JP5298822B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、ステアリング機構に操舵補助トルクを与える電動モータと、前記電流指令値に基づいて電動モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来、ステアリング装置として、運転者がステアリングホイールを操舵する操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより、ステアリング機構に操舵補助トルクを与えるようにした電動パワーステアリング装置が普及している。
また、このような電動パワーステアリング装置においては、左折あるいは右折をするために信号待ちを行っている場合等、操舵トルクがかかったままの状態でステアリングホイールを保舵した場合には、比較的大きなアシスト電流が電動モータに継続して流れるため、電動モータの温度上昇及び消費電流の増大を招くことが知られている。
これを回避するために、操舵トルク及び舵角速度に基づき、ステアリングホイールをかなり切り込んだ状態か若しくはステアリング機構がメカニカルストッパに当接してそれ以上の操舵ができない操舵限界状態であると判定され、さらに、車速が低いときには、アシスト電流を減少させるようにした電動式パワーステアリング装置(例えば、特許文献1参照)等も提案されている。
特開平6−99832号公報
しかしながら、上述のように、操舵トルク及び舵角速度、さらに車速に基づいてアシスト電流を減少させる方法にあっては、操舵トルク及び舵角速度から、ステアリングホイールをかなり切り込んだ状態か若しくは操舵限界状態であると判定し、車速がしきい値以下の場合にアシスト電流を減少させている。
このため、本来操舵アシストを減少させたくない車速でアシスト電流を減少させたり、或いは、ある程度の車速で走行しているため運転者は操舵アシストを必要と感じていないにも関わらず操舵アシストを継続してしまう等、本来操舵アシストを減少させたい車速でアシスト電流を減少させないという現象が発生し、運転者の期待する操舵アシストを行うことが困難な場合があった。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、運転者が期待する操舵アシストを行い、且つ電動モータの温度上昇等を回避することの可能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、前記電流指令値に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、車速を検出する車速検出手段と、舵角の変化速度である舵角速度を検出する舵角速度検出手段と、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが予め設定した操舵トルクしきい値以上であり、かつ前記車速検出手段で検出した車速が予め設定した車速しきい値以下であり、さらに前記舵角速度検出手段で検出した舵角速度が予め設定した舵角速度しきい値以下であるとき、操舵補助トルク制限開始判定用の判定条件を満足すると判断して、前記電動モータで発生させる操舵補助トルクを制限するトルク制限手段と、を備え、当該トルク制限手段は、前記車速検出手段で検出した車速が大きいときほど、前記操舵トルクしきい値をより大きな値に変更し、変更後の操舵トルクしきい値を用いて、前記判定条件を満足するかを判断することを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、前記電流指令値に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、車速を検出する車速検出手段と、舵角の変化速度である舵角速度を検出する舵角速度検出手段と、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが予め設定した操舵トルクしきい値以上であり、前記車速検出手段で検出した車速が予め設定した車速しきい値以下であり、かつ前記舵角速度検出手段で検出した舵角速度が予め設定した舵角速度しきい値以下であり、さらに前記電流指令値演算手段で演算した電流指令値が指令値しきい値以上であるとき、操舵補助トルク制限開始判定用の判定条件を満足すると判断して、前記電動モータで発生させる操舵補助トルクを制限するトルク制限手段と、を備え、当該トルク制限手段は、前記車速検出手段で検出した車速が大きいときほど、前記操舵トルクしきい値または前記指令値しきい値をより大きな値に変更し、変更後の前記操舵トルクしきい値または変更後の指令値しきい値を用いて、前記判定条件を満足するかを判断することを特徴としている。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、前記トルク制限手段は、前記車速検出手段で検出した車速が大きいときほど、前記操舵トルクしきい値および前記指令値しきい値を共に、より大きな値に変更し、変更後の前記操舵トルクしきい値および指令値しきい値を用いて、前記判定条件を満足するかを判断することを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルク検出手段で検出した操舵トルク、車速検出手段で検出した車速及び舵角速度検出手段で検出した舵角速度や、さらに、電流指令値演算手段で演算した電流指令値に基づき、ステアリング機構がメカニカルストッパに当接した操舵限界状態又はステアリングホイールをかなり切り込んだ状態で保舵されている状態であると判定される場合には、発生される操舵補助トルクを制限するため、電動モータの温度上昇等を回避することができると共に、操舵トルクや電流指令値が一定であっても、車速が比較的高い時には操舵補助トルクを制限し、逆に車速が比較的低い時には操舵補助トルクを制限せずに十分操舵アシストを行うことができ、運転者の期待に則した操舵アシスト性能を発揮することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、SMはステアリング機構である。このステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって図示しない転舵輪を転舵させる。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助トルクを出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結された操舵補助トルクを発生する電動機としての例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
また、操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を非接触の磁気センサで検出するように構成されている。
この操舵トルクセンサ3から出力される操舵トルクTは、コントローラ14に入力される。このコントローラ14には、操舵トルクTの他に車速センサ(車速検出手段)15で検出した車速検出値V、電動モータ12に流れるモータ電流検出値Iu、Iv及びIw及びレゾルバ、エンコーダ等で構成される回転角センサ16で検出した電動モータ12のモータ回転角θも入力されると共に、ステアリングシャフト2に設けられた操舵角を検出する舵角センサ17からの舵角検出値δが入力され、コントローラ14は、入力される操舵トルクT及び車速検出値Vに応じた操舵補助トルクを電動モータ12で発生させるための操舵補助トルク指令値IM *を算出し、算出した操舵補助トルク指令値IM *とモータ電流検出値Iu〜Iwとにより、電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック制御処理すると共に、モータ回転角θに基づいて算出したモータ角速度ω及びモータ角加速度αに基づいて各種補償処理を行って、電動モータ12を駆動制御するモータ電流Iu、Iv及びIwを出力する。また、操舵トルクT、車速検出値V及び、舵角検出値δから算出した舵角速度dδに基づいて操舵補助トルクの制限の必要性の有無を判断し、必要に応じて操舵補助トルクを制限する。
