JP2016078511A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持する。
【解決手段】第1EPS制御装置51Aでは、アシスト制御部71は、ステアリングホイール13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、補償処理後の操舵トルク情報及び複数の関係情報のうち増大比率が大きい方の通常時の関係情報に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定する一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報及び複数の関係情報のうち前記大きい方と比べて増大比率が小さい方の警戒時の関係情報に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定する。
【選択図】図2A

Description

本発明は、運転者によるステアリングホイール等の操舵部材の手動操作に係る補助力を操舵系統に与えるアシストモータを有する電動パワーステアリング装置に関する。
従来、運転者がステアリングホイール等の操舵部材を手動操作する際の身体的な負担を軽減するために、運転者による操舵部材の手動操作に係る補助力を、操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置が知られている。
こうした電動パワーステアリング装置では、車両の低速走行時において十分な大きさの操舵補助力を確保すると同時に、高速走行時において操舵制御の応答性を担保することが求められている。そこで、従来の電動パワーステアリング装置では、操舵トルクを検出するためのトルクセンサが出力するトルク情報に対する位相補償が施される。かかる位相補償の施行によって、トルク情報のゲイン及び位相の遅れ又は進みが適切に設定される結果、良好な操舵フィーリングを実現するようにしている。
例えば特許文献1には、アシストモータに供給するためのアシスト電流の値が大きいほど、操舵トルクセンサから出力されるトルク情報に対して大きな遅れ位相補償(小さな進み位相補償)を施すようにした電動パワーステアリング装置の技術が開示されている。特許文献1に係る電動パワーステアリング装置において、アシスト電流の値が大きい領域では、小さな進み位相補償の施行によって操舵制御の安定性を担保するとともに、操舵フィーリングが低下する可能性のあるアシスト電流の値が小さい領域では、大きな進み位相補償の施行によって良好な操舵フィーリングが得られるように操舵制御を行う。
特許文献1に係る電動パワーステアリング装置によれば、車速の高低に関わらず、操舵制御の安定性を担保すると共に、良好な操舵フィーリングを得ることができる。
特開2012−228925号公報
しかしながら、特許文献1に係る電動パワーステアリング装置では、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合に、操舵トルクの検出精度が低下しがちとなるため、操舵トルクの検出値に基づいて行われる操舵制御に係る性能も低下する。その結果、操舵フィーリングの劣化を招来してしまうおそれがあった。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持可能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、(1)に係る発明は、車両に設けた操舵部材の手動操作に係る補助力を、該操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置であって、前記操舵系統に作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記操舵トルクに基づいて前記アシストモータの駆動制御を行う制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定するアシスト制御部と、所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備える。
前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時と比べて小さい値に設定することを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明において、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時とは、例えば、操舵部材の転舵方向が急激に逆転したケース、操舵限界位置に突き当たるまで操舵部材を操舵したケース、転舵輪が縁石に突き当たったケース、操舵部材に強い衝撃が加えられたケース、路面状況の急変(低ミュー路面から高ミュー路面へ進入)により転舵輪側から衝撃入力が生じたケースなどを想定している。こうしたケースでは、操舵トルクの検出精度が低下しがちとなるため、操舵トルクの検出値に基づいて行われる操舵制御に係る性能も低下する。その結果、操舵フィーリングの劣化を招来してしまうおそれがあった。
そこで、(1)に係る発明では、アシスト制御部は、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時と比べて小さい値に設定する。そのため、通常時には、比較的大きい値に設定されるアシスト電流をもって、操舵制御に係る応答性を重視したアシストモータの駆動制御が行われる一方、警戒時には、通常時と比べて小さい値に設定されるアシスト電流をもって、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータの駆動制御が行われる。
(1)に係る発明によれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、(2)に係る発明は、車両に設けた操舵部材の手動操作に係る補助力を、該操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置であって、前記操舵系統に作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記操舵トルクに基づいて前記アシストモータの駆動制御を行う制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記操舵トルクに係る操舵トルク情報に対応する前記アシストモータに供給するためのアシスト電流に関する正の関係情報を記憶する関係情報記憶部と、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報及び前記正の関係情報に基づいて、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を設定するアシスト制御部と、所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備える。
前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報のうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施すことを最も主要な特徴とする。
(2)に係る発明では、アシスト制御部は、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報のうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す。このため、通常時には、操舵制御に係る応答性を担保するように、アシストモータの駆動制御が行われる一方、警戒時には、操舵制御に係る安定性を担保するように、アシストモータの駆動制御が行われる。
