JP2016078511A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1EPS制御装置51Aでは、アシスト制御部71は、ステアリングホイール13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、補償処理後の操舵トルク情報及び複数の関係情報のうち増大比率が大きい方の通常時の関係情報に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定する一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報及び複数の関係情報のうち前記大きい方と比べて増大比率が小さい方の警戒時の関係情報に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定する。
【選択図】図2A
Description
特許文献1に係る電動パワーステアリング装置によれば、車速の高低に関わらず、操舵制御の安定性を担保すると共に、良好な操舵フィーリングを得ることができる。
前記制御装置は、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定するアシスト制御部と、所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備える。
前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時と比べて小さい値に設定することを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明によれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
前記制御装置は、前記操舵トルクに係る操舵トルク情報に対応する前記アシストモータに供給するためのアシスト電流に関する正の関係情報を記憶する関係情報記憶部と、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報及び前記正の関係情報に基づいて、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を設定するアシスト制御部と、所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備える。
前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報のうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施すことを最も主要な特徴とする。
(2)に係る発明によれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る違和感を未然に排除し、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
そこで、(7)に係る発明では、車両挙動安定化支援制御装置の支援制御が動作中の場合に、判定部は、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和することとした。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の説明に先だって、電動パワーステアリング装置11と連係する操舵装置10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の周辺部を含むブロック構成図である。
操舵装置10は、図1に示すように、ステアリングホイール13、操舵補助装置15、転舵装置17を備える。
これにより、ウォームホイールギア43は、アシストモータ35の駆動力を、減速機構37、転舵軸31、操舵軸19等を介してステアリングホイール13に伝えると同時に、転舵装置17を介して転舵輪61a,61bに伝える役割を果たす。
次に、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の構成について、図面を参照して説明する。
電動パワーステアリング装置11は、図1に示すように、操舵補助装置15及びEPS制御装置51を含んで構成されている。EPS制御装置51は、通信媒体24に接続されている。通信媒体24には、前記の操舵角センサ26の他に、自車両の速度(車速)を検出する車速センサ53、ブレーキペダル(不図示)の踏み込みストロークを検出するブレーキセンサ55、及び、アクセルペダル(不図示)の踏み込みストロークを検出するアクセルセンサ57がそれぞれ接続されている。
EPS制御装置51は、操舵トルクセンサ25により時々刻々と検出される操舵トルク情報VT、操舵角センサ26により検出される操舵角情報θs、車速センサ53により検出される車速情報Vs、レゾルバにより検出されるアシストモータ35の回転角度情報Nmなどの各種情報を参照して、アシストモータ35に供給すべき目標電流値Itarを算出し、アシストモータ35に流れる実電流値が目標電流値Itarに追従するように制御することで、運転者がステアリングホイール13を操舵する際に要する操舵力を軽減する機能を有する。EPS制御装置51は、演算処理を行うマイクロコンピュータ、及び、アシストモータ35の駆動制御回路を含む各種の周辺回路を含んで構成される。
次に、第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの内部構成について、図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、第1EPS制御装置51Aの内部構成を表すブロック図である。図2Bは、第1EPS制御装置51Aにおいて、アシスト電流を設定する際に参照されるアシストマップの操舵トルク−アシスト電流に係る特性線図を表す説明図である。
第1EPS制御装置51Aは、図2Aに示すように、基本アシスト制御部71、イナーシャ(慣性)制御部73、ダンパ制御部75、フリクション(摩擦)付与制御部77、及びハンドル戻し制御部79を備える。
アシストマップ86には、実際には、図2Bに示すように、通常時のVTp−Ia0に係る関係情報と、警戒時のVTp−Ia0に係る関係情報とを含む、相互に異なる増大比率をそれぞれが呈する複数の関係情報が記憶されている。
イナーシャマップ92に係るdVT/dt−Ii特性線図は、概ね、操舵トルク情報VTに係る相関値(dVT/dt)が大きくなるほどイナーシャ電流Iiが高くなる特性(概ね比例関係)に設定されている。これにより、イナーシャ電流Iiは、概ね、操舵トルク情報VTに係る相関値(dVT/dt)の値の増大に応じて線形に増大する。ここで設定されたイナーシャ電流Iiは、電流加減算部72において、前記アシスト電流Ia0に加算される。
Itar=Ia0+Ii−Id−If−Ib
=Ia1−If−Ib
=Ia2−Ib・・・(1)
Ga=Ia0/VT・・・(2)
すなわち、アシスト利得Gaは、アシスト電流設定部85で設定されたアシスト電流Ia0を、操舵トルクセンサ25により検出される操舵トルク情報VTで割った除算値(商)として算出される。
したがって、警戒時には、通常時と比べて小さい値に設定されるアシスト電流Ia0に基づく目標電流Itarをもって、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータ35の駆動制御が行われる。
次に、第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの動作について、図3を参照して説明する。図3は、第1EPS制御装置51Aの動作説明に供するフローチャート図である。
第1EPS制御装置51Aでは、アシスト制御部71は、ステアリングホイール(操舵部材)13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち増大比率が大きい方の関係情報(通常時の関係情報)に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流を設定する一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち前記大きい方と比べて増大比率が小さい方の関係情報(警戒時の関係情報)に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流を設定する。そのため、通常時には、比較的大きい値に設定されるアシスト電流をもって、操舵制御に係る応答性を重視したアシストモータの駆動制御が行われる一方、警戒時には、通常時と比べて小さい値に設定されるアシスト電流をもって、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータの駆動制御が行われる。