コントローラ14は、図2に示すように、操舵トルクT及び車速検出値Vに基づいて操舵補助トルク指令値IM *を算出する操舵補助トルク指令値演算部(電流指令値演算手段)21と、この操舵補助トルク指令値演算部21で算出した操舵補助トルク指令値IM *を補償する指令値補償部22と、この指令値補償部22で補償された操舵補助トルク指令値IM *である補償後トルク指令値I ′を制限することにより、電動モータ12で発生させる操舵補助トルクを制限する指令値制限部(トルク制限手段)23と、この指令値制限部23で制限された電流指令値からなる制限指令値I ″に基づいてd軸及びq軸の電流指令値を算出するd−q軸電流指令値演算部24と、このd−q軸電流指令値演算部24から出力される指令電流に基づいてモータ電流Iu〜Iwを生成するモータ電流制御部(モータ制御手段)25と、で構成されている。
操舵補助トルク指令値演算部21は、操舵トルクT及び車速検出値Vをもとに図3に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して電流指令値でなる操舵補助トルク指令値IM *を算出する。
この操舵補助トルク指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助トルク指令値IM *をとると共に、車速検出値Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値IM *は“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助トルク指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が、車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
指令値補償部22は、回転角センサ16で検出されるモータ回転角θを微分してモータ角速度ωを算出する角速度演算部31と、この角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωを微分してモータ角加速度αを算出する角加速度演算部32と、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償部33と、角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償部34と、セルフアライニングトルク(SAT)を推定するSAT推定フィードバック部35と、を少なくとも有する。
ここで、収斂性補償部33は、車速センサ15で検出した車速検出値V及び角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対してブレーキをかけるように、車速検出値Vに応じて変更される収斂性制御ゲインKvをモータ角速度ωに乗じて収斂性制御値Icを算出する。
また、SAT推定フィードバック部35は、操舵トルクT、モータ角速度ω、モータ角加速度α及び操舵補助トルク指令値演算部21で算出した操舵補助トルク指令値IM *が入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定演算する。
このセルフアライニングトルクSATを算出する原理は、路面からステアリングホイール1までの間に発生するトルクの様子を図4に示して説明する。
運転者がステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・α+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+Ts …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s)
=Tm(s)+Ts(s)−J・α(s)−Fr・sign(ω(s)) …(2)
上記(2)式からわかるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、モータ角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを推定することができる。ここで、アシストトルクTmは操舵補助トルク指令値IM *に比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助トルク指令値IM *を適用する。
そして、慣性補償部34で算出された慣性補償値Ii及びSAT推定フィードバック部35で算出されたセルフアライニングトルクSATが加算器36で加算され、この加算器36の加算出力と収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Icとが加算器37で加算されて指令補償値Icomが算出され、この指令補償値Icomが操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値IM *に加算器38で加算され、その加算結果が補償後トルク指令値I ′として出力される。
指令値制限部23は、図5に示すように、入力される操舵トルクTが予め設定した操舵トルクしきい値Tth以上であるか否かを判定する操舵トルク判定部101と、車速検出値V及び後述の舵角速度判定部105での判定結果に基づき、前記操舵トルクしきい値Tthを設定するトルクしきい値設定部102と、車速検出値Vが予め設定した車速しきい値Vth以下であるか否かを判定する車速判定部103と、舵角センサ17からの舵角検出値δを微分処理して舵角速度dδを算出する舵角速度演算部(舵角速度検出手段)104と、舵角速度演算部104で算出された舵角速度dδが予め設定した舵角速度しきい値dδth以下であるか否かを判定する舵角速度判定部105と、操舵トルク判定部101、車速判定部103及び舵角速度判定部105での判定結果に応じてトルク制限を行うか否かを判定する制限判定部106と、ゲイン“1”を発生するゲイン発生器107と、所定のゲインGを発生するゲイン発生器108と、前記ゲイン発生器107及び108の何れかの出力を選択する選択スイッチ部109と、選択スイッチ部109で選択された選択ゲインGtを、加算器38から出力される補償後トルク指令値IM *′に乗算するゲイン乗算部110とを備える。
トルクしきい値設定部102は、舵角速度判定部105での判定結果を入力し、舵角速度dδが判定条件(dδ≦dδth)を満足しない間は、操舵トルクしきい値Tthとしてその最小値を設定する。一方、舵角速度判定部105での判定の結果、舵角速度dδが判定条件を満足するときには、操舵トルクしきい値Tthを車速検出値Vに基づいて設定し、車速検出値Vが零のとき、操舵トルクしきい値Tthをその最小値に設定し、車速検出値Vが大きいときほど、操舵トルクしきい値Tthが、その最小値よりも大きな値となるように設定する。
なお、操舵トルクしきい値Tth、舵角速度しきい値dδth及び車速しきい値Vthは、操舵補助トルクの低減を行うか否かを判断するためのしきい値である。これらしきい値は、操舵補助トルクを低減したとしても運転者に違和感を与えることのない値に、予め実験を行うこと等により設定される。
制限判定部106は、操舵トルク判定部101、車速判定部103及び舵角速度判定部105の判定結果に基づき操舵補助トルクの低減を行うか否かの判断を行う。具体的には、操舵トルク判定部101、車速判定部103及び舵角速度判定部105の全てが、それぞれの判定条件を満足するときには、操舵補助トルクの低減を行う必要があると判断し、選択スイッチ部109に対し、ゲイン発生器108を選択する選択信号SLを出力し、それ以外のときには、ゲイン発生器107を選択する選択信号SLを出力する。
