JPWO2012005327A1 - カーゴオイルタンク用耐食性鋼材 - Google Patents

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Abstract

質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%、P:0.002〜0.1%、S:0.01%以下、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、W:0%を超え0.01%未満、Al:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成の鋼材であって、その表面に、Cu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物を含む層を有することを特徴とする、全面腐食や局部腐食に対する抵抗性に優れたカーゴオイルタンク用耐食鋼材。さらに、Cr、Mo、Ti、Zr、Sb、Sn、Nb、V、B、Ca、MgおよびREMの1種以上を含有してもよい。また、表面が防食被膜によって被覆されていてもよい。

Description

本発明は、タンカーにおける原油タンクに用いられるカーゴオイルタンク用の鋼材に関する。
タンカーのカーゴオイルタンクの腐食形態には大きく分けて2つの形態がある。1つは天板部の気相部で生じる全面腐食、もう1つは底板部で起こる局部腐食である。特に硫化水素(HS)を含む原油の積載時には、原油中に含まれるHSの一部が気相中に移行するため、腐食環境としては極めて厳しいものになる。
上記のような腐食環境においては、カーゴオイルタンクの天井部となるデッキ裏では全面腐食が起こり易く、腐食速度が0.3mm/年以上と非常に大きい全面腐食の事例も報告されている。また、カーゴオイルタンクの底板には孔食が発生し易く、数mm/年という大きな孔食進展速度となる場合もある。
こうした事情から、カーゴオイルタンクの鋼材の内面に塗装を施すことが一部で行われているが、初期の塗装のコスト及び約10年毎の塗り替えのコストが大きい。また、タンク底板においては、塗装されている場合でも塗膜の欠陥部から孔食が発生することがある。このため、腐食代を考慮した板厚設計が行われ、全面腐食や局部腐食への対策とされているのが実情である。例えば、20年の使用に対して2mmの腐食代を見込むというような、腐食代を考慮した板厚設計が行われている。さらに、底板においては定期的に点検を実施しており、孔食深さが大きいものについては肉盛溶接によって補修がなされているが、このために膨大なメンテナンスコストが発生し問題となっている。
しかし、腐食代を考慮した板厚設計をすると、鋼材の厚みがその分増加するためにタンクの製造コストが上昇するだけでなく、腐食代を考慮した板厚分だけ原油積載量が減少するというデメリットも生じる。したがって、腐食代の低減が図れ、しかもコスト上昇を防止できる、耐食性に優れたカーゴオイルタンク用鋼材の開発が強く望まれている。
また、造船段階でオイルタンクを構築するために溶接が行われていて、溶接継手部が存在するので、単に耐食性がよいだけでなく、溶接継手部の強度、靭性、溶接性等にも優れた材料が望まれる。
カーゴオイルタンク用鋼としては、例えば、特許文献1にCuとMgを必須成分として含む鋼が、また、特許文献2にCrとAlを必須成分として含む鋼が、それぞれ提案されている。しかし、原油がHSを含む場合において、HSが腐食に対して及ぼす影響については全く考慮されておらず、このため、実船に搭載されるカーゴオイルタンクにおいて十分な耐食性が得られない場合があった。特に、原油タンク底板の環境においてはHSの影響が極めて大きいため、HS存在環境における耐食性の確保は必須である。
また、特許文献3に開示された、CuとNiを必須成分として含有させてなる鋼材は、カーゴオイルタンク内の耐全面腐食性と耐孔食性が向上するとされている。
しかし、この鋼材は確かに耐食性は向上するが、Cu及びNiという高価な合金成分を含有するために、鋼材の溶製コストが高くなるという問題がある。特に、近年はこれらの元素の価格が高騰しており、低含有量の合金成分といえども合金成分のコストが高くつき、普通鋼材の塗装仕様に比べても大幅なコスト増となる。
さらに、特許文献4には、Cu:0.05〜2%、Ni:0.01〜1%、W:0.01〜1%、N:0.001〜0.01%及びO(酸素):0.0001〜0.005%を必須成分として含有する鋼材が開示されており、カーゴオイルタンク内の耐全面腐食性と耐局部腐食性の両方が向上するとされている。
しかし、この鋼材はCu及びNiという高価な合金成分を含有するために、鋼材の溶製コストが高くなるという問題が残る。
特開2000−17381号公報 特開2001−107180号 特開2003−82435号公報 特開2005−325439号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、全面腐食や局部腐食に対する抵抗性に優れるとともに、コストパフォーマンスの高いカーゴオイルタンク用耐食性鋼材を提供することである。