(2)に係る発明によれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る違和感を未然に排除し、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、(3)に係る発明は、(1)又は(2)に係る発明に記載の電動パワーステアリング装置であって、前記判定部は、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値が予め定められる微分値閾値を超える旨の前記所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すことを特徴とする。
(3)に係る発明では、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を行う際の基礎となる情報として、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値を採用することとした。操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値を前記の基礎となる情報として用いると、操舵トルクセンサの検出値を前記の基礎となる情報として用いる際と比べて、操舵制御に係る応答性を高める効果を期待することができるからである。
(3)に係る発明によれば、判定部は、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値が予め定められる微分値閾値を超える旨の前記所定の条件を充足した場合に、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すため、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る応答性を高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、(4)に係る発明は、(1)〜(3)に係る発明のうちいずれか一に記載の電動パワーステアリング装置であって、前記判定部は、前記操舵部材の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回る旨の前記所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すことを特徴とする。
(4)に係る発明では、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を行う際の基礎となる情報として、操舵部材の操舵速度を採用することとした。操舵部材の操舵速度を、前記の基礎となる情報として用いると、操舵部材の操舵速度の大小が操舵トルクの大きさと相関する傾向があるため、操舵制御に係る精度を高める効果を期待することができるからである。
(4)に係る発明によれば、判定部は、操舵部材の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回る旨の前記所定の条件を充足した場合に、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すため、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る精度を高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
特に、(3)に係る発明を引用する(4)に係る発明では、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を行う際の基礎となる情報として、操舵部材の操舵速度及び操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値を併用することとした。操舵部材の操舵速度及び操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値を、前記の基礎となる情報として併用すると、操舵トルクセンサの検出値を前記の基礎となる情報として単独で用いる際と比べて、操舵制御に係る応答性及び精度を共に高める効果を期待することができるからである。
(3)に係る発明を引用する(4)に係る発明によれば、判定部は、操舵部材の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回り、かつ、操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値が予め定められる微分値閾値を超える場合に、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すため、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る応答性及び精度を共に高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、(5)に係る発明は、(1)〜(4)に係る発明のうちいずれか一に記載の電動パワーステアリング装置であって、前記判定部は、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定することを特徴とする。
(5)に係る発明において、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定するとは、例えば、当該所定の条件を充足するタイミングと該所定の条件をいったん充足した後に該所定の条件を充足しなくなるタイミングとを、時間的に相互にずらすことによって、当該所定の条件をいったん充足した後では、その状態を安定して維持する傾向を助長することを意味する。
(5)に係る発明によれば、判定部は、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定するため、当該所定の条件をいったん充足した後では、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した状態を安定して維持する傾向を助長する結果として、操舵制御に係る応答性を一層高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、(6)に係る発明は、(1)〜(5)に係る発明のうちいずれか一に記載の電動パワーステアリング装置であって、前記操舵トルクセンサは、前記操舵部材に連結された回転軸部の周囲に設けられる磁歪式のトルクセンサであることを特徴とする。
(6)に係る発明では、操舵トルクセンサの態様として、例えば、操舵部材に連結された高いねじり剛性を有する回転軸部の周囲に設けられる磁歪式のトルクセンサを採用することとした。
また、(7)に係る発明は、(1)〜(6)に係る発明のうちいずれか一に記載の電動パワーステアリング装置であって、前記車両の挙動を安定化させる支援制御を行う車両挙動安定化支援制御装置の支援制御が動作中の場合に、前記判定部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和することを特徴とする。
一般に、車両挙動安定化支援制御装置の支援制御が動作中の場合には、例えば、路面の凹凸を通して操舵系統に対する過大な操舵トルクが作用しがちになる。