ゲイン発生器108は、選択信号SLによりゲイン発生器108が新たに選択された時点からの経過時間tを計測し、この経過時間tに応じたゲインを発生させる。例えば、図5のブロック中に示すように、経過時間tが零のときゲインは“1”となり、経過時間tが増加すると、この経過時間tに反比例して減少するゲインを発生させる関数発生器で構成される。
ゲイン乗算部110は、選択スイッチ部109で選択された選択ゲインGtを、加算器38から出力されるトルク補償後の補償後トルク指令値IM *′に乗算する。
指令値制限部23で、選択ゲインGtが乗算された補償後トルク指令値IM *′は、制限指令値IM *″としてd−q軸電流指令値演算部24に入力される。このd−q軸電流指令値演算部24は、制限指令値IM *″とモータ角速度ωとに基づいてd軸目標電流Id*を算出するd軸目標電流算出部51と、モータ回転角θ及びモータ角速度ωに基づいてd−q軸誘起電圧モデルEMF(Electro Motion Force)のd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)を算出する誘起電圧モデル算出部52と、この誘起電圧モデル算出部52から出力されるd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)とd軸目標電流算出部51から出力されるd軸目標電流Id*と指令値制限部23のゲイン乗算部23dから出力される制限指令値IM *″とに基づいてq軸目標電流Iqを算出するq軸目標電流算出部53と、d軸目標電流算出部51から出力されるd軸目標電流Id*とq軸目標電流算出部53から出力されるq軸目標電流Iqとを3相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*に変換する2相/3相変換部54と、を備えている。
モータ電流制御部25は、電動モータ12の各相コイルLu、Lv及びLwに供給されるモータ相電流Iu、Iv及びIwを検出するモータ電流検出回路60と、d−q軸電流指令値演算部24の2相/3相変換部54から入力される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*からモータ電流検出回路60で検出したモータ相電流Iu、Iv、Iwを減算して各相電流偏差ΔIu、ΔIv、ΔIwを求める減算器61u、61v及び61wと、求めた各相電流偏差ΔIu、ΔIv、ΔIwに対して比例積分制御を行って電圧指令値Vu、Vv、Vwを算出するPI電流制御部62と、このPI電流制御部62から出力される電圧指令値Vu、Vv、Vwが入力されて、これらをパルス幅変調したパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路63と、このパルス幅変調回路63から出力されるパルス幅変調信号が入力されて3相モータ電流Iu、Iv及びIwを電動モータ12に出力するインバータ64とで構成されている。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、車両の走行を開始するために、イグニッションスイッチIGをオン状態とすると、これにより、コントローラ14に電源が投入されて、操舵補助制御処理が実行開始される。
このため、操舵トルクセンサ3で検出した操舵トルクT、車速センサ15で検出した車速検出値V、モータ電流検出回路60で検出したモータ電流検出値Iu〜Iw、回転角センサ16で検出したモータ回転角θ、舵角センサ17で検出した舵角検出値δがコントローラ14に供給される。
したがって、操舵補助トルク指令値演算部21で、操舵トルクTと車速検出値Vとに基づいて図3に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して操舵補助トルク指令値I を算出する。
一方、回転角センサ16で検出したモータ回転角θが角速度演算部31に入力されてモータ角速度ωが算出され、このモータ角速度ωが角加速度演算部32に入力されてモータ角加速度αが算出される。
そして、収斂性補償部33でモータ角速度ωに基づいて収斂性補償値Icが算出され、慣性補償部34でモータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iiが算出され、さらにSAT推定フィードバック部35でモータ角速度ω及びモータ角加速度αに基づいてセルフアライニングトルクSATが算出され、これらが加算器36及び加算器37で加算されて指令値補償値Icomが算出され、これが加算器38で操舵補助トルク指令値I に加算されて補償後トルク指令値I ′が算出される。
そして、この補償後トルク指令値IM * ′に指令値制限部23のゲイン乗算部110で選択ゲインGtが乗算されて、制限指令値IM * ″が算出される。
このとき、車両が停止状態にあって、ステアリングホイール1が操舵されていない状態では、操舵トルクセンサ3で検出される操舵トルクTが“0”であり、車速センサ15で検出される車速検出値Vも“0”であるので、操舵補助トルク指令値演算部21で算出される操舵補助トルク指令値IM * も“0”となっている。また、電動モータ12は停止しているため、角加速度演算部32で演算されるモータ角加速度αも“0”となり、指令補償値22で算出される指令補償値Icomも“0”となり、補償後トルク指令値IM * ′も“0”となる。
また、操舵が行われていないことから、舵角センサ17で検出される舵角検出値δは一定値を維持するため、舵角速度演算部104で算出される舵角速度dδは零となる。このため、指令値制限部23では、車速検出値V及び舵角速度dδは判定条件を満足するが、操舵トルクTが判定条件を満足しないことから、制限判定部106で、操舵補助トルクの制限は不要と判断され、ゲイン発生器107を選択する選択信号SLが出力される。このため、選択スイッチ部109は、ゲイン発生器107の出力を選択し、ゲイン発生器107から出力されるゲイン“1”が選択ゲインGtとしてゲイン乗算部110に供給される。
そして、選択ゲインGtが“1”であるため、ゲイン乗算部110に入力された加算器38からの補償後トルク指令値I ′が、そのまま制限指令値I ″としてd−q軸電流指令値演算部24に出力される。
d−q軸電流指令値演算部24では、モータ回転角θ及びモータ角速度ωに基づいてd−q軸座標系での指令値演算が行われて、d軸目標電流Id及びq軸目標電流Iqが算出され、これらd軸目標電流Id及びq軸目標電流Iqが2相/3相変換部54でそれぞれ“0”の3相電流指令値Iu〜Iwに変換されてモータ電流制御部25に出力される。
このモータ電流制御部25では、モータ電流検出回路60で検出されるモータ電流検出値Iu〜Iwも“0”であることから、減算器61u〜61wから出力される電流偏差ΔIu〜ΔIwも“0”となり、PI電流制御部62から出力される電圧指令値Vu〜Vwも“0”となって、パルス幅変調回路63から出力されるパルス幅変調信号も“0”となり、インバータ64から出力されるモータ電流Iu〜Iwも“0”となって、電動モータ12が停止状態を継続する。
この電動モータ12の停止状態で、ステアリングホイール1を右切り(又は左切り)操舵するいわゆる据え切りを行うと、操舵トルクセンサ3で操舵方向に応じた操舵トルクTが検出され、この操舵トルクTがコントローラ14に供給されることにより、操舵補助トルク指令値演算部21で、車速検出値Vが“0”であるので、図3の操舵補助トルク指令値算出マップにおいて、一番内側の特性曲線が選択されて操舵トルクTの増大に応じて早めに大きな値となる操舵補助トルク指令値I が算出され、この操舵補助トルク指令値I が加算器38に出力される。