本発明者らは、前記した課題を達成するために、実船における原油による腐食環境を模擬して、天板部の気相部で生じる全面腐食と、底板部で起こる局部腐食に関して実験を行った。すなわち、気相部については、イナートガス及びHSを含む乾湿繰り返し環境において、HSを含む原油を積載した実船のデッキ裏に見られる腐食生成物層の再現実験を行った。そして、底板部については、高濃度塩化物溶液中におけるオイルコート欠陥部からの孔食発生を模擬した実験を行った。
この実験は、後述する実施例において用いた種々の化学組成を有する鋼について、図1及び図2に示す試験装置で行った。なお、図1は気相部の再現試験装置、そして、図2は底板部の再現試験装置である。
その結果、気相部及び底板部の耐食性に関して、下記の(a)〜(c)に示す知見を得た。
(a) 気相部の再現試験、すなわちタンク天板部で生じる全面腐食に関する試験では、合金元素の含有の有無にかかわらず、腐食速度が時間にほとんど依存しないことが判明した。したがって、気相環境では腐食生成物による防食効果は小さく、合金元素を含有させることによって母材自体の耐食性向上を図る必要がある。
全面腐食環境下では、Cu,NiやWの元素を含有させることが効果的であり、これらの元素を複合して含有させることによりさらにその効果が増加する。特に、CuとWを複合して含有させることにより、鋼材のアノード溶解反応を抑制することにより、母材自体の耐食性が向上する。
(b) 底板部の再現試験、すなわち底板部で起こる局部腐食に関する試験では、腐食初期の孔食速度は鋼種による差がほとんどないが、鋼種によっては時間経過とともに孔食速度は低下することが判明した。したがって、底板環境では腐食生成物による防食効果が支配的である。すなわち、腐食初期に腐食の進行を遅延させる腐食生成物を鋼材表面に形成することができれば、耐食性の向上を図ることができる。
鋼材を局部腐食環境下に置いた場合、通常鋼材表面には鉄さび(β−FeOOH)層が形成される。しかし、Cu,Ni,Wを含有させると、鋼材表面にまず硫化物層が形成され、その後、鉄さび層が形成される。この硫化物層がアノード溶解反応を著しく抑制するので耐食性の向上に寄与する。特に、Wの硫化物あるいはさらにMoの硫化物を含有する層はカチオン選択性を示し、硫化物層を介したClイオンの透過抑制効果を有するので、Wの硫化物あるいはさらにMoの硫化物の層が形成される場合には耐食性の向上への寄与は特に大きくなる。
(c) このように、全面腐食環境下と局部腐食環境下のいずれにおいても、Cu,NiおよびWを含有させることが重要となるが、両環境下でともに高い耐食性を得るためには、Cu,NiおよびWのそれぞれを適切な含有量とする必要がある。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、その発明の要旨は、次の(1)〜(7)に示すカーゴオイルタンク用耐食性鋼材にある。
(1) 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%、P:0.002〜0.1%、S:0.01%以下、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、W:0%を超え0.01%未満、Al:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなることを特徴とする、カーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(2) 質量%で、Feの一部に代えて、Cr:5.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.2%以下、Sb:0.3%以下およびSn:0.3%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(3) 質量%で、Feの一部に代えて、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下およびB:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(4) 質量%で、Feの一部に代えて、Ca:0.01%以下、Mg:0.01以下%およびREM:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかのカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(5) 表面にCu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物の層を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかのカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(6) 表面が防食皮膜によって被覆されていることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかのカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(7) Cu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物からなる中間層を介して、表面が防食皮膜によって被覆されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