そこで、(7)に係る発明では、車両挙動安定化支援制御装置の支援制御が動作中の場合に、判定部は、操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和することとした。
(7)に係る発明によれば、操舵系統に対する過大な操舵トルクが作用しがちな車両の走行環境において、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持する効果を一層高めることができる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の周辺部を含むブロック図である。 第1実施形態に係る第1EPS制御装置の内部構成を表すブロック図である。 第1EPS制御装置において、アシスト電流を設定する際に参照されるアシストマップの操舵トルク−アシスト電流に係る特性線図を表す説明図である。 第1EPS制御装置の動作説明に供するフローチャート図である。 第2実施形態に係る第2EPS制御装置の内部構成を表すブロック図である。 第2EPS制御装置において、利得を設定する際に参照される周波数−利得特性を表す説明図である。 第2EPS制御装置において、位相を設定する際に参照される周波数−位相特性を表す説明図である。 第2EPS制御装置の動作説明に供するフローチャート図である。 第3実施形態に係る第3EPS制御装置の内部構成を表すブロック図である。
以下、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
〔電動パワーステアリング装置11と連係する操舵装置10の構成〕
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の説明に先だって、電動パワーステアリング装置11と連係する操舵装置10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の周辺部を含むブロック構成図である。
操舵装置10は、図1に示すように、ステアリングホイール13、操舵補助装置15、転舵装置17を備える。
本発明の“操舵部材”に相当するステアリングホイール13は、車両(不図示)の進行方向を、運転者が所望の方向に変えようとする際に操作される部材である。ステアリングホイール13の中央部には、操舵軸19の一方の端部が連結されている。操舵軸19は、上部筺体21における下部、上部のそれぞれに設けた軸受23a,23bを介して、上部筺体21に対して回動自在に支持されている。操舵軸19は、本発明の“回転軸部”に相当する。
操舵軸19には、ステアリングホイール13の操舵角を検出する操舵角センサ26が設けられている。操舵角センサ26で検出された操舵角情報θsは、通信媒体24を介して、EPS制御装置51に供給される。
操舵軸19のうち、ステアリングホイール13が設けられた一方の端部とは反対側の他方の端部には、中間軸部27及び一対の自在継手29を直列に介して、転舵軸31が連結されている。転舵軸31は、下部筺体32における下部及び上部のそれぞれに設けた一対の軸受33a,33bを介して、下部筺体32に対して回動自在に支持されている。
下部筺体32の内部には、転舵軸31を囲むように、磁歪式の操舵トルクセンサ25が設けられている。転舵軸31のうち操舵トルクセンサ25と対向する位置には、転舵軸31の周方向全周を覆うように、例えばNi−Feメッキよりなる磁歪膜(不図示)が設けられている。操舵トルクセンサ25は、ステアリングホイール13、操舵軸19、中間軸部27及び一対の自在継手29を介して転舵軸31に入力される操舵トルクの大きさを、例えばソレノイド型の第1及び第2コイル25a,25bを用いて、転舵軸31に対し非接触で検出する機能を有する。
ここで、磁歪式の操舵トルクセンサ25における操舵トルクの検出原理について説明する。転舵軸31に操舵トルクが入力されると、転舵軸31の表面には、張力方向(+45°方向)及び圧縮方向(−45°方向)の歪みが発生する。このとき、張力方向では透磁率が増加する一方、圧縮方向では透磁率が減少する。この現象を“磁歪効果”と呼ぶ。透磁率が増加する方向に沿って磁束が通過するように、第1コイル25aを設ける。一方、透磁率が減少する方向に沿って磁束が通過するように、第2コイル25bを設ける。
すると、透磁率が増加する方向に沿って磁束が通過するように設けた第1コイル25aではインダクタンスが増加する一方、透磁率が減少する方向に沿って磁束が通過するように設けた第2コイル25bではインダクタンスが減少する。第1コイル25aと第2コイル25bとをブリッジ接続して、差動増幅回路(不図示)において差動電圧を増幅し出力する。これにより、操舵トルクに比例した出力電圧、すなわち、操舵トルクの相関値(操舵トルク情報VT)を検出することができる。
操舵トルクセンサ25で検出された操舵トルク情報VTは、後記する電動パワーステアリング制御装置(以下、“EPS制御装置”と省略する場合がある。)51に供給される。ただし、操舵トルク情報VTが、例えばCAN(Controller Area Network)のような通信媒体24を介して、EPS制御装置51に供給される構成を採用してもよい。
転舵軸31に設けられる操舵補助装置15は、運転者によるステアリングホイール13の手動操作に係る補助力を与える機能を有する。操舵補助装置15は、運転者の手動操作によるステアリングホイール13の操舵トルクを軽減(手応えの調整を含む)するための補助力(操舵反力)を供給するアシストモータ35、及び、減速機構37を備えて構成される。
減速機構37は、アシストモータ35の出力軸部39に連結されるウォームギア41及びウォームギア41に噛合するウォームホイールギア43を有する。ウォームホイールギア43は、転舵軸31の軸方向における中間部分に、転舵軸31と一体に回動可能に設けられている。減速機構37は、アシストモータ35の出力軸部39及び転舵軸31の間に介在するように設けられている。
これにより、ウォームホイールギア43は、アシストモータ35の駆動力を、減速機構37、転舵軸31、操舵軸19等を介してステアリングホイール13に伝えると同時に、転舵装置17を介して転舵輪61a,61bに伝える役割を果たす。
アシストモータ35には、その回転角度情報Nmを検出・出力するレゾルバ(不図示)が一体に設けられている。レゾルバで検出されたアシストモータ35の回転角度情報Nmは、EPS制御装置51に供給される。
転舵装置17は、ステアリングホイール13及び操舵軸19を介して入力された運転者の操舵力(操舵トルク)を、転舵輪61a,61bに伝達する機能を有する。転舵装置17は、転舵軸31に設けられたピニオンギア63と、ピニオンギア63に噛合するラック歯65を有して車幅方向に往復運動可能なラック軸67と、ラック軸67の両端側にそれぞれ設けられるタイロッド69a,69bと、タイロッド69a,69bをそれぞれ介して回動可能に設けられる転舵輪61a,61bと、を含んで構成されている。
〔本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の構成〕
次に、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置11の構成について、図面を参照して説明する。
電動パワーステアリング装置11は、図1に示すように、操舵補助装置15及びEPS制御装置51を含んで構成されている。EPS制御装置51は、通信媒体24に接続されている。通信媒体24には、前記の操舵角センサ26の他に、自車両の速度(車速)を検出する車速センサ53、ブレーキペダル(不図示)の踏み込みストロークを検出するブレーキセンサ55、及び、アクセルペダル(不図示)の踏み込みストロークを検出するアクセルセンサ57がそれぞれ接続されている。