この状態では、操舵が行われており舵角速度dδはdδ>dδthであることから、操舵トルクしきい値Tthはその最小値に設定され、このとき据え切りが行われており操舵トルクTは比較的大きいことから、操舵トルクTはT≧Tthとなって判定条件を満足し、同様に車速検出値VもV≦Vthとなって判定条件を満足するが、舵角速度dδが判定条件を満足しないことから、制限判定部106では、操舵補助トルクの制限は不要と判断し、ゲイン発生器107を選択する選択信号SLを出力する。このため、選択ゲインGtとして、ゲイン発生器107で発生される“1”が設定されることから、引き続きゲイン乗算部110に入力された比較的大きな補償後トルク指令値I ′が、そのまま制限指令値I ″としてd−q軸電流指令値演算部24に出力される。
このため、d−q軸電流指令値演算部24で、制限指令値I ″に応じたd軸目標電流Id及びq軸目標電流Iqが算出され、これらが2相/3相変換部54で3相電流指令値Iu〜Iwに変換されてモータ電流制御部25に出力される。
したがって、モータ電流制御部25では、モータ電流検出回路60で検出されるモータ電流Iu〜Iwが“0”であるので、減算器61u〜61wから出力される電流偏差ΔIu〜ΔIwは電流指令値Iu〜IwがそのままPI電流制御部62に供給されることにより、このPI電流制御部62でPI制御処理が行われて、電圧指令値Vu〜Vwがパルス幅変調回路63に出力される。
このため、インバータ64からモータ電流Iu〜Iwが出力されて電動モータ12が回転駆動されて、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生され、これが減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2の出力軸2bに伝達されるので、据え切り状態での操舵を軽く行うことができる。
そして、電動モータ12の回転に伴いモータ角加速度αが出力されると、加算器38によって、指令値補償部22で算出された指令補償値Icomが、操舵トルクT及び車速検出値Vに応じた操舵補助トルク指令値I に加算されて補償後トルク指令値I ′が算出され、この補償後トルク指令値I ′が指令値制限部23に供給されてこれに応じた3相の電流指令値Iu〜Iwが算出され、モータ電流検出回路60で検出されたモータ電流検出値Iu〜Iwがフィードバックされて、電動モータ12のフィードバック制御が行われる。
その後、ステアリングギヤ8が操舵限界位置に達してメカニカルストッパに当接する状態となりそれ以上の切り増しが不可となるか、或いはステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態で保することにより、舵角速度dδがそのしきい値dδth以下となり、舵角速度dδがその判定条件(dδ≦dδth)を満足すると、トルクしきい値設定部102では車速検出値Vに応じて操舵トルクしきい値Tthを設定するが、この場合車速検出値Vは零であることから、操舵トルクしきい値Tthはその最小値を維持する。
このため、この時点で、操舵トルクT、車速検出値V及び舵角速度dδが全てそれぞれの判定条件を満足することから、制限判定部106ではゲイン発生器108を選択する選択信号SLを出力する。
ゲイン発生器108では、選択信号SLにより新たにゲイン発生器108が選択されたことから、この新たに選択された時点からの経過時間tを計測すると共に、この経過時間tに応じて“1”から徐々に低下するゲインGを発生する。そして、このゲイン発生器108で発生されるゲインGが選択ゲインGtとして選択され、この選択ゲインGtがゲイン乗算部110で補償後トルク指令値I ′に乗算される。このため、補償後トルク指令値I ′は選択ゲインGtに応じて制限されて出力され、且つ、時間経過と共に選択ゲインGtはより小さな値になることから、補償後トルク指令値I ′の低減量が徐々に増加し、結果的に制限指令値I ″は徐々に減少する。
このため、d−q軸電流指令値演算部24から出力されるモータ電流指令値Iu*〜Iw*の振幅が小さくなり、これに応じてモータ電流制御部25のPI電流制御部62で算出される電圧指令値Vu〜Vwも小さくなるので、パルス幅変調回路63から出力されるパルス幅変調信号のデューティ比が減少する。したがって、インバータ64から出力されるモータ電流Iu〜Iwの振幅が小さくなって、電動モータ12に供給されるモータ電流が減少し、電動モータ12で発生される操舵補助トルクが減少される。
そして、ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態或いは操舵限界状態が継続すると、操舵トルクTは比較的大きい状態を維持し、車速検出値Vは零、舵角速度dδは零の状態となって、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδのそれぞれが判定条件を満足することから、引き続き操舵補助トルクの制限が行われ、電動モータ12に供給されるモータ電流が低減される。
ここで、ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態が継続した場合、電動モータ12に比較的大きなモータ電流が流れることになって温度上昇等を引き起こすことになる。
しかしながら、ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態が継続する状態では、上述のように操舵補助トルクを制限し、電動モータ12に流れるモータ電流量を制限していることから、電動モータ12に比較的大きなモータ電流が継続して流れることに起因して温度上昇等が生じることを回避することができる。
その後、車両を発進させると、車速センサ15で検出される車速検出値Vが増加することにより、操舵補助トルク指令値演算部21で算出される操舵補助トルク指令値I は図3の操舵補助トルク指令値算出マップで車速検出値Vが速くなるほど外側の特性曲線が選択されることになるので、操舵トルクTの増加に対応する操舵補助トルク指令値IM *の増加量が少なくなることにより、電動モータ12で発生される操舵補助トルクも据え切り時に比較して小さい値となり、車速検出値Vに応じた最適の操舵補助トルクを発生させることができる。
このとき、車両の発進に伴い車速が増加すると、トルクしきい値設定部102では、車速検出値Vの増加に伴い操舵トルクしきい値Tthを増加させる。ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態が継続される場合には、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδは、それぞれ判定条件を満足するため、引き続き操舵補助トルクの制限が行われる。このため、保舵している状態であって操舵アシストをそれほど必要としていない状態であるときには、操舵補助トルクの制限が行われることになって、不要な操舵補助トルクの発生を回避しつつ、電動モータ12に比較的大きなモータ電流が流れることに起因する温度上昇を抑制することができる。
この状態からさらに車速が増加すると、車速検出値Vの増加に伴って操舵トルクしきい値Tthが増加するが、操舵トルクTが操舵トルクしきい値Tth以上である間は、引き続き操舵補助トルクの制限が行われて不要な操舵アシストの抑制と温度上昇の抑制とが図られ、その後、車速検出値Vが車速しきい値Vthを上回るか、若しくはステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態から中立方向に戻すことにより、操舵トルクTがトルクしきい値Tthを下回るか或いは中立方向への戻し操舵に伴い舵角速度dδがそのしきい値dδthを上回った時点で、制限判定部106では、操舵補助トルクの制限は不要と判断して、ゲイン“1”を発生するゲイン発生器107を選択する選択信号SLを出力する。
