JPWO2012029373A1 - 負極材料、リチウム二次電池、および負極材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができる負極材料を提供することを主目的とする。
本発明においては、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物との反応物からなることを特徴とする負極材料を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明においては、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物との反応物からなることを特徴とする負極材料を提供することにより、上記課題を解決する。
Description
本発明は、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができる負極材料に関するものである。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム二次電池が注目を浴びている。
リチウム二次電池に用いられる負極活物質として、炭素よりも理論容量の高いSiまたはSnを含有する材料が研究されている。SiまたはSnを含む活物質を負極に使用する場合、リチウムの挿入脱離反応の際に生じる活物質の膨張収縮による体積変化が大きいため、充放電の繰り返しに伴う負極の崩壊が激しく、負極と集電体との電気的接触性の低下や負極内での導電パスの断絶による内部抵抗の増加が起こりやすいという問題がある。
これに対して、特許文献1〜3においては、SiまたはSnを含む負極活物質と、ポリアクリル酸とを含有する負極を有するリチウム二次電池が開示されている。強度の高いポリアクリル酸を負極のバインダーとして用いることで、負極活物質の膨張収縮による負極の崩壊を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたSiまたはSnを含む負極材料は、リチウムの挿入脱離による形状変化が大きく、微細化してしまい、結果として電子伝導がとれなくなるため、充放電反応に関与できなくなり、リチウム二次電池のサイクル特性が低下するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができる負極材料を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物との反応物からなることを特徴とする負極材料を提供する。
本発明によれば、上記高分子化合物の酸基と相互作用する上記金属酸化物または上記金属の金属原子が、原子レベルで結合することにより負極材料中に予め高度に分散されているため、リチウムの挿入脱離に伴う負極材料の形状変化が生じても導電性を維持することができ、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
上記発明においては、上記一般式において、Mが、Bi、Sb、Sn、Si、Al、Pb、In、Mg、Ti、Zr、V、Fe、Cr、Cu、Co、Mn、Ni、Zn、Nb、Ru、Mo、Sr、Y、Ta、W、またはAgであることが好ましい。
上記発明においては、上記金属酸化物または上記金属が、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化スズ(SnO)またはスズ(Sn)であることが好ましい。
上記発明においては、上記酸基が、カルボン酸基またはスルホン酸基であることが好ましい。
また、本発明においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム二次電池であって、上記負極活物質層が、上述した負極材料を用いて形成されたものであることを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
本発明によれば、上述した負極材料を用いているため、サイクル特性に優れたリチウム二次電池とすることができる。
また、本発明においては、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物と、極性溶媒とを含有する反応液を調製する調製工程と、上記反応液を加熱しながら攪拌することにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させる反応工程と、を有することを特徴とする負極材料の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させることで、上記高分子化合物の酸基と相互作用する上記金属酸化物または上記金属の金属原子を原子レベルで結合することにより負極材料中に予め高度に分散させることができる。このため、リチウムの挿入脱離に伴う負極材料の形状変化が生じても導電性を維持することができ、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることが可能な負極材料を得ることができる。
本発明においては、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができるという効果を奏する。
以下、本発明の負極材料、リチウム二次電池、および負極材料の製造方法について、詳細に説明する。
A.負極材料
まず、本発明における負極材料について説明する。本発明における負極材料は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物との反応物からなることを特徴とするものである。
まず、本発明における負極材料について説明する。本発明における負極材料は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物との反応物からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記金属酸化物または上記金属と上記高分子化合物との反応物においては、上記金属酸化物または上記金属の金属原子が上記高分子化合物の側鎖の酸基と相互作用することにより上記高分子化合物と結合していると考えられ、その結果、金属原子が高度に分散されていると考えられる。上述したように、特許文献1〜3に記載されたSiまたはSnを含む負極材料は、リチウムの挿入脱離による負極材料の形状変化が大きいため、充放電に伴い微細化し、電子伝導パスが切断されてしまう。
これに対して、本発明においては、上記反応物を負極材料とすることで、リチウムの挿入脱離に伴う負極材料の形状変化が生じたとしても、負極材料が微細化されることはなく、負極材料中に予め高度に金属原子が分散されているため、電子伝導パスが切断されにくく、良好な導電性を経時的に維持することができる。したがって、本発明の負極材料をリチウム二次電池に用いた際に、サイクル特性を向上させることができる。