以下、複数の実施形態に係るEPS制御装置51について、図2A〜図6を参照して説明する。便宜上、第1実施形態に係るEPS制御装置に符号“51A”を、第2実施形態に係るEPS制御装置に符号“51B”を、第3実施形態に係るEPS制御装置に符号“51C”を、それぞれ付するものとする。第1〜第3実施形態に係るEPS制御装置51A,51B,51Cのそれぞれに関する説明において、基本的に共通の機能を有する部材には共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。第1〜第3実施形態に係るEPS制御装置51A,51B,51Cを総称するときは、EPS制御装置51と呼ぶ。
(EPS制御装置51の基本構成)
EPS制御装置51は、操舵トルクセンサ25により時々刻々と検出される操舵トルク情報VT、操舵角センサ26により検出される操舵角情報θs、車速センサ53により検出される車速情報Vs、レゾルバにより検出されるアシストモータ35の回転角度情報Nmなどの各種情報を参照して、アシストモータ35に供給すべき目標電流値Itarを算出し、アシストモータ35に流れる実電流値が目標電流値Itarに追従するように制御することで、運転者がステアリングホイール13を操舵する際に要する操舵力を軽減する機能を有する。EPS制御装置51は、演算処理を行うマイクロコンピュータ、及び、アシストモータ35の駆動制御回路を含む各種の周辺回路を含んで構成される。
(第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの構成)
次に、第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの内部構成について、図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、第1EPS制御装置51Aの内部構成を表すブロック図である。図2Bは、第1EPS制御装置51Aにおいて、アシスト電流を設定する際に参照されるアシストマップの操舵トルク−アシスト電流に係る特性線図を表す説明図である。
第1EPS制御装置51Aは、図2Aに示すように、基本アシスト制御部71、イナーシャ(慣性)制御部73、ダンパ制御部75、フリクション(摩擦)付与制御部77、及びハンドル戻し制御部79を備える。
基本アシスト制御部71は、位相補償部81、アシスト電流設定部85、及びトルク値減算部87を備える。
位相補償部81は、操舵トルクセンサ25による操舵トルク情報VTの検出時と、減速機構37による操舵軸19への操舵に係る補助力の付与時との間に存する応答時間遅れ分の位相を補償する機能を有する。位相補償部81は、アシスト電流Iaを参照し、操舵トルク情報VTに乗じるための利得G[dB]に係る線図、及び、位相θ[deg]補償処理後の操舵トルク情報VTpを生成することによって、位相補償を行うように動作する。
アシスト電流設定部85は、基本的には、補償処理後の操舵トルク情報VTp、及び、補償処理後の操舵トルク情報VTpの変化に対し基本アシスト電流Ia0を関連付けたVTp−Ia0に係る関係情報(図2B参照)を記憶するアシストマップ86に基づいて、基本アシスト電流Ia0を設定する機能を有する。基本アシスト電流Ia0は、本発明の” アシスト電流”に相当する。なお、アシスト電流設定部85の詳細な機能について、詳しくは後記する。
アシストマップ86には、概ね、補償処理後の操舵トルク情報VTpの値が大きくなるほど基本アシスト電流Ia0の値が高くなるVTp−Ia0に係る正の関係情報が記憶されている。アシストマップ86は、本発明の”関係情報記憶部”に相当する。VTp−Ia0に係る正の関係情報では、基本アシスト電流Ia0の値は、概ね、補償処理後の操舵トルク情報VTpの値の増大に応じて増大する。その結果、運転者の要請に従う基本的な操舵補助力を、アシストモータ35によって発生させることができる。
アシストマップ86には、実際には、図2Bに示すように、通常時のVTp−Ia0に係る関係情報と、警戒時のVTp−Ia0に係る関係情報とを含む、相互に異なる増大比率をそれぞれが呈する複数の関係情報が記憶されている。
なお、アシストマップ86に係る特性として、車速Vsが速くなるほど基本アシスト電流Ia0が低くなる特性を組み合わせて用いてもよい。この場合、基本アシスト電流Ia0は、概ね、車速Vsが速くなるほど減少する。その結果、高速時の走行安定性に優れた操舵補助力を、アシストモータ35によって発生させることができる。
イナーシャ制御部73は、トルク微分部89とイナーシャ電流設定部91とを備える。トルク微分部89は、ステアリングホイール13の切り出し時(切り戻し時)におけるアシストモータ35の回転子の慣性(慣性モーメント)による応答性の低下を補償するために、操舵トルク情報VTにおける立ち上がり部(立ち下がり部)の過度応答を微分値dVT/dt(dは微分演算子)として取得する。操舵トルク情報VTに係る微分値dVT/dtは、車速Vsによる車両応答性変化に応じた係数が乗算されてイナーシャ電流設定部91及び判定部93に供給される。
イナーシャ電流設定部91は、操舵トルク情報VTに係る相関値(dVT/dt)、及び、同相関値(dVT/dt)の変化に対しイナーシャ電流Iiを関連付けたdVT/dt−Ii特性線図を有するイナーシャマップ92に基づいて、イナーシャ電流Iiを設定する機能を有する。
イナーシャマップ92に係るdVT/dt−Ii特性線図は、概ね、操舵トルク情報VTに係る相関値(dVT/dt)が大きくなるほどイナーシャ電流Iiが高くなる特性(概ね比例関係)に設定されている。これにより、イナーシャ電流Iiは、概ね、操舵トルク情報VTに係る相関値(dVT/dt)の値の増大に応じて線形に増大する。ここで設定されたイナーシャ電流Iiは、電流加減算部72において、前記アシスト電流Ia0に加算される。
ダンパ制御部75は、ステアリングホイール13の収斂性を向上させるために、アシストモータ35に係る回転速度Nm及び車速Vsに基づいて、ダンパマップ76を参照し、回転速度Nm及び車速Vsが速くなるほど大きくなるように、ダンパ電流Idを算出する機能を有する。ダンパ電流Idは、電流加減算部72において、アシスト電流Ia0とイナーシャ電流Iiとの加算値から減算される。こうして得られたアシスト電流Ia1は、アシストモータ35の回転速度を抑制するように機能する。このステアリングダンパ効果により、ステアリングホイール13の収斂性を向上させることができる。
フリクション付与制御部77は、アシストモータ35に係る回転速度Nm及び車速Vsに基づいて、付与フリクショントルクVTfを算出するとともに、付与フリクショントルクVTfを電流に変換した付与フリクション電流Ifを算出する機能を有する。付与フリクショントルクVTfは、トルク値減算部87において、補償処理後の操舵トルク情報VTpの値から減算される。付与フリクション電流Ifは、電流減算部(電流減算部)74において、アシスト電流Ia1から減算される。これにより、電動パワーステアリング装置11に対する機械的なフリクションを電気的に付与することができる。
ハンドル戻し制御部79は、ステアリングホイール13の戻り(切り戻し)性能を向上させるために、操舵角θs及び車速Vsに基づいてハンドル戻し電流Ibを算出する機能を有する。ハンドル戻し制御部79は、ステアリングホイール13の戻し時にセルフアライニングトルクによるステアリングホイール13の戻し作用を円滑に働かせるように、ハンドル戻し電流Ibを算出する。ここで算出されたハンドル戻し電流Ibは、電流減算部99において、アシスト電流Ia2から減算される。これにより、アシストモータ35の回転トルクを操舵角θsの減少に応じて円滑に減少させることができる。