このため、選択スイッチ部109では、ゲイン発生器108に代えてゲイン発生器107の出力を選択し、これにより選択ゲインGtは“1”に設定されるから、補償後トルク指令値I ′に対する制限が停止され、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生されることになる。したがって、以後、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生されることから、軽い操舵を行うことができる。
そして、車速しきい値Vthを上回る車速で走行しているときには、車速検出値Vがその判定条件を満足しないことから、操舵トルクTや舵角速度dδの大きさに関わらず、ゲイン“1”を発生するゲイン発生器107が選択されるため、選択ゲインGtは“1”となり、補償後トルク指令値I ′に対する制限は行われないから、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生されることになって、軽い操舵を行うことができる。
ここで、上述のように、トルクしきい値設定部102では、舵角速度dδが舵角速度しきい値dδth以下のとき、つまり、舵角速度dδが略零であって保舵されている状態と同等のときには、車速検出値Vが大きいときほどトルクしきい値Tthを大きな値に設定している。つまり、車速検出値Vが大きいときほど操舵補助トルクを制限しにくくしている。このため、図6に示すように、車速検出値Vが零の場合には、車速検出値Vが零のときの操舵トルクしきい値Tth1以上の大きさの操舵トルクTが発生された時点で、ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態で保舵している状態であると判断し、操舵アシストは不要として操舵補助トルクを制限するから、比較的大きなモータ電流が通電されることに伴う電動モータ12の温度上昇を回避することができる。
しかしながら、操舵トルクTが車速検出値Vが零のときの操舵トルクしきい値Tth1以上であっても、車両が極低速で走行している場合には、操舵トルクしきい値Tthは、車速検出値Vが大きいときほど大きな値に設定されることから、操舵トルクTは同一であっても車両が走行している場合には、操舵補助トルクの制限は行われない。
したがって、例えば、右折或いは左折のためにステアリングホイール1がかなり切り込まれて停車している状態から、そのまま保舵した状態で発進した場合には、車速検出値Vの増加に伴い操舵トルクしきい値Tthが増加し、操舵トルクしきい値Tthが操舵トルクTを上回った時点で、操舵トルクTがその判定条件を満足しなくなることから、操舵補助トルクの制限が解除され、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生される。
このため、このようにステアリングホイール1がかなり切り込まれた状態で停車しているときには、操舵補助トルクを制限するための各判定条件を満足するため操舵補助トルクの制限が行われるが、このまま保舵した状態で車両が発進すると、車速の増加に伴い操舵トルクしきい値Tthが増加し、操舵トルクしきい値Tthが操舵トルクTを上回った時点で操舵補助トルクの制限が解除されるため、右折或いは左折のために発進した後の、初期の段階で操舵補助トルクの制限が解除されて操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生される。したがって、右折或いは左折を軽い操舵で行うことができる。
また、図6に示すように、車速検出値Vが大きいときほど、操舵トルクしきい値Tthをより大きな値に設定し、比較的高速なときほど、操舵トルクTがその判定条件を満足しにくくしている。ここで、同じ操舵トルクTであっても、車速が高くなるほど、運転者が期待する操舵アシストは小さくなるため、車速に関わらず操舵トルクに応じた操舵補助トルクを発生させると、運転者が期待する以上の操舵補助トルクが発生されて運転者に違和感を与える可能性があるが、上述のように、車速が比較的高くなるまで、操舵補助トルクの制限を行うようにしているから、運転者が期待する以上の操舵補助トルクが発生されることにより運転者に違和感を与えることを回避することができると共に、操舵トルクTが比較的大きく且つ車速が比較的高い状態であって通常あまり生じ得ることのない状況であるときにのみ操舵補助トルクの制限を行うようにし、操舵トルクTが比較的大きく且つ車速が比較的低い状態であって、通常生じ得ることの多い状況では操舵補助トルクの制限を行わないようにしているから、操舵補助トルクの制限が行われる頻度を低減しつつ、不要な操舵アシストが行われることを回避することができる。
したがって、極低速走行時の操舵アシストを可能とすることができると共に、ある程度の車速で走行している場合に、不要な操舵アシストが行われることを回避することができる。
図7は、操舵トルクしきい値Tthを一定とし、操舵トルクT、車速検出値V及び舵角速度dδがそれぞれの判定条件を満足したときに、操舵補助トルクの制限を行うようにした場合の、操舵補助トルクの制限が行われる範囲を示したものである。
図7に示すように、車速しきい値Vthをxx〔km/h〕とした場合、車速検出値Vが車速しきい値Vth以下となり、操舵トルクTが操舵トルクしきい値Tth以上となる、図7のハッチングで表す領域で、操舵補助トルクの制限が行われることになる。
これに対し、図6に示すように、操舵トルクしきい値Tthを車速検出値Vが大きいときほど大きな値に設定し、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδがそれぞれの判定条件を満足したときに、操舵補助トルクの制限を行う場合の範囲は、図6のハッチングで表す領域で表され、図7の車速しきい値xx〔km/h〕以下の領域では、図7に示す操舵トルクしきい値Tthを一定とした場合に比較して、Aで示す領域だけ狭くすることができる。すなわち、操舵トルクしきい値Tthを一定とした場合に比較して、操舵トルクしきい値Tthを変化させた方が、より多くの状況下において、操舵アシストを行うことができる。
また、図7に示すように、操舵トルクしきい値Tthを一定とした場合、操舵トルクTがその操舵トルクしきい値Tthを越えるときには、車速に関係なく、操舵補助トルクの制限が図られる。このため、車速がある程度出ているため、実際には操舵アシストは必要ないにも関わらず、操舵アシストが行われることになって運転者に違和感を与える可能性がある。これを回避するためには、車速しきい値Vthを比較的大きな値に設定する必要がある。一方、低速での操舵アシストを十分行うためには、車速しきい値Vthを比較的小さな値に設定する必要があり、矛盾する。
これに対し、本願発明では、図6に示すように、車速検出値Vが大きいときほど操舵トルクしきい値Tthが大きな値になるように設定し、車速が比較的低いときには、操舵トルクがそれほど大きくない領域であっても操舵アシストを行い、車速が比較的高いときには、比較的操舵トルクが大きい領域であっても、操舵アシストは不要として、操舵補助トルクを制限するようにしたから、運転者の期待に則した操舵アシストを行いつつ、不要な操舵アシストを回避することができる。
また、このように、操舵トルクしきい値Tthを、車速検出値Vに応じて設定し、車両が走行している場合には、操舵トルクTが比較的小さい場合であっても操舵補助トルクの低減を行わずに操舵アシストを行って、比較的低速走行時の操舵アシストを確保するようにしたから、比較的低速走行時における操舵アシストを確保しつつ比較的高速時における操舵補助トルクの制限を行うことができ、車速しきい値Vthを比較的大きな値に設定することができる。したがって、より多くの状況下で不要な操舵アシストの発生を回避することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、指令値制限部23の機能構成が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図8は、第2の実施の形態における指令値制限部23の構成を示すブロック図である。