以下、本発明の負極材料について、構成ごとに説明する。
これに対して、本発明においては、上記反応物を負極材料とすることで、リチウムの挿入脱離に伴う負極材料の形状変化が生じたとしても、負極材料が微細化されることはなく、負極材料中に予め高度に金属原子が分散されているため、電子伝導パスが切断されにくく、良好な導電性を経時的に維持することができる。したがって、本発明の負極材料をリチウム二次電池に用いた際に、サイクル特性を向上させることができる。
以下、本発明の負極材料について、構成ごとに説明する。
1.反応物
まず、本発明における反応物について説明する。本発明における反応物は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物とが反応してなるものであり、具体的には、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とが相互作用により結合してなるものであると考えられる。
まず、本発明における反応物について説明する。本発明における反応物は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物とが反応してなるものであり、具体的には、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とが相互作用により結合してなるものであると考えられる。
(1)金属酸化物または金属
本発明における金属酸化物または金属は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)または一般式Mで表されるものである。本発明においては、上記金属酸化物または上記金属の金属原子が、後述する高分子化合物の側鎖の酸基と反応すると考えられる。
本発明における金属酸化物または金属は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)または一般式Mで表されるものである。本発明においては、上記金属酸化物または上記金属の金属原子が、後述する高分子化合物の側鎖の酸基と反応すると考えられる。
本発明における金属酸化物または金属は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こすものである。ここで、合金化反応とは、金属酸化物または金属がLiイオン等の金属イオンと反応し、Li合金等の合金に変化する反応をいい、コンバージョン反応とは、金属酸化物がLiイオン等の金属イオンと反応し、金属酸化物が還元されて、金属と、Li酸化物等の元の金属酸化物とは別の金属酸化物とに変化する反応をいう。また、生成した金属がLiイオン等の金属イオンと反応し、Li合金等の合金に変化する場合もある。
また、本発明における金属酸化物または金属は、一般式MxOy(Mは金属である)または一般式Mで表されるものである。上記一般式において、Mは、Bi、Sb、Sn、Si、Al、Pb、In、Mg、Ti、Zr、V、Fe、Cr、Cu、Co、Mn、Ni、Zn、Nb、Ru、Mo、Sr、Y、Ta、W、またはAgであることが好ましい。本発明においては、中でも、Mが両性酸化物を形成する金属であることが好ましい。酸と反応するからである。具体的には、Mは、Bi、Sn、Sbであることがより好ましく、BiまたはSnであることがさらに好ましい。すなわち、本発明における金属酸化物または金属は、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化スズ(SnO)またはスズ(Sn)であることが好ましい。酸と反応しやすいからである。なお、本発明においては、Mが2種類以上の金属を含有していても良い。特に、本発明における金属酸化物は、SnOであることが好ましい。本発明の負極材料を用いたリチウム二次電池を充放電すると、負極材料にSn相としてα‐Snおよびβ‐Snの2相が検出され、リチウム二次電池の放電容量維持率が向上すると考えられるからである。その理由は、2相の金属相がリチウムの挿入脱離時における体積変化を互いに緩和しているからであると考えられる。
(2)高分子化合物
本発明における高分子化合物は、側鎖に酸基を有するものである。本発明においては、上記高分子化合物の側鎖の酸基が、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と反応すると考えられる。
本発明における高分子化合物は、側鎖に酸基を有するものである。本発明においては、上記高分子化合物の側鎖の酸基が、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と反応すると考えられる。
本発明における高分子化合物が側鎖に有する酸基としては、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と反応することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基等を挙げることができる。本発明においては、中でも、カルボン酸基またはスルホン酸基が好ましい。反応性が高いからである。
本発明に用いられる高分子化合物としては、側鎖に上述した酸基を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアミック酸、ポリスルホン酸等を挙げることができる。本発明においては、中でも、ポリアクリル酸が好ましい。側鎖の酸基量が多く、低コストであるからである。
本発明に用いられる高分子化合物の数平均分子量としては、例えば、1000〜20000000の範囲内であることが好ましく、1500〜3000000の範囲内であることがより好ましく、1800〜3000000の範囲内であることがさらに好ましい。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により測定することができる。
(3)反応物
本発明における反応物は、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とが結合してなるものであると考えられる。上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とが結合していることは、例えば、赤外分光(IR)測定により確認することができる。