本発明によれば、全面腐食や局部腐食に対する抵抗性に優れたカーゴオイルタンク用耐食性鋼材を提供することができる。
気相部の再現試験装置を示す。 底板部の再現試験装置を示す。 酸浸漬試験装置を示す。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)化学組成について
C:0.01〜0.2%
Cは、材料としての強度を確保するために必要な元素であり、0.01%以上の含有量が必要である。しかし、0.2%を超えて含有させると溶接性が低下する。また、C含有量の増大とともに、酸性の環境でカソードとなって腐食を促進するセメンタイトの生成量が増大するとともに溶接性が悪化する。このため上限を0.2%とした。好ましい上限は0.15%、好ましい下限は0.04%である。
Si:0.01〜1.0%
Siは、脱酸に必要な元素であり、十分な脱酸効果を得るためには0.01%以上含有させる必要がある。しかし、1%を超えて含有させると母材および溶接継手部の靱性が損なわれる。このため、Siの含有量を0.01〜1.0%とした。好ましい上限は0.8%、より好ましい上限は0.5%である。好ましい下限は0.04%、より好ましい下限は0.10%である。
Mn:0.05〜2.0%
Mnは、低コストで鋼の強度を高める作用を有する元素であり、この効果を得るためには0.05%以上の含有量が必要である。しかし、2.0%を超えて含有させると溶接性が劣化するとともに継手靭性も劣化する。このため、Mnの含有量を0.05〜2.0%とした。好ましい上限は1.8%、より好ましい上限は1.6%である。好ましい下限は0.3%、より好ましい下限は0.5%である。
P:0.002〜0.1%
Pは耐全面腐食性および耐孔食性を向上させる作用を有する。また、通常Pの含有量が多いほど耐酸性が劣化するが、Cu含有鋼ではPを含有させることで耐酸性が向上する。このような耐全面腐食性および耐孔食性における耐酸性向上効果並びにCu含有鋼における耐酸性向上効果は0.002%以上のPを含有させることで発揮される。しかし、0.1%を超えて含有させると溶接性が著しく低下する。このため、Pの含有量は0.002〜0.1%とした。好ましい上限は0.08%、より好ましい上限は0.06%である。好ましい下限は0.003%、より好ましい下限は0.004%である。
S:0.01%以下
Sは鋼中に不純物として不可避的に存在する。ただし、その含有量が0.01%を超えると鋼中にMnSが多く生成し、MnSが腐食の起点となって全面腐食及び孔食が生じる。このため、Sの含有量を0.01%以下とした。好ましい上限は0.008%、より好ましい上限は0.005%である。なお、S含有量は低ければ低いほどよい。
Cu:0.01〜2.0%
Cuは耐全面腐食性を向上させるだけでなく、カーゴオイルタンクにおける底板環境下(局部腐食環境下)で、Sとともに硫化物層を形成し耐孔食性を向上させる元素である。この効果はCuを0.01%以上含有させることにより発揮されるが、2.0%を超えてCuを含有させてもその効果は飽和するだけでなく、熱間圧延時の割れ防止のために含有させるNi量も増加するので、コスト増につながる。そのため、Cuの含有量は0.01〜2.0%とした。好ましい上限は1.8%、より好ましい上限は1.5%である。好ましい下限は0.05%、より好ましい下限は0.10%である。なお、硫化物層の詳細は後述する。
Ni:0.01〜1.0%
Niも、Cuと同様に耐全面腐食性を向上させるだけでなく、カーゴオイルタンクにおける底板環境下(局部腐食環境下)で、Sとともに硫化物層を形成し耐孔食性を向上させる元素である。この効果は0.01%以上含有させることにより発揮されるが、1.0%を超えて含有してもその効果は飽和するだけでなく、コスト増につながる。そのため、Niの含有量は0.01〜1.0%とした。好ましい上限は0.9%、より好ましい上限は0.8%である。好ましい下限は0.05%、より好ましい下限は0.1%である。なお、硫化物層の詳細は後述する。
W:0%を超え0.01%未満
Wは耐酸性を向上させる元素であり、耐全面腐食性を向上させる。また、Wには、他の元素と複合して耐全面腐食性を高める効果や、湿潤硫化水素環境においてSとともに防食性の硫化物層を形成して耐孔食性を向上させる効果もある。これらの効果は微量のWを含有することにより得られる。しかし、Wを0.01%以上含有させるとコストに見合う効果が得られなくなり、また溶接性の悪化も懸念される。したがって、Wの含有量は0%を超え0.01%未満とした。なお、硫化物層の詳細は後述する。
Al:0.1%以下
Alは、鋼の脱酸に有効な元素であるが、本発明においてはSiを含有させているので、Siで脱酸がなされる。したがって、Alで脱酸処理することは必ずしも必要でないため、Alは含有させなくてもよい。ただし、Siに加えて、さらにAlを含有させて複合脱酸することもできる。この場合、Alを0.005%以上含有させると効果的に脱酸できる。一方、Alの含有量が0.1%を超えると、全面腐食性が著しく悪化するばかりか、窒化物が粗大化するために靱性の低下を引き起こす。したがって、Alを含有させる場合のAl含有量の上限を0.1%以下とする。好ましい上限は0.05%である。
