JPWO2012063965A1 - コポリカーボネート - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、光弾性定数が低く、しかも気泡数が少なく、特に光学用途として好適なコポリカーボネートを提供することにある。本発明は、10〜90モル%のスピログリコール由来の単位(A)および90〜10モル%の芳香族フェノール由来の単位(B)を含有し、末端が下記式(i)および(ii)を満足するコポリカーボネートである。0.0001<(a)/(d)<0.1 (i)0.02<(b)/(d)<0.8 (ii)[式中(a)はスピログリコール由来の末端基量、(b)は芳香族フェノール由来の末端基量、(d)は全末端基量である。]

Description

本発明は、光弾性定数が低く、熱安定性の高いコポリカーボネートに関する。
従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)にカーボネート前駆物質を反応させて得られるコポリカーボネート(以下、PC−Aという)は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されてきた。さらに近年その透明性を生かして光ディスク、フィルム、レンズ等の分野への光学用材料としての利用が展開されている。
しかしながら、PC−Aを用いた場合、正の複屈折が高く、光弾性定数が高いことから、光学用途として用いる時に、光学歪みが起こり、様々な問題が起きている。例えば、光学レンズに用いた場合、成形品の複屈折が大きくなるという欠点がある。また、位相差フィルムとして用いた場合、応力による複屈折の変化が大きく、光抜けが起こるという問題があった。
そこで、上記課題の解決法の一つとして、脂肪族ジオールとしてスピログリコールを用いたコポリカーボネートが報告されている(特許文献1参照)。スピログリコールを用いたコポリカーボネートは一般的に用いられているPC−Aと比較して、熱安定性が悪いため、押出し時や成型時に分解が起こり、シルバー、気泡、ヤケなどが発生する。このような外観不良を生じた場合、製品としての価値が失われる。
熱安定性を改善する方法として、スピログリコールの窒素含有量を9ppm以下にする方法(特許文献2参照)やスピログリコールのホルミル基および/またはアルデヒド基を100ppm以下にする方法(特許文献3参照)やスピログリコールの大気中260℃で5時間保持後の溶融ハーゼン色数を40番以下とする方法(特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら従来から熱安定性を改善する試みはなされていたものの、十分な熱安定性を有し、シルバー、気泡、ヤケなどが抑制された樹脂については未だ達成されていないのが実状であった。
特開平09−268225号公報 特開平11−343335号公報 特開平11−349679号公報 特開2000−007777号公報
本発明の目的は、光弾性定数が低く、しかもシルバー、気泡、ヤケの発生が少なく、光学用途に好適なコポリカーボネートを提案することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、共重合コポリカーボネート中の環状アセタール系ジオールの末端を極めて少なくし、さらにフェノール性水酸基を適量存在させることにより、耐熱安定性に優れたコポリカーボネートが得られることを見出した。
即ち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1. 10〜90モル%の下記式(A)で表わされる単位(A)および90〜10モル%の下記式(B)で表わされる単位(B)を含有し、末端が下記式(i)および(ii)を満足するコポリカーボネート。
Figure 2012063965
[式中、R〜Rは夫々独立に、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。]
Figure 2012063965
[式中、RおよびRは夫々独立に、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、炭化水素基は芳香族基を含んでもよい。mおよびnは夫々独立に0〜4の整数である。Wは、下記式から選ばれる基である。
Figure 2012063965
(式中、RとRは夫々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、または炭素原子数7〜17のアラルキル基である。またRとRが結合して炭素環または複素環を形成しても良い。RとR10は夫々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または炭素原子数6〜12のアリール基である。R11は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数である。bは1〜500の整数である。)]
0.0001<(a)/(d)<0.1 (i)
0.02<(b)/(d)<0.8 (ii)
[式中(a)は下記式で表わされる末端基量である。
Figure 2012063965
(R〜Rは単位(A)と同じである。)
式中(b)は下記式で表される末端基量である。
Figure 2012063965
(R〜R、m、nおよびWは単位(B)と同じである。)
式中(d)は、全末端基量であり、(a)、(b)および(c)の合計量である。
式(c)は下記式で表わされる末端基である。
Figure 2012063965
2. 末端が下記式(i)および(ii−1)を満足する前項1に記載のコポリカーボネート。
0.0001<(a)/(d)<0.1 (i)
0.02<(b)/(d)<0.5 (ii−1)
(式中(a)、(b)、(d)は式(i)、(ii)と同じである。)
3. 末端が下記式(iii)を満足する前項1記載のコポリカーボネート。
5<(b)/(a)<1000 (iii)
(式中、(a)、(b)は式(i)、(ii)と同じである。)