また、本発明における反応物が、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とが反応したものであることは、例えば、X線回折(XRD)測定により確認することができる。具体的には、上記反応物および上記金属酸化物または上記金属を同一条件で測定した場合、上記反応物のXRD測定結果において、ハローパターンが現れ、上記金属酸化物または上記金属に特有のピークを有さない、もしくは有していても、その強度が、上記金属酸化物または上記金属のXRD測定結果における上記ピークの強度を100%とした場合に、10%以下、好ましくは5%以下に低下していることにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とが反応してなる反応物であると特定することができる。
本発明における反応物は、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とが結合してなるものであると考えられる。上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とが結合していることは、例えば、赤外分光(IR)測定により確認することができる。
また、本発明における反応物が、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とが反応したものであることは、例えば、X線回折(XRD)測定により確認することができる。具体的には、上記反応物および上記金属酸化物または上記金属を同一条件で測定した場合、上記反応物のXRD測定結果において、ハローパターンが現れ、上記金属酸化物または上記金属に特有のピークを有さない、もしくは有していても、その強度が、上記金属酸化物または上記金属のXRD測定結果における上記ピークの強度を100%とした場合に、10%以下、好ましくは5%以下に低下していることにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とが反応してなる反応物であると特定することができる。
本発明における反応物は、通常粉末状であり、その平均粒径としては、例えば、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
本発明における反応物は、上記高分子化合物の酸基と相互作用する上記金属酸化物または上記金属の金属原子が予め分散されているため、リチウムの挿入脱離による形状変化が生じても電子伝導パスが切断されにくく、負極材料に用いることでリチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
2.負極材料
本発明の負極材料は、例えば、リチウム二次電池に好適に用いることができる。その際、負極材料は、上記反応物のみからなるものであっても良いが、上記反応物に加えて、導電化材をさらに含有するものであることが好ましい。電子伝導性が良好な負極材料とすることができるからである。導電化材としては、特に限定されるものではないが、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、気相成長カーボン、黒鉛等の炭素材料を挙げることができる。
本発明の負極材料は、例えば、リチウム二次電池に好適に用いることができる。その際、負極材料は、上記反応物のみからなるものであっても良いが、上記反応物に加えて、導電化材をさらに含有するものであることが好ましい。電子伝導性が良好な負極材料とすることができるからである。導電化材としては、特に限定されるものではないが、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、気相成長カーボン、黒鉛等の炭素材料を挙げることができる。
本発明の負極材料における導電化材の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、1重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましく、2重量%〜40重量%の範囲内であることがより好ましい。導電化材の割合が少なすぎると、電子伝導性を十分に向上させることができない可能性があるからであり、導電化材の割合が多すぎると、相対的に上記反応物の割合が少なくなり、容量低下が大きくなる可能性があるからである。
また、本発明の負極材料は、微細化されたものであることが好ましい。比表面積を増大し、負極材料の利用効率を向上させることができるからである。中でも、本発明の負極材料は、メカニカルミリングにより微細化されたものであることが好ましい。メカニカルミリングは、機械的エネルギーを付与しながら試料を粉砕する方法であり、単なる微細化(例えば、乳鉢を用いた微細化)よりも、負極材料を格段に微細化することができ、また、導電化材を反応物の表面に均一に分散させることができるからである。メカニカルミリングとしては、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でも、ボールミルが好ましい。
B.リチウム二次電池
次に、本発明のリチウム二次電池について説明する。本発明のリチウム二次電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム二次電池であって、上記負極活物質層が、上述した負極材料を用いて形成されたものであることを特徴とするものである。
次に、本発明のリチウム二次電池について説明する。本発明のリチウム二次電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム二次電池であって、上記負極活物質層が、上述した負極材料を用いて形成されたものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した負極材料を用いているため、サイクル特性に優れたリチウム二次電池とすることができる。
図1は、本発明のリチウム二次電池の一例を示す概略断面図である。図1に例示するリチウム二次電池10は、正極活物質層1と、負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有するものである。本発明においては、負極活物質層2が、上記「A.負極材料」に記載した負極材料を用いて形成されたものであることを大きな特徴とする。特に、上記負極材料における金属酸化物が酸化スズ(SnO)である場合、充放電後のリチウム二次電池における負極活物質層には、Sn相としてα‐Snおよびβ‐Snの2相が確認される。
以下、本発明のリチウム二次電池について、構成ごとに説明する。
以下、本発明のリチウム二次電池について、構成ごとに説明する。
1.負極活物質層