本発明に係るカーゴオイルタンク用耐食性鋼材は、上述した元素を有し、残部がFeおよび不純物からなる。なお、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明にかかるカーゴオイルタンク用耐食性鋼材は、必要に応じて、Feの一部に代えて、Cr、Mo、Ti、Zr、Sb、Sn、Nb、V、B、Ca、Mg、REMのうちの1種または2種以上の元素を含有させることができる。
これらの元素は、次の3つのグループに分類することができる。
(i) 第1のグループとしては、Cr:5.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.2%以下、Sb:0.3%以下およびSn:0.3%以下の1種または2種以上である。
(ii) 第2のグループとしては、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下およびB:0.01%以下の1種または2種以上である。
(iii) 第3のグループとしては、Ca:0.01%以下、Mg:0.01以下%およびREM:0.01%以下の1種または2種以上である。
以下、これらの各元素について、グループ毎に説明する。
(i) 第1のグループ:Cr、Mo、Ti、Zr、SbおよびSn
Cr:5.0%以下
Crは必要に応じて含有させることができる。Crを単独で含有させると酸環境における耐食性を低下させるが、Cuと複合して含有させると、乾湿繰り返しの環境において保護性の高いさび層を形成させ、耐全面腐食性が向上する。ただし、Cr含有量が5.0%を超えると、その効果は飽和するばかりでなく、溶接性の低下やコスト増につながる。したがって、Cr含有量の上限は、5.0%とする。好ましい上限は4.5%、より好ましい上限は4.0%である。なお、Crを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Cr含有量を0.5%以上とするのが好ましい。より好ましくは1.0%以上である。
Mo:1.0%以下
Moは必要に応じて含有させることができる。Moは耐酸性を向上させる元素であり、酸性水による乾湿繰り返し環境における耐全面腐食性を向上させる効果がある。また、湿潤硫化水素環境においてSとともに防食性の硫化物層を形成して耐孔食性を向上させる効果もある。ただし、Moを1.0%を超えて含有させても、効果が飽和するばかりか、溶接性を損なうし、コストも嵩む。したがって、Moを含有させるときのMo含有量の上限は、1.0%とする。好ましい上限は0.5%であり、より好ましい上限は0.4%である。なお、Moを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Moを0.01%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.2%以上である。
Ti:0.2%以下
Tiは必要に応じて含有させることができる。Tiは、鋼の強度を高める作用を有する。Tiには、鋼の靱性を向上させる作用や、TiSを形成することによって、腐食の起点となるMnSの生成を抑制し、耐全面腐食性及び耐孔食性を高める作用もある。さらに、TiNの分散により結晶粒の粗大化を抑制するので、大入熱溶接部の靭性が向上する。ただし、Tiを0.2%を超えて含有させても、前記の効果は飽和しコストが嵩むばかりである。したがって、Tiを含有させるときのTi含有量の上限は、0.2%とする。好ましい上限は0.15%であり、より好ましい上限は0.1%である。なお、Tiを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Tiを0.005%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.01%以上であり、さらに好ましくは0.015%以上である。
Zr:0.2%以下
Zrは必要に応じて含有させることができる。Zrは、Tiと同様、硫化物を優先的に形成し、MnSの生成を抑制する効果を有する。また、ZrはTiに比べ窒化物を形成しにくい元素であり、より効率よく硫化物が形成されるという特徴も有する。ただし、Zrを0.2%を超えて含有させると、靱性の低下を招く。したがって、Zrを含有させるときのZr含有量の上限は、0.2%とする。好ましい上限は0.15%であり、より好ましい上限は0.1%である。なお、Zrを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Zrを0.005%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.01%以上であり、さらに好ましくは0.02%以上である。
Sb:0.3%以下