4. 単位(A)が下記式
Figure 2012063965
で表される単位(A1)である前項1記載のコポリカーボネート。
以下、本発明を詳細に説明する。
<コポリカーボネート>
本発明のコポリカーボネートは、環状アセタール系ジオール類由来の単位(A)と芳香族ジオール類由来の単位(B)を含有し、特定の末端構造を有することを特徴とする。
(単位(A))
単位(A)は以下に示す構造を有する。
Figure 2012063965
式中、R〜Rは夫々独立に、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。炭素原子数1〜10のアルキル基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
単位(A)が下記式で表される単位(A1)であることが好ましい。
Figure 2012063965
単位(A)は、環状アセタール系ジオール類に由来する。環状アセタール系ジオール類として、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジエチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジプロピル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが例示される。なかでも、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下スピログリコールと略す)が、低い光弾性定数を有するという点から好ましい。
本発明においては、原料モノマーとして用いる環状アセタールジオール中に含有されるメタンスルホン酸イオンの量は15ppm以下であることが好ましい。より好ましくは8ppm以下、特に好ましくは3ppm以下である。メタンスルホン酸イオンの含有量が15ppm以下では、重合時の熱により環状アセタール骨格部分が加水分解されにくく、三官能もしくは四官能の水酸基が生成しづらく重合中に架橋反応が起こりにくいため、ゲルの発生が抑制されて好ましい。
メタンスルホン酸イオンの含有量が上限以下となる前記環状アセタールジオールを得るための方法は特に制限されないが、洗浄、蒸留、再結晶などの精製方法を必要に応じて複数回繰り返し、これらを組み合わせることにより達成できる。なかでも、環状アセタールジオールを溶媒に加熱溶解後、冷却して得られた再結晶を濾別し、次いでイオン交換水で洗浄する方法が有効である。
ここで用いられる再結晶溶媒としては、環状アセタールジオールの溶解度が高温において十分に高く、且つ室温付近での溶解度が十分低いものであることが好ましく、さらにこの再結晶の操作によって樹脂の着色成分が除去されるものであればさらに好ましい。このような特性を持つ溶媒としては、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素等が例示される。なかでも、アルコール類が好ましく、特に炭素原子数が1〜10のアルコール類が好ましい。また、上記の溶媒を2種以上混合して用いることもできる。
再結晶は公知の方法で実施することができ、前記環状アセタールジオールの原料の純度等に応じて2回以上の多数回の再結晶を実施しても良い。再結晶で得られた結晶は、濾過し、洗浄する。洗浄する溶媒としては、イオン交換水、アルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素等が例示される。なかでも、イオン交換水は、メタンスルホン酸イオンをはじめとする陰イオン成分をより効率的に除去することができるため好ましい。その後、適当な方法で乾燥し、溶融重合の原料として用いる。
再結晶工程中に吸着剤と接触させる工程を含ませることにより、さらにイオン不純物を低減することができる。すなわち、環状アセタール系ジオール類を溶媒に溶解後、吸着剤と接触させる。その方法としては、溶液中に吸着剤を添加し撹拌を行うバッチ法、カラム中に充填した吸着剤層に溶液を通す流通法のいずれによっても好適に実施される。
吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト等が好適に使用されるが、活性炭が特に好ましい。吸着処理を行った溶液から濾過などの方法により吸着剤を完全に除去した後は、上述した通常の再結晶により環状アセタール系ジオール類の結晶が得られる。
また、水洗浄工程を入れることにより、特にメタンスルホン酸イオン等の水溶性イオン不純物を低減することができる。すなわち、環状アセタールジオールをイオン交換水に接触させ、遠心分離機などで脱水させる方法がある。水洗浄は公知の方法で実施することができ環状アセタールジオールの純度等に応じて2回以上の多数回の水洗浄や温水での洗浄を実施すると更にメタンスルホン酸イオン等のイオン不純物を低減することができる。
(単位(B))
単位(B)は以下に示す構造を有する。
Figure 2012063965
式中、RおよびRは夫々独立に、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、炭化水素基は芳香族基を含んでいてもよい。
ハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜10のアルキル基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。炭素原子数5〜10のシクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6〜10のアリール基としてフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数7〜10のアラルキル基としてベンジル基等が挙げられる。炭素原子数2〜10のアルケニル基として、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。
炭化水素基に置換する芳香族基として、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