まず、本発明における負極活物質層について説明する。本発明における負極活物質層は、少なくとも上述した負極材料を用いて形成された層であり、必要に応じて、結着材および導電化材の少なくとも一方を含有していても良い。負極活物質層における負極材料の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、20重量%以上であることが好ましく、40重量%〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。また、結着材としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を挙げることができる。また、上述したように、負極材料自体が導電化材を含有している場合があるが、負極活物質層は、さらに導電化材を含有していても良い。負極材料に含まれる導電化材と、新たに添加する導電化材とは、同一の材料であっても良く、異なる材料であっても良い。なお、導電化材の具体例については、上述した通りである。負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
まず、本発明における負極活物質層について説明する。本発明における負極活物質層は、少なくとも上述した負極材料を用いて形成された層であり、必要に応じて、結着材および導電化材の少なくとも一方を含有していても良い。負極活物質層における負極材料の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、20重量%以上であることが好ましく、40重量%〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。また、結着材としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を挙げることができる。また、上述したように、負極材料自体が導電化材を含有している場合があるが、負極活物質層は、さらに導電化材を含有していても良い。負極材料に含まれる導電化材と、新たに添加する導電化材とは、同一の材料であっても良く、異なる材料であっても良い。なお、導電化材の具体例については、上述した通りである。負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
負極活物質層の形成方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、上述した負極材料と、結着材と、導電化材とを含有する負極活物質層形成用ペーストを、後述する負極集電体上に塗布して乾燥させた後に、プレスすることにより負極活物質層を形成することができる。本発明においては、プレス後の負極活物質層を、さらに窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で焼成することが好ましい。よりサイクル特性に優れた負極活物質層を得ることができるからである。焼成温度としては、例えば、200℃〜1000℃の範囲内であることが好ましく、300℃〜700℃の範囲内であることがより好ましい。また、焼成時間としては、例えば、1時間〜30時間の範囲内であることが好ましく、2時間〜20時間の範囲内であることがより好ましい。
2.正極活物質層
次に、本発明における正極活物質層について説明する。本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、導電化材および結着材の少なくとも一方を含有していても良い。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiVO2、LiCrO2等の層状正極活物質、LiMn2O4、Li(Ni0.25Mn0.75)2O4、LiCoMnO4、Li2NiMn3O8等のスピネル型正極活物質、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFePO4等のオリビン型正極活物質等を挙げることができる。正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40重量%〜99重量%の範囲内であることが好ましい。
次に、本発明における正極活物質層について説明する。本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、導電化材および結着材の少なくとも一方を含有していても良い。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiVO2、LiCrO2等の層状正極活物質、LiMn2O4、Li(Ni0.25Mn0.75)2O4、LiCoMnO4、Li2NiMn3O8等のスピネル型正極活物質、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFePO4等のオリビン型正極活物質等を挙げることができる。正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40重量%〜99重量%の範囲内であることが好ましい。
本発明における正極活物質層は、さらに導電化材および結着材の少なくとも一方を含有していても良い。導電化材および結着材については、上記「1.負極活物質層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
正極活物質層の形成方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、正極活物質と、結着材と、導電化材とを含有する正極活物質層形成用ペーストを、後述する正極集電体上に塗布して乾燥させた後に、プレスすることにより正極活物質層を形成することができる。
3.電解質層
次に、本発明における電解質層について説明する。本発明における電解質層は、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成される層である。電解質層に含まれる電解質を介して、正極活物質と負極活物質との間のLiイオン伝導を行う。電解質層の形態は、特に限定されるものではなく、液体電解質層、ゲル電解質層、固体電解質層等を挙げることができる。
次に、本発明における電解質層について説明する。本発明における電解質層は、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成される層である。電解質層に含まれる電解質を介して、正極活物質と負極活物質との間のLiイオン伝導を行う。電解質層の形態は、特に限定されるものではなく、液体電解質層、ゲル電解質層、固体電解質層等を挙げることができる。