Sbは必要に応じて含有させることができる。Sbは、乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させるとともに耐酸性を高める作用を有する。さらに、孔食部のpHが低い環境における耐食性を向上させることにより、耐孔食性を向上させる作用も有する。ただし、Sbを0.3%を超えて含有させても、前記の効果は飽和する。したがって、Sbを含有させるときのSb含有量の上限は、0.3%とする。好ましい上限は0.25%であり、より好ましい上限は0.2%である。なお、Sbを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Sbを0.03%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.05%以上である。
Sn:0.3%以下
Snは必要に応じて含有させることができる。Snは、酸環境における耐食性を向上させる元素であり、酸性水による乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる作用を有する。また、孔食部のpHが低い環境における耐食性を向上させることにより耐孔食性を向上させる作用も有する。ただし、Snを0.3%を超えて含有させても、前記の効果は飽和するばかりでなく、母材および大入熱溶接継手の靭性が著しく劣化する。したがって、Snを含有させるときのSn含有量の上限は、0.3%とする。好ましい上限は0.25%であり、より好ましい上限0.2%である。なお、Snを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Snを0.01%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上である。
(ii) 第2のグループ:Nb、VおよびB
Nb:0.1%以下
Nbは必要に応じて含有させることができる。Nbは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。ただし、Nbを0.1%を超えて含有させると、靱性が劣化する。したがって、Nbを含有させるときのNb含有量の上限は、0.1%とする。好ましい上限は0.08%であり、より好ましい上限は0.05%である。なお、Nbを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Nbを0.001%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.005%以上であり、さらに好ましくは0.01%以上である。
V:0.2%以下
Vは必要に応じて含有させることができる。Vは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。ただしVを0.2%を超えて含有させると、靱性及び溶接性が劣化する。したがって、Vを含有させるときのV含有量の上限は、0.2%とする。好ましい上限は0.15%である。なお、Vを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Vを0.005%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.01%以上である。
B:0.01%以下
Bは必要に応じて含有させることができる。Bは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。ただし、Bを0.01%を超えて含有させると、靱性が劣化する。したがって、Bを含有させるときのB含有量の上限は、0.01%とする。好ましい上限は0.008%であり、より好ましい上限は0.005%である。なお、Bを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Bを0.0002%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.0008%以上である。
(iii) 第3のグループ:Ca、MgおよびREM
Ca:0.01%以下
Caは必要に応じて含有させることができる。Caは、腐食反応時に水に溶けてアルカリ性となり鋼材界面のpH低下を抑制する作用がある。このため、裸鋼および塗装部の耐食性が向上する。ただし、Caを0.01%を超えて含有させても、この効果が飽和する。したがって、Caを含有させるときのCa含有量の上限は、0.01%とする。好ましい上限は0.008%であり、より好ましい上限は0.005%である。なお、Caを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Caを0.0002%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.001%以上である。
Mg:0.01%以下
Mgは必要に応じて含有させることができる。MgもCaと同様に、腐食反応時の鋼材界面のpH低下を抑制することにより耐食性を向上させる効果がある。ただし、Mgを0.01%を超えて含有させても、その効果が飽和する。したがって、Mgを含有させるときのMg含有量の上限は、0.01%とする。好ましい上限は0.008%であり、より好ましい上限は0.005%である。なお、Mgを含有させることによる効果を安定的に得るためには、Mgを0.0002%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.001%以上である。
