JP6185318B2 - ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、低い光弾性係数を有し、低分子由来の揮発分や成型時の金型汚れが改良されたポリカーボネート樹脂に関するものである。
従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)にカーボネート前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂(以下、PC−Aという)は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されてきた。さらに近年その透明性を生かして光ディスク、フィルム、レンズ等の分野への光学用材料としての利用が展開されている。
しかしながら、PC−Aを用いた場合、正の複屈折が高く、光弾性定数が高いことから、光学用途として用いる時に、光学歪みが起こり、様々な問題が起きている。例えば、光学レンズに用いた場合、成形品の複屈折が大きくなるという欠点がある。また、位相差フィルムとして用いた場合、応力による複屈折の変化が大きく、光抜けが起こるという問題があった。
そこで、上記課題の解決法の一つとして、脂肪族ジオールとしてスピログリコールを用いたポリカーボネート樹脂が報告されている(特許文献1参照)。スピログリコール系のジオールを用いたポリカーボネート樹脂は一般的に用いられているPC−Aと比較して、光弾性係数が低く、成型時の複屈折が低い特徴がある。しかしながら、脂肪族ジオールのため、熱安定性が低く、成型時に分解が起こりやすい。
熱安定性を改善する方法として、スピログリコール系のジオールの窒素含有量を9ppm以下にする方法(特許文献2参照)やスピログリコール系のジオールのホルミル基および/またはアルデヒド基を100ppm以下にする方法(特許文献3参照)やスピログリコール系のジオールの大気中260℃で5時間保持後の溶融ハーゼン色数を40番以下とする方法(特許文献4参照)やスピログリコール系のジオール中の特定の酸成分を低減する方法(特許文献5参照)が提案されている。
本発明者らによりゲル量を低減する方法として重合条件を制御する方法(特許文献6参照)を報告してはいたものの、長期における成型時に昇華物による金型汚れや低分子由来の揮発分の発生についてはなんら記載されておらず、該重合条件の範囲内であっても、金型汚れや低分子由来の揮発分が発生し、安定的な生産や品質に関しては未だ達成されていないのが実情であった。
特開平09−268225号公報 特開平11−343335号公報 特開平11−349679号公報 特開2000−007777号公報 特開2011−026499号公報 特開2011−162604号公報
本発明の目的は、光弾性定数が低く、しかも低分子の揮発分の発生が抑制され、成型時の金型汚れやロール汚れが大きく改良され、特に光学用途として好適であり、安定的な生産が可能となったポリカーボネート樹脂を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、環状アセタール系ジオールからなる環状2量体成分を極めて少なくすることにより、成形性に優れたポリカーボネート樹脂が得られ、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.下記式(A1)の環状アセタール系ジオール類を含むジオール成分からなるポリカーボネート樹脂であって、該環状アセタール系ジオールの環状2量体成分が10ppm〜4000ppmの範囲にあるポリカーボネート樹脂。
Figure 0006185318
2.全ジオール成分中式(A1)で表されるジオール成分が1〜95モル%である前項1記載のポリカーボネート樹脂。
.前項1記載のポリカーボネート樹脂を成形してなる成形体。
.前項1記載のポリカーボネート樹脂を成形してなる光学フィルム。
.Hazeが1.0%以下である前項記載の光学フィルム。
.引張伸度が1.0%以上である前項記載の光学フィルム。
本発明のポリカーボネート樹脂は、環状アセタール系ジオール類の環状2量体成分量を低減することにより、低分子揮発成分の発生が大幅に抑制され、連続成型時の金型汚れやフィルム製膜時のロール汚れを抑制できる。また得られたフィルムの品質(Haze、引張伸度)が大きく改良される。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂は、前記式(A)に示した環状アセタール系ジオール類を含むジオール成分からなり、環状2量体成分量を低減することを特徴とするものである。
(環状アセタール系ジオール類)
本発明で用いられる環状アセタール系ジオール類は、前記式(A)で表される。具体的には、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジエチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジプロピル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが例示される。なかでも、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下スピログリコールと略す)が、低い光弾性定数を有するという点から好ましい。
本発明においては、前記式(A)に示した環状アセタールジオール中に含有されるメタンスルホン酸イオンの量は15ppm以下であることが好ましい。より好ましくは8ppm以下、特に好ましくは3ppm以下である。メタンスルホン酸イオンの含有量が15ppm以下では、ポリカーボネート重合時の熱により環状アセタール骨格部分が加水分解されにくく、三官能もしくは四官能の水酸基が生成しづらく重合中に架橋反応が起こりにくいため、ゲルの発生が抑制されて好ましい。
メタンスルホン酸イオンの含有量が15ppm以下となる環状アセタールジオールを得るための方法は特に制限されないが、洗浄、蒸留、再結晶などの精製方法を必要に応じて複数回繰り返したり、これらを組み合わせることにより達成できる。なかでも、前記環状アセタールジオールを溶媒に加熱溶解後、冷却して得られた再結晶を濾別し、次いでイオン交換水で洗浄する方法が有効である。