液体電解質層は、通常、非水電解液を用いてなる層である。非水電解液は、通常、リチウム塩および非水溶媒を含有する。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6等の無機リチウム塩;およびLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3等の有機リチウム塩等を挙げることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびこれらの混合物等を挙げることができる。非水電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば、0.5mol/L〜3mol/Lの範囲内である。なお、本発明においては、非水電解液として、例えば、イオン性液体等の低揮発性液体を用いても良い。
電解質層の厚さは、電解質の種類および電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも、0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
4.その他の構成
本発明のリチウム二次電池は、さらに、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有していても良い。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、アルミニウムが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、銅が好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム二次電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、さらに、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有していても良い。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、アルミニウムが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、銅が好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム二次電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、正極活物質層および負極活物質層の間に、セパレータを有していても良い。より安全性の高いリチウム二次電池を得ることができるからである。セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリフッ化ビニリデン等の多孔膜;および樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的なリチウム二次電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えば、SUS製電池ケース等を挙げることができる。
5.リチウム二次電池
本発明のリチウム二次電池は、例えば、車載用電池として用いられることが好ましい。本発明のリチウム二次電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。また、本発明のリチウム二次電池の製造方法は、上述したリチウム二次電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なリチウム二次電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。
本発明のリチウム二次電池は、例えば、車載用電池として用いられることが好ましい。本発明のリチウム二次電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。また、本発明のリチウム二次電池の製造方法は、上述したリチウム二次電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なリチウム二次電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。
C.負極材料の製造方法
次に、本発明の負極材料の製造方法について説明する。本発明の負極材料の製造方法は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物と、極性溶媒とを含有する反応液を調製する調製工程と、上記反応液を加熱しながら攪拌することにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させる反応工程と、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明の負極材料の製造方法について説明する。本発明の負極材料の製造方法は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物と、極性溶媒とを含有する反応液を調製する調製工程と、上記反応液を加熱しながら攪拌することにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させる反応工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させることで、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と上記高分子化合物の酸基とが相互作用により結合し、金属原子を原子レベルで結合することにより負極材料中に高度に分散させることができると考えられる。このため、リチウムの挿入脱離に伴う負極材料の形状変化が生じても、負極材料中に予め原子レベルで分散された金属原子により、良好な導電性を経時的に維持することができ、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることが可能な負極材料を得ることができる。
図2は、本発明の負極材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。図2においては、まず、出発原料として、酸化ビスマス(Bi2O3)と、ポリアクリル酸と、水とを準備し、これらを所定の割合で混合することにより、反応液を調製する(調製工程)。次に、この反応液を加熱しながら攪拌することにより、Bi2O3およびポリアクリル酸を反応させる(反応工程)。これにより、負極材料を得ることができる。
以下、本発明の負極材料の製造方法について、工程ごとに説明する。