mおよびnは夫々独立に0〜4の整数である。
Wは、下記式から選ばれる。
Figure 2012063965
とRは夫々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、または炭素原子数7〜17のアラルキル基である。また、RとRが結合して炭素環または複素環を形成しても良い。炭素原子数1〜9のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜5のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数6〜12のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数2〜5のアルケニル基として、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。炭素原子数7〜17のアラルキル基として、ベンジル基等が挙げられる。
とR10は夫々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または炭素原子数6〜12のアリール基である。炭素原子数1〜9のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜5のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数6〜12のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
11は、炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数である。bは1〜500の整数である。炭素原子数1〜9のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ペンチレン基、ヘキレン基等が挙げられる。
単位(B)は、芳香族ジオール類に由来する。芳香族ジオール類を用いることが、耐熱性や波長分散性の点から必要である。
芳香族ジオール類として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどが例示される。なかでも、ビスフェノールA、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールM、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンが挙げられる。特にビスフェノールA、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが耐熱性や波長分散性の点から好ましい。例示したジオール類は、2種類以上併用して用いても良い。
(組成比)
本発明のコポリカーボネート中の、単位(A)の含有量は、10〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。単位(B)の含有量は、90〜10モル%、好ましくは80〜20モル%、さらに好ましくは70〜30モル%である。単位(A)の含有量が下限以上のとき、得られるコポリカーボネートの光弾性定数が低く、フィルムとして使用するとき、熱による斑が発生しづらく好ましい。また、単位(A)の含有量が上限以下のとき、フィルムとしたときに結晶化が起こりづらく好ましい。モル%は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
(末端基)
本発明のコポリカーボネートは、末端基として、環状アセタール系ジオール由来の水酸基、フェノール性水酸基、フェニル基を有する。
(a)は、下記式で表わされる環状アセタール系ジオール由来の水酸基の量(モル)である。
Figure 2012063965
(R〜Rは、単位(A)と同じである。)
(b)は、下記式で表わされるフェノール性水酸基の量(モル)である。
Figure 2012063965
(R〜R、m、nおよびWは、単位(B)と同じである。)
(c)は、下記式で表わされるフェニル基の量(モル)である。
Figure 2012063965
本発明のコポリカーボネートは、下記式(i)を満足する。式中(d)は、全末端基量(モル)であり、(a)、(b)および(c)の合計量である。
0.0001<(a)/(d)<0.1 (i)
本発明のコポリカーボネートの(a)/(d)は、好ましくは下記式(i−1)、より好ましくは下記式(i−2)を満足する。
0.001<(a)/(d)<0.05 (i−1)
0.001<(a)/(d)<0.03 (i−2)
本発明のコポリカーボネートは、(a)/(d)が、0.0001以下であると、(b)/(d)が0.8以上となるため、シルバーや気泡が発生し、他方、0.1以上の場合は、滞留安定性に問題があり、色相の悪化やシルバーの発生が起こる。
本発明のコポリカーボネートは、下記式(ii)を満足する。
0.02<(b)/(d)<0.8 (ii)
本発明のコポリカーボネートの(b)/(d)は、好ましくは下記式(ii−1)、より好ましくは下記式(ii−2)、さらに好ましくは下記式(ii−3)を満足する。
0.02<(b)/(d)<0.5 (ii−1)
0.04<(b)/(d)<0.45 (ii−2)
0.08<(b)/(d)<0.4 (ii−3)
本発明のコポリカーボネートは、(b)/(d)が0.02以下であると、重合速度が著しく低下し、目標の分子量まで到達しなかったり、重合時間の延長で熱履歴がかかり、色相の悪化が起こる。他方、0.8以上の場合は、滞留安定性に問題があり、色相の悪化やシルバーの発生が起こる。
本発明のコポリカーボネートは、下記式(iii)を満足することが好ましい。
5<(b)/(a)<1000 (iii)
(式中、(a)、(b)は式(i)、(ii)と同じである。)
本発明のコポリカーボネートの(b)/(a)は、好ましくは下記式(iii−1)、より好ましくは下記式(iii−2)を満足する。