REM:0.01%以下
REMは必要に応じて含有させることができる。REMは、鋼の溶接性を向上させる効果がある。ただし、REMを0.01%を超えて含有させてもこの効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、REMを含有させるときのREM含有量の上限は、0.01%とする。好ましい上限は0.008%であり、より好ましい上限は0.005%である。なお、REMを含有させることによる効果を安定的に得るためには、REMを0.0001%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.001%以上である。
ここで、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称であり、これらの元素のうちの1種または2種以上を含有させることができる。なお、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。
(B)硫化物層について
硫化物層は鋼材にCu、W、NiあるいはさらにMoを含有し、カーゴオイルタンクの底板環境下で使用することで形成される。したがって、鋼材出荷時には硫化物層を形成しておく必要はない。カーゴオイルタンク用の底板鋼材として使用することで使用初期にはHSおよびClの攻撃を受け一定の孔食が進むが、一定期間経過後、硫化物層が形成される。硫化物層は、鋼材界面でのHS濃度を低減し、鋼のアノード溶解を抑制するとともに、特にカチオン選択性を有するW硫化物あるいはさらにMo硫化物はClの透過を抑制する。これにより孔食の進行が鈍化し耐食性が向上する。
EPMA(電子プローブマイクロアナライザー)による分析では、硫化物層は内側(鋼材側)からMo硫化物、Cu硫化物、W硫化物、Ni硫化物の順に形成されることが判明した。このような順に硫化物層が生成したのは、各硫化物の溶解度と、孔食進展速度から見積もったCu,W,Ni,Moイオン濃度からの硫化物形成のための臨界S2−濃度を計算すると、当該濃度がMo,Cu,W,Niの順となるためと考えられる。
硫化物層が一旦形成されてしまえば、この上に通常鋼材表面に形成される鉄さび(β−FeOOH)層が形成されていても構わない。鉄さび層にはHS濃度を低減する効果やClの透過を抑制する効果はないが、鉄さび層を透過したHSとClは硫化物層で遮断されるので、優れた耐食性を発揮する。
硫化物層はカーゴオイルタンクの清掃などにより部分的に損傷を受けることもある。このような場合でも、使用により再度硫化物層が形成されるので、耐食性が低下することはない。
以上、硫化物層について説明したが、本発明の鋼材は硫化物層が形成されないタンク天板部としても使用できるものであり、全面腐食環境下で使用する場合は母材自体の耐食性により腐食の進行を抑制できる。
(C)防食皮膜について
上記に説明した本発明の鋼材は、そのまま使用しても良好な耐食性を示し、腐食代を少なくすることができる。しかし、その表面を有機樹脂や金属からなる防食被膜で覆った場合には、防食被膜の耐久性が向上し、耐食性が一段と向上し、カーゴオイルタンク用耐食鋼材として使用するのにより好適となる。
ここで、有機樹脂からなる防食被膜としては、ビニルブチラール系、エポキシ系、ウレタン系、フタル酸系等の樹脂被膜、金属からなる防食被膜としては、ZnやAl等のメッキ被膜や溶射被膜を挙げることができる。
また、防食被膜の耐久性が向上するのは、下地である本発明鋼材の腐食が著しく抑制される結果として、防食被膜欠陥部からの下地鋼材腐食に起因する防食被膜のふくれや剥離が抑制されるためであると考えられる。
上記の防食被膜で覆う処理は通常の方法で行えばよい。また、必ずしも鋼材の全面に防食被膜を施す必要はなく、腐食環境に曝される面としての鋼材の片面だけを防食処理してもよい。あるいは、腐食環境に曝される部分としての鋼材の一部だけを防食処理してもよい。
(D)製造方法について
本発明の鋼材は、以下のようにして製造が可能である。ただし、本発明の鋼材の製造方法はこの製造方法に限定されるものではない。
Sの含有量を低く抑えるとともに製鋼段階でのRH、DH、電磁撹拌等を実施した本発明で規定する組成を有するスラブを作製する。
このスラブを、加熱温度が1100℃〜1200℃程度、圧延1パス当たりの圧下率が3%以上、圧延仕上げ温度が700〜900℃程度となる条件で熱間圧延する。圧延終了後は、大気中において放冷するか、またはAr点以上の温度から少なくとも570℃程度までの温度域を冷却速度5℃/s以上で冷却し、その後大気中放冷する。以上の工程を通して、本発明の鋼材を製造することができる。なお、上記した温度はすべて鋼材の表面部における温度である。
表1に示す化学組成を有する23種類の鋼を真空溶解炉を用いて溶製し、150kg鋼塊とした後、通常の方法で熱間鍛造して厚さが60mmのブロックを作製した。
Figure 2012005327
次いで、上記ブロックを、1120℃で1時間加熱してから熱間圧延し、850℃で厚さ20mmに仕上げ、その後室温まで大気中で放冷した。