以下、本発明の負極材料の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.調製工程
まず、本発明における調製工程について説明する。本発明における調製工程は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物と、極性溶媒とを含有する反応液を調製する工程である。
まず、本発明における調製工程について説明する。本発明における調製工程は、Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物と、極性溶媒とを含有する反応液を調製する工程である。
なお、上記金属酸化物、上記金属、および上記高分子化合物については、上記「A.負極材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
本発明に用いられる極性溶媒としては、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とを反応させることが可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、水、アルコール、エステル、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、エーテル等を挙げることができ、中でも、水が好ましい。安価であるからである。
本工程により調製される反応液における上記金属酸化物または上記金属の濃度としては、特に限定されるものではなく、目的とする負極材料の組成等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、0.1重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、1重量%〜30重量%の範囲内であることがより好ましい。
また、本工程により調製される反応液における上記高分子化合物の濃度としては、特に限定されるものではなく、目的とする負極材料の組成等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、0.1重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、1重量%〜30重量%の範囲内であることがより好ましい。
2.反応工程
次に、本発明における反応工程について説明する。本発明における反応工程は、上記反応液を加熱しながら攪拌することにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させる工程である。本工程においては、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させるが、具体的には、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とを結合させることで、負極材料を合成する。
次に、本発明における反応工程について説明する。本発明における反応工程は、上記反応液を加熱しながら攪拌することにより、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させる工程である。本工程においては、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させるが、具体的には、上記金属酸化物または上記金属の金属原子と、上記高分子化合物の側鎖の酸基とを結合させることで、負極材料を合成する。
本工程における加熱温度としては、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを反応させることができれば特に限定されるものではないが、例えば、0℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、50℃〜150℃の範囲内であることがより好ましい。
また、本工程における反応時間としては、上記金属酸化物または上記金属と上記高分子化合物との反応を十分に進行させることができれば特に限定されるものではないが、例えば、1時間〜500時間の範囲内であることが好ましく、3時間〜200時間の範囲内であることがより好ましい。
また、本工程における反応時間としては、上記金属酸化物または上記金属と上記高分子化合物との反応を十分に進行させることができれば特に限定されるものではないが、例えば、1時間〜500時間の範囲内であることが好ましく、3時間〜200時間の範囲内であることがより好ましい。
本工程に用いられる攪拌方法としては、上記金属酸化物または上記金属と、上記高分子化合物とを上記極性溶媒中で均一に混合することができれば特に限定されるものではないが、例えば、マグネチックスターラー、メカニカルスターラー、振動攪拌、超音波分散等を用いることができる。
本工程おいては、通常、加熱攪拌後の上記反応液を濃縮し、さらに加熱下で減圧乾燥することによって、上記金属酸化物または上記金属と上記高分子化合物との反応物、すなわち負極材料を得ることができる。
3.その他
本発明の負極材料の製造方法は、必須の工程である上記調製工程および上記反応工程の他に、必要に応じて任意の工程を適宜有していても良い。このような工程としては、例えば、加熱工程、乾燥工程等を挙げることができる。
本発明の負極材料の製造方法は、必須の工程である上記調製工程および上記反応工程の他に、必要に応じて任意の工程を適宜有していても良い。このような工程としては、例えば、加熱工程、乾燥工程等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[合成例1]
(反応物の合成)
まず、出発原料として、酸化ビスマス(Bi2O3)と、数平均分子量が250000のポリアクリル酸と、水とを準備した。ポリアクリル酸28gを水2800mlに溶解させ、さらに酸化ビスマス31gを加えて、反応液を調製した。次に、この反応液を80℃で3日間攪拌し、反応液を濃縮後、120℃で減圧乾燥することで、反応物58gを得た。
(反応物の合成)
まず、出発原料として、酸化ビスマス(Bi2O3)と、数平均分子量が250000のポリアクリル酸と、水とを準備した。ポリアクリル酸28gを水2800mlに溶解させ、さらに酸化ビスマス31gを加えて、反応液を調製した。次に、この反応液を80℃で3日間攪拌し、反応液を濃縮後、120℃で減圧乾燥することで、反応物58gを得た。
[合成例2]
まず、出発原料として、酸化スズ(SnO)と、数平均分子量が250000のポリアクリル酸と、水とを準備した。ポリアクリル酸28gを水2800mlに溶解させ、さらに酸化スズ27gを加えて、反応液を調製した。次に、この反応液をアルゴンガス下で加熱環流させながら4日間攪拌し、反応液を濃縮後、120℃で減圧乾燥することで、反応物54gを得た。