10<(b)/(a)<500 (iii−1)
20<(b)/(a)<100 (iii−2)
本発明のコポリカーボネートの(b)/(a)が、上記範囲を外れると滞留安定性が損なわれやすく、色相の悪化やシルバーの発生が起きやすくなる。
本発明のコポリカーボネートは、下記式(iv)を満足することが好ましい。
0.02<{(d)−(c)}/(d)<0.5 (iv)
(式中、(d)、(c)は式(i)、(ii)と同じである。)
本発明のコポリカーボネートの{(d)−(c)}/(d)は、好ましくは下記式(iv−1)、より好ましくは下記式(iv−2)を満足する。
0.05<{(d)−(c)}/(d)<0.4 (iv−1)
0.07<{(d)−(c)}/(d)<0.4 (iv−2)
{(d)−(c)}/(d)が上記範囲を外れると、滞留安定性が損なわれやすく、色相の悪化やシルバーの発生が起きやすくなる。すなわち、本発明によれば、環状アセタール系ジオール類の水酸基の比率を低くしつつ、フェノール性末端基を適量存在させることで、耐熱安定性に優れ、重合性も良好なコポリカーボネートとすることが出来る。
このような本発明のコポリカーボネートは、例えば下記のような方法によって、OH末端基量などを調整することができる。まず、水酸基とカーボネートエステルの仕込み比をカーボネートエステルがわずかに多くなるように仕込むことで、OH末端基量の低減が可能である。また、重合工程での温度や圧力の制御が有効で、例えば重合工程を第一工程〜第三工程にわけたとき、以下のような減圧度や温度に制御することが、OH末端基量の低減に有効である。
本発明におけるコポリカーボネートのOH末端基量は、プロトンNMR法で測定される。例えば、プロトンNMRにて、環状アセタール系ジオール類の水酸基(2〜4ppm)、環状アセタール系ジオール類のフェニルカーボネート基(7.0〜7.30ppm)、フェノール性水酸基(6.3〜6.9ppm)、フェノール性のフェニルカーボネート基(7.0〜7.4ppm)を測定できる。
(コポリカーボネートの製造方法)
この様なOH末端基量にするための溶融重合の製造方法について以下説明する。
まず、前述の通り、仕込んだジオール成分に対する炭酸ジエステルなどのカーボネートエステルのモル比を高くすることや、温度および圧力の制御が重要である。もちろん、本発明は、前述の水酸基量の関係を満足していればよく、以下の製造方法に限定されるものではない。先ず前述のモル比となるように仕込んだジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させて溶融重合法させる。
エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジオールの合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。この範囲に制御された場合は、より気泡が少なくなることから好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量が、ジオールの合計1モルに対して、0.97よりも少なくなると、下記の製造時の温度と圧力で制御された時、ジフェニルカーボネートの揮発によりジフェニルカーボートが理論量未満となるため、反応が進行せず、所望の分子量に到達しなくなるため滞留安定性が悪化し、色相の悪化やシルバーの発生が起こる。
また、ジフェニルカーボネートの使用量が、ジオールの合計1モルに対して、1.10より多い場合は、ジフェニルカーボネートの分解によるフェノールが多くなり、第三工程の最終段階で残存フェノールが多く樹脂の色相悪化の原因となるため好ましくない。
つぎに、重合工程を以下の第一工程、第二工程、第三工程に分けて説明する。
第一工程は、最終真空度が40kPa以下8kPa以上の範囲で、最終樹脂温度が160℃以上235℃以下の範囲であり、仕込んだ全ジオールのモル数を基準として、残存環状アセタール系ジオール類のモル数が1mol%以上30mol%以下となるまでエステル交換させる工程である。最終真空度は、30kPa以下9kPa以上の範囲が好ましく、20kPa以下10kPa以上の範囲がより好ましい。また、減圧速度は20kPa/min以下0.5kPa/min以上が好ましい。最終樹脂温度は、160℃〜200℃の範囲がより好ましい。160℃以上では反応が進行しやすく生産性が良好である。また、235℃以下では環状アセタール系ジオール類が分解しづらく、ゲルが発生しにくい。全ジオールモル数中の残存環状アセタール系ジオール類のモル数は、1mol%以上20mol%以下にエステル交換させることがより好ましい。残存環状アセタールジオールのモル数が上限を超える割合で第二工程に移行すると、環状アセタール系ジオール類の分解が起こり、ゲルの発生源となることが推測される。また、溶融製膜時に分解物による気泡が発生しやすくなる。
一方、下限未満では重合度が進行しすぎて、溶融粘度が急激に高くなり、収率低下や吐出できないといった問題が起こりやすい。また、芳香族ジオールが優先的に反応し、未反応環状アセタール系ジオール成分が残存しやすく、溶融製膜時に分解物による気泡が発生しやすくなる。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下、所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。なお、温度は最初常温から除々に加熱して行き、最終温度を途中越えないようにすることが好ましい。