前記厚さが20mmの各鋼板から、幅が25mm、長さが50mm、厚さが4mmの試験片を採取し、実船のデッキ裏環境を模擬した腐食試験に供した。なお、この腐食試験はカーゴタンク気相部を想定したものである。ここで、特に鋼種1の発明例に係る供試鋼については、変性エポキシ系塗料をスプレー塗布により約200μmの防食被膜を形成した上で、防食被膜に十字の疵をつけて一部地金を露出し、同様の腐食試験に供した。
すなわち、図1の天板試験に見るとおり、イオン交換水を下部の1/3部分に入れたガラス容器を準備する一方、採取した試験片を下面に取り付けたガス供給口を有するアクリル製の蓋によって上記ガラス容器の開口上端を密閉した。
次いで、密閉後のガラス容器を恒温槽内に設置し、50℃×20時間→25℃×4時間の温度サイクルを56日間付与した。その際、ガラス容器内の気相部にはカーゴタンク内の腐食性ガスをシミュレートし、前記のガス供給口より、次に示す組成のガスAを吹き込んだ。
[ガスA]体積%で、5%O−13%CO−0.01%SO−0.05%HS−残N
56日間の腐食試験の後、各試験片の減少質量から「mm/年」単位での腐食速度(全面腐食速度)を求めた。表2に、上記の試験結果を「試験1」として示す。なお、表2中、防食被膜を形成した供試鋼(鋼種1(被膜あり))については、地金露出部の腐食速度を求めた。
Figure 2012005327
本試験は、実施例1と同様の試験片を用い、実船の底板部を想定した試験を施したものである。
すなわち、図2の底板試験に見るとおり、40℃の10%NaCl溶液を入れたガラス容器を準備し、腐食試験片を溶液中に浸漬させる。
次いで、密閉後のガラス容器を恒温槽内に設置し、28日間浸漬試験を実施した。ガス供給口より、次に示す組成のガスBを吹き込んだ。
[ガスB]体積%で、5%O−13%CO−0.01%SO−0.2%HS−残N
なお、腐食試験片は鋼板より採取した試験片の上に、5mm径の円型の部分を除き模擬オイルコート(原油とさびの混合物)を塗布することにより作製した。
孔食深さの測定は、試験後の腐食試験片において、孔食発生部の深さを、孔食の発生していない部分すなわち模擬オイルコート塗布部分を基準としマイクロメータを用いて実施した。ここでは、孔食発生部において深さの最も大きい値を孔食深さとして採用した。
28日間の腐食試験の後、各試験片の孔食深さから「mm/年」単位での孔食速度を求めた。表2に、上記の試験結果を「試験2」として示す。なお、実施例1と同様に、表2中、防食被膜を形成した供試鋼(鋼種1(被膜あり))については、地金露出部の腐食速度を求めた。
実施例1と同様に作製した厚さが20mmの各鋼板から、幅が40mm、長さが50mm、厚さが4mmの試験片を採取し、カーゴタンク底板の孔食内の環境を模擬した試験を実施した。
すなわち、図3の酸浸漬試験に見るとおり、30℃の10%NaCl溶液にHClを添加し、pHを0.85に調整した溶液中に試験片を浸漬させた。試験期間は72時間であり、溶液の劣化による腐食への影響を最小限にするため、24時間ごとに溶液を交換した。
72時間の腐食試験後、各試験片の減少質量から「mm/年」単位での腐食速度を求めた。表3に、上記の試験結果を「試験3」として示す。なお、実施例1と同様に、表2中、防食被膜を形成した供試鋼(鋼種1(被膜あり))については、地金露出部の腐食速度を求めた。
表2に示す腐食試験結果からもわかるように、比較例21については合金元素が適切に添加されていないため試験1、2および3において耐食性が十分でない。また比較例22はP量が適切でないため試験3における耐食性が低い。
一方で、本発明例(1〜20)は試験1、2、3とも良好な耐食性を示すことがわかる。
本発明によれば、全面腐食や局部腐食に対する抵抗性に優れたカーゴオイルタンク用耐食性鋼材を提供することができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、その発明の要旨は、次の(1)〜(8)に示すカーゴオイルタンク用耐食性鋼材にある。
(1) 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%、P:0.002〜0.1%、S:0.01%以下、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、W:0%を超え0.01%未満、Al:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成の鋼材であって、その表面に、Cu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物を含む層を有することを特徴とするカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(2) 上記(1)の鋼材の化学組成が、質量%で、Feの一部に代えて、Cr:5.