第2の実施の形態における指令値制限部23は、入力される操舵トルクTが予め設定した一定値の操舵トルクしきい値Tth以上であるか否かを判定する操舵トルク判定部101aと、車速検出値Vが予め設定した車速しきい値Vth以下であるか否かを判断する車速判定部103と、舵角センサ17からの舵角検出値δを微分処理して舵角速度dδを算出する舵角速度演算部104と、舵角速度演算部104で算出された舵角速度dδが予め設定した舵角速度しきい値dδth以下であるか否かを判定する舵角速度判定部105と、加算器38からの補償後トルク指令値IM *′が指令値しきい値Ith以上であるか否かを判定する指令値判定部111と、車速検出値V及び舵角速度判定部105の判定結果に基づき、指令値判定部111における指令値しきい値Ithを設定する指令値しきい値設定部112と、操舵トルク判定部101a、車速判定部103、舵角速度判定部105及び指令値判定部111での判定結果に応じてトルク制限を行うか否かを判定する制限判定部106aと、ゲイン“1”を発生するゲイン発生器107と、所定のゲインGを発生するゲイン発生器108と、前記ゲイン発生器107及び108の何れかを選択する選択スイッチ部109と、選択スイッチ部109で選択された選択ゲインGtを、加算器38から出力されるトルク補償後の補償後トルク指令値IM *′に乗算するゲイン乗算部110とを備える。
この第2の実施の形態では、操舵トルク判定部101aにおける、操舵トルクしきい値Tthは予め設定された一定値であって、操舵トルク判定部101aでは、操舵トルクTと一定値の操舵トルクしきい値Tthとを比較する。
指令値しきい値設定部112は、舵角速度判定部105での判定の結果、舵角速度dδがその判定条件(dδ≦dδth)を満足しないときには、補償後トルク指令値IM *′のしきい値Ithとして、その最小値を設定する。一方、舵角速度判定部105での判定の結果、舵角速度dδがそのしきい値dδth以下であって、判定条件を満足するときには補償後トルク指令値IM *′のしきい値Ithを、車速検出値Vに応じて設定する。具体的には、図8のブロック中に示すように、車速検出値Vが零のときに指令値しきい値Ithの最小値をとり、車速検出値Vが大きいときほど大きな値となるように指令値しきい値Ithを設定する。この指令値しきい値Ithの最小値は、この最小値相当の通電を行った場合に、短時間で電動モータ12のモータ温度が上昇することのない電流値相当の値であり、且つこの最小値相当の操舵アシストが行われた場合に運転者に対してステアリングホイール1をかなり切り込んでいるという感覚を与えることの可能な操舵補助トルク相当の値に設定される。
そして、指令値判定部111では、このようにして指令値しきい値設定部112で設定された指令値しきい値Ithと、加算器38からの補償後トルク指令値IM *′とを比較し、指令値しきい値Ithが補償後トルク指令値IM *′以上であるとき、判定条件を満足すると判定する。
制限判定部106aは、操舵トルク判定部101a、車速判定部103、舵角速度判定部105及び指令値判定部111の判定結果に基づき操舵補助トルクの低減を行うか否かの判断を行う。具体的には、操舵トルク判定部101、車速判定部103、舵角速度判定部105及び指令値判定部111の全てが、それぞれの判定条件を満足するときには、操舵補助トルクの制限を行う必要があると判断し、選択スイッチ部109に対してゲイン発生器108を選択する選択信号SLを出力し、それ以外のときには、ゲイン発生器107を選択する選択信号SLを出力する。
次に、この第2の実施の形態の動作を説明する。
車両が停止状態にあって、ステアリングホイール1が操舵されていない状態では、操舵トルクセンサ3で検出される操舵トルクTが“0”であり、車速センサ15で検出される車速検出値Vも“0”であるので、操舵補助トルク指令値演算部21で算出される操舵補助トルク指令値I も“0”となっている。また、角加速度演算部32で演算されるモータ角加速度αも“0”となっているため、補償後トルク指令値IM *′も略零となる。
また、操舵が行われていないことから、舵角センサ17で検出される舵角検出値δは一定値を維持するため、舵角速度演算部104で算出される舵角速度dδは零となる。このため、車速検出値V及び舵角速度dδは判定条件を満足するが、操舵トルクT及び補償後トルク指令値IM *′が判定条件を満足しないことから、制限判定部106aからゲイン発生器107を選択する選択信号SLが出力される。
これを受け、選択スイッチ部109は、ゲイン発生器107の出力を選択し、ゲイン発生器107から発生されるゲイン“1”が選択ゲインGtとしてゲイン乗算部110に供給される。
このため、ゲイン乗算部110に入力された加算器38からの補償後トルク指令値I ′が、そのまま制限指令値I ″としてd−q軸電流指令値演算部24に出力され、このd−q軸電流指令値演算部24で、3相電流指令値Iu〜Iwが生成されてこれがモータ電流制御部25に出力され、この時点では、モータ電流検出回路60で検出されるモータ電流Iu〜Iwも“0”であることから、インバータ64から出力されるモータ電流Iu〜Iwも“0”となって、電動モータ12が停止状態を継続する。
この電動モータ12の停止状態で、ステアリングホイール1を右切り(又は左切り)操舵する所謂据え切りを行うと、車速検出値Vが“0”であるので、操舵トルクTの増大に応じて早めに大きな値となる操舵補助トルク指令値IM *が算出され、この操舵補助指令値IM *が加算器38に出力される。また、電動モータ12の回転に伴いモータ角加速度αが出力される。
このため、加算器38によって、指令値補償部22で算出された指令補償値Icomが加算されて補償後トルク指令値IM *′が算出され、この補償後トルク指令値IM *′がd−q軸電流指令値演算部24に供給され、補償後トルク指令値IM *′に応じた値の3相の電流指令値Iu*〜Iw*に変換され、これに応じたモータ電流Iu〜Iwがモータ電流制御部25から出力されて電動モータ12が回転駆動されて、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生され、据え切り状態での操舵を軽く行うことができる。
このとき、操舵に伴い舵角速度dδが増加し、舵角速度しきい値dδthを上回るため、制限判定部106aでは操舵補助トルクの制限は不要と判断し、引き続き操舵補助トルクの制限を行わない。このため、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生され、軽い操舵を行うことができる。
その後、ステアリングホイール1が操舵限界状態となるか、或いはかなり切り込まれた状態で保舵され、舵角速度dδがそのしきい値dδth以下となり、舵角速度dδがその判定条件(dδ≦dδth)を満足すると、指令値しきい値設定部112では、車速検出値Vに応じて補償後トルク指令値IM *′のしきい値Ithを設定するが、この場合車速検出値Vは零であることから、指令値しきい値Ithはその最小値を維持する。
このため、この時点で、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδ及び補償後トルク指令値I ′の全てがそれぞれの判定条件を満足することから、制限判定部106aでは、ゲイン発生器108を選択する選択信号SLを出力する。このため、ゲイン発生器108の出力が選択ゲインGtとして設定され、この選択ゲインGtがゲイン乗算部110で補償後トルク指令値I ′に乗算される。ゲイン発生器108では、ゲイン発生器108が新たに選択された時点からの経過時間tに応じて“1”から減少するゲインを発生するから、このゲインを補償後トルク指令値I ′に乗算することによって、補償後トルク指令値I ′の低減量が徐々に増加し、結果的に制限指令値IM *″は徐々に減少する。