アシストモータ35に流すべき目標電流Itarは、次の(1)式により算出される。
Itar=Ia0+Ii−Id−If−Ib
=Ia1−If−Ib
=Ia2−Ib・・・(1)
ところで、電動パワーステアリング装置11における位相補償処理は、操舵制御に係る安定性を担保する目的で施行される。仮に、例えば、操舵トルク情報VTに係る周波数帯域が1[Hz]〜100[Hz]程度である際において、操舵トルク情報VTに乗じる利得Gを1(0[dB])未満とし、かつ、位相θを遅れ位相に設定することで、操舵制御に係る安定性を重視すると、操舵フィーリングの低下を招いてしまう。例えば、特許文献(特開2004−98754号公報)のように、車速が低くなるほど利得を小さくし、より大きな遅れ位相補償(小さな進み位相補償)を施すようにすると、低速域での操舵フィーリングが低下してしまう。
そこで、第1EPS制御装置51Aに係る位相補償部81では、例えば、操舵トルク情報VTが入力されると、利得GをGmin、位相θをθminに初期設定し、この初期設定値を用いて位相補償を行い、補償処理後の操舵トルク情報VTpを出力する。なお、初期設定値としては、利得GをGminとGmaxとの間の中央値、位相θをθminとθmaxとの間の中央値などに適宜設定してもよい。
トルク値減算部87は、補償処理後の操舵トルク情報VTpの値からフリクショントルクVtfを減算し、この減算により得られた操舵トルク情報VTpの値をアシスト電流設定部85に与える。アシスト電流設定部85は、アシストマップ86を参照し、車速Vs及び補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流Ia0を算出し、この算出により得られたアシスト電流Ia0を位相補償部81にフィードバックする。位相補償部81のアシストゲイン算出部83は、次の(2)式からアシスト利得Gaを算出する。
Ga=Ia0/VT・・・(2)
すなわち、アシスト利得Gaは、アシスト電流設定部85で設定されたアシスト電流Ia0を、操舵トルクセンサ25により検出される操舵トルク情報VTで割った除算値(商)として算出される。
この場合、位相補償部81は、利得Gの設定に関し、アシスト利得Ga(Ga=Ia0/VT)が大きいほど、利得Gが小さくなる最小利得特性Gmin側に沿うように設定し、逆に、アシスト利得Gaが小さくなるに従い利得Gが大きくなる最大利得特性Gmax側に沿う利得Gを設定する。
位相補償部81は、位相θの設定に関し、アシスト利得Gaが大きいほど、最大位相遅れ特性θmax側に沿う位相θに設定し、逆に、アシスト利得Gaが小さくなるに従い最小位相遅れ特性θmin側に沿う位相θに設定する。換言すると、アシスト利得Gaが大きいほど、低い利得G、かつ、大きな遅れ位相θ(小さな進み位相)となるように、位相補償部81における位相補償特性が設定される。
位相補償部81は、操舵トルクセンサ25により検出される操舵トルク情報VTに対して、前記設定された利得G及び位相θを用いて補償した補償処理後の操舵トルク情報VTpを算出する。アシスト電流設定部85は、アシストマップ86を参照して、補償処理後の操舵トルク情報VTpに応じたアシスト電流Ia0(アシスト利得Gaを考慮したもの)を算出する。
ここで、第1EPS制御装置51Aは、特徴的な構成として判定部93を有する。判定部93は、ステアリングホイール(操舵部材)13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用したか否かを判定する機能を有する。また、判定部93は、ステアリングホイール13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用したか否かを判定する機能を有する。また、判定部93は、アシストモータ35の回転角度情報Nmに基づいて、操舵速度が予め定められる閾値未満か否かを判定する機能を有する。第1EPS制御装置51Aでは、判定部93における判定結果は、アシスト制御部71のうち、アシスト電流設定部85に与えられる。
判定部93における判定結果を受けて、アシスト電流設定部85は、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち増大比率が大きい方の関係情報に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流Ia0を設定する一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち前記大きい方と比べて増大比率が小さい方の関係情報に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流Ia0を設定する。
次に、アシスト利得Gaを考慮したアシスト電流Ia0から、上記の(1)式に基づき目標電流Itarが算出され、こうして算出された目標電流Itarが、アシストモータ35に供給される。第1EPS制御装置51Aでは、アシストモータ35に流れるモータ電流Imが目標電流Itarに追従するように、フィードバック制御が行われる。
したがって、警戒時には、通常時と比べて小さい値に設定されるアシスト電流Ia0に基づく目標電流Itarをもって、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータ35の駆動制御が行われる。
(第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの動作)
次に、第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの動作について、図3を参照して説明する。図3は、第1EPS制御装置51Aの動作説明に供するフローチャート図である。
図3に示すステップS11において、第1EPS制御装置51Aは、操舵トルクセンサ25により時々刻々と検出される操舵トルク情報VT、操舵角センサ26により検出される操舵角情報θs、車速センサ53により検出される車速情報Vs、レゾルバにより検出されるアシストモータ35の回転角度情報Nmなどの各種情報を取得する。
ステップS12において、第1EPS制御装置51Aのトルク微分部89は、操舵トルク情報VTにおける立ち上がり部(立ち下がり部)の過度応答を微分値dVT/dt(dは微分演算子)として取得する。操舵トルク情報VTに係る微分値dVT/dtは、車速Vsによる車両応答性変化に応じた係数が乗算されてイナーシャ電流設定部91及び判定部93に供給される。
ステップS13において、第1EPS制御装置51Aの判定部93は、時々刻々と変動するアシストモータ35に係る回転角度情報Nmの時間微分値である操舵速度を求め、操舵速度が速度閾値未満か否かを判定する。ステップS13の判定の結果、操舵速度が速度閾値を超える(急な操舵操作が生じた)旨の判定が下された場合(ステップS13のNo)、第1EPS制御装置51Aは、処理の流れをステップS15へとジャンプさせる。一方、ステップS13の判定の結果、操舵速度が速度閾値未満である(急な操舵操作が生じていない)旨の判定が下された場合(ステップS13のYes)、第1EPS制御装置51Aは、処理の流れを次のステップS14へと進ませる。
ステップS14において、第1EPS制御装置51Aの判定部93は、ステップS12で取得した操舵トルク微分値dVT/dtが微分値閾値を超えたか否かを判定する。ステップS14の判定の結果、操舵トルク微分値dVT/dtが微分値閾値未満である(過大な操舵トルク変動が生じていない)旨の判定が下された場合(ステップS14のNo)、第1EPS制御装置51Aは、処理の流れを次のステップS15へと進ませる。一方、ステップS14の判定の結果、操舵トルク微分値dVT/dtが微分値閾値を超える(過大な操舵トルク変動が生じた)旨の判定が下された場合(ステップS14のYes)、第1EPS制御装置51Aは、処理の流れをステップS16へと進ませる。