まず、出発原料として、酸化スズ(SnO)と、数平均分子量が250000のポリアクリル酸と、水とを準備した。ポリアクリル酸28gを水2800mlに溶解させ、さらに酸化スズ27gを加えて、反応液を調製した。次に、この反応液をアルゴンガス下で加熱環流させながら4日間攪拌し、反応液を濃縮後、120℃で減圧乾燥することで、反応物54gを得た。
[評価1]
(X線回折測定)
合成例1および合成例2で得られた反応物に対して、X線回折(XRD)測定を行った。その結果をそれぞれ図3および図4に示す。また、酸化ビスマス(Bi2O3)および酸化スズ(SnO)に対して、XRD測定を行った。その結果をそれぞれ図5および図6に示す。
(X線回折測定)
合成例1および合成例2で得られた反応物に対して、X線回折(XRD)測定を行った。その結果をそれぞれ図3および図4に示す。また、酸化ビスマス(Bi2O3)および酸化スズ(SnO)に対して、XRD測定を行った。その結果をそれぞれ図5および図6に示す。
図5に示されるように、Bi2O3のXRD測定結果においては、複数の回折ピークが検出され、Bi2O3が結晶性を有することが確認されたのに対して、図3に示されるように、合成例1で得られた反応物のXRD測定結果においては、回折ピークが検出されず、ハローパターンが得られたことから、合成例1で得られた反応物は、Bi2O3とポリアクリル酸とが反応したものであることが確認された。
一方、図6に示されるように、SnOのXRD測定結果においては、複数の回折ピークが検出され、SnOが結晶性を有することが確認されたのに対して、図4に示されるように、合成例2で得られた反応物のXRD測定結果においては、回折ピークが検出されず、ハローパターンが得られたことから、合成例2で得られた反応物は、SnOとポリアクリル酸とが反応したものであることが確認された。
一方、図6に示されるように、SnOのXRD測定結果においては、複数の回折ピークが検出され、SnOが結晶性を有することが確認されたのに対して、図4に示されるように、合成例2で得られた反応物のXRD測定結果においては、回折ピークが検出されず、ハローパターンが得られたことから、合成例2で得られた反応物は、SnOとポリアクリル酸とが反応したものであることが確認された。
[実施例1]
(負極材料の調製)
合成例1で得られた反応物10gをボールミルで1時間粉砕後、アセチレンブラック1gを加え、3時間メカニカルミリングを行い、得られた粉末を負極材料とした。
(負極材料の調製)
合成例1で得られた反応物10gをボールミルで1時間粉砕後、アセチレンブラック1gを加え、3時間メカニカルミリングを行い、得られた粉末を負極材料とした。
(評価用電池の作製)
まず、結着材の前駆体であるポリアミック酸1.2gを溶解した溶剤n−メチルピロリドン溶液7.8g中に、負極材料10g、導電化材の炭素粉末0.6gを導入し、均一に混合するまで混練し、ペーストを作製した。次いで、このペーストに、n−メチルピロリドン2.4gを加えて混練した後、n−メチルピロリドンをさらに加えて粘度を調整し、厚さ10μmのCu集電体上に目付量4.5mg/cm2で片面塗布し、乾燥させた。さらに、得られた部材をプレスし、窒素雰囲気下、350℃で2時間焼成することにより、ペースト厚さ32μm、密度1.4g/cm3の試験電極を形成した。
次に、作用極に上記試験電極を用い、対極に金属Liを用いて、CR2032型コインセル(評価用電池)を作製した。なお、セパレータには、ポリエチレン(PE)製多孔質セパレータを用いた。また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
まず、結着材の前駆体であるポリアミック酸1.2gを溶解した溶剤n−メチルピロリドン溶液7.8g中に、負極材料10g、導電化材の炭素粉末0.6gを導入し、均一に混合するまで混練し、ペーストを作製した。次いで、このペーストに、n−メチルピロリドン2.4gを加えて混練した後、n−メチルピロリドンをさらに加えて粘度を調整し、厚さ10μmのCu集電体上に目付量4.5mg/cm2で片面塗布し、乾燥させた。さらに、得られた部材をプレスし、窒素雰囲気下、350℃で2時間焼成することにより、ペースト厚さ32μm、密度1.4g/cm3の試験電極を形成した。
次に、作用極に上記試験電極を用い、対極に金属Liを用いて、CR2032型コインセル(評価用電池)を作製した。なお、セパレータには、ポリエチレン(PE)製多孔質セパレータを用いた。また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
[比較例1]
実施例1の評価用電池の作製において、負極材料10gの代わりに酸化ビスマス(Bi2O3)10gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、評価用電池を得た。
実施例1の評価用電池の作製において、負極材料10gの代わりに酸化ビスマス(Bi2O3)10gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、評価用電池を得た。
[実施例2]
(負極材料の調製)
合成例2で得られた反応物10gをボールミルで1時間粉砕後、アセチレンブラック1gを加え、3時間メカニカルミリングを行い、得られた粉末を負極材料とした。
(負極材料の調製)
合成例2で得られた反応物10gをボールミルで1時間粉砕後、アセチレンブラック1gを加え、3時間メカニカルミリングを行い、得られた粉末を負極材料とした。
(評価用電池の作製)
まず、結着材の前駆体であるポリアミック酸1.2gを溶解した溶剤n−メチルピロリドン溶液7.8g中に、負極材料10g、導電化材の炭素粉末0.6gを導入し、均一に混合するまで混練し、ペーストを作製した。次いで、このペーストに、n−メチルピロリドン2.4gを加えて混練した後、n−メチルピロリドンをさらに加えて粘度を調整し、厚さ10μmのCu集電体上に目付量5.3mg/cm2で片面塗布し、乾燥させた。さらに、得られた部材をプレスし、窒素雰囲気下、350℃で2時間焼成することにより、ペースト厚さ25μm、密度2.1g/cm3の試験電極を形成した。
次に、作用極に上記試験電極を用い、対極に金属Liを用いて、CR2032型コインセル(評価用電池)を作製した。なお、セパレータには、ポリエチレン(PE)製多孔質セパレータを用いた。また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