そして、ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態で保舵すると、操舵トルクTは比較的大きい状態を維持し、これに伴い、補償後トルク指令値I ′も比較的大きい状態を維持し、車速検出値Vは零、舵角速度dδは零の状態となって、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδ、補償後トルク指令値I ′がそれぞれの判定条件を満足することから、引き続き操舵補助トルクの制限が行われる。このため、ステアリングホイール1を据え切り状態で保舵した状態を継続した場合であっても、上述のように操舵補助トルクを制限し、電動モータ12に流れる電流量を制限していることから、電動モータ12に比較的大きな電流が継続して流れることに起因して温度上昇等が生じることを回避することができる。
その後、車両を発進させると、車速センサ15で検出される車速検出値Vが増加することにより、操舵補助トルク指令値演算部21で算出される操舵補助トルク指令値I は図3の操舵補助トルク指令値算出マップで車速検出値Vが速くなるほど外側の特性曲線が選択され、操舵トルクT及び車速検出値Vに応じた最適の操舵補助トルクを発生させることができる。
このとき、車両の発進に伴い速度が増加すると、車速検出値Vの増加に伴い指令値しきい値Ithが増加する。ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態が継続する場合には、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδ、補償後トルク指令値I ′は、それぞれ判定条件を満足し、引き続き操舵補助トルクの制限が行われるため、保舵している状態であって操舵アシストを必要としていない状態であるときには、操舵補助トルクが低減されて、不要な操舵補助トルクの発生を回避しつつ温度上昇が回避される。
この状態からさらに車速が増加すると、車速検出値Vの増加に伴って指令値しきい値Ithが増加するが、補償後トルク指令値I ′が指令値しきい値Ithよりも大きい間は、引き続き操舵補助トルクの制限が行われて温度上昇の抑制が図られ、その後、ステアリングホイール1を中立方向に戻すことにより、補償後トルク指令値I ′が指令値しきい値Ithを下回ったとき、或いは中立方向への戻し操作に伴い、舵角速度dδが舵角速度しきい値dδthを上回るか、操舵トルクTが操舵トルクしきい値Tthを下回った時点で、制限判定部106aでは、ゲイン発生器107を選択する選択信号SLに切り換える。このため、選択ゲインGtはゲイン発生器107が発生するゲイン“1”に設定されるから、補償後トルク指令値I ′に対する制限が停止され、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生されることになる。したがって、軽い操舵を行うことができる。
そして、車速しきい値Vthを上回る速度で走行しているときには、判定条件を満足しないことから、操舵トルクTや舵角速度dδ、補償後トルク指令値I ′の大きさに関わらず、ゲイン“1”を発生するゲイン発生器107が選択されるため、選択ゲインGtは“1”となり、補償後トルク指令値I ′に対する制限は行われないから、操舵トルクTに応じた操舵補助トルクが発生されることになって、軽い操舵を行うことができる。
また、図9に示すように、車速検出値Vが大きいときほど、指令値しきい値Ithをより大きな値に設定し、車速が高いときほど、補償後トルク指令値I ′が指令値しきい値Ithを上回りにくくすることで判定条件を満足しにくくしている。したがって、前述のように、車速に関わらず操舵トルクTに応じた操舵補助トルクを発生させると、運転者が期待する以上の操舵補助トルクが発生されて運転者に違和感を与える可能性があるが、上述のように、車速に応じて補償後トルク指令値I ′のしきい値Ithを設定することで、比較的高速であっても操舵補助トルクの低減を図るようにしているから、運転者が期待する以上の操舵補助トルクが発生されることを回避することができる。さらに、車速が高くなるときほど判定条件を満足しにくくし、操舵補助トルクの制限が行われにくくしているから、車速が高くなるほど操舵補助トルクの制限が行われる頻度を減少させることができ、比較的車速が高い場合でも不要な操舵補助トルクの発生を回避しつつ、操舵補助トルクの制限が行われることに伴う、操舵アシスト性能の低下を抑制することができる。
図10は、指令値しきい値Ithを一定とし、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδ、補償後トルク指令値I ′がそれぞれの判定条件を満足したときに、操舵補助トルクを制限するようにした場合の、操舵補助トルクの制限が行われる範囲を示したものである。
図10に示すように、車速しきい値Vthをxx〔km/h〕とした場合、車速検出値Vが車速しきい値Vth以下となり、補償後トルク指令値I ′が指令値しきい値Ith以上となる、図10にハッチングで表す領域で、操舵補助トルクの制限が行われることになる。
これに対し、図9に示すように、指令値しきい値Ithを車速検出値Vが大きいときほど大きな値に設定し、操舵トルクT、車速検出値V、舵角速度dδ、指令値しきい値Ithがそれぞれの判定条件を満足したときに、操舵補助トルクを制限する場合の操舵補助トルクの制限が行われる範囲は、図9にハッチングした領域で表され、図10に示す指令値しきい値Ithを一定とした場合に比較して、領域Bで示す範囲だけ狭めることができ、すなわちより多くの状況下において、操舵補助トルクを発生させることができる。
また、同じ操舵トルクTであっても、運転者が必要とする操舵補助トルクは、車速が高いときほど小さくなる。図10に示すように、指令値しきい値Ithを一定とし、補償後トルク指令値I ′及び操舵トルクTがそれぞれのしきい値を越え、且つ車速検出値V及び舵角速度dδがそれぞれのしきい値以下であるときに、停車或いは極低速走行をしており、ステアリングホイール1をかなり切り込んだ状態又は操舵限界状態にあるため、操舵アシストは不要と判断するようにした場合、車速がそのしきい値以下の範囲では、車速の大きさに関係なく、操舵補助トルクの低減が図られることになる。このため、車速がある程度出ているため、実際には操舵アシストは必要ないにも関わらず、操舵アシストが行われることになって運転者に違和感を与える可能性がある。これを回避するためには、指令値しきい値Ithを大きくする必要がある。一方、低速での操舵アシストを十分行うためには、補償後トルク指令値I ′の指令値しきい値Ithを比較的小さな値に設定する必要があり、矛盾することになる。
これに対し、本願発明では、図9に示すように、車速検出値Vが大きいときほど指令値しきい値Ithが大きな値になるように設定し、且つ、車速が高いときほど補償後トルク指令値I ′が判定条件を満足しにくくなるようにしたから、低速のときには操舵アシストを行いつつ且つ操舵トルクが大きい領域では十分に操舵補助トルクを制限して温度上昇を回避し、逆に高速のときには操舵アシストを制限して不要な操舵アシストが行われることを回避しつつ且つ操舵補助トルクの制限が行われにくくすることにより操舵補助トルクが制限される頻度を抑制することによって、運転者の期待に応じた操舵補助を行うことができる。
また、このように、指令値しきい値Ithを車速検出値Vに応じて設定し、車速が高い場合であっても、操舵補助トルクを制限することにより不要な操舵アシストの発生を回避しつつ且つ操舵補助トルクの制限が行われる頻度を抑制することで、操舵アシストを可能に構成したから、車速しきい値Vthを比較的大きな値に設定することができる。したがって、比較的高速走行時における不要な操舵補助トルクの発生を回避することができる。
このように、この第2の実施の形態においては、車速検出値Vに応じて補償後トルク指令値I ′の指令値しきい値Ithを設定するようにしたから、この場合も上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。