第二工程は、最終真空度が8kPa未満1kPa以上の範囲で、最終樹脂温度が220℃以上240℃以下の範囲であり、コポリカーボネートの比粘度が0.03以上0.2以下にエステル交換させる工程である。第二工程では、第一工程で重合せしめたコポリカーボネートをさらに重合せしめる。最終真空度は、6kPa以下1.5kPa以上の範囲が好ましく、3kPa以下2kPa以上の範囲がより好ましい。減圧速度は5kPa/min以下0.1kPa/min以上が好ましい。最終樹脂温度は220℃以上230℃以下の範囲がより好ましい。コポリカーボネートの比粘度は、0.05以上0.2以下にエステル交換させることがより好ましい。温度は第一工程の温度から除々に加熱して行き、最終温度を途中越えないようにすることが好ましい。最終重合温度が240℃以下では、残存している環状アセタール系ジオールが分解しづらく、ゲルが発生しにくい。また、芳香族ジオールと環状アセタール系ジオールの反応性が近いため、残存環状アセタール系ジオールが低減できる。また、220℃以上では、反応が進行しやすく、熱履歴により環状アセタール系ジオール類が分解しづらいためゲルが発生しにくい。最終真空度が8kPa未満では、フェノールの留出が起こりやすく、反応が進行しやすいため、熱履歴により環状アセタール系ジオール類が分解しづらく、ゲルが発生しにくい。また、残存環状アセタール系ジオールが低減できる。最終真空度が1kPa以上の場合、フェノールの留出とともに炭酸ジエステルが留出しづらいため、モルバランスが崩れにくく分子量が伸びやすい。
第三工程は、最終真空度が1kPa未満で、最終樹脂温度235℃以上270℃以下の範囲で、コポリカーボネートの比粘度が0.2以上0.6以下にエステル交換させる工程である。第三工程では、第二工程で重合せしめたコポリカーボネートをさらに重合せしめる。最終真空度が1kPa未満では、生成するアルコールまたはフェノール類、およびジオール類が系内に残存しづらく、樹脂の色相、分解反応が抑制され好ましい。最終真空度は0.5kPa以下がより好ましい。235℃以上では溶融粘度が高くなりすぎず、収率低下や吐出できないといった問題が起こりにくい。また、270℃以下では残存する環状アセタール系ジオール類のオリゴマーが分解しづらく、ゲルが発生しにくいことが推測される。最終樹脂温度は、240℃以上260℃以下の範囲がより好ましい。コポリカーボネートの比粘度は、0.25以上1.5以下にエステル交換させることがより好ましい。温度は第一工程の温度から除々に加熱して行き、最終温度を途中越えないようにすることが好ましい。
次に上記製造方法について、さらにその他の条件について、さらに以下で詳述する。
まず、溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、それ自体公知のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
具体的なアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
具体的なアルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が挙げられる。
具体的な含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。さらに、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が挙げられる。
具体的なその他の金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−2当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等も好ましく用いられる。
その中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒の金属化合物1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。また、本発明のコポリカーボネートは、効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してもよい。
さらに、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
(比粘度:ηSP
本発明のコポリカーボネートの比粘度(ηSP)は、強度と成形加工性とを両立させやすいことから、0.20〜1.50の範囲が好ましく、0.23〜1.20の範囲がより好ましく、0.25〜1.00の範囲が特に好ましい。
本発明で得られる第三工程のコポリカーボネートの比粘度(ηSP)が、0.2より小さくなると、所望の強度が得られなくなるため好ましくない。また、本発明で得られる第三工程のコポリカーボネートの比粘度(ηSP)が1.50より大きくなると成形加工性が悪くなり好ましくない。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにコポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、コポリカーボネートの比粘度を測定する場合は、次の要領で行うことができる。すなわち、コポリカーボネートをその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶媒を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、オストワルド粘度計を用いて20℃における比粘度を求める。
(光弾性定数)
本発明のコポリカーボネートの光弾性定数の絶対値は、好ましくは40×10−12Pa−1以下、より好ましくは35×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは30×10−12Pa−1以下である。絶対値が40×10−12Pa−1を超えると、成形時の残留応力によって生じる複屈折が大きくなりやすい。光弾性定数は、未延伸フィルムを日本分光(株)製 SpectroellipsometerM−220を使用し測定する。
<光学成形品>