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.2%以下、Sb:0.3%以下およびSn:0.3%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(3) 上記(1)または(2)の鋼材の化学組成が、質量%で、Feの一部に代えて、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下およびB:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかの鋼材の化学組成が、質量%で、Feの一部に代えて、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下およびREM:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(5) 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%、P:0.002〜0.1%、S:0.01%以下、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、W:0%を超え0.01%未満、Al:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成の鋼材であって、Cu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物を含む中間層を介して、表面が防食皮膜によって被覆されていることを特徴とする、カーゴオイルタンク用耐食鋼材。
ことを特徴とする、カーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(6) 上記(5)の鋼材の化学組成が、質量%で、Feの一部に代えて、Cr:5.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.2%以下、Sb:0.3%以下およびSn:0.3%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(5)のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(7) 上記(5)または(6)の鋼材の化学組成が、質量%で、Feの一部に代えて、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下およびB:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(5)または(6)のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
(8) 上記(5)〜(7)のいずれかの鋼材の化学組成が、質量%で、Feの一部に代えて、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下およびREM:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(5)〜(7)のいずれかのカーゴオイルタンク用耐食鋼材。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%、P:0.002〜0.1%、S:0.01%以下、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、W:0%を超え0.01%未満、Al:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなることを特徴とする、カーゴオイルタンク用耐食鋼材。
  2. 質量%で、Feの一部に代えて、Cr:5.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.2%以下、Sb:0.3%以下およびSn:0.3%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
  3. 質量%で、Feの一部に代えて、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下およびB:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
  4. 質量%で、Feの一部に代えて、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下およびREM:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
  5. 表面にCu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物の層を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
  6. 表面が防食皮膜によって被覆されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
  7. Cu、NiおよびWの硫化物あるいはさらにMoの硫化物からなる中間層を介して、表面が防食皮膜によって被覆されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のカーゴオイルタンク用耐食鋼材。
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