ステップS15において、第1EPS制御装置51Aのアシスト電流設定部85は、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち増大比率が大きい方の関係情報(通常時の関係情報)を用いて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流Ia0を設定する。
一方、ステップS16において、第1EPS制御装置51Aのアシスト電流設定部85は、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち前記大きい方と比べて増大比率が小さい方の関係情報(警戒時の関係情報)を用いて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流Ia0を設定する。
ステップS17において、第1EPS制御装置51Aは、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用しているか否かに応じて適宜切替え設定されるアシスト電流Ia0に基づく目標電流Itarをもって、操舵制御に係る応答性又は安定性を重視したアシストモータ35の駆動制御を行う。その後、第1EPS制御装置51Aは、処理の流れをステップS11へ戻し、以降の処理を順次実行させる。
(第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aの作用効果)
第1EPS制御装置51Aでは、アシスト制御部71は、ステアリングホイール(操舵部材)13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち増大比率が大きい方の関係情報(通常時の関係情報)に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流を設定する一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、補償処理後の操舵トルク情報VTp及び複数の関係情報のうち前記大きい方と比べて増大比率が小さい方の関係情報(警戒時の関係情報)に基づいて、補償処理後の操舵トルク情報VTpに対応するアシスト電流を設定する。そのため、通常時には、比較的大きい値に設定されるアシスト電流をもって、操舵制御に係る応答性を重視したアシストモータの駆動制御が行われる一方、警戒時には、通常時と比べて小さい値に設定されるアシスト電流をもって、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータの駆動制御が行われる。
ここで、操舵トルクに係る操舵トルク情報に対応するアシスト電流に関する正の関係情報とは、操舵トルク情報の変化に対応するアシスト電流の変化特性が、原則として、操舵トルク情報の値が増大するほどアシスト電流の値が増大する正の関係となることを意味する。前記で原則として、と記載したのは、操舵トルク情報の値が増大してもアシスト電流が一定の値をとる関係の領域が一部に存することを許容する趣旨である。
第1EPS制御装置51Aによれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、判定部93は、操舵トルクセンサ25で検出した操舵トルク情報の微分値dVT/dtが微分値閾値を超える場合に、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すため、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る応答性を高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、判定部93は、ステアリングホイール(操舵部材)13の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回る場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すため、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る精度を高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
しかも、判定部93は、ステアリングホイール(操舵部材)13の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回り、かつ、操舵トルクセンサ25で検出した操舵トルク情報の微分値dVT/dtが予め定められる微分値閾値を超える場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下すため、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵制御に係る応答性及び精度を共に高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、判定部93は、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定する構成を採用してもよい。
ここで、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定するとは、例えば、当該所定の条件を充足するタイミングと該所定の条件をいったん充足した後に該所定の条件を充足しなくなるタイミングとを、時間的に相互にずらすことによって、当該所定の条件をいったん充足した後では、その状態を安定して維持する傾向を助長することを意味する。
なお、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる閾値を、初めて超えた際と、いったん超えた後との間で異ならせることで、前記のヒステリシス特性を設定してもよい。具体的には、操舵トルクが初めて閾値を超えることで警戒状態となった際のその閾値と比べて、警戒状態を解除する際に用いる閾値を低く設定することによって、ヒステリシス特性を設定してもよい。
このように構成すれば、前記条件をいったん充足して警戒状態となった後では、この警戒状態を安定して維持する傾向を助長する結果として、操舵制御に係る応答性を一層高めながら、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
また、操舵トルクセンサ25としては、ステアリングホイール(操舵部材)13に連結された操舵軸(回転軸部)19をトーションバーとして用いる方式のトルクセンサを採用してもよいし、また、ステアリングホイール(操舵部材)13に連結された高いねじり剛性を有する操舵軸(回転軸部)19の周囲に設けられる磁歪式のトルクセンサを採用してもよい。
(第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの構成)
次に、第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの内部構成について、図4A及び図4Bを参照して説明する。図4Aは、第2EPS制御装置51Bの内部構成を表すブロック図である。図4Bは、第2EPS制御装置51Bにおいて、利得を設定する際に参照される周波数−利得特性を表す説明図である。図4Cは、第2EPS制御装置51Bにおいて、位相を設定する際に参照される周波数−位相特性を表す説明図である。