ここで用いられる再結晶溶媒としては、前記環状アセタールジオールの溶解度が高温において十分に高く、且つ室温付近での溶解度が十分低いものであることが好ましく、さらにこの再結晶の操作によって樹脂の着色成分が除去されるものであればさらに好ましい。このような特性を持つ溶媒としては、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素等が例示される。なかでも、アルコール類が好ましく、特に炭素原子数が1〜10のアルコール類が好ましい。また、上記の溶媒を2種以上混合して用いることもできる。
再結晶は公知の方法で実施することができ、前記環状アセタールジオールの原料の純度等に応じて2回以上の多数回の再結晶を実施しても良い。再結晶で得られた結晶は、濾過し、洗浄する。洗浄する溶媒としては、イオン交換水、アルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素等が例示される。なかでも、イオン交換水は、メタンスルホン酸イオンをはじめとする陰イオン成分をより効率的に除去することができるため好ましい。その後、適当な方法で乾燥し、溶融重合の原料として用いる。
再結晶工程中に吸着剤と接触させる工程を含ませることにより、さらにイオン不純物を低減することができる。すなわち、環状アセタール系ジオール類を溶媒に溶解後、吸着剤と接触させる。その方法としては、溶液中に吸着剤を添加し撹拌を行うバッチ法、カラム中に充填した吸着剤層に溶液を通す流通法のいずれによっても好適に実施される。
吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト等が好適に使用されるが、活性炭が特に好ましい。吸着処理を行った溶液から濾過などの方法により吸着剤を完全に除去した後は、上述した通常の再結晶により環状アセタール系ジオール類の結晶が得られる。
また、水洗浄工程を入れることにより、特にメタンスルホン酸イオン等の水溶性イオン不純物を低減することができる。すなわち、前記(A)成分をイオン交換水に接触させ、遠心分離機などで脱水させる方法がある。水洗浄は公知の方法で実施することができ、前記(A)成分の原料の純度等に応じて2回以上の多数回の水洗浄や温水での洗浄を実施すると更にメタンスルホン酸イオン等のイオン不純物を低減することができる。
(その他のジオール類)
本発明では、前記式(A)に示した環状アセタール系ジオール類以外のジオール類(B)として、下記式(B1)で示される芳香族ジオール類を好ましく用いることができる。
Figure 0006185318
Figure 0006185318
前記式(B1)のRおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示す。かかる炭化水素基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基が挙げられる。一方、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。mおよびnは、夫々独立して0〜4の整数を示す。
前記式(B1)のRおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、好ましくは炭素原子数1〜10のアルキレン基を示す。pおよびqは、夫々独立して0〜4の整数を示す。
前記式(B1)中のWは、前記式(W)であり、ここでRおよびR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、RおよびR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。
またR11およびR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又は炭素原子数6〜12アリール基を表す。R13は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。
具体的には、通常ポリカーボネート樹脂のジオール類として使用されているものであればよく、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどが例示される。なかでも、ビスフェノールA、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールM、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンが好ましく、特にビスフェノールA、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが耐熱性や機械特性の点から好ましい。例示したジオール類は、2種類以上併用して用いても良い。
また、本発明では、前記式(A)に示した環状アセタール系ジオール類以外のジオール類として、下記式(B2)で示される脂肪族ジオール類を好ましく用いることができる。かかる脂肪族ジオール類を用いると、光弾性定数の低減、流動性の点から好ましい。
Figure 0006185318
前記式(B2)のR14は炭素原子数2〜18のアルキレン基、炭素原子数4〜20のシクロアルキレン基を示し、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を含んでも良い。rは0または1の整数を示す。脂肪族ジオール類としては、直鎖脂肪族ジオール化合物、分岐脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオールが挙げられる。
直鎖脂肪族ジオール化合物として、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