第1EPS制御装置51Aによれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
ここで、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定するとは、例えば、当該所定の条件を充足するタイミングと該所定の条件をいったん充足した後に該所定の条件を充足しなくなるタイミングとを、時間的に相互にずらすことによって、当該所定の条件をいったん充足した後では、その状態を安定して維持する傾向を助長することを意味する。
このように構成すれば、前記条件をいったん充足して警戒状態となった後では、この警戒状態を安定して維持する傾向を助長する結果として、操舵制御に係る応答性を一層高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
次に、第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの内部構成について、図4A及び図4Bを参照して説明する。図4Aは、第2EPS制御装置51Bの内部構成を表すブロック図である。図4Bは、第2EPS制御装置51Bにおいて、利得を設定する際に参照される周波数−利得特性を表す説明図である。図4Cは、第2EPS制御装置51Bにおいて、位相を設定する際に参照される周波数−位相特性を表す説明図である。
詳しく述べると、位相補償部81は、前記警戒時において、例えば図4Bに示すように、操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、通常時と比べて利得を減少させる補償処理を行う。また、位相補償部81は、前記警戒時において、例えば図4Cに示すように、操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、通常時と比べて位相を遅れ側にシフトさせる補償処理を行う。こうした補償処理を経て、位相補償部81は、補償処理後の操舵トルク情報VTpを出力する。
次に、第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの動作について、図5を参照して説明する。図5は、第2EPS制御装置51Bの動作説明に供するフローチャート図である。
第2EPS制御装置51Bでは、アシスト制御部71は、ステアリングホイール(操舵部材)13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTに対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す。
そのため、通常時には、操舵制御に係る応答性を重視したアシストモータ35の駆動制御が行われる一方、警戒時には、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータ35の駆動制御が行われる。
第2EPS制御装置51Bによれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
次に、第3実施形態に係る第3EPS制御装置51Cの内部構成について、図6を参照して説明する。図6は、第3EPS制御装置51Cの内部構成を表すブロック図である。
これに対し、第3EPS制御装置51Cでは、判定部93は、車両挙動安定化支援制御装置101の支援制御が動作中か否かに係る判定を加えている。そして、車両挙動安定化支援制御装置101の支援制御が動作中の場合に、判定部93は、操舵系統に対して所定の閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和することとした。
第3EPS制御装置51Cによれば、操舵系統に対する過大な操舵トルクが作用しがちな車両の走行環境において、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持する効果を一層高めることができる。
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
13 ステアリングホイール(操舵部材)
19 操舵軸(回転軸部)
25 操舵トルクセンサ
35 アシストモータ
51 EPS制御装置(制御装置)
71 アシスト制御部
86 アシストマップ(関係情報記憶部)
93 判定部
101 車両挙動安定化支援制御装置
Claims (7)
- 車両に設けた操舵部材の手動操作に係る補助力を、該操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵系統に作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
前記操舵トルクに基づいて前記アシストモータの駆動制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定するアシスト制御部と、
所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備え、
前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時と比べて小さい値に設定する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 車両に設けた操舵部材の手動操作に係る補助力を、該操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵系統に作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
前記操舵トルクに基づいて前記アシストモータの駆動制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記操舵トルクに係る操舵トルク情報に対応する前記アシストモータに供給するためのアシスト電流に関する正の関係情報を記憶する関係情報記憶部と、
前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報及び前記正の関係情報に基づいて、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を設定するアシスト制御部と、
所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備え、
前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報のうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記判定部は、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値が予め定められる微分値閾値を超える旨の前記所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記判定部は、前記操舵部材の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回る旨の前記所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記判定部は、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵トルクセンサは、前記操舵部材に連結された回転軸部の周囲に設けられる磁歪式のトルクセンサである
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記車両の挙動を安定化させる支援制御を行う車両挙動安定化支援制御装置の支援制御が動作中の場合に、前記判定部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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