第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aと、第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bとの間には、相互に共通の機能部分が存在する。そこで、第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bに特異な構成部分に着目し、この特異な構成部分の説明を行うことにより、第2EPS制御装置51Bの説明に代えることとする。
第1EPS制御装置51Aでは、判定部93における判定結果は、アシスト制御部71のうち、アシスト電流設定部85に与えられる。これに対し、第2EPS制御装置51Bでは、判定部93における判定結果は、アシスト制御部71のうち、位相補償部81に与えられる。
判定部93における判定結果を受けて、アシスト制御部71のうち位相補償部81は、操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTに対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す。
詳しく述べると、位相補償部81は、前記警戒時において、例えば図4Bに示すように、操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、通常時と比べて利得を減少させる補償処理を行う。また、位相補償部81は、前記警戒時において、例えば図4Cに示すように、操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、通常時と比べて位相を遅れ側にシフトさせる補償処理を行う。こうした補償処理を経て、位相補償部81は、補償処理後の操舵トルク情報VTpを出力する。
(第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの動作)
次に、第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの動作について、図5を参照して説明する。図5は、第2EPS制御装置51Bの動作説明に供するフローチャート図である。
図5に示すステップS21において、第2EPS制御装置51Bは、操舵トルクセンサ25により時々刻々と検出される操舵トルク情報VT、操舵角センサ26により検出される操舵角情報θs、車速センサ53により検出される車速情報Vs、レゾルバにより検出されるアシストモータ35の回転角度情報Nmなどの各種情報を取得する。
ステップS22において、第2EPS制御装置51Bのトルク微分部89は、操舵トルク情報VTの時系列波形における立ち上がり部(立ち下がり部)の過渡応答を微分値dVT/dt(dは微分演算子)として取得する。操舵トルク情報VTに係る微分値dVT/dtは、車速Vsによる車両応答性変化に応じた係数が乗算されてイナーシャ電流設定部91及び判定部93に供給される。
ステップS23において、第2EPS制御装置51Bの判定部93は、時々刻々と変動するアシストモータ35に係る回転角度情報Nmの時間微分値である操舵速度を求め、操舵速度が速度閾値未満か否かを判定する。ステップS23の判定の結果、操舵速度が速度閾値を超える(急な操舵操作が生じた)旨の判定が下された場合(ステップS23のNo)、第2EPS制御装置51Bは、処理の流れをステップS25へとジャンプさせる。一方、ステップS23の判定の結果、操舵速度が速度閾値未満である(急な操舵操作が生じていない)旨の判定が下された場合(ステップS23のYes)、第2EPS制御装置51Bは、処理の流れを次のステップS24へと進ませる。
ステップS24において、第2EPS制御装置51Bの判定部93は、ステップS22で取得した操舵トルク微分値dVT/dtが微分値閾値を超えたか否かを判定する。ステップS24の判定の結果、操舵トルク微分値dVT/dtが微分値閾値未満である(過大な操舵トルク変動が生じていない)旨の判定が下された場合(ステップS24のNo)、第2EPS制御装置51Bは、処理の流れを次のステップS25へと進ませる。一方、ステップS24の判定の結果、操舵トルク微分値dVT/dtが微分値閾値を超える(過大な操舵トルク変動が生じた)旨の判定が下された場合(ステップS24のYes)、第2EPS制御装置51Bは、処理の流れをステップS26へと進ませる。
ステップS25において、第2EPS制御装置51Bの位相補償部81は、操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTに対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す。
一方、ステップS26において、第2EPS制御装置51Bの位相補償部81は、操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時において、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す。
ステップS27において、第2EPS制御装置51Bは、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用しているか否かに応じて利得及び位相を適宜調整する補償処理後の操舵トルク情報VTpを用いて、操舵制御に係る応答性又は安定性を重視したアシストモータ35の駆動制御を行う。その後、第2EPS制御装置51Bは、処理の流れをステップS21へ戻し、以降の処理を順次実行させる。
(第2実施形態に係る第2EPS制御装置51Bの作用効果)
第2EPS制御装置51Bでは、アシスト制御部71は、ステアリングホイール(操舵部材)13及び転舵装置17を含む操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時に、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTに対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、操舵系統に対して閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、操舵トルクセンサ25を介して取得した操舵トルク情報VTのうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す。
そのため、通常時には、操舵制御に係る応答性を重視したアシストモータ35の駆動制御が行われる一方、警戒時には、操舵制御に係る安定性を重視したアシストモータ35の駆動制御が行われる。
第2EPS制御装置51Bによれば、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
(第3実施形態に係る第3EPS制御装置51Cの構成)
次に、第3実施形態に係る第3EPS制御装置51Cの内部構成について、図6を参照して説明する。図6は、第3EPS制御装置51Cの内部構成を表すブロック図である。
第1実施形態に係る第1EPS制御装置51Aと、第3実施形態に係る第3EPS制御装置51Cとの間には、相互に共通の機能部分が存在する。そこで、第3実施形態に係る第3EPS制御装置51Cに特異な構成部分に着目し、この特異な構成部分の説明を行うことにより、第3EPS制御装置51Cの説明に代えることとする。
