段と、前記電動モータのモータ角加速度を検出する角加速度検出手段と、前記モータ駆動電流の変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が、操舵限界を判断する閾値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を、前記ステアリング機構のステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制するための所定電流値に固定する電流指令値制限手段とを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 前記電流指令値制限手段は、前記モータ駆動電流の変化率及び前記モータ角加速度の少なくとも一方が操舵限界を判断する閾値以上、且つ前記駆動電流検出手段で検出したモータ駆動電流の絶対値が所定値以上であるとき、電流指令値制限条件を満足したものと判断して、前記電流指令値を前記所定電流値に固定することを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記電動モータのモータ角速度を検出する角速度検出手段を有し、前記電流指令値制限手段は、前記電流指令値制限条件を満足したものと判断し、且つ前記角速度検出手段で検出したモータ角速度の絶対値が所定値以上であるとき、前記電流指令値を前記所定電流値に固定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記電流指令値制限手段は、電流指令値を前記所定電流値に固定してから所定時間が経過したときに電流指令値の前記所定電流値への固定を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記所定時間は、モータ角速度に基づいて設定されることを特徴とする請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記モータ制御手段は、前記電流指令値と前記モータ駆動電流との偏差に基づいて、前記電動モータのモータ駆動電流を制御する電流制御手段と、前記電流指令値制限条件を満足したとき、前記電流制御手段でのモータ駆動電流制御の応答性を通常応答性より高い高応答性に変更する応答性変更手段とを備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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