本発明のコポリカーボネートからなる光学成形品は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法など任意の方法により成形される。本発明のコポリカーボネートは、光弾性定数が低く、延伸により所望の波長分散性を実現することができるため特に光学フィルムとして有利に使用することができる。もちろん本発明コポリカーボネートは、光弾性定数が低く、しかも成形性にも優れているので、光ディスク基板、光学レンズ、液晶パネル、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレーなどの光学部品の構造材料または機能材料用途に適した光学用成形品としても有利に使用することができる。
<光学フィルム>
本発明のコポリカーボネートを用いてなる光学フィルムは、具体的には、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途に用いることができ、なかでも位相差フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルムに好適に用いることができる。
光学フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押出法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。なかでも、溶液キャスト法、溶融押出法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が好ましい。
溶融押出法においては、Tダイを用いて樹脂を押出し、冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの温度はコポリカーボネートの分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、180〜350℃の範囲であり、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすく好ましくない。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすい。
また本発明のコポリカーボネートは、有機溶媒に対する溶解性が良好なので、溶液キャスト法も適用することが出来る。溶液キャスト法の場合は、溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジオキソラン、ジオキサン等が好適に用いられる。溶液キャスト法で獲られるフィルム状物中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。2重量%を超えると残留溶媒が多いとフィルム状物のガラス転移温度の低下が著しくなり耐熱性の点で好ましくない。
本発明のポリカーボネートを用いてなる未延伸フィルムの厚みとしては、30〜400μmの範囲が好ましく、より好ましくは40〜300μmの範囲である。かかるフィルム状物をさらに延伸して例えば位相差フィルムとする場合には、光学フィルムの所望の位相差値、厚みを勘案して上記範囲内で適宜決めればよい。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
1.比粘度測定
20℃で塩化メチレン100mlにコポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて以下の式から求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
2.末端基量
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて、各末端基の定量を行う。例えば、スピログリコールと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンと、ジフェニルカーボネートとからなるコポリカーボネートの場合、スピログリコールの水酸基は、2.5〜2.6ppmの範囲に現れ、スピログリコールのフェニル基は7.15〜7.20ppmの範囲に現れ、フェノール性水酸基は6.5〜6.8ppmの範囲に現れ、フェノール性のフェニル基は2.165〜2.195ppmの範囲に現れるので、夫々の積分値を測定し、積分値から各末端の水酸基量を算出後、下記式の値を求めた。
スピログリコールの水酸基量/全末端基量=(a)/(d)
フェノール性水酸基量/全末端基量=(b)/(d)
フェノール性水酸基量/スピログリコールの水酸基量=(b)/(a)
3.光弾性定数測定
未延伸フィルムを日本分光(株)製 pectroellipsometerM−220を使用して測定した。
4.滞留安定性評価
ペレットを日本製綱所製射出成形機J85−ELIIIを用いてシリンダー温度290℃、金型温度80℃、1分サイクルにて2mm厚角板を成形した。連続して20ショット成形した後、該射出成形機のシリンダー中に樹脂を10分間滞留させ、滞留後の2mm厚角板を成形した。10分滞留後のシルバーが全面に発生した場合は×、一部発生がみられた場合発生した場合は△、全く発生しなかった場合は○とした。
5.フィルムの気泡評価
厚さ50μmのフィルム状物をカラー3Dレーザ顕微鏡キーエンス社製 VK−9700を用いて、500mm×500mmに存在する長軸の直径が100μm以上の気泡数をフィルム状物1m中に換算して求めた。
実施例1
<コポリカーボネートの製造>
SPG86.97部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)46.35部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を、窒素雰囲気下、樹脂温度150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、減圧度10kPaで、10分間その温度で保持し、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を2kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を260℃にし、最終真空度を133Paとし合計220分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