まず、結着材の前駆体であるポリアミック酸1.2gを溶解した溶剤n−メチルピロリドン溶液7.8g中に、負極材料10g、導電化材の炭素粉末0.6gを導入し、均一に混合するまで混練し、ペーストを作製した。次いで、このペーストに、n−メチルピロリドン2.4gを加えて混練した後、n−メチルピロリドンをさらに加えて粘度を調整し、厚さ10μmのCu集電体上に目付量5.3mg/cm2で片面塗布し、乾燥させた。さらに、得られた部材をプレスし、窒素雰囲気下、350℃で2時間焼成することにより、ペースト厚さ25μm、密度2.1g/cm3の試験電極を形成した。
次に、作用極に上記試験電極を用い、対極に金属Liを用いて、CR2032型コインセル(評価用電池)を作製した。なお、セパレータには、ポリエチレン(PE)製多孔質セパレータを用いた。また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
[比較例2]
実施例2の評価用電池の作製において、負極材料10gの代わりに酸化スズ(SnO)10gを用いたこと以外は実施例2と同様にして、評価用電池を得た。
実施例2の評価用電池の作製において、負極材料10gの代わりに酸化スズ(SnO)10gを用いたこと以外は実施例2と同様にして、評価用電池を得た。
[評価2]
(電池特性評価)
実施例1および比較例1で得られた評価用電池を用いて、電池評価環境温度25℃、電流レート0.1Cで、充放電を繰り返し行った。電圧範囲は、0.2V〜1.5Vとした。図7にサイクル特性の評価結果を示す。
また、実施例2および比較例2で得られた評価用電池を用いて、電池評価用環境温度25℃、電流レート0.1Cで、充放電を繰り返し行った。電圧範囲は、0.01V〜1.5Vとした。図8にサイクル特性の評価結果を示す。さらに、実施例2および比較例2で得られた評価用電池の充放電60サイクル後における作用極(試験電極)に対して、X線回折(XRD)測定を行った。その結果を図9に示す。
(電池特性評価)
実施例1および比較例1で得られた評価用電池を用いて、電池評価環境温度25℃、電流レート0.1Cで、充放電を繰り返し行った。電圧範囲は、0.2V〜1.5Vとした。図7にサイクル特性の評価結果を示す。
また、実施例2および比較例2で得られた評価用電池を用いて、電池評価用環境温度25℃、電流レート0.1Cで、充放電を繰り返し行った。電圧範囲は、0.01V〜1.5Vとした。図8にサイクル特性の評価結果を示す。さらに、実施例2および比較例2で得られた評価用電池の充放電60サイクル後における作用極(試験電極)に対して、X線回折(XRD)測定を行った。その結果を図9に示す。
図7に示されるように、Bi2O3とポリアクリル酸との反応物を負極材料として用いることにより、Bi2O3を負極材料として用いた場合と比較して、サイクル特性が向上することが確認された。これは、Biが分子構造のレベルで高度に分散されているためであると考えられる。
また、図8に示されるように、SnOとポリアクリル酸との反応物を負極材料として用いることにより、SnOを負極材料として用いた場合と比較して、サイクル特性が向上することが確認された。これは、Snが分子構造のレベルで高度に分散されているためであると考えられる。
一方、図9に示されるように、SnOとポリアクリル酸との反応物を負極材料として用いた実施例2では、α‐Snとβ‐Snとが含まれているのに対して、SnOを負極材料として用いた比較例2では、α‐Snが含まれておらず、β‐Snのみが含まれており、両者の金属相が異なることが確認された。これより、実施例2においては、2相の金属相がLiの挿入脱離時における体積変化を互いに緩和して、放電容量維持率が向上すると考えられる。
また、図8に示されるように、SnOとポリアクリル酸との反応物を負極材料として用いることにより、SnOを負極材料として用いた場合と比較して、サイクル特性が向上することが確認された。これは、Snが分子構造のレベルで高度に分散されているためであると考えられる。
一方、図9に示されるように、SnOとポリアクリル酸との反応物を負極材料として用いた実施例2では、α‐Snとβ‐Snとが含まれているのに対して、SnOを負極材料として用いた比較例2では、α‐Snが含まれておらず、β‐Snのみが含まれており、両者の金属相が異なることが確認された。これより、実施例2においては、2相の金属相がLiの挿入脱離時における体積変化を互いに緩和して、放電容量維持率が向上すると考えられる。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … リチウム二次電池
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … リチウム二次電池
Claims (6)
- Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物との反応物からなることを特徴とする負極材料。
- 前記一般式において、Mが、Bi、Sb、Sn、Si、Al、Pb、In、Mg、Ti、Zr、V、Fe、Cr、Cu、Co、Mn、Ni、Zn、Nb、Ru、Mo、Sr、Y、Ta、W、またはAgであることを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
- 前記金属酸化物または前記金属が、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化スズ(SnO)またはスズ(Sn)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負極材料。
- 前記酸基が、カルボン酸基またはスルホン酸基であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の負極材料。
- 正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム二次電池であって、
前記負極活物質層が、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の負極材料を用いて形成されたものであることを特徴とするリチウム二次電池。 - Liと合金化反応またはコンバージョン反応を起こし、一般式MxOy(Mは金属である)で表される金属酸化物または一般式Mで表される金属と、側鎖に酸基を有する高分子化合物と、極性溶媒とを含有する反応液を調製する調製工程と、
前記反応液を加熱しながら攪拌することにより、前記金属酸化物または前記金属と、前記高分子化合物とを反応させる反応工程と、
を有することを特徴とする負極材料の製造方法。
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