分岐脂肪族ジオール化合物としては、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なかでも3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが好ましい。
また、脂環式ジオールとしては、例えば1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、デカリンジメタノールなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。これらの脂環式ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
また、酸成分を共重合することにより、一部ポリエステルカーボネートとすることもできる。
(組成比)
本発明のポリカーボネート樹脂は、前記式(A)で示される環状アセタール系ジオール成分と、前記式(B)成分で示されるジオール成分のモル比(A/B)が、好ましくは1/99〜95/5である。より好ましくは10/90〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30である。環状アセタール系ジオール成分の割合が下限以上では、得られるポリカーボネート樹脂の光弾性定数が低く、熱や応力による斑が発生しづらく好ましい。また、環状アセタール系ジオール残基の割合が上限以下では、樹脂の結晶化が起こりづらく好ましい。モル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明のポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
さらに、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
(環状2量体)
本発明の環状アセタール系ジオールの環状2量体成分の構造は下記式(C)で表される。
Figure 0006185318
(R〜Rメチル基を示す。)
本発明において、ポリカーボネート樹脂中の環状2量体成分は、10〜8000ppmの範囲であり、20〜6000ppmの範囲が好ましく、30〜5000ppmの範囲がより好ましく、30〜4000ppmがさらに好ましく、40〜3000ppmが特に好ましい。環状2量体成分が8000ppmより多いと、成形時の金型付着物が多くなり、フィルム製膜時のロール付着物が多くなり、問題となる。環状2量体の量は少なければ少ないほど好ましいが、熱履歴などにより10ppm以上は発生する。
環状2量体成分は重合時、押出時、成形時に発生する。特に重合時の触媒量や真空度と温度を精密に制御したり、押出時の温度、箭断発熱を制御したりすることで発生を抑制できる。また、環状2量体成分は環状アセタール系ジオールの2量体が環化することにより発生する。環状2量体は、末端に環状アセタール系ジオール構造が存在し、さらにその隣の分子が環状アセタール系ジオール構造の場合に発生しやすくなる。そこで、環状アセタール系ジオール以外のコモノマー成分と環状アセタール系ジオールの反応速度差を少なくすることにより、環状アセタール系ジオールのブロック化を抑制することができ、さらには環状2量体量を減らすことができる。つまりランダム共重合化することで、環状2量体量を減らすことができる。
また、発生した環状2量体を重合中に高真空化することで、留去することも出来る。具体的には重合時の最終内温を230〜270℃の範囲に制御することが好ましく、240〜260℃の範囲がより好ましく、245〜255℃の範囲がさらに好ましい。また、重合時の真空度は1〜120Paの範囲に制御することが好ましく、5〜90Paの範囲がより好ましく、10〜40Paの範囲が特に好ましい。また、触媒量は0.5×10−6〜15×10−6モル当量の範囲が好ましく、1×10−6〜14×10−6モル当量の範囲がより好ましく、1×10−6〜13×10−6モル当量の範囲がさらに好ましい。また、オリゴマー化反応の温度は190〜240℃の範囲が好ましく、200〜235℃の範囲がより好ましく、210〜230℃の範囲がさらに好ましい。環状2量体量はこれらそれぞれのファクターを精密に制御することで達成できる。
(比粘度:ηSP
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、強度と成形加工性とを両立させやすいことから、0.20〜1.50の範囲が好ましく、0.23〜1.20の範囲がより好ましく、0.25〜1.00の範囲がさらに好ましく、0.30〜0.50の範囲が特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)が0.20以上であると、所望の強度が得られるため好ましい。また、比粘度(ηSP)が1.50以下であると、成形加工性が良好であり好ましい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、ポリカーボネート樹脂の比粘度を測定する場合は、次の要領で行うことができる。すなわち、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶媒を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、オストワルド粘度計を用いて20℃における比粘度を求める。
(光弾性定数)
本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性定数の絶対値は、好ましくは40×10−12Pa−1以下、より好ましくは35×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは30×10−12Pa−1以下である。絶対値が40×10−12Pa−1を超えると、成形時の残留応力によって生じる複屈折が大きくなりやすい。光弾性定数は、未延伸フィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し測定する。
<成形体>