<フィルムの製造>
次に、(株)テクノベル製15mmφ二軸押出機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたコポリカーボネートを270℃でフィルム成形することにより厚さ50μmの透明な押出しフィルムを得て、光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
ジフェニルカーボネートの量を89.73部に変更した以外は実施例1と同様にして、コポリカーボネートを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
SPG86.97部、BCF72.09部、ジフェニルカーボネート104.18部に変更した以外は実施例1と同様にして、コポリカーボネートを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
実施例4
ジフェニルカーボネートの量を104.69部に変更した以外は実施例3と同様にして、コポリカーボネートを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
<コポリカーボネートの製造>
SPG86.97部、BCF46.35部、ジフェニルカーボネート88.86部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を6kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を2kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を260℃にし、最終真空度を133Paとし合計220分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
<フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
SPG86.97部、BCF72.09部、ジフェニルカーボネート104.18部に変更した以外は比較例1と同様にして、コポリカーボネートを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
比較例3
ジフェニルカーボネートの量を103.66部に変更した以外は実施例3と同様にして、コポリカーボネートを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
比較例4
SPG86.97部、BCF46.35部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を2kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を260℃にし、最終真空度を133Paとし合計220分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表1に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2012063965
実施例5
SPG86.97部、ビスフェノールA27.95部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を10kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を260℃にし、最終真空度を133Paとし合計220分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表2に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表2に示す。
実施例6
SPG86.97部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン38.06部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を10kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を260℃にし、最終真空度を133Paとし合計220分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表2に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表2に示す。
比較例5
SPG86.97部、BCF46.35部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を2kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を280℃にし、最終真空度を133Paとし合計220分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表2に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表2に示す。
比較例6
SPG86.97部、BCF46.35部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を2kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を270℃にし、最終真空度を133Paとし合計300分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表2に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表2に示す。
比較例7