なお、第2の実施の形態においては、補償後トルク指令値I ′の指令値しきい値Ithのみを車速検出値Vに応じて可変にした場合について説明したが、これに限るものではなく、上記第1の実施の形態を組み合わせ、補償後トルク指令値I ′の指令値しきい値Ithを車速検出値Vに応じて可変にすると共に、さらに、操舵トルクTの操舵トルクしきい値Tthを車速検出値Vに応じて可変にしてもよく、このようにすることによって、さらに、操舵補助トルク制限開始判定用の各判定条件を走行状況に応じてフレキシブルに設定することができ、運転者の期待により則した操舵アシストを行うことができる。
なお、上記各実施形態においては、d−q軸電流指令値演算部24に2相/3相変換部54を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、2相/3相変換部54を省略し、これに代えてモータ電流検出回路60の出力側に3相/2相変換部を設け、てモータ電流検出値Iu〜Iwをd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換し、2つの減算部でd軸目標電流Id*及びq軸目標電流Iq*とモータのd軸電流Id及びq軸電流Iqとの偏差を算出するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、舵角センサ17を設け、この舵角センサ17で検出した操舵角を微分処理して舵角速度を算出する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、モータ回転角θからモータ回転数Nmを算出し、この算出したモータ回転数Nmから操舵速度dδを算出するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、コントローラ14をハードウェアで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロコンピュータを適用して操舵補助トルク指令値演算部21、指令値補償部22、指令値制限部23、d−q軸電流指令値演算部24及びモータ電流制御部25の減算器61u〜61w、PI電流制御部62、パルス幅変調回路63の機能をソフトウェアで処理することもできる。
また、上記各実施の形態においては、補償後トルク指令値I ′を制限することで、操舵補助トルクを制限する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、パルス幅変調回路63で発生されるパルス幅変調信号のデューティ比を制限することで操舵補助トルクを制限するように構成してもよく、要は電動モータ12から発生される操舵補助トルクを制限することができればどの段階で制限するようにしてもよい。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 本発明に係るコントローラの具体例を示すブロック図である。 車速をパラメータとした、操舵トルクと操舵補助トルク指令値との関係を示す操舵補助トルク指令値算出マップを示す特性線図である。 セルフアライニングトルクの説明に供する模式図である。 第1の実施の形態における指令値制限部の具体例を示すブロック図である。 第1の実施の形態における操舵補助トルクの制限領域を表す説明図である。 従来の操舵補助トルクの制限領域を表す説明図である。 第2の実施の形態における指令値制限部の具体例を示すブロック図である。 第2の実施の形態における操舵補助トルクの制限領域を表す説明図である。 従来の操舵補助トルクの制限領域を表す説明図である。
符号の説明
SM…ステアリング機構、1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、2a…入力軸、2b…出力軸、3…操舵トルクセンサ、5…中間シャフト、12…電動モータ、14…コントロールユニット、15…車速センサ、16…回転角センサ、17…舵角センサ、21…操舵補助トルク指令値演算部、22…指令値補償部、23…指令値制限部、24…d−q軸電流指令値演算部、25…モータ電流制御部、101,101a…操舵トル判定部、102…トルクしきい値設定部、103…車速判定部、104…舵角速度演算部、105…操舵速度判定部、106,106a…制限判定部、109…選択スイッチ部、110…ゲイン乗算部、111…指令値判定部、112…指令値しきい値設定部

Claims (3)

  1. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、
    前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、
    前記電流指令値に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
    車速を検出する車速検出手段と、
    舵角の変化速度である舵角速度を検出する舵角速度検出手段と、
    前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが予め設定した操舵トルクしきい値以上であり、かつ前記車速検出手段で検出した車速が予め設定した車速しきい値以下であり、さらに前記舵角速度検出手段で検出した舵角速度が予め設定した舵角速度しきい値以下であるとき、操舵補助トルク制限開始判定用の判定条件を満足すると判断して、前記電動モータで発生させる操舵補助トルクを制限するトルク制限手段と、を備え、
    当該トルク制限手段は、前記車速検出手段で検出した車速が大きいときほど、前記操舵トルクしきい値をより大きな値に変更し、変更後の操舵トルクしきい値を用いて、前記判定条件を満足するかを判断することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、
    前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、
    前記電流指令値に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
    車速を検出する車速検出手段と、
    舵角の変化速度である舵角速度を検出する舵角速度検出手段と、
    前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが予め設定した操舵トルクしきい値以上であり、前記車速検出手段で検出した車速が予め設定した車速しきい値以下であり、かつ前記舵角速度検出手段で検出した舵角速度が予め設定した舵角速度しきい値以下であり、さらに前記電流指令値演算手段で演算した電流指令値が指令値しきい値以上であるとき、操舵補助トルク制限開始判定用の判定条件を満足すると判断して、前記電動モータで発生させる操舵補助トルクを制限するトルク制限手段と、を備え、
    当該トルク制限手段は、前記車速検出手段で検出した車速が大きいときほど、前記操舵トルクしきい値または前記指令値しきい値をより大きな値に変更し、変更後の前記操舵トルクしきい値または変更後の指令値しきい値を用いて、前記判定条件を満足するかを判断することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 前記トルク制限手段は、前記車速検出手段で検出した車速が大きいときほど、前記操舵トルクしきい値および前記指令値しきい値を共に、より大きな値に変更し、変更後の前記操舵トルクしきい値および指令値しきい値を用いて、前記判定条件を満足するかを判断することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
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