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる成形体は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法など任意の方法により成形される。
本発明のポリカーボネート樹脂は、光弾性定数が低く、しかも成形性にも優れているので、光ディスク基板、光学レンズ、液晶パネル、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレーなどの光学部品の構造材料、パソコンや携帯電話の外装や前面板などの電気電子部品、自動車のヘッドランプや窓などの自動車用途、または機能材料用途に適した成形体として有利に使用することができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、光弾性定数が低く、延伸により所望の波長分散性を実現することができるため特に光学フィルムとして有利に使用することができる。
<光学フィルム>
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる光学フィルムは、具体的には、表面保護フィルム、加飾用フィルム、前面板、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途が挙げられる。
光学フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押出法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。なかでも、溶液キャスト法、溶融押出法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が好ましい。
溶融押出法においては、Tダイを用いて樹脂を押出し、冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの樹脂温度はポリカーボネート樹脂の分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、180〜350℃の範囲であり、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすくなる。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、有機溶媒に対する溶解性が良好なので、溶液キャスト法も適用することが出来る。溶液キャスト法の場合は、溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジオキソラン、ジオキサン等が好適に用いられる。溶液キャスト法で獲られるフィルム中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。残留溶媒量が2重量%を超えるとフィルムのガラス転移温度の低下が著しくなり耐熱性の点で好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる未延伸フィルムの厚みとしては、30〜400μmの範囲が好ましく、より好ましくは40〜300μmの範囲である。かかる未延伸フィルム状物をさらに延伸して位相差フィルムとする場合には、光学フィルムの所望の位相差値、厚みを勘案して上記範囲内で適宜決めればよい。
<引張破断伸度>
本発明のポリカーボネート樹脂から形成される光学フィルムの引張伸度は、好ましくは1.0%以上であり、さらに好ましくは1.5%以上であり、特に好ましくは2.0%以上である。上限は限定されないが20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。1.0%より低いと延伸時に割れやすく、生産性が著しく悪化する。
<Haze>
本発明のポリカーボネート樹脂から形成される光学フィルムのHazeは、好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.7%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。1.0%より高いと光学用途として用いた場合好ましくない。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂及び評価方法は以下のとおりである。
1.比粘度測定
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて以下の式から求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
2.環状2量体
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解後、ヘキサン抽出により、低分子量分を抽出後、ガスクロマトグラフィーによる面積ピークより算出した。
3.光弾性定数測定
未延伸フィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用して測定した。
4.成形不良率
ポリカーボネート樹脂を120℃、5時間乾燥後、JSW(株)製N−20C射出成形機を用いてシリンダー温度280℃、金型温度70〜80℃にて外径2.0mm、中心厚0.8mm、焦点距離2.0mmの平凸レンズを連続3,000ショット射出成形し、2,901ショットから3,000ショットまでの100ショット分のレンズを微分顕微鏡を用いて検査し、不良個数率を%で求めた。なお、レンズ表面の凹み不良およびレンズ表面への付着物の有無などの表面形状異常のあるものを不良とした。
5.フィルム評価
ポリカーボネート樹脂を120℃で5時間乾燥後、スクリュー径120mmのTダイリップの付いた押出機にて温度280℃で押出し幅1000mm、厚さ100μm、片面タッチ方式で製造し、製造開始から3日後にロール付着物によるフィルムの外観不良が発生した場合を×、5日後にロール付着物によるフィルムの外観不良が発生した場合を△、5日後にロール付着物によるフィルムの外観不良が発生しなかった場合を○とした。