第1EPS制御装置51Aでは、判定部93は、操舵トルクセンサ25で検出した操舵トルク情報の微分値dVT/dtが予め定められる微分値閾値を超えるか否か、アシストモータ35に係る回転角度情報Nmの時間微分値である操舵速度が予め定められる速度閾値未満か否かを判定する。
これに対し、第3EPS制御装置51Cでは、判定部93は、車両挙動安定化支援制御装置101の支援制御が動作中か否かに係る判定を加えている。そして、車両挙動安定化支援制御装置101の支援制御が動作中の場合に、判定部93は、操舵系統に対して所定の閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和することとした。
ここで、支援制御装置101の支援制御が動作中の場合に、前記条件を緩和することは、例えば、操舵トルクセンサ25で検出した操舵トルク情報の微分値dVT/dtが微分値閾値を超えるか否かを判定する際に用いるその閾値を下げるか、又は、アシストモータ35に係る回転角度情報Nmの時間微分値である操舵速度が速度閾値未満か否かを判定する際に用いるその閾値を下げることで実現することができる。
(第3EPS制御装置51Cの作用効果)
第3EPS制御装置51Cによれば、操舵系統に対する過大な操舵トルクが作用しがちな車両の走行環境において、仮に、操舵系統に対して過大な操舵トルクが作用した場合であっても、操舵フィーリングを良好に維持する効果を一層高めることができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の実施形態に係る説明において、磁歪式の操舵トルクセンサ25を、転舵軸31を囲むように設ける態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。磁歪式の操舵トルクセンサ25を、操舵軸19を囲むように設けてもよい。
また、本発明の実施形態に係る説明において、第1EPS制御装置51A、及び第2EPS制御装置51Bを別個に実施する態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。第1EPS制御装置51A、及び第2EPS制御装置51Bを組み合わせて適用し実施してもよい。
また、本発明の第3実施形態に係る説明において、第1EPS制御装置51Aの構成を前提とした第3EPS制御装置51Cの構成を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。第2EPS制御装置51Bの構成を前提とした第3EPS制御装置51Cの構成を実施してもよい。
11 電動パワーステアリング装置
13 ステアリングホイール(操舵部材)
19 操舵軸(回転軸部)
25 操舵トルクセンサ
35 アシストモータ
51 EPS制御装置(制御装置)
71 アシスト制御部
86 アシストマップ(関係情報記憶部)
93 判定部
101 車両挙動安定化支援制御装置

Claims (7)

  1. 車両に設けた操舵部材の手動操作に係る補助力を、該操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵系統に作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
    前記操舵トルクに基づいて前記アシストモータの駆動制御を行う制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応するアシスト電流を設定するアシスト制御部と、
    所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備え、
    前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時と比べて小さい値に設定する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 車両に設けた操舵部材の手動操作に係る補助力を、該操舵部材及び転舵装置を含む操舵系統に伝えるためのアシストモータを有する電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵系統に作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
    前記操舵トルクに基づいて前記アシストモータの駆動制御を行う制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記操舵トルクに係る操舵トルク情報に対応する前記アシストモータに供給するためのアシスト電流に関する正の関係情報を記憶する関係情報記憶部と、
    前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対して補償処理を施すと共に、当該補償処理後の操舵トルク情報及び前記正の関係情報に基づいて、当該補償処理後の操舵トルク情報に対応する前記アシスト電流を設定するアシスト制御部と、
    所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して予め定められる閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す判定部と、を備え、
    前記アシスト制御部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用していない通常時において、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報に対し、操舵制御に係る応答性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す一方、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用している警戒時に、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報のうち、所定の周波数帯域に係る情報部分に対して選択的に、操舵制御に係る安定性を担保するように利得及び位相を調整する補償処理を施す
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記判定部は、前記操舵トルクセンサを介して取得した操舵トルク情報の微分値が予め定められる微分値閾値を超える旨の前記所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記判定部は、前記操舵部材の操舵速度が予め定められる速度閾値を下回る旨の前記所定の条件を充足した場合に、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記判定部は、前記所定の条件に対し、ヒステリシス特性を設定する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵トルクセンサは、前記操舵部材に連結された回転軸部の周囲に設けられる磁歪式のトルクセンサである
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記車両の挙動を安定化させる支援制御を行う車両挙動安定化支援制御装置の支援制御が動作中の場合に、前記判定部は、前記操舵系統に対して前記閾値を超える操舵トルクが作用した旨の判定を下す際に用いる前記条件を緩和する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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