SPG86.97部、ビスフェノールA27.95部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を2kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を270℃にし、最終真空度を133Paとし合計300分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表2に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表2に示す。
比較例8
SPG86.97部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン38.06部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて最終真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で最終樹脂温度190℃まで昇温を行い、10分間かけて減圧度を2kPaとした。さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度225℃まで昇温を行い、最終真空度を1kPaとし、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を270℃にし、最終真空度を133Paとし合計300分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定し、表2に記載した。また、該ペレットを用いて、滞留安定性評価を実施した。
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成し、フィルムの光弾性定数、気泡数を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2012063965
表1および表2中のSPGは、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、BCFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンを示す。
表1および表2中のSPG水酸基は、下記式(a)で表わされる末端基である。
Figure 2012063965
式(a)中、R〜Rはメチル基である。
表1および表2中のフェノール性水酸基は、下記式(b)で表わされる末端基である。
Figure 2012063965
〜Rはメチル基、mおよびnは1、Wは下記式で表される置換基である。
Figure 2012063965
発明の効果
本発明のコポリカーボネートの末端基は、環状アセタール系ジオール類の水酸基(a)が少なく、フェノール性水酸基(b)が環状アセタール系ジオール類の水酸基(a)よりも多い。よって本発明のコポリカーボネート熱安定性優れる。そのため本発明のコポリカーボネートは、成形時の、シルバー、気泡、ヤケの発生が大幅に抑制することができる。
本発明のコポリカーボネートは、成形時に気泡発生が少なく、しかも光弾性係数も低いので、光学用途として好適である。

Claims (4)

  1. 10〜90モル%の下記式(A)で表わされる単位(A)および90〜10モル%の下記式(B)で表わされる単位(B)を含有し、末端が下記式(i)および(ii)を満足するコポリカーボネート。
    Figure 2012063965
    [式中、R〜Rは夫々独立に、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。]
    Figure 2012063965
    [式中、RおよびRは夫々独立に、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、炭化水素基は芳香族基を含んでもよい。mおよびnは夫々独立に0〜4の整数である。Wは、下記式から選ばれる基である。
    Figure 2012063965
    (式中、RとRは夫々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、または炭素原子数7〜17のアラルキル基である。またRとRが結合して炭素環または複素環を形成しても良い。RとR10は夫々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または炭素原子数6〜12のアリール基である。R11は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数である。bは1〜500の整数である。)]
    0.0001<(a)/(d)<0.1 (i)
    0.02<(b)/(d)<0.8 (ii)
    [式中(a)は下記式で表わされる末端基量である。
    Figure 2012063965
    (R〜Rは単位(A)と同じである。)
    式中(b)は下記式で表される末端基量である。
    Figure 2012063965
    (R〜R、m、nおよびWは単位(B)と同じである。)
    式中(d)は、全末端基量であり、(a)、(b)および(c)の合計量である。
    式(c)は下記式で表わされる末端基である。
    Figure 2012063965
  2. 末端が下記式(i)および(ii−1)を満足する請求項1に記載のコポリカーボネート。
    0.0001<(a)/(d)<0.1 (i)
    0.02<(b)/(d)<0.5 (ii−1)
    (式中(a)、(b)、(d)は式(i)、(ii)と同じである。)
  3. 末端が下記式(iii)を満足する請求項1記載のコポリカーボネート。
    5<(b)/(a)<1000 (iii)
    (式中、(a)、(b)は式(i)、(ii)と同じである。)
  4. 単位(A)が下記式
    Figure 2012063965
    で表される単位(A1)である請求項1記載のコポリカーボネート。
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