6.フィルムの引張伸度
上記フィルム評価で得られた製造開始後5日後のフィルムを用いて、(株)オリエンテック製のフィルム強伸度自動測定装置“テンシロンRTC−1210A”を用いて、次の条件で測定した。
試料サイズ:幅10mm、長さ140mm
チャック間距離100mm
引張速度:5mm/分
測定環境:25℃、相対湿度(RH)50%、大気圧下
フィルム破断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間距離で除したものに100を乗じて引張伸度(%)とした。測定はフィルムの長手方向と、厚み方向に直交する方向についてそれぞれ5回行い、これら10点の平均値をとった。
7.耐久試験後のフィルムHaze
上記フィルム評価で得られた製造開始後5日後のフィルムを用いて、フィルムを85℃85%R.H.条件下で2000時間放置し、幅方向の中心部を基準に試験片を切り出し、濁度計NDH−2000型(日本電色工業(株)製)を使用し、JIS K7105に従って、フィルムのHazeを測定した。
[実施例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下SPGと略す)86.97部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)46.35部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム4.3×10−4部を、窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で樹脂温度225℃まで昇温を行い、その後、真空度を2kPaで10分間その温度で保持し、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を250℃にし、最終真空度を30Paとし合計230分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットを乾燥後、比粘度、環状2量体成分量、光弾性定数を測定し、成形不良率、ロール付着物によるフィルムの外観不良、引張伸度、Hazeを評価し、表1に記載した。
[実施例2]
最終樹脂温度を255℃に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[実施例3]
最終真空度を80Paに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[実施例4]
ジフェニルカーボネート88.41部に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[実施例5]
SPG86.97部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPAと略す)27.95部、ジフェニルカーボネート89.29部に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[実施例6]
SPG49.7部、イソソルビド(以下ISSという)35.8部、ジフェニルカーボネート89.29部に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[比較例1]
3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下SPGと略す)86.97部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)46.35部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒として炭酸水素ナトリウム5.2×10−4部を、窒素雰囲気下樹脂温度を150℃に加熱し溶融させた。その後、10分かけて真空度を10kPaに調整し、樹脂温度を160℃に加熱し反応させた。その後、60℃/hrの速度で樹脂温度190℃まで昇温を行い、減圧度10kPaで、10分間その温度で保持し、さらに30℃/hrの速度で最終樹脂温度を260℃にし、最終真空度を133Paとし合計230分間反応を行った。反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[比較例2]
最終真空度を300Paに変更した以外は比較例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
[比較例3]
最終樹脂温度を275℃、最終真空度を133Paに変更した以外は実施例5と同様にして、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて評価した結果を表1に記載した。
Figure 0006185318
本発明のポリカーボネート樹脂は、光弾性定数が低く、特に光学フィルムとして好適である。

Claims (6)

  1. 下記式(A1)の環状アセタール系ジオール類を含むジオール成分からなるポリカーボネート樹脂であって、該環状アセタール系ジオールの環状2量体成分が10ppm〜4000ppmの範囲にあるポリカーボネート樹脂。
    Figure 0006185318
  2. 全ジオール成分中式(A1)で表されるジオール成分が1〜95モル%である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  3. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂を成形してなる成形体。
  4. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂を成形してなる光学フィルム。
  5. Hazeが1.0%以下である請求項記載の光学フィルム。
  6. 引張伸度が1.0%以上である請求項記載の光学フィルム。
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